2009年12月31日木曜日

2009年ベスト&ワースト

今年は積極的に映画館におもむいて新作を観ていったわけですが、一方でいつもの自分のスタイルである「話題作じゃないけどおもしろい作品、もしくは超絶Z級映画を楽しむ」というのが薄れてしまった感も
あとはどうしても映画館に行く時間をさくと、休日の自由時間が減るのが…ね
ほら、家に帰れば素敵なワイフがご飯を作ってくれてたり、家事もちょっとやっててくれる、そんな夢の生活とか都市伝説ですから…現実はおっさんのひとり暮らしですから…

それはそれとして、とりあえず今年のワースト3から

1位:イングロリアス・バスターズ
2位:ストリートファイター ザ・レジェンド・オブ・チュンリー
3位:ひぐらしのなく頃に

この3つはホントに観てしまった自分を殴りたい気分になった作品ばかり
つまらないならつまらないクソ映画の方向で傾けば個人的に楽しめるんですよ
一番ダメだと思うのは、これは個人的な見解ですが「毒にも薬にもならない映画」ですね
そういう作品を観てしまったあとに残るのは「別にこれ観なくてもよくね?というか時間の無駄じゃね?」というガッカリ感だけ
クソ映画ならクソ映画でいいんですよ、そんなクソっぷりが楽しいんですから…


さて、じゃっかん思い出しただけでも気分が沈んでくるんで、気を取り直してベスト3を

1位:きみの友だち
2位:アフタースクール
3位:アバター

「きみの友だち」は細かい粗はあるものの、ホントに心の底から泣いた一本
ちょっと最後のあたりが蛇足ぎみな気もしますが、それもすべてヒロインと一緒に泣けるシーンで帳消し…どころかプラスに評価が傾かざるえない
「アフタースクール」は、もう個人的なストライクゾーンど真ん中
作品の完成度だけでいえば「きみの友だち」より上と個人的に思います
「アバター」はあえて堅苦しさを取っ払った作りがいい
アホな私がうひょーって感じで楽しむのには十分でした

ということで、今年のベスト&ワーストはこんな感じで
それでは、みなさま良い年を

12月のこれ一本

もう今月は「アバター」でいいと思いますね
ひじょうに贅沢なB級映画を観てるような?
まあ、ホントにストーリーじたいはアレですが、小難しいことなんざいいんだよって感じで突っ走る潔さが素敵です
こんな話題作が個人的にツボにくるのは珍しいかもしれません
いや、でも「HACHI」もよかったか

来月は新年からまさかの「スペル」上映で大歓喜
このちょうしで「エスター」もいってくれると嬉しいんですが、ダメですか
その他にも個人的にはノーチェックですが「バンデイジ」が女子層にすごい人気みたいですね
前に平日の昼間なのに特典付き前売り券のために劇場外まで列が出来ててビビったし

そんなこんなで来年もシネ充になりそうです

2009年12月30日水曜日

エロ将軍と二十一人の愛妾 (1972/日)

監督:鈴木則文
出演:池玲子 / 林真一郎 / 安部徹 / 名和宏 / 渡辺やよい / 三原葉子 / 女屋実和子 / 任田順好 / 由利徹 / 杉本美樹


徳川家の次期将軍の豊千代は、筆おろしの最中に膣痙攣を起こされ花魁と体が離れなくなる
十一代将軍の就任をひかえ、野心家の田沼に鼠小僧から影武者を使うように提案があり…

日本人の年末はやっぱり本格時代劇ですよね
そして、今年最後に観るにひじょうにふさわしい一本なんじゃないでしょうか
勘がするどい人はすぐに分かったかもしれませんが、個人的に大好きな「徳川セックス禁止令」の監督作品ですね
まあ、徳川セックスほどのタイトルのインパクトはないですが、こっちも内容は負けず劣らずひどい(褒め言葉)です
しかし、しょうじきなめてかかってみてると、意外に普通におもしろい内容なので困らない

田舎者が将軍の影武者となるって話は目新しいものじゃないですが、この影武者の角助の好色っぷりがすさまじい
将軍(代行)になってからは、夢にまで見た大奥でファック三昧
いわゆるそっちの描写を期待してた人むけを存分に楽しませてくれる前半パート
だけど、この映画の本番は中盤から
中国から友好を結ぼうと使者がくるんですが、中国人がみたら普通に怒っていいレベルのコントキャラ
友好の証に贈ってきたのが白と黒の衣装に身を包み、女を悦ばせる調教を受けた小人の「パンタ」
さらに異人と将軍の同時通訳ファック、チン(犬)がチンを…とすさまじいほどにくだらない素敵描写(最上級の褒め言葉)が続きます
ええ、こういうしょうもないギャグパート大好きです

そんなくだらない展開をよそに終盤にむかっていっきにシリアスムードになっていきます
影武者のお役ご免と高慢な態度で角助を切り捨てようとする田沼に対し、将軍としてやっていくのを楽しくなってきた角助は特権を利用して田沼を牽制
さらに鼠小僧は徳川家をゆさぶって独自の目的を果たすために大奥に上がって角助をコントロールしはじめる
そんな中で角助が田舎からひっぱてきたなじみの娘であるお菊は、どんどん角助が将軍役にのめり込んでいってしまうのを心配しはじめるが、本人は意に介さない
そんなお菊は危険人物と判断され、影武者の事情を知る一部の者の暴走で角助の知らぬ所で死に追いやられてしまう
その死を知った角助はうちひしがれて、政治ごともやけっぱちになっていく
角助に関わった者がことごとく悲劇に見舞われていく裏で、鼠小僧はうまく立ち回って本来の目的を果たすって感じ

と、ありきたりといえばそれまでだけど、けっこう普通に見れるレベルの話の展開なんですね
わりと普通に陰謀劇が楽しめます
小ぎれいでお高くとまってない分、こういう時代劇はけっこう好みかもしれません
ポルノ、コメディ、陰謀劇、ひとつで三度おいしい…かどうかは別として、色々な側面がある楽しい作品でしたね

個人的評価:80点
オススメ度:決断即実行

2009年12月27日日曜日

ビヨンド・サイレンス (1996/独)

監督:カロリーネ・リンク
出演:シルヴィー・テステュー / タチアナ・トゥリープ / ハウィー・シーゴ / エマニュエル・ラボリ / ジビュレ・カノニカ / マティアス・ハービッヒ / ハンザ・ツィピオンカ


両親がろう者である家庭で育った健常者の娘ララ
そんなララが音楽への道を歩もうとするのだが

主人公であるララがハンディキャップを持っているのではなく、両親がろう者でララは健常者というじゃっかん変化球気味の設定
涙なくしてみられない感動ストーリーってのではなく、いい話だなあ系のお話
主に父親と娘の対比みたいのが展開していくんですが、二人の言い分や気持ちがそれぞれ分からないとおもしろくないかもしれません
父親サイドだけで見れば「なに、このビッチヒロイン」、娘サイドだけで見れば「この老害が、素直になれよ」としか思えないかもしれません
というか、それぞれの登場人物に「こいつはこういうキャラだ」とキャラ固定して見てしまうと、じゃっかんよくわからない内容だなあ、と感じてしまうかもしれません
ようするに「父親の気持ちも、娘の気持ちも理解してあげましょう」と

手話できない人を相手に両親の翻訳をしたり、献身的に親の面倒をみる主人公
そんな中で父親と微妙に衝突してる叔母さんの影響を受けてクラリネットをはじめるララだけど、やっぱり父ちゃんはおもしろくなく、家庭環境がおかしくなってくる…と
流れ的には主人公が出会いと別れ、人生の経験をつんで自分の道を進んでいくよくある展開
わりとあっさりしてる流れなんで、もうちょっと掘り下げてくれてもと思うシーンはあるけど、これはこれで「行間を読め」みたいな作りも嫌いじゃないですね

特に良作でもなければクソ映画でもない、かなり凡作な内容なんですが、とにかくお父ちゃんと母ちゃんの…特にお母ちゃんのちょっとした仕草の中の顔がいいんですよ
ホントにガチではまり役すぎるってくらいに「立派な母親」
娘を見る優しい笑顔とか、みてるこっちが「いいお母ちゃんだなあ」とちょっぴりジーンとしてしまいます
その他にも、いろいろと衝突やすれ違いがあっても、根底である血のつながりの絆を死守しているのはいい
家族ゆえに憎み、家族ゆえに愛す、なんだかんだで家族っていいなあ、と

全体的に日本的なねちねち感がなく、けっこうぶつかりあってもさばさばしてる表現があったり、ちょっと割り切りすぎと思ってしまうのは国民性からかもしれませんね
そんなこんなで、ちょっとだけ心があったまる映画で冬の一日を乗り切ってもいいんじゃないでしょうか

個人的評価:70点
オススメ度:盛り上がり分は少なめのまったり鑑賞系




ビヨンド・サイレンス 予告

2009年12月25日金曜日

アバター (2009/米)

監督:ジェームズ・キャメロン
出演:サム・ワーシントン / ゾーイ・サルダナ / シガーニー・ウィーバー / スティーブン・ラング / ミシェル・ロドリゲス / ジョエル・デヴィッド・ムーア / ジョヴァンニ・リビージ / ウェス・ステューディ / CCH・パウンダー / ラズ・アロンソ / ディリープ・ラオ


独自の生態系を持つ惑星パンドラ
そこで兄の代わりにジェイクは現地民族ナヴィの体を模した体アバターに神経接続し、部族の中に入り込むのだが

種族を越えた愛、そしてはかなくも人類とナヴィの間に立つことでの悲劇を描く
単純にそういう内容ではありませんでしたね
恋だの愛だのはあることはありますが、この作品のメインじゃなかった感じ
びっくりするほど娯楽に徳化したファンタジーアクションで、ほどよく頭の悪い展開のある男の子向けな感じの内容
いい映画ではなく、楽しい映画って風な印象

元海兵隊のジェイクさんは脊髄を損傷し、車いす生活をしている設定
パンドラ行きのために低温睡眠装置みたいので6年近く眠ってたジェイクさんですが、その間に兄が死んじゃってて、そのお兄ちゃんが参加する予定だったアバターの操縦者として代わりに参加するんですね
で、科学者たちはナヴィの生態を研究したりして共存しようとしてるんですが、軍人さんたちは地下資源を狙うばかりでナヴィたちを害虫くらいにしか思ってない
そんな科学者と軍人から相異する使命を与えられたジェイクさん
でも、本人はナヴィとしてのジェイクで自由に飛び回ってひゃっほいに夢中、って流れ

いい感じで脳筋なジェイクさんの「おまえ使命とかどうしたんだよ」ってくらいのナヴィとして、彼らの生活をゼロから現地で学んでいくさまを楽しむ序盤
いかにもファンタジーながらも、すごいテンポよく進む上にしめる部分とゆるめる部分がうまく調整されてるんで、まったく飽きないですね
人とナヴィの間に立ちながらも、あんまりくよくよ考えないジェイクさん
しょうじきそういった要素を入れないのは正解だと思いましたね
とにかく楽しい映画、観てて気持ちいい映画、頭でっかちになりすぎない心地よさがあります

あとはCGの部分ですが、もうね、CGがうんぬんとかどうでもいい
CGはあくまで手段であって、目的じゃない
そこらの手段と目的をはき違えたCG多用映画がかすんでみえます
このアバターという作品をつくる上で必要だから、こういったCGの使い方をしてるからこそ、まさに「パンドラという星がそこにある。ナヴィや独自の生態系がそこにいる」って感じ
そして映画的な手法もきちんとしてて、その延長線上に特殊効果があるから「はいはいCGCGみたいな」違和感のようなものはほとんど感じませんでしたね

そしてクライマックス
もう男の子本能をびしびしとついてくる燃える展開
ひさしぶりに「おいおい、これからどうするんだ・・・って、おお!」みたいなドキドキと興奮を味わいましたね
しかも「GIジョー」みたいなくどさはいっさいなく、かといって物足りないなんてことはない
熱いわー、おっちゃんマジで大興奮したわあ
3時間とかの長尺で途中休憩とかないけど、マジであっというまにラストまで走りきりますね
しかも伏線の回収も忘れずきちんとしてる丁寧さ

逆に言えばガッチガチの深いストーリー展開な「高級料理」を期待したり、恋人としっぽり観たい「おしゃれ感」を期待してる人は合わないかもしれません
葛藤とかドラマ性の薄い悪く言えば幼稚な内容
でもそこがいい…
あくまで男の子が大好きなガチなファンタジーアクションですので

そんな感じで理屈抜きで頭からっぽにして楽しめる、純粋に楽しい映画でしたね

個人的評価:100点
おすすめ度:細かいあらとかどうでもいいと思える人向け




アバター 予告

2009年12月24日木曜日

センコロール (2009/日)

監督:宇木敦哉
出演:花澤香菜 / 下野紘 / 木村良平 / 森谷里美


ある日、巨大な怪物がビルの屋上に現れる
時を同じくして、ユキは学校で男子生徒テツが同じような怪物を連れているのを見かけるのだった

満を持しての手抜き更新ですね
わずか30分ほどの尺ですが、まあ、これもいちお劇場公開作品だよ…ね
イヴにおっさんがアニメとか世も末やで

そんなことでほぼ一人で制作されたってことで話題になったような、そうでもないようなこの作品
しょうじきひと昔前の実験アニメ的なOVAを見てる気分でした
まず、設定から演出まで「俺、これ一人で作ったんだぜ?すごくね?ほめてもいいんだぜ?」みたいな見せ方が鼻につく
今はやりのやりたいことだけやって、ストーリーは完結させずに続編が作れるような逃げ道をつくるヘタレ作品

ほぼ一人で作ったとか、ぶっちゃけ作品になんのプラスにもならないと個人的には思うんですが
これがアマチュアの同人作品として、そこで終わってれば評価もできるけど、一般で流通させてプロ作品として売ってるんだから、制作過程とかどうでもいい
プロは結果で勝負じゃないんですかね
できあがったものの先について評価されるのは分かるけど、過程うんぬんはホントにどうでもいい
プロ漫画家にマンガうまいですねとか、プロ野球選手に野球うまいですねとか、基本的な入り口部分をほめたら逆に嫌みでしかないでしょう
一人で作ったとしてもアニメ作るのうまいねって、そこは言うべきじゃない

内容にしても完結してないどころか、第一話完というか、なんかパイロットフィルムみたいな感じで評価は難しいですね
前にも言ったかどうかわかりませんが、物語を尺に関係なく完結させるのもひとつの才能かと
終わらせられないもんを作るなよ、と言いたくもなる
投げっぱなしなんて猿でもできる…というのは言い過ぎですね

なんて、なんかいつもより容赦なくすさんでるのは日付をみて察してください

個人的評価:30点
オススメ度:オリジナリティありそうで、どっかで見たことあるようなお話




センコロール 予告

 

もう何年まえか分からない頃の編集もの
あの頃はまだ情熱があった…変なベクトルの





(mlclのつづりはわざとですよ。アホな子と思われるとアレなんで)

2009年12月20日日曜日

ウルルの森の物語 (2009/日)

監督:長沼誠
出演:船越英一郎 / 深田恭子 / 濱口優 / 桑代貴明 / 北村沙羅 / 光石研 / 桜井幸子 / 大滝秀治


東京で育った兄と妹は、母親の入院を期に夏休みの間、北海道にいる離婚した父親の元を訪れる
北海道の森の中、兄妹は絶滅したとされる狼に似た子犬を見つけるのだった

「マリと子犬の物語」、略してマ○コのスタッフが送る新作映画
なんていうか、普通
めちゃくちゃ普通
普通映画のお手本のような普通っぷり

「マリと~」の個人的にダメだなあ、と思った部分がほぼ全面みなおされており、「いっちょリアルクソガキ演技にストレスためてくっか」とネタとして観にいったのに、さすがに学習したみたいですね
前作では周りの大人がみんな良い人で、「理屈じゃないのは分かるけど、もう仕方ないよ。それ以上を望むのはわがまますぎるってもんだ」という展開の中でもギャーギャーと自分勝手にわめきちらすクソガキ成分にみなぎらざるえない内容でした
でも、今作では周りの大人が、ちょっと悪者役をしてくれるおかげでクソガキっぷりがマイルドになってましたね
どちらかというと序盤は父親にイライラするくらい

話の流れは、好奇心旺盛で無邪気で明るい妹と、いかにも都会派のシャイさと優しさをクール気取りで隠して背伸びしてる兄、そして大人としては正しく男らしいけど父親としてはダメダメなお父さんの三人の関係がメイン
ウルルはそんな家族関係をステップアップさせるためのキーアイテムみたいな存在で、ぶっちゃけ「ウルルかわいいよウルル」がしたくて観にいくと退屈するかもしれません
いや、でもウルルかわいいけどね、ガチで

兄妹、父親はぎくしゃくしながらもウルルという潤滑油のおかげでなんとかやっていくんですが、いよいよもって「こいつホントに狼なんじゃねえの?」と立証されつつある段階になって、絶滅種である狼を他の野生動物と同じ扱いはできない・・・って感じに
それはどうでもいいんですが、とにかく話の導入部分が長い
どうみてもこの作品で描きたかったのは後半の冒険パートだと思うんですが、そこまでいきつく一連の流れがダルすぎてしかたない
もっと尺を短くしてテンポよく進めることはぜったいできると思いますね

普通すぎるという内容なんですが、ホントに悪い内容じゃないけど、観てよかったと思えるほどにいきついてないのが残念
伏線の張り方と回収、ちょっと人間的に成長している兄を主軸に持ってきている、父と兄の男同士の心地いい関係、母親の強さ、そこら辺がいい感じに丁寧に描かれているなあ、という印象
なんですが、いかんせん「でも、これよくある話の流れだよね」的なありふれた内容ゆえに目新しさがない
結局は「普通」止まり

それでも橋から落ちそうになってどうなる?って所の流れは予想外で「おい!そっちかよ」って感じでおもしろかった
伏線の回収するテンポとか演出も、そんな橋あたりのシーンが一番よかったかもしれません
それまでがあまりに見飽きたくらいに王道すぎる展開だっただけに、よけいに意外性があったかも
で、ラストはといえば、うーん・・・やっぱり普通ですね
個人的には送り狼のネタをさらに使ってくれると思ってたんですが・・・
そういや劇中の鉛中毒は別に伏線じゃなかったのが残念
悪質ハンターに対して、お父ちゃんの男らしさポイントアップする展開があると思ってたのに

というわけで、何度でも言いますがマジで普通の映画でしたね
観たい人は観ればいいし、そうでもない人は無理してまで観にいく必要はないかと
特に私のような温かい家庭を持ってるでもない、一人映画してるおっさんが観ても毒にも薬にもならない、そんな一本でした

個人的評価:60点
おすすめ度:冒頭のナレーションが学芸会すぎる




ウルルの森の物語 予告

2009年12月18日金曜日

THE 4TH KIND フォース・カインド (2009/米)

監督:オラントゥンデ・オスサンミ
出演:ミラ・ジョヴォヴィッチ / ウィル・パットン / イライアス・コティーズ / ハキーム・ケイ=カジーム / コーリイ・ジョンソン / エンゾ・シレンティ


アラスカ州ノームで、夜中に夫を何者かに殺害された心理学者のタイラー
夫の研究をついで街で起こっている集団睡眠障害を調べることにするのだが

予告を観たときから気になってた、というか私のB級センサーにビンビンくるものがあったので、こりゃもう早々に観にいくしかねえって感じで鑑賞
結論からいえば、今さら感が漂う方向のトンデモ映画でしたね
いや、まあ、嫌いじゃないけど、さすがに”そっち系”の作品をわざわざ今になって映画化しちゃうのか、と

心理学者のタイラーさんが街で体験したことを実際の記録映像を交えて、インタビューに応じる感じで作品はできてます
その所々は再現映像としてヴィッチさんが演じる形で、記録映像+再現映像というどこぞの超常現象番組みたいなノリ
毎夜、からなずなぜが目がさめてしまい、そのときに決まったように白いフクロウに見つめられている・・・という複数人が同じ証言をしている
その原因を探るべくタイラーさんが催眠療法を試みる、と

いったい何が起こっているのか?という中、催眠療法をおこなった患者が問題を起こしたり、他の患者の催眠中に奇怪な出来事がおきたり・・・観てる側の興味をひくには十分すぎる話の運び
ですが、ここから先は詳しく書きませんが、ホントに「え?”そっち系”に話すすんじゃうの?」って感じで
このある意味で「ネタバレ」を知った時、多くの人は「えー」という風に思って、人によってはクソ映画認定もしちゃうかもしれませんね
そのくらいネタバレがいろんな意味で古くさい題材

実際の記録映像+再現映像(作中で再現であると語っている)を提示して、話をすすめるのは映画としてはアリな手法だけど、肝心のネタが・・・もうちょっと違うベクトルを期待してたんだけどなあ
ぶっちゃけネタバレをしてもいいんじゃないか、とも思うけど、まあ、気になる人は劇場でガッカリすればいいじゃない

でもそんなネタ部分以外の映画としての演出はけっこうよかったですね
トンデモ映画のくせにへんな所で作りが丁寧で、食事前の神様に祈りを捧げる所とか、座って頭で考えてるだけって所とか、個人的にはそんな細かい演出は好きです
さすがにある患者の催眠時のびっくり映像は卑怯だと思いましたが

そんな感じで多くを期待しないか、B級耐性がある人は楽しめる内容かと
しょうじき「ディセント」みたいな方向の映画じゃないことは確か
あと、エンディングのスタッフロールでずっと字幕を読んでる作品は初めてでしたね
お客さんも席を立つにも立てずに釘付けでした
いや、別にエンディングがおもしろいってわけじゃないです、念のため

個人的評価:60点
オススメ度:俺が神だ




フォース・カインド 予告

2009年12月15日火曜日

今日も僕は殺される (2007/米)

監督:ダリオ・ピアーナ
出演:マイク・ヴォゲル / ジェイミー・マーレイ / クリスティーナ・コール / マイケル・フィースト / マイケル・ディクソン / アンドリュー・バカン / チャーリー・アンソン


大学生ホッケー選手のイアンは、ある最悪の一日の夜に何者かに殺されてしまう
しかし目覚めたイアンは会社員となり、日常に違和感を感じながら何かに巻き込まれていくのだった

インスタントラーメンに炒めた野菜を合わせて食べると、ちょっとリッチでおいしいよね
だけどしょせんインスタントラーメンですから!バーカ!バーカ!
そんな内容
個人的にはそんなジャンキーな味わいは大好きですが、一般的には「Bの下」級でしかないのが残念
残念というのも、素材が悪いだけでけっこう丁寧に作られてて、それなりにお金もかかってる感じなんですよね

内容的には死と新たな別世界での生活をループしていく、なんかどっかで見たことあるようなお話
で、そんな話で一番の肝は「なんで世界がループ」してるのか、って所なんですが…この作品は序盤からそこら辺のサスペンス要素を自ら捨ててしまう潔さ
わかりやすく言うと「フォーガットン」のネタバレ展開が序盤に配置されてる感じで
わかりにくいと思った人はぜひ「フォーガットン」を観るように
苦情は受け付けませんが、個人的には大好物な内容です

ここでネタバレ回避して書いてても、どうせこれを読んでこの映画を観ようなんて人はいないだろうから詳しくやっていきます
ホッケー選手世界で殺されたイアンくんは、次の社会人世界で恋人と暮らしてます
微妙にホッケー選手世界の記憶が残ってるイアンくんは違和感をおぼえ始め、そんな時にひとりの老人から「おまえは悪魔に狙われてて、殺されるたびに別の世界が始まる。とりあえずおまえの大切な人を守っとけ」みたいなことを言われる
いきなりネタバレとか、もうちょっと悪魔あたりの設定は隠しておいて非日常サスペンスを展開してもよかったんじゃないのかと

そこから社会人世界であっさり姿を現した悪魔に殺され、次はタクシーの運ちゃん世界
イアンくんは悪魔の存在をうっすら覚えていて、危機感はもっていたもののあっさり死亡
次はジャンキー世界になり、そこでイアンくんは戦うべき相手と守るべき存在のヒロインをしっかりと確信するものの、やっぱり悪魔には手を出せません
そんな時、イアンくんも元は悪魔の一族、ハーベスターと呼ばれる人間の恐怖心を食って生きる存在だと分かります
しかもイアンくんはハーベスターを狩ることのできる特別なハーベスターだった、と
誘惑に負けそうになってヒロインを食い物にしようとした所をギリギリ理性を保ってイアンくんは自殺して、次の拷問世界へ

と、さすがに最後までネタバレするのはアレだし、このままだと作品解説で終わっちゃうのでやめますが、まさかのサスペンスと思ってたらダークヒーローものでしたね
しかも覚醒したイアンくんがダサイことダサイこと…
そして誰もが思うのが、これシリーズものの序章として作ってるんじゃねえだろうな、と
ダークヒーロー、ハーベスターハンターイアン誕生編みたいな
マジで続編としてカッコイイ仮面をかぶって醜い素顔を隠したダークヒーローのイアンくんとかの物語があってもおかしくないレベル
逆に言えば、どうひいき目にみても「序章」で終わっちゃってる作品内容

拷問シーンとかもっと見せ方しだいではどうにかなったと思うんですが、まあ、そこまでの話の流れからして最後の最後で評価が大きく変わりもしないか
そんな感じで、これぞB級って作品を観たい方はぜひ

個人的評価:50点
オススメ度:愛やで、愛




今日も僕は殺される 予告

2009年12月13日日曜日

パブリック・エネミーズ (2009/米)

監督:マイケル・マン
出演:ジョニー・デップ / クリスチャン・ベール / マリオン・コティヤール / ビリー・クラダップ / スティーヴン・ドーフ / ジェームズ・ルッソ / スティーブン・ラング / デヴィッド・ウェンハム / クリスチャン・ストルティ / スティーブン・グラハム / ジェイソン・クラーク / ジョヴァンニ・リビージ / チャニング・テイタム / ビル・キャンプ / ブランカ・カティチ / ピーター・ゲレッティ / スペンサー・ギャレット / リーリー・ソビエスキー / ロリー・コクレイン / リリ・テイラー / ジョン・キッシュライン / マット・クレイヴン / アラン・ワイルダー / デヴィッド・ウォーショフスキー / ランス・ベイカー / スティーヴ・キー / ダイアナ・クラール / ドン・フライ / ジョン・オーティス


仲間とともに銀行強盗を繰り返すジョン・デリンジャー
彼を逮捕するために腕利きの捜査官がシカゴにやってくる

アレですか
世間的にはワンピースや仮面ライダーですか
アホみたいに発狂してるやかましいクソガ・・・活発なお子さんでいつも以上に映画館がにぎわってましたね
しかし、ワンピースの人気はすごいんだなあ、と
ほぼ全日満席とかすごいわ
まあ、個人的にはワンピースとか観たこともないんですがね
前置きが長い

そんなわけでデップさんが主役ってことでシネタレ系腐女子大歓喜なこの作品
予告にしてもCMにしてもデップさんが義賊的な立場で、しかも一人の女性のことを愛して、その愛のために戦うみたいなニュアンスで売ってますが、内容はまったくもって別ベクトルの作品
昔の映画が好きなおっさん向け、女子供はひっこんでろみたいな印象はうけましたね
1933年のシカゴっていう時代設定もそうですが、よくある「あの頃の時代を再現してみましたよ?ね?すごい?ん?」みたいな押しつけがましさがない
そういった見た目のいい感じな古さ加減の演出もありますが、全体的に映画の作りが古くさい

古くさい、というのは語弊があるかもしれませんが、良くも悪くも昔の映画っぽい感じがします
今の映画みたいな理論やらなんやらで裏設定までがっちがちに固めてるような感じじゃなく、どこかその場その場のノリで撮ってるところあるんじゃないのかと思うような古き良き時代の「やわらかさ」がある
細かいところまでツッコミを入れる方が無粋、という感じ
反面、特に序盤に単調なシーンが多く、悪い意味で昔の映画の退屈さも味わえる

しょうじき序盤のデップさんのスケが風呂入ってて、捜査官が突入してくるシーンあたりから、デップさんの仲間が拷問されてアジトの場所を吐くあたりまで眠気に襲われて大変でしたね
むしろところどころ寝てた
それでも拷問シーンからいっきに引き締まって、あとはラストまで眠気を感じずに集中できましたが

なんか途中からデップさんより捜査官の方が主役なじゃないか、と思いましたが、それでもデップさんの演技はいい
というか、登場人物それぞれが曲や画面的な演出にたよらずに演技だけでかっこよさをだしてるのはすごいなあ、と
特に顔と眼の演技は、デップさんにかぎらずホントにみんなしびれるくらいかっこいい

ラストも個人的には大満足
こういった犯罪者を主人公にした場合、どうやってオチをつけるかが大切なとこだと思うんですが、このまとめ方はわかりやすくていい
それでもなんで最後の伝言を聞いたのがあいつなんだとか、それ以前にも「え?なんで?」ってくらい展開がはやい場面があるんですが、そこはそれ…行間を読みましょう
この映画の説明不足感はイヤな感じのものじゃなく、察しようと思えば察せるくらいはわかりやすい内容なので安心
ただもうちょっと仲間たちとの関係を深く描いて欲しかったかなあ、と思わなくもない

全体的に悪く言えば地味で、大人の魅力的なものを解せるくらいの人向けな作品でしたね
まちがってもミーハーな気持ちや、派手なギャング映画を期待すると退屈すぎてしかたないでしょう

個人的評価:80点
オススメ度:「俺の好きなもの」が、予告、TVCMとどんどん短くなってたのか




パブリック・エネミーズ 予告

2009年12月11日金曜日

マインドハンター (2004/米)

監督:レニー・ハーリン
出演:LL・クール・J / ジョニー・リー・ミラー / キャスリン・モリス / ヴァル・キルマー / クリスチャン・スレーター / パトリシア・ベラスケス / クリフトン・コリンズJr. / アイオン・ベイリー / ウィル・ケンプ


FBI心理分析官、その候補生たちが最終試験として連れてこられた離れ小島
単なる試験かと思われたのも束の間、本物の殺人事件が発生する

はい、予定通り「サンシャイン・クリーニング」を観にいこうと思ったら外は雨で、しかも夕方までコタツで爆睡して上映時間をオーバー、という寝てただけの無駄に休みを浪費してしまった昨今、みなさまいかがおすごしでしょうか
こんな大人になっちゃいけねえぜ、坊主ども
それにともなって(?)めっきりやる気ゲージが減衰してるわけですが、ならトロステでやってた「センコロール」のDVDも買ったまま積んでるんで、これもいちお映画じゃね?って感じで観ようかと思ったんですが…
いや、まあ、せっかくだから(?)もっと積みタワーの下層から引っ張り出してきたこの作品を視聴
前置きが長い

で、この映画、なんというか一言でいえば「よくある連続殺人サスペンス」ですね
単なる試験かと思ってたら実際に人が死んで、しかも殺人予告通りにものごとが進んでいく
いったい犯人は誰なのか?目的は?次はどうやって人が死んでいくだ?というのを楽しむ、マジで典型的なサスペンスホラー
どうせこうなるんだろ、おまえが犯人じゃないんだろ、次に死ぬのはおまえか、などと思ったことは100%その通りになる隙のない設計

そんなよくある展開ではあるんですが、地味さの中にも作りは丁寧なので完全なるB級にまでは落ちてない
かといってA級にはなれない、一般の人にも楽しめる良作B級映画ですね
犯人は最後の最後まで分からないし、かなりテンポよく話は進むんでまったくダレません
とはいえ、これ犯人を推理するような作品じゃなく、流されるままに楽しむのが一番な内容
観てる間は楽しいけど、後にはなんにも残らない、一ヶ月後にはタイトル見ただけじゃどんな内容か思い出せないレベルの娯楽特化映画
これこそヒマでヒマでしょうがない時に観るのにオススメできるナイス作品ですね

気になる点もけっこうあることはあるんですが、そんなのどうでもいいといえなくもない
分析官たちが主人公なのに、あんまり分析してないね…とか
犯人と上司の関係がよく分からないね…とか
ぶっちゃけ頭脳戦というより、パワープレイだよね…とか
そんなのどうでも、いい…よね?

そんなこんなで、どうでしょうこれからむかえる冬休みとお正月、あんまりガチで集中して観る映画よりだら~っと観たい作品をお探しのあなたに最適かと思われますよ
じゃっかんグロイですが

個人的評価:70点
オススメ度:家に帰るまでがお仕事です




マインドハンター 予告

2009年12月10日木曜日

お姉チャンバラ THE MOVIE (2008/日)

監督:福田陽平
出演:乙黒えり / 橋本愛実 / 脇知弘 / 中村知世 / 白善哲 / 川連廣明 / 永井朋弥 / 倉内沙莉 / 葉月あい / 諏訪太朗 / 渡辺哲


死者蘇生がある企業によってなされた時代、世界は数多のゾンビの恐怖に襲われていた
そんな中、暗殺剣の使い手である彩は妹の咲を探しながら相棒とともにゾンビ狩りを続けていた

あの大人気ゲームを映画化!
って、誰かつっこんでやる人はいなかったんでしょうか
まあ、そんな無謀な素敵さは嫌いじゃないぜ!
こんな潔いほどにアホ丸出しのクソB級映画とか大好物ですね

実写ゆえに描かれる素敵で無茶なアクション演技、演出はむりしてグダグダになるくらいなら、と思い切ってゲーム的な演出に特化
見た目はグロイけど、その実はアクションパートとかちょっと気合いの入った特撮みたいな印象
CG+生の演技の迫力に挑戦して中途半端になるより、こういう風におもいきって特撮よりの描き方の方が子供じみてはいるけど逆にひどすぎることにもならないからいいね
なによりスタッフが分かってるのは、極力セリフをカットして女優陣のガッカリ演技を封印しているところ
生歌でライブやるとか言わなければ、ボコーダーと動画編集でどうとでもなるさ!という感じ

そしてわかりやすい話の展開もいい
彩の相棒は妹を敵に拉致られた過去がある→妹が敵として登場
途中で仲間になったレイコは娘をゾンビに殺された過去がある→娘の姿を投影する少女が登場するも悲しい別れが
さらに世界がゾンビであふれたとか、どうしてここまで被害が拡大したとか、そんな細かいことはどうでもいい感じで、彩は咲と姉妹ケンカでクライマックス&フィニッシュ
そんな豪快なストーリーを補完するために、各キャラは「実は~なんだ」と自分の立ち位置を説明セリフで表現してくれる親切設計
アクションシーン以外は画面を見てなくても話についていけるにくい作りです

で、肝心のアクションシーンですが、しょうじきゲームゲームしすぎてる
それが良い点でもあるし、ダメな点でもありますね
背伸びして痛々しくなった劣化マトリクスアクションより、物足りないけどまあまあ見応えのある仮面ライダーアクション、って感じで
ドラマパートもありがちすぎる展開ではあるけど、いちお各キャラのエピソードをはさんでるので丁寧といえば丁寧…でもよくある話すぎて盛り上がりはなし

ヒロインの彩はピンチになると便利な「不思議パワー」で形勢逆転するんですが、さすがにそこらへんはもうちょっと説明してくれよ、と
「よくわからないけど不思議パワーで強くなる」が許されるのは少年マンガまでだよねー、と言わざるえない
そんなスーパーパワーで彩と咲がドラゴンボールバトルをしてクライマックスをしめるんですが、ラストで彩が微笑んだ理由が一番の謎でしたね
相棒が一度も見たことがないという彩の笑顔…それを最後に見せる演出だってのは分かりますが、どう考えても微笑む場面じゃないから困る
まったく、クソB級映画の心構えで見てるからいいものの、そうじゃなかったら罵詈雑言ものですよ?

ってなわけで、最初からクソB級映画と思って見れば楽しめます
というか、この作品を手に取ってる時点でみんなまっとうな映画だなんて思ってないでしょう
むしろこんな映画を観ようと思ってさらに、ひどい評価でこき下ろすマジレスする人の方がどうかしてると思いますね
おまえはこの映画になにを期待しているんだ、そんな内容
分かってみればいい暇つぶしになる作品です

個人的評価:50点
オススメ度:主人公周りの設定を深く考えてはいけません




お姉チャンバラ THE MOVIE 予告

2009年12月6日日曜日

memo (2008/日)

監督:佐藤二朗
出演:韓英恵 / 佐藤二朗 / 宅間孝行 / 岡田義徳 / 池内博之 / 白石美帆 / 高岡早紀 / 矢部裕貴子 / 山本剛史 / ノゾエ征爾 / 菅登未男 / 浅見千代子


常に発作的にメモをとらなくてはいられない女子高生、本橋繭子
ある日、繭子は変わり者の叔父と出会い、何かが少しずつ変わっていく

「幼獣マメシバ」の悪く言えばキチっぷりな演技で大好きになった佐藤二朗が監督する映画
この作品でもそのキチっぷりをいかんなく発揮したリアクション芸がとにかくおもしろい
しかし、内容的にすごいアクがあるというか、かなり見る人を選ぶ
まずなんの予備知識もなく観ても「まあ、うん、なんとなく分かるね」ていどは理解出来ますが、ぜったいに見終わったあとに気になってググらずにいられないでしょう
個人的にも予備知識なし組だったんで、見終わってそっこうで調べましたね

で、どんな予備知識があればいいのか、ってのは劇中で語られない以上は話すべきことじゃないネタバレってことで触れません
おそらく狙った上での説明不足だと思いますし、知らない方がよりいっそう不思議な空気感を楽しめるでしょう
とにかくシュールで独特の世界観、ぶっちゃけ監督のオナニー映画なんですが、かなりギリギリのラインで外れてないというのが個人的印象
そんなきわどいところを攻められるのが大好きな私としては、もうおもしろかったと言わざるえない
ギリギリのラインゆえに観た人の評価はまっぷたつに割れることも容易に予想できますが
しかしここまで潔い「つまらない」か「おもしろい」か二つにひとつの選択肢しかない、中間の評価がありえない作品も珍しいかもしれないですね

どんな状況だろうと、いきなりメモをとろうとして、しかも内容は意味不明な文面を書くヒロインの奇行
そこに叔父が登場してから、そのキャラとしゃべりでいっきに笑いっぱなし状態のコメディ展開
そんな叔父となんとなく話していくうちにはじめは暗い印象だったヒロインがどんどん明るくなっていく
だけど観てる方は素直に笑ってばかりはいられない状況にじわじわと押されていく感じ
ホントにいちいちこの映画は説明してくれないので、それこそ観てる側が「間」を埋めなくてはいけませんが、それが楽しい
そんなに難しい話じゃないので深く考える必要はないですが、しりとりのようにちょっと考えないといけない、そんな作品

難点といえば、あるていど布石になってるとはいえ序盤の叔父に会うまでの流れがなんとも寒い空気になってるのが残念
「これは普通の映画じゃないな」的な印象を植え込みたかったにしても、ちょっと芝居が寒すぎる
ぶっちゃけどんな映画かつかみそこねて「これクソ映画じゃね?」と思ってしまったのも事実
そこを乗り切って叔父が出てくるといっきに爆発するんですが
あとはラストシーンがちょっと意味が分からない
いや、分かるような気もするけどよく分からない
このラストはちょっと監督のオナニーはいりすぎな気がしないでもなかったですね

そんな感じで、マメシバの二郎ちゃんの芸風が好きなら間違いなく楽しめると思います
いや、それでもマジで観る人を選ぶ内容なので、個人的には大満足だけどけっして人には勧められない作品でしたね
逆に言えば、これをおもしろいと思える人は私と趣味が合う人ってことでひとつ

個人的評価:80点
オススメ度:30分200円

2009年12月4日金曜日

トワイライト・サーガ ニュームーン (2009/米)

監督:クリス・ワイツ
出演:クリステン・スチュワート / ロバート・パティンソン / テイラー・ロートナー / ダコタ・ファニング / アシュリー・グリーン / ニッキー・リード / ジャクソン・ラスボーン / ケラン・ラッツ / ピーター・ファシネリ / エリザベス・リーサー / エディ・ガテギ / レイチェル・レフィブレ / マイケル・シーン / ジェイミー・キャンベル・バウアー / クリストファー・ハイアーダール / キャメロン・ブライト / チャスク・スペンサー / アレックス・メラズ / ブロンソン・ペルティエ / キオワ・ゴードン


ベラとつき合うエドワードだが、守るといったものの日が経つにつれて現実はそう甘くないと実感がつのる
そんなある日、地元民から年をとってるように見えないと疑念がわきつつあると、カレン家はフォークスから去ることになる

というわけでトワイライト・サーガの第2話
話が壮大になったというより、ファンタジーとアクション成分、そして前作よりねっとりした印象のあるロマンス分が増加した印象
逆に現実世界におけるヴァンパイアなどの怪物が普通に生活しているというようなギャップ的な楽しみはバッサリ切り捨てられてます
個人的にはそんなちょっとした方向転換はアリだと思いますね
話の流れにあわせて作品の雰囲気も変えるのは、変に前作の流れに固執してちぐはぐになるよりいい

話的には愛するエドワードを失って悪夢にうなされるほど落ち込んだベラが、無茶をするたびにエドワードの幻想が現れることに気づき、自暴自棄とも思える行動をしだす
学校での友達とも疎遠になり、それでも仲良くしてくれるジェイコブと心の支えとしてつきあうようになる、みたいな
いわゆる愛する人の代替としてジェイコブを利用するベラと、そうと知っててもベラにひかれてしまうジェイコブの物語
個人的にはあんまり好きじゃないロマンスの王道的な話だけど、そこに前作の生き残りのビッチヴァンパイアとジェイコブの抱える秘密が同時に展開するんで、観ててもそう苦痛じゃなかったですね

全体の6割くらいはベラ×ジェイコブの友情愛情どっちつかずな話が続いて、なんか結果的にジェイコブというキャラを紹介してるだけな感じがしなくもない
まあ、でもエドワードという心に決めた人がいる以上、話の流れ的にもベラが完全にジェイコブに傾くことはないってのがバレバレなんで、ここら辺のロマンス部分にはあまり緊張感はないです
そんなロマンスパートより、今作ではアクションパートがかなりパワーアップしていて、そういった所でうまく作品としてのバランスがとれてるかな、と
でも、個人的には前作の野球とかのコメディタッチなシーンがごっそり削られてて、さらにさわやかさも大幅減で、なんか全体的に陰鬱な空気感に支配されてるのは嫌だった

クライマックスも画面的には盛り上がるんですが、話的にはイマイチ
「エドワード、おまえそれを言っちまうか?!」って、じゃっかん気分が盛り上がってきたところでエンド
なに、この連続ドラマの「つづく」みたいな終わり方…
そっからもうちょっと盛り上げ続けて気持ちよく終わらせてくれてもいいじゃない
ビッチヴァンパイアことヴィクトリアが中盤以降ガチスルーなんですが、ちょっとは最後に触れてくださいよ、と
前作を受けてのこの内容とみると、ちょっと退屈に思えた所もあったけど全体的にはだいたい楽しめた
観てる途中で「これ前作の後半的な位置づけで、前のとセットでひとつの話なんだ」と思っていた時期もありました
だけど、いざ見終わってみると、普通にトワイライト・サーガ第2話「ニュームーン」って感じで最後に「続きは2010年公開のトワイライト・サーガ エクリプスで!」だし…

それでも前作は一本の映画としてもまとまってる方だったのに、今作ではどうしても続編ありきな部分に甘えすぎてる気がしないでもない
ますます「ならTVドラマでやれよ」という気持ちが高まります
あと、自分が男だからかもしれませんが、なんとなくベラがとジェイコブの結末のシーンでひどくベラが自分勝手すぎる気がしないでもなかった
もっとジェイコブに気をつかってやれよ、と
しょせん恋人代理は代理なのかよ、と

そんな感じでなんだかんだいってトワイライトにハマってしまったおっさんがここに、ってわけなんですがね
でも一本の映画としてはぶっちゃけ成立してない印象、そんな作品でした

個人的評価:60点
オススメ度:あくまで第2話、第3話へのつなぎにしぎません




トワイライト・サーガ ニュームーン 予告

トワイライト 初恋 (2008/米)

監督:キャサリン・ハードウィック
出演:クリステン・スチュワート / ロバート・パティンソン / ビリー・バーク / ピーター・ファシネリ / エリザベス・リーサー / キャム・ギガンデット / ニッキー・リード / ジャクソン・ラスボーン / アシュリー・グリーン / ケラン・ラッツ / サラ・クラーク / ジャスティン・チョン / クリスチャン・セラトス / マイケル・ウェルチ / ホセ・ズニーガ / ギル・バーミンガム / ネッド・ベラミー / マット・ブシェル / グレゴリー・タイリー・ボイス / アンナ・ケンドリック / テイラー・ロートナー / エディ・ガテギ / レイチェル・ルフェーヴル


両親の離婚を期に父親とともに田舎町であるフォークスで暮らすことになったベラ
転校先の学校でひときわ目立つ存在であるカレン一族、その中の一人であるエドワードに必要以上に避けられていると感じるベラであった

ヴァンパイアと人間の禁断の恋
くっさー、べっつになんにも目新しいところなんかないんじゃねーの
と思うのは早計すぎる
いや、なんというか、このロマンス嫌いの私でもかなり楽しめる作品でした
序盤から画面にあふれるファンタジックでミステリアスな雰囲気、実はヴァンパイアであるエドワードは端整な顔立ちに色白肌の美少年…なんですが、学校での彼の服装はごく普通のカジュアルなTシャツ姿というアンバランスさ
そんなアンバランスさがむしろ良い方向に作用していて、「なんだこのヴァンパイア映画、ただもんじゃねえ」って感じで、数多いヴァンパイアものの中でもオリジナリティがあると思う

話的にはベラの血を欲する気持ちと、純粋な恋心で求める気持ちの間でゆれうごきながらも結局はひかれてしまうエドワード
そんなエドワードの態度に戸惑いながらも、徐々に気になりだして恋心へと変わっていくベラ
つかずはなれずなプラトニックな関係が初々しくてもどかしくて、無駄にイチャイチャされるより障害があった方が燃えるじゃない、と
それだけならぶっちゃけつまらん三文ロマンス映画なんですが、そこに殺人事件という怪しい空気が流れたり、野球とか料理のシーンとかコメディタッチのシーンがあったり、それらをファンタジックな世界観がうまくからめとってまとめている

中盤以降はヴァンパイアの生態みたいなものがちょこちょこ描かれだし、同時に茶目っ気のあるエドワードのシーンも多くなってきて、まったく中だるみしないで楽しめる
女の子、それも若い子むきな内容だし、どっちかというと映画より連続TVドラマ向きな感じもしないでもないですが、一本の映画としての丁寧な作りと完成度もけっこう良い感じ
なによりロマンス映画を観て主人公たちを自然に応援して見守るおっさん化してた自分に一番おどろいている
人の幸せを喜べるなんて、自分はいつそんなまっとうな性格になったんでしょうか
信じられません

それでもひとつ気になった点は、三人組の描写がもっとされてもよかったかな、と
特にメインとなるひとりはもっとスポットライトを当てて、こんなにすごいんだぜ的な描写があった方がラストがもっと盛り上がったような気もします
あとは続編がすでにあるからいいものの、これ単体で観る限りではちょっと消化不良な感じが否めない
「結局、おまえなんなんだよ」というキャラがちらほらといる

というわけで、ロマンスもいいもんだね
そんな大人の階段をちょっとだけ登った気がする一本でした
次回作で階段を踏み外して落ちるハメにならないように祈るばかりですね

個人的評価:80点
オススメ度:エドワードくんマジ美形




トワイライト 初恋 予告

2009年12月1日火曜日

直撃!地獄拳 (1974/日)

監督:石井輝男
出演:千葉真一 / 佐藤允 / 郷えい治 / 池部良 / 中島ゆたか / 西城正三 / 倉田保昭 / 安岡力也 / 室田日出男 / 名和宏 / 津川雅彦


甲賀流忍法宗家の伝承者である探偵、元警官のヤクザ専門の暗殺者、口だけ達者な乱暴者の死刑囚
元警視総監のもとに集められたこの三人の男たちがもちかけられた話とは

12月です
我ながら季節がらぴったりなチョイスですね
とりあえず、タイトルから連想するような和製カンフーアクションではなく、現代における法で裁けぬ犯罪にこっちもアウトロー戦法で挑むって感じ
世界の千葉(笑)とか多少なりとも思ってる人は、これを観たら「マジ世界の千葉なんですけどぉ。超ウケる」と改心せざるえないでしょう

話的には日本へ密輸されている麻薬の日本での元締めであるニューヨークマフィア日本支部長を叩こうぜ、という流れ
まあ、しかし現代の映画の作法になれてると本当に一回りまわって新しささえおぼえますね
とりあえず集められた三人は基本的に衝突しあってます
シリアスないがみあいではなく、「なんとなくおまえ気にくわない」「隙あらばだしぬいてやる」といったじゃっかんコミカルさを内包したけん制のしあい
作戦無視、ブツの独り占めは当たり前、それでも敵だけはきちんと処理していくさまはまさに痛快

でてくるキャラたちがとにかく濃い
まるで劇画から出てきたんじゃなかろうかってくらいに暑苦しい
そんな中でも千葉真一は武骨で暑苦しくてコミカルながら、なぜかスタイリッシュでカッコイイ…という不思議な魅力がありますね
というか、むしろ今だと関根勤の物真似がもろにかぶって困る
さすがに大げさにやりすぎてるだろ、と思ってた物真似がまさにそのままの姿で本人がやってる所をお目にかかれるとは

アクション的には今見るとじゃっかん物足りない部分もありますが、その発想はなかった的な展開が続くので途中で飽きないどころかあっという間に最後までみれてしまいます
B級、色物、ゲテモノ、マニアック、たしかにそうだけど、それだけの枠内ではおさまらないプラスαの楽しさがあるので万人…にはオススメできないですが、ちょっと気になった人は観て損はないと思いたい
とりあえず終盤の千葉真一のヌンチャク振り回しの時の表情は一見の価値あり

昭和の雰囲気を理解できるおっさんの自分には、懐かしくも新しくて大満足な一本でした

個人的評価:90点
オススメ度:忍法は仮説ではない




直撃!地獄拳 予告

2009年11月30日月曜日

11月のこれ一本

はい、ね、あー、もう12月に突入ぎみですね
風邪ひいて、しかも家でひとりぼっちってホントにキツイですね
いろんな意味で
そんなわけで、手短にやっていくけどカンベンな!というAチーム的なノリはまだ通じますか
で、今月は「レイチェルの結婚」をおしときます
人を選ぶ作品かもしれませんが、私みたいにハマるとじわじわ後からきて、しかも余韻がいつまでも残ります
けっして手放しで良作とはいえないんですが、こんな映画が好きなんて俺ってカッコイイと自分に酔ってもいいじゃない

そういえば風邪には尻の穴、俗に言うアナルにネギことギーネーをぶち込むといい、という話がぷち有名ですね
その真偽とかはどうでもいいんですが、好きとか嫌いとか最初に言いだしたのは的に、このアナルギーネーの言い出しっぺは日頃どんなプレイをしててこんな思考に思い立ったのか興味が尽きません
気になって気になって睡眠時間以外、夜も寝られません
いつも夫に茄子プレイを強要されていた妻が復讐でもしたのがはじまりでしょうか
うん、本気でどうでもいい

人間、下ネタにたよるようになったら終わりやで

2009年11月29日日曜日

片腕カンフー対空とぶギロチン (1976/台湾)

監督:ジミー・ウォング
出演:ジミー・ウォング / クム・カン / ドリス・ロン / シャム・チンボー / ラウ・カーウィン / ロン・フェイ / ウォン・ウィンサン / ウォン・フェイルン


前王朝おかかえの武芸者を抹殺するために「空とぶギロチン」という特殊な武器を授かった武芸の達人である老人
ある日、二人の愛弟子が使命をまっとう中に片腕のカンフー使いに殺されたと聞き、その復讐に向かうのだった

なんでこの映画を観ようと思ったのか、賢明な人ならばこの作品のタイトルを見て頂ければ察しが付くと思います
まあ、アレですよ、こんな素敵なタイトルの作品を知って素通りできるわけないじゃない
片腕カンフーっておまえ、さらに空とぶギロチンて…微妙に分かりやすい対決のようでそうでもない抽象的なタイトルを気にならない方がおかしいでしょう

見始めてすぐに思うのが、その空とぶギロチンの形状ですね
外側と内側に鋭い刃がついたお盆、鎖みたいので結びつけてあってそれを振り回しつつ、相手の頭にお盆をかぶせて首ちょんぱ
あれ、これ、どっかで…?と思ってたら「片腕マシンガール」に出てきた敵の武器じゃないッスか
なにこのB級どうしのつながり、なにこの元ネタが発覚してもちっともうれしくない感
まあ、それはそれとして、この映画はだらだらとツッコミを入れながら見るのに最適な作品でしたね

特に中盤の武芸大会とか時代を先取りしすぎ
出てくる出場者が普通のカンフー使いだけじゃなく、三節棍、刀、ムエタイ、精神力で体を鋼鉄なみに堅くする、弁髪で首をしめる…くらいはわりと普通と言えなくもないですが、特に注目すべき猛者が二人
一人は日本から来た男、なんかじゃっかん勘違い気味の侍ファッションで、試合開始とともに普通にカンフーはじめたかと思いきや、実はメインの武器はトンファー
日本人の侍ならトンファー…ですよねー
さらにもう一人がインド人の男、こいつも普通に最初はカンフーアクションしてますが、その格闘スタイルが「ヨガ」ということで、「そのうち腕でも伸びるんちゃうんか?あ?」と思ってたら本当に腕が伸びました
ヨガなら腕が伸びても不思議じゃないですよねー

そんな中盤の尺かせぎも終わったところで、やっと宿敵同士の片腕カンフーと空とぶギロチン使いの対決が、武芸大会とかいっさい関係なくはじまります
しかし片腕カンフーさんは「あのギロチンをなんとかしないと…」と戦略的撤退をしながら考えます
さらにムエタイ野郎もギロチンさんと組んでカンフーさんを追い込みはじめるんですね
そこでカンフーさんは過酷な修行を開始して技を磨き、奥義的なものを身につけて戦いに挑もう…なんて考えはさらさらなく、敵を罠におびき寄せます
ガチバトルとか勝算のない、または低いことするのは愚かですよねー、って感じで知略っぽいものをめぐらせて戦いに挑む…なんかじゃっかん新しいカンフー映画のスタイルじゃね?
常に素足なムエタイ野郎を鉄板の床に改装した小屋におびき寄せ、周りに火を放っておいて自分は靴をちゃんとはいて戦うカンフーさんとか素敵です

さらにこんな知略風味のバトルはラストのギロチンさんとの戦いでも続いて、事前に仕掛けておいた斧を投擲する装置のある場所に誘導して、容赦なくその罠を使うカンフーさんマジで素敵すぎる
そんな斧の罠にまんまとひっかかり、斧をもろに体に受けながらもカンフーさんをガチバトルでは追い込むギロチンさんは半端ねえッス
しかも武器であるギロチンを失っても普通に優位なギロチンさんに、カンフーさんはあたりまえのように斧の罠を再び使ってギロチンさんの腹部に刺し、それに拳を突きつけて押し込む外道っぷり
まあ、なんというか、生き死にの勝負は勝てばいいってことですね

そんな一風変わったカンフー映画、あなたも見てみませんか
見ませんか、そうですか

個人的評価:70点
オススメ度:真の強者は勇敢さと賢さを合わせもつという




片腕カンフー対空とぶギロチン 予告

2009年11月28日土曜日

幼獣マメシバ (2009/日)

監督:亀井亨
出演:佐藤二朗 / 安達祐実 / 渡辺哲 / 高橋洋 / 志賀廣太郎 / 角替和枝 / 渋谷琴乃 / 佐藤仁美 / 西田幸治 / 高橋直純 / 古舘寛治 / 市野世龍 / 立花彩野 / 水野倫太郎 / 菅田俊 / 石野真子 / 笹野高史 / 藤田弓子


部屋から半径3km以内から外へでずに生活する35歳の中年ニート、芝二郎は母親に絶賛パラサイト
しかし急にそんな母が消息をたち、その行方をほのめかす手紙が二郎のもとに届き出すが、とうの二郎本人はガン無視する日々であった

あららら…
というのが正直な感想
TVドラマ版がよくできていておもしろかっただけに期待してたんですが、アナザーストーリーということをふまえても明らかにつまらなくなっててがっくり
全体的に映画を意識しすぎて、かなり窮屈なできになってましたね
展開としてのスケールアップを狙うのはいいですが、あまりに描写がいそぎすぎな上に詰め込みすぎ
さらに華がないと判断したのか、ヒロインとして安達祐実を用意したのが裏目にでてる場面が多い

話の流れ的に母の残したヒントを追っていることに終始しすぎて、肝心の一郎と二郎の絆みたいなものが薄味すぎる
さらにヒロインの可蓮が絡みすぎて二郎の成長物語というより、巻き込まれて仕方なく旅してる感じが強すぎる
実際、ヒロインが絡んでこないシーンはおもしろいし、ヒントを追う過程のちょっとしたシーンも楽しめます
あまりドラマ版と比べるのはアレですが、ぶっちゃけドラマのノリで作ってくれた方が個人的にはよかったかなあ、と
とにかくコメディパートが中途半端で、さらにドラマパートも中途半端、そしてたがいにまったく混ざり合ってないので、すっごいちぐはぐ感をおぼえます

駅での絶叫から留置所までの流れみたいなじゃっかんシリアスなシーンがいい感じなので、どうせなら全編シリアス路線でやってくれたら、とも
もしくは真逆に純然たるコメディとして描いてほしかった
「ネコナデ」がけっこうおもしろかったんですが、そこからさらに高みを目指そうとして分不相応なエリアに監督が手を出しちゃった感じ
ホントにあまりドラマドラマ言いたくないですが、あえて言おう「ドラマの2クール目を作ってそれでやれよ」と

それでも映画になっても二郎ちゃんのリアクション芸がほんとうに楽しい
できればマジでヒロイン抜きで一郎二郎コンビで困難に立ち向かっていってほしかったなあ
あとはまさかのAイチとBイチの共演があったりもしましたが、んなもんドラマ版のメイキング見てないとネタとして成立しないがな、みたいな
なんかダメなところばかり書いてる気がしますが、ついでに言っちゃうと二郎ちゃんをもっとかっこよくしてあげてほしかった
駅のホームでの暴走はよかったけど、あんな感じでもっと正の方向に爆発する二郎ちゃんを見たかったなあ

というわけで、ドラマ版を見た延長上で観るのはアリかもしれませんが、普通に映画としてつまらないから大困り
いきなり劇場版を観た人は「なにこれ?」な感じでしょうし、ドラマから入った人も「なにこれ?」というまさかのWなにこれ状態
人は忘れる生き物…この劇場版のことはきれいに忘れますね

個人的評価:10点
オススメ度:無理無理無理無理、りーむー




幼獣マメシバ 予告

2009年11月27日金曜日

曲がれ!スプーン (2009/日)

監督:本広克行
出演:長澤まさみ / 三宅弘城 / 諏訪雅 / 辻修 / 中川晴樹 / 川島潤哉 / 岩井秀人 / 志賀廣太郎 / 松重豊 / 寺島進 / 平田満 / 甲本雅裕 / 木場勝己 / 升毅 / ユースケ・サンタマリア / 佐々木蔵之介


番組ADの桜井米は、全国からよせられた手紙をもとに超能力者の取材にでる
しかし、どれもが「びっくり人間」ばかりという現実の中、ある人物を訪ねてついた店では謎の集団がパーティを開いていた

これも「ブラック会社~」と同じように思ってた作品のイメージと違いました
この映画って、カジュアルでおしゃれな感じのライトコメディ&ライトドラマティックな若人が大好きな内容かと思ったら、コメディとしてかなり楽しい、万人受けするタイプの良作コメディでした
本物の超能力者集団が、自分たちの存在を明るみにしたくないと思いつつもひたむきなヒロインにひかれて能力を披露するってな感じかと思いきや、どう見ても主人公は超能力者たちでヒロインとかおまけでした

というかヒロインが絡んでくる方がつまらなく、逆に超能力者たちがメインにすわってるシーンがめちゃくちゃおもしろい
とにかく笑いの間がうまくて、場内のみんなで周りを気にすることなく大笑いしてました
しかもけっこう笑いを誘うシーンがシンクロしてて、「あれ?笑ってるの俺だけ?」ということなく、同じシーンでみんなで声をあげて笑ってましたね
そういう意味でも万人受けするコメディだと思いました

話的には本当に超能力者たちがメインで、そこに細男とかがからんでくるみたいな感じでヒロインがサブシナリオのメインみたいな立場で入ってくる感じ
実際、ヒロイン不在の中盤までの細男とのからみだけでも十分におもしろい
というか、詳しくは言いませんがむしろ細男が主役でいいんじゃないのか、と思っちゃうほど
しょうじきヒロイン周りのエピソードとかもっと短縮してもいいんじゃないかっておもうくらいヒロインがおまけ
でも、おもしろいから不思議

ネタ的にもかなり個人的に好きな「こんなどうでもいいことが伏線だったのかよ」みたいなのが多く、後々に「その話も伏線として拾うのか」とコメディパート以外でも終始ニヤニヤして見てました
それだけに本当にヒロインが残念な子で仕方ない
個人的な趣向の問題なんですが、天然でユル系の口調な女の子を「ん?ほら、かわいでしょ」みたいな感じで演じられると反吐がでます
というか、おまえなんか公衆便所で小汚い浮浪者にファックされてしまえとか本気で…いや、なんでもない

ラストのオチも賛否両論ありそうですが、映画としてのまとめとしてはアリかな、と
まあ、じゃっかんそれまでの空気と違うというか、そこまでやらんでも気持ちよく終われるんじゃないか、とも思いますけどね
最後はちょっとクソ映画認定されてもおかしくない展開でした
個人的には好きですけどね!
別になくてもいいシーンな気もする、よく意味が分からない感じがしたけどね!

深く考えず、とりあえずゆるゆると笑いたい人にぴったりの、かなりわかりやすいコメディ作品でした

個人的評価:80点
オススメ度:透視能力の冷遇っぷりは異常




曲がれ!スプーン 予告

ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない (2009/日)

監督:佐藤祐市
出演:小池徹平 / マイコ / 池田鉄洋 / 田中圭 / 品川祐 / 中村靖日 / 千葉雅子 / 須賀貴匡 / 朝加真由美 / 北見敏之 / 森本レオ / 田辺誠一


プログラマとして就職した新入社員の大根田
しかし、そこは残業当然、理不尽な指示、ありえない人間関係のいわゆるブラック企業だった

思ってた内容とじゃっかん違って、その違いが良い意味で働いていたので、かなり楽しめましたね
大作の部類ではないですが、観る価値は十分にあると言えます
就職先にいる先輩たちがとんでもキャラで、ドタバタしながらも弱小ブラック会社が、それなりな働きをする所へと成長していく・・・という単純な話でもないのがよかった
実際、観るまではそんな悪く言えば「ありがちな」ドタバタコメディと思ってたんですが、意外なほど芯があって普通に見応えもありました

入社データのタイプミスからマ男と呼ばれるようになった主人公が、仕事のできないリーダーからいきなりイロハも教わらないうちに仕事を投げつけられ、さらに仕事仲間のサポートもしながら残業して与えられた仕事をこなした、それが入社当日のこと
そんなこれから訪れる限界にいたるまでの出来事をマ男が当時を振り返りながら巨大掲示板にスレッドをたてて書き込んでいく、というのが本筋
その課程でとんでもないブラックすぎる会社の実情、とんでもキャラたちのエピソード、マ男の過去、そして就職した理由が語られていくんですね
コメディパート、シリアスパートのバランスがよく、それでいていい感じに融合されてる良質なコメディ作品な印象

社会人として働いている人なら、演出的な誇張表現はあるけど絶対に主人公に共感できる部分はあると思います
能なしの威張るだけのリーダー、そのご機嫌とりばかりしている同じく能なしなナンバー2、情緒不安定でいじめられ役な同僚、そんな中で仕事面でもメンタル面でも支えになってくれる先輩の藤田さんがナイスすぎる
掃き溜めのような職場に似つかわしくないあまりにできすぎな人物の藤田さん
怪しい、怪しすぎるぜ・・・と勘ぐらずにいられません
まあ、それも制作側の思うつぼな感じなんですけどね

タイトルやあらすじを見る限り、仕事的にやばいくらいに追いつめられる話かとも思ったんですが、実際に見進めていくと仕事以外にもいろいろな面で主人公が追いつめられていく様がおもしろい、というと不謹慎だけど、そこはそこで映画的な娯楽作品を見てるという意味でおもしろい
だがそれがいい反面、さすがにちょっとひとつひとつの逆境が薄く感じなくもない
特に両親関係のエピソードは、分かるけどじゃっかん薄味で、やりようによってはもっとグッとくる展開もできたきがしないでもない

あとはプログラマという職業における過剰労働っぷりがあまりよく伝わってこない気がしましたね
普通のプログラマがどんな仕事っぷりなのか分からないのに、さらにすさまじい仕事現場と言われてもピンとこないというかなんというか
ゆえに仕事に追い込まれてる状況の緊迫感がイマイチ
さらに三国志ネタをいきなり出してこられても、そっち系の知識がないから、なんとなく言わんとしてることはわかるけどよく分からないネタがありましたね
で、もっともダメだったかな、と思ったのが主人公の引きこもりニート演技があまりにステレオタイプでリアリティがないところ
最近、個人的に見ているドラマの「幼獣マメシバ」の主人公のリアルすぎるニートっぷりを見てるとどうしてももの足らないものが

そんなわけで、本当におもしろいし楽しめるけど、もう一歩ぬきんでるものが足りない気がする、そんな作品でしたね
いや、けっしてつまらないわけじゃない、どちらかといえばおもしろい部類なんですが、あとひと味ほしいというか
あと、最後の最後に「結局、あの人ってよくわからなかったよね」という人の本性が分かるので、エンディングロール途中で切るのはやめましょう

個人的評価:70点
おすすめ度:ブラックじゃない会社の方が都市伝説だろ




ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない 予告

2009年11月22日日曜日

デス・プルーフ in グラインドハウス (2007/米)

監督:クエンティン・タランティーノ
出演:カート・ラッセル / ロザリオ・ドーソン / ヴァネッサ・フェルリト / ジョーダン・ラッド / ローズ・マッゴーワン / ゾーイ・ベル / シドニー・ポワチエ / トレイシー・トムズ / メアリー・エリザベス・ウィンステッド / クエンティン・タランティーノ / マーシー・ハリエル / イーライ・ロス / オマー・ドゥーム / マイケル・バコール / モニカ・スタッグス / マイケル・パークス / ジェームズ・パークス / マーリー・シェルトン / ニッキー・カット / エレクトラ・アヴェラン / エリゼ・アヴェラン


テキサスの美女三人組は今日もハメを外してバーに通う
しかし、そこに彼女たちをつけるように一台のドクロマークの車の姿があった

「イングロリアス~」で、自分の映画に対する感性を疑わざるえなくなったので、昔に買って積んでいたこの作品を引っ張り出して視聴
結論から言うと、めちゃくちゃおもしろいじゃないッスか、この映画
やっぱり「イングロリアス~」は個人的に受け付けない作風だったんですね

昔の低予算B級映画を上映しているスタイルで画面にはフィルムノイズや音飛び、カットの断絶なんかを再現してます
じゃっかんやりすぎでウザイ気がしないでもないですが、まあ許せる範囲内
なによりおもしろいのが、ちょっと古い時代を意識させる田舎を描き、そこに昔のフィルム風の演出しておきながら、普通に携帯はあるし今どきの車もちゃんと走ってるれっきとした現代が舞台になっており、そんなアンバランスさが絶妙にいい味出してます
どうでもいいまくしたてるような無駄なセリフも心地よく、それでいて所々に画面に注意を向けてくれるシーンをはさんでくれるので飽きない

それでも前半があまりに会話だけでだらだらしてるかな、やっぱり最近のタランティーノは個人的に理解できない作風なのかなあ、と思いもしましたが、そのギリギリの線でいっきに展開が加速していきます
マイクが美女三人組をイかせるシーンとか、まったくもってバカでB級で最高に素敵かっこいい
で、そこから再び新たな展開が始まるんですが、序盤の会話劇はじゃっかん退屈だったけど後半開始時のそれは最初のと違って普通に聞いてて楽しいから困らない
そこから「これはそういう映画なのか」と安心して観てると、クライマックスで「そっちにいくのかよ」と気持ちいい裏切り方をされて大満足

やっぱりこれですよね
小ネタがちりばめられてるのはなんとなく理解できますが、それが分からなくても普通に楽しめる
個人的に「イングロリアス~」は前半のだらだらした感じが全編続いてそのまま終わっちゃった感じに思えるんですよね
とはいえ、いくらこの映画がおもしろかろうと、本当にB級のノリがダメな人には合わないだろうな、と
あとは「ダーティ・メリー~」とか楽しめれば問題なくおもしろく思えるかと

そんなわけで、映画がおもしろいか否かなんてホントに人それぞれってことで
俺がおもしろいものがお前も絶対おもしろいわけはなく、その逆もまたしかり
自分の感性を人と比べても意味がないと再認識させられた作品でした

個人的評価:80点
オススメ度:モンスターカーはかっこいいのお




デス・プルーフ in グラインドハウス 予告

2009年11月21日土曜日

イングロリアス・バスターズ (2009/米・独)

監督:クエンティン・タランティーノ
出演:ブラッド・ピット / メラニー・ロラン / クリストフ・ヴァルツ / イーライ・ロス / ミヒャエル・ファスベンダー / ダイアン・クルーガー / ダニエル・ブリュール / ティル・シュヴァイガー / ゲデオン・ブルクハート / ジャッキー・イド / B・J・ノヴァク / オマー・ドゥーム / アウグスト・ディール / マイク・マイヤーズ / ジュリー・ドレフュス


ナチス占領下のフランス、家族を殺されながらも逃げた少女・ショシャナ
そして、年月がたったある日、ナチスを皆殺しにするために特殊部隊「バスターズ」がドイツに降り立った

久々のタランティーノ映画
いつものような軽快なセリフ回しと、派手なアクション、そしてとんでもキャラによる滑稽な立ち居振る舞い
テンポよく走るように最初から最後まで描ききる迫力
バスターズという特殊なスキルをもつ兵士たちが、どこかコミカルにナチスどもをぶちのめす
そう思ってた頃もありました
が、実際、そんな映画ではいっさいなく、とんでもないクソつまらない作品でしたね

なんといったらいいか、おもしろいならおもしろかった点を、つまらなかったならダメだった点を書けば感想にもなりますが、この作品はそんな善し悪しひっくるめて見所がまったくないんですよ
第一章の終わりで「あれ?なんだろつまらないな。でも、これからのための伏線だろうからなあ」と思いつつ見続けてもいっこうにおもしろくならず、かといって「これはひどい」という特筆すべきひっかかりもなく話は淡々と進んでいきます
おかずのない白米オンリーのご飯を食べてるような、なんともいえない怒りも喜びもない感情の起伏のなさ

なんか色々と小ネタを仕込んでたのか、他のお客さんからちょっとした笑い声が上がったけど、しょうじき自分には理解でいませんでした
特にバット男のもったいぶった登場とか、同族殺しのドイツ人の紹介シーンとか、意味が分からない
というか映画全体的に意味が分からないし、この監督が表現したかったことがいっさい伝わってこない
それでも分かる人には分かるし、監督もやり遂げたって感じなんでしょうね
あくまで個人的にだけど「レザボア~」「パルプ~」と楽しめたけど、この作品だけはホントに受け付けなかった

いちお内容的にはショシャナのナチスに対する復讐劇と、バスターズによるナチス討伐ミッションが、それぞれ目的はいっしょだけど別々に進んでいく感じ
思ったほどブラッド・ピットの出番はなく、誰が主役なのかよくわからない
展開的にも、何かしらのパロディやオマージュをちりばめつつ、それでも元ネタがわからなくても楽しめるのがタランティーノの良さだと思ってたのに
自分のようなにわか映画好きレベルには早すぎる内容だったね、ってくらい意味不明な作品でした

個人的評価:0点
オススメ度:誰かどこが見所だったのか教えてください






イングロリアス・バスターズ 予告

2012 (2009/米)

監督:ローランド・エメリッヒ
出演:ジョン・キューザック / キウェテル・イジョフォー / アマンダ・ピート / オリヴァー・プラット / タンディ・ニュートン / ダニー・グローヴァー / ウディ・ハレルソン / ジョージ・シーガル / ジョン・ビリングスリー / モーガン・リリー / ジミ・ミストリー / パトリック・ボーショー / トーマス・マッカーシー


2009年、ある地質学者により地球の崩壊まで間がないと判明
そして2012年、離婚した妻の所から子供たちをあずかって週末旅行を楽しむジェイクは、政府が隠していた間近に迫った地球崩壊の事実を知る

いかにもハリウッドらしい、大作っぽい大作なデキ
いわゆる「普通にけっこうおもしろい」が似合う作品ですね
上映後のお客さんの反応を見ても「・・・うん、まあおもしろかったよね」と、ちょっと言葉を濁し気味な感じ
さんざん予告であおられた作品ゆえに期待が大きすぎたのもじゃっかんの物足らなさの要因のひとつかも

マヤ文明の予言とか宣伝してますが、序盤から普通に科学的な地球滅亡の危機が判明して、しょうじきマヤ文明うんぬんの要素は「昔の人は知ってたんだね。すごいね」ていどの扱い
序盤から地割れの描写とかけっこうリアルで、滅亡まで向かう様子とかもわりと丁寧に描かれてます
そしてなにより、すごいテンポがよくてよくある「崩壊が始まるのは映画クライマックスで!」という出し惜しみなく、けっこう序盤からクライマックスがきます
道が段列し、ビルが崩れ、日常だった風景が瞬く間に崩れゆく様子を描きながら主人公たちがとんでもアクション以上のカーアクションや飛行機によるアクションを展開
個人的にはこういう日常が非日常に変わっていくさまを、きちんと画で見せてくれるのは大好きで、しかもこの作品みたいにすさまじいまでに力を入れてくるともう大満足

主人公たちが地図を手に入れるくだりまではマジで神映画認定してもいいくらいに文句なしのおもしろさ
なんですが、中盤からちょっとパワーダウンがはじまります
それでもダレそうになると、喝を入れるようにズドンとくるシーンが入るのでぎりぎり飽きはしませんが
こういう終末ものって、ようするに殺人鬼ものと同じで「どんなシチュエーションで崩壊を描くか」が楽しみの大きなウエイトを占めると思うんですね
そんな描写が序盤で出し尽くしてる感じがあからさまにするのはいかがかと

そんなこんなで終盤のクライマックスが、下がり気味のテンションの底になってしまってますね
終盤の山場になる大きなアクシデントが主人公たちが起こしたことが原因ってのもあるけど、なんか主人公を素直に応援できない
それくらい引き起こされたアクシデントは多くの人に迷惑どころか、命を危険にさらしてるんですね
しかも画もアクションも地味
緊迫感も画と音で誤魔化してるけど、ぶっちゃけゆるゆる気味
いや、別に特別つまらないってことはないんですよ
あまりに序盤が神展開すぎて、終盤の盛り上がりがあまりに普通すぎる「普通のパニック映画」止まり

なにより人間讃歌だか知らないですが、こういうパニックもので出てくるキャラのほとんどが「話の分かる良い人」ってのはつまらない
「笑う警官」の唯一の名ゼリフ「葛藤のない正義はマンガだ」を使うなら「葛藤のない人間讃歌は茶番だ」と言わざるえない
極限状態の中、互いに衝突して結果としてさらなるアクシデントを招きながらも、最後は団結して乗り越えるとかそっち方向が見たかったですね
ラストもラストで「言うほどじゃなかったね」みたいにくくるのはどうなんだ、と
常にポジティブな方に話をもっていくのはいいけど、なんか微妙に死んでいった人たちの描き方が軽いというか、結末も逆に考えれば人類的に相当すさまじい悲惨さになってるわけで
さすがに手放しで「良い話だなあ」とは言えない

そんな感じで、結局この映画でやりたかったことは序盤の崩壊の課程だけだったんじゃないかと邪推してしまう、そんな一本でした

個人的評価:80点
おすすめ度:普通の大作




2012 予告

2009年11月15日日曜日

笑う警官 (2009/日)

監督:角川春樹
出演:大森南朋 / 松雪泰子 / 宮迫博之 / 忍成修吾 / 螢雪次朗 / 野村祐人 / 大友康平 / 伊藤明賢


北海道警察での裏金疑惑が浮上した頃、札幌で一人の女性警官が殺害される
佐伯たち所轄の警官たちが捜査する中、道警本部のお偉方が事件に介入してくるのだった

あーあ、やっちゃった
というのが感想のすべてといってもいいかもしれない
予告を見たときは警察組織の暗部をサスペンスタッチで描くのかと思ってたんですが・・・
いや、内容そのものはおもしろいんですが、演出が最悪すぎるのもいいところ
この監督あたまおかしいんじゃないのか、と本気で思える台無し演出

ストーリーじたいは「ゼロの焦点」で足りなかったミスリードや、真相への道をたどってるように見えてなお拭えない疑念とか、本当に見てる人を引きつける話になってます(ラスト以外は)
でもなんていうか、要所要所の演出がひどく軽くてマンガ的なのが台無し要因になってる気が
シリアスな話なのに、演出がしょうもないカジュアルなTVドラマのそれな軽い感じで、ひどくちぐはぐさを感じますね
冒頭のおしゃれジャズミュージックにあまりに直球すぎるバーの映像からしてイヤな予感はしていたんですが、みごとにその予感は的中してしまいました
そのあまりに軽いノリに「これそういう映画なの?」と思った違和感が、見進めるうちに「これ普通の熱血くずれのおしゃれ刑事ものじゃん」と

あとはキャストがあまりに魅力なさすぎな感もあります
特に主人公の佐伯はもっと地味ながら渋さがある人か、逆に見るからにヒーローっぽい人がやった方がいいんじゃないかと
ここら辺も全体的に作品にながれるちぐはぐさを強調してますね

まあ、それはそれとして
話的には警官殺しの容疑者として手配された警察官、その人は裏金疑惑について公の場で証言する証人で、しかもあまりに迅速にその容疑者の警察官に対する射殺許可まででる
そんなできすぎたシナリオに、どう考えても警察内部の陰謀としか思えないと主人公たちが警察組織を裏切ってまで独自に捜査していく、と
順調に容疑者に対する疑惑がはれていくけど、なにか引っかかるものがつきまとう安心できなさといい、本当に話はおもしろい
ミスリードのさらにミスリードが用意されていたり、単純明快なヒーロー像としての正義の警察官を描いてるわけではない
設定、話だけ見ればかなり楽しめました

と良いところを出してしめたい空気ではありますが、そんなストーリーも最後の最後でクソ以下に成り下がりますけどね
もうどうしようもない気分でネタバレしたい心情を殺して、うっすらいいますが黒幕が出てきたシーンとか「おまえ笑わせたいんか?」と思うよな演出にげんなり
しかもそれを受けて「あいつをかならず倒す!俺たちの戦いはまだはじまったばかりだ!」と前向きに終わればいいのに、なんか微妙に主人公たちが報われないというかなんというか
しかもラストのアレはなんなんでしょうかね
意味不明なおしゃれ演出とか、マジで虫酸が走りましたよ
このクソ映画め!クソ映画め!ちんちんもげてしまえ!

個人的評価:30点
オススメ度:誰をターゲットにしてる映画なのかさっぱりですね




笑う警官 予告

ゼロの焦点 (2009/日)

監督:犬童一心
出演:広末涼子 / 中谷美紀 / 木村多江 / 杉本哲太 / 西島秀俊 / 崎本大海 / 鹿賀丈史 / 本田博太郎 / 黒田福美 / 野間口徹


巻一と結婚した禎子だったが、その夫が金沢で仕事の引継を終えて戻るはずの日に戻らない
不安になった禎子は金沢で夫の手がかりを探す中、巻一の過去からわきだした謎を追うのだった

原作未読で鑑賞
三大女優とか売り文句らしいですが、そんなんどうでもいい感じ・・・というか、佐知子以外の存在感が薄すぎな気が
こういうミステリーものではホントに感想は書きにくいんですが、とりあえず昭和な雰囲気はよく出てましたね
じゃっかん「別に映画じゃなくTVドラマでも」と思えなくもないですが、そこは「沈まぬ太陽」よりは映画っぽい作り

内容的には夫を探すうちに、禎子の知らない巻一の過去が露わになってきて、そこへちょっと引っかかりのある怪しい人物たちと接触しながら真相に近づいていく、って感じ
まあ、このてのミステリーの王道ではありますね
ただ、そんなちょっと怪しい人たちが出てくるのはいいんですが、もっと観てる側をミスリードさせる工夫があってもいいんじゃないのかなあ、と
あくまで主人公の禎子は真相に向けての一本道を進んでる感じで、「あれ?あいつちょっと怪しくね?でも、今はとりあえずおいとくか」みたいにわき道にぶれなさすぎ

そんな無視されたわき道の展開はというと、禎子抜きで勝手に完結していくオートサブシナリオっぷり
いや、むしろすべてが全自動的に話が進んでるといってもいいかもしれません
あるていど主人公が真相に近づいたかと思ったら、次からはいわゆる犯人が出てきて、禎子抜きで勝手に真相の解決編モードに入ります
実はこうだった、という展開がマジで主人公抜きで描かれるのはある意味で斬新
そして、すべて解明したあとに、主人公は「と、いうことだったのね!」的に真相の断片からみごとに超推理ですべてを見抜く全自動っぷり

しかも、そんな謎がすべて解けてからの展開がなんというか、一言でいえば「蛇足」でしかない
まあ、犯人の発狂はよかったけど、主人公と犯人のケリの付け方とか「え?はあ?」と言っても許されるレベル
ミステリーを観終わったあとのすっきり感は皆無
と、悪い点ばかり書いてますが、とりあえず「そうだったのか」感はそれなりに味わえますし、中谷美紀のちょっと大仰だけど力強い目力はひかれますね
ミステリー部分はアレな気がしないでもないですが、ドラマとしてみれば「ああ、あれ伏線だったのか」と思いながら楽しんで観られます

ミスリードで観てる側をだましてくれない物足らなさは別にして、本当に全自動で真相が語られる解決編までは普通に楽しめますし、だれません
それゆえにラストのどうでもよささが目立つ結果になってる気がしますが
そんな感じで、良くも悪くも古くさい、おもしろいけど大満足はできない、そんないわゆる「普通」の一本でしたね

個人的評価:70点
オススメ度:赤くて黒くて白い




ゼロの焦点 予告

2009年11月10日火曜日

マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと (2008/米)

監督:デヴィッド・フランケル
出演:オーウェン・ウィルソン / ジェニファー・アニストン / エリック・ディーン / キャスリーン・ターナー / アラン・アーキン / ネイサン・ギャンブル / ヘイリー・ベネット / クラーク・ピータース / フィンリー・ジェイコブセン / ルーシー・メリアム / ブライス・ロビンソン / ベンジャミン・ハイランド


結婚したばかりのジョンは、アドバイスから子育て前の練習に犬を飼うことにする
賢く手間のかからないラブラドール犬を選ぶのだが、家にきた子犬はとてつもなくバカ犬だった

積み映画を崩していく作業ということで
動物ものはけっこう好きなんで、これも発売と同時に購入してたんですがいつのまにやら悪夢の積みディスクタワーの礎になってましたね
まあ、それはそれとして、この映画ってもっと犬にクローズアップしたドタバタコメディかと思ってたんですが、「主人公のジョンの視点から見たマーリーのいる日々」みたいな感じで単純な動物映画じゃなかったです
誰もが想像するおバカなマーリーの行動に振り回されながらもほんわかするような展開は前半でほぼ出し切ってる感じかもしれません

話的にはいたってシンプルで、マーリーに振り回されながらも慣れてきたジョンたち夫婦が子供を作って子育てをはじめるけど、実は子育てはバカ犬の世話をするより何倍も大変だし、子供のために仕事のことや家のこと、色々な問題を考えなくちゃいけない大変さ
そこにバカ犬が加わることでしっちゃかめっちゃか…だけど、前向きに問題をちょっとずつ解決して進んでいくじゃない、って感じの映画
特別なことはなにもなく、バカ犬がいることで人よりちょっと大変さが増すけど、それでも普通の人並みな等身大の生活風景を「あくまでポジティブに」描いてます

いきなり犬を飼おうとするジョンに嫌な顔ひとつせずに大賛成する妻のジェニー
どんどん親友が出世していき、チャンスを持ちかけられてもぐちぐち言わずに家族をとるジョン
子育ての大変さにノイローゼ気味になってきつい物言いになったジェニーとケンカになるジョンだけど、なお前向きに、極力ネガティブなところを取り除いてある作りはいいですね
ある意味でファンタジーなくらいに暗く冷たい現実的な部分を見せません
けっこうあっさり感が強い印象で、ここら辺は人によっては物足りなさを感じるかもしれないですし、犬映画として見てると中盤の子育てパートがだるく思えるのも確か
それでも最後まで見れば、やっぱりちゃんとした犬映画だし、終わり方がなんとなく見えてきて「こういう映画なのか」と理解できるといっそう面白くなります
ホントに特別なことはなんにもないのに、普通の夫婦がバカ犬を飼いつつ家庭を築いていくだけなのに、それだけなのにおもしろい

それでも親友からチャンスを持ちかけられたシーンとか、隣人が自宅前で何者かに刺されたシーンとか、その後どうしたのかって描写くらいはしてほしかったかもしれません
仕事でのチャンスより家族を選んだのは分かるけど、その後に親友に心中を語る部分とかあってもよかったんじゃないか、と
隣人が刺されたという事件をうけての、なにかしらその後の発展があってもよかったんじゃないですか、と
あとはマーリーの成長につれてマーリー役の犬が入れ替わるのはわかるけど、さすがに別の犬すぎるんじゃないかというようなシーンも、細かいですが気になりましたね

ラストも犬を飼っている(いた)人なら「分かる分かる」と共感できますが、そうでない人にとっては「もうちょっと別のドラマティックな感じにできないのか」と思えるかもしれません
そんな感じで、犬好きなら十分に楽しめますが、そうでもない人は…というか、このタイトルで犬好き以外が観るわけないか

個人的評価:80点
オススメ度:犬も死に際に姿を消すのか




マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと 予告

2009年11月8日日曜日

アルティメット2 マッスル・ネバー・ダイ (2009/仏)

監督:パトリック・アレサンドラン
出演:シリル・ラファエリ / ダヴィッド・ベル / フィリップ・トレトン / ダニエル・デュヴァル / エロディ・ヤング / MC・ジャン・ギャブ’1 / ラ・フイヌ / ファブリス・フェルツジンガー


ともに戦った警官のダミアンと別れ、妹とともにバンリュー13区に戻ったレイト
それから3年、13区とパリ市街との間で新たな火種が生まれつつあった

いやあ、ガッカリだわ
続編にヒットなしとはよくいうけど、前作がすでにB級なノリなのに、さらにパワーダウンしてC級クラスに成り下がってしまった感がひしひしと
それでも前作は愛すべきB級映画だったのに、これはダメだ
前作ファンは観ない方が精神衛生上よろしいかもしれませんね

話は前作のラスト、レイトとダミアンが別れるところからはじまり、続編ものにしては珍しい正統続編路線でいくのかと思いきや、そこからのアクションがかなり大ざっぱ
1の時の流れるようなアクションではなく、どことなくぎこちなさが目立ちましたね
このぬるっとした流れるようなアクションがウリだと思ってるこのシリーズには致命的なんじゃないでしょうか
それでもダミアンパートになったら、いくぶん動きはましになってきましたが

そこから13区に抗争の火種をつける陰謀を描くんですが、このまま今作はストーリー重視でいくのかと思わせておいて、警視庁脱走あたりから「ストーリー(笑)」になり、バカアクションも盛り上がります
やっぱり筋肉野郎どものアクション映画に生半可なストーリーとか無理すんな、と
楽しめた脱走シーンですが、本当にこの映画のクライマックスはそこで終了
あとはもう惰性というか、あきらかに手抜き感が強くなってきます

クライマックスは、唐突に出てきた13区ならずもの軍団とともに敵地に乗り込むレイト&ダミアンですが、全員セガール状態VS一般兵でしかも奇襲かけてるって時点でセーフティすぎて緊張感のかけらもない展開に
ちょっと存在感があった敵側のハゲも、13区軍団のハゲ担当ダミアンにあっさりやられるし・・・いや、でもその決着のつけかたはちょっとおもしろかったけど
それよりなにより、クライマックスバトルで印象に残ったのは13区軍団のビッチVS一般兵×4だったのはどうなん?
そもそもクライマックスなのに主人公のレイト&ダミアンはほぼ活躍シーンないし
あとやたらといわくつきの13区軍団で乗り込んだのはいいけど、さすがに個々のキャラの描写が薄すぎて「おまえらなんのためにでてきたんだよ」と言わざるえない

そして問題のオチ
「え?おわり?」という以外に言葉がない
特に派手なアクションはいっさいなく、普通に敵本陣に乗り込んでラスボスを一般兵片づけるように倒してフィニッシュ
せめてその後の13区の描写でもあれば最後もしまったろうに、音と照明、画面の揺れだけで演出されても困る
そのシーンを見せろよ、と
しかもエンディングロール中のおまけ映像もアレじゃあ、もうため息しか出ないわ
マジで途中で予算なくなったのか?と疑いますね

そんな感じのこの作品、所々おもしろいシーン(特に前半部分)もあるだけにマジで残念すぎる
終わり悪ければすべて台無し、やっぱり続編は人柱にならずに周りの反応を見てから突貫するのが正しい見方かもしれません

個人的評価:40点
オススメ度:1を脳内で美化して満足しましょう




アルティメット2 マッスル・ネバー・ダイ 予告

僕らのワンダフルデイズ (2009/日)

監督:星田良子
出演:竹中直人 / 宅麻伸 / 斉藤暁 / 稲垣潤一 / 段田安則 / 浅田美代子 / 紺野美沙子 / 貫地谷しほり / 塚本高史 / 田口浩正 / 賀来千香子 / 宇崎竜童 / 柏原収史 / 田中卓志 / 山根良顕 / 佐々木すみ江


病院で自分の受けた手術について担当医が話しているのを立ち聞きし、自分が末期ガンだと知った中年の男・藤岡徹
落ち込む日々の中、ふとしたきっかけで最期の願いとして学生時代に組んでいたバンドを再結成に走るのだが

ひとことで言えばぜひ観るべき作品でもないし、ダメってほどクソ映画でもない
観てる分には楽しめるけど、別にすごい充実するわけじゃない「普通」な作品
よくある死を目の前に駆け込みで充足した密度の高い日々を送ろうと奔走するドラマ
まあ、実際はちょっと違って、末期ガンってのは勘違いで主人公が勝手に落ち込んでしまい、それを見ていた家族が「退院してから、父ちゃんが鬱になった!」と必要以上に気を使い始めることで、ますます主人公のガン意識が強くなっていく感じ

で、死ぬ前に青春時代の思い出であるバンドを再結成したいとはじまるんですね
そこからもよくある話で、みんなバラバラに仕事や悩みを抱えて生きてるわけで、そこを「死ぬ間際のわがまま」パワーで説得してまわると
それはそれで王道的な展開でいいんですが、メンバーの中でも大出世してエリート仕事人間化した山本を誘った時に、案の定いちど断られる
ってとこまでは分かる
だけどそこから山本が自宅でしみじみとバンド時代に使ってたギターを引っ張りだして見つめるくだりから、ちょっとしたら簡単にバンドメンバーに復帰したのがどうも
いや、ラストに向けての展開を考えれば分からんでもないが、それでも唐突感は否めない
もうちょっと苦悩とかドラマを見せてくれてもなあ、と

それ以外にもドラマの演出にしても、コメディの見せ方にしてもかなりあっさりしたできですね
大笑いはできないし、別に感動もできない、ただポンポンとテンポよく話が優等生的に進む感じで
ほんとにつまらなくはないんだけど、引きつけられるものがあまりないのは確か
個人的にはそんなあっさり演出もいいと思いますけど
あとは出てくるキャラが、ちょっとしたすれ違いはあるもののみんな良い人で観てて肩がこりません
中でも日暮さんは良い味だしててよかった
かけたメンバーの補充要員とか微妙なポジションながら、けっこうポイントポイントで存在感がありましたね
さらにこの映画の主人公って山本じゃねえの、ってくらい存在感があった宅麻伸も良い人でかっこよすぎ
で、あいかわらず主人公である竹中直人はうっざいおっさんだなあ、と

おっさんと言えば、この作品はあきらかにおっさん向けで、しかもコメディをみれる耐性を持つ人・・・というかなりピンポイントな趣味の人を対象にしてるようにしかみえないのはどうなんですかね
しょうじき若い人や日頃コメディ見ない人はクソ映画認定しかねない、そんな内容ではあります
終盤の主人公が山本に謝るシーンとか、そこら辺が楽しめるか否かで評価が大きく変わるかもしれません
というか、興味ない人はそんな終盤までみてられないのも事実

ということで、おっさん向けなファンタジー映画コメディ風って感じの一本でした

個人的評価:60点
オススメ度:末期ガンなんてなかった。そうでもない




僕らのワンダフルデイズ 予告

2009年11月6日金曜日

メタボ戦隊アホレンジャー (2007/米)

監督:キース・スピーゲル
出演:アリー・シーディ / ブライアン・オハローラン / ジャスティン・ヘンリー / フレッド・ハツェルトン / ビル・レイモンド / ジョン・ウォーターズ

かつてアメリカのお茶の間を一世風靡したモンスター特撮番組「Jr.ディフェンダーズ」
番組打ち切りから20年、転落人生を送っていた番組の登場人物の一人が誘拐される事件が起こった

ジャケットイラストに四人のおっさん&おばさんが痛い全身タイツ姿で描かれており、裏面には子役時代と20年後のおっさん&おばさんの比較写真があります
さて、容易に想像できると思いますが、過去の栄光はあるもののすっかり堕落して年をとった主人公たちが、事件をきっかけに昔の姿に戻ってコミカルに、しかし熱い思いで真のヒーローとして復活をとげる
というストーリー…じゃありませんから、これ
しょうじきパッケージ詐欺もここまでくると清々しい
むしろ普通はもっと面白そうな方向でパッケージは作るもんじゃないのかよ、と
さらに裏面にアホレンジャー血の掟7箇条とか、それぞれのキャラの持病(腰痛とかEDとか)も細かく書いてありますが、んなもん本編にいっさいでてこねーし
そもそもアホレンジャーなんて単語じたいでてこねーし

で、結局どんな話かというと、全編ドキュメンタリーたっちの映像で作られていて昔の映像はノイズばりばりで、現在のテレビなんかの映像はクリアに、本編は手持ちカメラみたいな粗くブレ気味で描かれてます
冒頭はJr.ディフェンダーズ(以下JD)放映当時の映像と、それを語る当時を振り返るインタビュー映像をまじえて過去の番組の栄光と転落を描いていきます
そして子役時代の成功から一転して転落人生を送っていたジミーのもとにインタビュアーのビルが「あの人は今」的なノリで訪れるんですね
で、その撮影中にJDの熱狂的なファンに誘拐されたジミーとビル、誘拐犯の狙いはJDの復活
そこで犯人は次に旧JDメンバーのミッチを拉致りにいく、と
だけど、ミッチは今は刑務所に入っていて…って感じで、次にカルト集団を立ち上げていたジル、最後にAV男優になっていたトミーのもとにいく

そんな誘拐事件もジル誘拐の時にテレビカメラにむかって犯人が「JD復活させる!」と宣言したことから、完全に事件がおおやけになります
一方で拉致られたメンバーもじょじょに乗り気になってきて、インタビュアーだったビルはもうノリノリ
犯人もJDに対する熱い思いをぶちまけて語るけど、真剣ながらも冷静に考えるとアホ丸出しな主張にすぎない
そして事件を知った元JDファンたちが全世界で犯人を支持し、JD復活の声が盛り上がっていく
そんなクライムロードムービーみたいのが主な部分ですね

前半はまだしも、誘拐が警察に知られながらあっさりメンバー全員をそろえられた経緯が、なんとなくうまくいったではなく、ちゃんとメディアを利用したという筋があるのが驚いた
丁寧に描かれているのか、あくまでノリで適当に作ってるのがよく分からない作品です
個人的にもかつての栄光をとりもどすリアルヒーローを目指した中年アクションコメディ路線より、こっちの静かなアホっぽさの方が好きですね
作中にも出演するジョン・ウォーターズの作風にじゃっかん似てる
まあ、個人的には「セシルB」の方が何倍も面白いと感じますが

リアクション芸人みたいに大声だして大げさにバカを演じるコメディを見るより、こういうコメディをもっと日本人は見た方がいいんじゃないでしょうか
このB級さに耐えられるかどうかは別にして
このB級さに耐えられるかどうかは別にして
大事なことなので(以下略)

個人的評価:80点
オススメ度:パンチ力はないけど、不思議な魅力があります

ザ・スピリット (2009/米)

監督:フランク・ミラー
出演:ガブリエル・マクト / サミュエル・L・ジャクソン / エヴァ・メンデス / スカーレット・ヨハンソン / ジェイミー・キング / ダン・ローリア / パス・ベガ / サラ・ポールソン / スタナ・カティック / エリック・バルフォー / ルイス・ロンバルディ / ジョニー・シモンズ / マイケル・ミルホーン / フランク・ミラー


街の平和を守る黒装束に赤いネクタイ、マスクをつけた男・スピリット
そんな彼の前に宿敵ともよべる悪の存在、オクトパスと呼ばれる男が立ちふさがる

休んでいい
休んでもいいが、すぐに連絡がとれるようにしておいてくれ
師走を前にじょじょに忙しくなってきた職場の上司からありがたい言葉をいただいたわけで
基本、映画館の中では携帯電話の電源は切ってるわけで
そんなわけで映画館に行けなくなったので、おうちで積み映画でも消化しようか、と

この作品、買う時に分かってたけどかなりのB級映画ですね
というかかなり微妙な作りに「あえて」してる臭いがプンプンしてきます
主人公の設定からして、銃やナイフで多少傷つけられてもへっちゃらで、傷の治りも早いタフさが売りですが、その他がちょっとアレな感じ
他のヒーローものの主人公みたいな圧倒的なパワー、常人をはるかにしのぐ身体能力、超科学のスペシャルウエポン、常識はずれの特殊能力、ええ、それらはいっさいありません
普通の人間よりは身体能力は高いですが、タフさ以外は街のちょっとすごい人レベル
戦い方もその場その場の環境を利用して高い所から突き落としたり、落ちてる物を投げたり、マンホールのふたで防御したり…そして決め技はマウントポジションからの拳によるめったうち
いや、なんというか、こんな微妙なヒーローとかどうなん?
すごいならすごい、ダメダメならアホっぽいギャグヒーローにするのが普通ですが、本当にこの主人公はすごさにしてもダメさにしても突き抜けてない中途半端な微妙ヒーロー
でも、B級脳な私としては、そんな主人公が大好きです

内容的には悪人のオクトパスが主人公と同じタフさを持っており、なぜ自分がそんな体になったか分からない主人公が謎を知るためにオクトパスを追う、と
その過程で主人公の過去が明らかになりつつ、オクトパスの野望が明るみに出てくる感じで
とにかく演出がアホスタイリッシュで素敵です
分かっててちょっとハズしたスタイリッシュさを演出する、アホスタイリッシュスタイルは本当におもしろい
冒頭からオクトパスと文字通り泥試合したり、便器をはめられて身動きとれなくなったり、女と見ればすぐに下半身でものを言うようになったり、ビルから落ちそうになったらズボンのベルトをハズしてパンツ丸出しでベルトをオブジェに引っかけようとしたり、絶体絶命の時に過去の女との関係を利用して脱したかと思ったら女に殺されかけたり、いちいち素敵で困らない
まあ、B級に対する許容があって、パロディをパロディと受け入れられる人限定のおもしろさかもしれませんが

主人公のスピリットもさることながら、敵のオクトパスもかなり素敵存在
クールで残忍な印象だけど、足と頭だけのアレを作ったシーンやナチスコスのシーンなんかのコミカルさや、クライマックスの取り引きのシーンで唐突に登場して「おまえ何がしたいんだよ」とニヤニヤしながら見れます
あざといはずしかたで見る側の笑いのツボをつついてくるけど、そんなに臭みはないんで軽い気持ちで嫌な感じなく素直に笑えます

それでもやっぱり映画として見ることは出来ないかもしれないですね
どうひいき目にみてもコミックをそのまま映像化した感じはぬぐえないですし、これを映画として真剣に見ようと思うと「ふざけすぎ」って感想になるでしょう
映画というよりひとつの映像作品って感じで楽しめばいいんじゃないでしょうか
あとはオクトパスと一緒にいた女がいまいちキャラ的につかみきれなかったのがなんとも
単なる小者にも見えるけど、実は影から操る真のラスボスともとらえられるし、よく分からないですね

そんな感じでB級耐性がある人は暇つぶしていどにはなる、そんな一本でしたね

個人的評価:60点
オススメ度:主人公が墓からはい出てきたシーンで爆笑




ザ・スピリット 予告

2009年11月2日月曜日

アルティメット・バトル 忍者VS少林寺 (2001/香港)

監督:ダグラス・クン
出演:シー・シャオロン / リー・サンサン / ジョン・チャン / チン・カーロウ / ケン・ウォン / トン・ニン / クォック・ンガチョン


幕末の時代、徳川埋蔵金のありかの地図を託された少林寺拳法の使い手が、一家を連れて追っ手から逃れるために故郷の中国に戻ってきた
そこへ追っ手の根来忍者軍団が襲いかかり、男は通りすがりの一人の男・チョウに娘を託すのだった

みなさんお待ちかねのVSシリーズ
今回は忍者と少林寺という一見、そんな意外性はない組み合わせですがよくよく考えてみれば、この二つ対決はけっこう斬新な気がしないでもないかもしれないと思えなくもない
物語は少林寺拳法の使い手の男が娘を通りすがりのちょっと強い拳法家の男に娘を託し、忍者にやられちゃう所からはじまります
というかここですでにタイトルにある忍者と少林寺の戦いは終わってしまってるいさぎよさ
ここから先は、というかこの映画の本編はこの通りすがりの男と娘の逃亡先での出来事という感じで

で、そんな追っ手に追われてたことはきれいに忘れて、二人は逃亡先の町でちんぴらのいざこざに巻き込まれてきます
正義漢は強いけど人が良すぎてちんぴらに利用されちゃうチョウですが、命を賭けた決闘の最中に自分は闘鶏と同じでしかないと気づくんですね
そして町にいた奇門流の拳法使いの男に弟子入りして、いろいろ修行してイメージトレーニングで少林寺拳法を習得したチョウの所に、敵の忍者軍団が娘のことに気づいて乗り込んでくる
って感じのお話ですが、いや、これなんというかB級的な見方をすれば普通に面白いです
大ざっぱな友情話、大ざっぱな主人公成長、大ざっぱな敵側のドラマ要素、と全体的に大ざっぱではあるけど、なんとも懐かしい香港アクション映画を観た気分

良い意味で少年マンガのバトルものなノリで、アクション部分も大ざっぱな感じでザックリおもしろい、みたいなね
かなり大ざっぱではあるけど、不思議とずるずると見続けているうちに認めたくはないけどガチで見入ってる自分がいるという現実
深夜や昼過ぎの映画枠でちょっと見るつもりが、ついつい最後まで見ちゃう系の作品ですね

なにはともあれ見所は個人的に意外とかっこいい忍者軍団の衣装と仕草
敵の中田が地元の女権力者とデキながらも、忍者であることを隠していたのがばれたシーンで女に刀を突きつける所とか本気でかっこいいと思いましたね
そんな忍者の描き方もさることながら、アウターは中国の人なんだけど設定が忍者なもんで、どうしてもセリフが日本語メインになってくるわけで
そして、その日本語がことごとく直訳っぽい言葉遣い&棒読みな素敵仕様で、シリアスな場面をことごとくコメディシーンに変えてしまうマジック
そんな直訳棒読みセリフも素敵ですが、それ以上に誰の指導か疑わざるえない素敵な言い回しがちょくちょく挿入されるのがツボにはいりまくり

例えば忍者の頭領(?)が娘の居所をつかんだ場面で手下に「早くやらなきゃ」と、しごくシリアスな顔でにらみをきかせながら言ってみたり、忍の掟を手下にまっとうさせるシーンで「君はやるべきことがあるじゃん」とやっぱり凄みをきかせた顔でフランクに言う仕草に惚れてしまいそうです
そんな忍者たちを十分に楽しめただけでじゅうぶんに有意義な時をすごせたなあ、と

いやあ、本当にB級っていいですねえ
特に外国での忍者の曲解っぷりはいつもハズレがないから困らない

個人的評価:70点
オススメ度:普通にバカB級アクションとしてもおもしろい(ストーリーをのぞく)

2009年11月1日日曜日

レイチェルの結婚 (2008/米)

監督:ジョナサン・デミ
出演: アン・ハサウェイ / ローズマリー・デウィット / ビル・アーウィン / トゥンデ・アデピンペ / デブラ・ウィンガー / マーサ・ジッケル / アンナ・ディーヴァー・スミス / アニサ・ジョージ / ロジャー・コーマン


姉のレイチェルの結婚式を前に、ある施設から出てきた妹のキム
家族、友人たちが結婚式に集まる中、素行の悪い娘としてレッテルを貼られたキムの周りの反応は冷たい

新作じゃないからアレだけど、それでも日曜日に自分を含めて3人とか過疎りすぎだろ、と
内容も地味だし、泣ける話でもないし、ロマンスでもないし、華やかな話ってだけでもない
それでもこういう映画こそ、もっと劇場に足を運んで観るべきだと思うんですよね
おもしろいとかつまらないは別にして

内容的には、いわくありげなキムが姉の結婚式のために施設から出てきて、幸せいっぱいな人たちに祝福の言葉をおくる・・・んですが、どうにも居心地が悪いというか落ち着かない様子を描いてます
キムの悪い噂や事実を知ってる家族、知人友人に囲まれ結婚式というおめでたい事柄を前に誰も言葉にしないけど、ちょっとした態度や対応からキムは疎外感をおぼえる、と
最初はそれでも幸せいっぱいな式になると思いきや、話の流れにつれてじょじょにキムのこれまでの行いや、家族たちの内面、その溝がくっきりしてくる

最近ではそう珍しくないですが、全編ホームビデオのような手ぶれありのドキュメンタリータッチな撮り方をしていて、それが本当に作品の雰囲気と合ってますね
知人と喧嘩したからあいつは悪い、家族のことを悪く言ったからそいつは悪だ、それでも奇跡的な団結力と愛ですべてが丸く収まる
そんなドラマティックな展開はいっさいなく、あくまでホームビデオ感そのままに、人物設定が「そういうキャラ設定だから、ぜったいこういう言動や行動はしない」ということ回避して、「そんなことをするような人には見えないけど、人間だものその場の感情でぶつかり合うさ」って感じで描いてます
リアルという言葉が当てはまるかどうか疑問はありますが、人間のままならない泥臭さはうまくでてると思いますね

そんな作風が逆にちょっと欠点にもなって、どうしても全編のっぺりした印象が強くなってしまい、しょうじき観ててだれるし飽きもくる
よその国のローカルな結婚式は新鮮ではあるけど、日本のちょっと奇抜さをプラスしたオーソドックスな式の様子を延々ながされたらげんなりするかもしれない
外国の見慣れない式の様子だけに耐えられた感はあります

そしてなによりおもしろいと思えるポイントはエンドロールにあります
そこで耳障りなほどに犬の鳴き声が曲中に割り込んでくるんですが、「え?なにか犬がキーワード的な意味があったのか?」と思わされます
そこから記憶をたどって作中のシーンを思い浮かべると、確かに要所要所で愛犬のプードルがさりげなく(?)でてくる場面がちょこちょこあるんですね
それでそれらのシーンの共通点ってなんだろうと考えていくと、個人的にひとつの答えが浮かんできて「そういうことか」と
もちろんそれが絶対のものって保証はないですし、特に深い意味はない雰囲気演出ととらえてもいいかもしれません

というわけで、けっこう人を選ぶ作品だと思いますが、はまればけっこうおもしろい映画だと思います
個人的にはヒロインよりお父さんの存在がすごくよかったですね
姉の言い分も妹の言い分も、父や母の言い分も知人友人の言い分もすべて分かるけど、それぞれがバラバラ
そこに善し悪しもなく、バラバラのようで根っこの部分はかろうじてつながってる、みたいなね
こういう作品はけっこう好きです

個人的評価:80点
オススメ度:愛情を求めたいじゃない




レイチェルの結婚 予告

2009年10月31日土曜日

10月のこれ一本

はい、もう10月も終わりですよ
さて明日に備えて寝るか
と、普通に思ってたら今月の一本を選ぶのを思い出して急にPCを立ち上げた、なんて恥ずかしくてぜったいここには書けませんね

そんなわけで、眠いから…じゃなくて、くどくどやるのもアレなんでてっとりばやくいっちゃうと、今月はやっぱり「スラムドッグ$ミリオネア」で決まりでしょう
ありきたりですけど、やっぱり世間様の評判通り普通に完成度が高い作品
エンディングのアレは人によっては「なんじゃそりゃ」って感じでしょうけど、個人的にはひじょうにバカっぽくてグッド
それ以外でも「引き出しの中のラブレター」は泣きたい時に見るには最適、「THIS IS IT」もマイケルのアンチじゃない人ならそれほど知らなくても十分に楽しめる作品でしたね

そんなことより、どうにも家で観る映画の本数が減ってるのはどうにかしたいな
ちょっと低くなってきた積みDVDタワーが再び高々と…

2009年10月30日金曜日

マイケル・ジャクソン THIS IS IT (2009/米)

監督:ケニー・オルテガ
出演:マイケル・ジャクソン


2009年夏、行われる予定だったマイケル・ジャクソンのライブパフォーマンス「THIS IS IT」
その本番に向けてのリハーサル映像と舞台裏にあわせて、MJの歌声が響く

個人的にマイケルというと、アホな子のワイドショー脳的なイメージで色物、スキャンル、奇行、過去の人、マイケル・ジャクソン(笑)みたいなところがありました
出演作品にしても「ネバーランディングストーリー」のエージェントMJ役くらいしかしらないですし
はっきりいってマイケルの楽曲なんてほとんど知らずに観たんですが、なんか分からないけどすっごいおもしろかった
というか、今までそんな色眼鏡で見てた自分を殴りたくなった

アーティストとしてのマイケルが描かれてるわけですが、その発想、情熱、歌声、人柄、こんなにすごい人だったんだなあと分かりましたね
構成的には楽曲リハーサルと舞台裏でできてるんですが、この「THIS IS IT」に関係ない映像は極力排除してあります
過去をさかのぼって「こんな人なんです」とか、評論家なんかの文化人にインタビューするのもありませんし、その死に関してもいっさいふれません
あくまでもこの舞台に関することのみで作られてます

しかも長い舞台裏の描写と、くどい関係者の裏話の合間にちょこちょこ歌が入る・・・のではなく、マイケルの歌がメインの合間にちょこちょこと舞台裏のシーンが入る感じ
こういう作りにしてみても本当にこの映画をやろうと思った作り手のマイケル愛はすごいなあ、と
未完成ながらも「おお!」と思えるダンスと仕掛け、映像とともにじっくりと楽曲を楽しめばいいじゃない的な感じ

作りも本当に丁寧でただ曲を垂れ流すだけでもなく、長々と舞台裏を見せるでもなく、ひじょうにバランスよく飽きさせないような構成で作られてる印象がありましたね
ただひとつだけ、仕方ないかもしれないですが、終盤がじゃっかん曲の垂れ流しぎみな感じになってる気がしたのは残念
まあ、最初からこんな映画を撮ろうと思って記録してたんじゃなく、本番を後々にソフト化した時の映像特典ていどの舞台裏の風景を撮ってるだけだったろうから、おのずと使えるカットが限られるんでしょうね
そこら辺の事情だと思うんだけど、だんだんと作り手の苦労がわかるくらいに仕方なくじゃっかん間延びしてるシーンがちらほら

シンプルに映画としてまとめるには映像ソースの足らない曲を削るしかない
でも、この曲は削りたくない
そんなジレンマがありつつも映像的にちょっと間延びしても曲をとったって感じ
しかし、ここまで作り手の心情とかがフィルムにのっかってる映画も珍しい気がしますね

そんな感じで、ファンはもちろん、自分と同じように色眼鏡でマイケルを見てた人も楽しめる、単なるつぎはぎ集金映画じゃなかった一本でした
ちなみに、帰りに普通にサントラ買いました
個人的に初マイケルCD購入

個人的評価:90点
オススメ度:怒ってるんじゃないよ。愛なんだ




マイケル・ジャクソン THIS IS IT 予告

2009年10月25日日曜日

沈まぬ太陽 (2009/日)

監督:若松節朗
出演:渡辺謙 / 三浦友和 / 松雪泰子 / 鈴木京香 / 石坂浩二 / 香川照之 / 木村多江 / 清水美沙 / 鶴田真由 / 柏原崇 / 戸田恵梨香 / 大杉漣 / 西村雅彦 / 柴俊夫 / 風間トオル / 山田辰夫 / 菅田俊 / 蟹江一平 / 桂南光 / 秋野暢子 / 松下奈緒 / 品川徹 / 矢島健一 / 田中健 / 渡辺いっけい / 小日向文世 / 神山繁 / 草笛光子 / 宇津井健 / 小林稔侍 / 加藤剛


まっすぐで信念を貫く不器用な男、恩地
国民航空に勤める彼に、墜落した航空機の遺族の世話係が言いつけられる

なにげに観にいったら3時間半とかびっくりする上映時間だったわけですが
きゅうきょ準備万端で鑑賞にのぞんだものの、やはりというかなんというか前半終わりで10分の休憩がありましたね
しかもトイレ休憩で外にでると、商魂たくましく入り口そばで飲食物を臨時で販売してるサービスぶり
なんてことは別にして、この映画は一言でいうと「微妙」というのが一番適切かもしれません

長い尺でありながら、いっさいだれることなくあっと言う間にラストまで観れます
役者陣もすっごい豪華で、それでいてそれぞれが役にマッチしてるんでまったく違和感なく観ていられます
内容的には前半が飛行機事故と遺族の話を軸に、航空会社のどろどろとした内情を主人公がこれまでうけてきた会社からの厳しい仕打ちを展開する感じ
後半は事故から会社を再建するために新しいトップとともに見初められた主人公が、旧体制派の妨害工作を受けながらも会社のためにがんばるみたいな

まじめすぎる一生懸命さが仇になって目の上のたんこぶ的な存在になってしまった主人公の連続海外赴任
会社の誠意ないころころとかわる態度、信じていた者の裏切り、家族を泣かせながらもそれでも「辞める」という「逃げ」の選択をしない主人公の男っぷりにはマジで共感できます
それゆえにナイロビ編の終盤の乱射シーンとかグッとくるものが
個人的には主人公のもっと感情的なところが見たかったんですが、あえてそういうことをしない生きざまもそれはそれで

そんな感じでひじょうに楽しめるこの作品なんですが、決定的な違和感があるんですよ
いいシーンにいい音楽、役者のたかぶり、とジーンとくる要素が満点な場面でも不思議と観てる方は「ふーん」的な感じで引いてる感情があるんですよね
それが最初から最後まで続きます
押さえた演技に押さえた演出の大人向け映画といえばそれまでですが、そんなことだけじゃすまない決定力のなさがある気がしますね
おもしろい、たしかにおもしろいけど、これっていうパンチ力がない

平均的におもしろい優等生作品ゆえに、逆に突き抜けたおもしろみがない
見る者の魂をもふるわせる有名アーティストの作品、そのレプリカを見てる感覚に似てるかもしれません
根本的なところは悪くない、けど「いいね」と思うその先に感じるものがない
ラストシーンも言わんとしてることはよく分かるし、これまでの展開を受けたゆえのその構成にも納得できるけど、びっくりするほど見終わった後の充足感がないのはどうか

さらに話的にも終盤に会社の二つの不正問題がでてくるんですが、いちおうの決着はしつつも、その決着の付き方がイマイチすっきりしない
差額の450万ドルうんぬんとか、実はこうしてこうなってこいつがアレしてとか、もっと大仰でもいいから、スパっと解決してほしかった
なんか途中の行程をすっとばして解決してる気がしたもので
あとは主人公の海外赴任エピソードで、もっと現地人となかよくなる課程もあった方がよかった気がしないでもなかったですね

というわけで、結局のところ「おもしろいテレビドラマスペシャルだったなあ」という印象な一本でした

個人的評価:60点
オススメ度:わざわざ映画でやる意味があったのかどうか




沈まぬ太陽 予告

2009年10月23日金曜日

引き出しの中のラブレター (2009/日)

監督:三城真一
出演:常盤貴子 / 林遣都 / 中島知子 / 岩尾望 / 竹財輝之助 / 萩原聖人 / 本上まなみ / 吹越満 / 六平直政 / 水沢奈子 / 伊東四朗 / 片岡鶴太郎 / 西郷輝彦 / 豊原功補 / 八千草薫 / 仲代達矢


東京のFM局でパーソナリティをつとめる真生(まお)
自身も悩みを抱えながらも番組に寄せられた悩みに台本通りに答えていく中、今日も一通の相談の手紙が届く

この「引き出しの中のラブレター」ってかなりタイトルで損してるなあ
自分も最初は照れて言葉にできない男女間のちょっといい話を、ラジオ番組で紹介する形式でオムニバスにやっていく内容だと思ってましたね
というか、ふつうこのタイトルならそう思っても不思議じゃない気がしないでもない
でも実際は、そんな若者むけなイチャイチャチュッチュなラブロマンスじゃなく、どっちかといえばビジネスマン向けないやし映画ですね

内容的には親と子の愛みたいな感じで、おじいちゃんと父親の確執に悩む息子のエピソードを軸に、ヒロインの真生が自分の悩みとも四苦八苦しながら前に進んでいくみたいな感じ
さらにラジオ番組を聞いてくれている悩みを抱えたリスナーたちのエピソードをちりばめ、じょじょにすべてがつながっていくという作り
とにかく泣かせることに特化した日本人向けの泣き映画
「私の中のあなた」も泣けんことはないが、当然といえば当然だけどやっぱり邦画の役者の演技、言葉、間、音楽には「泣き」の一点ではこっちの方が上

各エピソードもすっごいストレートで分かりやすい良い話だけど、ちょっとだけ変化球があって楽しい
そんなちょっとした変化球があるなしではマジでこの映画の評価は変わったかもしれません
全体的に丁寧に作られてる印象で、「泣かせ」の演出もすっごい気持ちよく泣かせてくれる
泣かせシーンも連続というより、ちゃんとタイミングと間隔が計算し尽くされてる感じで、中盤あたりからポツポツといい感じで泣かせシーンが入るのがいい
クライマックス一発勝負の泣き映画とはちょっと違いましたね

ヒロイン系や函館エピソードもいいんですが、個人的には妊婦エピソードが一番よかったかな
かなりご都合主義の展開だけど、そこはそこで映画として楽しめばいいじゃない、と
母親と娘の関係ってしょうじき経験として知らないけど、こういう母親、娘、孫とつながっていく様子は見ててほほえましいですね
あとはボンボンのエピソードで、医者でありながら結婚相手に悩み、スーツ姿で橋の欄干から叫ぶシーンは、後々にいきてて「このシーンは、そういうことだったのか」と終盤で分かるわけです
個人的に、何気ない演出が実はあとで「あの時のアレにはこんな意味があったのか」という作りは大好きですね

そしてクライマックスもかなり好みな展開
おじいちゃんの話のまとめ方がほんとにいいわあ
不器用なおじいちゃんの言動、行動が日本人的にジーンとこざるえない
こんな感情がおとろえたおっさんが見ても良い話だと感じるんだから、よくできてるなあと

でもオムニバス風ってことで、やはり全部が全部いいなあ、と思えないところもあるにはあります
タクシーの運転手エピソードがちょっと個人的にはイマイチ
運ちゃんの話のまとめで流れる曲は良い曲だけど、じゃっかん気持ちが盛り上がらない
まあ、エピローグの「きちゃった」からして、この運ちゃん関係はわざと軽いコメディタッチに描いてるんでしょうが
それとは別に函館話のお父さんの泣きシーンがどうも個人的にぐっとこなかったですね
なんというか、ダメな泣き映画の典型を見てる感じがして

と、この秋の新作映画ラッシュの中、配給会社のCM合戦からみても話題作の陰に隠れてるこの映画ですが、そんな話題作よりも実は地味におもしろい作品な気がしました
かなり秋にゆったりと観るのに最適な一本でしたね

個人的評価:80点
おすすめ度:みんなハッピー、これでいい




引き出しの中のラブレター 予告

2009年10月20日火曜日

ヴァンパイア侍 (2005/米)

監督:ジェフ・センタウリ / サイモン・センタウリ
出演:ショナ・ジェイソン / エイドリアン・ズメッド / ジェームズ・リュー / ローレンス・ドンズ


戦国時代の日本、西洋から攻めてきたヴァンパイア軍によって血を吸われてしまった女、シラ
しかしシラは完全に吸血鬼化するまえに切腹、その結果、人と吸血鬼の中間的な存在として彼女は蘇り、ヴァンパイアを滅ぼすための剣技を学ぶのだった

いやしのクソ映画って人として必要だと思うんだ、僕
そんなわけで誰が見てもB級の底辺に位置するのが分かりやすいほどにわかるタイトルの「ヴァンパイア侍」です
米国人たちの侍・忍者に対する誇大妄想は毎度のことながら頭が下がるが、しょうじきそんな勘違いっぷりが素敵で大好きだ

ヒロインのシラ役の人はよく知らんけど、どうひいき目に見てもおばちゃんすぎるだろ
まあ、セクシーっちゃあセクシーな体してるけど、おばちゃんであることは否定できない
いや、ほら、もっと若いヤングな美少女レディ的なのをヒロインにするのが王道だろ
というか、B級映画の鉄則として、登場人物の一人(主にヒロイン)は必ずナイスバディで場違いなほどきれいなおねえちゃんを起用するってのを忘れてはいけないだろ、と
それはそれとして、そんなヒロイン以外の登場人物もみごとなまでに華がなさすぎて、「ああ、今、おれB級映画見てるなあ」と心にしみます

展開的には現代のロサンゼルスで不死の体ゆえにずっと戦い続けてきたシラが、過去の出来事を途中にはさみながら、敵のボスにせまっていくという感じ
クソ映画のわりにはほどほどの脚本だとは思うけど、こんなのをよしとする自分の感性に疑問を持った方がいいかもしれないと自己啓発
冒頭からシラが通りすがりに雑魚ヴァンパイアを片づけ、そいつらがもっていた手がかりからとあるナイトクラブに潜入するんですが、いきなりそこが敵の本拠地で普通にラスボスが出てきた時は画期的というか、底の浅さに感心した
さすがにいったん退却してそこで話は終わらないですけどね

過去話をはさみつつ、ヴァンパイア化してしまったシラの剣術の師匠と対決したりと丁寧なのか時間稼ぎなのか、おそらく後者だろう話の運びは嫌いじゃないですね
というか、なんで過去に死んだシラのダンナを現代で再登場させなかったのか疑問でしかたない
とうぜんヴァンパイア化しながらも、影ながらシラを見守り続けていたダンナがピンチの場面でさっそうと忍者スタイルで現れると信じてたのに
そんな細かい所で残念な部分はありますが、おまえはいったいこの映画に何を期待しているんだと言われればそれまでな話

で、まあ、いろいろあって、ラスボスがシラの人とヴァンパイアの中間的存在であるところに目をつけて、シラに自分の子供を産ませて昼間でも活動できるヴァンパイア「デイウォーカー」を作り出そうとするんですね
結局、ラスボスはシラをレイプして腹から受精卵を摘出、人工育成器で目的を達そうとしてた所を、シラとの気怠いラストバトルを繰り広げつつあっさりと陽の光で昇天&エンド
ていうか、全体的に殺陣があまりにひどすぎて笑えるレベルにも達してないのはどうか
マジで子供のお遊戯レベルの殺陣に「もうちょっと本気だそうぜ!」と言わざるえない
でも終盤に出てくるラスボスの部下の赤コートの動きはプロですね
赤コートの人だけ別次元と思える動きで驚いた
たぶん、言うほどすごい動きじゃないけど、周りがひどすぎるから上手く見えたがけだと思うけどね!

そんなこんなで平日の夜ははまったりとクソ映画にかぎりますね
ちなみにここでいうクソ映画は褒め言葉的な意味です
頭から尻尾までゆるぎない信念をもって貫いている本物の尊敬すべきクソ映画
「クヒオ大佐」のようなクソ映画というは別の存在です

個人的評価:40点
オススメ度:がんばるおばちゃん、乳も見せるよ!




ヴァンパイア侍 予告

2009年10月16日金曜日

クヒオ大佐 (2009/日)

監督:吉田大八
出演:堺雅人 / 松雪泰子 / 満島ひかり / 中村優子 / 新井浩文 / 児嶋一哉 / 高橋幸一 / 内野聖陽 / 大河内浩 / 品川徹 / 古舘寛治 / 石川真希


自称米国海軍所属のパイロット、ジョナサン・エリザベス・クヒオ大佐
どう見ても日本人の謎の男クヒオ大佐は、次々と心のすきがある女性に近づいていくのだった

コメディ大好きな自分としてはかなり期待して観にいった作品
でも、なんというか、もうこのさいだからいきなりネタバレしていくけど、クヒオ大佐は実は詐欺師じゃなく、女性たちも騙されながらも最後はみんなハッピーになる・・・なんて映画じゃねえから、これ
結婚詐欺してるように見えて、実は内に隠した目的のために行動する裏のある詐欺師クヒオ大佐
というのを期待してたし、冒頭から単なる詐欺映画じゃないかもと思わせといて、実際は普通のどうしようもない結婚詐欺師でしかなかった現実
ある意味で観てて裏切られたわ

いや、でもこれかなり名作になる要素を秘めてるだけに、マジでもうちょっとクヒオ大佐の正体関連をひねれなかったものか
「アフタースクール」みたいに観てる方を心地よくミスリードしつつ、「え?単なる詐欺師じゃないの?」という展開がほしかった・・・かなり切実に
それができないなら、もっと馬鹿馬鹿しさに特化した、軽いコメディ作品にすべきかと思うんですが
中途半端に思わせぶりな作りで、さすがに裏になにかあるだろうと思わせる展開しておいてこれだ
そこがこの作品の狙い目だったのかもしれないが、やっちゃいけない裏切りと感じましたね

最初からこんなきつく言うのも、ラストのオチ以外が本当におもしろかったからです
間やテンポ、笑いどころ、なるほどと思うところ、シリアスに展開するところ、すべてにおいてバランスがよくて、かなり上質なコメディなんですよね
特にクヒオ大佐の正体がうっかりバレぎみになった中盤からが本当におもしろい
なんだかつかみ所のないクヒオ大佐の行動やリアクション、背筋を伸ばして後ろ手を組む「大佐ポーズ」も素敵すぎる
特に全裸で大佐ポーズとか、最初の腕立てもどきとか、電話とか待ち合わせの繰り返しネタとか笑いっぱなし

ラストもクヒオ大佐の生い立ち語り、そこから心中までの流れはよかったんですが、最後の最後で「は?」って言うしかないおいてけぼりの一連の流れがすべて台無しに
というか第一部とかもっと関わってこいよ、と
けっこうコメディに関しては許容できる私ですが、さすがにこのラストの流れはみんな怒っていいレベル
それまで良作の展開だったのに、いっきに凡作以下に落としたオチの付け方は最悪としか言いようがないですね

原作があるんだかなんだか知らないけど、ここまで期待を裏切られたのは久しぶりでした

個人的評価:30点
おすすめ度:こんな映画のことは忘れて空でも見るか




クヒオ大佐 予告

ヴィヨンの妻 桜桃とタンポポ (2009/日)

監督:根岸吉太郎
出演:松たか子 / 浅野忠信 / 室井滋 / 伊武雅刀 / 広末涼子 / 妻夫木聡 / 堤真一


ある日、作家で夫の大谷が盗みを働いた
貧乏暮らしをしていたその妻は、逃げた夫に代わり返済を約束するのだが

たまには文学おっさんを気取る感じでいってみようか
とかよこしまなにわかインテリポーズで観てきたわけですが
予想以上におもしろかったですね
文学小説とか国語の授業でより抜きで読んだ程度の知識ですが、映画全体的に言葉遣いから雰囲気から「いかにも文学っぽい」臭いがしてきます

だけど、そんな現代ドラマでは古くさい世界観、言い回しが新鮮に響いてきていい感じに
ただそれっぽい感じに作った雰囲気だけの上辺作品じゃなく、けっこう全体的に違和感がないというか、ファンタジー的な意味でしっくりきてますね

でてくる人物たちも古くさくて粗雑で大ざっぱで、それでいて下卑すぎない心暖かさをもった、下町人情あふれる人たちみたいな感じで作品が変な上品さをもってます
ヒロインの大谷の妻であるさちも、ダメ人間の夫を支える強い女という単純なキャラではなく、おしとやかさも艶やかさもひょうきんさも醜さもある血の通ったひとりの人間としてよく描かれていると思いました
しょうじき、夫の大谷もそう単純なキャラではなく、現代ドラマを見てる人ほど「そこでそういうことするの?」みたいな行動をとってくれて、それが不思議な魅力になってますね

内容的には生きていたくないけど、死にたくもない夫が起こす出来事の後始末を妻がしていくって感じ
作品の中からなにか意味を見いだそうと思えばできるかもしれませんが、もっと単純に雰囲気だけを楽しめばいいかもしれません
それだけでも十分におもしろいですし

そんな登場人物の中でも夫の愛人役の広末涼子は個人的にはまり役だった気がしてならない
びっくりするほど悪女ですが、男として魅力を感じずにはいられないというか小悪魔的で素敵です
あとは小料理屋の夫婦しかり、けっこう脇も雰囲気を壊さないいい感じのキャスティングだったかもしれません
なんて、ふだんあまり語らない役者のことうんぬんいうのも、ぶっちゃけ感想とか書きづらい映画なんですよね
マジで雰囲気映画って、それ以上とくに言うことないから困る
古株の夫婦とかそろって見に行ったら、また別のおもしろさが感じられるかもしれませんが

それはそれとして、けっこういい感じで楽しめていたこの作品ですが、ちょっとラストが弱い気がしてなりませんでした
言わんとしてることはわかるけど、まったく心に響いてこないというか、言葉に重みが感じられないというか
ちょっと気取りすぎで、「とか、言ってみました」感がしてしまうのは私だけでしょうか
もうちょっと泥臭いか、ひねった終わり方でもよかったと個人的には思いましたね
これって、結局、どういう終わらせ方するんだろう、と期待してたら「え?終わり?」みたいな印象

そんなわけで、おもしろいのはおもしろいが、別にとりわけ好んで見るほどのもんじゃなく、機会があったらそのときに見るくらいの感覚のおもしろさでした

個人的評価:70点
おすすめ度:人非人でもいいじゃない




ヴィヨンの妻 桜桃とタンポポ 予告

2009年10月11日日曜日

カイジ(2009/日)

監督:佐藤東弥
出演:藤原竜也 / 天海祐希 / 香川照之 / 山本太郎 / 光石研 / 松山ケンイチ / 松尾スズキ / 佐藤慶


連帯保証人を引き受けた友人が失踪したため、高額の借金を背負うことになった伊藤開司
返すあてのない開司は、金融会社の社長から借金帳消しになるゲームの紹介を受ける

見る前からかなりの腐臭がしてて、ぜったい原作マンガ持ちの映画化としてだれた内容になってるだろ
と、思ってた過去の自分を叱ってやりたいですね
これは一本の映画としてけっこうよくできてます
しょうじきディープなカイジ好きな人にとっては物足りないデキかもしれませんが、そこはマイナス要因にはなりません
小説には小説の、マンガにはマンガの、アニメにはアニメの、映画には映画の作り方ってのがあって、「マンガはこうなのに、なんで映画だとああなんだよ。クソ映画だろ」という意見ももっともだけど、それとは別にして「映画として」ちょっと客観的にも見てみようよ、と
そういう意味で「映画として」はわりとよくできてる作品

冒頭から借金帳消しゲームに参加するまでの流れが非常にテンポよく、さっさと本題に入れよというツッコミをいれるまもなくゲームが始まります
そのゲーム、限られたカードにかかれた手札でジャンケンをする「限定ジャンケン」はびっくりするほどあっさり終わり、物足りなさは残るものの実はそこからが本編の始まりなんですね
いわば「限定ジャンケン」は物語のつかみにすぎない
原作マンガのような単純のようで実はかなりのかけひきが重要になる、なんてこともなく必要最低限のカイジというキャラを説明するためだけに徹しています

そんな「限定ジャンケン」なんかも原作マニアからすれば「原作レイプ」と言われるかもしれませんが、個人的にはこれでいいと思いますね
つべこべ言う奴は原作を後生大事に読んでろ、ファッキュー・・・すみません、ちょっと取り乱してました
で、その後の展開は詳しく書きませんが「ビールうめえ!」な円の10分の1の価値しかないアレの展開から、ビルの屋上で第二のゲームが始まります

個人的にはこの第二のゲームの必要性は分かるけど、やっぱりなんかリアルさが薄いというか、危機感があまり感じられなかったかなあ
危険な状況なのに握った手を突き放しても大丈夫だったり、延々と語り合ったり、あげくに全身で力一杯さけんだり、さすがにそりゃないだろうって感じ
でも、ゲームの内容はともかく、このゲームもきちんと本編を進める大事な要素のひとつになってるのも事実
カードゲームばかりで地味だから、ちょっと派手なの入れておこうぜ、って単純な展開じゃない

で、クライマックスですが、これもゲームの内容がイマイチ
というかケリの付き方がみえみえすぎて、ちょっと食いたらない
それでも作り手もそこはじゅうぶん承知で、ギリギリで退屈にならない演出はしてるんで、ダメだこりゃな感じはしないですが
個人的にそんな作り手の「自分たちのことをわかってる」感がとっても良い印象なんですよね
原作につぶされず、迷わされず、ちゃんと「映画」を作ってる姿勢は、最近の原作持ちの作品にしては珍しいと思います

キャラ的にはやっぱり利根川さんが素敵すぎてたまらない
大物っぽく見えてひどく小物な利根川さんの言葉、表情、しぐさがいちいち素敵
カイジの描き方もなまじヒーローになりすぎないように、押さえてたのはよかったですね
こういう映画ではキャラ設定とか作品の雰囲気を無視して、終盤にはダメ人間が超絶ヒーロー化して、そりゃねえよと萎えるのがお約束ですが、この映画のカイジの描き方はよくできてました

ということで、全体的に勝負のかけひきやトリックといった面はかなり薄味にできてます
変わりに有名な原作の映画化でありながら、原作知識がいっさいなくても楽しめる一本の映画としては上々な作り
じゃっかんライトな客層を狙ってる感じで、ダークさや痛さは極力排除して軽く観ていられるエンタテイメント作品といったふう
それって「カイジ」じゃないじゃん、と思ったり原作に根深い思い入れがある人はさけた方がいいかもしれませんね
いちお個人的には原作単行本をリアルタイムで追って楽しんでましたが、この作品も見終わってみると別にそんなに拒絶反応はありませんでした
さすがに実写で「ざわざわ」は吹きそうになりましたが

んで、こう書いてくると、一本の映画としてすっごい面白い作品かと思われるかもしれませんが、別にそうでもないのも事実
原作持ちの映画化にしてはよくできてる、って思うだけですので
個人的には、まあ、映画としてはクソをかすめる感じの普通な内容といった感想でひとつ
それでも最後まで退屈せずに見れたのは大きいかも

個人的評価:70点
オススメ度:カイジ独り言を口にだしすぎだろ




カイジ 予告

2009年10月9日金曜日

ワイルドスピード MAX (2009/米)

監督:ジャスティン・リン
出演:ヴィン・ディーゼル / ポール・ウォーカー / ミシェル・ロドリゲス / ジョーダナ・ブリュースター / ジョン・オーティス / ラズ・アロンソ / ガル・ギャドット / テゴ・カルデロン / ドン・オマール / シェー・ウィガム / ライザ・ラピラ / ジャック・コンレイ / サン・カン / マーサ・ミシェル / グレッグ・サイプス / ロン・ユアン / アレハンドロ・パチーノ


ロスでFBIに身をおいていたブライアン
そこへ仲間を殺され復讐のためにドミニクが戻ってきた

そんなわけで連日の一人ワイルドスピード祭りの最終章
うーん、なんというか、ダメだこりゃって感じでしたね
完全な1の正統続編な作りで、シリーズの中で一番シリアス展開・・・というか全編シリアスな流れ
でも、ストーリーは今まで通りのアレなままなんで、そこをシリアスにドラマパートを強調したって逆に痛いだけでしかない

なにより予告を見て「お、これは面白そう」と思ったシーンがすべて冒頭で消化された時点で「あれ?ちょっとやばい臭いがしてきたぞ」と思いましたね
そんな風で、とりあえず作品としてのつかみはよくできてます
3の主人公はでてこなかったけど、それでもちゃんと3とのつながりも描いてました
しかし、ドムは1でああなったのに、まったく成長していないっぷりがどうかなあ、と
冒頭でドムが1のあるシーンを踏襲した感じで現れるんですが、そこはほら、同じようで実はあの頃とは違うって演出が見たかった

そこからブライアンの現状が描かれて、二人のエピソードが交錯していって通りを閉鎖しないリアルストリートレースのシーンまでは丁寧に描かれていて楽しめました
マジでいままでのシリーズの集大成だなあって感じで面白かった
だけど大人になって軽口もたたかないドムとブライアン、お互いにむっつりしてるだけでちょっとした笑いの要素もないのはどうかと
どんなに気張ってもストーリーは相変わらずクソなんだから、もっとB級の軽いノリは残しておいてほしかった

ラスボスは終盤までベールに隠されてるんですが、正体というかそのキャラがあんまりに魅力がなくってがっかり
しかも特に見せ場もないままにケリはついちゃうし、その後のクライマックスともいえるカーチェイスも、敵に魅力がない上に暗くて地味
見ててどんどんパワーダウンしていってるが分かりましたね
どう考えても冒頭のシーンが一番力入ってて面白かった

そして、個人的にもっともダメだなと思ったのは、終わり方ですね
さすがにそこで終わっちゃいけねえよ、と言わざるえない
そこはもっと最後までやりきって、そっから先は見てる側に放り投げてもよかったんじゃないでしょうか
さすがに消化不良すぎる

と、ワイルドスピード鑑賞も最後の最後で一気にテンションが落ちた残念な結果に
いや、この4もホントに途中までは楽しめたんだけど、さすがにこれはないわ
個人的に一番ダメな部類に入る「作品として本気で作ったものの、デキががっかり」映画でしたね
ワイルドスピードらしく、もっと肩の力を抜いて作ってほしかった

個人的評価:50点
おすすめ度:MAXの意味が分からない




ワイルドスピードMAX 予告

私の中のあなた (2009/米)

監督:ニック・カサヴェテス
出演:キャメロン・ディアス / アビゲイル・ブレスリン / アレック・ボールドウィン / ジェイソン・パトリック / ソフィア・ヴァシリーヴァ / ジョーン・キューザック / ヘザー・ウォールクィスト / トーマス・デッカー / エヴァン・エリングソン / デイヴィッド・ソーントン


白血病の姉を救うために生まれた適合率100%の試験管ベイビーの妹、アナ
ある日、成長したアナは両親を相手にドナーとして生きることを拒絶する裁判をおこすのだった

予告編を見たときに、変わった闘病映画だなあと思ってたので、観ようと思ってた作品ですね
姉のために生まれてすぐ「姉を救うため」という大義名分のもとに予備パーツとして扱われ、幼く両親の保護の元にあるゆえに苦言さえ言えない苦痛の日々
そんないい感じの家族の下にあるどろどろとした感情劇・・・かと思ったら、そうでもなかったですね

あまり言うとネタバレになる・・・とは言え、途中でおもいっきりオチが分かるんで、そうもったいぶるようなことじゃないですが、本当にぎくしゃくしていく家庭の崩壊っぷりを描いた作品じゃないんですね
それどころか、意見の衝突や看病生活からくるいらつきの積み重なりの爆発、そこに幼いアナから訴えられるというハプニング、そんな中であっても「別に家族や特定の人を憎んでいる」なんてことはけっしてない
それどころかそんないざこざがありながらも、ホントに家族としての最低限の昨日は失っていないんですね

そんな家族の描写がなんか引っかかって、「いや、まあ、分かるけど、それってどうなん」と思うこともある
だけど、とりあえずはちゃんと最後はすっきりするからよかった
うたい文句通り、家族っていいなあ・・・と思える内容でしたね
家族以外にも出てくる登場人物がみんな良い人で、重いテーマを扱ってるけど、けっこう暖かい内容になってます

ちょっとアレかなと思う点は、時間軸がけっこういったりきたりするんですが、じゃっかんわかりづらい所がありますね
もうちょっとシンプルな話の流れでもよかったきがしました
あとはドナーとして作られた人間であるヒロインが、その設定をあんまりいかされてないような?そうでもないような
もうひとつは個人的に泣けるシーンはいくつかあったんですが、なんとも完全になかせてくれる間が足りないのが気になりましたね
もうちょっと余韻にひたって泣きたいのに、なんかすぐに次のシーンに移ってしまって「おい、泣かせろよ」と何度か思いました

こういった娘さんが病気になる映画では珍しく(?)、母親が憎まれ役になるってのは個人的に意外でしたね
反面、父親がすっごい物わかりが良くて、娘達に信頼されてるというのもまた珍しい
たいがいは最終的に母性の勝利っていう流れにもっていって、お父さんは分かってないなあというパターンがよくあるものだと思ってたので
ビーチのくだりとかお父ちゃん、あんた男やでと拍手したくなりますね

そんなわけで、妹が両親を訴えるというインパクト以外はけっこう薄味な気がする、それでも家族の暖かさはちゃんと感じられるよって作品でした

個人的評価:80点
おすすめ度:ジャッジはバカ犬か、それとも主人を思っての演技だったのか




私の中のあなた 予告

2009年10月8日木曜日

ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT (2006/米)

監督:ジャスティン・リン
出演:ルーカス・ブラック / バウ・ワウ / ナタリー・ケリー / ブライアン・ティー / サン・カン / レオナルド・ナム / ブライアン・グッドマン / 千葉真一 / ザカリー・タイ・ブライアン / ニッキー・グリフィン / ジェイソン・J・トビン / 北川景子 / リンダ・ボイド / ヴィンセント・ラレスカ / 妻夫木聡


無謀運転を繰り返し、そのつどアメリカを転々としていた少年ショーン
とうとう国内にすら居場所がなくなり、少年院か父親のいる日本か選択がせまられる

そんなこんなでワイルドスピード過去作もこれですべて
なんか世間的にこの3が一番評判悪いみたいですが、個人的には一番楽しめましたね
勘違いされてる日本、どうみても中華な方面のアジアな人にしか見えない登場人物、ガイジンの学ラン姿…とっても素敵なB級要素盛りだくさんですね
一般的にはそんな所がマイナス要因になってると思うんですが、そこばかりに目をやらずにちゃんと全体を見れば、1よりカーアクションは多め、2よりドラマ性はあるって感じでちょうどいい具合な作りにはなってると思います
まあ、それでもストーリーは相変わらず「どうでもいい」感じで、内容も少年マンガ的な青春チンピラストーリーですが

せっかく東京がメインになってるのに、主人公の取り巻きが外国人ばかりでなんともいえない
もうちょっと、こう豆腐屋の息子みたいのと仲良くなって、ドリフト技術を習得するみたいなイベントがあってもいいと思うんですがダメですか
本編でもショーンが「ドリフトってなんだよ」みたいなことを言うんですが、ガチでドリフトとか日本でもてはやされてるだけの技術なんですかね
たしかに非効率的な感じはしますが、狭くごみごみした場所をせせこましく走るより、見栄え重視ですべってぬっていく方がかっこいいじゃない
そんな感じで、作中でもホントにドリフトシーンがスピード感あって見てて楽しい
前作までがパワーバトルで、今作は本当に曲芸バトルって感じですね

主人公が交代し、見ず知らずの土地で、しかもドリフトとかやったことない技術を習得していくって流れがあるので、話的にもちゃんと内容に入り込めるようにはなってます
2みたいにバカやって走ってたら終わってた、というのもいいですが、主人公がみんなできることができない状態から、じょじょに巻き返していくという少年マンガの王道展開もいいもんです

アメリカ時代の粗野で自己中でどうしようもないクレイジーな主人公が、日本にきてなんで急におとなしい物腰の柔らかい人間になっちゃったのか不思議でなりません
まあ、それでも日本にきても自分勝手な所は多々ありますが
そんな中でも個人的にどうにもなんだかなあ、と思う点がひとつ
ヤクザってそんな優しい人たちじゃない気がするんですよね
ある意味で面子をつぶされてるのに、その相手を自由にするとか考えられないです
なんて、そこ以外にももっとつっこむべき所はいっぱいあるだろ、と言われそうですが個人的に大まか他のところは許せる…というかB級的に楽しめました

あとはラストね
まさかあの人が出てくるとは思わなかった
それはそれとして、結局のところこのシリーズは2が1の外伝、3が1のスピンオフといった感じなんでしょうか
ぶっちゃけ通して見たものの、4に向けてテンション上げるつもりだったけど、各作品が「つまらなくはないけど、そうはしゃげるほどおもしろくもない」という微妙な評価で困る
もちろん4には3の主人公もでてくるんだろうな
けっこう魅力ある人物なんで、でてこないと許さないよ

個人的評価:70点
オススメ度:「セット」の女の子は脱力系




ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT 予告

2009年10月7日水曜日

ワイルド・スピードX2 (2003/米・独)

監督:ジョン・シングルトン
出演:ポール・ウォーカー / タイリース・ギブソン / コール・ハウザー / エヴァ・メンデス / リュダクリス / デヴォン青木


ロス市警を辞め、マイアミでストリートレーサーになっていたブライアン
ある日、レース中に警察に捕まったブライアンは過去の罪状をチャラにするかわりに潜入捜査の協力をもちかけられる

ワイルドスピード講座第二回目
いやあ、これですよ、これ
ワイルドスピードって映画の第一印象として、こんな作品だろうなあって思ってたものがすべてありましたね
1に比べてとにかくカーアクションが増え、とりあえず物事はすべて「走りで話をつけようか」な頭からっぽ展開が素敵すぎる
しょうじき映画的には1の方が完成度は高い
でも、2のこのB級っぷりが個人的にはたまらんのですよ

新キャラとしてはっちゃけ黒人のローマンがでてくるんですが、最初は「あれ?ドムは?」と思いもしましたが、このロームもいい味だしててよかったですね
ちょっとブライアンがただのクレイジー野郎に成り下がってたのがアレですが、まあ許容範囲内
とにかくロームのキャラが個人的にツボにはいって、すごい気に入りましたね
いいわあ、こういう友だちほしいわあ

で、今回のストーリーなんですが、一言でいうと「ストーリー?なにそれ?おいしい?」ってくらいにないに等しい
人物の感情の起伏や、人間関係のドラマ、そんなもんはクソ食らえ
とにかくいっぱい車が走ってればいいじゃん。面白いじゃん
そんなノリのクソB級映画
まさに楽しんだもん勝ちな内容で、冷静なツッコミを入れる人には向いてないかと

まあ、それでもさすがにこのストーリーは幼稚すぎないか、と所々おもう部分もあります
あとは登場キャラがことごとく薄味で、ふかく描かれないんで最後まで見ても「で、おまえはどういうキャラなんだ」というヤツもちらほら
内容もちょっとライトすぎる気がして、もうちょっと重いところがあってもなあ、と
それでもブライアンとロームの友情っぷりはいいですね
二人の友情をからめて、1の最後のブライアンの行動の意味もさらっと語られますが、それでも個人的には納得できなかったです

そんなわけで、2にして速くも超B級…いやクソB級映画になったわけですが、B級耐性がある人は1より楽しめるのは確かです
ちょっと退屈でも普通の作品が見たいって人はおとなしく1でリタイアするのが正しい選択かもしれません

個人的評価:60点
オススメ度:CGのチープさは大目にみましょう




ワイルドスピードX2 予告

2009年10月6日火曜日

ワイルド・スピード (2001/米)

監督:ロブ・コーエン
出演:ポール・ウォーカー / ヴィン・ディーゼル / ジョーダナ・ブリュースター / ミシェル・ロドリゲス / リック・ユーン / マイク・ホワイト / ボー・ホールデン / チャド・リンドバーグ / ジョニー・ストロング / マット・シュルツ


400mの直線を全速で走りきるカーレースゼロヨンのカリスマ、ドミニク
そんな彼に近づき挑戦する男、ブライアンにはある理由があった

4(MAX)を観にいくまえに過去作を予習しといた方がいいんじゃないか?ということで視聴
このシリーズにかぎらず、けっこう有名作品はスルーしてるのが多いから困る
それにしてもトランスポーター3、湾岸ミッドナイト、ワイルドスピードMAXと車系の作品が続きますね
個人的には車の知識は皆無、というか車種すらろくに知らない車愛のない輩ですが、でもこういう走りの迫力を追求する作品は好物のひとつです
迫力があれば別に車じゃなくても、他の乗り物でもOK
「トルク」とかもアホっぽくて好きです

で、観てみて意外だったのが、これってレースものの映画じゃなく、普通に刑事ものだったのねという事実
シリーズ重ねてるし、今さらネタバレってほどじゃないと思うんで言っちゃいますが、潜入捜査官であるブライアンの捜査パートがメインでしたね
もっとレースとかバリバリあって、市街地とかびゅんびゅん走るのかと思ってたんですが
それにレースもゼロヨンなんで、ぶっちゃけコーナリングとか、対向車をぬって走るとかもない、ただまっすぐにスピードまかせに走るだけという
よく知らないけど、こういう感じのレースって結局はマシンに金かけてるやつが一番速いんじゃないのかと思わざるえない

そしてドミニクやその仲間たち、良い関係になったドミニクの妹とじょじょに友情愛情を深めていきつつ、警官であることを隠して捜査も進めていかざるえないというジレンマ
そこらへんを楽しむ映画なんですが、こういった内容だとラストに捜査対象である真犯人をドミニクとブライアンが友情パワーでこらしめる、ってのが定石だと思うんです
そんな変な思い込みがあったからこそ、事件の真相は個人的に「あ、そうくるんだ」って感じでしたね

最後のオチも、ブライアンの気持ちは分からんでもないけど、ブライアンの最後の行動とか「えー、それってちょっとどうなん…」な印象が
「ミーシャ」や「スラムドッグ~」の主人公みたいに生きるためにしかたなくやってる罪なら、見ててもそう違和感はないんですけど…
さすがに自分の趣向のためにやったことのツケくらい精算させようぜ

そんなわけで、まあ、深く考えずに楽しめればいい着飾るのが好きな男の子向き映画って感じでしょうか
作品じたいは悪くはないけど、冷静に考えるとどうしてもね

個人的評価:60点
オススメ度:私欲の犯罪はダメ




ワイルドスピード 予告

スラムドッグ$ミリオネア (2008/英)

監督:ダニー・ボイル
出演:デヴ・パテル / マドゥール・ミタル / フリーダ・ピント / アニル・カプール / イルファン・カーン / サウラーブ・シュクラ / ラージ・ズツィ / マネシュ・マンジレカル / ヒマンシュ・チャギ


スラムで育った教養のない少年、ジャマール
クイズに答え進めることで大金を手にできる番組に参加した彼は、順調に賞金を獲得していくもののその育ちからイカサマ嫌疑をかけられる

世間一般的に面白い、特にアカデミー賞関連の作品ってのはどうも個人的に合わないのが多いんですが、これは違いましたね
いやあ、マジで面白いッスわ
もうね、発売間近のBDも買わせていただきます
話のテンポ、音楽、映像演出、最高と言わざるえない
もっとしんみりでねっとりした話で、貧しい生まれの主人公をねちねちいたぶって、「ほら、かわいそうでしょ?ん?感動してもいいんだよ?」みたいな内容かと思ったけどちがいましたね

スラム育ちの隠れた天才少年が、逆境の日々を堪え忍びながらたくましく暮らし、ある日、ひょんなことから参加した番組であれよあれよと勝ち進む・・・そんな話だと思ってた時期が僕にもありました
実際の内容はかなり良い意味で裏切られた感じの展開でしたね
出題された問題に対し、それまでに経験した辛く楽しい思い出と経験の中から答えを出すんですね
大まかには出題→答えに対する過去のエピソード→回答みたいな流れですね

そのひとつひとつのエピソードが物足りないほど短くもなく、だれるほど長くもなく、それでいてそれぞれのエピソードに力がある
「ミーシャ」に期待してて、見たいと思っていたものがまんまこの映画の中にありました
かなり辛い思いをしながら、見てる方が暗澹たる気分にならないような軽すぎない軽さで、前向きに楽しめるようにエンタテイメント性が強くなってます

画的にもセンスがいい感じで撮ってるんですが、個人的にじゃっかん気取りすぎかなあと思うところもありましたね
お兄ちゃんのケリの付け方とか、もうちょっと泥臭く、そしてきちんときれいにかたをつけてほしかった気がしないでもない
あのお兄ちゃんのエピソードの終わり方だと、なんか結局は主人公の弟に後々に負の輪廻が襲ってくるんじゃないかと
あとは、もっとテレビ番組の暗部を扱ってもよかったような・・・いや、でも中途半端にやられるより、司会のおっちゃんが一人で憎まれ役をかった方がいいのか、な?

主人公と兄、少女ラティカの幼少時代から、現代までのお話としても十分通用するけど、そこに「クイズ$ミリオネア」をくっつけただけで、こうもおもしろさが増すとは思いませんでした
そんな感じで、この映画の主軸は「ミリオネア」ではない・・・というか、番組じたいが作品の中のひとつのエピソードって感じで、ようは主人公の生きざまを見る映画ですね
悪いことはするけど、最低限の人としての守るべきところは守る、まっすぐでしょうじきであきらめの悪い主人公、素敵です

ちなみに、私は映画冒頭のクイズは外しました
いや、だって、ほら、ほぼこの映画の前情報とか見てないんだもの
と、最後に汚い大人の意見をのたまわりましたが、ホントに一般的な評価そのままの良作でした

個人的評価:90点
おすすめ度:ちんちんヒリヒリ




スラムドッグ$ミリオネア 予告

2009年10月4日日曜日

ミーシャ ホロコーストと白い狼 (2007/仏・ベルギー・独)

監督:ヴェラ・ベルモン
出演:マチルド・ゴファール / ヤエル・アベカシス / ギイ・ブドス / ミシェル・ベルニエ / ベンノ・フュアマン


ナチス占領下のヨーロッパで両親と隠れて生きるユダヤ人の幼き少女、ミーシャ
学校の帰り道、両親たちと取り決めた合い言葉を知る人物が現れ、父母を残し郊外のとある家で暮らすことになるのだが


そんなわけで映画館で観れないならDVDを買えばいいじゃない、と視聴
映画館という環境は、巨大なスクリーンと迫力の音響が売りなんですが、反面で映写という状況ゆえにどうしても画質がぼんやりしてしまうし場内が暗いので映像的な暗部が見づらい、音響にしてもそれにこだわらない作品については利点にならないんですね
さらに現代では家のテレビもどんどん高画質になり、音響も個人で楽しむ分には十分な環境が整えられます
画質もクリアで、周りの目も気にせずに自分のペースでのんびり鑑賞できる
それでも私は最近、なるべく映画館に通うようにしています
それは個人的に極度の効率重視タイプの人間だからで、とくに近頃ではそんな自分の性分が嫌になってきてるんですね
なんで高い金払って、こっちから出向いて人混みに混ざってまでそんな映画を観にいくのか
それは究極の効率重視生活である、休みの日は家でごろごろ→お腹減らない→食事もなにもしなくていい、というループをしばらく続けていたからこそ、逆に効率重視って時間の無駄なんじゃないか、と思ったわけですね

まあ、そんなことはどうでもいいとして
まず、予告やらなんやら見て想像してたのと違う内容でしたね
副題にもなってるように白い狼と一緒に、薄情な人間界と決別して暖かい野生動物の世界で生きて旅をする、って話だけではないんですね
両親を探して旅をするんですが、その途中途中で細かいエピソードが展開します
狼のエピソードもその一つにすぎないんですね
他のエピソードよりは時間をさいてますが、それでもたっぷりと狼世界を堪能できるわけじゃありません

そんな細かいエピソードの集合でできてるんですが、一つ一つが本当に細かい上に深く描かずに淡々と流す感じで話が展開します
しょうじき駆け足すぎというか、もっとエピソードを減らしてメインの話を深く描いてもいい気がしないでもありませんでした
個人的には隠れる子供たち編→狼編→ソビエトの人たち編→ラストって風に簡潔にしてもいいんじゃないか、と
いくらでも感動できる方向に持って行けるのに、なんかあえてそうしてないというか、力不足なのかどうか

逆にエピソードがあっさりしてる分、ミーシャのたくましさと生々しさが浮き上がってきてるのは確か
土の中でうねってるアレとか、森の中でぴょんぴょん飛んでるアレなんかを生のままいく姿は強烈に印象に残りましたね
それでもちょっとどうかな、と思うところもいくつかあって、かなり長いあいだ旅を続けてるのに年月の経過をイマイチ感じられない
たくましい姿を描くのはいいけど、最初から盗みなんかの犯罪行為に罪悪感をもってない
追っ手の犬を動物心理の知識を利用して制するのは分かるけど、狼はなぜか飼い犬のように最初からなついてくる上に野生の厳しい目つきがない
個々のエピソードが短いくせに完結してるんで、この話を入れた意味があるのかと思うものも

ラストもぶっちゃけバッドエンドかと思うような展開になるんですが、いや、まあ、アレはアレでバッドエンド…なのかもしれません
結局、なんのために旅をしてたの?って根源の疑問を抱いたけど、気づかないふりをするのが大人ってもんでしょうか

個人的評価:60点
オススメ度:ホロコースト系の知識はあって当然って感じで話は進むので注意




ミーシャ ホロコーストと白い狼 予告

2009年10月2日金曜日

ヱヴァンゲリヲン 新劇場版:破 (2009/日)

監督:庵野秀明 / 摩砂雪 / 鶴巻和哉
出演:緒方恵美 / 林原めぐみ / 宮村優子 / 坂本真綾 / 三石琴乃 / 山口由里子 / 山寺宏一 / 石田彰 / 立木文彦 / 清川元夢 / 長沢美樹 / 子安武人 / 優希比呂 / 関智一 / 岩永哲哉 / 岩男潤子 / 麦人


謎の巨大な敵・使徒と戦うために巨大ロボットのような兵器・エヴァンゲリオンに乗る少年、碇シンジ
新たな仲間であるアスカも加わり、激しくなる使徒との戦いとささやかな日常の中で生きる

初回の公開当時は映画館に足を運ぶことはなかったので、この再演は素直にうれしかったですね
個人的にはTV放映当時からハマり、再放送も逃さず見続け、後半やたらと発売に時間がかかったLDも買いそろえ、旧劇場版の一作目を観にいって「ぶつ切りかよ!」とキレ、二作目も観にいって「バッドエンドかよ!」と吠え、それでも劇場版BOXも買った、そこそこの量産型エヴァオタクだったわけですが

そんなわけで新劇場版の二作目の今作、前作が「序」と冠された理由がよく分かりますね
「序」はこの「破」のためのまさに礎だった気がします
「序」で世界、キャラ、話の流れを説明しておいて、ようやくこの作品から大きく動き出す、みたいな
それでもすべてをぶち壊すほどに大きく変わったわけじゃなく、あくまでTV版ベースの話の流れを受けての新展開といった感じ
しょうじき在りし日に、もしくは今まさに元のTV版にハマった(ている)人こそ楽しめる要素がふんだんにあります

話の展開も日常パートと戦闘パートがリズムよく交錯し、旧作よりもさらにキャラの感情の動きが分かりやすく描かれています
旧作ではクラシック音楽を起用したり、静寂とともに長い間をとったり、あえて説明不足を演出したり、悪く言えば「気取ってる」風なところがありましたが、今作では一変してます
旧作の雰囲気に近い「序」と、この「破」を比べるとよく分かりますが、とにかく「分かりやすい」直球な演出になってるんですね
ここら辺は個人的にいい感じだと思います

旧作におけるエヴァ3号機エピソードの大幅改訂、そしてクライマックスの旧作における「男の戦い」エピソードの強化はめちゃくちゃ面白かった
個人的におとなしめの主人公のシンジが本当に熱い心をぶつけるシーンは本当によかった
それでもちょっと気になるのは、新キャラである女の子がよく分からんまま終わったのはどうなのか、と
あと「序」で月にいたあの男の子も、またもや今作でも顔出していどだし・・・

いろいろと噂でシンジがすごいことになる、と聞いてましたが思ったほどのすごさじゃなかったかなあ
TV版終盤のシンジのトンデモ扱いっぷりより驚きはなかったし、今後の展開にもつなげやすいラストだったと思います
それでも「チクショー、続きが気になるじゃねえか」って感じの反則的な終わり方に違いはないですが

そんなわけで、いまだにエヴァ熱をもった人は十分に楽しめるでしょう
そうじゃない人の感情は残念ながら分かりません
いまだにエヴァに毒されてる身では客観的に語れないので

個人的評価:90点
おすすめ度:Qかよ




ヱヴァンゲリヲン 新劇場版:破 予告

湾岸ミッドナイト THE MOVIE (2009/日)

監督:室賀厚
出演:中村優一 / 小林涼子 / 加藤和樹 / 米原幸佑 / 佐田正樹 / 大桑マイミ / 菅田俊 / 石川伸一郎 / 林未紀 / 山本ひかる / 松本莉緒 / 袴田吉彦


高校生ながら夜は湾岸での自慢の車をとばす朝倉アキオ
ある日、かれは解体工場でかつて「悪魔のZ」と呼ばれた廃車寸前の車と出会う

原作は知らない状態で視聴しましたが、もっとおバカで走りがメインの物語かとおもったけどそうでもなかったのね
けっこうドラマ部分もよくできていて、ハリウッド的な「んなこたあ、いいから走ろうぜ!」っぽいノリが薄い
とはいえ、それでも作りが若者向けっていうか、あまりこういう車が好きな男臭い人たちが観るような作風ではないですね

廃車になっていた悪魔のZとの出会い、復活まではけっこう盛り上がって、そこから宿敵ブラックバードとのバトルは燃えまくります
だけど、その決着後からがどうにも中途半端な展開になって残念でなりませんね
全体的に走りのバトルは迫力がなく、「200(km)オーバーだぜ」っぽいこと言われても、それが説明台詞みたいな感じで実際はそう臨場感は感じられないのが残念

あとは話の展開が、Zを直す→バトル→事故→Zを直す・・・の単調な繰り返しなのが、ね
しかもバトルする相手はほぼブラックバードだけなんで、しょうじきもっと違う車とのバトルもバンバンしてもらって楽しみたかったかなあ
現役アイドル、その師匠的なカメラマン、主人公の友人の兄、少ないながらも個性的な他の走り屋がでてくるのに、ブラックバード以外とのバトルを入れない理由が分からない
予算か?予算の問題か?

ドラマ部分もアイドルとその師匠の絆イベントはいいんだけど、そこに主人公がいっさいからまないのはどうなんだよ、と
さらに理解ある先生とのやりとりもいいけど、そこはそこ「走り屋なら口を動かさずに車動かせ」と言わざるえない
頭からっぽの格闘家どうしの戦いみたいに、もっとバカっぽい展開でもいいから「とりあえず走りで話そうか」みたいなノリの方がしっくりくる気がしてならない
ラストもなんか煮えきらないというか、すっきり爽快な気分にならない決着の付き方だし

さらにヒロインが終盤にビッチ化するのはいかがなものかと
ネタバレしないけど、かなりひどいことをしておいて、あっさりと主人公に「許して」とか自分から言うとかどんだけビッチなんだよ
おまえちょっとかわいいからって、そんだけで許してもらえると自分で思っちゃってるの?ん?ん?

と、けっこうダメな部分ばかり目に付きますが、まったくつまらないわけじゃないんですね
逆にけっこう楽しめたゆえに、逆にダメな所を言いたくなる・・・そんな映画でした

個人的評価:60点
おすすめ度:オッケェゼットォォォ(核爆)




湾岸ミッドナイト THE MOVIE 予告

2009年9月30日水曜日

9月のこれ一本

最近またちょっと見たい作品を手元におくだけで安心して、そのまま積んでしまうというダメなオタクの傾向が強まってきましたが、みなさんいかがお過ごしでしょうか
僕は健康に問題はありませんが、労働という仕組みを作った社会を一生呪い続けます

ということで、今月は順当にいって「グラン・トリノ」なんですが、あえて老若男女、ライト映画好きからちょっとこだわる人まで、オールマイティにそこそこ楽しめる「FISH STORY」を推しておきます
しょうじき名作と呼ぶには微妙な感じがしなくもないですが、それでも本当に平均的にみんな楽しめる内容になっていると思います
「俺、けっこう映画とか見るんだけど、『FISH STORY』とかが最近は面白かったな。今度みてみる?」というリア充会話の基本としても利用できますぜ、だんな
そこで「『オーガズモ』とか面白かった」、「『徳川セックス禁止令』がよかった」、「『痴漢ドワーフ』みたいのがいいね」なんて口が裂けても言えませんからね!

で、この先の劇場公開作品で気になってるのが「カイジ」と「ATOM」ですね
予告編とか流れるのを見る限り、この二作品からは「ひどい死臭」がただよってきます
「カイジ」は限定ジャンケンはいいとして、その先の展開は実写化しちゃいけない気がしてならない上に、予告の映像表現がやばすぎるくらいにVシネマっぽい
「ATOM」は吹き替えがけっこうよさげだけど、かなり内容が薄っぺらい…というか予告である通りの展開ですべてな感じがします
個人的に大嫌いな「WALL.E」と同じ臭いがするんですね

そんなわけで、とりあえず「ウォッチメン」も積んだままだし、「ミーシャ」もDVD買ったけど積んじゃったし、とりあえずそこら辺をはやく崩していきたいです