2009年6月30日火曜日

6月のこれ一本

今月はなるべく精神衛生上負担にならない、なるべく面白そうなのを選んでみていきました
というのも、やっぱりクソ映画ばっかりみてるとなんとなく暗澹たる気持ちになることが分かったからね!

そんな中でも一番はやっぱり「アフタースクール」しかない、とあえて断言しますよ
こんなに気持ちよく騙してもらえる映画はそうないんじゃないでしょうか
複雑な設定を複雑に描いて俺スゲーって感じの映画監督の作品じゃなく、単純な設定を複雑に広げて分かりやすく描いてるのがこの作品
最近よくある策略、謀略、陰謀の負のどんでん返しがあるサスペンス好きな人はぜひ見た方がいいですね
新しい世界が広がるかも知れません

まあ、でもそろそろクソ映画も恋しくなって…そうでもない

2009年6月29日月曜日

死ぬまでにしたい10のこと (2003/カナダ・スペイン)

監督:イザベル・コイシェ
出演:サラ・ポーリー / アマンダ・プラマー / スコット・スピードマン / レオノール・ワトリング / デボラ・ハリー / マリア・デ・メデイロス / マーク・ラファロ / アルフレッド・モリーナ / ジュリアン・リッチングズ


夫と幼い二人の娘と暮らす23歳のアン
ある日、彼女は余命幾ばくもない体だと分かり、死ぬまでにしたいことをつらねて実践していく

どうもありがち臭と日本のやっすい携帯小説あがりの悲劇ドラマのテンプレっぽい内容な気がして敬遠してたけど、なんとなく手に取ったので視聴
で、結論から言えば、このヒロイン好きになれないわ
うん、まあわからんでもないけど、なんだかんだで自分の境遇を利用して甘えてる気がしてならない
なら、もっと大声出して甘えればいいじゃない、と
むっつり甘えんぼとかどうよ

若くして間近に死の宣告を受けた
23歳で夫も子供もいて幸せといえなくもないが、普通の人ならまだまだ気ままに遊びたい盛り
じゃっかん窮屈に思える家庭だけど、死を前にしてそのからを作って窮屈にしてるのは自分自身だと気づくわけですね
基本的に人は自由、なにしてもいい
それをできるかできないかはその人しだいって感じで

そんなこんなでむっつり甘えんぼなヒロインは勝手を始めるわけですね
はっきりいって見ててマイナスイメージしかなかったですが、それでも父親と会ったシーンでちょっとだけ「ああ、そういうことね」とプラス方向にイメージ転換できました
でも、その後の展開は蛇足に思えなくもない

ラストのしめかたは好きな感じですね
この作品として一貫したゆえのラストって感じでいいです
ただどうしても内容的に、若いゆえに悟ったと思ってたことは実は中二病的思考で、死までの時間がないからそのことを思い直す間もなく逝っちゃった、って思えてしかたない
いい話のような気がするけど、どうにも落ち着かない

「そもそも自分のやっていることが不思議に思うようでは、もう終わっているよね。それはレベルが低すぎる。論外」
なんとなくイチローさんの言葉が脳裏にちらついてました

個人的評価:40点
オススメ度:けっして泣かせ映画ではない




死ぬまでにしたい10のこと 予告

2009年6月28日日曜日

ファニーゲーム (1997/オーストリア)

監督:ミヒャエル・ハネケ
出演:ズザンネ・ロタール / ウルリッヒ・ミューエ / フランク・ギーリンク / アルノ・フリッシュ / ステファン・クラプチンスキー / ドリス・クンスツマン / クリストフ・バンツァー / ヴォルフガング・グリュック / ズザンネ・メーゲル / モニカ・ザリンガー


別荘へとやってきた一家
その家族のもとへ隣人の使いが卵をもらいにきたことからすべては始まった

いやあ、いいわ
派手さはないけど、静かな狂気と悪意に充ち満ちてますね
後味が悪い系の映画ですが、始まってしばらくすればラストは驚くほど後味が悪くなるという感じはしなくなりますね
むしろなるべくしてなる結末みたいな感じで、イヤな後味はそうない
後味悪い系なら「[FOCUS]」の方がよっぽどキます

とにかく冒頭のシーンから見る側を不快にする悪意がある
そして、いよいよ隣人の使い二人組が現れて、些細なことからいざこざに発展して別荘に遊びに来た一家が悪意に飲まれていく
えたいの知れない二人組と一家の狂気じみたやりとりは一体なんなのか?って感じのサスペンス風に進んでいきます
だけどここで二人組の一人がちょっと見てて引っかかることをするんですね
これがまたよくできてるなあ、と

見てる方には「え?どういうこと?」とさらなる謎を与えられ、だけど悪意による肉体的、精神的ないたぶりは続いていきます
見ててもきっついなあ、と思う展開ですが、この映画を見ようと思った人の共通するものを逆手にとってきてる演出に気づいた時、この作品の意味が分かるかも知れません

「ん?なに見入っちゃってるの?」「これを期待してたんだろ?」とこっちの心にまで二人組の悪意が浸食してきます
そしてなにより、この映画を嫌悪して途中で見るのをやめるのが普通の感情かもしれません
最後まで見てしまったら、それこそ見てるこっち側も悪意をまき散らす二人組と同じ穴のむじなだと思い知らされるでしょう

そういった意味で、その突きつけられたもので自己嫌悪すれば最高に後味が悪い映画だというのも分かりますね
まあ、個人的には割り切って考えてしまってそんなにショックはなかったですが
良識のある人、いい人がみる内容じゃないってのは確かですね

個人的評価:70点
オススメ度:冷静に見れば緊張感があってそれなりに面白い




ファニーゲーム 予告

2009年6月26日金曜日

交響詩篇エウレカセブン ポケットが虹でいっぱい (2009/日)

監督:京田知己
出演:三瓶由布子 / 名塚佳織 / 藤原啓治 / 根谷美智子 / 山崎樹範 / 小清水亜美


ワルサワで静かに暮らしていた幼い男の子と女の子、そして妖精
人類と未知の生命体「イマージュ」との争いが進む中、レントン、エウレカ、ニルヴァーシュの神話が始まる

TV版は視聴済み
映画オリジナルストーリーなんですが、やっぱり原作知らんと盛り上がれない気がしないでもないですね
キャラクターの性格なんかもだいぶ変わってるんですが、それでもTV版で出てきたキャラ顔出していどでも画面に映った時に、知らん人は「は?なにこいつ、重要なキャラなの?」ってなるんじゃないんでしょうか

冒頭からニルヴァーシュの姿を見て、なんかのギャグかとも思いましたが、まあ世界観的にあってなくもないかなと許せますね
そして見進めて思うのは「序盤のテンポ悪いなあ」と
かなり駆け足すぎてる気がしますね
ぶっちゃけ一本の映画としては掴みに失敗してると思わざるをえない
序盤にレントンがエウレカを助けるシーンがあるんですが、演出的に盛り上げてるのは分かるけど、そこに至るまでの二人の関係の掘り下げがないから見てる方は盛り上がらない

だけど序盤を乗り切れば、やっと落ち着いた感じでストーリーが展開し始めるので、そこからがホントに面白かったですね
キャラの性格づけも個人的には好きな感じで修正されてて、非常にシンプルで分かりやすくていいです
まあ、物語の設定じたいはごちゃごちゃしたまんまですが
TV版の時からロボットアニメなのに戦闘を見るものじゃない、って気はしてましたが、そんなドラマ部分もくどくどしくないので見てて飽きないですね

そして意外だったのがクライマックスの盛り上がり
こういう元があっての劇場版って、どうがんばっても一本の映画というより「劇場版」にすぎない印象しかないんですが、これはホントに普通に最後まで面白かったですね
じゃっかんあざとい少年少女ものの甘ったるい所にイラっとこなくもないけど、まあ、それはそれで僕とかおっさんだし、若いもんはまた違う印象受けるんじゃないでしょうか

こう感想を書きながら振り返ってみると、やっぱりTV版見てないと楽しめないんじゃないかと思い直しつつありますね
レントン&エウレカ、ゲッコーステイトの面々の自分の中での記憶と、劇場版で描かれるキャラとの微妙なギャップが楽しいですから

個人的評価:70点
オススメ度:設定年齢17歳




交響詩篇エウレカセブン ポケットが虹でいっぱい 予告

2009年6月23日火曜日

マンマ・ミーア! (2008/米)

監督:フィリダ・ロイド
出演:メリル・ストリープ / アマンダ・セイフライド / ピアース・ブロスナン / ステラン・スカルスゴール / コリン・ファース / ジュリー・ウォルターズ / ドミニク・クーパー / クリスティーヌ・バランスキー


母親と二人暮らしのソフィ
結婚式を向かえたソフィは、母の日記を盗み見てそこに書いてあった三人の父親候補を式に招待する

なんとなくミュージカル映画と相性がいいと感じてたので視聴
いやあ、予想以上によかったですね
とにかくパワフル、とにかく明るい、とにかく前向き
ここまで見ててパワーをもらえる映画はそうないかもしれません

理屈じゃねえんだよ、曲がかかったらみんな歌え!踊れ!
って感じのノリで、もう細かいことなんかどうでもいいから楽しめばいいじゃない、と
見てる方も、そっちがその気なら頭からっぽにして楽しんじゃうぜ的なテンションがわきあがってきますね
特にソフィの母親とその友人たち、ドナ&ザ・ダイナモズは最高すぎる
ソフィとか小娘はどうでもいいんじゃないか?おばちゃんパワーでこの映画いけるんじゃないか?と思わざるえない

と、バリバリテンション上がってたのも前半まで
後半になるとなんか急に失速しはじめます
明らかに前半を飛ばしすぎた感が否めず、後半はどうにも冷静に「ふーん」な感じで見てる自分がいました
そんな失速感はクライマックスシーンまで続くから困る
しょうじき、三人の父親候補、本物はどれ?とドキドキしてたのも定型文的なありがち展開で小さくまとまっちゃったし、ソフィと婚約者のトラブルもスルーして普通に結婚式に突入するし、母親のドナのオチも「は?そんなんでいいのか?意味わからん」状態

もったいない
すごくもったいない
本気でそう思えるほど前半は神がかって面白かったのに…
まあ、最後の最後のオマケみたいなのでちょっとはテンション回復したけどさ
やっぱババアどものパワープレイミュージカルの方が楽しいね

個人的評価:60点
オススメ度:前半でやりたいことをやりつくすべからず




マンマ・ミーア! 予告

江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間 (1969/日)

監督:石井輝男
出演:吉田輝雄 / 大木実 / 由美てる子 / 土方巽 / 葵三津子 / 賀川雪絵 / 三笠れい子 / 片山由美子 / 近藤正臣 / 沢彰謙 / 高英男 / 由利徹 / 大泉滉 / 上田吉二郎 / 小池朝雄


人見広介は気づくとキチガイどもが入れられた牢獄のような檻の中にいた
なぜここに入れられたのか、わずかな記憶をたよりに謎を追う

最初に見た感想としては、これ1969年に作ってたとか日本映画界ってすごいんじゃね?的な
まったく古くささは感じない…というと嘘になるけど、ぜんぜん色あせないどころか食い入るように見てましたよ
最初は奇形さんたちを見せ物にする、そんな不謹慎な内容かと思ってたら全然違いましたね
普通にサスペンス展開で、逆に見せ物だけの話じゃないことに見てて期待値が上がりました

見てて思ったのが、これやろうと思えば現代版でリメイクできるんじゃないか、ということ
ただし、リメイクしたらしたで色々とチェック入ってつまらなくなりそうですが
それはそれとして、この映画に出てくる源三郎の父ちゃんが本当にいいキャラでほれそうになりますね
どうみても真性のマジキチにしか見えない所がいい
それ本当に演技なの?素じゃないの?と言いたくなります

そして実際に映画に出てくる奇形さんたちですが、さすがに現代の過激描写に慣れてしまうとそうはグロく感じませんが、キチガイ世界っぷりはいやってほど伝わってきます
リアルタイムで見られてたらすっごい衝撃受けたんだろうなあ、と
と、キチっぷりばかり強調されがちですが、サスペンス部分も見応えはあります
主人公が源三郎に成り代わって屋敷で生活しながら謎を追うんですが、いつばれるのかというドキドキ感があっていい

だけど、そんなサスペンスなドキドキ感も、最後の解決編的な説明で「おい」とつっこまずにはいられなかったですが
主人公はおいしいところを全部、あるキャラにもっていかれ、しかも早々に画面からはけていってしまうとかどうよ
ある意味で斬新でおもしろかったけど

あと、ラストの主人公のアレは今みたらただのギャグにしか見えないから困る
もう一つは源三郎の父ちゃんのあきらめの良さっぷりがどうも、ね
まあそれをふくめてもそんなにマイナスな感じには思えないくらい面白かったですけどね

個人的評価:90点
オススメ度:奇形、キチガイ、カタワ…そんな単語がデフォ




江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間 予告

2009年6月21日日曜日

エイプリルの七面鳥 (2003/米)

監督:ピーター・ヘッジス
出演:ケイティ・ホームズ / パトリシア・クラークソン / デレク・ルーク / アリソン・ピル / ジョン・ギャラガーJr. / アリス・ドラモンド / リリアス・ホワイト / アイシア・ウィットロックJr. / シスコ / アーマンド・リエスコ / ショーン・ヘイズ / オリヴァー・プラット


わがままで自己中心的な不良少女エイプリル
感謝祭を向かえ、彼女は重い病気を煩っている母親をふくめ離れて暮らす家族を自分のアパートで料理を作ってもてなそうとする

あんまりにも地味すぎる、だけど面白い
泣けるというより、胸にくるものがある
そんな映画ですね
そしてなにより、本当にエイプリルがビッチすぎてどうしようもない
だけどクソガキ演技でイラっとくるのではなく、等身大のビッチっぷりがラストにきいてきます
そりゃ、人間たった朝から昼の出来事ていどで人間性が変わるほど改心なんかできないってことで

序盤は恋人のボビーと自堕落な感じでいやいや家族を迎える準備をするエイプリル
一方で父親をのぞいて母親、妹、弟はエイプリルの所に行くのに乗り気じゃない
そんな対比を描きつつ、地味に話は進みます
それでも冒頭の母親が姿を消すシーンからの流れで、尋常ではない「なにかがある」というスパイスが後々まで視聴する求心力になっている

エイプリルの料理パートにしてもアクシデントの連続で、テンパリながらも他のアパートの住人に協力してもらって、ドタバタコメディのような感じで料理ができていく
そんな中でも、エイプリルは自己中心的で、助けてもらえれば後は知らないって感じのビッチパワーを発揮するから困らない
そうこうしているうちに母親との確執や、その病気についての重くリアルな描写もからめて、すっかり画面に釘付けに
いやあ、見てる方を飽きさせないテンポと展開の運び方がホントにうまい

そしてラストシーンはもう最高の演出
余分なものはいっさいなし
じゃっかんあざとさはあるものの「泣かされる」のではなく、自発的に「泣ける」見せ方は個人的に大好きですね
ほらほらいい曲をドーンと流しちゃうよ?いいセリフも用意したし、ここで泣いとけ
というおしつけをあまり感じないからいい

とにかく登場人物にキャラクターとしての設定という映画くささがなく、等身大の家族のあり方ってのが伝わってきますね
もちろん映画的な所でも細かいところまでよくできていますよ
やっぱり見終わってすっきりする映画はいいですねえ

個人的評価:80点
オススメ度:ジーンとできるビッチ映画




エイプリルの七面鳥 予告

2009年6月19日金曜日

マイ・ドッグ・スキップ (2000/米)

監督:ジェイ・ラッセル
出演:フランキー・ムニッツ / ダイアン・レイン / ケヴィン・ベーコン / ルーク・ウィルソン / ブラッドリー・コリエル


第二次世界大戦中のミシシッピ州のある田舎町
内向的でいじめられっ子なウィリーの家で一匹の犬を飼うことになるのだが

犬を通して少年の成長を描く、ってありふれたストーリー
ありふれたストーリーの映画は、それゆえに面白くするためのハードルが高いです
だけど、これはいいわあ
癒されるわあ
個人的に動物好きってこともあるけど、犬好きなら見て損はないかもしれません

とにかくテンポがよくって、一つ一つのエピソードがぽんぽん展開していき「いや、この話でそんな引っぱんなくていいから」という感じのだるさがない
しかもいっけん消化不良なんじゃないのか、と思えるエピソードも見進めていくうちにちゃんとスッキリさせてくれる丁寧な作り
そして、とにもかくにも犬のスキップがいちいちかわいすぎる
見てて自然に笑顔になれますね

それでも気になる点はいくつかありまして
少年の父親が犬を飼うのを反対してて、二週間という条件付きでおためし飼いだったのに、特に父親と犬のフレンドリーエピソードがないままいつの間にか家族の一員になってる
終盤、スキップがある所にもぐりこむんだけど、なんでそこにいったのか分からない
じゃっかんリアルクソガキ演技にイラっとくる所がある
どれも気にしなければ気にならないレベルですけどね

このての映画では先の展開が読めすぎるほど読めるんですが、それでも全編通して「身近な人との別れがあるのか?」「スキップとの別れはあるのか?」という悲劇エピソードがいつくるのか、それともこないのかって感じの緊張感があっていい
そしてラストも個人的には好きですね…というかうるうるしてましたね
大泣き感動ものというより、静かにジーンとくる系って感じかもしれません

最後までこれ見ると、ぶっちゃけウィリー少年の成長物語を通しての犬のスキップの映画じゃないんか、と感じましたね

個人的評価:90点
オススメ度:男がかわいいもの好きで何が悪い




マイ・ドッグ・スキップ 予告

バンク・ジョブ (2008/英)

監督:ロジャー・ドナルドソン
出演:ジェイソン・ステイサム / サフロン・バロウズ / スティーブン・キャンベル・ムーア / ダニエル・メイズ / ジェームズ・フォークナー / アルキ・デイヴィッド / マイケル・ジブソン / ジョージア・テイラー / リチャード・リンターン / ピーター・ボウルズ / アリステア・ペトリ / ハティ・モラハン / ジュリアン・ルイス・ジョーンズ / アンドリュー・ブルック / ルパート・フレイザー / クリストファー・オーウェン / キーリー・ホーズ / デヴィッド・スーシェ / コリン・サーモン / ミック・ジャガー


1970年のイギリスで、ある男に銀行の地下貸し金庫襲撃の話が持ちかけられた
生活に困っていた男は、かつての悪友に声をかけて銀行強盗に関しては素人たちによる襲撃計画が実行される

ひさしぶりに普通のサスペンスに出会ったような気がする
そうそうはじけてる感じはないけど、けっこうな良作だと思いますね
麻薬密売組織のリーダーを捕まえるも、そのボスが国家的な弱みを握っててそれを銀行の地下金庫に隠してある
お偉いさんたちも大ごとにせずに、しかも自分たちの手を汚したくないってんで強盗の外注をする感じですね

主人公のおっさんがかつての悪友たちであるおっさんグループを組んで、額に汗して楽な生き方をしようと奮闘するわけですよ
若いやつらのスタイリッシュ怪盗アクションなんざそこにはないです
まあ、それでも面白いんですが、この映画は後半が特に盛り上がってきていいですね
地下金庫には当初の目的だったブツ以外にも、いろんなものが隠されてるわけで…単純な陰謀劇ながらも、それがいくつか重なっていきながら主人公たちをしめつけていく様子は面白い

そんな中で主人公は敵対勢力の人たちと頭脳戦をはじめるんですが、ちょっとこの頭脳戦パートは弱いってのはいなめません
基本、主人公の言うことにはみんな素直に乗っかってくるので、あんまり駆け引き的なものはないかな、と
でもパワープレイながらも事件におさまりがついていく様子は見てて面白いからいいかな

ただ、一つだけなんともいえない所が
劇中に実直な警官がでてくるんですが、その警官と主人公たちの最後のやりとりはどうなんですかね
じゃっかん巻き込まれて強盗した感はあるとはいえ、それでも罪は罪なんじゃねえのって感じで
お偉いさんとか弱みをちょっと握られてる人たちが主人公たちの扱いに困るのはわかるけど、実直な警官ゆえにもっとキッチリ割り切って仕事するのが流れ的にあってると思うんですが

手放しでよくできた話とはいえないけど、映画としての面白さは十分にありました

個人的評価:80点
オススメ度:銀行強盗するだけの映画じゃねえから、これ




バンク・ジョブ 予告

2009年6月14日日曜日

バンテージ・ポイント (2008/米)

監督:ピート・トラヴィス
出演:デニス・クエイド / マシュー・フォックス / フォレスト・ウィティカー / シガーニー・ウィーバー / ウィリアム・ハート / ブルース・マクギル / エドガー・ラミレス / サイード・タグマウイ / ゾーイ・サルダナ / アイェレット・ゾラー / ジェームズ・ルグロス / ホルト・マッカラニー / エドゥアルド・ノリエガ / レオナルド・ナム / ショーン・オブライアン


スペインのある街でテロ撲滅のための国際会議が開かれる
そこに出席した米国大統領が式場で暗殺され、シークレットサービスが犯人を追うのだが

どうも最近、頭からっぽにして楽しめるアクションを見てなかったので視聴
というか、軽い気持ちで見たけど、すっごい面白くて困らなかった
冒頭でもう暗殺のシーンがあって、その事件に関わった人たちの視点で、繰り返し時間を巻き戻しつつ暗殺の真相を明らかにしていくって感じ
この前見た「アフタースクール」の監督の前作「運命じゃない人」に近い作りですね

こういうジグソーパズルみたいにちょっとずつピースをはめていく感じの演出は大好きです
別の人の視点で見たら、実はこういう裏側があったんですよ的なのはやっぱり面白いわあ
まあ、しかしそんなストーリー展開より、この映画はとにかくアクションを見るものですね
「WANTED」みたいな斜に構えたスタイリッシュアクションじゃなく、ごくごくナチュラルにすっごいアクションをつないで、たたみかけていくから見てる方はどんどんテンション上がっていきます

とくに見せ場であるカーチェイスは普通にすごい
スロー演出とか、スタイリッシュアングルとか、そういうのなしに地味だけど臨場感ある撮り方でホントに疾走感があって、しかも映画の内容とうまく融合してる
いわゆる「お前、それ見せたかっただけちゃうんか」的なアクションは少なめですね

ただちょっとだけ難点があって、事件の真相のピースをうめていく過程は面白いんですが、できあがったパズルの画がちょっとイマイチかなあ、と
あきらかに偶然打開だし、うまく完成させたようでけっこうご都合主義な脚本がどうにも
まあ、でもそこに至るアクションで満足したので、すごい不満には感じなかったですが

深く考えずにアクションを楽しんだもの勝ちってことで

個人的評価:80点
オススメ度:大統領かっこいいよ大統領




バンテージ・ポイント 予告

ガチ☆ボーイ (2007/日)

監督:小泉徳宏
出演:佐藤隆太 / サエコ / 向井理 / 仲里依紗 / 宮川大輔 / 泉谷しげる / 川岡大次郎


体力より演技力、安全第一をモットーとした北海道プロレス研究会に入った五十嵐
法学部に所属し頭脳明晰な五十嵐なのだが、実は彼には秘密があった

いやあ、もう「DIVE!!」とか普通にクソ映画に見えてしまいますね
自分が求めてるスポーツものっていうのは、まさにこれですね
笑って、燃えて、感動できる
これぞ男の子のための映画と言わざるえない

序盤はとにかくプロレス研究会のダメっぷりが面白く、そこに入ってきた異質な男である五十嵐が、学生プロレスはガチンコじゃないと知るという王道展開
そっからみんなと友情深めつつ、しだいにお遊戯プロレスからガチンコプロレスに変わっていくのかなあ…と素人先読みしてたらビックリしたわ
基本的に予告とか一切の事前情報見ないで視聴する派なんで、五十嵐の秘密が分かってからガラッと雰囲気が変わりつつ、しかも作品的にさらに面白さが増していきます

この作品は笑える所、ジーンとくるところとかのメリハリがすごくよくできていて、五十嵐に対する残酷なシーンも真正面から描いてくれて好印象
五十嵐の朝目が覚めてから、部室に入っていくまでのシーンはいいですね
あとは恋愛関係のシーンの描き方も好きです

ただちょっと中盤から終盤にかけてダレるのが気になる
見てて、ちょっとエピソード引っぱりすぎじゃないかなあ、と思う所があるんですね
もっと簡潔にここまで尺を使わずにまとめることもできる気がしないでもない
あとは友情描写ももっと熱く描いてもいいと思う
中途半端なオシャレ感は逆に見ててどうかと

そして、クライマックス
もう熱くなりまくりで、こんなにプロレスって面白いもんなんだなあ、と
ぜいたく言えばもうちょい秘めた熱さじゃなく、もっと感情にまかせたほとばしる熱さがあれば完璧だったですね
最後はよかったよかったと普通に泣けましたね
ホントに見せ方がうまいわあ、巧みだわあ

じゃっかんあざとすぎる所もあるけど、見た後にスッキリするそんな一本でした

個人的評価:80点
オススメ度:予告見ない方が意外性があって面白いですね




ガチ☆ボーイ 予告

2009年6月12日金曜日

DIVE!!(2008/日)

監督:熊澤尚人
出演:林遣都 / 池松壮亮 / 溝端淳平 / 瀬戸朝香 / 光石研 / 蓮佛美沙子 / 山崎将平 / 福田雄也 / 村瀬継太 / 椎名鯛造 / 小野賢章 / 池田純 / 瓜生美咲 / 筒井真理子 / 寺内健 / 江守徹


水泳の飛び込み競技を指導しているスポーツクラブに通う平凡才能な男、坂井知季
クラブの存続が厳しくなる中、新たなコーチが現れてオリンピック選手を育てると公言する

平凡な主人公が、ある日、口は悪いが有能なコーチによって隠された才能を見いだされて成長していく
どんだけテンプレな内容なのかと
内容的にもどこまでも少年マンガのノリですね
まあ、でもこういうノリは嫌いじゃない

しかし、この映画は残念な所が多い、というか多すぎる
主人公の隠された能力である、瞬間的に見たものを正確にとらえることができるってのをまったくいかしてない
同じクラブに通うライバルや友人の友情度が分かりづらく、どんだけ仲がいいのか悪いのか分からない
主人公を含めて3人の選手にスポットライトをあててるのはいいが、それだけ主人公の影が薄くなっている
序盤から早々に主人公が彼女を弟に寝取られるが、だからなんだって感じ
飛び込み競技のルールがうまく説明されてないので、競技中のどうなるのかというドキドキ感が弱い
ある一人をのぞいて、競技中に主人公たちが唐突に体調不良を起こす
そんな状況でも主人公は普通に飛ぶんで、なんのための体調不良か分からない

と、これだけダメな部分というか、ちょっと引っかかる所がある
それでも肝心の飛び込みのシーンはいいから、いちがいにクソ映画というわけでもない
個人的にはもっと熱い友情パワー的なコテコテ少年マンガのノリを期待してたし、現にそういう方向性にもっていける要素はあったのに
なんともドラマ部分がクソすぎて泣いた

映画内での最終目標がオリンピックというのがマンガ的な過剰目標っぷりでいいですね
まあ、でもやっぱりオリンピックとかの描写はないんですけどね!

個人的評価:50点
オススメ度:コンクリートドラゴンってなんなんや…




DIVE!! 予告

2009年6月10日水曜日

アフタースクール(2008/日)

監督:内田けんじ
出演:大泉洋 / 佐々木蔵之介 / 堺雅人 / 田畑智子 / 常盤貴子 / 北見敏之 / 山本圭 / 伊武雅刀


ある日、妊娠中の美紀を残し木村一樹が失踪した
木村の友達で教師の神野は、ひょんなことから探偵の北村と協力して捜索することになる
やがて木村失踪の裏に大きな闇が見え隠れするのだが

パーフェクト
なにこの神映画
同監督の「運命じゃない人」もそうだったけど、なんでこんな面白い映画がぽんぽん作れるかねえ
こういう映画をもっと日本のメディアはプッシュしていきなさいよ

と、今回は内容はおろか感想かくのもためらいますね
しょうじきあらすじもそうとう神経使って書いてます
つまり、なにを書いてもネタバレになるから困る
とにかく興味ある人は見て欲しいとしかいいようがない
面白さは保証しますよ

最近の美男美女がキャッキャウフフ→死の病→悲しみ乗り越えてエンドみたいな、テンプレ映画でメディアに踊らされてる暇があるなら、もっと映画をとにかく色々みなさいよ、と
個人的に映画の趣味はかたよってる自覚はあるけど、これは万人向けとしてオススメできますね

あー、内容をしゃべりたいけど、しゃべりたくない
久しぶりに自分が気に入ったものを無理矢理でも他人に押しつけたい、そんなバッドオタク精神がわきあがりましたね

個人的評価:100点
オススメ度:周りがつまらないのは、お前がつまらないからだよ




※いちお、いつも通り予告動画はるけど、できればこれを見ずに本編を見てほしい
予告中にもネタバレ多いんで


アフタースクール 予告

2009年6月7日日曜日

スパイダーウィックの謎 (2008/米)

監督:マーク・ウォーターズ
出演:フレディ・ハイモア / サラ・ボルジャー / メアリー・ルイーズ・パーカー / ニック・ノルティ / ジョーン・プローライト / デヴィッド・ストラザーン / セス・ローゲン / アンドリュー・マッカーシー / マライア・インガー / マーティン・ショート


静かな森の中に屋敷を構えた男が妖精についての本をまとめる
そして80年後、その屋敷に引っ越してきた家族、その子供がけっして見てはいけないその本を見つける

子供が見つけた一冊の本、それによって異形の生物である妖精と関わり合うようになり、さらに悪の妖精から本を守るために戦う
もう聞いただけで8割がた映画を見た気分にさせてくれるほどありふれたストーリー
少年と妖精、そして家族の絆、何年かに一本は必ずこういうファンタジーものが作られてる気がしないでもない

だけど、この映画はちゃんとそういったことをわきまえた上で作られてるなあ、という印象があって、ありきたりながら面白く仕上げてあります
まず舞台をほぼ森、しかもファンタジーな感じではなく現代的な森に限定し、「お前その奇抜なキャラ出したかっただけちゃうんか」という感じのストーリーにからんでこない余計なクリーチャーは極力排除してある
ドラマ性よりアクションを多用し、ファンタジーものにありがちな美しい世界観を見せられるだけの退屈シーンをカット
一冊の本をめぐる善と悪の戦いというシンプルな作りになってて、非常に見やすくなってます

その分、主人公の少年をめぐる家族のドラマがじゃっかん希薄で、サブキャラにおいてもドラマ部分に重みがない気がしましたね
あとは妖精たちが可愛くてキレイって系統じゃなく、ダークファンタジー系のいびつで禍々しい異形という描き方をしており、普通に主人公たちが悪の妖精を斬ったり弱点をついてドロドロに溶かしたりとグロっぽい所があるんで注意

それでも各種の妖精のCGがけっこうフィルムに馴染んでて、見ててそんなに違和感や引っかかりがないのも丁寧に作られてるなあ、と
派手に大見得を切って「ここがんばって作ったんです!見てください!」みたいな押しつけがましいCGシーンは少なく、全編通してかなりナチュラルな感じで合成されてていいですね

ラスボスとの決着の付け方も、個人的には好きでしたね
ただ、その後のドラマシーンはやっぱりちょっと弱い…ような
さすがにこの内容で感動はできんよ

と、不満点は少々あるものの、良い意味での普通に面白い一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:ダメな父親ばっかりやで




スパイダーウィックの謎 予告

2009年6月5日金曜日

メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬 (2005/米・仏)

監督:トミー・リー・ジョーンズ
出演:トミー・リー・ジョーンズ / バリー・ペッパー / フリオ・セザール・セディージョ / ドワイト・ヨーカム / ジャニュアリー・ジョーンズ / メリッサ・レオ / ヴァネッサ・ボーシェ / レヴォン・ヘルム / メル・ロドリゲス / セシリア・スアレス / イグナシオ・フアダルペ


テキサスの荒野である男、メルキアデス・エストラーダの銃殺死体が見つかった
彼の友人であるピートは独自に犯人さがしをはじめる

いつもいつもクソ映画ばっか見てると思わない方がいい
ということで普通に良作を続けて見るじゃない
いやあ、本当に当たり前だけどいい映画っていいなあ

とりあえずこの映画は序盤が分かりづらいのがネック
いきなりしょっぱなから時間軸がいったりきたり、そのせいで登場人物の把握がちょっとめんどくさい
とりあえず最初の30分見れば話は見えてくるんで、そこまでは集中して見てないと辛い

と、見ていくとまるでサスペンスなような気がするけど、前半で犯人うんぬんの話は終わりなんですね
そして、後半はピートがメルキアデスの故郷を目指す旅パートに入るわけです
その情景がほんとにいい
ビジュアルが売りの小ぎれいな環境作品的な良さじゃなく、武骨で荒々しいナチュラルな自然の情景が本当にいい
そこでちょっとロードムービーっぽく人との出会いや別れがあるんですが、深すぎず淡泊すぎずでちょうどいい感じ

最初に出会った盲目のおじいちゃんは主人公の去り際にお願いをするんですが、その後にきた国境警備隊の人にはお願いをしないシーン
メルキアデスの奥さんらしい人とであった時の女性の仕草、細かい所がよくできていて「ああ、そういうことかあ」と語られない行間を感じさせてくれるのはいいわあ

そしていよいよメルキアデスの故郷に到着し、ちょっといい話だなあモードに入ったかと思ったら…ね
登場人物がとにかく人間くさい
キャラの設定で色づけられた行動ばかりするのではなく、いちいち生々しさがある
そりゃ人間だもの、分かってたって理不尽になることもあるし、感情に突き動かされることもある、だがその描き方がいい

犯人との決着の付け方、出てくる女性陣の選んだ道、すべてにムダがない
そんな素敵な作品でしたね

個人的評価:90点
オススメ度:おっさんの友情はいいもんだ




メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬 予告

ブロードウェイと銃弾 (1994/米)

監督:ウディ・アレン
出演: ジョン・キューザック / ダイアン・ウィースト / ジェニファー・ティリー / チャズ・パルミンテリ / ジャック・ウォーデン / ロブ・ライナー / メアリー・ルイーズ・パーカー / トニー・シリコ / ジョー・ヴィテレッリ


アーティスト気質な売れない劇作家の新作脚本が完成する
その資金繰りに困っている所に街のギャングから演劇素人の愛人を出演させる条件で、資金提供の話が持ち上がる

最近どうも良い映画ってのを見てないなあ、と薄々感じてはいた…というか自らクソ映画に傾向してたので、たまには良作を
とにかくこの作品は映画としての完成度が高い
心地のいいセリフ回し、飽きさせない展開、キャラと画がいうことないですね

序盤はギャングの愛人のあばずれショーガールくずれのビッチぶりを中心に、落ちぶれつつあるプライドだけは高い超人気女優などのクセのある共演陣をからめつつ、ドタバタしながらなんとか劇を作っていきます
出演者やスポンサーであるギャングは言いたいこといって、主人公の劇作家が苦悩する様をコミカルに描いてるって感じのよくあるコメディ
地味ではあるけど、それでも役者のセリフを追ってるだけで普通に面白い

そして、中盤になるとそんなドタバタも飽きてきます
そこからのテコ入れ、ラストへの流れが秀逸すぎる
主人公と協力者の力関係が逆転していって、それゆえに頭でっかちじゃない本当の自分を見つけられる主人公の過程がおもしろおかしくていい
この作品はあくまで昔の映画っぽい演出を前面に出してるのが功を奏して、ギャングの抗争や人の生き死にが重すぎずにきらびやかな舞台との整合性がうまくいってる

特にギャングの愛人、主人公の協力者のオチの付け方がちょっと淡泊すぎる気がしないでもないが、さっこんのベタベタな濃厚演出よりこういうのがいいかも
低予算、才能がないゆえの手抜き演出じゃなく、こうすべくしてこうなった必要性のある簡素な演出という感じで

ただそれでもやっぱり食い足らない感じる人もいるだろうし、淡泊ゆえに地味なのも否めないかもしれません
あとはコメディをきちんとコメディとして見れる人向けな内容かも
なんでもかんでもきっちりかっちり丁寧に説明してくれるチュートリアル映画ではない

個人的評価:90点
オススメ度:人は自分の才能にひかれるのか、人間性にひかれるのか