2009年8月31日月曜日

8月のこれ一本

いやあ、夏も終わりが近づいてきて朝晩けっこう冷える日もありますね
なんてまた心にもない挨拶で今回も文字数をかせいでみる汚い大人ですが、どうッスか
そんなこんなで今月から映画館で実際に見てきたものも混ぜていったんですが、最初は週一か隔週くらいで観にいこうと思ってたら休みの日はガッツリ通ってる現実
いやあ、やっぱり映画館っていいね

そんなことより、とりあえず今月のこれってタイトルはやっぱり「きみの友だち」ですね
うん、久しぶりに迷うことなく薦められる一本かもしれません
けっこういろんな層にオールマイティにうける感じの作品だと思うんで、くされB級脳の個人的な趣向じゃないよ、といちお言っておきますね
「HACHI」もすっごいよかったんですが、やっぱりそんな犬に思い入れがない人にとっては、ただの「ハチかわいいね」映画になっちゃう気がするので

9月は劇場公開作品だと「ウルヴァリン」と「ミーシャ」、ディスク作品だと「ウォッチメン」が個人的に期待しております
「ウルヴァリン」はXBOX360版のゲームでプレイしたんですが、やはり英語がネックでストーリーとか分からなかったんで観たいですね

2009年8月30日日曜日

20世紀少年 最終章 ぼくらの旗 (2009/日)

監督:堤幸彦
出演:唐沢寿明 / 豊川悦司 / 常盤貴子 / 香川照之 / 平愛梨 / 藤木直人 / 石塚英彦 / 宮迫博之 / 佐々木蔵之介 / 山寺宏一 / 佐野史郎 / 高橋幸宏 / 古田新太 / 小池栄子 / 森山未來 / 木南晴夏 / 福田麻由子 / 片瀬那奈 / 六平直政 / 研ナオコ / 北村総一朗 / 手塚とおる / 田鍋謙一郎 / ARATA / サーマート・セーンサンギアム / チェン・チャオロン / 竹内都子 / 石橋保 / 津田寛治 / 光石研 / 遠藤賢司 / 高嶋政伸 / 岡田義徳 / 田村淳 / ダイアモンド☆ユカイ / 武内亨 / MCU / 斎藤工 / 吉田照美 / 原口あきまさ / 左右田一平 / 石橋蓮司 / 中村嘉葎雄 / 黒木瞳


「ともだち」により完全に支配された世界
そして、新たな予言「2017年8月20日、人類は滅亡する」を阻止するべく、「ともだち」に対抗する人々が立ち上がる

そんな感じで最終章ですね
やっぱりというかなんというか、一本の映画としての存在はなかったことにされて、あくまで続編として描かれている・・・ってのはもうどうでもいい感じです
ぶっちゃけていうと、映画としての完結編というより、ドラマの三部作の完結編といった内容
もっとぶっちゃけていうと「わざわざ映画館に見にくることもない」ほどに映画というより、金のかかったテレビドラマを見てるようでした

それでも決して退屈はしないで、長い尺を最後までダレずに見ることができましたね
まあ、それも内容的に前二作で広げた風呂敷や伏線をテンポよく回収していたからで、けっして映画的な良さで退屈しなかった、ってわけじゃない
とにかく内容的にも伏線の回収だけしてる印象が強く、さらにどうしてもケンヂ関係のネタがメインになってしまい、2章の登場人物とかオマケ以下の扱いに成り下がってる人が多かったですね

展開的にももう「いつものように」といっていいほどに予言が実現するのかうんぬんに終始しており、上記のように伏線の回収ばかりで前作までの見ててドキドキする感覚が乏しい
「ああ、そうだったのね」とは思うけど「どうなるんだ?いったい?」みたいなものは味わえません
ストーリー上でカンナの考え方が二転三転するんですが、そうもポンポンと極端な思考ができる彼女にはちょっと見てて「?」が浮かびます
さらにカンナは自分の手は汚さないまでも散々やりたい放題しておいて、どさくさにまぎれてなに善人ぶってんのよ、と

で、どうしようもなさが絶頂にくるのがクライマックス
予告とかCMで見てると巨大な二足歩行ロボが街を派手にねり歩き、大量の円盤が人々を脅かすために飛び回る・・・と印象を受けます
だけど、実際はマジでしょぼい
あまりネタバレはしたくないが、「そんな大スペクタクルな展開じゃねーから、これ」って感じで
それでもさすがに「ともだち」の正体に関する展開はよくできてるかな、と
それでも作品的にこれまで「ともだち」が引き起こしてきたことを精算するって内容じゃなく、あくまで子供たちの過去を明らかにするって点に重きを置いてるので、結果的に地味になってる気もします

個人的には1章のラストをなぞる感じで、もっとみんな一致団結してうんぬんを期待していただけになんとも・・・
さらにエピローグでシリーズの謎のすべてが明らかになるんですが、しょうじき「でもこれって結局あんまり解決になってないよね」と思わざるえない
ネタバレせずに書くのは難しいけど、「仮定の話で問題解決すんの?」と、それによって指し示された展開って本物っていえるのか、ってね

まあ、そんな感じで完結させようって思いは分かるけど、それだけにとらわれてしまい、映画的な面白さがちょっと失われた残念な作品でした
クライマックスがすべてをあらわすように、マジで拍子抜けという言葉がふさわしい

いろいろ厳しいことも書いたけど、「連続ドラマ」として見れば面白いのはたしか

個人的評価:60点
おすすめ度:今まで以上に金をかけたキャストが鼻につく




20世紀少年 最終章 ぼくらの旗 予告

サマーウォーズ (2009/日)

監督:細田守
出演:神木隆之介 / 桜庭ななみ / 富司純子 / 谷村美月 / 斎藤歩 / 仲里依紗 / 佐々木睦 / 金沢映子 / 信澤三惠子 / 玉川紗己子 / 桐本琢也 / 永井一郎 / 小林隆 / 清水優 / 山像かおり / 中村正 / 田中要次 / 谷川清美 / 今井悠貴 / 中村橋弥 / 安達直人 / 太田力斗 / 横川貴大 / 入山法子 / 田村たがめ / 板倉光隆


名家の少女の夏希先輩に誘われて、彼女の家を訪れた少年健二
恋人同士を装ってお婆さんと面会するなど気苦労がたえない中、健二のもとに謎の暗号文が届く

なんかかなり賛否両論な感じの作品らしいですね
個人的には「見てて楽しいけど、そう面白くはない」みたいな
ちょっとわかりにくいかもしれないですが、どうにもテレビで映像として流れてる花火大会の映像を見てる気分
とりあえず楽しければいい、というお祭り騒ぎな感じは伝わってきますが、なんかうわべだけというか深みが足りないというか
かなり悪い言い方をすれば、「子供だまし」な作品
いや、基本、つまらなくはないんですけどね

あと、ネット世界での大事がリアル世界に影響を及ぼすとか、設定が前に見たデジモンの映画版にそっくりなんで、パクリかと思ったら同じ監督の作品だったんですね
それはそれとして、ネット世界である「OZ」が大混乱におちいる所から、健二の周りのドタバタ劇はホントに楽しいし、お婆ちゃんもからんできて笑いどころもありで娯楽作品らしい印象を受けました
だけど、物語がどんどん進むにつれて、「ん?あれ?」となんか引っかかるところが増えてきて、それが夏希の「OZ」内での戦いで自分の中の疑念が爆発しました

とりあえず、なんでおまえなんだよと夏希の活躍シーンの間中思ってましたね
それまでそんなに物語の中心にいなかったし、どっちかというと肉体派のカズマと頭脳派の健二の物語になるもんだとばかり思ってたので
なんかいきなりしゃしゃり出てきて、見せ場をかっさらっていった風にしか見えません
そもそも、この作品自体が誰を軸に描きたいのか定まってない印象が強い
夏希と健二のすれ違いながらもひかれていく様子を描きたいのか、カズマと健二の不器用ながら認め会うような友情を描きたいのか、家族の絆を描きたいのか、しょうじきラストまで見ててもよくわかりませんでした
一本の主軸みたいな、これってものがないんですよね

頭を空っぽにして見れば面白いんでしょうが、さすがに視点が定まらないとどうもノリきれません
他のことをとやかく言ってもしかたありませんが、デジモンの映画版みたいにもっと単純で、あまり欲張らずに主軸になる所はブレさせずに描いてくれた方が助かります
あれもしたい、これもいれたい、もっともっと盛りだくさんにハチャメチャしたいってのは分かるんですが、ね

あと一点、夏希が「OZ」内でレアコスをゲットした所とか「アホか」と一人で笑いをこらえてたんですが、周りのお客さんは無反応でした
ほかの他愛もないライトなコメディ部分はみんな笑ってのに・・・なんとも自分のツボが明らかに他人と違うことを再認識
この作品、おっさんは楽しめないかもしれないと噂では聞いていましたが、なんとなくその理由が分かりましたね
画とかなんとかは別として、めちゃくちゃ子供向け作品なんですよ
それもちょっと背伸びしたいけど、まだまだお子さまってくらいの年の人が見たらすごいおもしろく感じると思う

そんなこんなで、自分もおっさんなんだなあ、と
逆に言えば、今時のお子さまの趣向を知ることができたってことでひとつ

個人的評価:60点
おすすめ度:夏希はビッチというか、リアルクソガキ




サマーウォーズ 予告

2009年8月28日金曜日

HACHI 約束の犬 (2008/米)

監督:ラッセ・ハルストレム
出演:リチャード・ギア / ジョーン・アレン / サラ・ローマー / ケイリー・ヒロユキ・タガワ / ジェイソン・アレクサンダー / エリック・アヴァリ / ダヴェニア・マクファーデン


小さな田舎街の小さな駅で、子犬を拾ったパーカー
子犬はハチと名付けられ、仕事に行くパーカーを毎日駅まで送り迎えするほどになついていたのだが

吹き替え版しか上映してなく、なんとも吹き替えの評判が悪い上に、やっぱりリチャード・ギアの「ハァーチィ」が聞けないのは残念だけど観念して鑑賞
だけど、そんなことは些細なことでしたね
元々吹き替え慣れしてるのもありますが、そんな些末なことなんかどうでもいいくらいに泣いちゃいましたよ
やっばいわあ、マジで鼻水だして泣きまくり
空気読めてないと噂の日本語版クソED曲をしかたなく最後まで聞いて心を落ち着かせて外で出たんですが、それでも普通にうるうるしてましたからね
絶対、映画館のスタッフのお姉さんに「やだ、一人映画でマジ泣きとかキモいんですけど」と思われたに違いない

話的には超有名なんでいまさら言うことはないですが、とにかく制作スタッフの犬好きっぷりがばっちり伝わってきましたね
普通の犬映画とかだと、犬も演者として作品を彩る役の一人なんですが、この映画のハチは本当にナチュラル
ペットもの番組のドキュメンタリーを見てるように自然の動きが多いです
そしてまたすっとぼけた顔のハチがマジでかわいい
アメリカの美的感覚は日本人的にちょっとアレな気がしてましたが、この作品に出てくるハチや他の動物たちは日本人の美的感覚に会わせてるんじゃないかと思うくらいにかわいい

そのかわいさがあるからこそ、万人向けな作品になってるんですが、さらに犬を飼っている(飼ったことがある)無類の犬好きな人が見たらマジで神映画といえるでしょう
そうは犬映画を多く見てはいないけど、この作品はかなり上質な犬映画だと思いますね
知ったかや犬を商品として扱うだけの製作陣ではけっしてないのが分かるから

内容的には駅員のおっちゃんのお調子者っぷりにイラっとくる以外は大満足
気になってた吹き替えも女性陣がちょっとアレな感じだったけど、主役のリチャード・ギアをあててる北大路欣也はそれほど違和感はなかったですね
そして、問題のラストの展開は卑怯すぎるほど涙を誘うたたみかけ
終盤、パーカーの奥さんが駅を訪れたあたりからもう涙腺ゆるみっぱなし
最後のオチもありふれてはいるけど、ちゃんと映画的な気を利かせたファンタジーをいれてくれて個人的には良かったと思いますね
ハチのラストの顛末はやっぱりこういう展開が感情的に一番安心できます

そんな感じでラストばかり泣いた泣いたいってますが、その他にもハチとパーカーの日常のやりとりも丁寧に描かれていて面白く、そしてジーンと来るシーンも多かったですね

個人的評価:90点(犬好き限定)
おすすめ度:あのリチャード・ギアの台詞が目立つCMほど色物な内容じゃない




HACHI 約束の犬 予告

※日本語版主題歌同様、空気が読めてないネタバレシーン含むので注意
予告は見ない方が本編を楽しめます

ぼくは怖くない (2003/伊・スペイン・英)

監督:ガブリエーレ・サルヴァトーレス
出演:ジョゼッペ・クリスティアーノ / マッティーア・ディ・ピエッロ / アイターナ・サンチェス・ヒホン / ディーノ・アッブレーシャ / ディエゴ・アバタントゥオーノ


小麦畑に囲まれた小さな村、そこの子供のミケーレが村はずれの廃屋で深い縦穴を見つける
おそるおそる中をのぞいてみると、そこには子供が一人よこたわっていた

なんだかよく分からない映画を見ていこう、ということで視聴
アルバトロスは時として一般的に普通に面白い映画を出すから困らない
ということで、みんな大好きアルバトロス!記憶に新しい所だと「フロッグマン」のアルバトロスから発売されてる作品
しょうじきそんなに期待してなかったけど、意外や意外に引き込まれて見てました

ミケーレという子供が、明らかに自分の意志でいるって感じじゃない穴の中の子供を見つけるんですが、そんなよく分からない状況っぷりが面白い
さらに子供たちは良くも悪くも純真で、村の美しい情景と相まってさわやかでいて不思議なファンタジーチックな話が進む
と思ったら大間違いで、穴の中に子供がいる理由が明らかになってから、この作品は本当に面白くなってきます
ようするに同じ世界にいながら、子供たちの見て感じている世界と大人たちのそれとはこうもギャップがあるのか、という対比を楽しむ内容ですね

子供の事情と大人の事情の対比、っていうとそう新しくもないですが、本当に子供たちの放つ陽のイメージと、大人たちの放つ陰のイメージの深刻さがよくできてます
世界のことなどよく知りもしない田舎の村の子供だからこそ成り立つ内容かもしれません
大人ってホントに汚いですが、それでいてリアルおっさんの意見としましては、そんな汚い大人たちのいっけんちぐはぐに思える行動なんかがとてもよく理解できます
そして、かつて自分も田舎のクソガキだったんで、劇中の子供たちのやりとりもよく分かるわあ
田舎子供たちのグループでの上下関係とか、日本の昔のそれにそっくりなんじゃなかろうか
いや、個人的に似たような環境だったってだけかもしれんけど

内容的にはミケーレが穴の中の子供とじょじょに仲良くなっていい話的な流れになるにつれて、大人たちのダーティな部分が濃くなっていくといった感じで
このミケーレと穴の中の子供のコミュニケーションもなんかよく分からないが、なんとなく微笑ましい
もっとクソサスペンスならバンバンネタバレするけど、なんとも普通に面白いんでやりづらい
まあ、それほどあっと驚く内容じゃないけど、気になる人が見てもそう後悔はないかもしれないので
特に母性を振りかざしつつ、それでいて汚れている自分を分かり、でも大人として自分の身がかわいいゆえの行動をとってしまう点は見所かも

クライマックスも「このままいくと…?いや、でもまさか、もっと無難に…おうっ!?」って感じでホントにビクッときましたね
その後はなんか物足らない気もしましたが、ラストの手を伸ばすくだりでやっぱりいい話だなあ、と

そんな感じでガッツリ系のサスペンスではないけど、さらっと流して見るには楽しめる一品でした

個人的評価:70点
オススメ度:ブタおっさんの意味が分からない




ぼくは怖くない 予告

2009年8月27日木曜日

きみの友だち (2008/日)

監督:廣木隆一
出演:石橋杏奈 / 北浦愛 / 吉高由里子 / 福士誠治 / 森田直幸 / 柄本時生 / 華恵 / 中村麻美 / 大森南朋 / 田口トモロヲ / 宮崎美子


生涯、松葉杖を手放せない体の恵美は、幼少の頃に出会った腎臓を患っている難病の持ち主である親友の由香とかけがえのない時を過ごしていた
恵美の思い出とともに様々な「友だち」の模様を描いていく

おいおい、おっちゃんマジ号泣しちゃったじゃない
ということで、最近なんかシネ充な日々を送ってますが、まさかここまで自分のツボをついてくる映画があるとは…
友情、出会い、別れ、それでも元気にやってるじゃない
そんなありふれたテーマなのに、やばいくらいハマリこんでましたね

とりあえずこの作品は「どや?ん?ほら、泣いてしまえ」みたいな押しつけがましい感動演出は極力抑えてあり、淡々とポイントポイントを画面に出すことで見てる側に察してもらおうって作りになってます
それでいて別に気取ってるわけでも、難解な文学的な内容でもなく、非常に分かりやすい
あと、けっこう細かい所まで丁寧に、そしてひねって作ってあるので「泣き映画」としてだけじゃなく、一つの映画としても楽しいし面白い

小学生、中学生、高校生、社会人、それぞれの恵美とその周りを取り巻く環境がリアルでいてリアルではない、どこか引っかかるような描写が邪魔になってるどころか、逆に気になって引き込まれてしまいますね
友情、裏切り、上下関係、恋愛、それぞれをあくまで「見せる」ところまでで踏みとどまって、そこからどう思うかは見てる側しだいという行間を夢想するのが楽しい
冒頭、ちょっとなにが始まるのかよく分からないって話の運びになりますが、話が進むに連れて「そう難しい話じゃない。というより、むしろ単純ゆえに面白いな」と思えてきます

そんな抑えに抑えた心地よさですが、終盤の恵美がベッドに転がるシーンで一気に爆発します
こんな枯れたおっちゃん泣かしてどうすんのよ、ってくらいに涙が止まらなかった
というか、あそこの演出は反則だろ、マジで
そりゃ泣くって
その後のエピローグ風なのが蛇足気味かな、とも思ったけどラストの恵美の一言でジーンとくるさ、そら
そしてエンディングテーマ…この映画本気っぷりがよく分かります
最近のタイアップで選ばれた、作品の印象とはほど遠いクソ主題歌なんかとは比べるのもどうかと思うほどに作品のイメージまんま
最後でたたみかけてきやがって、まったく良い意味で「やられた」映画でした

個人的評価:90点
オススメ度:友達って、いいね。もう手遅れだけど




きみの友だち 予告

2009年8月26日水曜日

トランスポーター2 (2005/仏・米)

監督:ルイ・レテリエ
出演:ジェイソン・ステイサム / アレッサンドロ・ガスマン / アンバー・ヴァレッタ / ケイト・ノタ / マシュー・モディン / ジェイソン・フレミング / キース・デヴィッド / ハンター・クラリー / シャノン・ブリッグス / フランソワ・ベルレアン / ジェフ・チェイス


運び屋フランクの今回の依頼は危険のまったくない子供の送迎
しかしある日、子供が謎の武装集団に狙われ、さらわれてしまうのだった

3を観に行くかどうかは微妙だけど、いちおシリーズを通して見ようキャンペーン
いやあ、これ1とは違うベクトルな意味で前作を超えてますね
個人的に1に期待してたトンデモ部分がパワーアップして、よりバカに、よりB級に邪道進化した続編
これ、これですよ、自分が見たかった「トランスポーター」という設定からできた作品は
にやにやしながらバカなアクションを存分に堪能させていただきました
まあ、ストーリーとか1以上にどうでもいいガキっぽいシナリオで、しょうじきほとんど無いに等しいですが
でも個人的には、ストーリーもアクションも中途半端になるくらいなら、いっそのことストーリーはクソでも良いよ派なんで、これはこれで

たぶん世間一般的には「やだ、なにこのクソB級映画…。やっぱ続編ものってダメダメじゃん」という認識が強いでしょう
だけど分かっててこういうノリにしてる、ってのが伝わってくるから気にしない
それでも内容的には1を見てないと素敵ポイントが伝わりづらい、というか前作のシチュエーションを踏襲してじゃっかんパロってる風に展開するシーンが多少あるんで、記憶に新しいうちにこの2を見ると良い感じ
この映画では「おまえ相変わらず閉所でのバトル無敵伝説かよ」とか、「おまえらそんなに斧好きなのかよ」みたいなツッコミを入れまくって楽しむのが正しい作法です

今回もさらに敵キャラの素敵っぷりが加速してて、唐突にケンドープレイとか高等なボケを見せられても対処に困る
さらに女暗殺者も良い味だしてて、最後の決着の付き方がちょっとアレかなあって以外は概ね素敵…というより、なんでこんなに変な魅力があるんだろうか、と
主人公のハゲおっさんのバカアクションバリエーションも増えてて、さらに乗り物系のトンデモアクションもアホっぽい感じに良くなってて大満足
特にラストバトルとか、なんというか、あまりにバカバカしくて笑いとツッコミが止まらなかったですね

あと前作に出てきたキャラがゲスト出演みたいな扱いで再登場しますが、単なるおもしろキャラに成り下がってたのはいかがかと
別にいいけどさ、ぶっちゃけ再登場する意味あんまなくね?みたいな
どうせならもっと直接的に関わってきてほしかったかも

という感じで個人的には余裕で前作越えはしてると思います
が、あくまでB級好きな映画を見る目がないヤツの意見ということでひとつ

個人的評価:80点
オススメ度:フランクさんは隊長って器じゃない気がしてならない




トランスポーター2 予告

2009年8月25日火曜日

トランスポーター (2002/仏・米)

監督:ルイ・レテリエ / コーリー・ユエン
出演:ジェイソン・ステイサム / スー・チー / マット・シュルツ / フランソワ・ベルレアン / リック・ヤング


ルール厳守のクールな運び屋フランク
ある依頼の最中、思わず積み荷の中身を見てしまうというルールを破ったことから事態は急速に悪化していくのだった

スタリッシュバカアクションのリュック・ベッソンが関わってる素敵バカ映画ですね
なんというか、この主人公のダークヒーローっぷりといい、なんとも少年マンガチックな、悪く言えばガキっぽい作品でした
リュック・ベッソンが関わるとそこそこ面白い、100点満点中60~80点くらいの映画はできるんですが、それ以上はないってくらいに「なんか分からないけど、ちょっと物足りない」感がします
この作品もまさにそれ
それでも「96時間」よりは潔くバカっぽい路線を貫いてるので楽しめました

運び屋!スピーディなドライビング!街を疾走する派手なカーアクション!
という印象だったんですが、なんというか「何かを運んでいる」というシーンより、なんかじゃっかん胡散臭い格闘術で戦ってたというイメージの方が強いですね
しかもやたらと狭い場所で多人数とバトってくれるんで、やっけに男臭いくらいに画面密度が高い場面が多かった
そのくせにカーアクションパートはわりと小ぎれいに撮ってる感じで、おまえホントに「トランスポーター」ってのを描きたかったのか?と
やたらに存在感のあるハゲたおっさんがひゃっほいするの作りたかっただけちゃうんか、と

ストーリーはもう使い古されたというより、むしろ見飽きた部類に入ります
怪しい連中に依頼された荷物が実はややキャピってる女の子で、クールな主人公との対比と主人公の人間らしさを描いていく
で、その女の子は実はラスボスと関係があって、主人公は事件に巻き込まれる形で結局は敵を倒していく、みたいな
そんなありきたりな感じながらも、少ない溜めでポンポンとテンポ良く進行することで求心力を出すリュック・ベッソン方式も健在

いや、でもマジでビュンビュン車をかっ飛ばしながら、飛んだり跳ねたり、もっともっとバカでスタイリッシュで荒唐無稽なカーアクションがあると思ってただけに残念
映画的に当たり外れ気にせずに安心して見てられるけど、期待以上の満足度はそうそう得られない、なんともむず痒い作品
ヒロインのビッチぶりもちょっと個人的には…な感じで、典型的な他人を巻き込んでいくタイプの女狐ですね
そんな中でもやっぱり警部の男イベントはグッときますね
もうちょっとなれ合わない感じで不器用な協力の仕方でもよかった気もしますが、これはこれで

あとは最後の積み荷の中身が「本当は○○だった」みたいなトンデモ展開を期待してただけに、普通に終わってしまってガッカリ
いや、むしろそこに意外性をもとめるのはB級脳かもしれませんが

個人的評価:70点
オススメ度:息抜きに最適




トランスポーター 予告

2009年8月24日月曜日

20世紀少年 第2章 最後の希望 (2008/日)

監督:堤幸彦
出演:豊川悦司 / 常盤貴子 / 平愛梨 / 香川照之 / ユースケ・サンタマリア / 藤木直人 / 石塚英彦 / 宇梶剛士 / 小日向文世 / 佐々木蔵之介 / 森山未來 / 古田新太 / 小池栄子 / 木南晴夏 / ARATA / 前田健 / 六平直政 / 荒木宏文 / 佐藤二朗 / 片瀬那奈 / 光石研 / 西村雅彦 / 西村和彦 / 手塚とおる / 田鍋謙一郎 / 甲本雅裕 / 田中要次 / はなわ / 設楽統 / 日村勇紀 / フレッド・マックィーン / 陳昭榮 / 徳光和夫 / 石丸謙二郎 / 佐々木すみ江 / 梅津栄 / 研ナオコ / 小松政夫 / 石橋蓮司 / 中村嘉葎雄 / 黒木瞳 / 唐沢寿明


2015年、行方知れずのケンヂは歴史的に血の大晦日の首謀者とされ、「ともだち」は着実に支配力を強めていった
そんな中、ケンヂの姪にあたるカンナは「ともだち」を止めようと戦い続けていた

いやはや、なんというか、もう一本の映画としてとか潔いほどに気にしてない、まんま1章の続編です
まるでドラマの第2話がはじまったような感じで、普通に続きを描いてますね
個人的にはこの作品の半分くらいまでしか原作で追ってなかったんで、けっこう後半は新鮮で楽しめました

作品の進行ゆえに外せないけどそんなに尺を取れないってシーンが、あからさまにすっごい駆け足ではしょってる感がひしひしと伝わってきます
だけど、さすがにそこら辺は作り手も分かってて、ギリギリの所でちゃんと盛り上がるシーンを挿入してきて負のイメージに傾くのを回避してますね
それでもサダキヨ関連の描写はさすがにひどかった印象が強いですが

前作以上に昭和臭がきつい場面が多く、話題作だからって若い世代が見てもよく理解できない所もあるかもしれません
逆によくここまでおっさんの方を向いて作ったもんだ、と
単純に話題作を作りたいなら昭和臭は全面的に消して、イケメンたちの軽いトークで緊張感のない方向性もできただろうに
そうしなかった精神は立派だと思います
個人的な意見だけど、こういう昭和臭を残しておっさんの方を向いた作り方は商業的にけっこうな冒険だと思うんで
まあ、それを排除したら「20世紀少年」じたいがおかしな方向にいっちゃうから、仕方なく入れてるのかも知れませんが

話題作、豪華キャスト、いかにも金がかかってそう、という色眼鏡で見たとしても、ぶっちゃけ中身はB級映画です
「ねーよ!」「バカだ!」と私がいつも見てる素敵なB級作品と同じように、生暖かいツッコミを入れながら楽しめました
やっぱりどうしても3部作の真ん中はちょっと変化球的な内容になりがちですね
楽しめる人は楽しめますが、マジメな人ほど「はぁ?」と置いてけぼりをくらうでしょう
もしくは、最終章に向けて仕方なく見てやるか、といった鑑賞方法をする人もいるかも

1章と同じように肩の力を抜いて、それでいて入り込みすぎず、心離れすぎずで絶妙な距離感のままストーリーを楽しめます
この距離感が実はけっこう計算されてるくさい
長い尺の作品ですが、劇中でずっとこっちの感情をコントロールされてるような感触があり、席を立たせてしまうほどの飽きさせ方を紙一重でさせないような努力が見て取れます

内容はあまり言うと全部ネタバレになってしまいますが、すでに最終章の予告映像でケンヂ関連のネタバレが流れてますが、実はすでにこの2章でケンヂの生死うんぬんは解決してるんですね
ああ、しかし予告を見る限り、最終章のさらにB級がかった展開とか今から楽しみだわ
うん、もう謎とかそういったミステリー方面の興味はないです
このハチャメチャで「マンガの世界」みたいなのを楽しめばいいじゃないってね

個人的評価:70点
オススメ度:この2章に乗り切れない人は、実は正常な精神の持ち主かもしれません




20世紀少年 第2章 最後の希望 予告

2009年8月23日日曜日

20世紀少年 第1章 終わりの始まり (2008/日)

監督:堤幸彦
出演:唐沢寿明 / 豊川悦司 / 常盤貴子 / 香川照之 / 石塚英彦 / 宇梶剛士 / 生瀬勝久 / 小日向文世 / 佐々木蔵之介 / 藤井隆 / 山田花子 / ARATA / 片瀬那奈 / 池脇千鶴 / 鈴木崇大 / 三浦敏和 / 中田敦彦 / 藤森慎吾 / 藤井フミヤ / 及川光博 / 森山未來 / 津田寛治 / 徳井優 / 石橋保 / 布川敏和 / 入江雅人 / 竹中直人 / 竹内都子 / 洞口依子 / 遠藤憲一 / 光石研 / 佐野史郎 / ベンガル / 研ナオコ / 石井トミコ / 吉行和子 / 竜雷太 / 石橋蓮司 / 中村嘉葎雄 / 黒木瞳


1997年、日本であるカルト宗教がはやりだした頃、世界で謎のウイルスによる集団感染死事件がおこった
一連の騒ぎについて同窓会で知ったコンビニ経営をする男ケンヂは、それらが子供の頃に仲間たちで空想したことだという事実に突き当たる

まあ、アレですよ
来週の予習もかねて今さらながら借りてきて見たんですが、最終章の宣伝に合わせてテレビで普通に放映されてた事実に散財感を隠しきれません
第2章も放映されるみたいですが、この手元にあるDVDはどうすればいいの?ねえ、ママ

そんなわけで、もはやいろんな所で語られてるでしょうが、キャスティングが無駄に豪華すぎる上にキャラが原作といい感じでマッチしてますね
とはいえ原作もたぶん2章の途中あたりまでしか読んでなくて、わりと多いだろう「面白いんだけど、浦沢マンガの回りくどさに読むのが面倒になった」組の一人です
けっこう原作に忠実みたいで、それでいてテンポ良く編集されてて尺が長いわりにはあっという間に見終わってしまうほど熱中できましたね
ただ、テンポがいいとは良く言った方で、悪く言えばあっさりしすぎ感も大きく、CGのつたなさも相まってあまりクライシスな雰囲気は伝わってこなかったですね
あと登場人物の死も、口では惜しんでみても、演出的にみょうに軽く扱われてるような気がしました

序盤の現実的な描写から終盤の非日常的な展開にもっていく流れはやっぱり秀逸ですね
ただ、ここら辺は原作を知っているからこそ「おお、そうそう」と思えるだけで、知らない人から見たら「はあ?」って感じるかもしれない
最初から3部作をうたっているだけあって、これ一本の映画としては伏線広げたまま終わってるのも個人的には好きなしめ方じゃないです
が、まあ、原作無視して一作ずつ話を映画的に完結させていったらいったで不満はでるでしょうし、なんとも難しいですね
この冬の「のだめカンタービレ」の前後編といい、もうこういう続編ありきな投げっぱなし作品もひとつの映画の形として認めた方がいいんでしょうか

内容的には、やっぱりうだつの上がらないおっさんが情熱を取り戻して立ち上がるってのはリアルおっさん的にも燃えるわあ
いまどき珍しいおっさんこそ見るべき映画…とじゃっかん叫びづらい所もありますが、まあ、それはそれで
サスペンスではあるんですが、この1章だけ見てる時点であれこれ推理してもはっきりいって無駄な感じはします
3部作ゆえにどうせ最後の最後で全ての推理をひっくりかえす事実が待ってるんでしょうからね

という感じで、この1章の内容は原作で知ってましたが、次の2章のラストあたりはたぶん未読な所まで話が進むと思うんで、後日見る続編に期待

個人的評価:70点
オススメ度:3部作の一片と割り切って見れば楽しめます




20世紀少年 第1章 終わりの始まり 予告

ホッタラケの島 遥と魔法の鏡 (2009/日)

監督:佐藤信介
出演:綾瀬はるか / 沢城みゆき / 戸田菜穂 / 大森南朋 / 谷村美月 / 松元環季 / 家弓家正


母親の手鏡をいつの間にかなくしてしまった遙
それからしばらくして、ある日、神社で見かけた不思議な生き物を追っていった遙は不思議な世界へと導かれるのだった

CMとか見る限りでは子供向けのようで、実はけっこうダークなファンタジーの予感がしてたんですが・・・
なんともそのまんま子供向けのライトファンタジーでした
かといって主人公が女子高生とか、この手のファンタジーにしては発育したお嬢さんが活躍する話なんで、微妙に親子連れで見るような設定でもないような気がしますが

冒頭から現実世界がけっこう生活感のある描写で、丁寧に作られてる感がしましたね
そこからデジタルで描かれたアナログチックなホッタラケの島へと舞台が移り、CG技術の進歩を見せるだけじゃない作品としての美術表現は好感触
だけど、大量の人間界でほったらかしにされた物で作られた街に入った遙が「手鏡を探す」とか言い始めた所あたりからおかしくなってきます
いわゆる「ほったらけ」の固まりでできた巨大な街から小さな手鏡を探すとか、正気の沙汰じゃないことを平然と言える主人公とか頭おかしいとしか思えません

で、またこのヒロインの遙さんが妙にアグレッシブというか、今時というか、軽くビッチというか・・・
もっとファンタジー世界なんだから、素直なよい子ちゃんでいいじゃない、と
ヒロイン関連で言えば、劇中の画であんまりにも露骨に遙のローアングルから狙ったカメラが多すぎる
いや、まあ、うれしくないとは言わないが、あまりに作風的にエロス分はマッチしないんじゃないかと
そんくらいに露骨すぎる

そこからコットンとの再会のシーンでもう自分の中でこの映画の感想は決定的に
あまりにご都合主義すぎるだろ、と
いくら子供向けとはいえ、行く先々で都合のいい展開がぽんぽん起こりすぎ
特に手鏡を見つけるシーンとかさすがにひどい
序盤は丁寧に描かれた良昨だなあ、と思ってただけに、ね・・・

それでも個人的に人間と「人間ではないモノ」とのコミュニケーションや友情ってのは好きなんで、そこら辺の描写はよかったですね
あとは人間界での遙のしこりの部分の解消するシーンの展開なんかもうまいなあ、と思いましたし、父親関連のシーンはけっこうグッとくるものがありました
とはいえ、特に目新しいというわけではなく、なぁんかどっかで見たような気がしないでもない画柄でしたが

そんな感じで画的には大きなお友達にも耐えられる・・・というか、オタクさんも大満足な感じかもしれませんが、内容はもろに定年齢な子供向け作品でした

個人的評価:60点
おすすめ度:コットンに対する男爵の仕打ちは非道




ホッタラケの島 予告

96時間 (2008/仏)

監督:ピエール・モレル
出演:リーアム・ニーソン / マギー・グレイス / ジョン・グリース / リーランド・オーサー / ホリー・ヴァランス / デヴィッド・ウォーショフスキー / ザンダー・バークレイ / ケイティ・キャシディ / ファムケ・ヤンセン / ジェラール・ワトカン / オリヴィエ・ラブルダン


父親としてはイマイチで娘を母親に取られて離婚した元CIAの男、ブライアン
ある日、離婚しても愛してやまない娘が旅行先で誘拐されてしまった

普段はダメダメだがやるときはやるっていうダディが、娘のために文字通り命を懸けて戦う・・・というシンプルな内容
シンプル故に面白い所もあるが、どうも見終わった後の物たらなさは否めない
悪くはない。けっして悪くはないんだけど、ギリギリで悪い意味で普通な作品

友達のビッチに誘われて旅行にいく娘、その宿泊先で襲われて誘拐され、ダディがその救助に要するタイムリミットが96時間だと知って行動を始める
んですが、全編通してその96時間というタイムリミットがまるでないかのように切迫感がないのってどうよ?
タイムオーバーで即どうこうって展開じゃないんで、緊張感的な意味でゆるゆるすぎる
と、なにげにこの作品の邦題を根底から否定しみましたが、マジで96時間というのは映画的なキーになってません

内容的には娘をさらった組織を小さな手がかりからヒントを得て追跡する、っていうのが初期の流れ
だけど、物語が進むにつれてもうパワープレイの連続でサスペンス性がなくなっていきます
とにかく主人公であるダディが強すぎるのと、相対する敵にこれといった宿敵がいないのがアレかなあ、と
すべての敵はセガールばりに素敵に絶対無敵すぎるダディをひきたてるためだけに存在してるとしか思えない

そして、この映画はとにかく容赦ない、というか容赦なさすぎるダディのハッスルプレイを楽しむ作品なんじゃないかと途中から思わざるえないですね
敵は基本的に殺すのがデフォ
さらに許しを請おうが泣き叫ぼうが、娘第一なダディは決して妥協も容赦もしない素敵っぷり
それだけじゃなく、娘を探すためなら無関係な人にも普通に銃をむける、傷つけるとかあたりまえ世界
ジャン・クロードの奥さんに対する非道っぷりはさすがに軽く引くほどです

アクションもちょっと似たり寄ったりなものが多く、ラストもホントにクライマックスなのか、っていうくらいにそれまで通りのテンションで話が進むので、見てたらいつの間にか終わってたみないな感じですね
もうちょっとバカキャラ、バカ展開で極B級なのを狙ってもよかったんじゃないかと
もしくは敵側にダディの元CIAという設定をいかして、当時のことに恨みを持つナイスキャラなボスとかいたらよかったんじゃないかなあ

いや、マジでつまらなくはないんだけど、際だったおもしろさもない微妙な作品でした

個人的評価:50点
おすすめ度:ザ・地味




96時間 予告

2009年8月21日金曜日

プロジェクト・グリズリー (1996/カナダ)

監督:ピーター・リンチ
出演:トロイ・J・ハートビス


山でグリズリーに遭遇しながらも見逃してもらえた男
以来、男は熊に固執し、強靱な防護スーツの開発をはじめるのだった

ドキュメンタリーっていうのは、やっぱりこれくらいのガツンとくるインパクトがないといかんね
まあ、見たところで「そういうこともあったんだ」とは思うけど、人生に役に立つような知識が得られる映画じゃないけどね!
とにかくバカな男と周りのバカな男たちが、いたってマジメに熱くバカバカしいことに向き合うバカドキュメンタリーといえなくもないですね

7年にわたって改良を重ねてきた防護スーツ
丸太や棒で殴ったり、崖を転げ落ちたり、車との衝突を試したり、いろんな強度実験と正気とは思えない金をかけてスーツはやっと完成
熊に対するトロイさんの熱い思いや、嫌な顔もせずに共に実験に協力してくれる男どもの愚直ゆえにシンプルな所は、バカ映画ながらにじんわりと共感してしまう所が多い
この映画の良いところは「実験に対してはどこまでも本気」という点ですね
ふざけたドキュメンタリー風な作品ではなく、こんなバカなことを本気でやってるんですよ

出てくる人物達もいかにもって感じの陽気で感じの良い人ばかりで、たまに入るおふざけのシーン(軽口やロボコップなど)によって、見てる方も肩の力を抜いて鑑賞できるエンターテインメント性もあっていいですね
あとは、やっぱり野生の熊は恐ろしいんだろうけど、ほんとによくよく見ると愛らしい姿してて困る
グリズリーのつぶらな瞳とか反則気味です

で、結局の所、この映画のいきつく先には熊との対決シーンはありません
というか、いざ熊に会いにって時に防護スーツは山みたいなでこぼこ道じゃ身動きでいない代物だと分かり、しかも数日後には雪が降り出して本格的な冬に突入、熊たちは冬眠に入るから実験はまた来年とか言い出す始末
まあ、薄々わかってはいたけど、おまえらどんだけ大ざっぱな性格なんだよ、と
というか、防護スーツで熊と対峙したとして、そのいきつく先になにがしたいんだよ、と

いやあ、なんともバカだけど熱い…けどやっぱバカな映画でした

個人的評価:60点
オススメ度:それでもこんなバカな大人にじゃっかん憧れる

宇宙(そら)へ。 (2009/英)

監督:リチャード・デイル
日本語版ナレーション:宮迫博之


アメリカの宇宙を目指したロケット計画
その歴史を当時の映像をもとに今にいたるまでを描く

二日限定500円ということで見てきました
けっこう親子連れもいましたが、さすがに年齢層は高め
一人映画な人もちらほらいましたね
まあ、それはそれとして、やっぱり宇宙・ロケットといえば男の子のロマンじゃない、憧れるじゃない

吹き替え版で見たんですが、ナレーション以外の当時の映像なんかの音声はオリジナルの英語なんで、けっこう字幕が多く、逆にナレーションは極力ひかえめなんで、吹き替えだから気楽にっていうわけにはいきませんでしたね
しかもなんかしらないですが字幕の流れがじゃっかん早いような気もしました

冒頭のロケット打ち上げ映像からテンションあがりまくり・・・だったんですが、内容的にどうも思ってたのと違いました
それほど航空宇宙関係の知識はないんですが、それでもニュース等で一度は見たことがある映像ばっかりなんですね
ロケット開発とか有名すぎるゆえに、ニュース、テレビのドキュメンタリーなんかでよく流れるもの以上はありませんでした
オリジナルの過去の記録映像だけで構成されてるんでしかたないかもしれませんが

あとは見てて初めて気づいたんですが、この映画はアメリカのロケットしか扱ってないんですね
もっと他の国のロケット事情、宇宙に対する思いを描いていくものと想像していたので、ちょっと拍子抜け
しかも打ち上げ失敗などのマイナス部分の描写は多少ありますが、基本は成功の先にある栄光と英雄の話でしかありません
いわゆるきれいごとだけじゃないダークでダーティな泥臭いロケット開発の裏側がまったく描かれていないのはどうなんですか、と

結果的にアメリカのロケット開発の有名な部分をつまんだ、超安定で意外な発見とか一切ないダイジェストなドキュメンタリーになってます
当時を振り返っての関係者のインタビューや、ロケット開発を裏で支える人たちとかドキュメンタリーの基本じゃないのか、って所は全スルー
学校の教材、もしくはNASA万歳したい人向けとしか思えない内容でした

しょうじき本気で見てて眠くなる内容だったけど、ちょっとためになったことも書いておきます
自分の知識がないだけかもしれませんが、ロケットが大気圏を突入して地球に降り立つときの外の温度は太陽の表面温度の二倍にもなるそうです
ということはロケットとか温度的な面では、太陽の表面とかも余裕で飛べるんだなあ、と
まあ、どうでもいいかもしれませんが

個人的評価:30点
おすすめ度:子供はマジですぐに飽きるから見せるのはよく考えてから




宇宙へ。 予告

2009年8月18日火曜日

フロッグマン (2004/米)

監督:コディ・ジャレット
出演:クリスティ・ラッセル / アリアドン・シェイファー / ロバート・パトリック・ブリンク / マイケル・マコノヒー / ジェームズ・デュヴァル / メアリー・ウォロノフ / ジョン・ポジノ


グライムズ社による水質汚染を調査しにきたバーバラ
汚染は思った以上に急速に進んでおり、生物の遺伝子を大きく狂わしていたのだった

世間的に有名所の作品ばかり見てて里心がついたんで、思わず手に取った作品がこれでした
いやあ、もう、なんというか、これ作ったやつアホだろとしか言いようがない
もう素敵すぎておじちゃん大興奮ですよ

無駄にレズビアンなバーバラさんが、あくまで公害疑惑の調査を進めるんですが、小さな郡の中でも影響力の大きい企業が相手のためになかなか調査がうまくいかないんですね
それでも最初はやる気のなかった保安官もことの重大さに目をつぶることができなくって、じょじょにグライムズ社を追いつめていく…
という本筋はシリアスで社会派を気取ってはいますが、それはそれとして汚染によって生まれたミュータントカエルのフロッグマンさんは陽気な足取りで町を闊歩してます

フロッグマンさんの目的はひとつ
それは種の存続たる繁殖行為、つまりファック
陽気にカエルらしくジャンピングファックを見せつけてくれます
そんな一応はレイプ事件に発展したことによって、ようやくグライムズ社も折れて罪を認める…んですが、そんなことは別にして盛り上がるフットボールの試合会場に女を求めてルンルンで乱入するフロッグマンさん
わりと重要で出番も多かった保安官をあっさり殺害して、ファックにいそしみます

いよいよもって大混乱のスタジアムですが、そんな中で観客の一人がフロッグマンさんを指さして「フロッグマンよ!」と見たこともない怪物相手に知ってたかのように解説してくれます
まんまと逃げおおせたフロッグマンさん
次の出現ポイントを予測していたバーバラは、それまでの目撃地点に印をつけて、おもむろに定規を地図にあてて「フリーハンドで」線を描き、目的地が女学院だとつきとめる
素人集団で女学院についたバーバラ一行は、建物の扉が開いてる前に立ち「これを見て!」とすごいものでも見つけたように「入り口」と書かれたプレートを指さします

そして、いよいよフロッグマンさんとの決戦の時、バールを持って胸をはだけて「さあ、犯って犯って、犯りまくればいいじゃない!」と挑発して、近づいてきたフロッグマンさんをボコリはしますが、そこへ応援にきた騒ぎの張本人グライムズ社長に普通に銃殺されてフロッグマンさんご臨終
そして9ヶ月後、フロッグマンさんにレイプされた女の人がフロッグマンジュニアを無事に出産してエンド
と、思いきやエンドロールのさなかに亡きフロッグマンさんが軽やかなダンスを披露してくれます

いやあ、アホだわ
クライマックスが近づくにつれて、どんどんアホになっていくんで見てて楽しいことこの上ない
あ、もちろん普通の映画好きな人から見たらどう思うかは知りませんがね
個人的には大満足でした

個人的評価:70点
オススメ度:フロッグマンジュニアはわりとグロイ




フロッグマンのテーマ
(この映画を見た気分になれるかも?ジャンピングファックのシーンはカットされてますね)

2009年8月16日日曜日

ナイトミュージアム2 (2009/米)

監督:ショーン・レヴィ
出演:ベン・スティラー / エイミー・アダムス / ロビン・ウィリアムズ / オーウェン・ウィルソン / リッキー・ジャーヴェス / ハンク・アザリア / クリストファー・ゲスト / スティーヴ・クーガン / ビル・ヘイダー / アラン・シャバ / ジョン・バーンサル / ミズオ・ペック / パトリック・ギャラガー / ジェイク・チェリー / ラミ・マレック

事業が成功し、自然史博物館を去っていたラリー
そんな時、かつての展示品の仲間たちがスミソニアン博物館に送られることになり

8割が家族連れ、残りがカップルと同性の友達同士で見に来てる完全アウェーの劇場内で、一人寂しくファミリー向け映画とか見てるおっさんを見ても痛いと思わないでください
ということで直前に前作をすべりこみ鑑賞して見てきました
そして誰もが思うだろう最初の感想「ラリー、おまえ博物館のみんなと仲良くやってたんじゃないのかよ!なんで博物館やめてるんだよ!」としか言いようがない

などとツッコミもしましたが、しょうじき今作はそんなツッコミは無粋ですね
前作以上にコメディよりになって、ストーリーなんてクソ食らえなはちゃめちゃオンリーの前作ファン向けお祭り映画でしたから
シリーズとしてのナンバリング作品というより、ホントに後日談というか1を好きだった人にちょっとだけ夢の続きを見させてあげますよ的な映画
前作を見たことを前提に話が進むんで、いきなり2を見ても絶対についてこれない内容
よほど思い入れがあって1の内容をよく覚えてるって人以外は、直前に1を見てからにした方が無難かも知れません

逆にいえば一本の映画作品としてはとてもじゃないけど大ざっぱすぎる
登場キャラもナポレオン、イワン雷帝、アル・カポネ、アインシュタインなど前作より一般にもなじみのある人(や物)が多いので、ゆえに個々のエピソードの掘り下げがなく、結果的に単に顔出しだけのキャラが多い
そのくせアメリアとかいうビッチがやたら前面に出てくる
スミソニアンという巨大な舞台でありながら、まったく巨大さが伝わってこない
ラリーの息子の登場する意味がない

普通に見ればそんな悪い部分が気になります
ただファン映画として見れば、ほぼ全編アクションかコントで構成されていて、しかもおとぼけな敵との掛け合いも楽しいんで、頭からっぽにして見た者勝ち
コメディ部分も日本人的にも受けやすいネタが多いですし、それでいて映画好きむけのパロディがあったり、モトローラとか分かる人は分かるネタ、よくよく考えるとブラックなユーモアもあったり、コメディ好きなら普通に楽しめます
コメディは楽しければいいのさ
個人的には死者の門から出てきたヤツの顛末が「おまえらなんなんだよ」って感じで面白かった

作風的にも後日談みたいということで、ラストのオチもこれ以上は続編を作る気がないってのが伝わってきます
まあ、ラストがああなった以上、続編を無理に作ってもこけるでしょうね

個人的評価:60点
オススメ度:1を見ましょう。話はそれからだ




ナイトミュージアム2 予告

ナイトミュージアム (2006/米)

監督:ショーン・レヴィ
出演:ベン・スティラー / カーラ・グギーノ / ロビン・ウィリアムズ / ディック・ヴァン・ダイク / ミッキー・ルーニー / ビル・コッブス / ジェイク・チェリー / リッキー・ジャーヴェス / キム・レイヴァー / パトリック・ギャラガー / ラミ・マレック / スティーヴ・クーガン / オーウェン・ウィルソン / ミズオ・ペック / ポール・ラッド / アン・メイラ


どんな仕事も途中で投げ出してしまうラリー
職安にも見捨てられる寸前、最後の望みをかけて自然博物館の仕事を引き受ける

ベン・スティラーって「ズーランダー」以外はどうも好きじゃなかったけど、この映画はいいですね
良い意味での普通に面白い作品
博物館の展示品たちが夜になると動き出すってすじは見る人はたいてい知ってると思いますが、「さて、まずは何が動くのかな?」と構えてたら序盤からメインになるかと思ってたのが動いて意表をつかれた
しかもそいつだけじゃなく、みんな怖いというより愛嬌があって、まさにファミリー向けコメディの王道

びっくり箱系の作風にしてはけっこう丁寧に作られていて、物語もわりとちゃんとしてるんで思ったほどの幼稚さはないですね
それでも斜に構えたクールを気取ったガキどもが見るものじゃないのは確か
純粋に映画が好きな人か、ファミリーか、子供たちには受けるでしょう
そもそも海外コメディってジャンルじたいが日本の標準的な人たちには受けづらいから仕方ない

登場キャラについて知識を持ってれば楽しいと思いますが、そうでなくてもストーリーを追ううちにどんな奴かそれとなく説明してくれるんで、気にせずに見ても大丈夫
内容的にははちゃめちゃだけど、ちゃんと「そういうことね」って感じで悪者が登場して話的に締めの部分を作ってます
そうはいっても基本はCGながらもナチュラルに動く展示物たちのあれこれを楽しめばいいじゃない、と

たださすがにご都合主義がちょっと目立つし、じゃっかん自分勝手な主人公の行動は気になりますね
数十年の間、ずっと夜になると動いてたのにここまで隠し通せるか?とか、自分の息子のご機嫌をうかがうために職場にこっそり連れてきて動く展示物を見せようとする主人公とかどうなんですかね

ベタはベタだけど、そう思ったほどイヤなベタさじゃなかった一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:今さら言うまでもないかもですが、ご家族そろってぜひ




ナイトミュージアム 予告

2009年8月15日土曜日

大阪ハムレット (2008/日)

監督:光石富士朗
出演:松坂慶子 / 岸部一徳 / 森田直幸 / 久野雅弘 / 大塚智哉 / 加藤夏希 / 白川和子 / 本上まなみ / 間寛平


ある日、父が死んだ
残された母と三人の兄弟、そして転がり込んできた叔父はそれぞれの悩みに立ち向かっていく

なんというか全編にわたって「はぁ?」としかいようのない作品でした
大阪らしい明るさ、ダメなもんはダメで良いもんは良いと素直に言う、そこら辺を描きたかったのかもしれないですが、まったくいきてない
こうしたい、ああしたいという映画的な意図は見えるんですが内容がともなってない気がしましたね

老け顔で教育実習生のファザコン女性に父親代わりをさせられる長男、バカでヤンキーながらも家庭の事情に頭を悩ます次男、女の子になりたいと願う三男
そこに明るく前向きで強い母親と、ヘタレながら一生懸命に子供たちと向き合おうとする叔父さんがいて、一見、家族の団結的なほんわかドラマが展開するかと思えばそうでもない
結果的にそれぞれの登場人物は「いい話だなあ」レベルの着地点にたどり着くんですが、そこにいたる過程の描き方が浅すぎて、これで感動してほしいと本気で思ってんのかと言いたくなります

ドタバタなシチュエーションをドタバタせずに普通に冷静に淡々と描いていく手法は悪くないと思います
でも、それをやるんだったら最後まで無理に感動演出せずに、どんなことがあってもみんな仲良く明るく暮らしていきますエンドでいいんじゃないかと
それを無理矢理にそれっぽい音楽と演出がクライマックスではじまって、感動する準備もろくにないままにそっち方面に話を引っぱられても「はぁ?」としか言いようがない

原作付きだからなんともいえないですが、個人的には中盤くらいでクローズアップされる叔父さんのエピソードを広げて、それで家族それぞれの話を包んでいく父性の作風にした方が面白かったんじゃないかと
しょうじき、やんちゃ坊主どもと強い母親っていう母性ドラマの構図は飽きるほど他にあるし
内容的にもコメディっていうほど笑えないし、ドラマっていうほど感動もできない、それでも面白いかと聞かれればつまらないという最悪気味な感じです

もっと大阪を舞台にしたっぽい、はちゃめちゃながらも人情味あふれる作品を期待してただけにガッカリでした

個人的評価:20点
オススメ度:ご都合主義のかたまりすぎる




大阪ハムレット 予告

2009年8月14日金曜日

G.I.ジョー (2009/米)

監督:スティーヴン・ソマーズ
出演:チャニング・テイタム / レイチェル・ニコルズ / マーロン・ウェイアンズ / シエナ・ミラー / レイ・パーク / イ・ビョンホン / デニス・クエイド / ジョセフ・ゴードン・レヴィット / アデウェール・アキノエ・アグバジェ / クリストファー・エクルストン / サイード・タグマウイ / ジョナサン・プライス / アーノルド・ヴォスルー / マイケル・ベンイアー


世界的な兵器売買企業で開発されたナノマシンによりすべての金属を食い尽くす力を秘めた弾頭
それを謎の集団に奪われ、護衛の任にあたっていたデュークは彼を助けてくれた「G.I.ジョー」と呼ばれる特殊部隊に入り奪われた弾頭を追う

夏休み、家族連れ、カップル、周りのことを考えないではしゃぐガキんちょども
田舎町からちょっと足を伸ばして久しぶりに映画館に行ってきました
なんともやっぱ栄えてる街…ってほどじゃないけど、複合施設内にあるスクリーンいっぱいの映画館とかすごいわ
ええ、もちろん一人映画ですが、なにか?

それはそれとして、前評判的にかなりのB級だってのは知ってたんで「よし、俺の映画だな」と覚悟完了済みで鑑賞
で、やっぱり見た感想としてはB級でしたね
脳内で妄想したビジョンを湯水のように金を使ってすべて映像化したのか、ってくらい見た目は派手なんだけど、その飾られた派手さを取っ払うとなんとも中身のないB級さだけが見えます
作風的にはいきなり肉料理を出されたかと思ったら、次に魚料理を出されて、最後にまた大盛りの肉料理を出してきて、あげくに全部の料理がみんな同じ味付け…みたいな
最初から最後まで派手なアクションの連続というか、この映画の9割はアクションシーンといっても過言じゃないですね
ぶっちゃけ目が疲れる上に、クライマックスまで見てるとすごいのは分かるが飽き飽きしてきます

それでも中盤のパリ市街でのおっかけっこバトルは面白かった
他はどっちかというと場面的にもSFチックなバトルシーンばかりだけど、市街地バトルは現実の中の非現実をバカアクションの連続で見せてくれて楽しかった
もっとこういうシーンみたいに現実味を残した場面でのバトルが多くてもよかったかもしれませんね
それにしても「G.I.ジョーに任務失敗はない」と言いつつ、基地に易々と侵入された上に敵に弾頭を奪われ、さらに司令官があっさりやられるってどうよ?
そこから弾頭の奪還作戦も失敗するとか、なんですか「失敗はない」とかネタフリだったんですか、と

あとは主人公ルートのメインストーリーが中途半端すぎる
敵の正体が判明する過程も「あ、敵ってあいつじゃね?」みたいな日常会話でどうでもいいことを思いついたかのごとく真相を解明する素敵さ
そして真の敵が本格的に動き出した途端に「ふははは、このままでは終わらんぞ」みたいにあっさり幕切れ
というか主人公のラストでの活躍のしなさは異常
終盤は主人公は逃げてるばかりで、黒忍者と白忍者のバトル、あとはおもしろ黒人の活躍しか記憶にないわ
メインストーリーは、あからさまに次回作とか考えてますみたいな伏線の残し方とかいやらしい

最後に、今でもアメリカではなんか微妙に日本のことを誤解してるんじゃないか、と思うような日本の描写と、イ・ビョンホンの忍者姿には劇場で笑いをこらえるのに必死だった

個人的評価:70点
オススメ度:なんとなくメタルギアソリッドの臭いがします




G.I.ジョー 予告

2009年8月9日日曜日

ロレンツォのオイル (1992/米)

監督:ジョージ・ミラー
出演:ニック・ノルティ / スーザン・サランドン / ピーター・ユスティノフ / キャスリーン・ウィルホイト / ジェリー・バンマン / マドゥカ・ステッディ / ジェームズ・レブホーン / アン・ハーン / ザック・オマリー・グリーンバーグ


父親の仕事の関係で世界をまわる生活をしていた5歳の子供ロレンツォ
ある日、ロレンツォは急に暴力的になったり異常行動を起こすようになってしまった

気づくと実話ベースの映画作品を多く見てる気がする昨今
たいがいは知らずに興味を持ったままに見てるだけなんですけど、事実は小説よりも奇なりなストーリーにひかれてるんでしょうか
それはそれとして、この作品は作中の時代における1980年代において、珍しい上に病気として認識されたばかりのALDという発病から二年で死ぬといわれた困難な病を扱ってます
個人的にはALDというのは初めて聞いたんですが、一昔前に海外のテレビを紹介する日本の番組でもやってたそうですね

少年が困難な病になって、その戦いの過程を描いていくドラマは個人的に好きなんですが、この作品の病に対する描写はガツンときますね
まさに闘病とかきれい事じゃねえんだよ、って感じで
目はうつろ、歩行は困難、半植物人間状態、度重なる不定期な発作…しょうじき病に苦しむ子供の姿を見てて痛々しすぎます
そして、この映画はそんな絶望的な状態と戦う少年の話…ではなくて、病と闘う子供のためにがんばる両親の物語なんですね

ALDという病が認知されて10年もたたない時代ゆえに、医師たちも手探り状態な上にろくな臨床実験もできてないから効果的な治療どころか、まだまだその治療法を確立する実験段階でしかない
そんな中でも両親は医師たちの実験に藁にもすが思いで協力していくんですが、どうにもこうにも様相はよろしくない
そんな中で、両親は誰も詳しいことがわからない状況なら自分たちで調べてやる、ってことで行動をおこしていきます

両親の奮闘は前に進みはするんですが、それでも精神的なストレスで気が立ったり、きちんとした実験による安全性を重んじる医師との悶着があったり、色々なアクシデントが降りかかるんですね
それでもクールに前だけを見て歩き続ける親たち、というのではなく感情をむき出しにがんばる親の姿は本当に「きれい事じゃない」けど、個人的にはこういう感情を爆発させる系のがんばりの方が好みかもしれません

どんどんと子供の病状は悪化していく中、一縷の望みが見えるんですね
でもそこで叩きつけられる現実が本当に痛い
仮に病気が緩和しても、進行してしまった病の傷跡は元には戻らない
寝たきりで、いつ苦しみをともなう発作が起こるか分からないいたずらな延命状態を子供は望んでいるのか、と
すみやかに楽に死なせてやった方が救われるんじゃないのか、と

やっぱり「死」に対して重みを感じられる作品は不謹慎かもしれないですが、面白いですね

以下、ちょっと軽いネタバレになります
自分の目でこの映画を見たい人は注意を
この映画が完成して公開されたのが1992年
その後のロレンツォたちはどうなったかネットで調べてみたら、母親は2000年に肺ガンで死亡、ロレンツォも病の進行度が重度すぎて大きく回復をすることなく2008年に亡くなったそうです
のこった父親は故郷のイタリアに戻ったとか
それでもエンディングの子供たちのように、世界中でロレンツォのオイルに救われて元気になっている人がいるのは大きな進展…というとなんかチープな響きになりますね
それでもロレンツォの両親は我が子が元気になればそれでよかったのでしょうから

個人的評価:80点
オススメ度:たまにはこういう作品も見ないとね




ロレンツォのオイル 予告

2009年8月7日金曜日

マンティコアvsUSA (2005/米)

監督:トリップ・リード
出演:ロバート・ベルトラン / ジェフ・ファーエイ / チェイス・マスターソン / ヘザー・ドナヒュー / ファラン・タイール / A・J・バックリー / ジェフ・ルイス


イラクに侵攻したアメリカ軍
現地住民のある男は先祖の遺したメダルを使って、黒魔術の生物兵器マンティコアを復活させる

みんなお待ちかねのvsシリーズです
今回はファンタジーな生物と巨大国家のvsというちょっと変化球なタイトル
とはいっても実際はライオンサイズのマンティコア一頭と数人のアメリカ兵の戦いというおきまりの誇大表現ですけどね

大作ほどの予算はないし、どうやってもB級…だけどがんばるよ!という感じの肩の力の抜けた良い意味でのクソ映画でしたね
序盤から二頭のマンティコアを復活させようとしたけど、現地住民の仲間の「いや、やばいだろこれ」という常識的な考えで一頭は復活阻止されます
あれですか、予算的なあれでカットですか
とも思ったけど、ちゃんとラストでこの伏線を回収したのには驚いた
というか、たぶんこの映画はクライマックス部分をやりたかったんだろうなあ、ってくらいに最後はB級にしては力入ってるといえなくもない

マンティコアは銃弾をどれだけ撃ち込んでもすぐに再生してしまい、さらにミサイルによる空爆も時間稼ぎにしかならない無敵っぷり
で、どうするのかというと、実は二頭で互いに向き合った時だけ石になってしまうという秘密があるわけです
そこら辺も最初の方でちゃんと美術的に描かれてて、B級のクセに丁寧に伏線拾いやがって、と
そして、途中で拾ったミラーコーティングされた現地人の兵器のことを思い出し、それで石に変えようと試みます
でも良いところで邪魔が入り、作戦は失敗した上にマンティコアに襲われない黒魔術のアイテムであるメダルも壊れてしまいます
ならビデオカメラで自分の姿を見せればいいと試すもギリギリでバッテリー切れ、でも石化はいい感じで進んでるんで、仲間もろとも手榴弾でふっとばせばあるいは…
そんな時に取り出したのが巨大なハンマー、そいつを叩きつけて無事に粉々にしましたとさ
めでたしめでたし
と、さらっとラストのネタバレしてみました

でも本当に最後の二転三転はテンポもいいし、普通に面白かったですね
「これで解決だろ」と思ってたら、重要なアイテムが次々にダメになっていって、結局はハンマーでしめる所がなにか暗喩してる感がしなくもないともいいきれない夏

やっぱり色々とツッコミながら楽しめるB級映画は癒しです

個人的評価:50点
オススメ度:マンティコアさんCG丸出し

2009年8月6日木曜日

ストリートファイター ザ・レジェンド・オブ・チュンリー (2009/日・米)

監督:アンジェイ・バートコウィアク
出演:クリスティン・クルック / クリス・クライン / ニール・マクドノー / ロビン・ショウ / ムーン・ブラッドグッド / ジョシー・ホー / タブー / マイケル・クラーク・ダンカン / チェン・ペイペイ / エドムンド・チェン / エリザヴェータ・キリュキーナ / エミルツェ・ジャンケイラ / キャサリン・ペンバートン / イネス・ヤン


幼くして父を謎の集団に拉致されたチュンリー
やがて成長したチュンリーは、母の死をきっかけに平穏な暮らしを捨てて父の仇討ちを志す

個人的にドラゴンボールより、こっちの方がヤバイ臭いがしてたんですが、見てみたら…なんというか、やっぱり予想通りの救えない級のクソっぷりでしたね
B級でありながら、作ってる方はマジで取り組んでるのがひしひしと伝わってきて、見ててすっごい痛い映画…というか見てるこっちが恥ずかしくなる内容

クソ映画でありながら、なまじ丁寧に作ってあるのが逆にダメ
ああ、こりゃどうにもならねえな、って思った時点でぶっとんだトンデモ路線に変更した方がまだ楽しめます
そんな「どうにもならねえな」状態をなんとかしようとごてごてとデコレーションしてみたけど、逆になんにもしない方が見栄えが良かったね的な作品
本当にカプコンのメディアミックス系はろくなもんがない

それでも数少ない素敵ポイントがいくつかあるので、それを連ねて感想の尺を稼ぎますね
劇中のチュンリーは一般人状態からはじまって、ファイターへとなっていくんですが、その途中で襲ってきたシャドルーの構成員をためらいもなく普通に殺します
人を殺した後悔の念とかもありません
スピニングバードキックおひろめのシーンは、あまりに不格好すぎて失笑もの
バルログがこじんまりした体型のくせにやたらでかい鉄仮面つけててアンバランスすぎて微笑ましい
しかもあっさりやられて逆さ吊りで羞恥プレイ
バイソンの最期は冷却パイプ的なものを刺されて氷漬けという、もはや格闘でもなんでもない
チュンリーの最終的な必殺技、実写ドラゴンボールで言うカメハメ波な気功拳がしゃっぱいもやもやな上に、敵に当たっても特に派手なエフェクトはない
すでに勝負あった感がするベガ戦でチュンリーが自分の父親をそうされたように、ベガの娘の目の前でベガを殺したあげく、その場にいたナッシュに「立ち直らせてあげて」とか言っちゃう

しょうじきナッシュ役はけっこうカッコイイんで、こいつを主役に刑事アクション物として作った方が面白かったんじゃないの、っていう
どっかで見たような、しかもB級テンプレートから抜粋したようなシーンの連続じゃどうにもこうにも…
この映画がどんなもんかは、パッケージのバルログを見て察してください
画像貼ろうと思ったけど、気力も失せたんで各自amazonで調べて、画像を拡大してご確認ください

個人的評価:0点
オススメ度:ヒドイもの見たさでも手を出さないのが無難




ストリートファイター ザ・レジェンド・オブ・チュンリー 予告

2009年8月2日日曜日

アルティメット (2004/仏)

監督:ピエール・モレル
出演:シリル・ラファエリ / ダヴィッド・ベル / トニー・ダマリオ / ラルビ・ナセリ / ダニー・ヴェリッシモ


暴力犯罪に対し、問題地域を壁で隔離しているフランス、そのバンリュー13地区
腐りきった街を支配するタハ、そんな街でも最低限の一線を守るために二人の男が立ち上がる

個人的にフランス映画の中で大好きなジャンルでもあるスタイリッシュバカアクション映画
もうとにかく全力全開でスタイリッシュでバカすぎて大満足
ストーリーとか便所に流して捨てちまいなって感じで
雰囲気的には東洋のカンフーものを意識しつつ、様々なギミックを使ってアクションしていきます
止め絵のかっこよさではなく、あくまでアクションの流れに感じるかっこよさがいい

そしてけっこう展開的に意外というか、よく分かってるじゃないって感じの所が随所にあって良いですね
序盤、敵対勢力のボスにカタギの妹を拉致られた主人公、敵は主人公をおびきよせるためのエサとして使おうとする…というよくあるパターン
見てても「ああ、このパターンかよ」と陳腐な展開にあくびしながら見てると、油断してただけに見ててけっこう「そうくるか」という解決をしてくれるから楽しくて困らない
全編を通して、このままじゃ中だるみしそうというポイントでガツンとくるシーンを入れてくるんで、まったく飽きずに最後まで見ていられます

とにかくテンポのよさにこだわってるのはよく分かる…んですが、やっぱり食いたらなさ感は否めません
もうちょっと主人公サイドのキャラの掘り下げがあってもいいんじゃないかなあ、と
あとはそれでもやっぱりストーリーがアレすぎる所がちょっと気になる
敵さんが思いかけずにミサイルのような形をしていて、しかもタイマーみたいのがカウントダウンされてるものを拾ったら、そのまま保管しとくか?普通
売るために保管しておいたらしいけど、さすがに時間がせまってなお手元に置いておく理由が分からない
バカなの?どうしようもない暴力アウトロー集団って真性だっていいたいの?それでも敵組織には頭の良いエンジニアもいたのに…

いやいや、気にしちゃいけない
もうとにかくぬるぬるとよく動いてアクロバットしていく様を楽しめれば勝ち、ということで

個人的評価:80点
オススメ度:組織をつぶすのに英雄も力もいらねえ、金がすべてだ




アルティメット 予告