2009年12月31日木曜日

2009年ベスト&ワースト

今年は積極的に映画館におもむいて新作を観ていったわけですが、一方でいつもの自分のスタイルである「話題作じゃないけどおもしろい作品、もしくは超絶Z級映画を楽しむ」というのが薄れてしまった感も
あとはどうしても映画館に行く時間をさくと、休日の自由時間が減るのが…ね
ほら、家に帰れば素敵なワイフがご飯を作ってくれてたり、家事もちょっとやっててくれる、そんな夢の生活とか都市伝説ですから…現実はおっさんのひとり暮らしですから…

それはそれとして、とりあえず今年のワースト3から

1位:イングロリアス・バスターズ
2位:ストリートファイター ザ・レジェンド・オブ・チュンリー
3位:ひぐらしのなく頃に

この3つはホントに観てしまった自分を殴りたい気分になった作品ばかり
つまらないならつまらないクソ映画の方向で傾けば個人的に楽しめるんですよ
一番ダメだと思うのは、これは個人的な見解ですが「毒にも薬にもならない映画」ですね
そういう作品を観てしまったあとに残るのは「別にこれ観なくてもよくね?というか時間の無駄じゃね?」というガッカリ感だけ
クソ映画ならクソ映画でいいんですよ、そんなクソっぷりが楽しいんですから…


さて、じゃっかん思い出しただけでも気分が沈んでくるんで、気を取り直してベスト3を

1位:きみの友だち
2位:アフタースクール
3位:アバター

「きみの友だち」は細かい粗はあるものの、ホントに心の底から泣いた一本
ちょっと最後のあたりが蛇足ぎみな気もしますが、それもすべてヒロインと一緒に泣けるシーンで帳消し…どころかプラスに評価が傾かざるえない
「アフタースクール」は、もう個人的なストライクゾーンど真ん中
作品の完成度だけでいえば「きみの友だち」より上と個人的に思います
「アバター」はあえて堅苦しさを取っ払った作りがいい
アホな私がうひょーって感じで楽しむのには十分でした

ということで、今年のベスト&ワーストはこんな感じで
それでは、みなさま良い年を

12月のこれ一本

もう今月は「アバター」でいいと思いますね
ひじょうに贅沢なB級映画を観てるような?
まあ、ホントにストーリーじたいはアレですが、小難しいことなんざいいんだよって感じで突っ走る潔さが素敵です
こんな話題作が個人的にツボにくるのは珍しいかもしれません
いや、でも「HACHI」もよかったか

来月は新年からまさかの「スペル」上映で大歓喜
このちょうしで「エスター」もいってくれると嬉しいんですが、ダメですか
その他にも個人的にはノーチェックですが「バンデイジ」が女子層にすごい人気みたいですね
前に平日の昼間なのに特典付き前売り券のために劇場外まで列が出来ててビビったし

そんなこんなで来年もシネ充になりそうです

2009年12月30日水曜日

エロ将軍と二十一人の愛妾 (1972/日)

監督:鈴木則文
出演:池玲子 / 林真一郎 / 安部徹 / 名和宏 / 渡辺やよい / 三原葉子 / 女屋実和子 / 任田順好 / 由利徹 / 杉本美樹


徳川家の次期将軍の豊千代は、筆おろしの最中に膣痙攣を起こされ花魁と体が離れなくなる
十一代将軍の就任をひかえ、野心家の田沼に鼠小僧から影武者を使うように提案があり…

日本人の年末はやっぱり本格時代劇ですよね
そして、今年最後に観るにひじょうにふさわしい一本なんじゃないでしょうか
勘がするどい人はすぐに分かったかもしれませんが、個人的に大好きな「徳川セックス禁止令」の監督作品ですね
まあ、徳川セックスほどのタイトルのインパクトはないですが、こっちも内容は負けず劣らずひどい(褒め言葉)です
しかし、しょうじきなめてかかってみてると、意外に普通におもしろい内容なので困らない

田舎者が将軍の影武者となるって話は目新しいものじゃないですが、この影武者の角助の好色っぷりがすさまじい
将軍(代行)になってからは、夢にまで見た大奥でファック三昧
いわゆるそっちの描写を期待してた人むけを存分に楽しませてくれる前半パート
だけど、この映画の本番は中盤から
中国から友好を結ぼうと使者がくるんですが、中国人がみたら普通に怒っていいレベルのコントキャラ
友好の証に贈ってきたのが白と黒の衣装に身を包み、女を悦ばせる調教を受けた小人の「パンタ」
さらに異人と将軍の同時通訳ファック、チン(犬)がチンを…とすさまじいほどにくだらない素敵描写(最上級の褒め言葉)が続きます
ええ、こういうしょうもないギャグパート大好きです

そんなくだらない展開をよそに終盤にむかっていっきにシリアスムードになっていきます
影武者のお役ご免と高慢な態度で角助を切り捨てようとする田沼に対し、将軍としてやっていくのを楽しくなってきた角助は特権を利用して田沼を牽制
さらに鼠小僧は徳川家をゆさぶって独自の目的を果たすために大奥に上がって角助をコントロールしはじめる
そんな中で角助が田舎からひっぱてきたなじみの娘であるお菊は、どんどん角助が将軍役にのめり込んでいってしまうのを心配しはじめるが、本人は意に介さない
そんなお菊は危険人物と判断され、影武者の事情を知る一部の者の暴走で角助の知らぬ所で死に追いやられてしまう
その死を知った角助はうちひしがれて、政治ごともやけっぱちになっていく
角助に関わった者がことごとく悲劇に見舞われていく裏で、鼠小僧はうまく立ち回って本来の目的を果たすって感じ

と、ありきたりといえばそれまでだけど、けっこう普通に見れるレベルの話の展開なんですね
わりと普通に陰謀劇が楽しめます
小ぎれいでお高くとまってない分、こういう時代劇はけっこう好みかもしれません
ポルノ、コメディ、陰謀劇、ひとつで三度おいしい…かどうかは別として、色々な側面がある楽しい作品でしたね

個人的評価:80点
オススメ度:決断即実行

2009年12月27日日曜日

ビヨンド・サイレンス (1996/独)

監督:カロリーネ・リンク
出演:シルヴィー・テステュー / タチアナ・トゥリープ / ハウィー・シーゴ / エマニュエル・ラボリ / ジビュレ・カノニカ / マティアス・ハービッヒ / ハンザ・ツィピオンカ


両親がろう者である家庭で育った健常者の娘ララ
そんなララが音楽への道を歩もうとするのだが

主人公であるララがハンディキャップを持っているのではなく、両親がろう者でララは健常者というじゃっかん変化球気味の設定
涙なくしてみられない感動ストーリーってのではなく、いい話だなあ系のお話
主に父親と娘の対比みたいのが展開していくんですが、二人の言い分や気持ちがそれぞれ分からないとおもしろくないかもしれません
父親サイドだけで見れば「なに、このビッチヒロイン」、娘サイドだけで見れば「この老害が、素直になれよ」としか思えないかもしれません
というか、それぞれの登場人物に「こいつはこういうキャラだ」とキャラ固定して見てしまうと、じゃっかんよくわからない内容だなあ、と感じてしまうかもしれません
ようするに「父親の気持ちも、娘の気持ちも理解してあげましょう」と

手話できない人を相手に両親の翻訳をしたり、献身的に親の面倒をみる主人公
そんな中で父親と微妙に衝突してる叔母さんの影響を受けてクラリネットをはじめるララだけど、やっぱり父ちゃんはおもしろくなく、家庭環境がおかしくなってくる…と
流れ的には主人公が出会いと別れ、人生の経験をつんで自分の道を進んでいくよくある展開
わりとあっさりしてる流れなんで、もうちょっと掘り下げてくれてもと思うシーンはあるけど、これはこれで「行間を読め」みたいな作りも嫌いじゃないですね

特に良作でもなければクソ映画でもない、かなり凡作な内容なんですが、とにかくお父ちゃんと母ちゃんの…特にお母ちゃんのちょっとした仕草の中の顔がいいんですよ
ホントにガチではまり役すぎるってくらいに「立派な母親」
娘を見る優しい笑顔とか、みてるこっちが「いいお母ちゃんだなあ」とちょっぴりジーンとしてしまいます
その他にも、いろいろと衝突やすれ違いがあっても、根底である血のつながりの絆を死守しているのはいい
家族ゆえに憎み、家族ゆえに愛す、なんだかんだで家族っていいなあ、と

全体的に日本的なねちねち感がなく、けっこうぶつかりあってもさばさばしてる表現があったり、ちょっと割り切りすぎと思ってしまうのは国民性からかもしれませんね
そんなこんなで、ちょっとだけ心があったまる映画で冬の一日を乗り切ってもいいんじゃないでしょうか

個人的評価:70点
オススメ度:盛り上がり分は少なめのまったり鑑賞系




ビヨンド・サイレンス 予告

2009年12月25日金曜日

アバター (2009/米)

監督:ジェームズ・キャメロン
出演:サム・ワーシントン / ゾーイ・サルダナ / シガーニー・ウィーバー / スティーブン・ラング / ミシェル・ロドリゲス / ジョエル・デヴィッド・ムーア / ジョヴァンニ・リビージ / ウェス・ステューディ / CCH・パウンダー / ラズ・アロンソ / ディリープ・ラオ


独自の生態系を持つ惑星パンドラ
そこで兄の代わりにジェイクは現地民族ナヴィの体を模した体アバターに神経接続し、部族の中に入り込むのだが

種族を越えた愛、そしてはかなくも人類とナヴィの間に立つことでの悲劇を描く
単純にそういう内容ではありませんでしたね
恋だの愛だのはあることはありますが、この作品のメインじゃなかった感じ
びっくりするほど娯楽に徳化したファンタジーアクションで、ほどよく頭の悪い展開のある男の子向けな感じの内容
いい映画ではなく、楽しい映画って風な印象

元海兵隊のジェイクさんは脊髄を損傷し、車いす生活をしている設定
パンドラ行きのために低温睡眠装置みたいので6年近く眠ってたジェイクさんですが、その間に兄が死んじゃってて、そのお兄ちゃんが参加する予定だったアバターの操縦者として代わりに参加するんですね
で、科学者たちはナヴィの生態を研究したりして共存しようとしてるんですが、軍人さんたちは地下資源を狙うばかりでナヴィたちを害虫くらいにしか思ってない
そんな科学者と軍人から相異する使命を与えられたジェイクさん
でも、本人はナヴィとしてのジェイクで自由に飛び回ってひゃっほいに夢中、って流れ

いい感じで脳筋なジェイクさんの「おまえ使命とかどうしたんだよ」ってくらいのナヴィとして、彼らの生活をゼロから現地で学んでいくさまを楽しむ序盤
いかにもファンタジーながらも、すごいテンポよく進む上にしめる部分とゆるめる部分がうまく調整されてるんで、まったく飽きないですね
人とナヴィの間に立ちながらも、あんまりくよくよ考えないジェイクさん
しょうじきそういった要素を入れないのは正解だと思いましたね
とにかく楽しい映画、観てて気持ちいい映画、頭でっかちになりすぎない心地よさがあります

あとはCGの部分ですが、もうね、CGがうんぬんとかどうでもいい
CGはあくまで手段であって、目的じゃない
そこらの手段と目的をはき違えたCG多用映画がかすんでみえます
このアバターという作品をつくる上で必要だから、こういったCGの使い方をしてるからこそ、まさに「パンドラという星がそこにある。ナヴィや独自の生態系がそこにいる」って感じ
そして映画的な手法もきちんとしてて、その延長線上に特殊効果があるから「はいはいCGCGみたいな」違和感のようなものはほとんど感じませんでしたね

そしてクライマックス
もう男の子本能をびしびしとついてくる燃える展開
ひさしぶりに「おいおい、これからどうするんだ・・・って、おお!」みたいなドキドキと興奮を味わいましたね
しかも「GIジョー」みたいなくどさはいっさいなく、かといって物足りないなんてことはない
熱いわー、おっちゃんマジで大興奮したわあ
3時間とかの長尺で途中休憩とかないけど、マジであっというまにラストまで走りきりますね
しかも伏線の回収も忘れずきちんとしてる丁寧さ

逆に言えばガッチガチの深いストーリー展開な「高級料理」を期待したり、恋人としっぽり観たい「おしゃれ感」を期待してる人は合わないかもしれません
葛藤とかドラマ性の薄い悪く言えば幼稚な内容
でもそこがいい…
あくまで男の子が大好きなガチなファンタジーアクションですので

そんな感じで理屈抜きで頭からっぽにして楽しめる、純粋に楽しい映画でしたね

個人的評価:100点
おすすめ度:細かいあらとかどうでもいいと思える人向け




アバター 予告

2009年12月24日木曜日

センコロール (2009/日)

監督:宇木敦哉
出演:花澤香菜 / 下野紘 / 木村良平 / 森谷里美


ある日、巨大な怪物がビルの屋上に現れる
時を同じくして、ユキは学校で男子生徒テツが同じような怪物を連れているのを見かけるのだった

満を持しての手抜き更新ですね
わずか30分ほどの尺ですが、まあ、これもいちお劇場公開作品だよ…ね
イヴにおっさんがアニメとか世も末やで

そんなことでほぼ一人で制作されたってことで話題になったような、そうでもないようなこの作品
しょうじきひと昔前の実験アニメ的なOVAを見てる気分でした
まず、設定から演出まで「俺、これ一人で作ったんだぜ?すごくね?ほめてもいいんだぜ?」みたいな見せ方が鼻につく
今はやりのやりたいことだけやって、ストーリーは完結させずに続編が作れるような逃げ道をつくるヘタレ作品

ほぼ一人で作ったとか、ぶっちゃけ作品になんのプラスにもならないと個人的には思うんですが
これがアマチュアの同人作品として、そこで終わってれば評価もできるけど、一般で流通させてプロ作品として売ってるんだから、制作過程とかどうでもいい
プロは結果で勝負じゃないんですかね
できあがったものの先について評価されるのは分かるけど、過程うんぬんはホントにどうでもいい
プロ漫画家にマンガうまいですねとか、プロ野球選手に野球うまいですねとか、基本的な入り口部分をほめたら逆に嫌みでしかないでしょう
一人で作ったとしてもアニメ作るのうまいねって、そこは言うべきじゃない

内容にしても完結してないどころか、第一話完というか、なんかパイロットフィルムみたいな感じで評価は難しいですね
前にも言ったかどうかわかりませんが、物語を尺に関係なく完結させるのもひとつの才能かと
終わらせられないもんを作るなよ、と言いたくもなる
投げっぱなしなんて猿でもできる…というのは言い過ぎですね

なんて、なんかいつもより容赦なくすさんでるのは日付をみて察してください

個人的評価:30点
オススメ度:オリジナリティありそうで、どっかで見たことあるようなお話




センコロール 予告

 

もう何年まえか分からない頃の編集もの
あの頃はまだ情熱があった…変なベクトルの





(mlclのつづりはわざとですよ。アホな子と思われるとアレなんで)

2009年12月20日日曜日

ウルルの森の物語 (2009/日)

監督:長沼誠
出演:船越英一郎 / 深田恭子 / 濱口優 / 桑代貴明 / 北村沙羅 / 光石研 / 桜井幸子 / 大滝秀治


東京で育った兄と妹は、母親の入院を期に夏休みの間、北海道にいる離婚した父親の元を訪れる
北海道の森の中、兄妹は絶滅したとされる狼に似た子犬を見つけるのだった

「マリと子犬の物語」、略してマ○コのスタッフが送る新作映画
なんていうか、普通
めちゃくちゃ普通
普通映画のお手本のような普通っぷり

「マリと~」の個人的にダメだなあ、と思った部分がほぼ全面みなおされており、「いっちょリアルクソガキ演技にストレスためてくっか」とネタとして観にいったのに、さすがに学習したみたいですね
前作では周りの大人がみんな良い人で、「理屈じゃないのは分かるけど、もう仕方ないよ。それ以上を望むのはわがまますぎるってもんだ」という展開の中でもギャーギャーと自分勝手にわめきちらすクソガキ成分にみなぎらざるえない内容でした
でも、今作では周りの大人が、ちょっと悪者役をしてくれるおかげでクソガキっぷりがマイルドになってましたね
どちらかというと序盤は父親にイライラするくらい

話の流れは、好奇心旺盛で無邪気で明るい妹と、いかにも都会派のシャイさと優しさをクール気取りで隠して背伸びしてる兄、そして大人としては正しく男らしいけど父親としてはダメダメなお父さんの三人の関係がメイン
ウルルはそんな家族関係をステップアップさせるためのキーアイテムみたいな存在で、ぶっちゃけ「ウルルかわいいよウルル」がしたくて観にいくと退屈するかもしれません
いや、でもウルルかわいいけどね、ガチで

兄妹、父親はぎくしゃくしながらもウルルという潤滑油のおかげでなんとかやっていくんですが、いよいよもって「こいつホントに狼なんじゃねえの?」と立証されつつある段階になって、絶滅種である狼を他の野生動物と同じ扱いはできない・・・って感じに
それはどうでもいいんですが、とにかく話の導入部分が長い
どうみてもこの作品で描きたかったのは後半の冒険パートだと思うんですが、そこまでいきつく一連の流れがダルすぎてしかたない
もっと尺を短くしてテンポよく進めることはぜったいできると思いますね

普通すぎるという内容なんですが、ホントに悪い内容じゃないけど、観てよかったと思えるほどにいきついてないのが残念
伏線の張り方と回収、ちょっと人間的に成長している兄を主軸に持ってきている、父と兄の男同士の心地いい関係、母親の強さ、そこら辺がいい感じに丁寧に描かれているなあ、という印象
なんですが、いかんせん「でも、これよくある話の流れだよね」的なありふれた内容ゆえに目新しさがない
結局は「普通」止まり

それでも橋から落ちそうになってどうなる?って所の流れは予想外で「おい!そっちかよ」って感じでおもしろかった
伏線の回収するテンポとか演出も、そんな橋あたりのシーンが一番よかったかもしれません
それまでがあまりに見飽きたくらいに王道すぎる展開だっただけに、よけいに意外性があったかも
で、ラストはといえば、うーん・・・やっぱり普通ですね
個人的には送り狼のネタをさらに使ってくれると思ってたんですが・・・
そういや劇中の鉛中毒は別に伏線じゃなかったのが残念
悪質ハンターに対して、お父ちゃんの男らしさポイントアップする展開があると思ってたのに

というわけで、何度でも言いますがマジで普通の映画でしたね
観たい人は観ればいいし、そうでもない人は無理してまで観にいく必要はないかと
特に私のような温かい家庭を持ってるでもない、一人映画してるおっさんが観ても毒にも薬にもならない、そんな一本でした

個人的評価:60点
おすすめ度:冒頭のナレーションが学芸会すぎる




ウルルの森の物語 予告

2009年12月18日金曜日

THE 4TH KIND フォース・カインド (2009/米)

監督:オラントゥンデ・オスサンミ
出演:ミラ・ジョヴォヴィッチ / ウィル・パットン / イライアス・コティーズ / ハキーム・ケイ=カジーム / コーリイ・ジョンソン / エンゾ・シレンティ


アラスカ州ノームで、夜中に夫を何者かに殺害された心理学者のタイラー
夫の研究をついで街で起こっている集団睡眠障害を調べることにするのだが

予告を観たときから気になってた、というか私のB級センサーにビンビンくるものがあったので、こりゃもう早々に観にいくしかねえって感じで鑑賞
結論からいえば、今さら感が漂う方向のトンデモ映画でしたね
いや、まあ、嫌いじゃないけど、さすがに”そっち系”の作品をわざわざ今になって映画化しちゃうのか、と

心理学者のタイラーさんが街で体験したことを実際の記録映像を交えて、インタビューに応じる感じで作品はできてます
その所々は再現映像としてヴィッチさんが演じる形で、記録映像+再現映像というどこぞの超常現象番組みたいなノリ
毎夜、からなずなぜが目がさめてしまい、そのときに決まったように白いフクロウに見つめられている・・・という複数人が同じ証言をしている
その原因を探るべくタイラーさんが催眠療法を試みる、と

いったい何が起こっているのか?という中、催眠療法をおこなった患者が問題を起こしたり、他の患者の催眠中に奇怪な出来事がおきたり・・・観てる側の興味をひくには十分すぎる話の運び
ですが、ここから先は詳しく書きませんが、ホントに「え?”そっち系”に話すすんじゃうの?」って感じで
このある意味で「ネタバレ」を知った時、多くの人は「えー」という風に思って、人によってはクソ映画認定もしちゃうかもしれませんね
そのくらいネタバレがいろんな意味で古くさい題材

実際の記録映像+再現映像(作中で再現であると語っている)を提示して、話をすすめるのは映画としてはアリな手法だけど、肝心のネタが・・・もうちょっと違うベクトルを期待してたんだけどなあ
ぶっちゃけネタバレをしてもいいんじゃないか、とも思うけど、まあ、気になる人は劇場でガッカリすればいいじゃない

でもそんなネタ部分以外の映画としての演出はけっこうよかったですね
トンデモ映画のくせにへんな所で作りが丁寧で、食事前の神様に祈りを捧げる所とか、座って頭で考えてるだけって所とか、個人的にはそんな細かい演出は好きです
さすがにある患者の催眠時のびっくり映像は卑怯だと思いましたが

そんな感じで多くを期待しないか、B級耐性がある人は楽しめる内容かと
しょうじき「ディセント」みたいな方向の映画じゃないことは確か
あと、エンディングのスタッフロールでずっと字幕を読んでる作品は初めてでしたね
お客さんも席を立つにも立てずに釘付けでした
いや、別にエンディングがおもしろいってわけじゃないです、念のため

個人的評価:60点
オススメ度:俺が神だ




フォース・カインド 予告

2009年12月15日火曜日

今日も僕は殺される (2007/米)

監督:ダリオ・ピアーナ
出演:マイク・ヴォゲル / ジェイミー・マーレイ / クリスティーナ・コール / マイケル・フィースト / マイケル・ディクソン / アンドリュー・バカン / チャーリー・アンソン


大学生ホッケー選手のイアンは、ある最悪の一日の夜に何者かに殺されてしまう
しかし目覚めたイアンは会社員となり、日常に違和感を感じながら何かに巻き込まれていくのだった

インスタントラーメンに炒めた野菜を合わせて食べると、ちょっとリッチでおいしいよね
だけどしょせんインスタントラーメンですから!バーカ!バーカ!
そんな内容
個人的にはそんなジャンキーな味わいは大好きですが、一般的には「Bの下」級でしかないのが残念
残念というのも、素材が悪いだけでけっこう丁寧に作られてて、それなりにお金もかかってる感じなんですよね

内容的には死と新たな別世界での生活をループしていく、なんかどっかで見たことあるようなお話
で、そんな話で一番の肝は「なんで世界がループ」してるのか、って所なんですが…この作品は序盤からそこら辺のサスペンス要素を自ら捨ててしまう潔さ
わかりやすく言うと「フォーガットン」のネタバレ展開が序盤に配置されてる感じで
わかりにくいと思った人はぜひ「フォーガットン」を観るように
苦情は受け付けませんが、個人的には大好物な内容です

ここでネタバレ回避して書いてても、どうせこれを読んでこの映画を観ようなんて人はいないだろうから詳しくやっていきます
ホッケー選手世界で殺されたイアンくんは、次の社会人世界で恋人と暮らしてます
微妙にホッケー選手世界の記憶が残ってるイアンくんは違和感をおぼえ始め、そんな時にひとりの老人から「おまえは悪魔に狙われてて、殺されるたびに別の世界が始まる。とりあえずおまえの大切な人を守っとけ」みたいなことを言われる
いきなりネタバレとか、もうちょっと悪魔あたりの設定は隠しておいて非日常サスペンスを展開してもよかったんじゃないのかと

そこから社会人世界であっさり姿を現した悪魔に殺され、次はタクシーの運ちゃん世界
イアンくんは悪魔の存在をうっすら覚えていて、危機感はもっていたもののあっさり死亡
次はジャンキー世界になり、そこでイアンくんは戦うべき相手と守るべき存在のヒロインをしっかりと確信するものの、やっぱり悪魔には手を出せません
そんな時、イアンくんも元は悪魔の一族、ハーベスターと呼ばれる人間の恐怖心を食って生きる存在だと分かります
しかもイアンくんはハーベスターを狩ることのできる特別なハーベスターだった、と
誘惑に負けそうになってヒロインを食い物にしようとした所をギリギリ理性を保ってイアンくんは自殺して、次の拷問世界へ

と、さすがに最後までネタバレするのはアレだし、このままだと作品解説で終わっちゃうのでやめますが、まさかのサスペンスと思ってたらダークヒーローものでしたね
しかも覚醒したイアンくんがダサイことダサイこと…
そして誰もが思うのが、これシリーズものの序章として作ってるんじゃねえだろうな、と
ダークヒーロー、ハーベスターハンターイアン誕生編みたいな
マジで続編としてカッコイイ仮面をかぶって醜い素顔を隠したダークヒーローのイアンくんとかの物語があってもおかしくないレベル
逆に言えば、どうひいき目にみても「序章」で終わっちゃってる作品内容

拷問シーンとかもっと見せ方しだいではどうにかなったと思うんですが、まあ、そこまでの話の流れからして最後の最後で評価が大きく変わりもしないか
そんな感じで、これぞB級って作品を観たい方はぜひ

個人的評価:50点
オススメ度:愛やで、愛




今日も僕は殺される 予告

2009年12月13日日曜日

パブリック・エネミーズ (2009/米)

監督:マイケル・マン
出演:ジョニー・デップ / クリスチャン・ベール / マリオン・コティヤール / ビリー・クラダップ / スティーヴン・ドーフ / ジェームズ・ルッソ / スティーブン・ラング / デヴィッド・ウェンハム / クリスチャン・ストルティ / スティーブン・グラハム / ジェイソン・クラーク / ジョヴァンニ・リビージ / チャニング・テイタム / ビル・キャンプ / ブランカ・カティチ / ピーター・ゲレッティ / スペンサー・ギャレット / リーリー・ソビエスキー / ロリー・コクレイン / リリ・テイラー / ジョン・キッシュライン / マット・クレイヴン / アラン・ワイルダー / デヴィッド・ウォーショフスキー / ランス・ベイカー / スティーヴ・キー / ダイアナ・クラール / ドン・フライ / ジョン・オーティス


仲間とともに銀行強盗を繰り返すジョン・デリンジャー
彼を逮捕するために腕利きの捜査官がシカゴにやってくる

アレですか
世間的にはワンピースや仮面ライダーですか
アホみたいに発狂してるやかましいクソガ・・・活発なお子さんでいつも以上に映画館がにぎわってましたね
しかし、ワンピースの人気はすごいんだなあ、と
ほぼ全日満席とかすごいわ
まあ、個人的にはワンピースとか観たこともないんですがね
前置きが長い

そんなわけでデップさんが主役ってことでシネタレ系腐女子大歓喜なこの作品
予告にしてもCMにしてもデップさんが義賊的な立場で、しかも一人の女性のことを愛して、その愛のために戦うみたいなニュアンスで売ってますが、内容はまったくもって別ベクトルの作品
昔の映画が好きなおっさん向け、女子供はひっこんでろみたいな印象はうけましたね
1933年のシカゴっていう時代設定もそうですが、よくある「あの頃の時代を再現してみましたよ?ね?すごい?ん?」みたいな押しつけがましさがない
そういった見た目のいい感じな古さ加減の演出もありますが、全体的に映画の作りが古くさい

古くさい、というのは語弊があるかもしれませんが、良くも悪くも昔の映画っぽい感じがします
今の映画みたいな理論やらなんやらで裏設定までがっちがちに固めてるような感じじゃなく、どこかその場その場のノリで撮ってるところあるんじゃないのかと思うような古き良き時代の「やわらかさ」がある
細かいところまでツッコミを入れる方が無粋、という感じ
反面、特に序盤に単調なシーンが多く、悪い意味で昔の映画の退屈さも味わえる

しょうじき序盤のデップさんのスケが風呂入ってて、捜査官が突入してくるシーンあたりから、デップさんの仲間が拷問されてアジトの場所を吐くあたりまで眠気に襲われて大変でしたね
むしろところどころ寝てた
それでも拷問シーンからいっきに引き締まって、あとはラストまで眠気を感じずに集中できましたが

なんか途中からデップさんより捜査官の方が主役なじゃないか、と思いましたが、それでもデップさんの演技はいい
というか、登場人物それぞれが曲や画面的な演出にたよらずに演技だけでかっこよさをだしてるのはすごいなあ、と
特に顔と眼の演技は、デップさんにかぎらずホントにみんなしびれるくらいかっこいい

ラストも個人的には大満足
こういった犯罪者を主人公にした場合、どうやってオチをつけるかが大切なとこだと思うんですが、このまとめ方はわかりやすくていい
それでもなんで最後の伝言を聞いたのがあいつなんだとか、それ以前にも「え?なんで?」ってくらい展開がはやい場面があるんですが、そこはそれ…行間を読みましょう
この映画の説明不足感はイヤな感じのものじゃなく、察しようと思えば察せるくらいはわかりやすい内容なので安心
ただもうちょっと仲間たちとの関係を深く描いて欲しかったかなあ、と思わなくもない

全体的に悪く言えば地味で、大人の魅力的なものを解せるくらいの人向けな作品でしたね
まちがってもミーハーな気持ちや、派手なギャング映画を期待すると退屈すぎてしかたないでしょう

個人的評価:80点
オススメ度:「俺の好きなもの」が、予告、TVCMとどんどん短くなってたのか




パブリック・エネミーズ 予告

2009年12月11日金曜日

マインドハンター (2004/米)

監督:レニー・ハーリン
出演:LL・クール・J / ジョニー・リー・ミラー / キャスリン・モリス / ヴァル・キルマー / クリスチャン・スレーター / パトリシア・ベラスケス / クリフトン・コリンズJr. / アイオン・ベイリー / ウィル・ケンプ


FBI心理分析官、その候補生たちが最終試験として連れてこられた離れ小島
単なる試験かと思われたのも束の間、本物の殺人事件が発生する

はい、予定通り「サンシャイン・クリーニング」を観にいこうと思ったら外は雨で、しかも夕方までコタツで爆睡して上映時間をオーバー、という寝てただけの無駄に休みを浪費してしまった昨今、みなさまいかがおすごしでしょうか
こんな大人になっちゃいけねえぜ、坊主ども
それにともなって(?)めっきりやる気ゲージが減衰してるわけですが、ならトロステでやってた「センコロール」のDVDも買ったまま積んでるんで、これもいちお映画じゃね?って感じで観ようかと思ったんですが…
いや、まあ、せっかくだから(?)もっと積みタワーの下層から引っ張り出してきたこの作品を視聴
前置きが長い

で、この映画、なんというか一言でいえば「よくある連続殺人サスペンス」ですね
単なる試験かと思ってたら実際に人が死んで、しかも殺人予告通りにものごとが進んでいく
いったい犯人は誰なのか?目的は?次はどうやって人が死んでいくだ?というのを楽しむ、マジで典型的なサスペンスホラー
どうせこうなるんだろ、おまえが犯人じゃないんだろ、次に死ぬのはおまえか、などと思ったことは100%その通りになる隙のない設計

そんなよくある展開ではあるんですが、地味さの中にも作りは丁寧なので完全なるB級にまでは落ちてない
かといってA級にはなれない、一般の人にも楽しめる良作B級映画ですね
犯人は最後の最後まで分からないし、かなりテンポよく話は進むんでまったくダレません
とはいえ、これ犯人を推理するような作品じゃなく、流されるままに楽しむのが一番な内容
観てる間は楽しいけど、後にはなんにも残らない、一ヶ月後にはタイトル見ただけじゃどんな内容か思い出せないレベルの娯楽特化映画
これこそヒマでヒマでしょうがない時に観るのにオススメできるナイス作品ですね

気になる点もけっこうあることはあるんですが、そんなのどうでもいいといえなくもない
分析官たちが主人公なのに、あんまり分析してないね…とか
犯人と上司の関係がよく分からないね…とか
ぶっちゃけ頭脳戦というより、パワープレイだよね…とか
そんなのどうでも、いい…よね?

そんなこんなで、どうでしょうこれからむかえる冬休みとお正月、あんまりガチで集中して観る映画よりだら~っと観たい作品をお探しのあなたに最適かと思われますよ
じゃっかんグロイですが

個人的評価:70点
オススメ度:家に帰るまでがお仕事です




マインドハンター 予告

2009年12月10日木曜日

お姉チャンバラ THE MOVIE (2008/日)

監督:福田陽平
出演:乙黒えり / 橋本愛実 / 脇知弘 / 中村知世 / 白善哲 / 川連廣明 / 永井朋弥 / 倉内沙莉 / 葉月あい / 諏訪太朗 / 渡辺哲


死者蘇生がある企業によってなされた時代、世界は数多のゾンビの恐怖に襲われていた
そんな中、暗殺剣の使い手である彩は妹の咲を探しながら相棒とともにゾンビ狩りを続けていた

あの大人気ゲームを映画化!
って、誰かつっこんでやる人はいなかったんでしょうか
まあ、そんな無謀な素敵さは嫌いじゃないぜ!
こんな潔いほどにアホ丸出しのクソB級映画とか大好物ですね

実写ゆえに描かれる素敵で無茶なアクション演技、演出はむりしてグダグダになるくらいなら、と思い切ってゲーム的な演出に特化
見た目はグロイけど、その実はアクションパートとかちょっと気合いの入った特撮みたいな印象
CG+生の演技の迫力に挑戦して中途半端になるより、こういう風におもいきって特撮よりの描き方の方が子供じみてはいるけど逆にひどすぎることにもならないからいいね
なによりスタッフが分かってるのは、極力セリフをカットして女優陣のガッカリ演技を封印しているところ
生歌でライブやるとか言わなければ、ボコーダーと動画編集でどうとでもなるさ!という感じ

そしてわかりやすい話の展開もいい
彩の相棒は妹を敵に拉致られた過去がある→妹が敵として登場
途中で仲間になったレイコは娘をゾンビに殺された過去がある→娘の姿を投影する少女が登場するも悲しい別れが
さらに世界がゾンビであふれたとか、どうしてここまで被害が拡大したとか、そんな細かいことはどうでもいい感じで、彩は咲と姉妹ケンカでクライマックス&フィニッシュ
そんな豪快なストーリーを補完するために、各キャラは「実は~なんだ」と自分の立ち位置を説明セリフで表現してくれる親切設計
アクションシーン以外は画面を見てなくても話についていけるにくい作りです

で、肝心のアクションシーンですが、しょうじきゲームゲームしすぎてる
それが良い点でもあるし、ダメな点でもありますね
背伸びして痛々しくなった劣化マトリクスアクションより、物足りないけどまあまあ見応えのある仮面ライダーアクション、って感じで
ドラマパートもありがちすぎる展開ではあるけど、いちお各キャラのエピソードをはさんでるので丁寧といえば丁寧…でもよくある話すぎて盛り上がりはなし

ヒロインの彩はピンチになると便利な「不思議パワー」で形勢逆転するんですが、さすがにそこらへんはもうちょっと説明してくれよ、と
「よくわからないけど不思議パワーで強くなる」が許されるのは少年マンガまでだよねー、と言わざるえない
そんなスーパーパワーで彩と咲がドラゴンボールバトルをしてクライマックスをしめるんですが、ラストで彩が微笑んだ理由が一番の謎でしたね
相棒が一度も見たことがないという彩の笑顔…それを最後に見せる演出だってのは分かりますが、どう考えても微笑む場面じゃないから困る
まったく、クソB級映画の心構えで見てるからいいものの、そうじゃなかったら罵詈雑言ものですよ?

ってなわけで、最初からクソB級映画と思って見れば楽しめます
というか、この作品を手に取ってる時点でみんなまっとうな映画だなんて思ってないでしょう
むしろこんな映画を観ようと思ってさらに、ひどい評価でこき下ろすマジレスする人の方がどうかしてると思いますね
おまえはこの映画になにを期待しているんだ、そんな内容
分かってみればいい暇つぶしになる作品です

個人的評価:50点
オススメ度:主人公周りの設定を深く考えてはいけません




お姉チャンバラ THE MOVIE 予告

2009年12月6日日曜日

memo (2008/日)

監督:佐藤二朗
出演:韓英恵 / 佐藤二朗 / 宅間孝行 / 岡田義徳 / 池内博之 / 白石美帆 / 高岡早紀 / 矢部裕貴子 / 山本剛史 / ノゾエ征爾 / 菅登未男 / 浅見千代子


常に発作的にメモをとらなくてはいられない女子高生、本橋繭子
ある日、繭子は変わり者の叔父と出会い、何かが少しずつ変わっていく

「幼獣マメシバ」の悪く言えばキチっぷりな演技で大好きになった佐藤二朗が監督する映画
この作品でもそのキチっぷりをいかんなく発揮したリアクション芸がとにかくおもしろい
しかし、内容的にすごいアクがあるというか、かなり見る人を選ぶ
まずなんの予備知識もなく観ても「まあ、うん、なんとなく分かるね」ていどは理解出来ますが、ぜったいに見終わったあとに気になってググらずにいられないでしょう
個人的にも予備知識なし組だったんで、見終わってそっこうで調べましたね

で、どんな予備知識があればいいのか、ってのは劇中で語られない以上は話すべきことじゃないネタバレってことで触れません
おそらく狙った上での説明不足だと思いますし、知らない方がよりいっそう不思議な空気感を楽しめるでしょう
とにかくシュールで独特の世界観、ぶっちゃけ監督のオナニー映画なんですが、かなりギリギリのラインで外れてないというのが個人的印象
そんなきわどいところを攻められるのが大好きな私としては、もうおもしろかったと言わざるえない
ギリギリのラインゆえに観た人の評価はまっぷたつに割れることも容易に予想できますが
しかしここまで潔い「つまらない」か「おもしろい」か二つにひとつの選択肢しかない、中間の評価がありえない作品も珍しいかもしれないですね

どんな状況だろうと、いきなりメモをとろうとして、しかも内容は意味不明な文面を書くヒロインの奇行
そこに叔父が登場してから、そのキャラとしゃべりでいっきに笑いっぱなし状態のコメディ展開
そんな叔父となんとなく話していくうちにはじめは暗い印象だったヒロインがどんどん明るくなっていく
だけど観てる方は素直に笑ってばかりはいられない状況にじわじわと押されていく感じ
ホントにいちいちこの映画は説明してくれないので、それこそ観てる側が「間」を埋めなくてはいけませんが、それが楽しい
そんなに難しい話じゃないので深く考える必要はないですが、しりとりのようにちょっと考えないといけない、そんな作品

難点といえば、あるていど布石になってるとはいえ序盤の叔父に会うまでの流れがなんとも寒い空気になってるのが残念
「これは普通の映画じゃないな」的な印象を植え込みたかったにしても、ちょっと芝居が寒すぎる
ぶっちゃけどんな映画かつかみそこねて「これクソ映画じゃね?」と思ってしまったのも事実
そこを乗り切って叔父が出てくるといっきに爆発するんですが
あとはラストシーンがちょっと意味が分からない
いや、分かるような気もするけどよく分からない
このラストはちょっと監督のオナニーはいりすぎな気がしないでもなかったですね

そんな感じで、マメシバの二郎ちゃんの芸風が好きなら間違いなく楽しめると思います
いや、それでもマジで観る人を選ぶ内容なので、個人的には大満足だけどけっして人には勧められない作品でしたね
逆に言えば、これをおもしろいと思える人は私と趣味が合う人ってことでひとつ

個人的評価:80点
オススメ度:30分200円

2009年12月4日金曜日

トワイライト・サーガ ニュームーン (2009/米)

監督:クリス・ワイツ
出演:クリステン・スチュワート / ロバート・パティンソン / テイラー・ロートナー / ダコタ・ファニング / アシュリー・グリーン / ニッキー・リード / ジャクソン・ラスボーン / ケラン・ラッツ / ピーター・ファシネリ / エリザベス・リーサー / エディ・ガテギ / レイチェル・レフィブレ / マイケル・シーン / ジェイミー・キャンベル・バウアー / クリストファー・ハイアーダール / キャメロン・ブライト / チャスク・スペンサー / アレックス・メラズ / ブロンソン・ペルティエ / キオワ・ゴードン


ベラとつき合うエドワードだが、守るといったものの日が経つにつれて現実はそう甘くないと実感がつのる
そんなある日、地元民から年をとってるように見えないと疑念がわきつつあると、カレン家はフォークスから去ることになる

というわけでトワイライト・サーガの第2話
話が壮大になったというより、ファンタジーとアクション成分、そして前作よりねっとりした印象のあるロマンス分が増加した印象
逆に現実世界におけるヴァンパイアなどの怪物が普通に生活しているというようなギャップ的な楽しみはバッサリ切り捨てられてます
個人的にはそんなちょっとした方向転換はアリだと思いますね
話の流れにあわせて作品の雰囲気も変えるのは、変に前作の流れに固執してちぐはぐになるよりいい

話的には愛するエドワードを失って悪夢にうなされるほど落ち込んだベラが、無茶をするたびにエドワードの幻想が現れることに気づき、自暴自棄とも思える行動をしだす
学校での友達とも疎遠になり、それでも仲良くしてくれるジェイコブと心の支えとしてつきあうようになる、みたいな
いわゆる愛する人の代替としてジェイコブを利用するベラと、そうと知っててもベラにひかれてしまうジェイコブの物語
個人的にはあんまり好きじゃないロマンスの王道的な話だけど、そこに前作の生き残りのビッチヴァンパイアとジェイコブの抱える秘密が同時に展開するんで、観ててもそう苦痛じゃなかったですね

全体の6割くらいはベラ×ジェイコブの友情愛情どっちつかずな話が続いて、なんか結果的にジェイコブというキャラを紹介してるだけな感じがしなくもない
まあ、でもエドワードという心に決めた人がいる以上、話の流れ的にもベラが完全にジェイコブに傾くことはないってのがバレバレなんで、ここら辺のロマンス部分にはあまり緊張感はないです
そんなロマンスパートより、今作ではアクションパートがかなりパワーアップしていて、そういった所でうまく作品としてのバランスがとれてるかな、と
でも、個人的には前作の野球とかのコメディタッチなシーンがごっそり削られてて、さらにさわやかさも大幅減で、なんか全体的に陰鬱な空気感に支配されてるのは嫌だった

クライマックスも画面的には盛り上がるんですが、話的にはイマイチ
「エドワード、おまえそれを言っちまうか?!」って、じゃっかん気分が盛り上がってきたところでエンド
なに、この連続ドラマの「つづく」みたいな終わり方…
そっからもうちょっと盛り上げ続けて気持ちよく終わらせてくれてもいいじゃない
ビッチヴァンパイアことヴィクトリアが中盤以降ガチスルーなんですが、ちょっとは最後に触れてくださいよ、と
前作を受けてのこの内容とみると、ちょっと退屈に思えた所もあったけど全体的にはだいたい楽しめた
観てる途中で「これ前作の後半的な位置づけで、前のとセットでひとつの話なんだ」と思っていた時期もありました
だけど、いざ見終わってみると、普通にトワイライト・サーガ第2話「ニュームーン」って感じで最後に「続きは2010年公開のトワイライト・サーガ エクリプスで!」だし…

それでも前作は一本の映画としてもまとまってる方だったのに、今作ではどうしても続編ありきな部分に甘えすぎてる気がしないでもない
ますます「ならTVドラマでやれよ」という気持ちが高まります
あと、自分が男だからかもしれませんが、なんとなくベラがとジェイコブの結末のシーンでひどくベラが自分勝手すぎる気がしないでもなかった
もっとジェイコブに気をつかってやれよ、と
しょせん恋人代理は代理なのかよ、と

そんな感じでなんだかんだいってトワイライトにハマってしまったおっさんがここに、ってわけなんですがね
でも一本の映画としてはぶっちゃけ成立してない印象、そんな作品でした

個人的評価:60点
オススメ度:あくまで第2話、第3話へのつなぎにしぎません




トワイライト・サーガ ニュームーン 予告

トワイライト 初恋 (2008/米)

監督:キャサリン・ハードウィック
出演:クリステン・スチュワート / ロバート・パティンソン / ビリー・バーク / ピーター・ファシネリ / エリザベス・リーサー / キャム・ギガンデット / ニッキー・リード / ジャクソン・ラスボーン / アシュリー・グリーン / ケラン・ラッツ / サラ・クラーク / ジャスティン・チョン / クリスチャン・セラトス / マイケル・ウェルチ / ホセ・ズニーガ / ギル・バーミンガム / ネッド・ベラミー / マット・ブシェル / グレゴリー・タイリー・ボイス / アンナ・ケンドリック / テイラー・ロートナー / エディ・ガテギ / レイチェル・ルフェーヴル


両親の離婚を期に父親とともに田舎町であるフォークスで暮らすことになったベラ
転校先の学校でひときわ目立つ存在であるカレン一族、その中の一人であるエドワードに必要以上に避けられていると感じるベラであった

ヴァンパイアと人間の禁断の恋
くっさー、べっつになんにも目新しいところなんかないんじゃねーの
と思うのは早計すぎる
いや、なんというか、このロマンス嫌いの私でもかなり楽しめる作品でした
序盤から画面にあふれるファンタジックでミステリアスな雰囲気、実はヴァンパイアであるエドワードは端整な顔立ちに色白肌の美少年…なんですが、学校での彼の服装はごく普通のカジュアルなTシャツ姿というアンバランスさ
そんなアンバランスさがむしろ良い方向に作用していて、「なんだこのヴァンパイア映画、ただもんじゃねえ」って感じで、数多いヴァンパイアものの中でもオリジナリティがあると思う

話的にはベラの血を欲する気持ちと、純粋な恋心で求める気持ちの間でゆれうごきながらも結局はひかれてしまうエドワード
そんなエドワードの態度に戸惑いながらも、徐々に気になりだして恋心へと変わっていくベラ
つかずはなれずなプラトニックな関係が初々しくてもどかしくて、無駄にイチャイチャされるより障害があった方が燃えるじゃない、と
それだけならぶっちゃけつまらん三文ロマンス映画なんですが、そこに殺人事件という怪しい空気が流れたり、野球とか料理のシーンとかコメディタッチのシーンがあったり、それらをファンタジックな世界観がうまくからめとってまとめている

中盤以降はヴァンパイアの生態みたいなものがちょこちょこ描かれだし、同時に茶目っ気のあるエドワードのシーンも多くなってきて、まったく中だるみしないで楽しめる
女の子、それも若い子むきな内容だし、どっちかというと映画より連続TVドラマ向きな感じもしないでもないですが、一本の映画としての丁寧な作りと完成度もけっこう良い感じ
なによりロマンス映画を観て主人公たちを自然に応援して見守るおっさん化してた自分に一番おどろいている
人の幸せを喜べるなんて、自分はいつそんなまっとうな性格になったんでしょうか
信じられません

それでもひとつ気になった点は、三人組の描写がもっとされてもよかったかな、と
特にメインとなるひとりはもっとスポットライトを当てて、こんなにすごいんだぜ的な描写があった方がラストがもっと盛り上がったような気もします
あとは続編がすでにあるからいいものの、これ単体で観る限りではちょっと消化不良な感じが否めない
「結局、おまえなんなんだよ」というキャラがちらほらといる

というわけで、ロマンスもいいもんだね
そんな大人の階段をちょっとだけ登った気がする一本でした
次回作で階段を踏み外して落ちるハメにならないように祈るばかりですね

個人的評価:80点
オススメ度:エドワードくんマジ美形




トワイライト 初恋 予告

2009年12月1日火曜日

直撃!地獄拳 (1974/日)

監督:石井輝男
出演:千葉真一 / 佐藤允 / 郷えい治 / 池部良 / 中島ゆたか / 西城正三 / 倉田保昭 / 安岡力也 / 室田日出男 / 名和宏 / 津川雅彦


甲賀流忍法宗家の伝承者である探偵、元警官のヤクザ専門の暗殺者、口だけ達者な乱暴者の死刑囚
元警視総監のもとに集められたこの三人の男たちがもちかけられた話とは

12月です
我ながら季節がらぴったりなチョイスですね
とりあえず、タイトルから連想するような和製カンフーアクションではなく、現代における法で裁けぬ犯罪にこっちもアウトロー戦法で挑むって感じ
世界の千葉(笑)とか多少なりとも思ってる人は、これを観たら「マジ世界の千葉なんですけどぉ。超ウケる」と改心せざるえないでしょう

話的には日本へ密輸されている麻薬の日本での元締めであるニューヨークマフィア日本支部長を叩こうぜ、という流れ
まあ、しかし現代の映画の作法になれてると本当に一回りまわって新しささえおぼえますね
とりあえず集められた三人は基本的に衝突しあってます
シリアスないがみあいではなく、「なんとなくおまえ気にくわない」「隙あらばだしぬいてやる」といったじゃっかんコミカルさを内包したけん制のしあい
作戦無視、ブツの独り占めは当たり前、それでも敵だけはきちんと処理していくさまはまさに痛快

でてくるキャラたちがとにかく濃い
まるで劇画から出てきたんじゃなかろうかってくらいに暑苦しい
そんな中でも千葉真一は武骨で暑苦しくてコミカルながら、なぜかスタイリッシュでカッコイイ…という不思議な魅力がありますね
というか、むしろ今だと関根勤の物真似がもろにかぶって困る
さすがに大げさにやりすぎてるだろ、と思ってた物真似がまさにそのままの姿で本人がやってる所をお目にかかれるとは

アクション的には今見るとじゃっかん物足りない部分もありますが、その発想はなかった的な展開が続くので途中で飽きないどころかあっという間に最後までみれてしまいます
B級、色物、ゲテモノ、マニアック、たしかにそうだけど、それだけの枠内ではおさまらないプラスαの楽しさがあるので万人…にはオススメできないですが、ちょっと気になった人は観て損はないと思いたい
とりあえず終盤の千葉真一のヌンチャク振り回しの時の表情は一見の価値あり

昭和の雰囲気を理解できるおっさんの自分には、懐かしくも新しくて大満足な一本でした

個人的評価:90点
オススメ度:忍法は仮説ではない




直撃!地獄拳 予告