2010年5月31日月曜日

5月のこれ一本

というわけで、
すっかり今月のオススメ作品をやるのを忘れていた





なんて











言えない







「ボーイズ・オン・ザ・ラン」

















おもしろいよ

2010年5月30日日曜日

ヒーローショー (2010/日)

監督:井筒和幸
出演:後藤淳平 / 福徳秀介 / ちすん / 米原幸佑 / 桜木涼介 / 林剛史 / 阿部亮平 / 永田彬 / 石井あみ / 結城しのぶ / 大森博史 / ジェントル / 千葉ペイトン / 飯島洋一 / 筒井真理子 / 木下ほうか / 升毅 / 光石研






漫才コンビを組みながらもパッとせず、バイトも続かない底辺生活を続ける鈴木
バイト先のヒーローショーを興業する会社で働くが、そこにいた漫才コンビの前の相方の女性関係のトラブルに巻き込まれていくのだった

意外と思ってたよりバイオレンスで、痛々しい青年青春ドラマ・・・なのかなあ
おもしろいのはおもしろいけど、なんともいえない消化不良感も同時に味わえます

女を寝取られた報復に知り合いのヤバい男に泣きついた元相方、しかし相手も同様にヤバい相手を見方につけてシャレにならない事件に発展していく、と
その課程で登場人物を詳しく描写するのはいいんですが、最初は誰が主人公なのかよく分かりません
そりゃ鈴木くんなんでしょうが、びっくりするくらい影が薄い
そのうち敵側の同じ名前を持つユウキくんの話がダラダラと続いて、いったいなにが起ころうとしているのかという期待感より、視点が定まってない印象の方が強く感じられます

そうこうしているうちに両グループの激突があって、ひとつの事件が起こるんですが、これがけっこう淡々と描かれるんでかえって怖さがでてていいですね
そこから鈴木くんはビビってヘタレな感じで巻き込まれ続けるんですが、表面上は事態が収束ぎみな方向に流れるほどに観てる側としては「最後にくる破滅感」期待せざるえない
チワワとか市長候補の場面とか、これを布石と思うじゃない
でも、まあ、結局は・・・ね

しょうじきエンドロールが始まった時に「おい、これで終わりかよ」とつっこまずにいられなかった
いや、鈴木くんともうひとりのユウキくんに関してはこれでいいと思うんですけどね、せめてチワワ丸焼きくらいは見たかったような?そうでもないような?
とりあえず期待してたより破滅感が薄くてガッカリですわ
だって、元相方のことといい、あれだけのことをやったのに・・・と思うわけで
もっともっとみんなを巻き込んだ「救われない鬱エンド」の覚悟もできてたんですが

あとはわざとだと思うんですが、劇中の音楽の使い方が変じゃないですかね
かなり古くさい不自然さをおぼえたんですが
そんなヒーローショーですが、ラスト以外はけっこうダレることなく観れました
観て損はしないと思いますね
得もしませんが

個人的評価:65点
おすすめ度:わりと中身はスカスカぎみ




ヒーローショー 予告

マイレージ、マイライフ (2009/米)

監督:ジェイソン・ライトマン
出演:ジョージ・クルーニー / ヴェラ・ファーミガ / アナ・ケンドリック / ジェイソン・ベイトマン / ダニー・マクブライド / メラニー・リンスキー / エイミー・モートン / サム・エリオット / ザック・ガリフィナーキス / J・K・シモンズ / スティーヴ・イースティン / アディル・カリャン / クリス・ローウェル





クビを言い渡せない会社経営者の代わりに解雇宣告を代理でおこなう会社に勤めるライアン
全米各地を飛行機で飛び回る毎日であったが、彼はそれが苦にならないどころか、ある目標をもって生きているのだった

地味な話題作ということで観てみましたが、なんというか、その、いろんな意味で思ってたのと違ってて、それでいて思った通りな作品でした
けっこう大人向けな感じで、しょうじき若いカップルがキャッキャしながら観ても退屈かもしれません
いちおうはロマンスの要素もあるにはありますが

年がら年中、飛行機で各地を転々としながら、そのライフワークを気に入っており、逆に身を固めるという選択肢がいっさい頭にない主人公
その出張中におなじ種類の女性であるアレックスと意気投合しながら満ち足りた生活をおくっている
だけど主人公の会社ではナタリーという若い女性社員の案によって、出張を全廃してネットを使ったカメラチャットでリストラ業務を行うと言い出す
上司はナタリーにこの業種を現場で体験させるために主人公と一緒に出張にださせる
そんな流れ

孤独大好きな主人公が、若い考えを持つナタリーと出張生活をする課程で、どんどん人柄が変わってくる・・・そんな映画かと思ってたらそうでもない
主人公は人情味があふれていて「解雇を言い渡すのはあくまで面とむかって、その先のケアを行うべき」という考えで、ナタリーは解雇マニュアルを作りシステマティックに業務を行うように考えている、と
普通なら逆ですよね
主人公が頭の固まった効率重視の冷血漢、そこに青臭い感情論でくる若いパワーに触発されて、って流れを想像していたんですね

実際は、主人公とアレックスの大人的な「こんな生活もいいじゃない」派と、ナタリーの「人は一人じゃうんたらかんたら」派の両方からの側面を描くんですが、いかんせん主人公が温、ナタリーが冷というイメージが強いので、なんともいえない雰囲気が良い感じ
観てる側も「結局、どういう方向性に進むんだろう」ということが気になって観てしまいます
主人公の「独りですけどなにか?」的なスタンスがわりと受け入れやすい描きかたをしているから困らない
人は結局はいつも独り、そんな人たちが世界各地に集まっているだけみたいなね

だけど、しょうじき終盤まで「なにが言いたいのか微妙によく分からない」という印象もありました
分かる気もするんだけど、なんかいまいちよくわからない
なにが伝えたいのかなあ、と終盤まで考えながら観てたけど・・・結果、途中で眠くなっただけでした
でもクライマックスのたたみかけはよかったですね
それこそ「おまえこのクライマックス描きたかっただけちゃうんか」と言いたくなるほど
ええ、じゃっかん皮肉です

そこからのラストのオチは、まあ、予定調和というか、この作品を観る前に思ってた「結末はこうなるんじゃねえの」的なのがほぼまんまだったんで、ちょっとだけガッカリ感が漂います
ようするに主人公のキャラが観てておもしろいってだけで、クライマックスまでの流れはちょっと間延びしてる気がしないでもないなあ、と上から目線でいってみましたが、調子に乗りました。すみません

もっとアメリカ版のサラリーマン映画を期待してただけに、なんともいえない微妙なおもしろいようなそうでもないような感じがしました

個人的評価:70点
おすすめ度:僕は押入ファックを試してみたいです




マイレージ、マイライフ 予告

2010年5月28日金曜日

プリンス・オブ・ペルシャ 時間の砂 (2010/米)

監督:マイク・ニューウェル
出演:ジェイク・ギレンホール / ジェマ・アータートン / ベン・キングスレー / アルフレッド・モリーナ / スティーヴ・トゥーサン / リチャード・コイル / トビー・ケベル / リース・リッチー / ロナルド・ピックアップ



市井の民として生まれながらも少年期にペルシャの王に拾われ、王子の身分になったダスタン
大人になって父としたう王のもとで力をふるうダスタンは、ある日、二人の兄とともに聖なる都アラムートを攻めるのだった

3D版のゲームをやってきたクチとしてはスルーするわけにはいかない作品ですね
こういうゲームの映画化ってのはどこか残念な結果になりがちですが、この作品はかなりがんばってる気がしました
ゲームであった要素を取り入れた上で、オリジナルストーリーを展開していますが、映画好きとして観てもゲーム好きとして観てもおもしろい、と感じるデキかと

父殺しの汚名をうけてアラムートの姫と逃亡中に時を戻す短剣の能力に気づいた王子は、都を攻めた理由がこの短剣にあると思いつくと同時に、父を殺した真犯人を野放しにできないと行動を起こす
というわけですが、この王子と姫のかけあいがおもしろい感じで、つんけんしながらもラブラブチュッチュな間柄に進展する・・・そんなオーソドックスな展開に違いはないんですが、最初の二人の仲の悪さがかなり印象的
王子は短剣をもって王を殺した者をなんとかしたい、姫はいっこくも早く短剣を封印してしまいたい、そんな考えの違いから旅をしながらも常に二人で騙しあいと足の引っ張りあいが繰り返される、と
短剣を手に入れるために気分が悪くて倒れたフリをして相手を鈍器でおそったり、人身売買で相手を商人に売ったりするくらいの夫婦漫才っぷり
痴話喧嘩くらいではすまされない二人の仲違いが楽しい

そんなロマンス部分がわりと薄めにできていて、かなりアクションが主体になっているのは個人的に好みでしたね
そのアクションもテンポよくって、さらに話の展開も早いのでシーンをコロコロと変えつつアクロバティックなアクションが繰り広げられます
ここら辺のアクション部分はかなりゲームを意識して作ってあって、プリペルの世界感を良い感じでだしてると思いました
舞台もかなり作りこんであって、いかにも金を湯水のように使ってる派手派手なハリウッド大作といった雰囲気

ストーリーは分かりやすいといえばそうなんですが、しょうじきあってないようなもの
派手な視覚的演出と、同じく派手なアクションをとことん気持ちよく見せることに特化してる感じ
ドラマ性は兄弟愛みたいなところはよく描かれてますが、かといってジーンとくるようなものはそうない
ようするに頭からっぽで楽しめるエンターテインメント要素だけでできてる感じ
老若男女誰が観ても楽しめる優等生な作品なんですが、それゆえに「楽しいけど、なにか物足りないような?」と感じずにいられませんでした
なにが足りないかは分からないけど、満足はできるんだけど、大満足はできないんですよね
時間を戻すというギミックを思ったより複雑に使ってないのが物足りない原因なのかなあ
良い意味でか悪い意味でか受け取り方しだいですが、観終わったあとになにも残らない映画

ああ、あと旅の仲間はちょっといらなかったんじゃないですかね
と、観て楽しいことは確かですが、なにかしら映画に意味を求める人にはあわないかもしれません

個人的評価:85点
おすすめ度:ダチョウ愛




プリンス・オブ・ペルシャ 時間の砂 予告

ボーイズ・オン・ザ・ラン (2010/日)

監督:三浦大輔
出演:峯田和伸 / 黒川芽以 / 松田龍平 / YOU / リリー・フランキー / 小林薫 / でんでん / 尾上寛之 / 渋川清彦 / 米村亮太朗 / 大谷英子 / 遠藤雄弥 / 岩松了







カプセルトイの会社で働いている田西
29歳、小心者、性欲は持て余し、うだつあがらないヘタレ、そんな田西が同じ会社に勤めているちはるにほのかな恋心を抱き、ぎくしゃくしながらもつき合いは良好にみえたのだが

軽い気持ちで観たこの作品
なんともおもしろい、というかおもしろすぎる
性欲十分ながら現実の女性とのつき合いだと中学生レベルな田西に感情移入しまくりですね
自分がヘタレで社会人的に底辺層に身をおいてる自覚がある身としては、田西の行動・言動がもう分かりすぎるほど分かるわあ

内容的にはそんな恋愛初級者の田西が、おなじくいい大人になってもまだ処女という彼女とぎくしゃくなつき合いをしていくのが序盤のメイン
いわゆるサラリーマンラブコメなわけですが、その描き方が本当にコミカルで純愛で楽しい
ラブホテルにまでいきつつ、結局はむにゃむにゃってなってしまい、拘束具で寝るシーンとか笑いのポイントがめちゃくちゃ好みでしたね
そういったコメディ部分がおもしろいゆえに、あんまり好きではないロマンス部分も苦にならなかったです
結婚式でのスピーチとかもう爆笑ものでした

そんなラブコメから一転、まあ王道的に破局の危機が訪れるわけで、そこからの展開がまたおもしろい
終盤にかけていっきにサラリーマン熱血青春ものになっていき、本当に熱い展開が待っています
これを普通に学生という設定でやるとピンときませんが、29歳の社会人という前提でやるだけでここまでおもしろいものになるとは思わなかった
会社の面々も最初はそうでもなかったのに、じょじょにキャラがたってきて、特に社長がホントに良いキャラすぎる
私もこういう会社で働きたいものです
みんな大人なんだけど、子供っぽくてそんな大人のファンタジー加減がいい

ヒロインのちはるについては賛否両論あるでしょうが、しょうじきあれで個人的にはよかったと思いますね
田西の女版という見方をすれば、その行動も納得できるんですが人によってはすごいビッチにしか見えないかもしれません
あとちょっと気になったのは、田西がキレながら電話したあと実行に移すのに日数的な間があったのはじゃっかんだれました
いや、まあ、感情的なアレで即行動してもどうなるもんでもないのは分かりますが、ちょっとあの間のあけかたに不自然さを感じたのはたしか

そんな感じで、ちょっとした気になるところはありましたが、本当に笑えて楽しめて熱い芯がしっかりある作品だったなあ、と
だけどこういう邦画ってのはまた人を選ぶんだろうなあ
おもしろいんだけどなあ

個人的評価:95点
おすすめ度:え?




ボーイズ・オン・ザ・ラン 予告

2010年5月26日水曜日

マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋 (2007/米)

監督:ザック・ヘルム
出演:ダスティン・ホフマン / ナタリー・ポートマン / ザック・ミルズ / ジェイソン・ベイトマン / テッド・ルジック / マダレナ・ブランカテラ / ポーラ・ブードロー / マイク・リアルバ / スティーヴ・ホイットマイア / リーアム・ポーリー・ウェブスター / マーシャ・ベネット / ジェイソン・ベイトマン / オリヴァー・マスダ / サマンサ・ハーヴェイ / ジェシー・ボスティック / アイザック・ダーンフォード




魔法のおもちゃ屋でおもちゃ発明家をしているマゴリアム
その店をきりもりしているモーリーは、幼少から続けてきたピアノがうまくいかない中、将来について悩みを抱えているのだった

おもしろいのか、おもしろくないのか、と聞かれたらおもしろい
だけどみんなにぜひ観てもらいたいというほど強くオススメもできない、なんとも不思議な作品
まったり癒し系な内容で、個々のキャラクターに面白みを感じない人はまったく合わない映画かもしれません

変人ながら時にずばっと心に響くことを言うマゴリアム、自分にいまいち自信が持てなくそれが不安のしこりとなっているモーリー、一人遊びの天才ながら友達が作れない少年エリック、現実的かつ生真面目な会計士ヘンリー
ある日、マゴリアムが「消える」と宣言してから、モーリーは最後の支えを失い自身の内なるものが崩れ、そんな出来事からエリック、ヘンリーもゴタゴタに巻き込まれつつそれぞれが少しずつ変わっていく
そんなお話
とりあえず魔法によっておもちゃに生命が吹き込まれたがごとく、動きまくってハチャメチャで楽しいおもちゃ屋をありのまま受け入れればこの映画を楽しめる第一段階はクリア

次に大きな事件は起きないストーリー展開の中、「このシーンはいいなあ」とリラックスした気持ちでほのぼのできれば、もうこの映画を完全に楽しめるでしょう
しょうじき、特になんにもすごいことは起こりませんし、展開的な起伏は大きくありません
映画作品というよりドラマに近い内容って感じも否めない
それでもなんともいえない癒し的スパーキングがあるなあと思いましたね
金がかかっててド派手な作品しか映画じゃねえ、ってスタイルの人にはまず合わないかも

雰囲気も個人的には好みでよかったんですが、それでもエリック関係のエピソードが弱いというか「え?それで友達できたってことなん?」と言わざるえない
あとはマゴリアムとモーリーの話が中心になっているため、微妙にファミリー向けともずれてて、どこら辺の人を対象にしてるのかよく分からないのも確か
マゴリアムと少年エリックの話だったら、王道すぎるほど王道なファミリー映画になるんですが

そんな細かい粗がいっぱい目立つんですが、なんか憎めないというか楽しく感じてしまうから不思議
もちろん個人的な意味で
おっさんになると、こういう癒し系の作品をサプリメント的な感じでたまには観るのもいいかもしれませんね

個人的評価:70点
オススメ度:チェッカーゲームについて詳しく




マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋 予告



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2010年5月23日日曜日

鉄男 THE BULLET MAN (2009/日)


監督:塚本晋也
出演:エリック・ボシック / 桃生亜希子 / 中村優子 / ステファン・サラザン / 塚本晋也








妻のゆり子、子供のトムと一緒に日本で働いて平凡に暮らしていたアンソニー
ある日、最愛の息子が車にひかれてしまったことから、その体に変化が起こり出す

いよいよ鉄男祭りの本命、新作「鉄男THE BULLET MAN」です
アイアンマンと呼べないところがアレですが、塚本晋也の最新作がまさかの鉄男だったら無条件にテンションが上がらざるえない
しかし、なんというか、その、ひとこと言わせてもらえば「なんでこうなった・・・」
個人的には「六月の蛇」以降の塚本監督作品はちょっと趣味に合わないんですが、この鉄男もやっぱり同じ感覚をおぼえました

ガンガン叩きつける音楽、そして眼鏡をいじったときの「スチャッ」って感じの効果音を聞いたとき「ああ、塚本晋也作品だなあ」と思いましたし、主役が歴代の田口トモロヲから外国人俳優に切り替わったのもそんなに違和感はありませんでした
最初のうちは
しかし、全体的な作品から感じる違和感は観すすめていくうちにどんどん大きくなり、比例して楽しさが減少していきます
とりあえず説明シーンが長すぎ
延々と主人公周りの設定の描写が展開した時は「ああ、ダメだなこの鉄男は」と思いましたね

あっさりと変身してしまう主人公、とまどいがイマイチ伝わってこないうえにヘタレすぎる
最初は「主人公の中の人が変わっても大丈夫じゃないか」と思ってたけど、やっぱりダメ
田口トモロヲの普通さとコミカルさ、それと対照的な暴力と狂気の塊となった鉄男状態のギャップがこのシリーズの持ち味だと思うんですが、そこらへんの描き方が弱すぎる
あとはライバルキャラの「ヤツ」も微妙
最初は「おっさん年とったなあ」と思ったけど、やっぱり睨み演出がきたとたん「お、これはこれでいいかも」と考え直しました
だけど、だけどね、ほら、やっぱり「ヤツ」の変身に期待してただけに、最後まで普通の人間のハッカーふぜいだったてのが、ね・・・

いやあ、もっととことんキレてて、とことんバカで、とことん暴力的なのを待望してた身としては「こんな鉄男、観たくなかった」と言っても許される、と思うんですが言い過ぎでしょうか
あいかわらず美術は最高にイカしてるし、この作品の鉄男の造形も「今回はそっち系できたか」と興奮もしたし、曲の使い方もいい具合だっただけに、ホントに「どうしてこうなった」と何度もつぶやいてしまいます

個人的評価:40点
おすすめ度:説明しすぎ、口動かしすぎ、鐵すぎ




鉄男 THE BULLET MAN 予告

鉄男II BODY HUMMER (1992/日)

監督:塚本晋也
出演:田口トモロヲ / 塚本晋也 / 浅田修生 / 手塚秀彰 / 河原伸一 / 金守珍 / 歌澤寅右衛門









幼少期の記憶がないものの、妻と小さな子供とともにごくごく平凡に暮らしていた男
ある日、謎の二人組に金属の注射らしきものをうたれ、さらに子供を誘拐されてしまうのだった

鉄男祭りの第二弾ってことで「鉄男II」です
ストーリー的には前作とは関係なく、独立した鉄男設定だけを踏襲した別ものなんで、どっちかといえばこの作品から観ることをオススメしたいですね
とにかく1より分かりやすくマイルドになっているので、まずはこれを観て…というか予告の最後の主人公の表情で「グッとくる」ものがあった人は鉄男にハマる系な感じかも

殺意によって人間兵器を形作る実験をしている敵側の一団と、その実験に巻き込まれ予想以上の力をつけてしまい一団と拮抗するほどの存在となってしまった主人公の戦い
ぶっちゃけ仮面ライダー的なもんでひとつ
設定、ストーリーはしょうじきアレで中二病なとこがあるのは否めませんが、そこが気持ちいいと思えれば勝ちです
個人的にはそんな中二病なんたらなんて細かいとこなんてどうでもよくて、とにかく「真剣にB級映画を作っている」という意志がびんびん伝わってくるので、それだけですべてが許せちゃいますね

まあ、なにはともあれ主人公とある子役のキチ顔が見れればハッピーなんで
あとは1ほどの作品的な力強さはなくなったけど、代わりにエンターテイメント性が増したんで、どっちかというと2の方が何度も繰り返し観てます
ホントに軽い感じで「ちょっと観たくなった」ってときにお気楽にみれるからいいですね
1はけっこうズシっとくるものがあって作品的にもおもしろいけど、そうそう繰り返して何度も観るようなものじゃないかなあ、と
ともあれ鉄男を布教するにあたっては2をまず観た方がいいと言わざるえない

個人的評価:90点
オススメ度:ハッピバーデー




鉄男II BODY HUMMER 予告



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鉄男 (1989/日)

監督:塚本晋也
出演:田口トモロヲ / 藤原京 / 叶岡伸 / 石橋蓮司 / 塚本晋也









ある日、男が髭を剃っていると、頬に金属の突起があることに気づく
そして、その日を境に奇妙な金属の体をもった人に襲われ、また自分の肉体もじょじょに金属化していくのだった

鉄男新作公開記念、鉄男祭り第1弾ということで初代「鉄男」です
今回、観たのは「完全鉄男」に入っていたファーストカットバージョン
ようするに映像特典なんかにあるカットされたシーンをつなぎあわせた、劇場公開用にぜいにくをとりのぞく前のバージョンですね
まあ、この作品じたいはもう何度となく観てるんでアレでナニですが、カットされたことには意味があるわけで、やっぱり正式公開版の方が流れ的に自然な気がしました

で、この鉄男は主人公が左手が金属な謎の女に襲われ、しかも自分もどんどん金属化が進んでいくうちに、その謎というかその辺がじょじょに見えてくるというお話
とにかくインパクトというか、こういう映画撮る人はどっか頭イカレてるんじゃなかろうかってくらいに強烈なものがあります
冒頭から「やつ」が足に金属を埋め込む→ウジがわく→もだえる主人公に切り替わり→それをバックにタイトル…もう最高だろブラザー
ここまでの流れで何も感じない人は観ても楽しめないでしょう
本当に面白いと感じる人は信者になっちゃうくらい崇拝の対象になる映画だけど、受け付けない人はもうクソ以下な評価を下す…そんな両極端な作品

鉄男シリーズ中で一番インパクトがあり、一番濃密で、一番エロスで、一番怖くて、一番分かりづらい内容
作品の半分以上は主役の田口トモロヲとライバル役の塚本晋也の存在感でできてるといっても過言ではないかと
とにかく主人公の普通だけどなんか怪しい、そんな魅力が素敵
最初に観たのは中学生の頃ですが、あまりの内容にガチで気分悪くなりながらも、けっして途中で再生を止められない不思議な惹きつけられる何かがありましたね
それから中二病の後押しもあって塚本信者になり、周りに布教したものの在宅ビジネスで躍起になって知人に押し売りする人を見るみたいな胡散臭いリアクションばかりでした
それでもなんとか観てくれるとこまで持ち込んでも、逆に観たがゆえに「おまえ、これが面白いって…」って完全に引かれる経験もしました
で、やっと「塚本晋也作品はかなり人を選ぶ」と気づいたわけで

しょうじきエンターテインメント性と分かりやすさは2の方が上ですが、何かズシンとくる重みは1が一番あるかもしれません
ゆえに人を選ぶ塚本作品の中でも一番万人受けしにくいタイトルと思います
個人的にB級映画を楽しめる体質になったきっかけでもある作品でした

個人的評価:90点
オススメ度:たいがいなことでは驚かないんだからね!




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2010年5月21日金曜日

グッド・バッド・ウィアード (2008/韓国)

監督:キム・ジウン
出演:チョン・ウソン / イ・ビョンホン / ソン・ガンホ / ユン・ジェムン / リュ・スンス / ソン・ヨンチャン / ソン・ビョンホ / オ・ダルス / イ・チョンア / キム・グァンイル / マ・ドンソク / ソン・ジナン / パク・チヌ / チョ・ギョンフン / イ・ハンス / カン・ヒョンジュン






日本軍が支配する満州、謎の宝の地図を持つ日本の要人が列車に乗っていた
そこに居合わせた列車強盗、地図を奪う依頼を受けた馬賊、悪人を狩る賞金稼ぎは争いの渦中に巻き込み巻き込まれるのだった

公開当時にキムチ・ウエスタンということでちょっと話題になったんですが、けっきょく観にいかなかったなあ、というわけで
思ってたよりアクション要素が強くて、というかアクションをみせるのがメインの内容でしたね
しょうじき西部劇っぽい臭いはあんまりなくて、純粋にドンパチ映画という感覚

良いヤツ、悪いヤツ、変なヤツという欽ちゃん的なノリで三人が登場するんですが、普通なら地図をめぐって良いヤツと悪いヤツが争いつつ、お笑い担当の変なヤツがギャグでガス抜きをするという流れなんでしょうが、この作品はちがいましたね
ぶっちゃけ変なヤツがメイン、悪いヤツがサブ、良いヤツはオマケみたいな、なんともいえないそんな流れが個人的にはツボでした
B級映画好き的な意味で
話的には列車強盗してた変なヤツがたまたま地図を手に入れて、それを悪いヤツが追うけど、そこにさらに良いヤツが賞金目当てで追ってくるというなか、地図は思った以上に価値があるものと判明して三人以外にも闇市の組織や日本軍までからんでくる、と

とにかくアクションシーンが派手で無駄にかっこよくて、リアリティのない過剰演出っぷりが心地良いですね
無限銃弾は基本で、曲芸バトル、色物とか、とにかくアクションシーンを気持ちよくするためなら他の要素は犠牲にしてもいい、っていう心意気が伝わってきますね
まあ、じゃっかん一本調子で眠いところもありましたが
そしてストーリー、これは賛否両論だと思いますね
少年マンガなノリが許せるならOK
それが許せないなら「ふざけんなクソ脚本」と思わざるえないでしょう
かなり中二病こじらせてる感じの話なんで、それにどれだけのってあげられるかが重要
B級映画好きなら問題なく受け入れられるかもしれません

そして、ラスト
まあ、なんていうか、その、ある意味で新しいね!
泥仕合の中でも主人公補正がきいてるってのはまだいいけど、このなんともいえない「投げっぱなし」ENDは狙ってやったなら勇気あるなあ、と
いや、だって、そこは「な、なんだってー?!」なふうにそれなりに理解して終わるのが無難じゃない
うん、でも個人的にはこの終わり方は嫌いじゃないですけど
そんなウエスタンのようでウエスタンではない、細かいつっこみは厳禁な頭からっぽアクションって思って観てたんでわりと楽しめました

個人的評価;70点
オススメ度:のど元まで出てくる「で?」っていう衝動




グッド・バッド・ウィアード 予告



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2010年5月19日水曜日

パラダイス・ナウ (2005/仏・独・オランダ・パレスチナ)


監督:ハニ・アブ・アサド
出演:カイス・ネシフ / アリ・スリマン / ルブナ・アザバル / アメル・レヘル / アシュラフ・バルフム / ヒアム・アッバス







イスラエル軍占領下のナブルスで暮らす幼なじみのサイードとハーレド
二人は親兄弟にも秘密で抵抗組織に身を置いており、ある日、いよいよ自爆攻撃で殉教せよと命じられるのだった

ちょっと殉教してこいよ、と言われて初めて自分たちの行いと生と死について疑問をもつ「命の大切さ」を説くような映画じゃないのがいいですね
その要素がないというと嘘になりますが、基本はふたりの主人公たちを描いたドラマで、しだいにその人間性みたいのが浮き彫りになってくると
演出もごく最小限に抑えられているのがいい感じで、本当に「自爆とか日常茶飯事」な当たり前の空気感がおもしろい

異国の風習みたいなのを慣れない目つきで見るのが楽しいわけで、ふだん世界情勢とか各国のお国柄みたいのを気にしてない私のような人が観ると「なんともいえない目新しさ」がありますね
その画面の中の世界がリアルなのかどうかは知識がないので判別できませんが、すくなくとも「リアルな気がする」というイメージはうけます
全体的にさばさばしてて、自爆することも含めて普通の日常生活の一部として描いてます
ドラマ的に盛り上げて死に対する葛藤を壮大な音楽にのせて語るでもなし、あくまでフラットに彼らの思いと行動を追っていきます

話の前半は異国的な物珍しさで引っぱられ、後半は映画的なおもしろさで引っぱってくれます
特にいよいよ現地入りして自爆攻撃決行するぞ、ってところから一転して主人公たちふたりの人間ドラマみたいのがおもしろい
内容的にまったくもって難しいところはなく、頭がお花畑な私でも容易に理解できるので安心
サイードとハーレドの本心、ゆらぎ、立ち位置の変化なんかを楽しむ映画で、本当にふたりの描き方がいい感じでおもしろい

しょうじきこの設定なら過剰演出バリバリで派手なサスペンスものの流れにもできるでしょうが、これはこれで地味ながらなんともいえないおもしろさがあります
感動ものともちょっとちがう、なんともいえない画面に釘付けにさせられる力強さのある作品でした

個人的評価:75点
オススメ度:普通に帰れるのかよ




パラダイス・ナウ 予告



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2010年5月16日日曜日

プラマイゼロ(雑記)



あなたは知らないだけかもしれない





そう



リアルが充実しているあなたの後ろには
気の迷いで世間にまざろうとしている非リア充が…








辛いことを忘れ
マイナスイオンを浴びまくる







だけど













振り返ればキャッキャ、キャッキャと楽しそうなファミリーが…












英語で言えばファミリーが…









橋の真ん中では幼子の銅像が「どや」って感じで立っています
































ナイスけつです












そして







謎の怪鳥と緊急遭遇



















































醜いアヒルの子のなれの果てと判明

パリより愛をこめて (2010/仏)


監督:ピエール・モレル
出演:ジョン・トラヴォルタ / ジョナサン・リース・マイヤーズ / カシア・スムートニアック / リチャード・ダーデン / アンバー・ローズ・レヴァ / シェムズ・ダマニ / ディディエ・コンスタン / モステファ・スティティ / アレクサンドラ・ボイド / メリッサ・マルス / サミ・ダール / ホアキン・ド・アルメイダ


パリの米大使館で働くジェームスは、裏の顔としてある組織の新米エージェントとして働いていた
そんな彼に粗野な相棒であるワックスがつくことで、パリでの乱暴で強引なミッションがはじまる

ジョン・トラヴォルタこと、ジョンが本当に良い味だしてる作品でしたね
むしろジョン映画なところもありましたが、そこはそこで粗野なワックスと銃を撃つのもためらうデスクワークタイプのジェームスが組むことに意味があるというかなんというか
「96時間」の主人公みたいに完璧超人すぎて、おもしろいけど緊張感がないのとは違い、完璧なワックスとたよりないジェームスというコンビがあるからこそメリハリがあってこの作品はいいなあ、と

内容的には本当に無駄な説明とかいっさいなく、とりあえずノリと勢いでガンガン話が進んでいく
自分が見落としたのかもしれませんが、予告かなんかで主人公たちの属する組織がCIAとかいってた気がしますが、本編では組織としか語られなかったような?
単純な見落としかもしれないし、わりと映画翻訳の際に詳しい部分を大人の事情でぼかして訳すこともあるんで、なんともいえませんが、結局、どんな組織なのかよく分かりませんでしたね
まあ、細かいことは抜きにして「スパイみたいなもん」と思ってれば間違いないよね

奇行とも見えるワックスのやり方に、ブツブツ言いながらも結局は的を射ているやり方についていかざるえないジェームスのドタバタ銃撃アクション捜査ものって感じ
このワックスが脳筋担当でジェームスが頭脳担当というわけでもなく、ワックスが一般常識的な振る舞い以外は全てをかねそろえた完璧超人で、常識人ではあるけどヘタレなジェームスという描き方はおもしろい
そして作品の雰囲気も思ってたよりシリアスで、というかバカアクションはひかえめだったのが驚きでしたね
もっと、こう、はっちゃけた感じかと思ったらそうでもなかった
そんなシリアスな中にも遊び心演出というかエスプリというか、なんかつっこまずにいられないポイントを用意してくれているので多い日も安心

しょうじきストーリー的にはそんなに目新しさはないんだけど、「え?ああ、そいつが・・・」とか「いつまで花瓶もってるだよ」とか「もっとデカいのって、デカすぎだろ」というなんか妙に観てて楽しいから困らない
演出的なのがよくできてて、これぞ頭からっぽアクション映画という感じ
後に残るものは潔いほどなんにもないけど、観てる間は楽しめる良質なアクション映画でした

個人的評価:80点
おすすめ度:完結はしたけど、このコンビで続編つくるだろうなあ




パリより愛をこめて 予告

2010年5月14日金曜日

グリーン・ゾーン (2010/米)


監督:ポール・グリーングラス
出演:マット・デイモン / グレッグ・キニア / ブレンダン・グリーソン / エイミー・ライアン / ハリド・アブダラ / ジェイソン・アイザックス / イーガル・ナオー / ニコエ・バンクス




イラク戦争突入から4週間、現地で大量破壊兵器の捜索にあたっていたミラー率いる隊は、本部からの情報もむなしく空振りばかり
さすがに情報源が怪しいと思い始めたミラーのところに現地のイラク人から密告が入る

イラク戦争を題材にしたいわゆる陰謀論的な作品
いやあ、しかしイラク戦争で陰謀論とか、どんだけありがちな話なんだよと
戦争当時ならまだしも、今になってそこは思いついてもあえてやらない方向だろうよ
しかも本当に陰謀論ものの王道パターンで話が進んで終わるという目新しさのかけらもない脚本に脱帽

はじまって早々、現代戦もののFPSゲームのような銃撃戦が展開して、それはそれで迫力があるんですが、そんな戦闘がずっと、しかもおんなじテンションで続くんで飽きます
そうこうしてるうちにどうでもいい真相が見えてきつつ、画面ではドンパチドンパチ・・・
分かったよ、すごいよ、迫力あるね、認めるから、たのむからもうちょっとメリハリある展開を・・・と思いつつ睡魔と戦いながら観てたらエンドロールでしたとさ
めでたしめでたし
ファッキュー

ネタバレはしないけど、この作品の話の展開を冷静に思い出してみると、マジでクソ脚本としか言いようがない
しかもそれを撮ってる側はすくなくともA級メジャー作品を目指してるようなところが感じられて逆に寒い
クソ脚本でもそれがB級だと自覚している制作陣が撮った映画は「変なベクトルであるにしろ抜きんでたものがある」のですが、その自覚がない人たちが撮るとハダカの王様状態にしかみえない
ラストに義足のにいちゃんとガチンコバトルでもしてくれたら、個人的にはそれだけでちょっとは輝いたクソB級映画認定できたんですが

あとは全体的に暗くてよく分からないか、臨場感をだすためだろうけど延々ブレたカメラ映像で戦闘がよく分からないという状態
たまにちょっとだけやる分にはスパイスの利いた画だけど、そればっかりみせられたらさすがにどうかと思わざる得ない
しかもラストはラストで意外性のかけらもない終わり方だし
もう、ここまで退屈させてくれるのは一つの才能だと認めたい

個人的にもっとサスペンスで謎な部分がメインの作品だと思ってたせいもあるけど、もうちょっと中身のあるのが観たかったなあ、と

個人的評価:25点
おすすめ度:銃撃戦大好きっ子あつまれ!




グリーン・ゾーン 予告

2010年5月12日水曜日

木曜組曲 (2002/日)


監督:篠原哲雄
出演:鈴木京香 / 原田美枝子 / 富田靖子 / 西田尚美 / 竹中直人 / 加藤登紀子 / 浅丘ルリ子








超一流の作家、重松時子が毒で自殺して四年
自殺当時、ぐうぜんその場に居合わせた5人の親戚、業界関係者たちは時子を偲んで集まるのだが、そこに何者かから時子の他殺をほのめかすメッセージが届く

週の真ん中、水曜日ってことで「木曜組曲」です
原作者は知らないですが、これを観たら原作作家さんの他の作品とか気になりますね
個人的にはストライクゾーンど真ん中な感じのおもしろい作品でした
やっぱりミステリーはいいのう

故人を偲んで年に一回集まっていた、時子が自殺した時に同じ屋根の下にいた5人の女性陣
みんな作家やライター、編集など物書き業界に関わり、しかも時子と親戚または親しい知人という面々
その会合も4年目ということと、そこに「おまえたちが時子ころしたんちゃうんか?あ?」って感じのメッセージ付きの花が届けられたことで、一行は当時を振り返りつつ「もう故人に遠慮とかいらんよね」という流れでぶっちゃけトークを始める、と
そんな中で次々にあらわになる一同の影の部分と当時の時子の姿、そして時子の死の真相は…?
会話劇がメインで、しかも登場人物の設定がつかみきれない所から始まりますが、そこら辺は観てるうちに慣れるので、難しく考えずにながめていれば徐々に理解できてきます

なによりも表面上は仲良しの集まりみたいな様相でも、水面下ではなんともいえない女性どうしらしい応酬があるのが見所
全体的に映画を観てるというより小説を読んでるような空気感で、会話ばかりゆえに地味ではあるんですが、時折はいる回想シーンでの時子の存在感が半端ないインパクトを与えてくれるのでかなりバランスよく練られて作ってるなあ、と
また、登場人物たちがわりと抑えた感じで演技しているんで、そこにみてる側の印象を上乗せしながら観ると楽しいかもしれません
「この人は今、こう感じている」とか小説のようにセリフとセリフの行間を自分で頭に書きながら楽しむのがいいかと

ミステリーとしてもおもしろくて、「えー、こんな真相かよ」とじゃっかんしょぼんとした所に「まあ、でも本当は…」とたたみかけてくるから困らない
それでいてミステリーなのにジーンとくるから本当に困らない
個人的に、真相解明編の流れの終わった最後のしめの部分でここまで楽しめる作品は珍しいような気がしないでもないですね

そんな感じでちょっと一風変わった、といってもいい気がするミステリーでしたが、本当に最初から最後までおいしくいただきました

個人的評価:90点
オススメ度:女性はこんなにも気持ちを簡単に切り替えられるものなのか



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2010年5月9日日曜日

運命のボタン (2010/米)


監督:リチャード・ケリー
出演:キャメロン・ディアス / ジェームズ・マーズデン / フランク・ランジェラ / ジェームズ・レブホーン / ホームズ・オズボーン / デボラ・ラッシュ / セリア・ウェストン




ある夫婦のところに届けられた箱に入ったボタン
それを押すと見知らぬ誰かがどこかで死に、代わりに100万ドルが手に入るという

まさかの○○ものシリーズ
ボタンを押すと大金が手に入る代わりに人が死ぬ・・・そこからなんらかの事件に巻き込まれていくってのは予想しやすいけど、これはさらに想像をこえたとこに話が進むから困らない
はっきりいってもろに好みの展開です
「フォーガットン」系といえばわかりやすいかもしれませんね

序盤は「押すか?押さないか?」というお決まりの葛藤を描きながら、なんともいえない異質な雰囲気が画面に展開します
主人公たちをとりまく怪しすぎる登場人物たち、意味ありげに画面に映り込む人、NASA、火星、国家保障局、マジで観ながら「なにが起こってるんだ?」というにおわせ方が素敵です
しかもそれがどんどんと私の好みの方向に流れていくからたまらない
人によってはかなり反則なサスペンスの部類かもしれません

だけどなんていうか、ちょっと複雑に描きすぎ
はっきりいって個人的にあんまり十分に内容を理解できなかったですね
こういう作品は内容を語ることじたいがネタバレなんで、あんまり感想はかけませんが、本当にうっすらとは理解できるんだけど、終始、頭に「?」が浮かんだまま話が展開していきます
そこらへんをラストですっきりさせてくれると思ってたんですが、自分の理解力ではこの作品を十分に堪能することはできませんでした

おおまかなところは分かるんで、もっと単純に話を進めてくれれば本当に良いクソB級映画になったものを・・・
なんか「これはそんな低俗な作品じゃねえから」みたいに、なんか必要以上に中身をこねくり回して小難しく描いてくれるから、そうとう分かりづらくなってる気がしますね
もう、ね、「真犯人は私だ!フハハハハ!」みたいなノリでギューンでバーンな感じでもいいんじゃないでしょうか

そんなわけで「フォーガットン2」でしたが、楽しいことは楽しいけど、なんかイマイチ煮えきらない微妙さが残念でした

個人的評価:65点
おすすめ度:来世から本気出す




運命のボタン 予告

劇場版TRICK 霊能力者バトルロイヤル (2010/日)


監督:堤幸彦
出演:仲間由紀恵 / 阿部寛 / 生瀬勝久 / 野際陽子 / 松平健 / 佐藤健 / 夏帆 / 藤木直人 / 戸田恵子 / 片瀬那奈 / 平泉成 / 池田鉄洋 / 三浦理恵子 / 大島蓉子






万練村で続いていた霊能力者崇拝だったが、その霊能力者であるカミハエーリが死んだことで次の継承者を選ぶことになる
物理学者の上田は霊能力者の中にインチキ者がいないか判断するために村に招待され、売れない女手品師の山田は霊能力のフリをして財宝目当てで村に訪れるのだった

そんなわけで過去作をギリギリで観ておいた成果を試すときがきたようです
まあ、劇場版1、2と観るほどに今作に対する期待値が下がってたわけですが、それでもシリーズの中では最高傑作かもしれません
これまでより楽しめましたが、あくまでこのシリーズとしては、ということでひとつ

内容的には1での神様候補のバトルを霊能力者バトルに代えて、2みたいなドラマ性を足した感じ
相変わらずゆるゆるでライトなコメディ要素が多いんですが、劇場で観てはじめてこの作品を好んで観る層の人たちとのギャップに気づきました
個人的に1、2を含め今作でもどうでもいいライトなギャグシーンでは不快には思わないまでもクスリとはぜったいしなかったんですが、劇場ではそこら辺の個人的に「ああ、笑うところね。はいはい」と冷めてしまうポイントでみんなが笑ってましたね
逆に個人的に好きな昭和ネタでは場内静まり返ってるから不思議
アダモちゃんとか、まったく反応がないなんて日本狂ってるわ

で、空気感的にはやっぱり前作どうようのドラマの延長線上なノリで進みます
さらに今作ではTVシリーズのネタまで引っ張ってきてるので、3から初で観る人はいないでしょうが、今まで以上にファン向けになってました
小ネタも相変わらず豊富ですが、どれもホントにライトなネタなんで、そう深い知識はなくても元ネタはすぐに分かるようになってます

肝心のミステリー部分はもうあきらめムードですが、内容ゆえに「誰が真犯人か」というより、終盤のたたみ方が見所でしょうか
ラストもシリーズ中ではよくできてると思います
あくまでシリーズ通して観ての感想ということで
いや、まあ、ナウなヤングがこぞって観る今時な映画ってやつはこういうもんだ、という勉強にはなりました
「昨日、映画みにいったんだよ」「へえ、なに観たの?」「第9地区」・・・というよりは「TRICK」と答えた方がよりリア充トークができるでしょう
そんな映画トークできる人なんかリアルでいないけどね!見くびらないでよね!

個人的評価:70点
おすすめ度:ガッツネタは微妙




劇場版TRICK 霊能力者バトルロイヤル 予告

2010年5月8日土曜日

REC【レック】 (2000/韓国)


監督:キム・ギフン
出演:カン・ソンミン / パク・ウネ / ハン・チェヨン / チョン・ミン / ペ・ジュニョン / イ・ヨンホ / アン・ジェファン / オム・ジウォン







病弱でいじめられっ子のソンウクは、ある夏休みにふたりの女友達に誘われて山の別荘へ旅行にでかける
その晩、カメラを回して凶器を振り回す集団が別荘に乗り込んでくるのだった

せっかくだから俺はこのRECを選ぶぜ!
というわけで、まいどお世話になっているこちらで話がでた「REC」を鑑賞
なお、ツッコミはいっさい受け付けません

別荘にいるところを襲われる一行ですが、実はソンウクをからかうために仕掛けられた悪友たちのドッキリでした、と
だけどソンウクはその最中に本当に死んでしまい、証拠を隠蔽して悪友4人組はその場を後にする
その一年後、4人組のひとりが何者かに襲われ、ソンウクの死体とともに処理したと思っていたカメラの映像がアップロードされたサイトのメモが残された
「ラストサマー」とかまともに観たことないですが、なんかそれのパクリということらしいです

そんなパクリ元を知らないゆえか、評判ほどひどさを感じなかったのは自分でも意外でしたね
もっとどうしようもないクソ映画かと思ってたんですが、B級目線で観ればそう悪くない…と言い切れてしまう私はやはりアレなんでしょうか
話の展開的に目新しいものはなく、「ここでくるな」というシーンでは期待を裏切らずにきてくれます
パクリうんぬんはよく分かりませんが、けっこう普通のB級王道ホラーなんじゃないでしょうかね

最初は「うわ、なにこの殺人鬼…よっえー」とか思ってたけど、真相を知って「うん、まあ、それなら弱いよね」と思えたり、なぜ一年後なのかとか、話の行間をあるていど読んでいくとけっこう奥が深いようなそうでもないような
そういう意味ではもうちょっと真相について説明してくれた方が分かりやすいかも
あとは殺人鬼側のねちっこい復讐がおもしろい
最初に襲ってみたけどサイトのアドレスを書いたメモを残すのが目的で、おどかすだけですぐに退散してしまうんですね
さらに4人組のひとりを拉致って他の仲間をおびきよせるんですが、拉致ったヤツはちょっといたぶっただけにして、そこに助けに現れたヤツを殺します
本当にいつでも殺せる状況の中で、あえて簡単に済まさずに恐怖のプレッシャーをかけてくる殺人鬼さん陰湿だわ

まあ、ぶっちゃけ脚本に穴はありまくるし、街中という設定なのに主要なキャラ以外はほとんど出てこないし、なんともいえない低予算B級ホラーのクソっぷりもかいま見せながら、最後まできっちり描いてくれるからいいですね
本気のホラー映画ファンとかは激怒ものかもしれませんが、にわかな自分にしてみれば「バカだなー」と肩の力を抜きながら楽しめた一本でした

個人的評価:60点
オススメ度:濡れ場でもポロリがいっさいないホラー



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2010年5月7日金曜日

TRICK 劇場版2 (2006/日)


監督:堤幸彦
出演:仲間由紀恵 / 阿部寛 / 野際陽子 / 生瀬勝久 / 片平なぎさ / 堀北真希 / 綿引勝彦 / 上田耕一 / 大島蓉子 / 池田鉄洋 / 平岡祐太 / 北村有起哉 / アベディン・モハメッド / 有吉弘行







十数年前にある村から姿を消した少女が筺神島にいると分かり、救出の依頼を受けた物理学者の上田
その救出の報酬につられて売れない女手品師の山田もいっしょに島に渡るのだった

劇場版3を前に復習していこうその2
劇場版1がちょっとアレなふうだったんで、ひっかかりながらも観ましたが…さすがにパワーアップはしてましたね
だけど、思ったほどの大きな進化はなかったというかなんというか

筺神島では霊能力者・筺神佐和子を中心に信者たちが島を牛耳っていた
そんな佐和子の能力を奇術だと言う山田は、とにもかくにもとらわれの少女の救出を目指す
という流れなんですが、前作よりミステリー分がさらに薄くなり、逆に作風的にそれがいい感じで作用してる気がします
小手先のトリックのだましあいとライトなゆるコメディ、良い意味でこの作品のウリである部分を特化してる…という感じでしょうか

そしてやはりというかなんというか、今作もドラマの延長線上の「TVスペシャル」みたいな雰囲気はそのまま
さらに前作以上にドラマの設定を前知識としてもってないとツライ作り
まあ、劇場版の2作目を元のTVドラマを知らずにいきなり初見でチャレンジする人の方が希かもしれないですが、もうちょっと映画なら映画らしく単体で楽しめるようにできないですかね
そういう意味では「ファン向け前提」と潔いスタイルで、原作好きなら満足でき…る?のかな?
個人的にはドキドキ感がもうちょっとあった方が好みなんですが
あとはもっとコメディにしても、どうせならもっとブラックな方向ではっちゃけてもらってもいいような

というわけで劇場版3に向けての復習も終わったわけですが、しょうじき3への期待値が下がったと言わざるえない
この流れからいくと3も「TVスペシャル」みたいな流れの別に劇場作品じゃなくてもいいよね、な内容になっているのかなあ
無理にがんばって「らしさ」を失うのもアレだけど、あんまりに冒険しなさすぎて「いつも通り」ってのも、それはそれで退屈なものなのですよ
ぜいたくなことを言ってるのかもしれませんが

個人的評価:60点
オススメ度:手品の種が古くさい



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TRICK 劇場版 (2002/日)


監督:堤幸彦
出演:仲間由紀恵 / 阿部寛 / 生瀬勝久 / 野際陽子 / 伊武雅刀 / 山下真司 / 芳本美代子 / 根岸季衣 / 前原一輝 / 大島蓉子 / アベディン・モハメッド / 竹中直人 / ベンガル / 石橋蓮司







売れない女性手品師の山田は、ある日、糸節村で神様を演じてくれと頼まれる
しかし村では他にも3人の神候補が訪れており、また、知り合いの物理学者の上田も村に埋蔵金を探しにきていたのだった

トリックはTV版の3期を見ていただけの中途半端な知識
しかも今までの劇場版は観てないってんだから、そりゃ劇場版3前にこなしておくのがすじのような気がしないでもないかなと
まあ、なんというか、こんなに子供だましみたいな作品だったかなあ、とTV版みてた時の記憶を探ってみる…うん、こんな感じだったかもしれない

金に困って糸節村で神様役をやることになった山田、同窓会の席で死んだ仲間が残した埋蔵金の在処のヒントをもとに村に訪れた上田、なんか知らんけど同時期に他にもうさんくさい3人の神候補が村に現れたことで、本物の神様を決める対決がはじまる
という感じの話なんですが、全体的にライトでコメディタッチながら、そこに埋蔵金がどう絡んでくるのかという期待感があるのである程度の緊張感は持続します
でもホントに基本はゆっるゆるのコメディとやっすいトリックが展開するだけなんで、しょうじきミステリー性は希薄

そんなゆるコメディも見てて楽しいんですが、どうひいき目にみても劇場作品には見えない
ドラマの延長線上としての映画化、それの悪い例の見本みたいな感じで「これ、映画っていうよりTVスペシャルだよね」としか思えない
それが良い味なのか、それはねえよと思うのかはその人次第…という選択を観る側に与えるのが狙いの意味ありげな作りで誤魔化す、じゃっかん手抜き作品というのが個人的な感想
雰囲気的な意味で
設定的にもこの劇場版から入っても理解し難いところがあるんで、やっぱりファンサービス映画化以上のものはないのかもしれません

それはそれとして、映画単体としてみると真相の解明編がはじまるまではなんだかんだで楽しいですね
アレは本筋にどう関わってくるのか、とか思いつつもゆるゆるっぷりを堪能できます
だけど、さすがにこの真相究明っぷりはないだろうよ
真犯人的なのを追いつめてる風もなく、なんか唐突に謎がすべて解けてしまい、しかもさすがの私もこのパワープレイさは容認の範疇外にあると言わざるえない
びっくりするほどのやすっぽい真相が待っているわけで…

なんというか、けっきょくのところ内容とかどうでもよくて、この雰囲気とノリについていけたもの勝ちって作品でした
劇場版2がパワーアップしてることに期待…してみたい

個人的評価:40点
オススメ度:ドキッ!まるごとお見通し神様だらけの奇術大会!ポロリもあるよ



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2010年5月5日水曜日

兜王ビートル (2005/日)


監督:河崎実
出演:兜王ビートル / 斎藤工 / 中川翔子 / 大原かおり / 堀内正美 / 南部虎弾 / なべやかん / スペル・デルフィン / えべっさん / ビル・ロビンソン







巷のプロレス団体を荒らす外宇宙軍と名乗る怪人レスラーたち
その暴挙を許すまじとカブトムシのマスクをしたレスラー、兜王ビートルが立ち上がる

5月5日→こどもの日→鎧兜→兜王ビートル
というわけで、華やかな連休であるゴールデンウイークもいよいよ終わりですね。ざまあみろ
こっちは窓ガラス割られてるのに「窓の修理とか休み明けにきまってるだろ。ボケ」という頼もしい業者さんの一言をかみしめながら、連休中も(日曜以外は)働いてたっちゅうねん。あ?
自分から遊びにいっておいて「ああ、疲れた疲れた」とか何様のつもりだよ。ん?
ってね、そら心もすさむわけで
察してください

で、「兜王ビートル」ですよ
もうとりあえずやってやろう、という前向きでポジティブな向上心がいっさい感じられない、これぞ正真正銘の脱力系映画ですね
アクションシーンで危険な所はぐにゃっぐにゃの人形ですよ
超人的な力を発揮するところは何年前の自主制作映画だよって感じの合成技術ですよ
エフェクト類はしょっぱい花火ですよ
でも、いいじゃない
そこがB級を超え、C級の境地を突き抜けたZ級映画の醍醐味
がんばって逆に痛い作品になるくらいなら、背伸びせずがんばらずに身の丈レベルのクソ映画を作った方が楽しいじゃない

内容的には魔蟲王とかいう異星人で怪人で悪の虫の親玉なやつが、仲間である兜王ビートルのおもちゃなんかのグッズを展開して売ろうとしてたら、とうの兜王に逃げられて、おびきだすために手下をつかってプロレス団体荒らしをはじめる
だけどライバルキャラとして売り出すつもりだったクワガタムシのディザスターが、なんか本気モードで兜王をぶちのめしにかかる、と
衝突する兜王とディザスター、そしてディザスターの女である蝶女
しかし、実は三人は元々は人間で昆虫と合体させられた怪人であることが判る
で?っていう感じでディザスターは「俺が最強だもんね」と外宇宙軍を完全に掌握、兜王と最後の決戦を申し込む
と、ほぼラストまでの流れを書いてみたけど、まあ誰も怒らないでしょう

とにかくこのディザスターがホントにいいキャラで、ぶっちゃけ兜王とか地味すぎで泣ける
とりあえず最初にディザスターに変身した時は、その顔のはめ込みっぷりに大爆笑ですよ、おくさん
そして、基本はヒールっぽい反則技を多分に含んだプロレス技で兜王を追いつめるわけですが、必殺技はディザスタービームです
ええ、あの得たいの知れない光線を発射するという意味でのビームです
しかし、上には上がいるもので、蝶女は実は兜王の元カノでディザスターに乗り換えたわけですが、それを利用して普通に兜王を毒薬や吹き矢の奇襲で殺しにきます
これぞビッチ、こういうビッチが映画を盛り上げる…かどうかは知らんけど
あとはゴキブリ怪人のゴキアブラーがいい
特に終盤のゴキアブラーはいいキャラに育ったもんだと

個人的にプロレス関係の知識がないからアレですが、知ってる人が観たら「ああ、あいつは○○だよ」とか、そういうのが分かるようなキャラが何人か出てきてる気がします
でも、そんなプロレス知識なくても楽しめるから安心してくださいね
というか、この映画を観ようという強い意志をもち、このZ級の敷居をまたげる人なら、その先になにがあろうとだいたいは問題ないと思いますが
うん、やっぱり疲れてる時は脱力系クソ映画にかぎりますね

個人的評価:20点
オススメ度:痛いです




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2010年5月2日日曜日

ゼブラーマン ゼブラシティの逆襲 (2010/日)


監督:三池崇史
出演:哀川翔 / 仲里依紗 / 阿部力 / 井上正大 / 田中直樹 / ガダルカナル・タカ / スザンヌ / 中野英雄 / 水樹奈々 / 前田健 / 六平直政 / 木下ほうか / マメ山田 / 波岡一喜 / 生瀬勝久


ゼブラーマンがエイリアンを倒したことにより、全国からマスコミが押し寄せ、市川の気持ちをよそにゼブラーマン報道は過熱していく
そんな中、ゼブラーマンの力を研究する組織の実験が行われ、次に市川が目を覚ましたのは15年後、しかも記憶を失っていた

こいつはひどい映画だ
ほめ言葉じゃなく、本当にひどい
続編ゆえのつまらなさをよくあらわしてる
前作より大きくパワーアップ&ボリュームアップしてるけど、分不相応というかなんというか「(頭で描いた)やりたいことに、実際の内容がまったくおいついてない」感が漂ってます
観てた他のお客さんが終わって劇場を出るときに言っていた「ゼブラーマンって、こんなんじゃなかったよね」という言葉が本当に適切な映画でした

マスコミ報道を皮肉って描き、いきすぎたもてはやされ方で私生活がなくなり妻と子供は家を出て、それでも基本は良い人な市川はいちいちマスコミや押し寄せた野次馬に反応してしまう
一方で、ゼブラーマンの力に目を付けたある組織によってモルモット扱いされた市川は、記憶を失った上に目が覚めたら15年の月日がたっていた
15年後の街は周囲の街を合併した巨大なゼブラシティと呼ばれるところになっており、そこでは知事の娘であるゼブラクイーンが民衆に人気になっていた
なぜかリンクする市川とゼブラクイーン、エイリアンの生き残り、怪しい知事、クイーンを守るサムライ男、ミニスカゼブラポリス、朝と夕方の5分間だけあらゆる犯罪が許されるゼブラタイム・・・序盤からひきつけられる展開が目白押し

さらにゼブラーマンになにがあったのか、知事とクイーンはなんなのか、という謎が描かれることで本当に先が気になります
まあ、だけどおもしろいのはゼブラウーマンが登場するまで
そこからクライマックスに向けての話のたたみ方がしょぼすぎる
ぶっちゃけ白ゼブラーマンVS黒ゼブラクイーンの激しいガチバトルとか、そういうのないですから
というか変身後のそれまでのもやもや感をふっとばす、すかっとする激しいバトルとかもないですから
全体的になんというか「もっさり感」というか「もやもや感」がつきまとうアクションシーンにげんなり

あとは個人的に下ネタは大好きだけど、この作品のはちょっと空気が読めてないところで下ネタが「どう?ん?笑ってもいいんだよ?」って自信満々にさしこまれるから、ほんとに寒い
これは下ネタにだけにかぎらず他のギャグシーンもそうで、笑いがでしゃばりすぎてて寒くて寒くてしかたがなかったですね
とにかく前半までは先を期待させる展開にわくわくもしますが、後半のグダグダっぷりがすべて台無しにしてるもったいない
特にラストのアレはさすがに「本当にひどい」としか言いようがない
これが続編ではなく、ひとつのクソB級映画ならアリだけど、作風からして正統な続編として作ってるのにダメな方向にはしゃいじゃってますね

個人的評価:25点
オススメ度:まーた、今作でも家族の問題はスルーですか




ゼブラーマン ゼブラシティの逆襲 予告

2010年5月1日土曜日

ゼブラーマン (2003/日)


監督:三池崇史
出演:哀川翔 / 鈴木京香 / 内村光良 / 市川由衣 / 近藤公園 / 安河内ナオキ / 渡辺真起子 / 古田新太 / 麻生久美子 / 袴田吉彦 / 柄本明 / 岩松了 / 大杉漣 / 渡部篤郎






防衛庁により、日本のある街にエイリアンが潜んでいることが判明
そこの区域の小学校の教師として勤める市川は、よなよな昔みていた特撮ヒーロー「ゼブラーマン」のコスプレを密かな楽しみにしていた

いつものように続編前の駆け込み鑑賞
特撮ヒーローネタ映画…かと思ってましたが、普通に特撮ヒーロー映画だったんでビックリ
もっとどうしようもない内容かと予想して観たわけですけど、実際には本気で作られたB級映画な感じで個人的に好きな作風でした
なんとなしに今まで観てなかったけど、これ公開当時はけっこう一般的な作品みたいな売り出し方してて、結果、なんか思ってたのと違うとかなんとかで微妙な内容というレッテルが貼られてしまった…というような個人的な印象があります

本当にこれはB級もいいとこで、世間一般的な映画ファンにしてみたら「はあ?」って内容かもしれません
だけどB級好きにとってはかなりの良作と言わざるえない
たしかに哀しい川を翔ぶと書いて翔のコスプレ映画だけど、そこがいいんじゃない
そして、そんなコスプレしてるうちに人に寄生して悪事をはたらくエイリアンとのバトルになるわけですが、敵であるエイリアンを倒すほどのパワーがいっかいのおっさんに備わってる理由の設定が微妙に伝わりづらい気もするけど、そこら辺は行間を読め、と
説明足らずといえばそうかもしれませんが、個人的にはこのくらいの突き放し感の方が好きですね

細かい設定なんかどうでもいいヒーローものかと思いきや、実は裏ではそれなりな話があったゆえのゼブラーマン誕生の流れがあるのはいい
しかも、そんな設定が明るみになったかと思いきや、さらに普通の説明不要の「ヒーローはヒーローだろ」という流れになるのが面白い
ネタっぽい作品な印象だけど、実はけっこう考えられて作られてるなあ、と感じました
防衛庁の現場組のにいちゃんのような熱い人もいれば、ギャグ担当もいるし、しみじみ担当もいるキャラの置き方、絡み方もよくできてるかと

まあ、でもあくまでB級映画としては、の話
そりゃ市川の家族関連のエピソードが弱かったり、普通の大作を期待して観ると火傷必死だったりするので万人受けもしないだろうと思われるのも事実
許せ、力を抜け、翔を楽しめ、という精神のもとに観るのをおすすめします

個人的評価:80点
オススメ度:ゼブラ!ゼブラ!





ゼブラーマン 予告



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