2010年6月30日水曜日

6月のこれ一本

木綿豆腐をなにも味を付けずにただゆでます
ゆであがったら適当に水気を切ります
そこまでしっかりしなくても大丈夫

次に納豆にピリ辛味の味噌を小指の先っちょくらい入れて、後は好みで付属のタレや辛子などを加えてよく混ぜます
混ざったらゆでた豆腐の上にのせ、完成

よく考えたら豆ものばっかじゃねえか、と思いつつ「告白」を観ましょう

2010年6月28日月曜日

チャックとラリー おかしな偽装結婚!? (2007/米)

監督:デニス・デューガン
出演:アダム・サンドラー / ケヴィン・ジェームズ / ジェシカ・ビール / ダン・エイクロイド / ヴィング・レームズ / スティーヴ・ブシェーミ / ニコラス・タトゥーロ / アレン・コヴァート / レイチェル・ドラッチュ / リチャード・チェンバレン / ニック・スワードソン / ブレイク・クラーク / メアリー・パット・グリーソン / マット・ウィンストン / ランス・ベース / デイヴ・マシューズ / ロブ・コードリー / ロバート・スミゲル / ピーター・ダント / ロブ・シュナイダー / デヴィッド・スペード


亡くなった妻の年金手続きを見逃したラリーは、それを受け取るためには再婚するしかないと言われる
他の女性のことを考えられない彼は同僚の消防士のチャックにゲイを装って偽装結婚してくれと申し込むのだが

シンプル、ストレート、パワフル、まさにハリウッドコメディという感じの内容
出だしがあまりにもアメリカンジョークを映画にしたような寒い展開なので、冒頭は「あーあ、くっだらねえコメディ引いちゃったかな」と思いましたが、ゲイ話が動き出した途端にいっきにバカ騒ぎコメディものに変わっていくので安心しました
とにかく細かいことはいいから、とりあえず笑いたい時にはいい作品ですね

女たらしで口が悪いチャック、亡き妻をひきずりながらふたりの子供を育てるラリー
ひょんなことからチャックに貸しができたラリーは、ゲイ同士でも家庭を築けるパートナー制度を利用して形だけの結婚生活を約束させる
しかしパートナー制度を悪用することは重大な法律違反であり、その制度のために長い年月戦ってきた正真正銘のゲイたちを裏切る行為であった…
そんなことを徐々に身に染みながら感じつつも、後戻りできないふたりはどんどん本当のゲイカップルらしく嘘に嘘を重ねて振る舞っていく
で、そんな中、ふたりに探りを入れる調査人、ヘンテコな結婚式感情のおっさん、本物のゲイ、そしてゲイに偏見を持つ人たちとやりあううちに偽装ゲイのふたりがいつのまにか周りにパワーを分けていく

まあ、ぶっちゃけシリアスな展開になりそうかな、と思いきや結局はバカ方面に展開するんで、観てて肩はこりません
それでいてゲイに対する偏見とか社会風刺みたいなネタも入ってるんでコメディとして軽くなりすぎない
さらにコメディでゲイを扱うわりにそんなに下品さがないから、小さなお子様も安心して観れます…知らんけど
ギャグのバランスもコテコテながらいい感じで、バカっぽいのが好きな人なら問題ないでしょう
消防士たちの絆がうんぬんと語った後の隊長たち一行の姿とか最高でしょ
だけど、いつも言ってる気がしないでもないけど、なぜか日本ではこういうコメディは受けないんだよなあ
おもしろいのになあ

で、冒頭の寒いギャグの連発もさることながら、あまりにラストのオチのパワープレイにさすがに「そりゃないんじゃねえの」と思わず言いたくなる
いや、まあ、らしいっていえばらしいし、それこそ典型的なバカコメディの落とし方なんだけど、ね
個人的になんとも真性のゲイたちがバカみたいな描き方になってるのがちょっと
そっちのけがあるわけじゃないですが、本当に自分の性について悩んでる人がみたらどう思いますかね…と言わざるえない

結局はホントに深く感がえるもんじゃない作品ってことなんでしょうが、ちょっとラストが弱いきがしてならない一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:やさしく扱う




チャックとラリー おかしな偽装結婚!? 予告



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ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン (2008-06-12)
売り上げランキング: 5200

2010年6月27日日曜日

フェーズ6 (2009/米)

監督:アレックス・パストール / ダヴィ・パストール
出演:ルー・テイラー・プッチ / クリス・パイン / パイパー・ペラーボ / エミリー・ヴァンキャンプ / クリストファー・メローニ / キーナン・シプカ / ロン・マックレイリー / マーク・モーゼス







世界中に蔓延した感染力の強い謎の病
そんな中、兄のブライアンと弟のダニー、そしてそれぞれのガールフレンドを乗せた車がある場所へ向けて走る

地味
びっくりするほど地味
ここまで地味な作品を作る勇気に乾杯したいくらい地味
いわゆる感染パニックものなんだけど、すでに開始時点で世界中に蔓延してる状態からはじまります
そして、世界の描写なんかは主に主人公たちの会話の中で説明されるわけですが、しょうじき序盤の段階で「こりゃ感染の原因とか、そこらへんの真相はスルーだろうな」という雰囲気があふれていて素敵です
これもB級ではよくある「もしも○○だったらシリーズ」な深い設定とか、そんな細かいこといいから・・・という感じの作品

主人公たちは車を走らせている
横柄で自己中な兄のブライアンは悪態をつき、弟のダニーは冷静ながら小心者
ふたりのガールフレンドはドライブを楽しんでいる
そんな中、路上に道をふさぐように車が止まっており、主人公たちは「感染者か?」といぶかしむ
そんな日常が非日常にひっくりかえるドッキリを描きたかっただけな気がしますが、それでも徐々に世界がどういう状態になっているかの描き方は丁寧に作られていると思いましたね
いきなり滅びかけの人類社会をドーンとみせられるより、徐々にじたいはかなりひどい方向に進んでいるのが分かる・・・ってやり方のほうがおもしろい

基本は人と人のやりとりであって、別に感染したからといってゾンビとかそういうのになるわけじゃないという点も地味さに拍車をかけてますね
あくまで極限状態においての人間対人間のやりとりが描きたかったんでしょう
そういう意味ではよくできていると思いますね
よく分からない病、感染したら最後、憎くもない親しい相手にもつらい処置をしなくては、次には自分がそっち側の人間になってしまう・・・
そんな中で、少しずつ狂った世界に順応したかのように、心の中の何かが狂いはじめる、みたいな

そういう作品は地味ながら嫌いじゃないんですが、いかんせん地味以外にもあまりに作りが粗い気がしてならない
途中で出会ったり、遭遇したりした人たちとの絡みもその場かぎりすぎて、その後の伏線になってるでもなし
空気感染するかもっていう状況の中、おもちゃみたいなマスクをつけっぱなしならまだしも、なんかけっこう普通にはずしてるし
ラストもラストでなんのひねりもない「まあ、こんな終わり方だろうな」って感じだし
地味で粗くて意外性のかけらもないから微妙さが際だちます
いや、ホントに旅の途中のできごとは、ひとつひとつはおもしろいんだけど、さらにそこから突き抜けるものがないというかなんというか
かわいいワンちゃんとかね

あとはお兄ちゃんのブライアン
もうびっくりするほどこの手の作品のビッチ担当を地でいってくれて、最初から嫌悪感ゲージが上がりまくりなんですが、そこはそれで終盤になって弟との絡みで「ほう」とちょっとだけ思えるからいい
なんだかんだいいつつ、全体的にブライアン映画な感じも否めないですね

そんな地味で地味な地味映画ですが、ぶっちゃけ後で思い返してもなんにも残らない作品ですが、けっしてつまらなくはない一本でした
まあ、別に無理して観る映画じゃないってのも確かですが

個人的評価:60点
オススメ度:大はナンバー2




フェーズ6 予告

2010年6月25日金曜日

ザ・ウォーカー (2010/米)

監督:アレン・ヒューズ / アルバート・ヒューズ
出演:デンゼル・ワシントン / ゲイリー・オールドマン / ミラ・クニス / レイ・スティーブンソン / ジェニファー・ビールス / フランシス・デ・ラ・トゥーア / マイケル・ガンボン / トム・ウェイツ / クリス・ブローニング / ジョー・ピンギー / エバン・ジョーンズ / ラティフ・クロウダー / リチャード・セトロン






文明社会が崩壊し、荒れ果てた世界で一人の男が旅を続ける
一冊の本と身を守る武器を手にひたすら西へと歩き続けるのだった

前にこの映画についてちょろっと調べた時に、軽いネタバレをふんでしまい微妙な思いをしたけど、まあ、内容じたいが微妙だったんでそれほどのダメージはありませんでした
逆に先に知っていたからこそ分かる事実もあったからよし、と
そんなことはどうでもいいということで、トゲ付きの肩パッドをしたモヒカンがバギーでヒャッハーしてるような世界を舞台にしたそんな作品とか、なんとなく心躍るものがありましたね

本を持って旅する男が、荒廃した世界の中でそれなりな街を作り、ある本を探す男と出会ったことで物語は動き出す
そんな話ですが、しょうじきストーリーはどうでもいいかなあ、と
見るべきはやっぱりアクションで、わりと地味なストーリーとうってかわってアクションシーンはけっこう楽しい
というか、SFものかと思ったら座頭市だった・・・そんな感じで
アクションじたいも派手なんだけど、ホントに大仰に見せずに地味なストーリーに合わせるかのようにギリギリはじけない
でも、そんなアクションが逆にいい味がでてますね
B級的に考えて
ドーンとよらずに、引きのカメラで首ちょんぱとかさりげなく入れてきますしね

あとは全体的な不親切さが個人的には好きでした
あえてそんな細かく説明しないよ、って感じで淡々と描いているけど、よくよく考えたり前のシーンを思い出すと「ああ、それで、ね・・・」と感じることもしばしば
まあ、でも説明不足すぎるところもあるのは否めませんが
そんな細かいことを気にするような作品じゃないんで、これ

で、結局は主人公が旅をする目的地と、そこでどうするかってのが主な求心力になるわけですが、しょうじき最後まで観ても「なんか物足りないなあ」としか言いようがない
個人的な感想として、アクション大好きな人があえて自分の得意分野をおさえて別のジャンルに挑戦してみた、って印象がしましたね
そして結果的に中途半端なものに仕上がっちゃった、と
そうみるとかなり微妙でどうしようもない作品なんだけど、終盤のジジイとババアとの絡みとかB級脳にとっては「このシーンがあったことで評価しちゃうよ」と思えるくらい素敵ポイントすぎるのがあるから困らない
全編、このノリでB級アクションに徹底してくれればなあ
変にかしこまったのを作ろうとしないでさ

そんな微妙で物足りないながらも、なんか楽しい素敵ポイントもある映画でしたね
ひとつだけいえるのは、ぜったいに誰かにオススメできる作品ではないかなってことでひとつ

個人的評価:65点
オススメ度:エリではなくイーライ




ザ・ウォーカー 予告

2010年6月23日水曜日

あるいは裏切りという名の犬 (2004/仏)

監督:オリヴィエ・マルシャル
出演:ダニエル・オートゥイユ / ジェラール・ドパルデュー / アンドレ・デュソリエ / ヴァレリア・ゴリーノ / ロシュディ・ゼム / ダニエル・デュヴァル / ミレーヌ・ドモンジョ / フランシス・ルノー / カトリーヌ・マルシャル / オーロル・オートゥイユ / オリヴィエ・マルシャル / アラン・フィグラルツ





パリ警察で警視をつとめるレオとドニ
それぞれ反目し合いながらも巷をにぎわす強盗事件を追うのだが

観終わってはじめて実話をベースに作られたものだと知りましたが、リアルでこんなこと(に近いこと)があったのか…と
いや、話的にはそう特別なアレじゃないんですが、こんな映画みたいなことが実際にもあるんだなあって感じで
演出的にはあっさり、だけど中身はわりと濃ゆい作品でしたね

きわどい犯罪すれすれの捜査をする出世欲のないレオ、仕事をこなし出世することを第一に捜査をするドニのふたり
ともに実績は申し分ないが、出世欲のないレオに次期長官の話が出たことでドニが…
とかそんな感じの流れなんですが、ホントに色々とぽんぽん話が切り替わって進むんで、しょうじきどこまであらすじを書けばいいか困る
ネタバレにならない範囲でいうなら、単一な話ではないってことで

演出があっさりしているけどビシッときめてくれて、なにかアクシデントが起こると途中経過は最小限に結果だけバーンと描くテンポのよさ
それでいて説明不足にはならないていどのはしょりなんで、観てて小気味よささえ感じます
「○○の居所が分かったぞ!」→次にはもうそこに突入してるシーン…みたいなとにかく流れをだいじにしてるのが分かります
そんなあっさりでテンポのいいところが逆にいえば「ちょっとスカしてる」と思えなくもないですが、個人的にはこのくらいパッパと話が進んだ方が飽きなくていい

しかし、それにしてもこの作品の冒頭の入り方が微妙に分かりづらいと思ったのは私だけでしょうかね
どんな話がよくつかめないままに話が進むのはいいんですが、そこはほら、もっとレオとドニの関係を強調するような過去話とかそこらを描いてくれた方が話に入りやすいような気が
話が進んでいけば分かることは分かるんですが、もっと初めの方からふたりの確執みたいのを…とか思っちゃったりしちゃいました

とにかくレオのおっちゃんがカッコイイ
作風とかからも感じるけど、なんとなく北野映画みたいな臭いがしてきますね
そういう意味ではフランスとかあっちで北野武監督のバイオレンスものが受けるのも納得かも
熱いものを内に宿しながら、見た目はクールな感じで部下からの信望も厚い
でも必要とあらばちょっと犯罪めいたことも躊躇なくやっちゃう
そんなオヤジのかっこよさを楽しむ作品と言えなくもないかも

あとはラストとそこに繋がるクライマックス、ね
いやあ、まあ、なんというか個人的には思ってた終わり方と違って、そこがそれでまたおもしろかったですね
実話がベースってことでどこまでが考えて作ったとこなのか知らないですが、「どうせこうなるんだろ」と思ってたことがくつがえされる気持ちよさというかなんというか
まあ、最後、主人公がどういう結末を向かえるかは観てのお楽しみとか言っちゃっておきますね
深読みスキルがある人からすれば「ふーん」な感じかもしれないですが、個人的にそういうスキルがないのが幸いだったかもしれません

そんなかわいいワンちゃんがいっぱいでる他、愛くるしい猫ちゃんも多数出演するアニマルムービー「あるいは裏切りという名の犬」は、地味に楽しい一本でした

個人的評価:85点
オススメ度:ドニさん普通に小ものすぎるだろ




あるいは裏切りという名の犬 予告



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2010年6月21日月曜日

姑獲鳥の夏 (2005/日)

監督:実相寺昭雄
出演:堤真一 / 永瀬正敏 / 阿部寛 / 宮迫博之 / 原田知世 / 田中麗奈 / 篠原涼子 / 清水美砂 / 松尾スズキ / 恵俊彰 / 三輪ひとみ / 寺島進 / 荒川良々 / 堀部圭亮 / 原知佐子 / 三谷昇 / すまけい / いしだあゆみ






昭和27年、小説家の関口は妊娠20ヶ月を超える女がいると友人の古本屋を営む京極堂に話す
京極堂はつれない返事だったが、その女の姉が探偵のもとに依頼にきたことで関口はともに調査をはじめるのだった

いまだにミステリー熱が続いているわけで、そこに怪奇分が合わさるとなればこれは観るしかない、と
個人的に夢幻紳士とかそういう系が大好きなんで、そりゃ期待値も否が応でも高まりました
だけど、まあ、なんというか、これ演出と配役で台無しにしてるよね
としか言いようがない作品でしたね

妊娠20ヶ月の女、忽然と消えた夫、死産続きの病院、久遠寺家にまつわる呪い、怪奇的な噂…
いわゆる関口が実働部隊のワトスン役で、京極堂が安楽椅子探偵のホームズ役みたいな作品
もうそんな雰囲気だけで十分に楽しい…はずがまさに「どうしてこうなった」状態だからなんともいえない
これはコメディなのかってくらい安っぽい演出がひどすぎる
そこにきて昭和を意識したコントみたいな真新しい衣装を着た、明らかに今風なキレイな顔立ちの役者たち
そして何かの冗談か、ってくらいにこてこてで滑稽ささえ漂う音楽センス
もう観始めて数分で苦痛を感じるとは思わなかった…

それにも慣れてくる中盤以降はなんとか作品に集中できて、怪しさと謎めいたミステリー要素を楽しめましたね
どちらかといえば怪奇ものの方が強くて、推理とかそっち系はオマケみたいな感じ
全ての重要な情報を記し、それを組み立てれば謎が解明できるというところまで描いてのミステリーで、重要な所を隠した上で「実は…」と解答編でやるのは邪道とかいうのをなにかで読んだ気がしますが、そういう意味ではミステリーではないと言えるのかもしれません
まあ、でも怪奇ものとしては十分におもしろいですが

ラストはありがちな感じですが、まあ落胆はしないレベル
だけど、最後の最後でまた余分な演出が入るから、ホントに気持ちよく観終わらせてもらえないから困る
あと、全体的にセリフが何言ってるか聞き取りづらいのはどうかと思いましたね
別にそんなこと気にするほど気合い入れて観てたわけじゃないので、どうでもいいといえばそれまでですが

個人的評価:30点
オススメ度:そら茂も出るわ


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2010年6月20日日曜日

フィクサー (2007/米)

監督:トニー・ギルロイ
出演:ジョージ・クルーニー / トム・ウィルキンソン / ティルダ・スウィントン / シドニー・ポラック / マイケル・オキーフ / ジュリー・ホワイト / デニス・オヘア / テリー・セルピコ / ケン・ハワード / デヴィッド・ザヤス / デヴィッド・ランズバリー / ロバート・プレスコット / メリット・ウェバー





大手法律事務所に勤める揉み消し担当のマイケル
ある日、同じ事務所の弁護士が問題を起こしたことにより、その揉み消しを行おうとするのだが

たまにはサスペンスものでも、と思って観たものの…なんとも言えず眠かった
とにかく地味すぎる上に、「これどんな映画なんだろう」と要点をつかむまで時間がかかってしまいました
まあ、そこら辺は私の理解力のアレがナニなだけですが
あと、ぶっちゃけ「おまえジョージ使いたかっただけちゃうんか」ってくらいに、ホントにジョージ・クルーニーの演技に作品のほぼすべてをかけてる感じ
個人的な印象ではジョージ映画だね、ってくらいしかない

超大手の製薬会社が集団訴訟されており、主人公の勤める法律事務所では会社側を弁護している
その担当弁護士が原告がいる前でいきなり素っ裸になってしまう事件が発生
担当弁護人はそううつの病気でふだんは薬を常用しているが、数日のんでいないという
そんな不安定な状態の彼のやったことを揉み消そうと主人公が派遣されるが、男は逃げ出した上に原告側に有利な製薬会社の裏事情をもらそうとしだす…と
そんなお話
で、お約束な感じで主人公はこの製薬会社の秘密みたいなものをうんぬんかんぬんで、どんどん大きな企みに自らも巻き込まれていってしまう

設定と素材はホントにおもしろいと思うんですが、とにかく地味。とことん地味
十数年かけて弁護してきた相手がアレな感じで、じょじょに心の均衡を失っていった担当弁護士ってのも分かるけど、あまりにその描写が「重度のうつで常軌を逸した男」としかこの作品からは見てとれない
さらに主人公の揉み消し屋としての力量もよく分からず、なんか凄腕って説明されても「ふーん」としか思えない
描写してほしい所をしてくれない感が漂ってますね
どうせなら主人公をもっと汚い男として描く、なんらかのエピソードがあってくれた方が終盤に生きてきた気がしないでもない
製薬会社と原告団の対立もそんなに大げさに描いてなく、数字だけで「すごい」と思わせるのはきつくないですかね

いやあ、ホントにジョージ映画にするんだったら、もっと主人公を怪しくしてほしかった
善人ぶっていろいろ探ってるけど、結局は利己のためなんじゃ…?っていう怪しいムードがあれば、個人的にはかなりツボな作品になってたかもしれません
大げさでにぎやかすぎるサスペンスもアレですが、地味すぎても眠いだけな気がする一本でした

個人的評価:50点
オススメ度:三頭の馬とはなんだったのか




フィクサー 予告



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2010年6月18日金曜日

アウトレイジ (2010/日)

監督:北野武
出演;ビートたけし / 椎名桔平 / 加瀬亮 / 三浦友和 / 國村隼 / 杉本哲太 / 塚本高史 / 中野英雄 / 石橋蓮司 / 小日向文世 / 北村総一朗





組長の池元に言われ、村瀬組にちょっかいを出す大友と部下たち
そのちょっとしたいざこざが、少しずつ、だが確実に山王会組織全体に広がっていくのだった

世界のキタノって語るほど最近の作品は観てないですが、なんか久しぶりのバイオレンスものってことで鑑賞
なんか知らないけど日本人がひかれるヤクザ映画の世界
暴力的でありながら人としての絆がしっかりと強く残っている様は、やっぱり観てて心地良いもので
まあ、でもこの作品はそんな絆的なものがすべてってわけではないんですけどね

最近のヤクザものっていうと、効率重視のインテリで経済を牛耳ってるグローバルな冷たい印象が強い
この作品でもそんなところがないわけではないんですが、根底は昔ながらの泥臭くて基本、暴力が支配しています
中国系がでしゃばってくることもないし、成金ヤクザがうざすぎることもないし、妙にインテリぶったやつばかりでてくるわけでもない
見せしめでいためつけるのであれば、とにかく効率よりインパクトを選び、どんなにバカらしいことをしていても賢く立ち回れない
そんなヤクザたちがいっぱいでてきます

話的には、ちょっとしたいざこざが徐々に大きくなっていき、収集がつかなくなって組織全体に波紋が広がっていく・・・というありふれた内容
ですが、映画のうたい文句でもあるように、出てくるキャラがみんな悪人で、偽善ぶったやつすら出てこない徹底ぶりはおもしろい
そんな悪人たちのやり合いを楽しみつつ、だけどだんだん慣れてくると「なんか普通のヤクザ抗争ものじゃねえか」と思い至るでしょう
そして終盤、その思いはどんどん強くなり、なんか面白味に欠けるなと、この作品に対する評価が決定づけようとしたラスト、そこからいっきに評価が変わります

ここからはかなり個人的なアレですが、ホントにラストの野球(ソフトボールだったか?)シーンから、金庫番の出てくるシーンで「ああ、なるほどね」と思わざるえない
古いヤクザ映画の終わりというか、あえて今、こういう古くさいヤクザを描いた意味とか、そこら辺が伝わってくる・・・気がするんですね
あくまで個人的に

けっこう暴力シーンが痛々しくて、観てる側に対する視覚的暴力もけっこうありますんで、微グロっぽいのがダメな人はキツいかもしれません
そして、しょうじきこの映画って外国での評価はそんな望めないんじゃなかろうか、と思う気がするんですがどうなんでしょうね
けっこう日本人の方を向いて作られてる印象が強かったので

個人的評価:90点
オススメ度:ファッキンジャップ以外も分からなくては生き残れません




アウトレイジ 予告

2010年6月16日水曜日

ノー・マンズ・ランド (2001/伊・英・ベルギー・仏・スロベニア)

監督:ダニス・タノヴィッチ
出演:ブランコ・ジュリッチ / レネ・ビトラヤツ / フィリプ・ショバゴビッチ / カトリン・カートリッジ / サイモン・カロウ / ジョルジュ・シアティディス / サシャ・クレメール / セルジュ・アンリ・バルケ / ムスタファ・ナダレヴィッチ






ボスニア軍とセルビア軍がにらみをきかせる最前線
その中間地帯にひょんなことから両軍の兵士数名が立ち往生してしまうのだった

なにげなく観た作品がすごいおもしろかった時のテンションの上がりっぷりは異常
ということで、手近にあったのをテキトーに観たわけですが、いやあ、ホントにおもしろかったですね
いがみある両軍の兵士が一名ずつと、体の下に地雷をしかけられて身動きできない男、その三人が戦争の中間地帯である塹壕で繰り広げるシチュエーションコメディっぽいドラマ
設定的にはすごくシンプルなんだけど、その塹壕内でのそれぞれのキャラの心情みたいなのが分かりやすく描かれてるんで、作品自体に深みがでてます

塹壕で立ち往生しながらも敵同士であることには変わりはなく、銃という武器を持った者が優位に立てる状況で、それでも長いこと顔を突きつけていると反発し合いながらも徐々になんともいえない情がわいてくるわけで
そんなこんなで塹壕を中心として立場や人種を越えたなんやかんやは抜きにして、みんながひとつにまとまっていく…
というありふれた話ではないのは確か
奇妙な友情みたいなものが形を成すのは王道ですが、その先にあるものをきちんと描いてるからおもしろいといわざるえない

パンツ一丁で塹壕の外に出ると、敵も味方も「あれは敵か?味方か?なんなんだ」みたいな究極のところは軍服で色分けする戦争…みたいなブラックユーモアが全編に流れていて、シリアスなんだけど妙にコミカルで、しかも確固たる反戦の姿勢が作品にあらわれてます
そこに上司が日和見主義で役に立たない国連軍が中途半端に介入してきたり、人の命という餌に群がってくるジャーナリストたち、ただ敵を殺すこと以外のことには対処不能な現場の兵士たち、と次々にしょうもない(褒め言葉)展開になりつつも状況はどんどん笑えなくなっていきます

特にラストにはすっごい重いものを残して終わるので、かなり余韻が残るデキになってますね
ほら、あれですよ、みんななんだかんだ言っても、結局は自分のことしか考えてないし、その先に争いがあるのは必然みたいな感じで
なんなんでしょうかね、この、もどかしさみたいなのは
なにか考えさせられるのを観たいけど、そんな小難しいのはイヤだって人にはオススメできる一本ですね
後からじわじわきます

個人的評価:90点
オススメ度:そして私も傍観者になるわけで




ノー・マンズ・ランド 予告



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2010年6月13日日曜日

ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女 (2009/スウェーデン・デンマーク・独)

監督:ニールス・アルデン・オプレヴ
出演:ミカエル・ニュクビスト / ノオミ・ラパス / スヴェン・ベルティル・タウベ / イングヴァル・ヒルドヴァル / レナ・エンドレ / ステファン・サウク / ビョーン・グラナート / ペーテル・ハーベル / マリカ・ラーゲルクランツ / グンネル・リンドブロム / エバ・フレーリング / イェスタ・ブレデフェルト / ミカリス・コウトソグイアナキス / トマス・ケーラー / ヤコブ・エリクソン / ペーテル・アンデション / アニカ・ハリン / ユリア・スポーレ / テイラ・ブラッド




雑誌ミレニアムの編集責任者ミカエルは、取り上げた記事がもとで裁判を起こされ負けてしまう
そこへ実業家ヘンリックより40年進展のない殺された(と思われる)姪についての捜査依頼が舞い込んでくるのだった

あえて原作とは比べない、そういう方向で語りたいんですが…これはもう言わざるえない
この映画は原作を読んだ、または知っている人向けに作られていて、しょうじき初見で観たら不親切な説明と続きものである内容にガックリくるでしょう
特に第二部、第三部で重要になるキャラが顔出しした時点で「ああ、ファン向けなんだなあ」と
いちおうは話は完結しているものの、すでに先の話に向けての伏線が露骨に用意してあり、予備知識なしにみたら消化不良を感じるかもしれません

話はミカエルの捜査と、人付き合いがアレだけど有能なリサーチャーのリスベットの災難が別々の土地で平行して流れていき、やがてどうなっていくかは観てのお楽しみとして、そんな二人のストーリーと流れるような押し寄せるようなミステリーが見所
と言いつつ、しょうじきストーリーは折り紙付きだとしても、その見せ方が平凡すぎてなんとも単調な印象が強いですね
捜査に進展があっても盛り上がらない、事件が起きても盛り上がらない、本当に基本的な軸にそって淡々と描いてるだけな感じ
一昔以上前の地味な海外ドラマを観てる感覚に似てます

そんな感覚が最も顕著に表れるのが犯人が分かった所からの一連の展開
この描き方だと、ぶっちゃけ犯人が分かっても「おまえ誰だよ」とつっこむ人も多いんじゃないでしょうか
すべてのキャラを掘り下げるには時間が足らず、かといって犯人だけみょうに丁寧に描写してたら浮くのも分かりますが、この描き方だと「なにぃ?!おまえだったのかよ!」という意外性みたいな驚きはいっさい感じないかもしれません
あとはミレニアム誌のメンバーの扱いがさすがにぞんざいすぎやしないですかね

そんな感じの大人気小説の映画化なんですが、原作を愛する気持ちはスタッフから感じますけど、予備知識のない人向けにはけっして作られてないな、と思った一本でした
投げっぱなしの伏線とか細かいことを気にしない人なら並くらいには楽しめるでしょう

個人的評価:50点
オススメ度:原作は超オススメ。長いけど




ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女 予告



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2010年6月11日金曜日

アイアンマン2 (2010/米)

監督:ジョン・ファヴロー
出演:ロバート・ダウニーJr. / グウィネス・パルトロウ / ドン・チードル / サム・ロックウェル / スカーレット・ヨハンソン / ミッキー・ローク / サミュエル・L・ジャクソン / ギャリー・シャンドリング / レスリー・ビブ / ケイト・マーラ / ポール・ベタニー / スタン・リー / ジョン・ファヴロー / ジョン・スラッテリー / クラーク・グレッグ / クリスティアーヌ・アマンプール / ヘレナ・マットソン



自らがアイアンマンだと宣言し、賞賛の声ときらびやかな世界に生きるトニー・スターク
一方、ロシアで貧しく暮らしていたイワンは父の死とトニーの活躍を機に、アーク・リアクターの制作に入るのだった

前作のヒットを受けてさらに予算が増え、とことん派手になった続編
最初はあの1の最後の最後の部分を引き継がないで話は進むのかと思いきや、やっぱりそうでもなかったのがなんとも
でも、2ではもう開き直って本編中からさらに続編を作る気まんまんな描き方をしているんで、そこら辺は潔いといえば潔いかなあ、と

富豪でヒーローのトニーと貧しく底辺の生活をしているイワンの因縁っぽいのを軸に話が進みます
とりあえず今作もトニーさんのはっちゃけっぷりが魅力なわけで、むしろさらに磨きがかかってるわけで、見てる分にはいいけどお近づきにはなりたくないわけで
そんな傍若無人なキャラの魅力と、とにかく派手な演出で終始おしきった感がある「ハリウッドパワー映画」な印象

だって、冷静に考えるとしょうじきストーリーとか前作の方が「まだいくぶん」よかった気がするし、金かけてるなあという感じ以外はそんな突出したものがないような?
「なんか分からないけど、とりあえずすごいね」としか言いようがない
主人公のトニーも2で新たな問題を抱えるわけですが、そこら辺も「なんか分からないけど、力技で解決」しちゃうわけで・・・
いや、まあ、この作品にもっと重厚さを期待するのも野暮でしょうし、無理にそっち方面のシリアス話に特化されてもうまくいかずにコケると思いますが

とにかく1の時にもなんとなく思ったけど、戦いに陰惨さがないんですよね
なんか花火のショーを見てるみたいに無駄に派手に物が壊れたり爆発したりするけど、「人が死んでんねんで」みたいな重い描写がない
それが悪いかと言えばそうでもなく、ここまで割り切って視覚的気持ちよさ重視のバトル演出もいいと思います
あとは、相変わらずのアイアンマン飛行シーンのおちゃめポーズとか、別れた妻とか盛り上がってるバトルの最中にコミカルな演出をはさんでくるのも大好きです

そんなわけで正統進化したようなそうでもないような、後になにも残らないけど楽しいのは間違いない、1が好きなら失望することはないと思う一本でした
ちょっとラストバトルが物足りないのと、しめが1ほどインパクトがないのはアレかもしれませんが

個人的評価:75点
おすすめ度:別れた妻、最強やで




アイアンマン2 予告

2010年6月9日水曜日

FULL METAL 極道 (1997/日)

監督:三池崇史
出演:うじきつよし / 田口トモロヲ / 大杉漣 / 北村康 / 中原翔子 / 塚本耕司 / シーザー武志 / 港雄一








子分にも素人にも女にもバカにされっぱなしのヘタレヤクザの鋼
ある日、憧れていた本物の極道、土左が組の陰謀で殺される現場に居合わせて共に死の運命に向かうかにみえたのだが

まあ、ぶっちゃけ劇場作品じゃない気がするけどきにしない
最近ずっとノーモアヒーローズやってる関係で、この作品を知って観なくてはと思い至ったアレっぷり
MIIKEはホントに作品によってデキがぶれるけど、これはアタリの部類に入ると思いますね
とはいえ「東京残酷警察」とか「サムライプリンセス」あたりを許せる技量は必須です
しょうじき完成度はこれらよりかなり上ですが、それでもこんな感じの作品群の中ではというくくりがあることを忘れちゃダメってことで

ヘタレで弱小な主人公がすさまじいパワーを持つ肉体に生まれ変わり仇敵を倒す、もうB級バカJアクションの王道なストーリーですが、これがまたおもしろい
ギャグとして「これ以上やったら引く」というギリギリのポイントを攻めてきつつ、シリアスなところはきっちりきめ、そうかと思えばギャグとシリアスの混ざり合ったシュールな展開もある…これを楽しめないはずがないですね
また主人公がそんな微妙なさじ加減の作品にぴったりだから素敵

話的にはぶっちゃけ主人公の復讐は作品の半ばで終わっちゃうんですね
この時点で「おい、ここから先どうなるんだ」とわくわく感がわきあがります
というのも主人公を改造した博士(?)が、メインのストーリーであるヤクザの抗争とは別に思惑があるのを匂わせるから楽しみが続きます
「え?まさかの特撮ヒーローもの…?」と期待せずにいられないじゃない
そっからどういう話になるかは観てのお楽しみってことにするとして、とりあえず一番の見所である主人公の不器用なバトルっぷりについて書かざるえない
ヘタレな主人公がほぼ無敵のボディとパワーを手に入れるわけですが、中身はそうそう変わるはずがないわけで、本当に戦い方が不器用で格好悪い
だが、そんな姿がカッコイイ
アクションシーンは無駄にスタイリッシュにしなくてはいけない…そんな常識はこの作品にはありません
まあ、中の人の演技力の問題かもしれませんが…いや、演出だと信じたい

シリアスのようで悪ふざけな展開がとにかく楽しくて、「バカか」と笑いながら観てるといきなりビシッと決めてきて「不良がたまに良いことをするとすごい良い人に見える」法則的なものを感じずにいられない
でも、結局は悪ふざけなんですけどね
あとは「こうなるだろうな」ってところをいい感じにそらして、そうきたかと思わせてくれるのは好印象
それもちょっとやりすぎてる感がいなめなくもないですが、いろんな意味で期待を裏切ってくれます

悪ふざけも笑って許せる、投げっぱなしも気にしない、最低でもこの二つが了承できれば楽しめる作品だとおもいます

個人的評価:70点
オススメ度:でかくてむけてる




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2010年6月7日月曜日

アイアンマン (2008/米)

監督:ジョン・ファヴロー
出演:ロバート・ダウニーJr. / テレンス・ハワード / ジェフ・ブリッジズ / グウィネス・パルトロウ / ショーン・トーブ / ファラン・タイール / レスリー・ビブ / クラーク・グレッグ / ティム・ギニー / ビル・スミトロヴィッチ






兵器開発会社スターク・インダストリーの若きCEO、トニー・スターク
アフガニスタンを訪れていた彼は、謎の集団の襲撃を受けて心臓を負傷、さらに拉致されてしまうのだった

アイアンマンってカタカナで書くと間抜けだよね
そんなわけで有名作ほど実は観てない法則…まあ、映画館に通うようになった最近はそうでもないですが、マジに過去の有名作品はスルーしてるのが多い
と、じゃっかん中学生の睡眠時間自慢みたいなどうでもいいノリですが気にしたら負け犬

実にハリウッド映画らしいハリウッド映画で、ストーリーはシンプル、演出は派手、ちょいコミカル、ラストはパワープレイでしたね
趣味が合わないという人はいるかもしれませんが、たいがいの人は「つまらない」とは言わないと思います
わりとアイアンマン誕生までを丁寧に描いていて、それでいてメインの軸となるストーリーは極力シンプルにしてあるのがよかったですね
おい、まだアイアンマン出てこないのかよってくらいに登場まで時間がかかりますが、そうイライラするほどでもなく、そこに至るまでの必要なプロセスの末に時間かけて撮ってる感じがするんで、退屈感や間延び感は薄い

後半の展開も「アメリカ万歳ものか」と思うところもあるけど、ヒーローになりたてのアイアンマンのこなれてない戦いっぷりが素敵
鋼鉄(じゃないけど)の体の無骨さと、中の人の愛嬌が合わさってすごい魅力的なヒーローができあがってる感じで
ドラマパートにしろ、バトルパートにしろシンプルながらキチンと中身がつまっていて、映画としてもかなりの完成度になっているかと
そう、最後の最後のアレさえなければ

マジで最後の最後のあのオマケ的な続編におわすカットは蛇足すぎる
個人的にあれがあったってだけで、かなりこの作品の評価が落ちざるえない
なんでここまでいいもの作って、一本の映画作品としてまとめるのを放棄するのよ、と
アイアンマンに詳しい人にしてみれば「おお、ここできたか」なノリかもしれませんが、私みたいな初見にしてみたら「はあ?」としか言いようがない
楽屋落ち、身内ネタ、そんな感じの興味ない話を大作映画のラストでみせられたような意味不明感

あとは、全体的におもしろかったんですが、なんとなく金をかけたTVドラマを観てる感覚がちょっとしましたね
前半の第一話的なアイアンマン誕生編と、第二話的なアイアンマン登場編みたいな
TVシリーズにおける顔見せの第一話と実際の活躍の第二話、そんな雰囲気が観てる最中にちょっとしました
それが何か?と言われればそれまでな小さい気になる点ですが、なんとなく気になったもので

2への準備として観たわけですが、とってもおもしろかったけど残念感もあった、そんな作品でした

個人的評価:70点
オススメ度:死の商人としての現実に気づくの遅すぎだろ




アイアンマン 予告



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2010年6月6日日曜日

ファイナル・デス・ゲーム (2009/米・スペイン)

監督:アルバロ・デ・アルミニャン
出演:マイク・ヴォゲル / エリザ・ドゥシュク / イーサン・レインズ / ナイケ・リベリ / ゲイリー・ピケール / アンデラ・パルド / ボリス・マルティネス / アレックス・オドヘリティ / リンゼイ・カーライン・ロバ / リリアム・コウリ






ジェイソンたち男女七人は、偶然ゆずりうけた「マンバ」と呼ばれるアンティークのボードゲームをする
しかし、そのゲームは敗者としてのペナルティ=死が現実に引き起こされるものだった

「ファイナル」「デス」「ゲーム」
この三つの単語のいずれかを含むだけであら不思議、あっという間にB級映画のタイトルのできあがり
ファイナルなんちゃら、デスなんちゃら、なんちゃらゲーム…そんなひとつでも効果絶大な単語、そのすべてを兼ね備えた誰が見てもはっきりくっきり明らかにB級な作品、それが「ファイナル・デス・ゲーム」だ
…もうちょっと頭を使ったタイトルを考えてもいいと思うんだ、ボク

公式で「ジュマンジ」ダークサイド版と言っちゃってる通り、そんな感じのゲームが現実になる系のお話
個人的には「ファイナル・デスティネーション」シリースに近い感じがしましたが
ゲームでの暗示通りに仲間たちが死んでいって、いよいよ主人公が「これって、ゲームが現実になってね?」と言い出して仲間に相談するけど、「んなわけあるかよ。バーカバーカ。おまえの母ちゃんでーべーそー」みたいに仲間には相手にされず、それでも次々に死人が増えていくにつれて問題解決にむけてみんな本気モードになる、と
ようするに「どこかでみたような設定の寄せ集め」で作った、無難だけど新しさの欠片もないキャンプのカレーみたいな作品

とりあえず死のシチュエーションはパッとするものがなくて、死のショーと呼ぶには弱いんですが、いちいち微妙にエグイからそこら辺はおもしろい
死んだ、と思わせつつ実は完全に息を引き取ったわけではなく、そこからじわじわと苦しんで死んでいく様を描いてます
まあ、たぶんそれが描きたかっただけの映画なのかもしれませんが

この作品にはわけありの刑事さんが主人公グループとは別に出てくるんですが、この刑事さんが本当に取って付けたようなキャラで意味が分からない
刑事さんサイドでもなんか物語があるみたいですが、いっさい本編では描かれず、唐突に設定を自分で語り出して主人公たちにからんできても困ります
その刑事さんサイドの話の根底部分が実は主人公たちの行動とリンクしていた…というわけでもないんで
あとは解決に向けて主人公が考えついたことがあまりに馬鹿馬鹿しくて、「いや、さすがにそれは無意味だろ」と言わざるえない
それを受けてラストがどうなったかは観た人の感想にまかせますが、たいていの人は「まあ、そうなるわな」と思うでしょうね

そんな感じで、すっごいおもしろい作品じゃないけど、まったく楽しめないってわけじゃない「暇つぶしにぴったり」な映画でした

個人的評価:60点
オススメ度:B級ホラーのクセにファックシーンがないとか




ファイナル・デス・ゲーム 予告



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2010年6月5日土曜日

告白 (2010/日)

監督:中島哲也
出演:松たか子 / 岡田将生 / 木村佳乃 / 芦田愛菜 / 山口馬木也 / 西井幸人 / 清水尚弥 / 橋本愛






女性教師の森口は、終業式を前に生徒たちに教師を辞めると話す
さらに事故死したと片づけられた娘の死を、このクラスの人間によって殺されたと語り始めるのだった

ポップでスタイリッシュな映像スタイル、だけど内容はかなりダークで、その映像と内容が良い感じでマッチしてました
これは普通に重苦しい画で撮っても、ここまでおもしろくはならないと思うほどに、この映像スタイルには意味があってよかったですね
観る前までは、なんか雰囲気をぶちこわすスタイリッシュ演出が多くてアレかなあ、とも思いましたが、いざフタを開けてみたら(多少のクドさはあったけど)意外や意外に音楽・画・話に違和感はありませんでした

内容的には、娘が生徒AとBに殺されたこと、そして命について考えさせるという名目でこの二人の犯人にペナルティをかして森口は学校を去ります
そのいわばクライマックス的な衝撃告白を受けての後の話が続く感じで
いやあ、もうホントに「ここまではやらないだろ」と思ってたことを全てぶっちぎって、とことんやってくれてますよ、これ
きれいごとのいっさいが差しはさまることなく、軽いトーンですさまじく重い展開が次々に起こっていくのは、もうたまりませんね
これをおもしろいというと不謹慎ささえ感じますが、あえて「おもしろいわあ」と言わざるえない

とにかく「この先どうなるんだ」とドキドキしながら観ていると、「え?ああ?そうくるか」というような事件がぽんぽん起きていきます
それと同時に序盤で犯人も、その犯行手段もすべて明かされるんですが、それを受けてさらに「その裏では実は・・・」みたいな流れがあるのが楽しい
最初に結末をみせておいて、それ以上のことはないと思いきや実はさらに裏がある・・・という作り方は個人的に大好物ですね

その幻想的な画作りもあって、観ながらラストをどうするんだよと思わざるえないんですが、個人的には、本当に個人的にはこのオチはもう鳥肌ものでした
あの最後の一言を聞いた瞬間にゾクゾクっとくるものがありましたね
近いものでは「[FOCUS]」とか、それを観たあとの衝撃に似てます
後味がちょっとアレでナニな上にドッカーンの演出がさすがに鼻について浮いてる感じがするのも確か
しょうじき「ん?こんな映画おもしろいとか思っちゃってるの?ププ」という意見もあると容易に想像できる作品なんで、そういう意味では人を選ぶかも知れません

個人的評価:100点
オススメ度:中二病キラー




告白 予告

2010年6月2日水曜日

いぬばか (2009/日)

監督:ヨリコジュン
出演:スザンヌ / 徳山秀典 / 岡田亮輔 / 相沢まき / 前田健 / さがゆりこ / 浜谷健司 / はなわ / 原口あきまさ / 赤座美代子 / 渡辺美奈代 / 島崎俊郎 / 宮崎美子







熊本から雑種の愛犬ルパンを連れて上京してきた少女すぐり
犬馬鹿なすぐりは、ひょんなことからペットショップで働くことになる

きた!やった!久しぶりに真性のクソ映画だった!
犬の映画なのに犬好きにもオススメできないほんまもんのクソ映画だ!
いやあ、まあ、テンション上がるわあ
映画を観ててこんなに痛々しい気持ちになったのは初めてかもしれません

ペットショップで働きつつ「犬が好き」という先にある、犬のために考えることを学んでいくようなそんな感じの内容
生死の問題とか人と犬の関係とか、まあ、そこらへんをありきたりに浅く展開させていく方向で
あまり出演陣の演技うんぬんにはふだんは言いませんが、この作品は本当にヒドイ
店長の哲平と店員の健太郎以外はびっくりするくらいクソ
主人公のすぐりを含めて「クソが立ってしゃべってやがるぜ」と言いたくなるくらいのレベル
特にあまり詳しくないので定かじゃありませんが、芸人っぽい人がちょろっと出てきては持ちネタを披露していくさまは失笑をこえた無表情もの

ストーリーはありきたりだけど、そう悪いもんじゃない
映画作りにやる気が感じられないクセに、トンデモ映画じゃなくてけっこうまっとうなのを作ろうとしてるから質が悪い
開き直ってバカ全開のトンデモ映画にしてくれれば耐えられるものの、あのラストのドッグダンスを見せられたら…もう、許してくださいとしかいいようがない
本当に痛い
あいたたた…と観るのも辛いくらいに痛々しい。マジで
身内ネタとして撮ったものを「どう?これいいでしょ?」みたいに見せられているような痛々しさです

あとはすぐりと愛犬ルパンのからみがほぼないのはどうかと
そもそも演技的にもすぐりに「まったくなついてない」のがモロバレなルパンの態度からして、もうどうかと思うけど、それにしても主人公のエピソードとして愛犬との絆みたいのを描かない犬映画ってのもある意味で斬新じゃないでしょうかね
ドッグダンスがそれだ、って意見もあるかもしれませんが、しょうじきじゃれてるだけにしか見えないので
犬もいちいちかわいくていいんですが、出てくる犬の演技力も素人くさいってのはどうなんですかね
リアリティとか、そこら辺を描く内容じゃないと思うんですが

と、この映画を観たとたんに「これは、やっちまったか」と思わせてくれる、そんな作品です
うん、観る前に気づけ、というか「ある意味で予見できただろ」というツッコミは無用
主人公が喜々として犬のうんこを持ってる印象だけが残る素敵な作品でしたね

個人的評価:10点
オススメ度:ED曲はちょっと気になる




いぬばか 予告



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