2010年8月30日月曜日

8月のこれ一本

9月のはじめはシャレにならないくらい忙しくなる、かもしれないんで早めに更新
そんなわけで、今月は「ヒックとドラゴン」をオススメということで
いや、ホントにおっさんが観ても普通に楽しめる内容なんで、子供向けと敬遠するのはもったいない作品です
しっかりとした世界観とキャラクターたちが生き生きしてましたね
まあ、しょうじきキャラデザインがアメリカンな感じバリバリなんで、合わない人もいるでしょうが、んなもんは気にするな

あとね、言ってもしょうがないんでしょうが、暑い
さらに左手がタマネギ臭い
そして三段オチの最後が思いつかないところで今月はこの辺で

2010年8月29日日曜日

カラフル (2010/日)

監督:原恵一
出演:冨澤風斗 / 宮崎あおい / 南明奈 / まいける / 藤原啓治 / 入江甚儀 / 中尾明慶 / 麻生久美子 / 高橋克実








生前に罪を犯し人としての輪廻から外されるわけだったある魂が、謎の少年プラプラによって下界に戻って再挑戦する機会を与えられる
その魂が宿ったのは自殺をして死んだ直後の中学三年生の「小林真」の体だった

なんかの宗教くさい感じがして、最初はスルーしようと思ったけど、なんとなく気になって鑑賞
罪を犯した魂がプラプラによってチャンスをもらい、自殺して魂の抜けた小林真の体に入り込む
ようするに心だけが別人になって、体は元の人の人生を引き継いで生きていくって設定がちょっと気になったもので

真の体がたどってきた人生、魂が真の体を使ってたどっていく人生、その過去と未来がどんなもんなのかって感じで期待感をあおります
プラプラの性格もまたいい感じで、真との掛け合いもコミカルで楽しかったですね
話が進むにつれて真の「幸せにしか見えない家族」の問題が浮き彫りになってきて、同時に再挑戦中の真と過去の真とのギャップも明らかになってきます
根暗な過去の真と、わりと普通なアグレッシブさをもつ現在の真とのギャップで周りの人たちが振り回されていくのが楽しい

で、どんどん真の家庭環境がダークになっていくってところまでは普通の家族ドラマなんですが、中盤から絡んでくる早乙女が出てきて以降、まったくの別作品になります
個人的には早乙女との話が好みで、やっぱり男同士の友情っていいよな、と
というかもっと序盤からこっち系の友情ストーリーに話をもってこいよ、と言いたい

そんな途中から毛色が変わることもあって、しょうじき作品としての統一感がうすい
だからこそカラフルなんだよ、と言われればそれまでですが、リアルな人間を描いているのか、ドラマであり明確な色づけがあるキャラを描いてるのか、ちょっとよくわからないってのも個人的には感じました
あとは家族がまとまっていく様は感動的かもしれませんが、「実は隠れてこんなことやってやってるんだから、おまえ分かれよ」みたいな見返りを求めた親切心の押しつけ合いは言葉が悪いですが反吐がでますね
「おまえのためにこれだけやってやってるのに」って言葉に出すことほどかっこわるいものはない
言いたくなる気持ちは分かりますが、それを言葉にしてるところを見せられても感動どころがどん引きせざるえない

オチもけっこう前から読めるし、思ったより深みがない内容な上に言葉で説明してくる説教くささがちょっと気になる一本でした

個人的評価:75点
おすすめ度:メガネのうざさは最強




カラフル 予告

2010年8月27日金曜日

TEKKEN 鉄拳 (2010/日・米)

監督:ドワイト・H・リトル
出演:ジョン・フー / ケリー・オーヴァートン / ケイリー・ヒロユキ・タガワ / イアン・アンソニー・デイル / ダリン・ドゥーイット・ヘンソン / ルーク・ゴス / ゲイリー・ダニエルズ / カン・リー / ミルセア・モンロー / キャンディス・ヒルブランド / タムリン・トミタ / ジョン・パイパー・ファーガソン / ラティフ・クロウダー / ゲイリー・レイ・スターンズ / マリアン・ザピコ / デヴィッド・ピット / ランドール・リーダー / イ・ヒョンクン / ロジャー・ウエルタ / アントン・カサボフ / キコ・エルスワース / ルイーズ・グリフィス / ルイス・ハーサム / キャシー・シェア・ワトソン / 杉浦太陽


8社の企業により統治された世界、その中でも絶大な力をほこる「TEKKEN」によって権力の祭典たる武術大会が開かれる
そんな中、母から武術をたたきこまれた仁は、スラム街で不自由ながら満足な暮らしをしていたのだったが

なにもしなくてもゲームの実写映画かってだけで死臭が漂うものですが、いやいやどうして、この作品はまさにB級死臭ゲーム原作実写映画でしたね
B級作品を作ってる人に無駄に金を与えて映画を撮らせるとどうなるか、ってのが分かりやすく現れてます
というか、画面にはじめてTEKKENの総帥である平八が出てきた時、「おまえわざとか?分かっててこれ出してんのか?」と制作陣に言わざるえないくらいの衝撃がありましたね
なんとかゲーム版のキャラに似せようとしてるんでしょうが、すべてが気持ちいいほど裏目に出てるんですが
しかも、この平八さんは最後の最後までこの作品の色に合わない、なんともいえない気持ち悪い違和感オーラを発してました

内容的には仁の素性が明らかになりつつ、TEKKENのトップである三島ぶっつぶす、というだけの話
とりあえずアクションに次ぐアクションを展開しつつ、どうでもいいストーリーが語られていきます
その肝心のアクション部分もぶっちゃけ退屈
いや、まあ、すごいアクションをしてるとは思うんですが、まったくすごさが伝わってこないのは才能じゃないんですかね
今しがた観たばっかりですが、とくにこれといったアクションを思い出せないくらい空気っぷりが素敵です
むしろ全体的にみて観賞後になにも残らないエコな作品

かといってクソつまらないか、といったらそうでもなく、最低レベルの鑑賞には堪えられる作りにはなってるので安心です
ただしB級耐性がある人に限る、ですが
まあ、ゲーム版のキャラと実写版のそれを見比べてうんぬんってのが正しい見方なのかもしれません
マーシャル・ロウは画的に似せることがアレなのかもしれませんが、だからといって「おまえ誰だよ」っぷりが甚だしい
レイヴンはかなり似てると思うけど、なんか戦い方が「こんなバトルスタイルだったか?」と
あとはそれなりに似せてるみたいですが、一八がまたいかにも小ものくさい敵役で、個人的にゲームでは一八つかってる身としてはげんなり
ゲーム版も3までしかまともに遊んでませんが

一八のバトルもあまりにも小ものパワーを炸裂しすぎてて、というか手斧はねえだろ、と
あとはあいかわらず日本を馬鹿にしてるとしか思えない片言、コスプレっぷりは「いいかげんネタとしても飽きた」と言わざるえない
鉄拳衆の雑魚どもが剣道スタイルだったのは、わりと斬新…なのか?
外国製のわりには外人の大好きなニンジャーテイストがなかったのは珍しいかもしれません
そんなわけで、久々に「観てもみなくてもどうでもいい」という得られるものが皆無な作品でした

個人的評価:40点
オススメ度:アイアム、テッケン




TEKKEN 鉄拳 予告



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2010年8月24日火曜日

さらば冬のかもめ (1973/米)

監督:ハル・アシュビー
出演:ジャック・ニコルソン / オーティス・ヤング / ランディ・クエイド / キャロル・ケイン / ナンシー・アレン








海軍下士官バダスキーとマルホールは、罪を犯して囚人扱いとなったある若い水兵メドウスを刑務所まで護送することになる
電車とバスによる護送の旅の中、じょじょに若い水兵を気がかりになってくるのだった

切なさとやるせなさ、そしておもしろおかしい
古い作品ゆえにシンプルで、シンプルゆえに過剰演出によるごまかしがない
たまにこういう古いものを観たくなるのは、やっぱりごてごてしてて、いろんな要素がありつつ「シンプルさを演出してる臭」がしないものを楽しみたいからですね
なんというか、観てる側が感じるものを大事にしてるような気がしないでもないところが気持ちいい
観賞後に残る余韻が心地よい

主人公の護送任務にあたるバダスキーが本当に粋なおっちゃんで、最初はそうでもないんですが、話が進むにつれてどんどんはっちゃけていく様が楽しすぎる
しょうもないことで重罪になってしまった若い水兵に情が移り、自分も楽しみながらメドウスに刑務所までの間のささやかな旅ではめをはずしていく、という感じの内容
男たちの微妙な友情の中、酒と女のおっさんトークと護送途中での街での遊びまくり旅というなんでもない話がおもしろい
普通に酔っぱらってグダってるだけなのに、アホみたいにハメを外して遊びまくってるだけなのに、それが観ていて飽きないしおもしろく感じるから不思議
なんともいえない魅力がある、ってことでしょうか

遊びまくってる旅の中でも、要所要所で「刑務所へ護送してる途中」という現実がちらつき、さらにはその刑務所送りということのひどさが浮かび上がってくる
護送してるふたりにしてみれば「なんとかしてやりたい。でも自分の立場がある」、若い水兵にしてみれば「逃げ出したい。でもふたりに迷惑をかけてしまう」という葛藤が伝わってくる
さらに目的地が近づけば近づくほど、バダスキーのはっちゃけっぷりが加速していって、しかしながら「なんともいえない道化師的な切なさ」が画面に出てきます
逃れられない現実が近づいてくるのが分かっていながら、それから目をそむけて今は楽しもうぜ、って感じの切なさみたいな

そしてラストのやるせなさというか、もどかしさというか、なんともいえない感じが素敵です
バダスキーのおっさんは本当に粋で大人だなあ、と
本当に旅の途中で「このバカ騒ぎがすっと続けばいいなあ」と思うと同時に「この旅の果てにはどんな結末が待ってるんだろう」と思える、そんな作品でした

個人的評価:80点
オススメ度:高速ナンミョホレンゲキョ




さらば冬のかもめ 予告



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2010年8月22日日曜日

ベスト・キッド (2010/米)

監督:ハラルド・ズワルト
出演:ジェイデン・スミス / ジャッキー・チェン / タラジ・P・ヘンソン / ハン・ウェンウェン / ワン・ツェンウェイ / ユー・ロングァン








母親と二人暮らしの少年ドレは、中国へと引っ越してきた
その初日におこしたケンカを学校でも引きずり、ゆううつな日々を過ごすのだった

観た人に必ず言われてるだろうけど、カラテキッドってタイトルおかしくね?と言わざる得ない
劇中でも普通にカラテじゃなくてカンフーとか言ってるし、ぶっちゃけカラテキッドの名前にこだわる必要性がどこにもない気がしてならない
まあ、僕らのジャッキーに免じてすべて許せますけどね

慣れない土地でケンカに負けて、学校でもその相手に散々な目にあわされるドレくん
そんな時、ケンカ相手に集団でぼこられてるところを偶然にアパートの管理人に助けられたことで、カンフーの達人のハンさんに興味を持つ
ようするに僕らのジャッキーが弱っちいガキをたくましく育てるって展開なんですが、そこにいたるまでの話がけっこう長い
よくいえばかなり丁寧にドレくんの話を描いていて、本題になるカンフー修行がはじまるのはけっこう経ってからになります
先の展開が読めやすいこともあってじゃっかんダレなくもないですが、そこはそこ、丁寧に作られてる感はかなりするんでまあガマンできるレベル

どっちかと言えばドレくんはクソガキの部類に入るんですが、ぐちぐち言ったり反抗的な態度をしながらも、なんだかんだで大人の言うことは素直に聞くから嫌な感じはしないですね
軟弱でひょろひょろしたボーイが長所を伸ばしてファイターに変わっていくっていうのではなく、それなりな身体能力があるガキがさらに上の強者に立ち向かうために修行をするって感じ
女々しくない分だけ、けっこうドレくんに不快感をおぼえません

そして僕らのジャッキーがまたいい味だしてます
単なるカンフーの先生ってだけじゃなく、ちゃんと僕らのジャッキーサイドのドラマがあるのがよかったですね
アクションシーンは少ないですが、ダメな大人っぷりがよく出ててドレくんといっしょに精神的な面ではいあがっていく姿はよかったわあ
師弟関係というより子供とおっさんとの友情もの、お互いに欠けてる部分をともに補っていくさまが最高です
僕らのジャッキーの起用といい、少年マンガなノリといい、終盤は普通にスポ根展開になるところといい、これ完全に日本人が大好物な作品なんじゃないですかね
というか映画のメインターゲットが日本と言われてもおかしくない

気になる点としては、ドレくんにカンフーを教えるにいたった動機が、ね
なし崩しというかなんというか、「その理由で修行はじめるのかよ」と言いたくなる
あとはしょうじき意外な展開はこれっぽちもないんで、そういう意味ではかなり安定感はあるんですが、常に退屈さと背中合わせな状態であることに変わりはありません
もうちょっと、あとちょっとだけ簡潔にまとめらなかったものかと

じゃっかん気になるところはありながらも、もうラストの僕らのジャッキーの表情がみられただけでたまらないものがありましたね
なんか微妙に続編がありそうなにおいがしますが、なんか観たいような観たくないような・・・
そういいつつ観るでしょうが、これで完結してくれた方がいろんな意味でいいんじゃないでしょうか

個人的評価:85点
おすすめ度:ゲロして寝ろ




ベスト・キッド 予告

2010年8月20日金曜日

特攻野郎AチームTHE MOVIE (2010/米)

監督:ジョー・カーナハン
出演:リーアム・ニーソン / ブラッドリー・クーパー / クイントン・ランペイジ・ジャクソン / シャルト・コプリー / ジェシカ・ビール / パトリック・ウィルソン / ヘンリー・ツァーニー / ジェラルド・マクレイニー / ブライアン・ブルーム / モーリー・スターリング / オマリー・ハードウィック / ドワイト・シュルツ / ダーク・ベネディクト / テリー・チェン / ユール・ヴァスケス




ハンニバルが率いる4人のレンジャーたちによるAチーム
数々の無茶なミッションを成功させてきた彼らに、今度は紙幣の原版を取り戻す作戦に乗り出すのだが

スタイリッシュさのかけらもない泥臭くて土臭い、むっさい野郎どものアクション、まさにAチームらしい展開が序盤から展開されます
Aチームファンが観たいものをよく分かってる出だしにおっさんは大歓喜もの
しかもこの映画版から入る人にも安心して楽しめるように、Aチームの映画化というより完全新作焼き直しとしてのAチームになってます
それこそチームが結成される所から「飛行機だけはカンベンな」にいたるまでの話までAチームの基本部分を描いてくれてるんで、これ単体で観ても問題ないデキ

最初からクライマックスなアクション映画はよくありますが、この作品はガチで最初からクライマックス
それどころか、次から次へとクライマックスの波が続いて、それぞれのアクションが本当にイカレててイカしてる
パワープレイを極めるとこういう作品になるって感じの内容でしたね
ストーリーなんてあってないようなもの、だけどそれがいい
単純明快な話をぶっとんだヤツらが想像の上をいくはっちゃけっぷりで豪快に乗り切っていくのが楽しい
3Dとか細かいギャグもかなりおもしろかったですね

だけど、そんなAチームらしい展開も途中まで
予告編にもある戦車にのって上空で戦闘するシーン以降は、ストーリーをまとめに入りつつ無難なアクションが続きます
それも本来の物語の終盤へ向けての助走だと思えば我慢できるレベルですが、そこから先の本当のクライマックスがあまりにAチームらしくない
普通の派手なアクション映画っぽい展開で、オチもじゃっかん肩すかし
ここまでの神がかったAチームアクションがなければ「アリ」ですが、最初のクライマックスの足元にもおよばない正真正銘のクライマックスとかどうよ
ずっと照明的に暗いシーンが続いて、「すごいことをやってるのは分かるけど、なにやってるかよくわからない」という典型的な派手さ重視の普通アクション映画な展開すぎる
やっぱり作戦は豪快でイカレてるハンニバルのおっちゃんがたててくれた方が燃えるわ

作品に華をだそうっていう理由かもしれませんが、フェイスマンを微妙に主人公ポジションにもってくるのは理解できる
理解できるけど、主人公ポジションからかシリアスになりすぎてるフェイスマンには違和感しかありませんでしたね
そんな感じで、ホントに途中までは神映画と信じて疑わなかったこの作品ですが、最後の展開は個人的にはきにくわなかったですね
あ、でも、最後の最後にちゃんとボーナス的なシーンがあったのはおっさん的にうれしかった

個人的評価:75点
オススメ度:AMF!AMF!




特攻野郎AチームTHE MOVIE 予告

2010年8月17日火曜日

リロ&スティッチ (2002/米)

監督:クリス・サンダース / ディーン・デュボア
出演:クリストファー・マイケル・サンダース / デイヴィ・チェイス / ティア・カレル / ヴィング・レームズ / デヴィッド・オグデン・スティアーズ / ケヴィン・マクドナルド / ジェイソン・スコット・リー / ゾーイ・コールドウェル / ケビン・マイケル・リチャードソン / クネワ・ムーク / スーザン・ヘガーティ / エイミー・ヒル






遠い宇宙、ある宇宙人マッドサイエンティストによって作られた破壊の本能のみによって生きるモンスター
そのモンスターが逃亡の果てに行き着いた地球、カウアイ島で少女リロと出会うのだった

「ヒックとドラゴン」が予想以上に楽しめたおっさんとして、では同じ制作陣による「リロ&スティッチ」は楽しめるのか
今日はそんなテーマでお送りしよう
というか、なんで微妙に上から目線なんでしょうかね

結論から言えば、楽しいわあ
そらキャラ的な続編もぽんぽん作られるわ
いや、マジでこれこそ「スティッチかわいいね」ってだけの薄っぺらいご都合主義のかたまりなお子ちゃま映画かと思ってたわけですが、びっくりするくらいにおっさんでも普通に観れます
ギャグのセンスもわりと安全なところを狙うんじゃなくて、けっこうイカした素敵な笑いが素敵です
人形のスクランプの虫の卵とか、轢かれる前はコリーだったとか、思わず普通に「ねーよ!」ってツッコミを入れざるえないギャグの素敵さに惚れます

スティッチも最初は四本腕で登場した時には「え、こんなキャラが人気なのか?」とも思いましたが、犬モードになったとたんに愛らしく見えるから困らない
まあ、でもスティッチの最悪な性格というか本能がいいスパイスになって、単なるキャラ萌えな内容になってないのがおもしろい
かわいい顔して問題児…なんて生やさしいもんじゃないのがいいですね
ただ、ちょっと素早くはい回ってる姿がGっぽくてアレですが

話的にはかなりダイナミックで風呂敷をバンバン広げていくんで楽しめるんですが、どんどん話が進むにつれて「これ風呂敷たためるのか?」という不安が強くなってきます
それでも盛り上がれば全部OKという感じでスピーディに展開していくんですが、まあ、ぶっちゃけかなりパワープレイで乗り切ったよな、って印象のストーリーでしたね
リロとスティッチというW主人公でいくのはいいとして、実際はスティッチメインのドラマなのに微妙にリロのドラマも展開して、結果的にリロサイドの物語が中途半端になってる気がしました
やるんだったらもっとリロの話をきちんと描いてほしかったし、やらないんだったらもっとリロの話を単純化した方がまとまりが出たような

作品の世界観的にはホントによくできてて地に足がついてる作りになってるけど、ちょっとパワープレイぎみなところが鼻につく、そんな作品でした

個人的評価:80点
オススメ度:スティッチに普通にしゃべられるとなんかイヤだ




リロ&スティッチ 予告



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2010年8月15日日曜日

ディフェンドー 闇の仕事人 (2009/米)

監督:ピーター・ステッビングス
出演:ウディ・ハレルソン / カット・デニングス / サンドラ・オー / イライアス・コティーズ / マイケル・ケリー / クラーク・ジョンソン / リサ・レイ / アラン・C・ピーターソン / クリスティン・ブース / シャーロット・サリヴァン / トニー・ナッポ / ロン・ホワイト / デヴィッド・ガードナー






ちょっとおつむが足りない中年アーサー
彼は夜な夜な街を護る正義のヒーロー、ディフェンドーに変装して戦い続けるのだった

知的にアレな問題があるような感じの主人公が、それゆえにピュアな正義心を振りかざして悪に対して戦いを挑む、という内容
ビデオカメラ付きのヘルメット、黒いタイツに胸には銀のテープで貼り付けた「D」の文字、アイマスクのような化粧をして変身…ではなく変装するヒーローがディフェンドーです
彼の武器はビー玉、パチンコ、ライムの絞り汁、蜂…と多様な装備
相棒のディフェンドッグは常に彼の車で待機している…ただし、ディフェンドッグは人形
脱力系B級バカヒーローもの、と誰もが思うかもしれませんが、そんなバカな設定を大真面目に作ったのがこの作品
コメディテイストもありますが、基本はシリアスです

偶然助けた街のジャンキー娼婦の少女と、アーサーの仕事先で私生活もふくめて色々めんどうをみてくれている友人のポールとの交流を描きつつ、街に巣くう暗黒街の総帥を倒すために戦い続けるわけですね
しかし現実は法から逸脱した暴力行為を働くものとしてアーサーは捕まり、ちょっと精神的にアレな感じで受け止められる、と
「悪いことをしているヤツをこらしめてやった」たしかに法治国家では個人が「こらしめる」その行為は犯罪
しかしピュアなアーサーが自分の行為を「悪いことだったの?」と精神鑑定人に問うシーンがこの作品のすべてなんじゃないですかね

アメリカのスーパーヒーローだって、どこの国のヒーローだってその行為だけみれば法的には「犯罪行為」にほかならないわけで
それをあえてダメダメな見た目がアホすぎるヒーローとして描くことで、そこら辺を深くあらわしてるようなそうでもないような感じが素敵です
ぶっちゃけB級ヒーローものとして観る分には楽しいんですが、なんか、なんかもうひとつ物足りなさがあるのも確か
しょうじきシリアスな展開にしながらも、結局、なんだかなあって感じ
ディフェンドーになった動機とかは分かるけど、「じゃあ、おまえはいつからディフェンドーやってんだよ」と無粋なツッコミをいれたくてしかたがない

オチもまた微妙で、なんというか、こういう内容の作品にしては珍しい終わり方はしてると思うんですが、作り手側のみょうな「いやらしさ」が微妙に感じられてすっきりしない
見た目と中身がアレなアホヒーローとそのシリアス展開のストーリーのギャップを楽しむ映画、単純にそう考えて観た方がいいかもしれません
つまらなくはない、そう表現するのが妥当かもしれない一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:俺がディフェンドーだ




ディフェンドー 闇の仕事人 予告



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2010年8月14日土曜日

月に囚われた男 (2009/英)

監督:ダンカン・ジョーンズ
出演:サム・ロックウェル / ドミニク・マケリゴット / カヤ・スコデラーリオ / ベネディクト・ウォン / マット・ベリー / マルコム・スチュワート / ケヴィン・スペイシー







ルナ社の社員であるサムは、たったひとりで月の裏側で採掘した資源を地球に送る仕事をしていた
その契約期間である三年が満期にせまったある日、彼は自分の体調の変化に戸惑い…

劇場で予告編を見た時に「これは外せねえ」と思いつつ、おもいっきりスルーした作品
だって、ほら、うちの方って上映が遅くて先月だったし、一ヶ月もしないうちにディスク化されると知ったんで「別に買えばいいや」という怠け根性が発動せざるえない
まあ、それはそれとして、SFとミステリーの融合…と聞くとじゃっかんの地雷臭がしないでもなかったですが、この作品に関しては杞憂って感じで
でもおもしろいですか、と聞かれたら「うーん、まあ、おもしろいよ」としか言いようがないところもあります
もろてを上げてオススメできるほどじゃないけど、観てそうガッカリはしないんじゃないかな、という映画
いわゆる佳作作品みたいな

月でのたったひとりでの三年間の作業で、話し相手はAIのガーティだけ
毎日の単調な生活、通信機器故障により地球とリアルタイムでのやりとりもできない、たまにくる妻の録画映像だけが楽しみな日々
しかもあとちょっとで契約期間も終わるという時になって幻覚や体調不良に襲われる
そしてついには作業中に事故を起こしてしまって…さあ、大変
というのが冒頭の流れなんですが、ぶっちゃけ予告編を見るとネタバレ映像があって、それを見ない方がかなり楽しめるかもしれません
登場キャラも少ないし、予告編の後半を見てしまうとなんとなく先が読めてしまうのは否めない
というわけで、これから楽しみにしてる人は予告編の1分より先の映像はみないことをオススメします

とりあえずこの作品は雰囲気が最高にいい
月の冷たさとサムの孤独、空しさ、絶望感を映像だけでなく、音楽で雰囲気を盛り上げてます
そして良い意味でも悪い意味でも新しさがない
なんかどっかで聞いたことあるようなストーリー展開で、しょうじきホントに「これは新しいな」という部分があまりありません
かといってつまらないわけではなく、なんというか一昔前のSF小説を読んでる感じの古さをおぼえますね
過去の名作映画を今、観ているような新しさはないけどつまらないわけじゃない感覚というかなんというか
取り上げてる題材が微妙に古くさいんですよね

とにかくサムの「帰りたい」という気持ちが痛々しくて切なくて、それでもルナ社の支給品でしか生きられない月世界のやるせなさ、そして学習を続けてきたガーティがまた小粋なやつで…
過度にミステリー部分を期待しなければ、けっこういい感じの雰囲気映画だと思います
けっして派手ではないですが、なんか寂しい夜にしんみる観るにはいいかもしれません

個人的評価:80点
オススメ度:ガーティさんに惚れてしまいそうです




月に囚われた男 予告

※本編を楽しみたい人は1分より先の映像は見ない方がいいかもしれません




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2010年8月13日金曜日

ヒックとドラゴン (2010/米)

監督:クリス・サンダース / ディーン・デュボア
出演:ジェイ・バルシェル / ジェラルド・バトラー / アメリカ・フェレーラ / クレイグ・ファーガソン / ジョナ・ヒル / T・J・ミラー / クリステン・ウィグ / クリストファー・ミンツ=プラッセ







ドラゴン戦う偉大なバイキングとしての父を持ちながら、ひ弱な体で鍛冶の仕事しかさせてもらえない少年ヒック
ある日、伝説のドラゴンであるナイトフューリーを撃ち落としたヒックは、その落下現場で傷ついたドラゴンと出会う

予告を見たときから気になってたけど、なんかわけ分からない芸人が映画の宣伝してたのがマイナスイメージになってスルーしようかとも思いながら、くだんの芸人がメインの声優に関わってないと知り鑑賞
いやあ、結果的には観てよかったわ
基本的にファミリー向けなんですが、芯がしっかりしていて一本の映画としてもかなり良質でしたね
子供向け独特のゆるさはあるけど決してゆるすぎず、トゥースかわいいねってだけの内容でもなく、きちんと話と世界観が作り込まれてておもしろい

屈強な父を持つひ弱な息子が、それまでの常識を覆す行為をして反感を買いながらもやがて認められる・・・しょうじきありふれた話なんですが、そう感じさせないたくみな演出で最初から最後までまったく飽きるポイントがありませんでしたね
主人公のヒックがまた思ってたのと違って、ひ弱で優しすぎるゆえに内向的なキャラかと思ったら、けっこう身の程知らずな行動力あるキャラで、またそんな性格が作品のおもしろさをひきたててます
一方のドラゴンのトゥースもかわいい所はきちんとかわいく、しかし忠実な犬っぽい性格というより茶目っ気のある猫っぽい性格がいい

話が進むにつれて最初はどうしようもない存在だったドラゴンたちが、どんどん愛嬌のあるキャラへと印象が変わっていくのも楽しい
さらにヒックと父親の関係もひとつの主題なんですが、その描き方もこってりしすぎず、かといってあっさりしすぎてもいない感じでちょうどよくて、「ああ、はいはい、どうせこうなるんでしょ」みたいな観てて冷める瞬間がないか素敵です
あとはラストも粋というかなんというか、ヒックのアレはまさに「ゆるすぎない」と感じる大きな点でしたね

子供向けのゆっるいCGアニメ映画となめてかかると、その完成度の高さに驚くかもしれません
特に異種族間の友情ものが好きな人にはたまりません
小さな子供を連れてファミリーで、いちゃいちゃしながら恋人同士で、そして普通の映画好きな人がガッツリ観るものとしても楽しめるオールマイティな作品な気がしました
これを観たらぜったいドラゴンのおもちゃが欲しくなる
いいおっさんが普通にトゥースの人形とか真剣に欲しいと思っちゃうくらいです
べ、べつに普段から部屋にファンシーな小物とか置いてないんだからね!勘違いしないでよね!

個人的評価:100点
オススメ度:トゥースさんツンデレドラゴンやで




ヒックとドラゴン 予告

2010年8月10日火曜日

ザ・リッパー (1982/伊)

監督:ルチオ・フルチ
出演:アルマンタ・サスカ / アレクサンドラ・デリ・コリ / パオロ・マルコ / ジャック・ヘドレー / アンドレア・オッキピンティ / ハワード・ロス / フレッド・ウィリアムソン / ダニエラ・ドリア







ニューヨークでおきる女性の連続切り裂き事件
捜査に乗り出す警部に挑発的なアヒル声の犯人からの電話が届くのだった

もうそのタイトルを見ただけで「まがうことなくB級映画です」と認定できる作品
そして、期待通りのB級映画だから安心ですね
だけど中身はけっこう普通におもしろいミステリーものに作ってあります
雰囲気的には「ホラー映画の手法でミステリーを作ってみました」な感じ
悔しいことに、その融合がけっこう良い方向に作用してるからアレですね

ホラー映画としての殺人鬼ものが主軸にあるものの、その正体が分からない
しかも、登場人物に対して「こいつが犯人なのか?」みたいな小憎らしい演出が用意されていて、わりと殺人鬼が誰なのか分かりづらい作りになってます
そんな犯人が誰なのか気にしつつ楽しむミステリーホラーがわりと楽しい
まあ、なによりアヒル声の…というかドナルド声の犯人が素敵すぎる
ドナルド声が出るたびに「ああ、今、俺はB級映画を観てるんだなあ」という幸福感を味わえます
他にも特に序盤にB級映画チックな演出が多く、どれもこれも「B級映画の職人」的な熟練のB級テクで作られてるんで、どっしりと構えたB級横綱相撲みたいな安定感があります

微妙に古い映画だから仕方ないのかもしれませんが、「おまえふざけてるだろ」と言わざるえないメインテーマ曲が耳障りで逆に素敵です
タイトルとともに曲が流れてきた時は乾いた笑みがうかびましたね
観てるうちに古い作品だということを忘れて熱中してるところに、くだんの曲が流れてきてB級世界に引き戻してくれます

で、本筋のミステリー部分ですが、さすがに今ではそう目新しさを感じないオチではありますが、そこはそこで各自脳内補完すれば悲劇的な結末に何か感じるものがあるでしょう
まあ、そこでも例の曲が流れてくるんですけどね
そんな感じで、バカにして観るとけっこう意外な面白さがあって「やだ、こんな映画を楽しんじゃってる」と思うことでしょう
ただちょっとグロイシーンもあるので注意が必要かもしれません
そこまでひどいグロではないですが

個人的評価:85点
オススメ度:グワッ!グワッ!グワッ!




ザ・リッパー 予告



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2010年8月9日月曜日

暗い日曜日 (1999/独・ハンガリー)

監督:ロルフ・シューベル
出演:エリカ・マロジャーン / ヨアヒム・クロル / ベン・ベッカー / ステファノ・ディオニジ / アンドラス・バリント / ゲツァ・ボロス








ある大物実業家が思い出のレストランである曲を聴いたとたんに苦しみだす
その曲には過去、魅了されたものを自殺に導くといういわくつきの物語があったのだった

ある意味でやられた感のある作品
冒頭でレストランで「あの曲をたのむよ」と言った老人が、その曲がはじまったとたんに苦しみだして倒れてしまう
で、そこから展開はその曲をめぐる物語の過去の話にうつっていきます
レストランの経営者ラズロ、その恋人で一緒に働くイローナ、レストランのピアニストとして雇われたアンドラーシュ
ふたりの男とひとりの女のラブロマンスな関係を描きつつ、件のいわくつきの名曲「暗い日曜日」が誕生するわけで

物語は不思議な曲と三人の恋模様を描くドラマかな、とふつうに思うわけですが…
まさかと思ってるうちに「そっちの方に話は進むのかよ」といった展開になります
ぶっちゃけオチはかなり前から読める感じですが、それでもさりげなく散りばめられた伏線を回収していくようすは観てて気持ちいいですね
まあ、これもあまり詳しく色々と書くより実際に観てどんな作品なのか確かめてもらった方が楽しめる内容かもしれません

だいたいのところはかなり楽しめたこの映画ですが、それでも「自殺に導く曲」とされた暗い日曜日の根本的なところが投げっぱなしなのはどうなんですか、と思わざるえない
自殺に導く…という噂がある、ていどならわかりますが、死者は全世界に広がっている現実のわりに、あまりにも深く追求してないし意外なほど社会的な大問題みたいな空気が伝わってこない
悪く言えば話を進める上での設定としてある、という感じがありありとしている
個人的にはホントにそこまで現実として死者が出ているってより、そういう風説があるていどでよかったんじゃないのかとかなんとか生意気にいってみます

あとはED曲のアレンジ、あれはないだろうと
まさか洋画でも本編の空気を最後の最後でぶち壊すED曲をもってくる作品があるとは
そんな感じでちょっと気になる点はあることはありますが、総じてけっこう楽しめた作品でした

個人的評価:80点
オススメ度:イローナのパイオツに目がいかざるえない




暗い日曜日 予告



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2010年8月8日日曜日

運動靴と赤い金魚 (1997/イラン)

監督:マジッド・マジディ
出演:ミル・ファロク・ハシェミアン / バハレ・セッデキ / モハマド・アミル・ナジ / フェレシュテ・サラバンディ / ダリウシュ・モクタリ / ナフィセ・ジャファール・モハマディ / モハマド・ハッサン・ホセイニアン / ダーウッド・シャムズ






貧しい家庭ながら一生懸命に生きる少年アリ
ある日、アリはおつかいの途中で妹の靴をなくしてしまうのだった

アリが妹の靴をなくしちゃったよ、どうしよう
っていうだけの映画
貧しいゆえに新しい靴を買うこともできず、それを親に話したところで怒られるだけで靴は買ってもらえないだろう
アリの家は家賃や食費も滞納しがちな貧しさで、そこで必需品である靴がうっかりによってなくしてしまったらどうなるのか、という設定

とにかくアリ少年のキャラがめちゃくちゃいい
いいお兄ちゃんなんだけど、良い子すぎることはなく怒られるのがいやだから親には靴のことを内緒にするし、自分のせいなのに妹に逆ギレもする
それでもギリギリクソガキっぽいところを回避してて、というかむしろ一生懸命に自力でなんとかしようとする様子がいじらしい
自分の靴を妹と交代で履くにしても学校の遅刻問題やらが生じてきて、ちょっとした不幸なできごとが常にアリ少年を悩ませます
もちろん良いこともおこりはしますが、結局は良いことと悪いことが繰り返しおきて観てて飽きがこない作りになってます

小さなできごとに立ち向かう少年の姿と家族愛、兄妹愛ってところが見所なのかもしれませんが、なんといってもアリ少年の泣き顔がひどく印象に残ります
大人からしてみればたいしたことないことでも、子供にとってはそれこそ天地を揺るがすほどの大事件なわけで、自分の子供の頃を思い出しながら観るとアリの心情がよく分かって楽しさが増します

そしてクライマックスからラストの流れがかなり秀逸
いつの間にか心からアリを応援してる自分がいて、がんばってがんばってがんばったけど…な感じが最高すぎる
そこにあの自転車からのぞくモノ、そして悲しいような終わり方ではあるけど「そうきたか」と思わざるえない
個人的にはかなりいいタイミングで終わってくれたといった感じですね
みなまで言わない、言わなくても分かるだろ的な演出が素敵です
振り返ってみればなんてことはない日常の1ページ、だけどそんな日々をこれからもアリは必死に走り続けるんでしょう
なんて自分でまとめておいて、ちょっと気持ち悪い言い回しにツッコミを入れられる前に自分で処理しておきます

個人的評価:80点
オススメ度:金魚は意外にメインではない気がしないでもない




運動靴と赤い金魚 予告



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2010年8月6日金曜日

フライド・グリーン・トマト (1991/米・英)

監督:ジョン・アヴネット
出演:キャシー・ベイツ / ジェシカ・タンディ / メアリー・スチュアート・マスターソン / メアリー・ルイーズ・パーカー / シシリー・タイソン / クリス・オドネル / ニック・サーシー







夫といっしょに親戚が入っている老人ホームを訪れるエヴリン
そこで出会った老婦人のニニーから聞かされたイジーとルースの友情話に、エヴリンは興味を引かれるのだった

古き良き時代のアメリカの田舎町でおこった出来事と、現代におけるエヴリンの話が交錯して進むわけですが、これがまたいい話…と単純に割り切れないところがおもしろくもあるし、なんともいえない後味の悪さもあります
最初はNHKなんかで昔やってた古いアメリカの田舎町を舞台にしたようなドラマが展開し、かなりまったりと観れる…んですが、ね

水の中から引き上げられる車、見えない電車、廃れた田舎町、そして老人ホームで出会った老婦人の昔話という序盤の数分間であっという間に作品世界に引き込まれます
ニニーとエヴリンのキャラがまた良い味だしてる上に、昔話の中でのイジーとルースもまたかなりの良キャラ
さらにそんなキャラ以上に昔話がおもしろくて、エヴリンが続きを聞きたくてしょうがないのと同様に観てる側も続きが気になる作りになってます
そんな昔話を聞いてるうちに、内気で自分のことが大嫌いだけど自暴自棄になる勇気もないというエヴリンも変わっていくんですが、これがまた「変わりすぎだろ」と言わざるえない

この作品のなんともいえない引っ掛かりを最初に感じるのはイジーとルースが忍び込んだ汽車で施しをするシーン
「いや、まあ、分からんでもないが、いいのか?それで」と
義賊的な振る舞いってわけでもないし、なんともいえない微妙な引っ掛かりがそこにあります
次がエヴリンの駐車場でのシーン
これも分からんでもないけど、なんともスッキリするほどの納得感がないから困りもの
で、極めつけがラスト前の真相が明らかになるシーン
いや、さすがにこれは「よかったよかった」で笑って許されるものじゃないだろ、と
というか普通にこの真相は引くわ
いい話の裏にはそうきれい事だけですまされないものが隠れている、といえばそれまでですが…どうなんですかね、これ

そんな引っ掛かりはあるものの、総じて話はおもしろいですね
ニニーは結局なにものなのか、エヴリンの結婚生活は、イジーとルースの話の結末は、と観てて気になる要素がいっぱいあるので飽きません
観たあとに心が温かくなるようなそうでもないような、しかし、しっかりといろんな意味で余韻は残る作品でした

個人的評価:80点
オススメ度:フライド・グリーン・トマトおいしそう




フライド・グリーン・トマト 予告



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2010年8月3日火曜日

趣味の問題 (2000/仏)

監督:ベルナール・ラップ
出演:ジャン・ピエール・ロリ / ベルナール・ジロドー / フロランス・トマサン / シャルル・ベルラン









しがないレストランのバイトをしていたニコラは、店の上客である実業家のフレデリックに見初められ「味見役」として雇われる
やがてふたりの関係は奇妙な絆で結ばれていくのだった

分かるような分からないような…なんともいえない作品
実業家として地位も名誉も金も権力もすべて手に入れたフレデリックが、自分にとってのプライベートな部分でのソウルメイト的な存在の素質があるとしてニコラを雇い、ニコラもそれに付き合ううちに自分の中にあったフレデリック的な考え方に気づいてくる
で、徐々にふたりは最高にうまが合う同士にまで関係を深めていく
ってのがメインにあって、一方で「何かしら事件があった後の出来事」として話の途中途中にそのシーンがカットインされています
ようするに過去と現在が同時進行しつつ、過去がだんだん現在の時間軸につれて話が見えてくる感じの内容

途中までは「起こった事件」がなんなのかってのと、そこに至るまでの話が気になりつつ観ていたんですが、だんだんそんなことよりフレデリックのキャラが素敵すぎて、メインの話とかどうでもよくなってきます
フレデリックがニコラを支配しているのか、その逆なのか、そんなことを考えていた時期もありましたが、ラストまで観ればそれまでの展開からなんとなくすべてを理解できる、と思う…はず
フレデリックは中毒が嫌いってのと、ニコラと出会う前のフレデリック、シンクロ率が上がり続けるふたりの関係という点を考えれば、ほら、ね、なんとなくラストの意味も分かる…分かるか?

しょうじき「ここで終わったらイマイチだな」って思ってたところで見事に終わってくれたんで、なんともいえない微妙さが後に残りましたね
個人的にはその先を観せなさいと言わざるえない
あとはとりあえず「なんか賢そうな映画とってやったぜ」みたいな感じが滲みでてるのが嫌味っぽくてアレです
とりあえず社長萌えさえできればそれなりに楽しめる作品だと思いました

個人的評価:65点
オススメ度:意識的ツンデレ




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2010年8月1日日曜日

ソルト (2010/米)

監督:フィリップ・ノイス
出演:アンジェリーナ・ジョリー / リーヴ・シュレイバー / キウェテル・イジョフォー / ダニエル・オルブリフスキー / アンドレ・ブラウアー








CIA工作員のイヴリン・ソルト
ある日、ロシアからの亡命者がアメリカで計画中の作戦について語り、その実行犯の名前は「イヴリン・ソルト」だと話すのだった

絶対にだまされるとか、あなたは見破れるか、みたいなのは映画の宣伝文句から外してもらいたい
「シャッターアイランド」の時もそうだったけど、観る前から「なにか仕掛けがある」と身構えているとろくなことがない気がするんで
まあ、それはそれとしても、この映画は本当にだまされるうんぬんなストーリーじゃない気はしますが

ロシアからの亡命者を尋問してたソルトが、米国で進行しているロシア大統領暗殺計画の実行犯がソルトだと告げる
で、ロシアのスパイに仕立てあげられた彼女は、自分が陰謀に巻き込まれたことにより、その夫の身にも危険が及ぶと感じて夫を救うためにCIAの仲間からも逃走してしまう
そんなこんなしてるうちに彼女もただ夫を心配してるだけじゃないような奇妙な行動をとりはじめて・・・
みたいなサスペンスアクションの形をとってはいますが、しょうじきなところ昔の映画によくあったような印象が強い普通のアクション映画でしたね
バカ正直に「このシーンは後々の伏線になるのか?」「実はこいつは・・・?」なんて真面目に先の展開を推察しながら観ててもろくなことはありません

けっきょく「ソルトとは何者なのか」という点が一番の肝になってるわけですが、その答えがあまりにしょぼいんでストーリー的にはガッカリ感が否めない
さらにアクション部分も微妙とくるからどうしようもない
それでも観てる間はアクションにつぐアクションとソルトの謎にそれなりに引き込まれる
あくまでそれなりに、ですが
しかし、真相が分かったとたんにがっくりくることは間違いないでしょう
「それでも、それでも最後の最後に何かある、はず・・・」とわずかに残った期待みたいなものも、あっさり打ち砕かれました
複雑なことはなにもない、わりとシンプルな真相ゆえに逆に「誰も予想できない」ような気がしないでもないです

そしてラストのアレ
「え?はあ?」と本気で思いましたね
クライマックスが始まると思ったらエンドロールだった・・・
尻切れトンボとかどこのB級クソ映画だよ
いや、むしろおまえこそ、この映画こそB級クソ映画だよ
これもある意味で「このラストは予想できない」と言わざるえない
しょうじきテレビ東京で平日の昼間にやるレベルな内容な作品でした

個人的評価:50点
オススメ度:虫か、蜘蛛か、それが重要だ




ソルト 予告