2010年9月30日木曜日

9月のこれ一本

食欲の秋、睡眠欲の秋、性欲の秋
ということで、人間のアレ的なナニをビクンビクンさせる刺激のある秋がやってきましたね
ついこないだまであちぃあちぃほざいてたお口にチャックせざるえません
個人的には妙に仕事が忙しくなり、日々「働くために生きてる」感を奥歯から血が出るほど噛みしめております
まあ、そんな秋らしいさっぱりすがすがしい前置きはこれくらいにして、と言いたいところですが、なんというか今月はあんまりパッとしたものを観てない気がしてなりません

それでもあえて選ぶなら…「ねらわれた学園」?
うん、まあ、これを観ておけばいいんじゃないですかね
あえて今月はなにも選ばないという選択肢もあるんじゃないかと思い立ったけど、ほら、たまにはクソ映画を観て心をぎゃふんと吠え面かかせてまいっちんぐなのも一興ということで

2010年9月29日水曜日

魔王 (1996/英・独・仏)

監督:フォルカー・シュレンドルフ
出演:ジョン・マルコヴィッチ / アーミン・ミューラー・スタール / ゴットフリート・ヨーン / マリアンネ・ゼーゲブレヒト / フォルカー・シュペンクラー / ハイノ・フェルヒ







1940年フランス、自動車修理を仕事とし間をみては趣味のカメラで街の子供たちを撮っていたアベル
ある日、少女を襲った犯人と決めつけられたアベルは時を同じくして侵攻してきたドイツとの戦いの前線に送られてしまうのだった

どんな映画なのか、序盤を観ていても個人的につかみきれない内容でした
優しさと残酷さを持ち合わせた主人公が軸になって、どろどろとした内容に発展していくのかと思ったらそうでもない
激動する歴史に翻弄されながらも下克上したり、人々との絆を築いていくわけでもない
なんというか、中途半端な感じが漂ってます
なんか賢げな作風なんですが、私にはイマイチ理解できませんでした

ドイツ軍の捕虜になったアベルが、なんだかんだでドイツ兵と仲良しになって、じょじょにお偉いさんにも気に入られていきます
そんなころころと世界情勢に流されながらも、アベルはアベルのままその日を自分なりに生きていく…みたいな話
どっちかというと主人公アベルより戦線から離れた場所でのドイツ軍との交流というか、戦争中には戦う以外にこういうこともあったんだよみたいなを描く方向にカメラがより気味
それゆえに主人公の影はじゃっかんうすく、そのくせに思い出したかのように時折アベルにカメラが向けられるので何がしたいのか分からなくなります

アベルを中心に描くならもっとカメラを主人公に向けてほしいし、主人公の周りの世界観を中心に描くならもっと徹底的にやってほしかった
雰囲気はけっこう好きだし、クライマックスの戦闘シーンはよかっただけに、なんかもう一歩的な印象がぬぐえません
しょうじき主人公のことも少年少女愛な変態野郎だとずっと思ってましたが、なんか宗教的な愛をなんたらかんたらって感じらしいです
最初の女の子もキレたアベルがホントにやっちゃったと思いこんでたけど、なんか女の子の虚言でアベルはえん罪みたいですし

とりあえずはなんだかよくわからない雰囲気映画ってことでひとつ

個人的評価:50点
オススメ度:ヘラジカの魔王さんかっこいい




魔王 予告



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2010年9月27日月曜日

サイレントノイズ (2005/カナダ・英・米)

監督:ジェフリー・サックス
出演:マイケル・キートン / チャンドラ・ウェスト / デボラ・カーラ・アンガー / イアン・マクニース / サラ・ストレンジ / ニコラス・エリア / マイク・ドプド / コナー・トレイシー / アーロン・ダグラス







ジョンの再婚した妻アンナがある日、行方不明になってしまう
気落ちするジョンのもとへ見知らぬ男が「アンナの死者としての声を聞いた」と言ってきて…

みんな大好き「フォーガットン」系のサスペンス
死者の声が聞こえる機械EVP、あやしい男、オカルトか陰謀か精神病んでるだけかドキドキして観てると…大いなるガッカリ感が味わえます
「フォーガットン」よりはいさぎよく早めに真相が見えてきますが、まあ、だからといって残念系サスペンスに変わりはないわけで

※フォーガットン とは
2004年のアメリカ映画
主人公の女性が事故で亡くした幼い息子のことを引きずり、カウンセリングを受ける
そんなおり、女性の周りで次々に息子が存在していた物的証拠が消えていき、誰もが「息子さんなんて最初からいない」と言い出す
女性の精神異常か、なんらかの陰謀か、いよいよもって事態が混迷してきた時、唐突に「実は宇宙人が人をさらって記憶の改ざんする実験をしてました」という衝撃の真相が待っているのだった
ミステリーの謎解きにおいて「実は不思議なパワーで人を殺しました」というトリックくらいやってはいけない邪道展開が最大の魅力

まあ、これを紹介したところで観る人はいないだろうからネタバレしていくと、犯人は悪霊で主人公はそれをほのめかされながらも亡き妻と交信するのに夢中で近づく驚異をスルーしてしまうんですね
で、なんかしらないけど死んだアンナが未来の映像をジョンにみせて、死にいく運命の人々を助けるようにいまいち煮え切らないメッセージを送って指示厨になるって話
いよいよもって悪霊がジョンの前に立ちふさがるんですが、「一方的にボコられて殺される」という素敵エンドが印象的
ええ、犯人は悪霊とみせかけて実は巨大な陰謀が…と期待するだけ失望感が増幅するナイスB級作品で、「フォーガットン」ほどのインパクトはないものの残念サスペンスの五指に入るかもしれません

主人公のジョンが電気系の設計士とかならまだしも、普通の建築家なのにEVPを自作したりするんですが、そんなお手軽なものなんですかね
そんな細かいことをいちいちつっこんじゃダメ、っていう作品かもしれないんで気にしないのが精神衛生的にいいんでしょうが
最後の誘拐犯の正体も「で?」って感じだし、その犯人がハイテク機器を使ってジョンを惑わしていたってなら「おお、そうか」とも思いますが、あくまで黒幕は正体不明の悪霊ですんで

最近、映画にガッカリ感をいだいてないあなた、低質なサスペンスでうんざりしたいあなた、そしてB級好きのあなたにピッタリの作品です

個人的評価:30点
オススメ度:EVP普及しすぎ




サイレントノイズ 予告



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2010年9月26日日曜日

十三人の刺客 (2010/日)

監督:三池崇史
出演:役所広司 / 市村正親 / 山田孝之 / 伊勢谷友介 / 沢村一樹 / 古田新太 / 高岡蒼甫 / 六角精児 / 波岡一喜 / 近藤公園 / 石垣佑磨 / 吹石一恵 / 谷村美月 / 松方弘樹 / 伊原剛志 / 斎藤工 / 阿部進之介 / 光石研 / 内野聖陽 / 岸部一徳 / 松本幸四郎 / 平幹二朗 / 稲垣吾郎





徳川の将軍の弟をいいことに斉韶(なりつぐ)のやりたい放題が横行している中、老中はひとりの男・新左衛門を呼び寄せる
新左衛門は斉韶を討つため、ひそかに腕のたつ侍を集め始めるのだった

ちょっとアレな映画をとり続ける映画量産監督の三池さんの最新作ですね
なんか最近はみょうに有名監督っぽくなってきましたが、あいかわらずその作品のガッカリ度は健在です
それでもたまーに良作を生み出してくれるので油断できねえ、ってわけで鑑賞

ようするに権力を傘にやりたいほうだい許さないよ、と下の立場の人間たちが武力行使する話なんですが、思った以上に序盤から「時代劇的な重さ」があってビックリでしたね
よくある演技から空気感からすべて軽いイケメン時代劇とは違って、けっこうずっしりくる描写で「これは期待できる」とB級モードから一般作モードに脳を切り替えざるえませんでした
まあ、完全にイケメン時代劇の空気がないってわけではないですが、それでもふわっふわしてる軽い作品よりはいくぶんまし
個人的には「お盆には帰る」にしびれました

前半はホントに堅実に作られてる印象で、だるま女以外はそれほど三池臭がきつくないので、B級耐性がない人でも十分に楽しめると思います
十三人の同志の描き方も頭が混乱するような詳しい描写はなく、主要なメンツ以外はその他大勢あつかいなので、そんなに人物の把握に苦労はしません
斉韶も権力があるだけの小心者ではなく、マジもののキチっぷりでいいキャラになってます

しかし、すべて順調にいってたと思ってたら、旅パートに入ったとたんに急にだらだらしはじめます
作品が変わったんじゃないかというくらいライトな雰囲気になって、クライマックス前の息抜きというだけではすませられないくらい軽い展開に
特に十三人目が出てきたあたりからひどさが急上昇しますね
三池らしいしょうもないギャグや軽いノリがたまらなく苦痛
脳が一般作モードになってるからなお辛い
最初から後半のノリで始まってればB級作品として楽しめたかもしれませんが、途中で作風変えられるとキツい

肝心のクライマックスもCGの使い方がいちいち寒くて、しかも長い
おまえらいつまで戦ってるんだよ、ってくらい長い
そして今までろくに描写のなかった十三人の刺客たちが主張をはじめて死んでいくようすに「知らんがな」と
ラストもそうだけど、後半のとってつけたような深みのない「こういうシーン、あるよね」みたいな描写はもう、ね…
で、それ以上に十三人目を好き勝手描きすぎて、作品的にどうしようもないくらいダメっぷりを際だたせている気がしてなりません
あと牛もたいがいひどかったですが

戦を知らない世代の真剣殺し合いっていうおいしいテーマも、すべて十三人目ととってつけた演出によって台無しな作品でした

個人的評価:60点
オススメ度:原爆うんぬんの意味




十三人の刺客 予告

2010年9月25日土曜日

三人の逃亡者 (1989/米)

監督:フランシス・ヴェベール
出演:ニック・ノルティ / マーティン・ショート / ジェームズ・アール・ジョーンズ / サラ・ローランド・ドロフ / アラン・ラック / ケネス・マクミラン / ブルース・マクギル







5年の刑期を終えて出所したルーカス
その足で銀行に向かうと、偶然にも強盗事件に巻き込まれてしまうのだった

日本人が大好きな部類のちょっと心が温かくなる、そんなコメディ
下品で大げさで必要以上に叫びまくる最近のコメディとは違い、ちょっと古い作品なりに本当に抑えられた優しいネタで構成されてます
過度にバカ騒ぎするものに慣れた私にしてはじゃっかん物足りない感がありましたね

話的には出所したルーカスがよった銀行に強盗犯ペリーがやってきて、その筋では有名なワル(死語?)なルーカスは人質なんだけど警察には強盗犯だと勘違いされてしまう
ルーカスもルーカスでペリーと警察とごちゃごちゃやってるうちに、なんか血が騒いでうっかり強盗犯モードのスイッチが入ってしまい…みたいな展開
時にはルーカスのせいで、時にはペリーのせいで事態はどんどん悪化していく
まあ、ストーリーはしょうじき弱い気がしますが、そこは古い作品だからしかたないかもしれません

なんといっても見所は役者さんたちの演技と配役の妙
とにかくハマリにハマったそれぞれのキャラの絶妙なかけあいが楽しくてしょうがない
ルーカスの悪人気質ながらなんだかんだ面倒見がいいところ、ペリーの気が弱そうでけっこう人の弱みをついてくるところ、そんなふたりのやりとりを見る、そんな映画…というかそれだけの映画です
それだけの映画なんですが、びっくりするほど楽しめるから困らない

でもどうしても気になるのが三人目の存在
幼女が途中からルーカス・ペリーコンビに参加するんですが、参加じたいはよしとしてもルーカスに対するなつき方が理解できない
積み上げる期間がまったくないままに、いきなり絆っぽいものを表現されてもついていけません
前半の二人組の時の展開がおもしろかっただけに、三人になったとたんにパワーダウンするってのはどうなんですかね
三人になった後もやっぱりルーカス・ペリーコンビのやりとりだけが楽しくて、幼女とか邪魔なだけというかなんというか

個人的に車内での銃の暴発とか、犬のシーンは好きで、他にもおもしろいところはありますが、大笑いっていうよりニコニコしながら心安らげて観るタイプの作品でした

個人的評価:60点
オススメ度:タコは英語でアスホール




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2010年9月23日木曜日

運命人間 (2004/日)

監督:西山洋市
出演:豊原功補 / 内木英二 / 小松みゆき / 蒲田哲 / 中村愛美









猫研究家の男、田宮は猫探しの仕事もうけおっていた
ある日、そんな田宮に「ラッキー」を探して欲しいという依頼がまいこんでくるのだった

深夜の無名監督による好き勝手できる試験的なドラマ、の中でもわりとハズレの方を引いてしまったような作品
一言でいうならクソ映画
まがうことなくクソ映画
こんなクソ映画を観ていると不思議と心が安らぎますね
クソを見て「汚い」「臭い」なんてわざわざ言葉にしたってしょうがないじゃない
ありのままを受け入れてニュートラルな気持ちでじっとりした目でぬめぬめと見守っていれば、ほら、なんか無我の境地がなんたらかんたら
ネットサーフィンをしながら、たまに画面をチラ見するだけでも問題なく鑑賞できる忙しい現代人には優しい作品ですよ

わりとまっとうな感じの主人公、田宮
ラッキーの捜索依頼を持ちかけつつ、なんかしつこく田宮と妻を結ばせようとする毛利
なにかにつけ妹を田宮にもらいたがっている友人の安西
毛利には予知能力があり、田宮の運命を言い当てつつ妻と結ばれるんだから素直になれとせまってくる
嫌気がさした田宮は妥協して安西の妹を妻にもらうことで毛利の狂気じみた誘いから逃げようとする…
そんな狂気と正気の狭間を描くサイコホラー風味な作品ですね

正しい楽しみ方としてはどこから狂気でどこから正気か、ってのを観てればいいんじゃないですかね
いちおうは田宮と毛利にはそれぞれ納得できる(?)理由というかなんかそんなのが用意されてますが、しょうじきどうでもいい
自分はいけてると思いこんでるwebアマチュア小説家くずれが自信満々に書いたのを読んでるような気恥ずかしさと、痛々しさが味わえます
寒いギャグと気持ち悪いテンポのストーリー運びがアクセントになって、どうしようもない完成度に

川の流れと時間軸とか、毛利って結局…とかツッコミどころは満載ですが、そんなもんはイチイチ気にしてたら時間の無駄、わざわざストレスをためることはない
見所は…えー、特になくって、あー、まあ、あえて言えばパッケージ画と内容がまったく気持ちいいくらい結びつかないことですかね
あとは幼女のきしめんトーク、とか?
「へへ、俺、こんなクソ映画みたんだぜ」とか言えるようなネタにもならない親切設計
とりあえずB級クソ映画を観て心を落ち着かせるにはピッタリの内容でしたね

個人的評価:20点
オススメ度:猫人間でいいじゃん




運命人間 予告

2010年9月21日火曜日

ブラック・ドッグ (1998/米・英・仏・独・日)

監督:ケビン・フックス
出演:パトリック・スウェイジ / ランディ・トラヴィス / ミート・ローフ / ガブリエル・カソーズ / ブライアン・ヴィンセント / ブレンダ・ストロング / グラハム・ベッケル / スティーブン・トボロウスキー / チャールズ・S・ダットン / エリン・ブロデリック





刑務所に入る際に免許証を取り上げられたジャックは、出所後に怪しげな運びの仕事を紹介される
私生活で金に困った彼はこの仕事を引き受けることにするのだが

しばらく前に録画しておいて放置してたのを思い出し、積み録画を崩す意味で鑑賞
っていうか積みDVDに加えて積み録画かよ…細かく言えばさらに未DVD化でおもしろそうと思って買ったビデオカセットもだいぶ積まれてる現実
と、まあ、そんなどうでもいいことはおいておいて、この映画、冒頭からいくつかの組織が出てきて、なんか複雑っぽい印象をうけます
しかし、いざ観はじめてみると、なんてことはない脳筋仕様のパワープレイアクションでおっさん一安心
いや、複雑なのもいいけど、あまり煩雑になってくると年老いた脳が悲鳴をあげるんで

しかたなく怪しげな運びの仕事を引き受けるジャックさん
だけど彼はちょい前にトラック運転手をしており、その際に人をはねる事故をおこして免許を没収、ムショにぶちこまれてた経歴の持ち主
その刑期中に残された妻と娘はがんばっていたものの借金をこさえてしまっていたわけで
そいつを返済するためにも今回の仕事をやってやるぜ、って感じの出だし
その彼が運ぶ荷を狙って色々と陰謀やらなんやらがめぐらされて、気が付けば周りは敵だらけ
いろんな組織にそれぞれの理由でつけ狙われるサスペンスアクション…というのではなく、しょうじきホントにシンプルなアクションな展開なのでいっさい頭は使いません

そんな単純さがおっさん的には嬉しくもあるんですが、さすがにこれはちょっとシンプルすぎてパワープレイすぎる
いくらでも疑心暗鬼なドキドキ要素を入れられるのにあえて入れてないというか、入れるだけの才能が制作者側にないというか
例えるなら、主人公と三人の男たちで荷を運ぶ旅路につくわけですが、途中でこの中に敵側の内通者がいるって展開になるわけですよ
そして、その時点でどの人物も道中でちょっと怪しい行動をとっていて、誰がスパイでも通じるような感じになってます
そうなると、ほら、以降は探り合い騙し合いの道中が展開するのかって思うじゃない
でもこの作品では「ごめん、俺、敵側に通じてっから」とあっさり自ら認めてしまいます
いやいやいやいや、そこはもうちょっとためておこうよ、と

そして中盤最大にしてこの映画最大の見所、大型トラックたちによる峠バトルが最高に素敵
そもそも大型トラックたちの峠バトルとか考えるアホの発想には敬意を禁じ得ない
だけど盛り上がるのも一瞬で、あとはなんともいえない昭和アクション映画テイストなどうでもいいアクションが続くだけで、クライマックスもイマイチありきたり&パワープレイ
なんともいえないガッカリ感と退屈感が襲ってきて、そのままダラダラっと事件は解決してしまいます
うん、まあ、こんなもんだよね…って思ってたところでちょっとだけ盛り上がるオチが待ってますが、こんなもんです

しかし十数年前の映画なのにすっごい昭和臭がするのは、なんともいえない安心感がありましたが、それでも暇つぶし作品の域は出てない毒にも薬もならない一本でした

個人的評価:45点
オススメ度:ある意味、ワンちゃんが一番がんばった




ブラック・ドッグ 予告



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2010年9月20日月曜日

パフューム ある人殺しの物語 (2006/独・仏・スペイン)

監督:トム・ティクヴァ
出演:ベン・ウィショウ / ダスティン・ホフマン / アラン・リックマン / レイチェル・ハード・ウッド / コリンナ・ハルフォーフ / ジョン・ハート / カロリーネ・ヘアフルト / デヴィッド・コールダー / サイモン・チャンドラー / イェシカ・シュヴァルツ / パウル・ベロンド / ティモシー・デイヴィース / ハリス・ゴードン / サラ・フォレスティエ / ジョアンナ・グリフィス / ビルギット・ミニヒマイアー




18世紀フランス、生まれつき類い希なる嗅覚をもっているジャン
彼は様々な境遇におかれながらも、自分がやりたいものを探求していくのだった

スポーツマンガによくある、おちこぼれが唯一の長所をいかして成り上がっていくサクセスストーリー…かと思いきや、って感じの作品
嗅覚が優れているジャンが、ある日、香水調合士とであったことで「香りの捉え方」を知りたい一心でその道を歩き始める
そんな感じで前半は強欲ババアの孤児院、人間牧場な皮なめし屋、と底辺生活を送りつつ香水調合士になるまでを描いていきます
唯一の長所をいかして驚くべき才能を開花させていくわけですが、しょうじきそのままサクセスストーリーが続いてもそれはそれでおもしろかったかもしれません

で、ジャンが常人にとっての普通の成功だけでは物足りない、というか彼の目標を満たしてないってんでガラス、銅、はたまた猫の香りまで抽出しようとする
そこら辺からちょっと流れがおかしくなってきて、いっきに猟奇的な展開になっていきます
そこにいたるまでにジャンの存在が他の人にとって「無」であることが分かったり、そういった展開があるたびに「ああ、だからあのシーンは…」と納得できる、と
全体的な尺が長いわりに展開がスピーディで無駄なためがなく進むのが飽きさせなくていい感じで、猟奇的ではあるけどドロドロしすぎないのも観てて疲れない

そんな良い点をすべていろんな意味でくつがえしてくれるクライマックスが、まあ、なんというか個人的には受け入れられない
さすがにファンタジーすぎる
彼と関わってきた人たちの末路とかの描写はまあ大丈夫だけど、さすがにあの集団シーンは…ねえ
「うわ、なにこれ…」って感じでいっきに冷めた感情でながめつつ、「こりゃクソ映画だわ」と評価しようと思いました
が、まさかの想像以上のオチが待っていて、「場違いファンタジーも突き抜けてくれるとプラスになるね!」と
さすがに良作認定はできないものの、かろうじてオチでクソ映画認定はしなくてすみそうです

それでもまあ、一連のクライマックスからの流れがあまりに作品世界をぶち壊してるのに変わりはないわけですが
まっとうな映画かと思ったら、ちょっとおかしな映画だったってことでひとつ

個人的評価:60点
オススメ度:新世界の王になる!




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2010年9月19日日曜日

WEEKEND BLUES (2001/日)

監督:内田けんじ
出演:中桐孝 / 熊沢麻衣子 / 横田大吾 / 内田けんじ









長く付き合っていた恋人にふられた山本健介
寂しい週末を男友達とすごしていると、「気持ちのよくなるクスリ」をすすめられ…

自主制作の低予算映画ってことで、どうしてもチープさはぬぐえないですが、やはり脚本がよくできていて、画面の安っぽさとかだんだん観てて気にならなくなってきます
それでも「運命じゃない人」「アフタースクール」を先に観てる身としては、なんともいえない物足りなさを感じるのはしかたない、のかな
観てる側の勝手な想像で「もしかして…」と期待をふくらませては、気持ちいい感じにすかされてだまされて、すべてが分かった時には「あ、そういうことね」となる図式は同監督の他作品と同じですが、さすがにそんなインパクト値はじゃっかん低い

話的にはクスリを飲んだあと、帰宅途中からの記憶が飛んで気づいたら見知らぬ土地の路上で目をさました主人公が、気を失ってる間になにしてたんだろうってのを探っていく感じで序盤は展開します
全体的に主人公の一人芝居を観てるような、映画というより舞台の演劇を観てるような印象がある独特の「微妙な役者たち」と先が読めるような読めないような脚本が魅力ですね
しょうじきその役者たちのくさい演技に嫌悪感をおぼえるようなら合わないかもしれません

トータルで観ると本当に「運命じゃない人」の原点みたいで、完成度も過去作相応に低め
伏線がわかりやすいほど分かりやすいし、展開が二転三転してもそれほどの強烈な「やられた」と思わされるインパクトはありません
どうしようもなくクソな作品でもないし、なんとも中途半端な微妙作品でもなし、かといって諸手を挙げて褒めちぎれるほどおもしろい内容でもない
いわゆる普通におもしろい作品
リラックスタイムになにげにテレビをつけたらやってて、ボーッと観てるうちに気づいたら最後まで付き合っていたというレベル

個人的にはラストをもっともっと弾けてもらいたかった
へたに主人公に感情移入してただけに、なんともいえないすっきり感のなさが気になって仕方なかったですね

個人的評価:70点
オススメ度:こわいこと言うなよ



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2010年9月17日金曜日

悪人 (2010/日)

監督:李相日
出演:妻夫木聡 / 深津絵里 / 岡田将生 / 満島ひかり / 塩見三省 / 光石研 / 池内万作 / 井川比佐志 / 余貴美子 / 山田キヌヲ / 松尾スズキ / 韓英恵 / 宮崎美子 / 中村絢香 / 永山絢斗 / 樹木希林 / 柄本明






長崎の解体業者で働いてる青年、祐一
ある日、出会い系サイトで知り合った女性とあった祐一だったが、その女性が次の日に死体となって発見される

なんというかサイコキラーな主人公とピュアなヒロインの物語かと思ってたんですが、実際にはそんな話じゃなくでガッカリした
もっとサスペンスで悲しくて、最後に驚くべき展開が待っているものと信じていただけに、わりと普通のロマンス展開におもしろみがなかった
なんというか主軸の祐一と光代の話が古くさくて、よく言っても昼メロを観てるような感じでしたね

話的には出会い系で知り合った佳乃とうまくいかず、しかも彼女が死んだあとになって祐一を受け入れてくれる存在である光代とあう、というボタンのかけ違い的な展開
祐一の底辺男っぷりは見所ではあるけれど、一方のヒロインである光代があまりにファンタジーすぎて作品にひどく合ってない印象でした
祐一が光代にひかれるのは分かる
だけど逆が理解できないのはロマンス初心者の私だからこそかもしれません
個人的に光代という存在は、「祐一の心の支えになるべく設定されたキャラです」というプラカードを首に下げてるような形だけの死にキャラな感じしかしませんでした

それでも最後まで観れたのは祐一の周りのキャラたちの話がわりとおもしろかったからで
被害者の遺族、加害者の家族、第一容疑者になった男とその友人たち、光代の妹、それぞれが祐一の犯したことを中心に、時にはそれぞれの独自の人生を描いていってるのはいいですね
ありきたりではあるけど、同じ事件でもみる角度によって変わる様子、マスコミで報じられている真実ではないけど嘘ではない事実、ことの中心で周りをみるのとその輪の外からみる実状
なによりそれぞれの抱えたドラマがどう収束していくかが話の吸引力になって飽きさせません

ま、でも結局は期待した俺がバカでした、という感じでしたけどね
なんだろう、もっと過剰演出きかせてホントにダークな昼メロとしてやったほうが話題になってよかったんじゃないのか、と思わざるえない
つまらなくはないけど、なんともいえないそんな作品でしたね
佳乃さんのビッチキャラは大好きだけどね!

個人的評価:65点
おすすめ度:ビッチ映画




悪人 予告

2010年9月14日火曜日

ブルーノ (2009/米)

監督:ラリー・チャールズ
出演:サシャ・バロン・コーエン / グスタフ・ハマーステン / クリフォード・バナゲイル / ジョシュ・マイヤーズ








オーストリアのファッションレポーター、ブルーノ
ゲイな彼は周りに迷惑をかけつつセレブへの道を探求していく

びっくりするくらい馬鹿馬鹿しくて、下品で、寒いネタもいっぱいあって、観てて不快になるシーンもてんこもり
これをおもしろいと言ってしまったら、なんか人間的にダメな気がしないでもない、そんな作品
うん、個人的にはおもしろかったですけどね

有名人たちや業界人、その他の名のある人物たちと直接あって、本人が一番いやがる話やネタを目の前で悠然とやってのけることに対するリアクションを撮る、という内容
主人公ブルーノのゲイキャラをいかして、セレブになるために行動するという筋に強引に合わせるかたちでゲリラ取材がおこなわれます
いわゆる昔の電波少年のアポなしシリーズみたいな感じ

しょうじき序盤は観てて本当に不快になるシーンが多く、けっこう悪ふざけに対する許容範囲は広いと思ってた自分が本気でイヤな気持ちになることも
それでも合間合間のコントがいいクッションになっていて、かろうじて観続けることができました
そういう意味でも、単なる悪ふざけネタ映画ではなくて、かなり考えられて作ってる感がしましたね
基本的に相手を怒らせてブルーノがおどけるってパターンなんですが、すべてにおいてブルーノをたてるような見せ方になっていて、怒らせた相手の方がなんか「なに?顔真っ赤なの?ん?」って感じでさげすんでるような印象があります

そしてゲリラ取材といっても、ハンディカメラで隠し撮りみたいな臨場感はいっさいなく、ビッチリバッチリとカメラが物事をとらえているので、「これってコント?それともマジにゲリラ取材なの?」と思わされます
そんな作りなのでホントに観ててドキドキするようなシーンはなく、どこか作り物をみてる感じが
まあ、そんななんともいえない微妙なところも前半までで、終盤は普通のコメディとして一気に加速していき、そこから本当におもしろくなってきます
相手をバカにするようなブルーノの行動と、その相手のリアクションが楽しすぎる
ブルーノと犠牲者さんたちの距離感とか、なんともいえない会話がいいですね

なんだかんだで嫌な顔をしながらもいちおうはブルーノの悪ふざけにのってくれてる人たちの存在が本当にいい
でたとこ勝負のいきあたりばったりではなく、計算されたコメディって部分が見えてしまってるのがじゃっかんアレですが、それでも下品コメディが好きな人にはたまらない一本ですね

個人的評価:80点
オススメ度:失せろ




ブルーノ 予告

2010年9月12日日曜日

ビッグ・バグズ・パニック (2009/米)

監督:カイル・ランキン
出演:クリス・マークェット / ブルック・ネヴィン / キンジー・パッカード / E・クインシー・スローン / ウェズリー・トンプソン / レイ・ワイズ / リンダ・パーク / デボラ・ジェフナー / ジム・コディ・ウィリアムス / ブルー・ミュラー / イスメイル・カルロ / ダイアン・ゲイタ / アタナス・スレブレフ / ウラド・ミハイロフ / マイク・ストローブ





会社に遅刻する常習者で口だけ達者な男、クーパー
ある朝、ボスにクビを宣告された瞬間に意識を失い、目が覚めたら街が巨大な虫に支配されているのだった

古き良き時代の巨大虫パニックB級映画を現代の技術で作ってみたぜ、な感じの作品
現代の技術といっても過剰でリアルなCGや、派手派手なエフェクトを駆使してるわけでなく、あくまで昔ながらのしょぼさ的なイメージを大切にしてます
ひどい事態になってるのにそう感じない軽さ、濃いキャラは出てくるけど不必要にドラマ性をもたせない、深く考えたら負けなパワープレイ展開、ビッチとエロス…B級映画の要素のすべてがこの作品にはあります
B級映画B級映画っていうけど、具体的にどんなんだよ…っていう問いに対する模範解答がこの中にはあります

目が覚めたらなんか知らんけど繭の中にいて、なんか知らんけどクーパーひとりだけ繭から自力で抜け出して、なんか知らんけど他の繭の中にいる人たちを助けて、なんか知らんけどとりあえず逃げようぜって感じの流れ
というか、開始数分ですでに虫に支配された世界に移るんで、テンポもばっちり…というか早いくらい
そこからしょぼい虫としょぼい戦いをしつつ、仲間がしょぼい死に方をしていって、生き残ったしょぼい面子で逃避行がはじまるわけで

基本的にでっかい虫たちは人間にちょっかいだしてきて、どこぞへと連れて行ってしまうという行動をとります
つまり、首ちょんぱとか体を貫かれたりとか溶液でどろどろにされたりとか、そういった戦闘能力的な怖さはいっさいありません
一部の寄生体は攻撃的ですが、たいがいは謎のでっかい虫が群れて襲ってくる恐怖によるパニックですね
で、その寄生体もどう考えても虫の足が生えたゾンビにしかみえなくて、本当に一粒で何通りものB級テイストが味わえます

そしてなんやかんやの結果、ラストバトルに向かう生き残りのメンバーなんですが、その最終面子がむさくるしいにもほどがある
野郎たちでチャリにのって敵地に乗り込むとかどういう画だよ(褒め言葉)
しかもそのラストバトルがしょぼいことしょぼいこと(褒め言葉)
あとはオチがもうスカッとするほどどうしようもない(褒め言葉)
このての内容にありがちなオチをもってきつつ、そこは「分かってるんだぜ」みたいなちょっとだけひねた演出が素敵です
むしろこういった終わり方のほうがすがすがしささえ感じます

軽い気持ちで観たら予想以上にB級的なおもしろさ満載で、観たあとになにも残らない後味のよさもよかったですね
本当に深く考える方がバカをみる、そんな映画でした

個人的評価:70点
オススメ度:作られたしょぼさ感は否めない




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2010年9月11日土曜日

コララインとボタンの魔女 (2009/米)

監督:ヘンリー・セリック
出演:ダコタ・ファニング / テリー・ハッチャー / ジェニファー・ソーンダース / ドーン・フレンチ / キース・デヴィッド / ジョン・ホッジマン / ロバート・ベイリーJr. / イアン・マクシェーン







田舎のアパートに越してきた少女コララインとその両親
その家のある部屋の壁には鍵のかかった小さな扉があるのだった

一コマずつ撮っていってアニメーションさせるストップモーションアニメ
フレームスキップするぎこちなさと、CGではないドールっぽい暖かみが特徴的です
最初は「これはよく撮ってるな。めんどくさいだろうな」と技術的な面をみて楽しんでいたものの、短編ならまだしも長編なのでだんだん慣れてきてじょじょに物語に集中していけます
パッケージ絵がちょっとアレな感じですが、実際に動いてるキャラをみるとかなり魅力的に描かれてます
それでもけっこう日本人のセンスの外っぽいデザインなんで、このヒロインのコララインがかわいく見えるなら楽しめるでしょう

ストーリー的にはわりとありがちで、現実世界からファンタジー世界に迷い込んでおもしろおかしいことがおきつつ、最後は試練に立たされるみたいな王道ファンタジー
その不気味な世界観と表と裏の住人のキャラ性を楽しむのがこの作品のすべてかもしれません
とにかく雰囲気が童話的というか、絵本的というか、じゃっかん教訓めいた展開ながら、そんなに説教くさくないんで小さな子供でも普通に観れるでしょう
まあ、小さな子供たちがこのキャラデザインを受け入れられるかどうかはしりませんが

劇中設定で人形だって分かってても、それが壊れて中身がボロボロでてくる描写はちょいグロイ
さらにヒロインが素手で虫を叩きつぶしたり、登場人物がココアゴキブリをかじったり、ナメクジで遊んだり、虫系が苦手な私としてはちょい気分が悪くなるシーンもありましたね
そんなとこ以外はわりと可もなく不可もなく丁寧で優等生的な作り
それゆえに突き抜けた何かがないのが物足りないけど、へんに奇をてらって柄にもないものを足されるよりマシですが

あまりに王道すぎる内容ですが、それを制作側も分かっててきちんと作ってる感があって、最後まで飽きないで観られました

個人的評価:80点
オススメ度:最初の井戸探しはなんだったのか




ココラインとボタンの魔女 予告



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2010年9月10日金曜日

ラブ・アクチュアリー (2003/英・米)

監督:リチャード・カーティス
出演:ヒュー・グラント / リーアム・ニーソン / エマ・トンプソン / アラン・リックマン / ビル・ナイ / コリン・ファース / ローラ・リニー / マルティン・マカッチョン / キーラ・ナイトレイ / ローワン・アトキンソン / アンドリュー・リンカーン / グレゴール・フィッシャー / ルシア・モニス / ロドリゴ・サントロ / トーマス・サングスター / オリヴィア・オルソン / ハイケ・マカチュ / マーティン・フリーマン / ジョアンナ・ペイジ / キウェテル・イジョフォー / クリス・マーシャル / アブダル・サリス / ビリー・ボブ・ソーントン / シェンナ・ギロリー / イワナ・ミリスビック / ジャニュアリー・ジョーンズ / エリシャ・カスバート / クローディア・シファー / シャノン・エリザベス / デニーズ・リチャーズ


クリスマスを間近にひかえて浮き足立つ世間
そんな中、立場も世代もことなる男女がそれぞれの愛をつむいでいく

ふだんはあまり観ないロマンス作品ですが、そういうものを手に取る時もあるわけで
というか、ロマンスはロマンスでもかなりファンタジーが入っているんで、リアル路線の愛がうんぬんラブラブちゅっちゅな気持ち悪い…じゃなくて、濃厚なロマンスとは違ってライトな作りなのでそっち系がダメな人でも楽しめるかもしれません
けっこうジーンとくるドラマ性もあるから、どこぞの恋人が不治の病にかかってしまってそれでもお前を愛してるなジャップロマンスよりは数段おもしろい

開始からいきなりワーっとそれぞれのキャラのプロローグが慌ただしく展開し、しょうじき序盤はごちゃごちゃしすぎてイマイチのりきれない感じ
このキャラがこうで、とつかめてくる中盤からやっとおもしろくなってきます
個人的には言葉の壁がある作家と家政婦の話が好きでしたが、けっこうなロマンスが同時に展開していくんで、誰かしらどのキャラかのドラマは気に入るかもしれません
よくも悪くもクリスマス映画なので、細かいことを気にせずにそれぞれの愛の形を傍観してあげるのが正しい楽しみ方かな、と

バラバラに展開するドラマとキャラ模様、しかし実は水面下では各個人がつながっていて、最後にきれいに結びつく
という内容なようで、微妙にそうでもないのがなんともいえないところ
人間関係がつながっているといえばそんなところもあるんですが、かなり強引でまとまりがないまとめ方をどうとらえるかで作品の評価が大きく変わってくるかもしれません
「なに、これパワープレイすぎて、ぜんぜんきれいにまとまってないじゃん」という見方も理解でしますし、一方で「クリスマス作品としてのパーティ映画なんだから細かいこと言うのは野暮」という見方も理解できます
個人的には後者で、どれか共感できたり楽しいと思えるキャラとドラマが見つかったならそれでいいのかも、という感じでした
それでもかなりまとまりがないというか、とりあえずの愛の形の寄せ集めを無造作に目の前に置かれた印象はぬぐえませんが

英国首相の米国に対する本音トークはあまりにファンタジーすぎるし、米国に渡った下半身脳野郎の話もアレでしたが、それ以上に素敵な話も用意されているので、ライトないい話を楽しむには十分な一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:すべての愛が実るわけではない現実




ラブ・アクチュアリー 予告



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2010年9月7日火曜日

ねらわれた学園 (1981/日)

監督:大林宣彦
出演:薬師丸ひろ子 / 高柳良一 / 長谷川真砂美 / 手塚真 / 船木浩行 / 高橋克典 / 宮寺和彦 / 杉本智孝 / 眉村卓 / ハナ肇 / 千石規子 / 檀ふみ / 峰岸徹







進学校の第一学園に通う優等生の三田村由香
ある日、彼女は不思議な超能力に目覚めたことで、謎の男が率いる組織につきまとわれるのだった

あるていどは噂で聞いていたんで、どんなにひどい映画かと楽しみに観たわけですが…思ったより普通に観られて拍子抜け
まあ、それでも普通にひっどい内容ですけどね
でも個人的にはこういう濃厚な昭和臭がするおちゃらけ日常コメディ展開は大好物なんで、そういった面では苦になりませんでした

今の映画ではありえない昭和ならではのダイナミックでひどい演出が楽しい前半の学園ドラマパート、そして超能力をめぐって一気に話が超展開する後半のSFパート、どっちもおもしろかったですね
現代の作品でやられたら「はあ?」と冷静にツッコミつつどん引きするような寒いギャグも、昭和ってだけですべて許せるから不思議
死語を死語として使ってるんじゃなく、当時のはやりの言い回しとして当たり前のように使ってくれるんで、なんとも懐かしい響きの言葉が多くて楽しい
「ああ、そんな言い回ししてたわ」みたいな

ヒロインの薬師丸ひろ子こと、ひろ子の田舎臭い魅力もアレですが、とりあえずこの映画の全ての魅力は謎の男につきますね
ヒロインにつきまとう謎の男、英光塾塾長、星の魔王子、そして地球を粛正するためにやってきた金星からの使者…色々な呼び方や肩書きがありますが、超有名なこの姿と名乗りが全てを語ってます


「私は宇宙だ!」





もう、ね、何も語る必要はないですね
素敵すぎる

超能力とはなんだったのか、金星人とはなんだったのか、そんなツッコミは野暮でしかありません
ラスボスが宇宙で、最終決戦に向かうヒロインがパジャマ姿というだけでデリケートな部分がたぎらざるえない
まあ、内容はひどいですけどね
かなり、ひどいですけどね
でも宇宙なら仕方ないじゃない

個人的評価:60点
オススメ度:金星を見るたび思い出せ




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2010年9月5日日曜日

Vフォー・ヴェンデッタ (2005/米・独)

監督:ジェームズ・マクティーグ
出演:ナタリー・ポートマン / ヒューゴ・ウィービング / スティーブン・レイ / スティーブン・フライ / ジョン・ハート / ティム・ピゴット・スミス / ルパート・グレイヴス / ロジャー・アラム / シニード・キューザック / ナターシャ・ワイトマン / ジョン・スタンディング / エディ・マーサン






第三次世界大戦の後、強大な力をもったイギリスはサトラー議長のもとで国民を徹底的にコントロールする政策を実行した
そんな政府に異論を唱える仮面の男「V」が復讐の刃をもって立ち上がるのだった

いわゆるダークヒーローものなんですが、その微妙なVの仮面をかっこいいと思えるかそうでないかで大きく印象が変わるかもしれません
個人的には「アリ」ですが、しょうじきダサイという意見も分かる気がするのも確か
内容的にはかなり薄味の巌窟王な感じで、なんか大作を観てるようで物足りないなにかをおぼえる…そんな作品

秘密警察や政府の要人に対して刃をふるう一方で、民衆をあおって現状のサトラー支配体制とかどうよ、という活動をしていくVさん
そんなVさんの活動中に巻き込まれてしまったヒロインと、Vさんのことを調べるうちに裏事情を知っていくことになる刑事のふたりの行動を追うことで話の全体が見えてくるという感じ
近未来だけどごてごてしてるSFチックさがない世界観と美術、登場するキャラたちの設定、そしてVさん、そこら辺はかなりよくできてるなあ、と
まあ、しかしながら、見所はそんなスタイリッシュな外見だけで、中身はけっこうスカスカな印象はいなめない

世界観はいいけど、どこか箱庭的で外に対する広がりが言葉による説明だけみたいな気がしましたね
実際にそこにある、という実感がないというか
それゆえかどうかは知らないですが、Vさんの目的がかなりしょぼく見えるのは私だけではないはず
というかVさんの行動があまりにアレすぎる
パワー系のヒーローなのか、策士系のヒーローなのか、もっときちんと色を決めた方がいんじゃないかなと
なんか壮大な策をろうしているようで、なんか大事な部分ではパワープレイにはしるVさんとか見てて魅力をあまり感じない
敵に囲まれ大ピンチって時に知略をもって逆転する頭脳戦をするでもなし、かといって超絶アクションでガードの堅い要人をぶっ倒していくわけでもない
見た目は別として、一言でいえば微妙なキャラ

ラストの展開にしてみても本当に観てる時は盛り上がるんだけど、ずべてが終わったあとに「で?」って言いたくなる
ここもまた復讐か革命か、もっとどっちかによった展開にした方が個人的には好みかもしれません
自分以外のすべてを駒とみたてて孤独に冷徹に復讐をとげるVさん、もしくは自身の復讐を反面教師として民衆に意識改革をおこさせるVさんを期待していただけに、けっこうもやもやしたものが最後まで残りました

作品じたいの上辺の見た目だけを楽しむ分にはおもしろいですが、ドラマとして観るとなんか物足りない、そんな作品でした

個人的評価:65点
オススメ度:Vとはなんだったのか…




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