2010年11月30日火曜日

11月のこれ一本

月日がたつのが早いね
代わり映えのない毎日だね
そういうことをあえて言わない大人になりたい昨今
僕にはちょっとハードルが高い目標じゃねえの、と思わざるえない現実に今日も鼻ほじりながら屁をはなってパソコンの前で猫背スタイル
かなり私的なことながら来年からの会社の方針を考えると気が滅入ってくるわけですが、まあ、アレですよ、仕事が人を変えるってことで

今月はそんなわけで「レポゼッション・メン」
しょうじき他にこれといったものがないのもありますが、そんな中でも観てて気持ちよかった作品といったらこれ
内容うんぬんというより、作り方が個人的に好みな作品でした

最近はなかなか平日映画にもいけなくなってきてるわけですが、それはそれとして映画館の受付のお姉さんよ、一人映画のおっさんに向かって「おひとりさまでよろしいですか?」はダメージが大きいんでやめてください
おまえの目の前に何人たってるように見える?
そもそも一枚って言ってるじゃねえか、ああ?
そんな自分の気持ちを素直に言葉にだせるキレる大人になりたい…とは思わない

2010年11月29日月曜日

ホテルゾンビ (2004/米)

監督:マシュー・ルートワイラー
出演:エバー・キャラダイン / ブレント・デヴィッド・フレイザー / ビアンカ・ローソン / ジェフリー・ディーン・モーガン / エリック・パラディーノ / オズ・パーキンス / ジーナ・フィリップス / ジェレミー・シスト / デヴィッド・キャラダイン / ディードリック・ベーダー / ミランダ・ベイリー / ヴィンセント・ヴェントレスカ / マーク・ケリー / ポーシャ・デ・ロッシ / ザック・セルウィン




友人の結婚式に出席するために車を走らせる6人の若い男女
道に迷い、小さな町で一泊することにしたのだが、泊まったホテルで殺人事件がおきてしまう

いやあ、まあ、なんというか、やっばいくらいにクソつまらない
基本はコメディなんですが、びっくりするほど笑いがない
ホラーとコメディってけっこう相性がいいはずなのに、けっこうてきとうにブレンドしてもそれなりなできになるのに、絶妙なバランスでそのセーフティゾーンから外れてどうしようもない作品にできあがってます

序盤は殺人事件がおきてうんぬんって展開で、ここからどうホラーにシフトしていくのか楽しみな空気があるんですが、いざゾンビもどきがでてきた途端にグダグダに
なまじ序盤を殺人事件なミステリっぽい展開で引っ張ってるだけに、本題であるゾンビパートがかなりうっすい内容になってしまってます
ここでもバランスがおかしいことになってる実情

コメディパートとホラーパートのバランスがいちばんアレで、もうどっちにしても中途半端すぎる
コメディにしてはギャグがいちいちさむい、ホラーにしても盛り上がりとかいっさいないままグダグダとゾンビもどきがホテルを襲うだけ
ゴア表現はそこそこだけど、いかんせん内容がダメすぎる
で、コメディ部分もあるだけに狙ってるところとは別のところがおもしろい素敵ポイントすらない
ただひとつおもしろかったのは、主要なキャラがしょうもないタイミングでしょうもない死に方していくのだけはよかったですね
おいおい、こんなタイミングでまたしょうもない死に方するなあ、みたいな

そんなしょうもない作品を観て、困難ないいとこ探しをするのもまた一興…と言える心の広い大人になりたい

個人的評価:5点
オススメ度:エンディング曲だけ聞けばいい




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2010年11月28日日曜日

レポゼッション・メン (2010/米)

監督:ミゲル・サポチニク
出演:ジュード・ロウ / フォレスト・ウィティカー / リーヴ・シュレイバー / アリス・ブラガ / カリス・ファン・ハウテン / ジョー・ピンギー / チャンドラー・カンタベリー / イヴェット・ニコール・ブラウン / ライザ・ラピラ / RZA / ターニャ・クラーク / ウェイン・ウォード







ユニオン社により人工臓器の開発が進んだ近未来
高額な人工臓器の支払い滞納者から、その場で強制的に臓器を回収する回収屋レミーは、家庭の事情もあり配置換えを考えていたのだが

バリバリのSFくさい内容かと思ったらそうでもなく、斬新な内容かといえばそうでもない
オチもそう驚くものじゃないんだけど、作り方がひじょうによくできてる作品だな、と思いました
ハードでシリアスな展開の中にわりとユーモアがちりばめられていて、わりと退屈な話の流れの中で飽きさせないような感じになってますね

話も凄腕回収屋のレミーが相棒といっしょに人工臓器の取り立てをする毎日が序盤で描かれます
強制的に体を切り開かれて回収されるわけですから、もちろん相手は死ぬ運命に
そんな日々の中でレミーの妻は夫のその仕事を快く思っていなく、配置換えをしてくれとさんざん夫に苦言をはく
回収屋をやめる決心をしたレミーは最後の回収の仕事の最中にアクシデントにあって、半ば強制的にユニオン社の人工心臓保持者になってしまう
社の裏事情を知る身だけに拒否反応が強く、高額なローンを払うために回収屋もやめられず、という中、回収屋に復帰するもまったく仕事に身が入らなくなってしまう、と
まあ、で、あれこれあるわけですが、ようするに凄腕のハンターだった主人公が、逆に狩られる側に落ちていくというわりとよくある話

よくある話、というだけにホントに中盤の展開が中だるみぎみで、しょうじきこのまま普通の地味映画で終わっちゃうんかなあ、と心配もしました
それでも所々で入るレミーの過去の回想とか、かぶりものとか、外科医の「イエーイ」とか小粋でシリアスな流れをいい感じにはずしてくれるユーモアが楽しいので、なんとか見せ場のクライマックスまで乗り切れましたね
いや、ホントにこのクライマックスバトルが楽しくて楽しくてずっとにやにやしながら観てましたよ
根性ある社員と工具バトルとか、どんなバカが考えたんだよ(ほめ言葉)
その後の痛いスキャンシーンとか、なんというか普通の終わり方はしねえぜ的な展開が個人的にはツボでした

そして問題のオチ
これは確実に賛否両論あるだろうなあ、と
ありがちといえばそうなんだけど、個人的にはここまで積み重ねてきたユーモアのある展開があったからこそ、このオチは「アリ」だと思いますね
シリアスいっぺんとうだと、途中で先が読めすぎてダレるけど、こういう作風だからこそオチが生きてるという印象が強い
このクライマックスからの一連の展開があったからこそ、個人的には高い評価を与えざるえないですね

ま、それでも内容的に地味で中だるみっぽい所は隠しきれないので、オチも含めて万人にはオススメできない作品かもしれませんが
そんなわけで、ホントに個人的には楽しかった一本でした

個人的評価:80点
オススメ度:仕事が人を変える




レポゼッション・メン 予告

2010年11月27日土曜日

ジャーマン・ゾンビ (2004/独)

監督:アンドレアス・ペイジ
出演:アンドレアス・ペイジ / オリヴァー・ケーリック / ボリス・ハンスマン









あるパーティの最中、配管から吹き出した謎の液体
それをあびた人たちはたちまちゾンビ化してしまうのだった

いやあ、やっぱりドイツといえばゾンビ、ゾンビといえばドイツですよねえ
ドイツで撮られた純正ドイツ産ゾンビ映画だからこそ許される、ひじょうにひねった小粋な邦題です
ということで、ね、もうこのネタはこれ以上ひっぱりませんよ
他にもゾンビで引っ張ればいろいろありますが、ほら、なんというか精神衛生的にアレですし
そんな精神的にアレな内容なのがこの作品
とりあえずホームビデオ風の画質で全編通してるんですが、もちろんハンディカメラ演出をねらったものではなく、単に予算の問題ってやつでしょう

話的にはゾンビ化がおこったパーティ会場から逃げのびた男たちが、その元凶である液体の開発者とともに「化け物ぶっ殺すぜ!」って感じでゾンビ狩りをはじめる感じ
ええ、普通のゾンビものと違い、アグレッシブに逃げることなくバトルをふっかけていきます
しかし、小さな町とはいえ序盤ですぐに三人だけになってしまう主人公たちが、すでに水道水にもゾンビ化の液体が混じってる状況の中、ちまちまとゾンビ狩りしたところで…
そんなことはまったく考えつかないのか、他にも事態を公表するなりやりようがあるにも関わらず、ストイックに三人でちまちま狩りを続けます

そんなバトルのポリシーも素敵ですが、それ以上に素敵なポイントがあまりに雑すぎる編集ですね
カメラワークはハンディカメラにしてはがんばって色々と切り替えつつ、それっぽく見せてはいるんですが、肝心の映像ソースがちょっとアレ
車で走るシーンはカメラを乗せた撮影者が微妙に映り込んでるし、局部をアップにしてスプラッタ演出をするシーンでも微妙に人形にしか見えない部分まで映り込んでます
映像を加工する技術も予算もないのか暗いシーンは暗いままで放置
役者の芝居にいたっては理解できないことを表すために人物の頭の上に「?」のマークが字幕で挿入されます
やだ、なにこのクソB級映画

ストーリーはありきたりではあるけど、きちんとゾンビ化のはじまりを描いてるし、終わり方もゾンビのリーダーをだすことでいちおはキレイに終わってはいます
ええ、このリーダーはちゃんと倒しきれなくて…っていうお約束はありますが、それでも物語としてはなんとなく片付いてるから、そこらだけは評価できる…と思いたい

そんなわけで思った以上のクソっぷりに逆にテンションがあがったこの作品、たまにはこういうのもいいですね

個人的評価:10点
オススメ度:性欲のあるゾンビとか




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香港ゾンビ (1998/香港)

監督:ウィルソン・イップ
出演:ジョーダン・チェン / サム・リー / エモーション・チェン / アンジェラ・トン / ライ・ユー・チュン









ショッピングモールのDVDショップで働くふたりの男モーディとビー
ある日、ふたりは夜道で男を車ではね、なんとか息のあったところに謎のジュースをのませてしまい…

いやあ、やっぱり香港といえばゾンビ、ゾンビといえば香港ですよねえ
香港で撮られた純正香港産ゾンビ映画だからこそ許される、ひじょうにひねった小粋な邦題です
なんというか全体的に若気の至り臭というか、かなり荒削りなんだけど憎みきれない、そんな雰囲気のある作品です
ホラーというかゾンビというか、主役ふたりのかけあいと出てくる他のキャラとの絡みをコミカルに描いてるところが見所な作品ですかね
じゃっかん口だけでヘタレな兄貴分のモーディとバカだけどそれだけにまっすぐな性格の弟分ビーが出会った奴らとケンカしたり、女にちょっかいだしたり、時には悪さなんて生やさしい犯罪行為にはしったりする日常の中に唐突にゾンビという存在が分け入ってくるみたいな

オープニングはけっこういいんですが、そこからしばらくふたりのかけあいだけ続くからゾンビものを楽しみに観てると肩すかしをくうかもしれません
やっとゾンビが登場しても安っぽい上に、中途半端なエフェクトをかけてくれるおかげで逆にチープさが増してます
ショッピングモールが舞台とはいえ、実際には中に主人公たちを含めて30人ほどしかいない状態でゾンビ化が広がっていくので阿鼻叫喚なパニックシーンはない

しょうじきしょうもないゾンビ映画ではありますが、寿司屋とか最低夫とか結局は金ビッチとか良キャラが多いから観てて飽きません
終盤のゲーム的な演出はちょっとアレですが、「ゾンビは頭を撃ち抜く」という敵の弱点をゾンビガンシューティングゲームから思いつくのはおもしろかった
たいていの映画では暗黙の了解としてゾンビの弱点を頭(脳)であるとみんな知ってるというのがままあって、それに比べればいちお頭をつぶすという手段を乱暴ながら思いつくのは好印象

あとはラストのオチ
これは思った以上にいいですね
けっこうこれが描きたくて作られた作品なんじゃないかと一瞬おもいました
そんな基本はどうしようもない内容ながら、けっこうラストはいいという不思議な感じの一本でした

個人的評価:60点
オススメ度:ゾンビだってジュースも飲みたいし寿司も食いたい




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2010年11月25日木曜日

パキスタン・ゾンビ (2006/パキスタン)


監督:オマー・カーン
出演:アシュファク・バッチ / スルタン・ビラ / オスマン・カリド・ブット








一台の車に乗り合わせてライブ会場へと向かう若い四人の男女
その道すがら地上の地獄と呼ばれる場所に入ってしまい…

いやあ、やっぱりパキスタンといえばゾンビ、ゾンビといえばパキスタンですよねえ
パキスタンで撮られた純正パキスタン産ゾンビ映画だからこそ許される、ひじょうにひねった小粋な邦題です
というわけでゾンビスレであがってた作品その3
…というか、これ、ゾンビ映画か?
冒頭からの展開をみてもどう考えても殺人鬼もののノリで、んでもってやっぱり殺人鬼ものでした
うん、いちおゾンビは出てくるんだけど、こういうゾンビと殺人鬼ものを合わせた作品は珍しいかもしれません

しかもゾンビはゾンビでひとつのすじで話があって、殺人鬼は殺人鬼で独自の話がある
たまたまゾンビと殺人鬼が同じ場所にいるってだけで、別に共通の因果的なものはなにもないってのが斬新ですね
ようするに殺人鬼がいる場所に迷い込んだら、近頃そこはゾンビも徘徊する場所になっていた、みたいな
ゾンビの出番はびっくりするくらい短いですが、けっこう気味の悪い存在感を残してくれるので、無駄な存在にはなってませんね
ゾンビと殺人鬼に同時に襲いかかられてどうしましょ、って展開とかあれば神がかった内容になったかもしれませんし、そうでもないかもしれません
ほんとにゾンビは作品の味付けみたいなポジションで、メインは殺人鬼さん

この映画もへんてこな空気感を楽しむタイプで、もう冒頭のテーマソングからして「ちょっと頭おかしくないッスかね」と言いたくなります
パキスタンという見慣れない土地の情景とかなんやら新鮮で、またBGMが毒々しくて素敵です
ホラー演出としては驚くところもないけど、これといってダメすぎる点もないんで、観てて苦痛にはなりませんね
じゃっかん殺人鬼側の状況が分かるような分からないような捉えづらいところはありますが、ストーリーなんて気にする内容じゃないんで

そんな感じでこれもちょっと変わったのが観たいって人にはピッタリな作品かもしれませんね
おもしろいかどうかは別として

個人的評価:60点
オススメ度:マジもんのフレイルってあんな感じなのか




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2010年11月24日水曜日

ギリシャ・ゾンビ (2005/ギリシャ)

監督:ヨルゴス・ノウシアス
出演:メレティス・ゲオルギアディス / ペピ・モスコヴァコウ / アルギリス・タナソウラス








工事現場で働く三人の男たちによって発見された洞窟
そこから帰った男たちは急に人を襲い始めるのだった

いやあ、やっぱりギリシャといえばゾンビ、ゾンビといえばギリシャですよねえ
ギリシャで撮られた純正ギリシャ産ゾンビ映画だからこそ許される、ひじょうにひねった小粋な邦題です
というわけでゾンビスレであがってた作品その2
タイトルで損をしてる実はけっこうおもしろい作品だった「ネズミゾンビ」とまたおもむきが違って、これはギリシャという土地のゾンビというなんか物珍しい感触を味わえるというもの

しょうじきゾンビ映画としてみればアレな感じですが、ほら、なんかギリシャってだけで心が躍らざるえないじゃない
話的には急速にゾンビ化が拡大していって、街でわずかな生き残った男女が逃避行を続けるって感じのありふれた内容
その逃避行の中で軍が壊滅状態であること、避難命令が出たこと、しかしすぐに閉鎖されて逃げ場がなくなったことが分かり、どんどん状況は絶望的になっていく、と

そんなありふれた展開なのに、なんか憎みきれないところがあるのがポイントですね
2000年代に作られたとは思えない画質の古くささ、そのくせ背伸びして凝ったことをしようとしてすべってるカメラワーク、雰囲気とかいっさい無視した独創的なBGM、それだけでもなんか楽しくてしょうがないですね
さらにゾンビとのバトルも素敵で、まるで粘土細工のようにパンチひとつで首がもげたり、胸を貫かれるゾンビさん
刃物系の武器なんか使った日には胴体だろうが頭蓋骨だろうがバターのようにさっくり切れます
ええ、もちろん主人公たちは達人でもなんでもなく、ほとんど全員ふつうの素人さんたちです
14歳の女の子にいたっては首の骨を後ろからぐりっと軽くねじ折ってしまいます

それ以外にもツッコミどころという素敵ポイントが豊富に用意されていて、作り手の「こうしたい」という思惑がもろわかりな感じで離脱&再加入する人がいたり、演出的な効果だけを狙って脈絡もなく話が展開していくさまは逆にすがすがしいですね
特にラストのありえない所に自ら逃げ込んでいくシーンは「おまえその画を撮りたかっただけちゃうんか」と言わざるえない

とはいえ、ホラー面でのグロさとかはけっこう力がはいっていて、安っぽいながらもクソ以下にはなってないですね
完全に安心して観られるという感じではないものの、嫌々ながら付き合ってる感がなくて普通に最後まで耐えられる、なんとも奇妙な魅力のある一本でした

個人的評価:55点
オススメ度:泣きわめき担当のガキとか…いや、なんでもない




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2010年11月21日日曜日

ネズミゾンビ (2006/米)

監督:ジム・マイケル
出演:ニック・ダミチ / アントン・ペイガン / キム・ブレア / ロン・ブライス / ラリー・フライシュマン / ルー・トーレス / ティム・ハウス / ジョン・ホイト / デビー・ロコン







クローム社によって都市開発が進められたマンハッタン
とつじょとして大量発生したネズミとともに謎の事故が連続発生するのだった

某ゾンビスレをながめていたら先人さんの目にかなった作品がいくつか列挙されていたので、自分で地雷を踏む手間が省けるね、っていうなまけ根性を丸出しで借りてきました
まあ、なんというか、いや、これホントに普通におもしろいですね
「ネズミゾンビて、おまえ」と誰もが思うところですが、ぜったいにタイトルで損してる

都市開発が進む中でネズミが大量発生し、主人公たちがすむボロアパートにもその脅威がせまる、と
細かい説明はないですが、人工的な都市開発の部分での環境汚染と破壊によってネズミが未知のバイオ的な感じのウイルスを保持したまま暴走
ネズミに咬まれた人間は死してなお行動し、姿もふくめてネズミ化してしまう
人間サイズのネズミ風の姿ということで、食べ物もより大きなものとして感染してない人間が必要になって人を襲い始める
ウイルスが未知って所はアレですが、ゾンビ化の広がり方っていう部分はわりと考えられて作られてますね

キャストがあまりに地味ですが、撮り方はとにかく本格的で低予算であることを作り手がじゅうぶん承知していて無理な背伸びをしてないのが好印象
最初はささいな事故、そしてやがてマンハッタンを完全封鎖という状況にまで発展していくんですが、その過程をテレビのニュースというのを使ってよく表現してます
実際に封鎖しているシーンを映し出すことなく、状況だけをうまく描くことでキチンと伝わってくるんですね
金はないけど見せ方ひとつでがんばってる印象

あとこれはポリシーなのか予算の問題なのか知りませんが、このてのゾンビ映画のわりに銃がいっさい出てこないんですよね
バトルじたいがひかえめで、どっちかというと逃げ隠れることがメインではあるんですが、それでもどうしても戦う場面では格闘かバットで殴るって感じ
元軍人がごろごろ出てくるってのに銃撃戦がないってのはちょっとした違和感がありましたね

そしてラストもまたいいんだ、これが
いい、っていうより悪いって感じかもしれませんが、けっこう深い
最後の最後で助かった人、助からなかった人、そこら辺の描写が実は事前の伏線を考えると「あれ、もしかして…」ってなります
助からなかった人の方はわりと分かりやすいですが、助かった人も普通に助かったとも考えられるけど直前のもみ合いのやりとりを思い出すと…ね
微妙に後味が悪いだけのオチってだけでもないのが個人的におもしろかったですね

個人的評価:80点
オススメ度:これだから家ネコは




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2010年11月16日火曜日

9〈ナイン〉 9番目の奇妙な人形 (2009/米)

監督:シェーン・アッカー
出演:イライジャ・ウッド / ジョン・C・ライリー / ジェニファー・コネリー / クリストファー・プラマー / マーティン・ランドー / クリスピン・グローヴァー / フレッド・タタショア / アラン・オッペンハイマー / トム・ケイン / ヘレン・ウィルソン








人類が滅び去った直後の世界、小さな機械仕掛けの人形がある家の中で目覚める
背に9と書かれた人形は、外の世界で2と書かれた同じ人形に出会うのだった

CGアニメのこの作品、人類滅亡後に機械仕掛けの人形が動き出すという、なんかどっかでみたことある設定です
ですが、人形の見た目がコミカルな以外はかなり重い作風になってます
もっと明るい話かと思ったら、そうでもなかったですね
いや、まあ、物語の目指すところは明るい場所なんですが、重苦しい空気の中に射し込むひとすじの光明みたいな感じで、パッと晴れやかな明るい話にはなっていきませんでしたね

目覚めた9が2と出会うんですが、そこに猫型のロボット(青いやつではない)が襲いかかってきて2がさらわれてしまう
怪我をした9を助けてくれた新たな仲間の5と知り合い、さらに他にも同じナンバリングされた仲間がいることが分かり、隠れ家に連れて行かれます
そこで2を助け出そうと行動するんですが、まあ、いろいろあって大変な事態になってしまう…と
話じたいはそうでもないんですが、雰囲気とCGアニメであることにおごらない映画的なカメラの撮り方がおもしろいポイントかもしれません
ようするに雰囲気映画

主人公たちナンバリングされた人形が、街を徘徊する主人公からみれば巨大な機械の獣ビーストと戦うお話なんですが、人形だからって安心できないところがありますね
普通に人形でもやられる上に、どんどん敵のビーストがえぐい攻撃をしてくるようになります
コミカルな造形の人形にだまされて子供にみせると軽いショックを受けるかもしれません
安心安全を徹底管理されたCGアニメより、こういう重い展開のあるものの方が逆に小さい頃に観ておいた方が将来は立派に育つ…かどうかは知らん

ラストもハッピーエンドっぽく終わるんですが「いや、マジでこれからどうすんのよ」と思わずにいられない
明るい未来よりも、これからについての不安の方が強く感じてしまいましたね
そんなわけでじゃっかん重々しいままにはじまってそのまま最後まで続く空気感、その雰囲気にあえばかなり楽しめる作品かもしれません

個人的評価:80点
オススメ度:誰も死なせないフラグ




9〈ナイン〉 9番目の奇妙な人形 予告



2010年11月14日日曜日

彼岸島 (2010/日)

監督:キム・テギュン
出演:石黒英雄 / 渡辺大 / 水川あさみ / 山本耕史 / 弓削智久 / 森脇史登 / 足立理









仲間とともに普通の高校生活を送っていた明に、ある日、謎の女性が行方不明の明の兄の居場所を知っていると言って現れる
明の兄は地図にのっていない島で吸血鬼と戦っており、その手助けをしてほしいと女性に頼まれるのだった

うすっぺらいJホラーかと思ってたら、なんか少年マンガなノリのアクション映画だった…
うーん、まあ、なんというか、なにこれ?ん?とりあえず言えるのは、なにこれ?
夏休みによくある子供向けのライトな怪奇映画のグロさを増した感じの印象が強いですね
ドキドキもワクワクもすることなく、常に平坦な気持ちで寒い演出と台詞に「あー、早く終わってくれねえかなあ」とぼやきながら観るのが正しい鑑賞スタイル

主人公の明に行方不明の兄貴の居場所知ってるし、と謎の女が接触してきて、なんだかんだしてるうちに明と不快な仲間たちが吸血鬼と遭遇&バトル
吸血鬼について深いツッコミも思い悩みもないままに、吸血鬼だらけの島に兄貴を助けに船出する一行
いや、まあ、話は早くていいけど、ほら、吸血鬼だよ?最近の高校生は吸血鬼ごとき日常茶飯事ですか?もっと脅威を感じてもいいんじゃなくて?

そして、この映画のもっともアレな部分がすべてにおいて中途半端なところ
一行のリーダー格で男気を見せるケンちゃん、だけど序盤だけであとは完全に空気化してしまうケンちゃん
いい感じで明たち一行のどろどろした仲間割れイベントが勃発するも、ポンちゃんがああなって以降は特になにがあるでもなく、絆を深めるイベントがあるでもなく仲良しさんに戻る
明の兄貴が出てくると、主人公が明なのか兄貴なのか演出がブレブレでどっちつかずでそのまま最後まで流れ込む
出てきただけ感がバリバリな師匠とレジスタンスの面々
いや、なにこれ?この映画はいったいなにがしたいの?

拷問イベントと仲間割れイベントをもっとダークに描けば楽しくならんでもなかったかもしれないですが、血がどばどばでる作品のわりにあまりに重い展開は嫌う作りみたいですね
オニとかでてきて「おお」と思えるところもあるんですが、全体的に軽い薄いブレてるという負の印象が強すぎてどうにもならない
そんな作品でも個人的にはかまわないんですが、それならそれでもっと突拍子もない素敵ポイントがほしいわけで
あんまりにひどすぎて、かえってそのひどさをツッコミながら観るという楽しみすらできない平坦さなので、なんとも

そんなわけで、なんともいえない…ダメな意味でなんともいえない作品でした
あ、これだけは言える
時間を返してくれたらうれしいな

個人的評価:30点
オススメ度:どこら辺が吸血鬼との戦い方、の修行だったのか詳しく




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2010年11月13日土曜日

ニンジャ・アサシン (2009/米・独)

監督:ジェームズ・マクティーグ
出演:Rain / ナオミ・ハリス / ベン・マイルズ / リック・ユーン / ショー・コスギ / グイド・フォーワイザー / スティーブン・マーカス / ウラジミール・タラジャンス / ランダル・ダク・キム / サン・カン / リン・ダン・ファン








世界の名のある人物が暗殺される事件を捜査するミカ
そこには小角一族のニンジャの影があるのだった

オー、ニンジャー、アサシィン!!
というわけで、直球すぎるタイトルでB級映画嫌いな人には「うわ…」と引かれるだろうこの作品
いやいや、しかし実際に観てみるとけっこうしっかりしたアクション映画として作り込まれていてビックリ
というかクソB級かと思ったらそうでもないことに個人的にビックリだよ

話的には捜査官のミカさんがニンジャの影を追う一方で、小角一族のニンジャである雷蔵が里での修練の日々を思い起こすって感じで始まります
冒頭から身体切断描写&血しぶき飛びまくりなハイスピードスプラッタアクションがあって、「これはただのクソB級ものじゃねえ…」と分かります
ま、雰囲気からしてB級であることにかわりはないですが、ちゃんと金と手間をかけて作ってる感はします
ストーリーとか基本はどうでもよくて、流れるアクションの中で胴体切断されていく敵を愛でる映画です…たぶん

ニンジャアクションとしては珍しく(?)、打撃投げ組みなんかの体術よりも武器を使用した演武系アクションがメイン
飛び交う手裏剣、交叉する刃、じゃっかん不自然に飛び散る血…まさにスタイリッシュニンジャアクション
ハイスピードなシーンもけっこう分かりやすく、何をやってるかそれなりに把握できるのはいいですね

気になる点は雷蔵の過去話がわりと安っぽく、ダルい上に微妙に長い
過去話との間に現在のちょっとした動きのあるシーンを織り交ぜてはいるけど、やっぱりダルいのは隠せてないですね
あとはストーリーが貧弱すぎる
設定で誤魔化そうとしても、あまりに薄っぺらいストーリーのどうしようもなさは明らか
クソB級映画なら「まあ、いいか」ですませるけど、ここまで本気で作ろうと思ったならもうちょっとストーリーにも力を入れて欲しかった

というわけで、あまりに腐臭のするタイトルのくせに実は普通に楽しいアクション映画だったことにガッカリというか満足というか、なんか複雑な作品でした

個人的評価:70点
オススメ度:ニンジャー




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2010年11月12日金曜日

エルム街の悪夢 (2010/米)

監督:サミュエル・ベイヤー
出演:ジャッキー・アール・ヘイリー / カイル・ガルナー / ケイティ・キャシディ / ルーニー・マーラ / トーマス・デッカー / ケラン・ラッツ / リア・モーテンセン / コニー・ブリットン / クリスチャン・ストルティ








夢の中に出てくる顔がただれ鉄の爪をもつ男に傷つけられると、現実でも傷を負ってしまう
そんな悪夢に悩まされるディーンだったが、その悪夢の男は徐々に他の人の夢にも出るようになり…

リメイク版ですね
しょうじきオリジナル版は記憶の彼方に沈んでしまったので、なんとなくしか覚えてません
それなのになんかこう新しさがまったく感じられない、微妙に古くさい印象がありましたね
ひどいつまらなさはないけど、すごくおもしろいわけでもない普通な感じで、ホントにそつなく手堅く作りました、みたいな

やっぱり見所は現実と夢の境界のトリックで、「あ、いつのまにか夢に入ってたんだ」とか「夢だと思ってたけど現実なのか?」みたいなのを期待して観るわけですよ
でも、そんなところも普通な表現をされていて、夢と現実を絡ませた観る側をだますような複雑なトリックはありませんでしたね
夢に入るのも分かりやすいし、夢の中は夢の中と認識しやすい描写なもんで、「いまどっちなんだ?」というドキドキ感はありません

それでも序盤から「こいつが話の軸になっていくのか」って思ったキャラがアレでナニになったり、フレディさんが心臓えぐった後に6分も楽しめるとかえげつないことを言うシーンはおもしろかったですね
殺しの描写はそれほど鮮烈ではなく、丁寧に作ろうって気持ちは分かるけどもうちょっとはじけたシーンもあってもよかったような
悪く言えば地味かもしれません
個人的にはラストのオチみたいなノリを期待してただけに、じゃっかん物足りませんでしたね

いや、ホントにつまらなくはないけどあまりに普通すぎるというか、まあ楽しめたことは楽しめたけど、別にあんまりリメイクした意味がないよねって感じの一本でした

個人的評価:60点
オススメ度:フレディさんガチロリじゃないっすか




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2010年11月9日火曜日

ザ・ホード -死霊の大群- (2009/仏)

監督:ヤニック・ダアン / バンジャマン・ロシェ
出演:クロード・ペロン / ジャン=ピエール・マルタンス / エリック・エブアニー / オーレリアン・ルコワン / ドゥードゥー・マスタ / アントワーヌ・オッペンハイム / ジョー・プレスティア







同じチームの同僚を殺された警官たちが復讐のために敵のアジトに乗り込む
その時、街は死者がゾンビと化してよみがえる現象が発生、警官とギャングたちはビル内に孤立してしまうのだった

いきなり普通にポリスアクションが展開するものだから、「あれ?違うの借りちゃったかな?」と一瞬、本気で心配になりましたね
ようするに敵同士で組んで襲いくるゾンビを撃退しながら逃げるぜ、みたいな内容
まあ、ふだんゲームしてる人が観たら誰もが「実写版のL4Dだね」と思うでしょう

ゾンビが出てきて何が起こってるんだ、って感じの演出はうまいし盛り上がるんですが、心の中では「どうせ、ゾンビ化についてろくに説明もせず、きちんと風呂敷もたたまないで投げっぱなしENDなんだろ」と冷めた自分がいるのも確か
ゾンビものって「なんでゾンビ化がはじまったの?」って部分を描かなくても許してもらえるという点は優遇されてますよね

で、この作品は「全力疾走ゾンビ」に分類される系で、ゾンビさんたちは常にマックスパワーでダッシュ&タックルの精神で襲ってきます
しかもタフで力も強いというチートぶり
まあ、道具を使えない点だけはアレですが、かなり本気でこっちを殺しにくるゾンビさんは素敵です
そして対する人間側もまた個性豊かというかなんというか
敵同士で組んでも極限状態の中で絆みたいなのが芽生えるものですが、この作品ではそんなもんは存在しません
むしろ警官チーム、ギャングチームの中でもぎすぎすした人間関係が展開しておもしろい

B級ホラーアクションとしてはけっこう楽しめる部類ながら、けっこう細かい所で気になる点が多いですね
いちいちつっこんでたらキリがないですが、それでもゾンビ関連の設定がテキトーすぎる
基本ゾンビが単体で出てくるとかなり耐久力ふくめ基本的なパワーが大きめで、なかなかしぶとい
それこそ銃を乱射されても無問題
でも群れて出てくると途端に耐久力が紙なみにぺらっぺらになって、あっさり銃弾に沈んでいきます
あと咬まれてからゾンビ化するまでの時間もご都合主義ですぐゾンビ化する人もいれば、かなりねばってからの人もいます

そんな微妙な点をくつがえす存在がジジイ
いや、もうジジイのキャラがよすぎてすべていいところを持って行ってますね
特に女ゾンビをあれこれいたぶるシーンはかなり強烈に印象に残ります
小さな子供はみんな将来の夢はこういうジジイになることを目指してほしいね

ラストのオチもちょっとだけ「おい、マジでか」と思えるし、しょうじき観て得はしない映画ですがB級好きならかなり楽しめる作品でした

個人的評価:80点
オススメ度:俺のハーコーを見せつけてやるぜ




ザ・ホード -死霊の大群- 予告



ザ・ホード 死霊の大群 [DVD]
Happinet(SB)(D) (2010-11-04)
売り上げランキング: 449

2010年11月7日日曜日

エクリプス トワイライト・サーガ (2010/米)

監督:デヴィッド・スレイド
出演:クリステン・スチュワート / ロバート・パティンソン / テイラー・ロートナー / アシュリー・グリーン / ジャクソン・ラスボーン / ケラン・ラッツ / ピーター・ファシネリ / ニッキー・リード / エリザベス・リーサー / ダコタ・ファニング / ブライス・ダラス・ハワード / ジョデル・フェルランド / ブロンソン・ペルティア / キオワ・ゴードン / ポール・ジャレット / ブーブー・スチュワート / ジュリア・ジョーンズ / タイソン・ハウスマン / アレックス・メラズ / チェイスク・スペンサー / チャーリー・ビューリー / キャメロン・ブライト / ダニエル・カドモア



ヴァンパイアの恋人エドワードに求婚されたベラ
人狼族のジェイコブとの関係に悩みは尽きないが、ベラに新たな魔の手が迫りつつあるのだった

そんなわけでシリーズ3作目ですが、前作の「ニュームーン」が微妙に中途半端なデキだったのがよくわかります
前作と今作でひとつのエピソードみたいな形になってるんですね
前作でなんのために出てきたのか意味不明な出番があったヴィクトリアさん関連もきちんと消化してますし、いちおベラの決意的なものも答えは出てます
次回作の予告みたいなものもなかったんで、これで映画としては終わりなんですかね
完全に風呂敷はたためてないにしても、それなりに完結はしてるんで

人を襲わないエドワードたちカレン一族、ベラの特殊な血に引き寄せられる人を襲う吸血鬼たち、吸血鬼と敵対関係にあるジェイコブたち人狼族、吸血鬼たちが目立つことをしないように監視するヴォルトゥーリたち
そんな中でベラをめぐって牽制しあうエドワードとジェイコブ、だけど世間では人を襲う吸血鬼たちが突如として増え群れてきている
このままではヴォルトゥーリが介入してきてしまい、そうなるとエドワードに命じられた「ベラを吸血鬼にする」という指示がいまだになされていないとバレちゃうじゃん、あらたいへん
みたいな話ですね

とりあえず前作でうざさマックスだったジェイコブがけっこう株を上げ、さらにエドワードも好感度アップ
かわりに個人的にだけどベラの印象が悪くなりましたね
ジェイコブの気持ちを知りながらそういうこと言ったり行動をしちゃうかい、って感じで
同じことは最初にエドワードにも思ったけど、後半になって「そういうふうに考えていたなら仕方ない」みたいに思えます
ホントにベラはエドワード好き好き、ジェイコブも友達として好き、でもじゃっかんひとりよがりな子供っぽさがアレなんですよね
極端に言えばビッチ

エドワードさんは基本的に大人っぽくて、相手の心を読めることもあって行動が紳士的
クライマックス前の雪山での三人のシーンでよくわかります
エドワードさんの「相手の気持ちを尊重しているからこそ」の言動行動はさすがやで
まあ、冒頭の求婚ループは辟易したけどね

基本は三角関係のロマンスが中心なんですが、吸血鬼と人狼族の因縁の根幹とか、カレン一族の一部の重い過去話もあって飽きませんでした
ベラをめぐるラブラブちゅっちゅな話はねっとりしているけど、サイドストーリーはあっさりしていて「あえて深くは言わないけど察しなさい」みたいな演出は好きですね
アクションシーンもほどよいバランスで楽しいし、微妙なグロさがいいスパイスになってます

だけどやっぱり前作までのファン向けな作風に違いはなく、完全に続きものとして作られているんで、いきなりこれを観ても楽しめないのは確か
そういう意味で一本の映画としては評価できないかもしれません
いちおは前作までのまとめが本編前に流れますが、その情報だけでは楽しめないでしょう
というかこれから観ようなんて人はそうそういないか
そんなわけで、今まで観続けてきた人はそれなりに楽しめる内容でしたね

個人的評価:75点
オススメ度:ヴァージンなら仕方ないな




エクリプス トワイライト・サーガ 予告

2010年11月6日土曜日

パーフェクト・クリーチャー (2006/ニュージーランド・英)


監督:グレン・スタンドリング
出演:ダグレイ・スコット / サフロン・バロウズ / レオ・グレゴリー / スコット・ウィルズ / スチュアート・ウィルソン / クレイグ・ホール / ロビー・マガシヴァ / ローレン・ジャクソン / ピーター・マッコーリー







突然変異により身体的感覚的に発達した人類の進化種「ブラザー」
ヴァンパイアと忌み嫌われた時代を乗り越え、300年人類に奉仕してきた彼らから初の人殺し者が出てしまい…

このパッケージ、そしてこのタイトル…もう酸っぱい臭いに包まれている極上のクソB級映画だと分かりますね
こう分かりやすいと観てみたらクソB級映画だったという被害者が出なくていいことです
そして、逆に言えばそんな映画を観たい人にとっても分かりやすくて親切ですね

内容的にはヴァンパイアが実は錬金術師が研究していた遺伝子学によって生み出された副産物と設定
しかもヴァンパイアたちはすべての面において人類の能力を上回りながら、常に人々に奉仕する教団として共存の道を歩んでます
そんな中で人を襲うヴァンパイア・エドガーが現れて、これを内々に処理するために兄であるサイラスがこれを追うって感じ
設定的にはけっこういい感じなんですが、ストーリーがなんか薄味すぎる上に小さくこじんまりぎみ
それでもクソB級映画にしてはがんばって作られてて、パッと見た目だけではわりと普通の映画っぽい
彩りもそれなりでキレイに皿に盛られてる料理だけど、食べてみたら「うわ、まずいなこれ」みたいな印象

死臭マックスの作品を想像して観ると、けっこういける内容ではあるんですが、それでも主人公の地味さが地味でけっこうな地味さ
どっちかといえば敵役さんの方がキャラ的に目立ってます
全体的に予算もそこそこあって、制作環境もそこそこだけど、作ってるうちにやばい臭いに気づいていっきに映画作りの情熱がなくなった状態で撮ってるな、って感じが伝わってきます
「いやあ、ボス、いちお形にはしましたけど、いいッスかねー」「まあ、いいんじゃね」みたいなノリを想像せざるえない

深夜にテレビでやってたら最後までみちゃうかも系なつまらないけど、まあ、なんとか観れる作品かもしれません
というか、クソB級好き以外でこのタイトルに気づきながらあえて観ようと思う人は尊敬に値します

個人的評価:45点
オススメ度:ヴァンパイアだって高所から落ちたら気絶するもん!




パーフェクト・クリーチャー 予告



パーフェクト・クリーチャー [DVD]
日活 (2007-10-05)
売り上げランキング: 93435

2010年11月5日金曜日

コーヒー&シガレッツ (2003/米・日・伊)


監督:ジム・ジャームッシュ
出演:ロベルト・ベニーニ / スティーヴン・ライト / ジョーイ・リー / サンキ・リー / スティーヴ・ブシェーミ / イギー・ポップ / トム・ウェイツ / ジョー・リガノ / ヴィニー・ヴェラ / ヴィニー・ヴェラJr. / レニー・フレンチ / E・J・ロドリゲス / アレックス・デスカス / イザーク・ド・バンコレ / ケイト・ブランシェット / メグ・ホワイト / ジャック・ホワイト / アルフレッド・モリーナ / スティーヴ・クーガン / GZA / RZA / ビル・マーレイ / ビル・ライス / テイラー・ミード




コーヒーと煙草があり、そこで交わされる人たちの会話
なにげない日常の11のエピソード

テーブルの上に置かれたコーヒー、そこに現れる人物
時にはひとりであり、ふたり、三人の時もある
煙草を吸いながらコーヒーを飲みつつ話が始まるわけですが、しょうじきこの作品は究極の「で?っていう」映画かもしれません
11のエピソードのオムニバスなんですが、すべて会話劇を楽しむだけの内容
ホントに雑談レベルのどうでもいい話に、ちょっとだけスパイスをきかせてある感じですね

どう見てもまずそうな煙草とコーヒーの組み合わせの中、見知らぬ者どうしが、親戚どうしが、友人どうしが、恋人どうしが、ただちょっとずれてる会話をしていく
ただそれだけなんだけど、なんともいえないおもしろさがあるんですよね
たとえば女の人がコーヒーと煙草を楽しんでると、いかにも下心丸出しな店員がコーヒーのおかわりを注ぎにくるんですが、女の人はそれを断ります
断られても断られてもしつこく間をおいてからんでくる店員、そして女の人がずっと読みふけっている銃器のカタログ、で、最終的に画面が引いて「また店員がくるのか」と思わせておいて…って演出が個人的には好きでしたね
ホントにどうでもいい細かいところが気持ちいい、そんな作品です

まあ、なんというかひとつひとつがかなり短い上に、ストーリーがあるわけでもないので、内容うんぬんは言うことはないんですが、はっきりしてるのは「合う人と合わない人が極端に分かれそうだな」ってこと
ほのぼの日常ドラマってわけでもないし、毒が強いブラックユーモアなわけでもない、ホントに日常的なようでちょっとずれてるスパイスが楽しいんですね
エピソードの組み立てもよくできていて、最初の一編で「なにが始まるんだ?」と思わせておいて、引っぱりつつ何もおこらない
でもガッカリ感はないという
けっして万人にオススメできないけど、おもしろい一本でした

個人的評価:80点
オススメ度:洗剤うがいがいいのか、そうか




コーヒー&シガレッツ 予告



コーヒー&シガレッツ [DVD]
角川映画 (2010-04-16)
売り上げランキング: 2091

2010年11月4日木曜日

グッドナイト&グッドラック (2005/日・仏・英・米)


監督:ジョージ・クルーニー
出演:デヴィッド・ストラザーン / ロバート・ダウニーJr. / パトリシア・クラークソン / レイ・ワイズ / フランク・ランジェラ / ジェフ・ダニエルズ / ジョージ・クルーニー / グレン・モーシャワー / テイト・ドノヴァン / サイモン・ヘルバーグ / トム・マッカーシー / マット・ロス / リード・ダイアモンド / ロバート・ジョン・バーク / グラント・ヘスロフ / アレックス・バースタイン / ピーター・ジャコブソン





1950年代のアメリカ、マッカーシー上院議員による共産主義者狩りが熱を帯びていた
それによる人権侵害問題に目をつけたテレビ局のエド・マローは、番組で報じることを決意するのだった

いわゆる権力に組み敷かれず、圧力には屈せず真実を報道しようぜ、って感じの芯のある男たちとそれに振り回される会社のボスのお話
実話ベースらしいですが、しょうじきストーリーに目新しさの欠片もありません
それでもおもしろいと思えるのは、やっぱり主人公のマローの存在と、その彼をとにかくかっこよく撮ることに特化したスタイリッシュな構図があったからかもしれません

映画全編はモノクロでできていて、50年代の空気感をよくだしている…と思います
まあ、その時代のことを知らない身からしてみれば、なんとなく想像できる昔の風景みたいな感じですがモノクロだからこそ際だつ影の部分をたくみに使い、ホントにいちいちかっこいいシーンが続いていきます
煙草の煙、鋭い眼光、ずしりと重さを感じる物腰、なんというかホントに雰囲気映画だなあ、と

よけいなBGMもないひじょうにシックでシンプルな作りで、話の展開的にも淡々と進行していきます
それゆえに共産主義狩りが行われていた頃の感覚、記憶がない人にとっては淡泊すぎる内容かもしれません
国の歴史としておきた大きな出来事、それを十分知っていることを前提にできているシンプルさ
この作品からだけの情報だとしょうじき、なんか物足りなさをおぼえるかもしれません

エド・マローの存在、そしてなんかよく分からないけどなんかいいことを言ってる気がするのがおもしろいと思える人向けに作られてる感じ
冒頭のマローの語りと姿を見て特になにも感じないなら、この作品は合わないかもしれません

個人的評価:70点
オススメ度:娯楽と逃避うんぬんはどこでも同じなのかもしれません





グッドナイト&グッドラック 予告



グッドナイト&グッドラック 通常版 [DVD]
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