2011年8月31日水曜日

8月のこれ一本

サマー的な暑さもそろそろいいんじゃねえの、と思っても怒られないシーズンにいよいよ突入をはかろうというこの頃
町ではキンモクセイの香りがトイレの芳香剤を連想させ、ちょっぴり秋の気配がアレでナニですね
秋といえば「○○な秋」という三流文句が巷を席巻するわけですが、やはりここは「仕事の秋」ということで「急に忙しくなってんじゃねえよ、ボケェ」と心の中でそっと毒づかざるえない

というわけで今月は「大鹿村騒動記」推し、で
さっぱりとした気分でさっぱりとした作品を楽しみましょう

2011年8月30日火曜日

エクスペリメント (2010/米)

監督:ポール・T・シュアリング
出演:エイドリアン・ブロディ / フォレスト・ウィッテカー バリス / カム・ジガンデイ / クリフトン・コリンズ・Jr / イーサン・コーン / マギー・グレイス / フィッシャー・スティーヴンス / トラヴィス・フィメル / ジェイソン・リュウ / デヴィッド・バンナー / ダミエン・リーク






老人ホームの職員を解雇されたトラヴィス
偶然であった女に惹かれ、ともに旅に出るために資金をかせごうと高額報酬の怪しい実験に参加することに…

おもしろい、おもしろいんだけどなんか残念
なんかバックにメッセージ性があるっぽい「雰囲気」はいいけど、あんまりうまく観てるこっち側に伝わってこない
なんか言いたいことは分かるような気がするけど、まあ、しょうじきよく分からないですね

短期間でまとまった金が必要になったトラヴィス(無職)が応募した「行動実験」の被験者になるアルバイト
その実験とは実際の刑務所を模した空間で、看守と囚人役に分かれて14間すごす…という内容だった
そんな出だしの話ですが、これが単純だけどちょっと深い
参加者たちで看守と囚人に分かれる、実際の刑務所のような制約が囚人には課せられる、ルールを破った者に看守は自身の裁量で罰を与える、ただし実験中の一切の暴力行為は禁止、ひとりの失格は全員の失格とする一蓮托生システム
この同じ実験に参加しながら看守と囚人で扱いが不平等になる設定がおもしろいんですね

看守側にしてみれば失格になりたくないから規律を正すことに過敏になる
囚人にしてみれば不平等感と「たかが実験」で実際の服役者みたいに扱われるのはしゃくに障る
そんな中でじょじょに日がたつにつれ、人の本性があらわになってくる様子を楽しむ作品ですね

そんな様子を観てるだけでもおもしろい、たしかにおもしろいんですが、こういう作品で一番のみどころは「この実験に隠された裏側の真意」ですよね
そこら辺のネタがちょっと弱い
「実は~でした」というインパクトよりも虚無感とむなしさをあらわすことを第一にしていて、それはそれでいいけどやっぱりなにか「ああ、そうだったのか」というのがほしかった

そんな観てるあいだはおもしろいけどオチがいまひとつパッとしないかな、と個人的に思えた一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:どんだけしゃぶらせたいんだよ




エクスペリメント 予告



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2011年8月28日日曜日

大鹿村騒動記 (2011/日)

監督:阪本順治
出演:原田芳雄 / 大楠道代 / 岸部一徳 / 松たか子 / 佐藤浩市 / 冨浦智嗣 / 瑛太 / 石橋蓮司 / 小野武彦 / 小倉一郎 / でんでん / 加藤虎ノ介 / 三國連太郎







長野県大鹿村、村の行事である大鹿歌舞伎の稽古にいそしむ風祭善
そんな善のもとに18年前に男と出て行った妻がふたりそろって現れ…

なんというか懐かしい感じのコメディですね
昭和の時代によくあったような、どろどろしすぎないライトなコメディに似てます
しょうじき原田芳雄さんのことがなければシリーズ化して正月映画で毎年やってくれてもいい作品だったかも
けっこう豪華な出演陣だし、画的に地味っちゃあ地味だけど安心して観ていられる安定感はかなりのものでした

鹿肉料理屋をやってる善のところに一見チャラい若者が住み込みで働きにくるところからはじまり、18年前に出て行った妻と逢引きあいての親友だった男が村に戻ってくる
男は善に妻を返すためにきたというが、実はその妻は認知症になっていて…という感じ
こういうあらすじだと逢引き相手となんやかんやの確執だったり、妻を交えてのどっろどろな愛憎劇がアレしそうな感じですが、そこら辺はおもいきってライトに仕上げてあるのがいい
そりゃ一悶着はありますが、子供っぽいさっぱりとした善の性格がかなり良い味だしてます

出てくるキャラもみんな個性的で、じゃっかん人物の背景の描写が浅いところもあるけど、最低限の人物像をさりげなく分かりやすく描いてる努力はみえますね
基本的に口は悪くてもみんないい人で、観ていて不快になることはありません
笑い所、シリアスな所、描きたい所がホントに明瞭で分かりやすく、それでいて作品的にふわふわしてない安定感があるのでホントに肩の力を抜いて作品の流れに身を任せているのが気持ちいい

あえて難があるとすれば見せ場である歌舞伎のシーンが無駄に長い点
さすがにもっと簡潔にまとめてくれないとだれます
「え?まだ歌舞伎つづくの?」と思わざるえない
全体的に観て大作、名作といった類の作品ではないけれど、定期的にこういった安定感のある箸休めっぽい映画も必要かな、と思った一本でした

個人的評価:90点
オススメ度:子鹿の鳴き声と一徳のわりといい体





大鹿村騒動記 予告

2011年8月25日木曜日

レベル・サーティーン (2006/タイ)

監督:マシュー・チューキアット・サックヴィ
ーラクル
出演:クリサダ・スコソル・クラップ / アチタ・シカマナ トン / サルンヨー・ウォングックラチャン / ナターポン・アルンネトラ / フィリップ・ウィルソン / スクルヤ・コンカーウォン






都会に出てきて働くも金もたまらず仕事もダメダメな男、プチット
いよいよもって会社をクビになった時、大金をかけてのゲーム参加を持ちかける電話がかかってきて…

大金をゲットできるチャンス!という名の悪魔のゲーム的な、なんとも日本のマンガによくありそうなネタ
わりと終盤まではコメディタッチな感じで、内容はシリアスなんだけど見せ方がコメディという香港映画っぽい作り
つっこみどころ満載というか、クレーターなみの巨大な穴がそこらじゅうに開いてるような作品のために逆につっこむ方が野暮だと思えてきますね

金に困った主人公のところに甘い悪魔のささやきの電話がかかってきて、指示通りのことをできたら即大金を口座に振り込むゲームに参加することになる
最初はいたずらレベルの指示で、だけどちゃんと金は振り込まれるんだけど、良い感じでノッてきたところで「13のゲームクリアしろよな。あ、途中で降りたら全額ボッシュートだからヨロピク~」と後出しじゃんけんをつげられる、と
まあ、とりあえず言えるのは「主人公よ、断る勇気をもっと早くだせよ」
おまえどんだけのことやらされて平気で続けられるんだよ

と、こう書いてくるとどうしようもないクソB級映画な感じなんですが、なんともいえない魅力があるのも確か
ネタ的にはおんなじようなのをもう何度か観た気がするので、しょうじき飽きがきてる話ですがシリアスとコメディの不思議なバランスがなんか気持ちいいんですよね
あとはオチもけっこう好きかな
これは予想外というほどの驚きはなかったけど、「ほう、そういう方向でオチがくるわけね」くらい感心はできます

粗のかたまりである本編を生暖かいまなざしで無粋なツッコミはいれずに楽しみましょう、という感じの一本でした

個人的評価:60点
オススメ度:中途半端に出て中途半端に消えていくサブキャラたちを忘れるな




レベル・サーティーン 予告


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2011年8月24日水曜日

デッドランド (2008/米)

監督:ゲイリー・ウガレック
出演:ジム・クルト / ジョセフ・D・ダービン / クリストファー・L・クラーク / ジョシュ・デヴィッドソン








政府による生物兵器の実験がある小さな町で行われた
すると町の人々がゾンビのようになって生き残った人間を襲うようになり…

もはやどれだけ「設定に変化を持たせて描くか」という部分が大事なくらいあふれぎみなゾンビ系の映画たち
そんな中でごくごくオーソドックスでシンプル・イズ・ベストというノリ(?)で作られた感じがする作品ですね
生物兵器実験→感染拡大→脱出というベースの黄金パターンはもちろん、ゾンビの設定や展開も本当にオーソドックスに作られてます

急に町にあふれた正気を失った人間たち
気を抜くと襲われるという中、主人公たちは映画館に籠城する…うん、まあ、そんな感じのホントにありふれたストーリー
全体的にかなり雑味のある荒削りテイストな作風で、メジャーなゾンビ映画のよくあるシーンをがんばって再現してみました、って感じのアマチュア映画っぽい雰囲気
個人的にはそんな完成しきれてない荒削りな部分が楽しめましたが、まがりなりにもキッチリと形になってないと受け付けない人にはダメでしょうね

オーソドックスながらも緊張感はあってそれなりに楽しめる作品なんですが、あまりに低予算すぎて残念な部分もあります
とりあえずゾンビから逃れて籠城するのはいいけど、あまりに不測の事態がなさすぎる
いや、だって、普通は完璧に戸締まりをしたと思っても侵入してくるでしょ?
もしくは内部分裂とか誰かのミスでゾンビが入り込んだりするでしょ?
そういうのがホントにないってどいうよ
主人公たちの安全圏がどんどん狭まっていくはらはら感がないのよね

クライマックスの展開と生き残ったメンツはけっこう意外でおもしろかった
だけど、さすがにこのオチはちょっと「うーん」って感じかな
やりたいことは分かるけど、これも低予算ゆえに仕方がないのかなあ
でも、この監督にきっちり撮れる予算をあげたら期待はずれの凡作を作りそう、という失礼な予感がしないでもないですが

個人的評価:65点
オススメ度:どんだけ政府ならやりかねない、ってイメージだよ




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2011年8月22日月曜日

リセット (2010/米)

監督:ブラッド・アンダーソン
出演:ヘイデン・クリステンセン / タンディ・ニュートン / ジョン・レグイザモ / ジェイコブ・ラティモア / テイラー・グルーサイス / ジョーダン・トロヴィリォン








突如おこった大規模停電、そして同時に忽然と姿を消す人々
残ったわずかな人間はライター、懐中電灯などの自前で灯りを持つ者だけであった

世の中にはあえて積極的に観なくてもいいんじゃねえの、映画がある
別段つまらないわけじゃない
だけどぜったいに後に残るような内容じゃないし、圧倒されたりすごいと感じる内容ではない
どこかでみたような設定やらなんやらをちょうだいして、うまく切り貼りすることで一応の形はできてる「良くも悪くも普通」な映画…それがこの作品ですね

なんか分からんけど世界からほとんど人がいなくなり、心細い上になんか変なのが襲ってくるし
という「あれ?どっかで何回か観たような?」というある意味で定番なシチュエーションの作品
個人的な印象としてはロードムービーの要素がなくなった「28日後…」ですかね
キャラやらなんやらがどうにもゲームみたいな設定で、しかもよくある大きく風呂敷を広げておいてまとめる気すらなく終わるタイプなので、多くを期待しちゃダメだZO☆

だけど内容的には大きく外してはなく、そつなく作り上げられてるのでそこそこの緊張感と求心力はずっと持続してます
さらっとさくっとちょっとしたのを観たい時に最適で、あえてDVDを手に取るほどじゃないけどテレビとかでやってたらダラダラと観て楽しめると思う
それほどのガッカリ感はないので、B級映画の入門にも最適な素材かもしれません

個人的評価:70点
オススメ度:宗教映画かよ




リセット 予告


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2011年8月21日日曜日

リリイ・シュシュのすべて (2001/日)

監督:岩井俊二
出演:市原隼人 / 忍成修吾 / 伊藤歩 / 蒼井優 / 大沢たかお / 稲森いずみ / 市川実和子 / 杉本哲太








悪友たちにいいように使われる日々を送る中学生の雄一
唯一の心のより所はリリイ・シュシュの曲と、ネットでのリリイに対する書き込みだけであった

なんともいえない独特の雰囲気が気持ちいい、けど、ぜったいに万人向けじゃない作風かもしれません
こういう作品で一番あぶないのは「俺、この雰囲気サイコーに好きだわ」となんか通ぶってしたり顔で語ることですね
そういう危うさをにわかファンに植え付ける十分な要素がつまってます
内容が内容だけに悪く言えば中二病ホイホイな作品

閉鎖された世界の学校、さらにその中のひとつのクラス
14歳の少年少女にはその中がほぼ世界のすべてで、逃げることができない絶対的な場所…と錯覚してしまう
その中ではゆがんだいじめ、犯罪行為、見て見ぬふり、恋愛ごっこ、友情ごっこでカオスな感じになってます
で、どっちかというと子供社会の底辺に墜ちた主人公が流されるままに底辺生活を送りつつ、リリイの曲とネットでのフレンドとのやりとりで心のバランスをとっていくんだけど…というような内容ですね

人物の描写がちょっとリアルで、「こんなヤツ、自分の周りにもいたなあ」「ああ、自分もこんなだったなあ」と思える中学生たちがいいですね
内容はどんどん悲壮さを増していくんだけど、リアルではあるけど雰囲気がファンタジックな作りになってるから、「うげえ」っていうような重すぎるものはない
それでもじゅうぶんに観ててイヤな気分にはなりますけど
話的にはクラス底辺の主人公とリリイの音楽、ネット仲間というイヤな現実と救われる虚構って感じでそれほど目新しさはないけど、最初に主人公周りの環境をざっくり描いて次にそこに至る過去、そしてその後を展開していく「現在・過去・未来」のドラマ黄金パターンは気持ちいい

じゃっかん世界観や雰囲気の作り方が嫌みな感じがするのと、作り手のオナニー要素が目立つ気がしないでもないところがアレですが、さらっとしててどろっとしてる、なんとも言えない気持ち悪さがちょっと心地良いと思えるおもしろい一本でした

個人的評価:80点
オススメ度:それでも現実は続くのよ




リリイ・シュシュのすべて 予告



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2011年8月18日木曜日

ムカデ人間 (2009/オランダ・英)

監督:トム・シックス
出演:ディーター・ラーザー / アシュリー・C・ウィリアムズ / アシュリン・イェニー / 北村昭博








ヨーロッパ旅行中のジェニーとリンジーはドイツで道に迷ってしまう
なんとか民家を見つけ家主に助けを求めるのだが…

なんかヤバイ系のホラーとして噂になってるようなそうでもないような感じの作品ってことで鑑賞してみました
しょうじきなところ、そうヤバイって感じはしなかったかな、と
グログロ~でオエ~ってなのを期待するとみごとに肩すかしをくらいます
というか、予告である通りのそのまんまなだけの内容でしたね

道に迷ってたどりついた家が実はマッドなキチガイ野郎のすみかで、まんまとその餌食にされちゃったというありふれたホラー
三位一体、超絶合体ムカデ人間を作ろうじゃねえの、というそれだけなお話です
露骨に血がプッシャーなシーンはないし、グロさに特化した手術シーンもありません
次々に被害者がでるようなシリアルキラーな感じでもないし、内容だけ見ればクソB級レベルのしょうもないストーリーですね

それでも、そんな中にも輝く素敵ポイントがあればすべてよし、というわけでこの作品もそんな素敵ポイントに支えられてなりたってます
まずはキチガイ博士のキャラ、自ら変態だと自負しており無駄にスタイリッシュ変態な存在がいかすぜ!
その言葉、態度すべてがいちいちキチガイカッコイイことこの上ない
この映画の3分の2は博士の存在で支えられてます
で、残りの3分の1は大阪弁野郎ですね
初登場の時からヒロインを押しのけてキャラが立ちまくってる上に、どんどん映画的な存在感が大きくなってきます
演技も海外から見た日本人的なものじゃなく、日本的な演技なので見苦しいところがありません

ストーリーはホントにしょうもないけど、終盤の博士と大阪弁の本人たちは大まじめなんだろうけどコメディにしかみえないやりとりが楽しすぎます
で、まあ、終わり方はなんだかなあ、な感じで「こんなもんかな」って風なんですが、あとで知ったけどこれ「3部作」だって言うじゃない
いやいや、はやまるな、はやまるな
こんなのシリーズ化してどうするよ…うん、続編が公開されたら迷わず観るだろうけど、とりあえず言えるのは「誰得だよ」

そんな感じでヤバイ系というより、なんか変なのが観たいって人に最適な一本かもしれません
個人的にはこういうの好きだけど

個人的評価:60点
オススメ度:用意周到なようでおっちょこちょいな博士萌え





ムカデ人間 予告

2011年8月17日水曜日

コロシノジカン (2011/米)

監督:マーカス・グレイヴス
出演:キャサリン・ウィニック / ケヴィン・ポラック / ブルース・ダーン / ニコラス・トゥッチ / リチャード・ショート








被害者に選択を迫って危害を加える殺人鬼が世をにぎわす
そんな中、フィオナは母の自殺とこの殺人鬼に関連があるのではないかと思い、個人的に調査をはじめるのだった

でた、セールスする気のなさMAXとしか思えない邦題
いろんな映画作品がある中、こんなタイトルを手に取るやつの気が知れねえなあ、おい
と、ありきたりな自虐風ネタでおっぱじめてみましたが、中身は…うん、こんな邦題の雰囲気に合ってる感じでしたね
タイトルの意味うんぬんではなく、印象的に

選択肢を迫って死傷事件を繰り返す殺人鬼と亡き母のつながりを感じた主人公のフィオナ
独自に捜査をはじめると、犯人と思わしき謎の人物からコンタクトをしてきて、じょじょに謎にせまる
そんな感じの内容でしたね
一見、共通点のない被害者のつながりはなにか?
まるでフィオナに自分を探させるゲームを持ちかけてるような犯人の思惑とは?
フィオナの自殺したお母さんにいったい何があったのか?
なにげにそんな謎の広がりがおもしろくて、「どうなるんだろう」という思いがクライマックスまで持続するので意外にも飽きることはありませんでした
はじまりは「SAW」ライクな感じでしたが、だんだんと捜査ものにシフトしていきます

しかし、そこは「コロシノジカン」なんてガッカリタイトルをつけられる作品、ラストのネタばらしにきて一気に観てる方のテンションが急降下
すべての謎に対する答えがしょぼすぎる上によく分からない
そして殺人鬼さんが虚弱すぎて笑えない
いや、もうちょっとがんばろうよってくらい、あっという間に主人公に一方的にボコられて終了とか、ね…
この時点で「ああ、しょうもねえクソ映画だったなあ」とぼやきたいくらいテンションは下がりましたが、最後の最後のシーンでちょっと盛り返しました
「このまま普通に終わるのか」とがっくりきてたので、ちょっと意外でよかったですね

風呂敷を広げてるうちは楽しかったけど、たたみ方がよく分からなくなっちゃってぎゃふん、と、そんな一本でした

個人的評価:60点
オススメ度:フィオナさん、親が刑事だという特権を利用しすぎ




コロシノジカン 予告



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2011年8月16日火曜日

ツリー・オブ・ライフ (2011/米)

監督:テレンス・マリック
出演:ブラッド・ピット / ショーン・ペン / ジェシカ・チャステイン / フィオナ・ショー / ハンター・マクラケン / ララミー・エップラー / タイ・シェリダン








厳しい父親と優しい母親のもとで三人兄弟の長男として生まれ育ったジャック
成長した彼は幼い頃に感じていた父と母のことをどう思い返すのか

予告から予想できる内容とかけ離れてる大賞にノミネートできるよね、ってくらいに別物になってる内容
しょうじきこれはかなり人を選ぶ上に、じっくり観ててもたぶん作った本人しか描きたかったものを理解できないと思う
人物に対する説明不足感と最初と最後のイメージ映像が難解さを助長してますね
この「ぜんぜん意味わかんねー。クソ映画かこれー」となる一歩手前のギリギリ感がちょっとおもしろい
細かい部分の解釈は分かりづらいけど、本編の親子のドラマ部分はシンプルな描き方なのでいいですね

これ、序盤の流れだけであらすじを語るのはかなりキツイ作品です
人物をさらっと映したかと思ったら地球誕生、恐竜さんがあれこれというイメージ映像が流れ始めるし
うーん、さすがにこれはついていけない&眠気がやばかったですね
しかもそんなイメージ映像パートが長い長い
いつまで続くんだってくらい長い
ぶっちゃけ長男が産まれるところまで寝てても問題ないレベル

長男が産まれてからはやっとおもしろくなってきて、子供が成長するにつれて人として自我がうんぬんで、一番身近な「家族」という人付き合いの温かさと難しさ面倒くささを登場人物の葛藤として描いていきます
特に厳しいことを言いながらも自分の行動と人柄がともなってない父親の姿がよく描けていて、子供から見た絶対的な父という存在から本当の姿が見えてくる課程がおもしろい

で、結局、観終わったあとに「この作品ってどんな内容だったんだ」と自分なりにまとめてみるのが楽しいかもしれません
これは自分の意見を書いても、この作品に対する見方は人それぞれ千差万別だからちょっと自分が思ったことを少しまとめてみます
たぶん父親の死の直前から直後の物語で、その死によって長年抱えてきた自分の中の絶対的な神に等しい両親についてきちんと向き合えたって話なのかな、と
それを文字通り神の視点と親としての神の視点で描いてる
そんな解釈をしましたが、まあ、そこら辺はホント観た人の数だけ解釈があるってことで

そんな明確な説明と答えがない作品ですが、不親切だけどなんかクセになる一本でした

個人的評価:80点
オススメ度:中年夫婦向けのヒューマンドラマじゃないのは確か



ツリー・オブ・ライフ 予告

2011年8月15日月曜日

ペイン (2007/米)

監督:ジェド・ワイントローブ
出演:アンジェラ・ベティス / ベン・コットン









幼い頃、友人ともども殺人鬼に捕まった経験のあるジョーン
その時に殺人鬼は死んだはずだったが…

本格的な夏ってことで定番のホラーものを鑑賞しようじゃねえか、コノヤロー
というわけで、「SAW」を通して観たので類似系でアレな感じの作品をチョイスしてみたわけで
まあ、あまり他の作品と比べるのはよくないかもしれませんが、観た印象としては「SAW」からストーリーと緊張感をざっくり削り、複雑なゲーム&装置のアイディアを取っ払い、ゴア描写を洗い流した感じですね
うん、そうだね、クソB級映画だね

主人公の女ジョーンが兄とその娘がいる生まれ故郷に帰ってくる
彼女は10代の頃に近所の殺人鬼にとらえられ、拷問されながらも生き残った唯一の被害者、という過去を持っていた
未だにそのトラウマに悩まされ続けて生活する中、帰ってきた故郷でも兄の娘の友人たち若者の間でジョーンを襲った殺人鬼と似たような手口の殺人が起こり…
という感じの内容
被害者が出ていく中で、少しずつジョーンの殺人鬼に捕まってた当時の記憶が鮮明によみがえりはじめていくような描き方で、現実の事件と過去の事件を平行して描いてます

とりあえずダメだな、と思ったのが殺人鬼が被害者を痛めつける「殺人ショー」の要素がクライマックス以外に皆無だってこと
「あれ?あいつが行方不明だ」→死体で発見という流れで実際に殺人鬼が被害者に手をかけてる描写がないんですね
そのせいで緊張感がまったくなくなってしまってる感じ
さらに殺人鬼のゲームじたいも陳腐で、単純なルールでとくに斬新な痛めつけ方じゃないから盛り上がりもクソもない
ホラー映画なのに観てて眠くなる上に、ぶっちゃけ私は寝たけど途中途中をかいつまんでるだけでも問題なく鑑賞できます
それでもあえて良いとこ探しをするなら殺人鬼の正体は誰なのか、ってとこが見どころですね
選択肢はそう多くはないですけど

終盤に観てて「痛い痛い」と思えるホラーっぽいシーンもありますが、まあ、ほぼ全編にわたって眠い作品でした

個人的評価:30点
オススメ度:殺人現場の観光化とかアメリカでは常識なのか?



ペイン 予告


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2011年8月12日金曜日

SAW V・VI・THE FINAL (2008・2009・2010/米)


監督:デビッド・ハックル / ケヴィン・グルタート
出演:トビン・ベル / コスタス・マンディロア / スコット・パターソン / ベッツィ・ラッセル / ジュリー・ベンズ / ミーガン・グッド / マーク・ロルストン / カルロ・ロタ / グレッグ・ブリック / ローラ・ゴードン / ジョリス・ジャースキー / マイク・バターズ / アル・サピエンザ / マイク・リアルバ / シーラ・シャー / サマンサ・レモール / ジェフ・パスティル / ニーアム・ウィルソン / トニー・ナッポ / ティム・バード



「ジグソウ」を追っていた捜査官は彼の遺体を発見し、また自らも死の装置にかけられてしまう
一方、「ジグソウ」の後継者によるゲームもすでに始まろうとしていた

なというか、もうめんどくせえってんで残り3作をいっきに片付けてみました
しょうじき4以降は同一のシリーズであって、後半の4作品まとめてひとつの作品として扱ってもいいんじゃねえの、ってくらい個々の作り込みが浅い
いずれも1~3で描かれたものを引き延ばして新解釈を加え、連続ドラマ的な手法で作られてますね
というか、マジで4以降はテレビドラマのノリ
ぜんぜん映画を観てる気分にはなれない

5、6、ファイナルはジグソウ亡き後の後継者編みたいな展開で、でも結局は後継者の小物っぷりアピールによってジグソウがどれだけ偉大だったかを表現してるだけ
話の流れとゲームの内容との関連性が薄く、「とりあえずジグソウの遺志どおりにゲームすすめてます」というだけ
いずれのゲームの装置にしても印象に残るものはそんなになく、単なる殺戮ショーになっちゃってる感じ
観る人もほぼこの死の装置によって今回はどんなグロシーンがあるのかな、という点しか注目してないんじゃないですかね

だけどぶつぶつ言いながらもなぜか最後まで付き合ってしまう魅力はあります
まあ、初期のシリーズのおもしろさを引きずって惰性で観てるってのが大きいんでしょうが
だけどここで映画としてではなく、テレビドラマとして見てみると「うん、まあ、おもしろい」となります
とりあえず映画としてはアレだけど、ドラマとしては良い感じなんですね

で、結局、最後まで付き合ってみたわけですが、なんだかんだで「何がしたかったのか」という部分がよく分からない終わり方でした
一連の事件によってジグソウが完成したらなんだったっていうのか、そこら辺がちょっと消化不良
しかも「実はこいつもジグソウとつながっていた」というネタは後出しじゃんけんでどうとでもなるだろうし、それを言い始めたらなんでもアリじゃねえか、と言わざるえない

いちおファイナルで完結らしいですが、どうみても不人気ドラマの打ち切りエンドにしか思えないのは悲しいですね
後半のストーリーを組み立ててしまったゆえにファイナルまで続けたけど、もう限界って感じなんでしょうか

個人的評価:60点
オススメ度:無駄に3D意識しすぎでお寒いですわ





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2011年8月10日水曜日

SAW IV (2007/米)

監督:ダーレン・リン・バウズマン
出演:トビン・ベル / コスタス・マンディロア / スコット・パターソン / ベッツィ・ラッセル / リリク・ベント / アシーナ・カーカニス / ジャスティン・ルイス / サイモン・レイノルズ / ドニー・ウォールバーグ / アンガス・マクファーデン / バハー・スーメク / ディナ・メイヤー / マイク・リアルバ / マーティ・アダムズ / セレイン・ボイラン / ビリー・オーティス / ジェームズ・ヴァン・パタン / デヴィッド・ボイス / ケヴィン・ラシュトン / ジュリアン・リッチングズ / イングリッド・ハート / ニーアム・ウィルソン / ジャネット・ランド / ロン・レア / ジョアン・ボランド / トニー・ナッポ / エマニュエル・ヴォージア / ノーム・ジェンキンス / マイク・バターズ / J・ラローズ


「ジグソウ」の検死中、胃の中から見つかったテープ
連続殺人犯の死後、またゲームがはじまろうとしていた

そういうわけで、SAWだけに、そういうわけでちょっと間があいたけど4ですね
なにはともあれ、前作で一応はまとまった話を今回からどう新展開でみせてくれるのか、そこが楽しみだったんですよ
まあ、このシリーズのファン(?)の職場の同僚からは「ダラダラつづく」と言われてはいたんですが…
うーん、いやあ、ダラッダラですね、マジで

片足棺桶ジジイと娘っこだけでやってたには作業的に無理がなくね?これ力仕事担当の共犯者とかいるんじゃね?
というわけで、ホントにそんな人がいたのかってのをあれこれしてるうちに、仲間の命をかけたゲームにチャレンジする男と、それを捜査してるうちに自分もゲームの一部に組み込まれてしまった男の二段構えの展開
内容的には3のわりとダルダルだった赦す赦さないゲームをメインにもってきて、えっらい蛇足気味なストーリーで固めてみましたって感じですね
そして語られるジグソウのどうでもいい過去話…これはホントにどうでもよくて「なにぃ!そうだったのかあ!」という要素はありませんでした

それでも仲間を救うために捜索しながらも他人の命をかけたゲームに介入させられる男と、それを追いつつ第三者視点で事件を追ってたけど手のひらの上状態な捜査官という二重の捜査劇は緊張感もあってよかった
事件の内側から核心に向かう者と、外側から核心をうかがう者という視点っていうか、そういう構図はおもしろい
まあ、おもしろいんだけど、それをいかしきれてないラストの収束がアレでしたね

しょうじき、今回のラストはよく意味が分からなかった
前作までは道中がちょっとアレでも最後で「あ、そういうことね」と楽しませてくれる要素があったのに、今回は「は?え?ん?」というスッキリしなさがMAXすぎる
一本の映画としてあって困る内容じゃないけど、別になくてもいいよね、と言わざるえない
バトルマンガで宿敵を倒して今回から新展開が始まる、っていうのにいつまでも前の宿敵ネタを引っ張りすぎて新鮮味がないどころか、新たな宿敵みたいなキャラの影が薄くなっちゃってしょんぼり、な様子に似てる
うん、我ながらよく分からない例えだけど、気にしない

見どころのゲーム装置関係もあまりインパクトあるのがなかった気もする、なんとも微妙な一本でした

個人的評価:60点
オススメ度:立つ鳥跡を濁さず、と言いまして




SAW IV 予告


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角川映画 (2009-10-23)
売り上げランキング: 13651

2011年8月7日日曜日

トランスフォーマー ダークサイド・ムーン (2011/米)

監督:マイケル・ベイ
出演:シャイア・ラブーフ / ジョシュ・デュアメル / ジョン・タトゥーロ / タイリース・ギブソン / ロージー・ハンティントン・ホワイトリー / パトリック・デンプシー / ケヴィン・ダン / ジュリー・ホワイト / ジョン・マルコヴィッチ / フランシス・マクドーマンド / ピーター・カレン / ヒューゴ・ウィービング / レナード・ニモイ






チェルノブイリで発見されたパーツから、月の裏側にかつてのオートボット司令官の艦があると知るオプティマス
そして、同時に影を潜めていたディセプコンが姿を現し始め…

1のヒットから2はめいっぱいやりたい放題し、3ではちょっと冷静になって円熟みが増したような気がしないでもない
バトルに次ぐバトルで力押しで走り抜けることをやめ、あるていどドラマ部分を強化することでアクション映画としてのメリハリみたいなものはついたかな
そういう意味ではトランスフォーマーどうしのはちゃめちゃバトルは抑え気味(特に序盤)なので、小さな子供はあまり楽しむ間もなく飽きるだろうな、と思われます
冒頭のシリアスなプロローグから本編のケツ入りとか、大作だけど力を抜くところは抜いてくる作りは今作でも良い感じで作用してますね

人間とオートボットがそれなりに共存が進んでる世界、それでも完全にはエイリアンを受け入れられない人種がいるのも確かで軋轢がうんぬんしている中、ディセプコンは暗躍を始め、サムは前カノのことはなかったかのように新しい彼女をゲットして就活していた
そんな序盤の展開ですが、まあ、しょうじきストーリーとかどうでもいいよね
オートボットたちがかっこよくて、バリバリに金をかけたアクションシーンが楽しめればそれでいいじゃん、という映画ですから
ただ前回までの設定を引き継いだところと、切り捨てたところのバランスがイマイチな感じで、観始めにちょっと「あれ?あれ?」と引っかかりがあるのは否めませんね
どうせならトランスフォーマーという設定だけ残して、あとはキャラとかはサム以外はみんな新規でって感じでいさぎよくやってもよかったかも

カッコイイオートボット→サムのどうでもいい日常生活→コミカルパート→派手派手アクションという繰り返しな感じで展開していき、終盤に向けてテンポが早くなっていく「アクション映画の基本」に乗っ取ってるのはいいですね
どこがクライマックスか分からず、また派手なシーンの連続で一番盛り上がるシーンの前に疲れちゃったなんてことがない配慮はだいじです
特に今回はクライマックスに向けての盛り上がりがすごくて、人の戦いとオートボットの戦いの色分けがよくできてたと個人的には思います

そして、気にしない気にしないと心で唱えてはいても「うーん?」と思ってしまうのがストーリー
ちょっとストーリーを重視してみようかな、といらん力を入れたせいでよけいひどさが増した感じ
やりたいことはわからんでもないけど、どうひいき目にみても前作からのつながりの部分がピンとこないよね
いいから、分かったから、おまえは客を楽しませるアクションだけ作ってろ、な?と言わざるえない

そんなわけで鑑賞後すぐの第一印象ではかなり楽しめた感じだったんですが、こう冷静に振り返ってみると粗もかなり多い作品だってのが分かってきたのでtwitterでの評価からちょっと下げておきますね

個人的評価:80点
オススメ度:ディセプコン、なんか弱くなってね?




トランスフォーマー ダークサイド・ムーン 予告

2011年8月5日金曜日

キャンディマン (1992/米)

監督:バーナード・ローズ
出演:ヴァージニア・マドセン / トニー・トッド / ザンダー・バークレイ / キャシー・レモンズ / ヴァネッサ・ウィリアムズ / ディジャン・ガイ / マリアンナ・エリオット / テッド・ライミ







鏡の前でその名を5度呼ぶと現れる、右手がかぎ爪の殺人鬼「キャンディマン」
そんな「都市伝説」をテーマに論文にまとめようとしていたヘレンは、ある日、実際に「キャンディマン」が引き起こしたという事件現場に取材に行き…

前に観たような?そうでもないような?とうとうボケの入り口をのぞき気味なお年頃か?シリーズ
いや、ホントにこれ前に観たような気もするけど、実際に鑑賞してみるとあまり記憶にないような気もする
まあ、とりあえず言えることは、自分以外の人にとってはどうでもいいってことですけどね

湖畔の悲しき殺人鬼ジェイソン、悪夢の殺人鬼フレディ、忍び寄る黒い影の殺人鬼ブギーマン、その他いろいろいる怪人系殺人鬼もの
とっくの昔にネタとして出し尽くされ、現代ではリメイクやら類似ものでやりくりしてる怪人ネタですが、90年代ゆえに現れた現代系怪人キャンディマン
都市伝説としての怪人、そして殺人鬼
実在するのか、単なる都市伝説か、幻覚か、霊的なものなのか、あやふやな立ち位置が素敵な存在のキャンディマンさん
と、ここまで書いて言うほどホラーに詳しくないんで、もっと新型の怪人が今でも生み出されてたらゴメンね

話的には都市伝説上の殺人鬼キャンディマンを追ってたら、なんか本物っぽいのと遭遇しちゃってさあ大変、って感じ
で、「これは単なる幻覚とかそんなんじゃね?」という流れと、「いやホントにいるし」という展開がゆるゆると波のように揺れ動きながら物語は進んでいきます
もうちょっと詳しく書くと、キャンディマンというゴースト的なものが存在するか、もしくは多重人格ネタか、という「どっちなんだろうな」と考えながら観るのがおもしろいんですね

平凡な主人公の女性がどんどんと墜ちていく演技がよくできていて、なんというかヒロインなのに気取ったキレイさを捨てる時は思いっきり捨ててる感じがいいですね
そして、一方のキャンディマンですが、こっちもこっちである意味で素敵なインパクトがあります
しょうじき右手のかぎ爪以外は怪しいところはなくて、普通にいい男だから困るような困らないような

ホラー作品として怖いうんぬんというより、こういう都市伝説系の日本で作られがちな作風をアメリカではとっくにやってたんだよ、という資料的な意味で観るのが楽しい一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:蜂のシーンがガチなのかどうか知りたい





キャンディマン 予告



キャンディマン スペシャル・エディション (初回限定生産) [DVD]
ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン (2006-07-28)
売り上げランキング: 54720

2011年8月3日水曜日

SAW III (2006/米)

監督:ダーレン・リン・バウズマン
出演:トビン・ベル / ショウニー・スミス / アンガス・マクファーデン / バハー・スーメク / ディナ・メイヤー / マフォー・コーホ / バリー・フラットマン / デブラ・リン・マッケイブ / リリク・ベント / J・ラローズ / コスタス・マンディロア / ベッツィ・ラッセル / ドニー・ウォールバーグ / ニーアム・ウィルソン / ステファン・ジョルジョー / フランキー・G / ティモシー・バード





あいかわらず「ジグソウ」の事件が続くが、最近になって手口にじゃっかん変化が現れる
そんな折、拉致される女性医師とある復讐心に燃える男…そしてゲームが始まる

半ば冗談で書いた映画としての1、ドラマの初回スペシャル版としての2、そしてドラマ第2話としての3という構図
しょうじき途中まで「マジでそんな感じじゃねえか」という雰囲気でしたね
まあ、でも最後まで観たらこれはこれでギリギリ「アリ」なデキでした
ストーリーとしてのおもしろさをさらに削って、グロさをさらに盛った内容で、ちょっと強引にここまでの流れをまとめたのが今作ですかね

今回は「ジグソウ」側にスポットをあてつつ、バックではいつものようにゲームが進行し、さらに過去の1、2の背景とその後の様子を描いてます
まとめとして作られた感じがして、しょうじき一本の映画としては成り立ってない
1、2という過去作を飾り付けし、ラッピングして見栄えをよくするオプション装備としての3という印象で、この3単体では作品としてまったく意味をなさない

それを分かっているのかゴア描写に力を注いできて、そっち方面に気をそらすことで中身の浅さをなんとか誤魔化しきってますね
それでもダラダラ続く「ジグソウ」側の描写のバックで展開するゲームの存在が「ある意味で」おもしろかった
ぶっちゃけ「なんだかなあ。とりあえず間つなぎのためにどうでもいいゲームシーン入れてるよなあ」と観てる最中に思いました
作り手の計算かどうか知りませんが、そう思わせられたことでラストの展開が「なるほどね。そうくるのね」となりました
終わりまあまあよければ全てまあまあよし、という感じで最後まで観れば「まあ、悪くなかったね」と思える作品ですね

というわけで、今作であるていどここまでの話がまとまったわけですが、4ではどう話が展開していくのか期待
1~3の流れにこだわるか、新たな展開をはじめるか、楽しみにしておきます

個人的評価:75点
オススメ度:おまえゲームオーバー言いたいだけ





SAW III 予告



ソウ3 【廉価版1,890円】 [DVD]
角川映画 (2009-10-23)
売り上げランキング: 3407

2011年8月2日火曜日

SAW II (2005/米)

監督:ダーレン・リン・バウズマン
出演:ドニー・ウォールバーグ / ディナ・メイヤー / ショウニー・スミス / トビン・ベル / フランキー・G / エマニュエル・ヴォージア / グレン・プラマー / エリック・ナドセン / ビヴァリー・ミッチェル / ティモシー・バード / リリク・ベント / ノーム・ジェンキンス / トニー・ナッポ / ケリー・ジョーンズ






連続殺人犯「ジグソウ」の事件現場から、そのアジトの目星をつけた刑事エリック
その場所に踏み込み怪しい男の身柄を確保したものの、そこにあったモニタにはエリックの息子を含めた数人の男女が映し出されていて…

完成された「映画」である1を受けて作られたドラマシリーズ「SAW」、その初回スペシャル版がこの作品だ
という印象でしたね
個人的にこのシリーズを観る前に思っていた「グロい殺人ゲーム」が今作にありました
ストーリーを楽しませる1に対し、殺人ゲームを前面に出してきた2、回を重ねるごとに評価がアレな感じになってる要素の片鱗みたいのがうかがい知れるデキでしたね

話的には1の後日談っぽい感じで前作で残された謎みたいのを言葉で説明してくれます
内容は生き残るための殺人ゲームで、ゲーム内と外で別々に物語が展開していくことで単調さをうまく紛らわせてるなあ、と
大まかな話は前作で語りきってる感があるので、今作ではグロさとゲーム感覚を前面にだして頭を使わないエンタテインメント分を強化してる感じ

しょうじき途中まで「なんかいっきにありふれた殺人ゲームになったなあ」という悪い印象しかなかったですが、クライマックスからラストまでの流れで「ああ、そうきたのか」と納得できたのでよかった
あえて謎を濁した1のまま完結してもよかったけど、この2は蛇足という感じまではしなくて「アリ」なデキだと思いますね
1の補足としての2、それほど強烈なインパクトはないけど、けしてあって困るものじゃない
観てる分にも普通に楽しめますし

とりあえず、今後、このシリーズがどんなふうになっちゃっていくのか、テレビドラマの真価が問われる第2話的な位置づけの3に期待したいと思います

個人的評価:80点
オススメ度:個人的に注射器地獄が一番いやんでした




SAW II 予告



ソウ2 【廉価版1,890円】 [DVD]
角川映画 (2009-10-23)
売り上げランキング: 3796