2011年10月31日月曜日

10月のこれ一本

わりと映画館に新作を観に行ったことが多かった今月、なにげに財布の中身がアレな感じ
これから年末にかけても新作ラッシュが続き、他にも色々と欲しいものが発売される現実を前に金の力は偉大だなあ、とじゃっかん世知辛い思考に到達せざるえない

と、それはそれとして今月は「猿の惑星 創世記」が一番印象が強く残ったかな
意外や意外にアクションよりドラマ的な内容重視な作りで、しかも分かりやすい
映像技術も目を見張るものがあるし、内容うんぬんよりそっち目当てで観るのもアリかもしれません

そんなわけで今月はこれまで
11月も出費がアレでナニだけど気にせずマイペースでいきたいですね

2011年10月30日日曜日

ミッション:8ミニッツ (2011/米)

監督:ダンカン・ジョーンズ
出演:ジェイク・ギレンホール / ミシェル・モナハン / ヴェラ・ファーミガ / ジェフリー・ライト / マイケル・アーデン / キャス・アンヴァー / ラッセル・ピーターズ / スーザン・ベイン







空軍のスティーヴンス大尉は目覚めると見知らぬ女性と列車の中にいた
大尉はなぜか別人になってそこに存在し、そして列車は大爆発をおこすのだった

とりあえず「映画通ほどダマされる」とかやめませんか
そう言われたら「ラストがそれまでの流れとは違った側面に転がる」という意外性を身構えて観ちゃうじゃない
しかも「そこまで言うからには…」ってハードルもかなり高くなるし
で、そのラストが散々だったら目も当てられなくなる
この作品はじゃっかん「あー、やっちゃったな」感が漂ってました

爆弾テロの手口と犯人を探るために、過去の爆破事件の最後の8分間を追体験するプログラムに利用される主人公
何度も最後の8分間を繰り返す中で、はたして真相を突き止めることができるのか、みたいな作品ですね
同じ時間を繰り返しながらちょっとずつヒントを集め、時には挫折や脱線しながら事件の真相に迫る…というほど緻密なサスペンスでもない
あまり内容についてあれこれ書くと楽しみにしてる人に悪いので言葉を選ぶけど、けっこう拍子抜けするくらいあるていどは簡単に話が進みます
そして、すべてが分かってる現状で言うなら、もっとサスペンス部分に力を入れてくれたらうれしかったかな、と

事件の謎、主人公とその周囲の人物の謎、そこら辺をいろいろと勘ぐりながら観るのが楽しい作品ですが、個人的にはやはりラストへ向けてのクライマックスの流れが一番おもしろかった
「ほう、そういうラストにもっていきますか」という感じ
ちょっと濁した書き方をすると、ラスト直前の展開に色々な意味で感情が揺さぶられましたね
「ダマされる」とはちょっと違う気がするけど、これはこれでちょっと意外な展開だったわあ、って感じ
と、ここまで観てきた個人的評価はホントにかなり高かった

でも、最後の最後で損してると言わざるえない
いやあ、さすがにこのラストは蛇足だろ
ラスト直前でとどめておいて、あとは匂わす感じで終わってくれた方がありがちだけど個人的にはよかったんじゃないかな
そういった感じで全体的にみると「あとちょっとだけ何か物足りなくて、ほんのちょっとだけ余計なものが入ってる」みたいな印象
サスペンスの部分をもうちょいしっかり描いて、ラストをもっとすっきり描いてくれたらもっとおもしろかったかもしれません
あくまで個人的な好み、と言っちゃえばそれまでですが

個人的評価:85点
オススメ度:人は最後の8分間でなにができるのか、ってか




ミッション:8ミニッツ 予告

ステキな金縛り (2011/日)

監督:三谷幸喜
出演:深津絵里 / 西田敏行 / 阿部寛 / 竹内結子 / 浅野忠信 / 草なぎ剛 / 中井貴一 / 市村正親 / 小日向文世 / 小林隆 / KAN / 木下隆行 / 山本亘 / 山本耕史 / 戸田恵子 / 浅野和之 / 生瀬勝久 / 梶原善 / 阿南健治 / 近藤芳正 / 佐藤浩市 / 深田恭子 / 篠原涼子 / 唐沢寿明






やる気だけが空回りなおちこぼれ弁護士のエミが最後のチャンスとして与えられた案件
その被告の無罪を証明する証人は大昔に死んだ落ち武者の幽霊だった

ポップコーンをぼりぼり頬張りながらクスクス笑ってだらーっと観るのに最適なコメディでした
しょうじき観る前に思ってたイメージを大きく逸脱する「何か」はなかったですが、ホントに安心して作品に身を任せて観ることができるので大きなハズレ要素はなかったですね
突き抜けたものはないけど万人受けする良作、といった印象

幽霊が証人として法廷にあがるけど、姿も見えないし声も聞こえないとかどうよ?というシチュエーションであれこれコミカル大騒ぎする、という内容なんですが、まあ、大方の人が想像してる通りなお話ですね
とりあえず落ち武者である六兵衛のナイスキャラっぷりとエミの掛け合いが楽しくて、さらにそこにまたナイスなキャラな脇役たちがからんでくることで楽しさが倍増してます
法廷ものだけどあまり固い流れはしないで、とりあえず楽しければいいじゃない的なノリでシリアスでリアルすぎる展開にならないのはよかった
けっこう舞台劇っぽさが抜けてて、外に世界が広がってる感はちゃんとしてるので「映画」として観ることができたのは個人的に意外でした
もっと舞台劇っぽいのかな、と思ってたので

コメディとしては完全にすべってて笑えない…というところもあるし、わりとベタなネタが多いですが、大きな笑いより小さい笑いを積み重ねてくるコツコツ系なコメディなので「あー、この笑いは俺には合わないなあ」という人をなるべくださない作りの努力は感じます
事件の真相を解明していくミステリー要素もかなり分かりやすくなってるので、頭空っぽにして観てても問題ないですね
あと、たぶん色々と小ネタが仕込まれてるようなそうでもないような感じがするんですが、気のせい…ですかね
エンドロールのキャストを見て「無駄すぎるキャスティングが逆におもしろい」的な小ネタは気づきましたが…

というわけで、誰が観てもわりと楽しめる、そんな大衆向け娯楽作品としてよくできた一本でした

個人的評価:90点
オススメ度:良い意味で観た後に何も残らない




ステキな金縛り 予告

2011年10月29日土曜日

007/ドクター・ノオ (1962/英)

監督:テレンス・ヤング
出演:ショーン・コネリー / ジョゼフ・ワイズマン / ウルスラ・アンドレス / ジャック・ロード / バーナード・リー / ロイス・マクスウェル








ロケットに妨害電波を照射する施設を探っていた諜報員がジャマイカで消息を断つ
その謎を追って諜報員007ことジェームズ・ボンドが現地にむかう

実はこんな有名作品も観てないにわか映画ファンなんですシリーズ
というわけで「ダブルオー」派と「ゼロゼロ」派が今日もしのぎを削る問題作の第一作ですね
しょうじきもっと飛んだり跳ねたりトンデモスパイグッズ&マシンでひゃっほーする内容かと思ってたんですが、けっこう地味な捜査ミッションな感じでした
ショーン・ザ・伊達男を堪能する映画といった印象が強いです

なんかジャマイカで航空機に対して妨害電波だしてる施設があるみてえなんだけど、現地のエージェントと連絡つかなくなったんだわ。ジェームズちゃん、ちょっと行って見てこいや
そんな感じで潜入ミッションがはじまるわけですが、渡航直後からすでに敵にはバレバレとか組織のセキュリティー的な問題があまりにアレなんじゃねえの、と思わざるえない
で、敵が罠をはって待ってる現地でジェームズさんが機転をきかせたりラッキーでうまくかわしつつ、あからさまに怪しいのにそれまでノーチェックだった敵のアジトへと向かう、と
ストーリー的にはかなりうっすい感じだけど、出てくるキャラがみんな個性的で、そんなキャラを愛でるための映画といってもいいかもしれません

話の展開はスピーディで飽きる間もなく次々にロケーションも変わり、ストーリーじたいの退屈さからくるつまらなさを軽減してますね
でも変に無音なシーンが長いこと続くのが眠気を誘う時もありますが
あとは敵のボスのキャラも個人的に好きでしたね
知的な紳士なんだけど、あの手とかインパクトもあり、ジェームズと対峙するシーンの掛け合いとかホントにおもしろかった
形だけで中身は小物なインテリボスじゃなく、ホントに大物っぽい振る舞いが素敵でした

と、観終わってから気づいたんですが、これもう50年も前の作品なんですね
うーん、これは「色あせない」系の有名作に入ります
確かに古くささは隠せないけど、今、観てもそんなに違和感がないしおもしろい
大作と呼べるかどうかは別として、娯楽作品としてはかなり楽しめました

個人的評価:80点
オススメ度:うん、どう見ても竜だね。うん




007/ドクター・ノオ 予告



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20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン (2007-08-25)
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2011年10月25日火曜日

ランゴ (2011/米)

監督:ゴア・ヴァービンスキー
出演:ジョニー・デップ / アイラ・フィッシャー / アビゲイル・ブレスリン / アルフレッド・モリナ / ビル・ナイ / ハリー・ディーン・スタントン / レイ・ウィンストン / ティモシー・オリファント / イアン・アバークロンビー / ギル・バーミンガム / クローディア・ブラック / スティーヴン・ルート / ネッド・ビーティ / ブレイク・クラーク / リュー・テンプ / ジョー・ヌネズ / ジョン・コスラン・Jr





交通事故により荒野に放り出されたカメレオン
砂漠を渡りたどり着いた先で出任せ武勇伝を語り、凄腕のヒーロー・ランゴを演じることになる

デップさん(別府さん的発音で)がカメレオンを演じるCGアニメですね
しょうじき日本での公開時期は「カウボーイ&エイリアン」とかぶってて、しかもあっちの影にじゃっかん隠れるような感じになっちゃってるこの作品、実は観てみたら意外や意外にけっこうおもしろい
とりあえず「カウボーイ~」よりは数段おもしろい
キモカワっぽいキャラで子供向けな愛と勇気と友情もの、かと思いきや普通に死人はでるし単なるゆるい子供向けってだけじゃないのもいい

口から出任せで町のみんなから一目置かれる存在になったランゴが、ちょっといい気になってヒーローを演じてるうちに本物のヒーローになる…ことができるのか?ってな感じの内容
水不足に悩む町、でもそんな水不足には裏になにかしらのカラクリがあるんじゃねえの、という謎と西部劇っぽいシチュエーションのドタバタコメディがうまく融合してます
CGアニメであることをふまえた上で、単に「CGすげー」という技術的な感嘆の先をいく最近のCGアニメ作品同様この映画も普通に映画としてもおもしろい内容になっている
ストーリーじたいに目を見張るものはいっさいないけど、飽きさせないように次々とシーンを展開していき、ほどよいタイミングでスピーディでアップテンポのアクションシーンを挿入してくる
内容うんぬんというより「観てて楽しい」系の作品ですね

ただ一点、どうしても違和感があるのが自警団を組織してみんなで冒険をする話
しょうじきいって中だるみ以外の何物でもないし、思い切って編集して全体的に尺をコンパクトにまとめた方がよかったんじゃないのかな、と素人ながら感じざるえない
単調なストーリーにちょっとしたアドベンチャー要素を加味してアレしようとしてる意図は分からんでもないけど、けっきょくなんか蛇足感だけが残っちゃった、かな?
でもそこを乗り越えれば再加速して楽しくなるので、眠気もひけていきます
クライマックスも王道な展開ながら、ホントにスピーディーに話が次々展開していくので、細かい「ん?」とというひっかかりにつっこむ間をあたえず、とにかく突っ走るのでそんなパワープレイの波をめんどくさいから受け入れちゃうしかない
ごり押しも最後まで貫き通せば勢いがあっておもしろい、と感じるから不思議

幼女(?)は見た目かわいげがあるのに、ヒロインがアメリカンデザインすぎてかわいくないという点ががっかりですが、ランゴのダサかっこよさはうまく描けていて「主人公がカメレオンでもいいじゃない」と思えてきます
なんとなく次回作もできるようなにおいがしてるので、またデップさんのランゴにあえる日を楽しみに待つとします

個人的評価:85点
オススメ度:後半、もうちょっと笑いの要素がほしかった気がしないでもない



ランゴ 予告

スマグラー おまえの未来を運べ (2011/日)

監督:石井克人
出演: 妻夫木聡 / 永瀬正敏 / 松雪泰子 / 満島ひかり / 安藤政信 / 津田寛治 / 森下能幸 / 寺島進 / 松田翔太 / 大杉漣 / 阿部力 / 我修院達也 / テイ龍進 / 島田洋八 / 清川均 / 高嶋政宏 / 小日向文世







自堕落に生きていた俳優くずれの砧(きぬた)は、300万円の借金を返済するためにヤバイ臭いのする運び屋のバイトをすることに
一方、殺し屋の「背骨」と「内蔵」は暴力団、田沼組の組長がいる取引現場に踏み込んできて…

とりあえずこれ主人公は砧くんなんです…よね?
どう見ても運び屋の先輩ジョー、殺し屋の背骨、狂犬の河島にキャラを食われてて、めちゃくちゃ影が薄いんですけど
体感的にあんまり出番がないというか、脇役のポジションな感じがしてならなかった
かといってジョーや背骨が主人公にみえるような話でもないし…
その筋のプロフェッショナルたちが活躍する世界に素人が飛び込んで、いろいろとドタバタしながらも一目置かれる活躍をみせる、という黄金パターン系な内容かと思ってたけどそうでもない
ちょい役なキャスティングにも無駄にがんばってるせいで、ホントに主人公の砧くんの存在感が埋もれてしまっててもったいない、かなと

話的には運び屋と殺し屋とヤクザがあれこれしながら衝突して、砧くん大ピンチなのだ…って感じ
青年マンガ的なバイオレンスとコミカルな要素をまんま映像化しました、というような演出で、ホントにアニメっぽいというか観るマンガみたいな印象が強かったですね
キャラの立ち振る舞い、台詞回し、アクションシーンどれをとってもマンガくさい
いっそのことTVアニメでやった方がいいんじゃないのか、という感じの内容でした
まあ、でもこうわざわざ映画として作ってくれた今作も個人的にはたいへん楽しめました
背骨の超絶回避行動とか、河島の変態っぷりとか、ぜったい制作陣はノリノリで楽しんで作ってるだろ、と伝わってきて観てる方も楽しくなります

そしてこの映画を語るなら皆ぜったい口にするだろう「拷問シーンの痛さ」
いやあ、ホントにこりゃ痛いですわあ
「いやいや、痛い痛い…。はやく、はやく助けてあげて!」とガチで思わざるえない
そんな拷問シーンでも「なんでこいつはそうまでして耐えるんだ?」という疑問が常に頭についてまわるけど、そういう細かい(?)ツッコミどころは無視した方が楽しめますね
たぶん根性とか男気とか、そんな精神論的なアレがけっこうつまった映画なんだよ、と
あと、最後には覚醒する砧くんですが、最後の最後ではけっきょく影がうすいところに落ち着いてしまって、ホントにうっすい主人公だなあ、と
その分、他のキャラがイヤってくらいに観てる側を楽しませてくれたからいいけど、どうせならゲーム「SIREN」のSDKみたいにぶっとんでほしかったなあ

そんな感じなこの作品、マンガ的な独特の演出に拒否反応をしめす人もいるでしょうが、そこを受け止めた上で細かいツッコミを封印すればけっこう楽しめる一本でした
うん、かなり人を選びますね

個人的評価:80点
オススメ度:親分の奥さんの過剰演技はさすがに、ちょっと…ね



スマグラー 予告

2011年10月23日日曜日

カウボーイ&エイリアン (2011/米)

監督:ジョン・ファヴロー
出演:ダニエル・クレイグ / ハリソン・フォード / オリヴィア・ワイルド / サム・ロックウェル / アダム・ビーチ / ポール・ダノ / ノア・リンガー / アビゲイル・スペンサー / バック・テイラー / クランシー・ブラウン / クリス・ブラウニング / アナ・デ・ラ・レゲラ / キース・キャラダイン / ブレンダン・ウェイン / トビー・ハス / ウォルトン・ゴギンズ / デヴィッド・オハラ / フリオ・セサール・セディージョ





西部開拓時代、荒野で目覚めたひとりの男は記憶を失っており、左腕には鉄の腕輪がはまっていた
とりあえず町までやってきた男はそこで謎の飛行物体の襲撃を受け…

もしも西部劇のシチュエーションでエイリアンとのバトルをやったら~、という企画もの映画
ええ、はい、この映画はホントにそんなカウボーイとエイリアンのバトルを描きたかっただけの内容になってます
しょうじき言って、敵がエイリアンという以外のウリはいっさいありません
本気で作ったB級エンタテインメント作品と思ってただけに、けっこう悪い意味で期待を裏切られましたね

記憶をなくした男が持つ、唯一エイリアンと対抗できる武器「左腕の鉄の腕輪」
町を襲い、人々を連れ去っていくエイリアンを追って、立場や人種を越えた人々が共闘して敵の拠点を目指す…ああ、なんてうすっぺらいストーリーなんでしょうね
どきどきもわくわくもビックリもどっきりもない、平坦でオーソドックスな展開になんとも退屈感がつのります
ただ、雰囲気はホントにいい
西部の野郎どものいちいちかっこいい姿に惚れるほど西部劇ものとしての魅力はある
このまま普通に西部劇ものとして描いてくれた方が楽しめたんじゃないのか、と思うほど

とりあえずこの作品においてカウボーイとエイリアンを組み合わせた利点が感じられない
西部劇ものとすれば「別に敵がエイリアンである必要性がない」
エイリアンものとすれば「別に西部開拓時代である必要性がない」
そして、記憶をなくした主人公と腕輪のエピソードもオチが非常にしょぼい
「失った記憶って、おまえそのていどかよ」と、主人公の正体が分かってもいまいち盛り上がるものがないんですよね
あと敵のエイリアンの目的もじゃっかんなんだかなあ、な感じ
全体的になんともはじけきれてない感が強いですね

とりあえずアパッチが出てきたあたりからのダメな意味での「うわあ…」感は逆に観る価値があるんじゃないか、と思ったりそうでもなかったりな一本でした

個人的評価:60点
オススメ度:古くさくて分かりやすい演出が逆に萎える




カウボーイ&エイリアン 予告

2011年10月22日土曜日

脳内ニューヨーク (2008/米)

監督:チャーリー・カウフマン
出演:フィリップ・シーモア・ホフマン / サマンサ・モートン / ミシェル・ウィリアムズ / キャサリン・キーナー / エミリー・ワトソン / ダイアン・ウィースト / ジェニファー・ジェイソン・リー / ホープ・デイビス / トム・ヌーナン / セイディー・ゴールドスタイン / ロビン・ワイガート / ジェリー・アドラー / リン・コーエン






劇作家であるケイデンにおとずれる大小様々な不幸
そんな折、演出した舞台が賞をとり大金が転がり込んできて…

なんというか、ひじょうに感想というか思ったことを書きにくい映画でしたね
だって、こんなパッケージ見たら「アホ丸出し」なやりすぎコメディだと思うじゃない?
それなのに、フタを開けてみたらぜんぜん違って、なんとも「分かる人には分かるんじゃねえの」的なスタンスがぷんぷん匂ってくる内容だし
ちょっと考えて「ウフフ」と紳士的に(?)笑う、みたいななんとも言えない作品…?
うーん、こうちょっと濁した言い方しかできないくらい、個人的にあまりこの映画を理解できてないですね

笑えるようで笑えないちょっとシュールな日常の中、なんとも小さな不幸を積み重ねる主人公のケイデン
とうとう妻と子供は出て行ってしまうまでにいたるが、そんな時、重大な賞に選ばれた連絡が入る、というのが序盤の展開なんですが、ね、こう文章で書いてもちっとも伝わらないと思います
というか、うまく伝える能力が私にはないです
シュールな世界観系コメディかな、と最初は思って観てたんですが、どうにも話の進み方は重いし「笑っていいのかそうでもないのか判別が難しいシーン」が多すぎる

ようするに「天才」劇作家の主人公が見ている世界をまんま投影してるって演出だと思うんですが、それがリアルからちょっと外れたリアルな世界で、どうせなら思いっきり誇張した異世界めいたものを描いてくれればすっきりするのに、なんとも中途半端に現実的すぎる
さらに時間軸もごっちゃごちゃで、「ケイデンの世界」に付き合うのはホントに疲れます
でも、それが不思議と苦痛じゃなく、みょうに楽しいから不思議なんですね
テンションが終始一本調子なんで眠くはなるけど、つまらないというわけじゃない
なんか変わったものを見せられて、それを己の中でかみ砕いて理解しようとしてるうちにラストをむかえるので知恵熱みたいな感じで個人的に眠くなったのかもしれませんね

全身劇作家の世界、人を選ぶけどなんともいえない変な味があるのは確かでした

個人的評価:70点
オススメ度:分かりづらいグイド・コンティーニ




脳内ニューヨーク 予告




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ポニーキャニオン (2010-07-21)
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2011年10月19日水曜日

大いなる幻影 (1937/仏)

監督:ジャン・ルノワール
出演:ジャン・ギャバン / ピエール・フレネー / エリッヒ・フォン・シュトロハイム / ジュリアン・カレット / ディタ・パルロ / ダリオ / ジャン・ダステ / ガストン・モド








第一次世界大戦のさなか、ドイツ軍の捕虜となってしまうフランス軍のマレシャル中尉とド・ボアルデュー大尉
将校用捕虜収容所に入れられたふたりは、そこで同じ境遇の仲間と出会い脱獄の話を持ちかけられる

たまーに観たくなる古い映画
そんな感じでこれを選んだわけですが、なんというかさすがに古すぎて分かりづらいシーンがありましたね
とりあえず主人公ふたりが捕虜になる出だしの展開がちょっと分からなかった
しばらくして「よく分からない流れだなー」と思って鑑賞を中断、ネットであらすじを調べてはじめて「ふたりは飛行機で偵察に出て、その時に撃墜され捕虜になった」という点が分かりました
ええ、上で書いた「」内の展開は本編ではいっさい描かれてません
それなりに行間は読めるつもりでしたが、これはさすがにキツイですわあ

戦争による捕虜の脱走もの、といえば単純なんですが、この作品はなんとも皮肉めいた作りが小憎らしくておもしろい
とりあえず捕虜にはなったけど将校待遇により、個室まではもらえないけどわりと自由に行動できる主人公たち
フランス本国から各捕虜個人あてには普通に缶詰やらなんやら物資は届けられるし、ドイツ軍もピンハネしてる様子もなく素直に荷物は受け渡してくれる
ドイツ兵は脱走やらよほどの規律違反しないかぎり何もしてこないし、しょうじきフランス兵捕虜たちは悠々自適にさえみえる
そんな中でも脱走計画は進んでいく、という流れ

そして後半のいよいよ脱走できる、という感じになると主人公のひとりであるマレシャルはもうひとりの主人公のことを貴族であるがゆえになんとなく壁を感じる、みたいなことを言い出すんですね
でもそんな貴族出身のド・ボアルデューは…みたいな描き方も皮肉めいてておもしろい
他にもいざ脱走してみたら、捕虜生活の方が…とか、逃亡生活の中で戦争で愛する者を失った女との出会いとか、ホントにシニカルなストーリーを楽しむ作品かもしれません
あとはホントにこんな古い作品なのに、当時すでにこれだけの戦争に関する皮肉なテーマを描いてるのはすごいんじゃないかな、と
国境なんて人間が決めただけで自然からしたら無意味、みたいなことを言ってみたり「もう当時からそういう考えはきちんと確立してたんだ」と思わざるえない
そして、そんな目に見えない国境がうまく作用するラスト、これもいいですね

全体的に古すぎて鑑賞するにもツライところは多々ありますが、当時から現在でも描かれる戦争もののテーマをやってる映画、という資料的な意味でも楽しめた一本でした

個人的評価:75点
オススメ度:非道じゃないドイツ軍人の描写が新鮮すぎる




大いなる幻影 予告



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2011年10月18日火曜日

キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー (2011/米)

監督:ジョー・ジョンストン
出演:クリス・エヴァンス / トミー・リー・ジョーンズ / ヒューゴ・ウィーヴィング / ヘイリー・アトウェル / セバスチャン・スタン / ドミニク・クーパー / トビー・ジョーンズ / スタンリー・トゥッチ / ニール・マクドノー / デレク・ルーク / ケネス・チョイ / リチャード・アーミテージ / JJ・フィールド / ブルーノ・リッチ / サミュエル・L・ジャクソン






背が低く、肉体的にも貧弱なスティーブンは、なんとか国のためになりたいと軍へ入隊しようとするがことごとく身体的理由から拒否され続ける
5度の挑戦もむなしく軍へ入ることができない彼にある計画の候補生として兵士になるチャンスが与えられ…

スーパーMARVEL大戦な「アベンジャーズ」に向けての布石作品シリーズ(?)な映画ですね
思ったよりマンガチックで、なんとなく「重そうな」雰囲気のする画面とは裏腹にかなり軽い内容になってます
よくあるヒーローもののワンマンアーミー展開ではなく、キャプテンとして部隊を率いた戦いをする点は楽しめました
けど、それ以外の部分がどうにも物足りなさバリバリで総じて微妙な感じになってる、かな

虚弱な彼がむっきむきに大変身して正義の心で悪を討つ、ひじょうにシンプルで分かりやすい「アメリカやっほい」な内容
スティーブンがキャプテン・アメリカになるまで、そしてヒドラ党と本格的に戦い始めるまでの流れはホントによくできてる
スティーブン→キャプテン・アメリカ→真キャプテン・アメリカというワンクッションある流れはちょっとおもしろい
かなりテンポもいいし、予告であるようにキャプテンがガンガン活躍するまで退屈することなく、スムーズに話が進みます

でも捕虜救出、ヒドラ党とキャプテンとの戦いが本格的になってくる展開になった途端に流れがおかしくなってる気がする
スピーディなテンポ、キャプテンのかっこいいアクション、うん、ボーッと観てる分には「なんかすごい」感はするんだけど、あまりにテンポよすぎてダイジェスト展開すぎる
さすがにクライマックスにもなるとじゃっかんテンポが落ちてじっくり描いてる気もするけど、それでも流れが速すぎてじゃっかんダイジェストっぽい印象がしましたね
けしてつまらなくはないんだけど、ボリボリとむさぼってたポップコーンがいつのまにか食べ終わっちゃって、それでいてなんかお腹が物足りない…分かりづらいかもしれないけど、そんな感じ

あまりにキャプテンが無敵すぎて、これといったピンチがないからライバルであるおっちゃんが小者すぎるようにみえてしかたない
ヒドラ党がなんか終始劣勢で、すごい科学力を持ってるのにアメリカを追い込むようなこともなく、あっさりキャプテンたちの部隊にやられっぱなし状態ってどうなんスかね
ラスボスもなんかキャプテンを絶体絶命に追い込むことなく自滅するし、ラストもラストで「アベンジャーズ」につなげることしか考えてないし…
なんというか、もっと一本の映画として描いてみようぜ、と言いたくなる

最後の最後で「アベンジャーズ」の予告もってくるのもいいけど、ホントに期待していいのかなあ
そこにつなげるまでの作品をこんな風に作られたんじゃ、しょうじきあんまりわくわく感がわいてこないんだよね
「2012年、夏か!よっしゃ!待ってるぜ!!」と素直にテンションが上がらない一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:いろいろとあっさり死にすぎだろ…




キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー 予告


2011年10月17日月曜日

クローバーフィールド HAKAISHA (2008/米)

監督:マット・リーヴス
出演:マイケル・スタール・デヴィッド / マイク・ヴォゲル / オデット・ユーストマン / リジー・キャプラン / ジェシカ・ルーカス / T・J・ミラー









昇進と転勤が決まったロブのために開かれるお別れサプライズパーティー
そのさなか、地鳴りとともに建物が大きく揺れ、外では謎の爆発が起き…

前から手もとにあったけど観てなかった作品シリーズ
とりあえず「酔う」と評判の作品ですが、ビル内の斜めってる画のとこ以外では個人的に問題なく鑑賞できました
うちのしょぼいテレビだからアレだっていうのもありますが、公開当時に劇場で観た人に聞いたらマジで「酔った」らしいです
やっぱりこのてのハンディカメラ演出ものはちっさい貧乏人サイズの画面で観るにかぎる、のか?

けっこう有名な作品だから今さらネタバレもなにもないだろうけど、いちおそこら辺は考慮して書きます
とにかく内容について知らないで観た方が楽しめる作品であることは間違いないんですが、フタを開けてみたら「おお、そうくるのか!」と受け入れられる人限定…と完全に楽しめる人はごく限られてくるかもしれません
謎の地響き、謎の爆発、そしてすっ飛んでくる自由の女神の頭…もうこの序盤の展開だけで個人的にわくわくが止まらない
その後も主人公たちを含めた集団をしばらく描く展開はけっこう珍しい流れなんじゃないかな、と思いましたね
たいがいはその他大勢の群衆にはサッと消えてもらって、主人公グループだけにしぼって描写していくのがパターンだけに、きちんと「その他大勢」を描いてるのはポイント高いです

この作品の特徴として、「読み解くヒントを与えておいて、本編では多く語らない」というのがあります
観てて「ん?」と思う点にはたいがい裏設定が用意されてて、ネットなどにちりばめられた情報を拾ってくることで「もしかしたら、こういうことなのか」と自分なりの解釈を楽しめる
悪く言えば「すっげー、めんどくさい」映画ですね
女性陣が痛みに対してタフすぎる、アレがあまりにも主人公を追従しすぎ、明らかにサイズが小さい気がするアレが出てくる、最初はそんな「ん?」と思った点はツッコミポイントだと認識してたんですが、観終わってからネットで有志たちが考察してるサイトをめぐってみると、けっこういろんな説があって楽しいですね
うん、個人的に自分であれこれ考えるのめんどくさいんで、そんな他人の考察に便乗して「分かったふり」することでよしとしました

ネタ的にはそう目新しいものはないんですが、やっぱり「この視点」で描く臨場感と、こういう事態によってふりかかる個人の災難みたいなのはよく描けてて楽しい
けっこう人を選ぶ系の作品かもしれませんが、個人的にはかなり楽しめた一本でした

個人的評価:80点
オススメ度:日本のおもちゃ屋に、そんなにそっち系のアイテムがおいてあるのか?




クローバーフィールド HAKAISHA 予告



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2011年10月16日日曜日

ブリッツ (2011/英)

監督:エリオット・レスター
出演:ジェイソン・ステイサム / パディ・コンシダイン / エイダン・ギレン / ゾウイ・アシュトン / デヴィッド・モリッシー / マーク・ライランス / クリスティーナ・コール / ルーク・エヴァンス / ロン・ドナキー / ネッド・デネヒー / ニッキー・ヘンソン








刑事のブラントは行きすぎた暴力により新聞沙汰になることもしばしば
そんなブラントの管轄下で連続警官殺し事件が発生し…

みんな大好きジェイソン兄貴の新作ってことで観に行かないわけにゃいかねえぜブラザー
まあ「メカニック」はすっかりスルーしてるけど気にしない
イギリス映画っぽいスタイリッシュでPVの延長線上のような作りの作品かな、と思ってたんですが、なんともいえないデキになってましたね
一言でいうなら「ジェイソン兄貴でもってる映画」

犯罪者に存分に暴力をふるえる刑事という仕事を天職とするブリッツは、いろいろと問題をおこしている中で「警官殺し」の事件を追うことで挽回のチャンスを与えられる
別の分署からやってきたゲイとコンビを組んで犯人を追う、という非常にシンプルなストーリー
すぐに犯人の目星がついたり、いろいろと設定がでてきたり、サブストーリーも展開するテンポのいい作り…といいたいところだけど、実際はごっちゃごちゃになってるだけ
シンプルで重たい格安クロスバイクにごてごてとオプションを取り付けた結果、なんとも付けた本人はカッコイイと思ってるだろうけど端から見たら「うわ、ダサっ…」ってイメージ

まず黒人婦警さんのエピソードが無駄に長い
この尺の作品でそこまで時間割いて描きたいことなのか、と言わざるえない
そのくせに主人公はゲイの刑事とはなんか唐突にコンビを組んで、いわゆる「リーサルウエポン」的なバディものの刑事ドラマにもっていこうとするけど、肝心の相棒のエピソードが薄すぎる
主人公の設定として「ブラックアウトが…」とたまに言うけど、その設定がまったくいかされてなくて、本気で「その設定いるのか?」と思わざるえない
アクションシーンもなんかイマイチで兄貴主演のわりにこれといったすごいアクションがない
で、軸となる事件の真相ですが、真相もなにも「実は○○だった!」という事件の裏に隠されたものがない
あまり映画作品について深く語れる言葉をもたない私でも「なんかブレブレな作品だなあ」と分かるほど、ホントにブレまくりな内容

シンプルな内容でもどっしり構えた作りな映画は面白いけど、こういう軽くってブレてる映画はどうにもならないなあ、と
マジでこれジェイソン兄貴が主演じゃなかったら観る価値を失うんじゃないか
というわけで、総合的にすっごいつまらないわけでもないけど、悪い意味で「普通」な一本でした

個人的評価:60点
オススメ度:無敵ぶりといい説教しながらボコるところとか、兄貴はセガール先生の位置を狙ってるのか?




ブリッツ 予告


2011年10月12日水曜日

ザ・グリード (1998/米)

監督:スティーヴン・ソマーズ
出演:トリート・ウィリアムズ / ファムケ・ヤンセン / アンソニー・ヒールド / ケヴィン・J・オコナー / ウェス・ステューディ / デリック・オコナー / ジェイソン・フレミング / ウナ・デーモン / クリフ・カーティス / クリフトン・パウエル / トレバー・ゴダード / ジャイモン・ハンスゥ / クリント・カーティス







洋上のあるポイントを目指し、金を払えばなんでも運ぶ船長フィネガンが顧客である武装集団をのせて小型艇をはしらせていた
一方、超豪華客船では謎の物体の急接近を感知、そして接触により強靱な船体が大きく揺れる

前から手元にあったけど観てなかった作品シリーズ
というわけで、テレビでも放送されることも多い(?)B級外洋モンスターパニックアクションの決定盤のこの作品、こんなにも自分好みなのになぜ今まで観なかったのか不思議でならない
まあ、積みDVDタワーの下層に埋もれてただけなんですがね
とりあえず10人観たらほぼ全員がB級映画と認めるだろうザ・B級映画

超豪華客船でおこる海中からの謎の接近ブツ&衝撃、そして主人公であるフィネガンがはしらせる小型艇では怪しげな武装集団がのっている
序盤は客船サイドとフィネガンサイドで物語が別に進み、ふたつの話が交差した時から本番という感じのB級映画のくせにシャレた手法をとってる内容ですね
とりあえず作品的に「すっげー」と思う点はそうないけど、演技、美術、演出の安定感はかなりのもので、どっしりと腰をすえてるB級界の横綱と呼んでもいいような言い過ぎなような映画、という印象

とりあえずツッコミどころが多すぎて、もう「そういうもんなんだ」とわりきった方が精神衛生上いいですね
そういう細かいところが気になってしかたがない、って人にはちょっとツライかもしれません
海賊が運び屋の船をやとって獲物を襲ったり、海水で満たされたせまい通路内で人がいるのに手榴弾(みたいなの)を爆発させるし、もう「その場が盛り上がればすべてOK」なノリがすべてを支配してます
色々と破綻してる展開なのに不思議な安定感があり、じょじょに観てる方も細かいツッコミどころなんかどうでもよくなってくる
この頭が悪い展開がいいんだよ、と思えてしまう納得のB級映画

そんなわけで、ホントにB級映画の教科書みたいな作品で、バカバカしいけど楽しくておもしろい、観てて苦痛にならないという点はすごいな、と思えた一本でした

個人的評価:80点
オススメ度:このオチはありきたりだけど、続きがみたくなるわあ




ザ・グリード 予告



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2011年10月9日日曜日

ツレがうつになりまして。 (2011/日)

監督:佐々部清
出演:宮崎あおい / 堺雅人 / 吹越満 / 津田寛治 / 犬塚弘 / 梅沢富美男 / 田山涼成 / 山本浩司 / 中野裕太 / 大杉漣 / 余貴美子









売れないマンガ家の妻・ハルさん、生真面目で几帳面な夫・ツレ
ある日、ツレが体調不良をうったえ、病院で診てもらうとうつ病と診断されてしまうのだった

クスっと笑えて心があったか、そしてジーンときて終わる
いや、普通そういう系の作品だと思うでしょ?
これは個人的な意見ですが、ビックリするくらい「心に何も響かない」ってどうよ
わざとか?わざとこう王道の泣かせコミカルドラマ路線に乗らないように作ったのか?と思わざるえない

クソがつくほどマジメで几帳面なツレが会社ではクレーム係で顧客からは苦情、上司からは苦言を言われる日々が続く
他人のことを気にかけすぎるところもあるツレはどんどんと内にたまるものをためていき、ついにはうつ病になってしまうけど、金銭面を支えている立場のツレは無理を続けてしまい…みたいな感じの内容
わりとシリアス路線が続き、うつ病について個人的には知識ないけど、オーソドックスで話的に分かりやすい表現でうつ病を描いてる…という感じはしますね
さらにうつ病患者に対してタブーであろう言葉や行為を重ねることで、どんどんとツレが追い込まれていく展開にし、それをうまく演じてるツレははまり役

一方でホントに個人的に「どうしようもねえな」としか思えないハルさんの存在がひどい
観てて明らかに「おまえもうつ病の原因の一端だろうが」と思えるのに、そこら辺はスルーぎみに会社がみんな悪いみたいな流れになってるし
ハルさんが考える「がんばらない」ということを間違ってるとは言いませんが、その「がんばらない」ことでハルさんに降りかかるツライ試練みたいのがあってもよかったんじゃないですかね
金銭的にかなりヤバイことになってても表面上は「がんばらない」ことで乗り切ったり、ツレとの付き合いやうつ病との向き合い方ももっと裏では苦労しながら「がんばらない」パワーで立ち向かう…そういう苦労がハルさんには見えないんですよ
しょうじき自分のことしか考えてなくて、しっかりとツレやうつ病と正面から向き合ってない感じがしてならなかった

ハルさんとツレにのしかかる苦難のレベルが、どうにもツレの方が大きすぎてハルさんの思いや行動がすっごい他人ごとみたいだな…と感じられる
ツレの日記にある「ハルさんの隠れた優しさ」みたいのを、映画上ではもっと表に出して描いてくれた方が感情移入できたのに
納豆のにおいのシーンでは本気でハルさんに嫌悪感を抱いた
がんばらない、いつもどおり、もいいけどよけいな一言くらいは内にしまっとけよ
こっちはもっと、こう、内に隠した優しさを相手に悟られないようにいつも通りの日常を送る、だけど相手はお互いそんなことを気づいていたっていう、そういうのを観たいんだよ

今までの自分のダメダメだった点にハルさんが気づいていく、なんでそういうのを描かないのか理解できない
あと風呂場のクライマックスシーン以後が蛇足すぎて、すごい退屈だった
ホントにツレはいい感じに描かれてるのに、なんでここまでハルさんが残念なんだろうと思った一本でした

個人的評価:40点
オススメ度:同窓会での素人臭いスピーチの夫婦は原作者なのかな?




ツレがうつになりまして。 予告


2011年10月8日土曜日

猿の惑星:創世記(ジェネシス) (2011/米)

監督:ルパート・ワイアット
出演:ジェームズ・フランコ / フリーダ・ピント / ジョン・リスゴー / ブライアン・コックス / トム・フェルトン / アンディ・サーキス / デヴィッド・オイェロウォ / タイラー・ラビーン / ジェイミー・ハリス / デヴィッド・ヒューレット / タイ・オルソン / マディソン・ベル / マケンナ・ジョイ / カリン・コノヴァル / テリー・ノタリー / リチャード・ライディングス





アルツハイマーの新薬を研究しているウィルは、ある日、画期的な薬を開発してチンパンジーに投与する
効果は上々であったが突如チンパンジーが暴走の末に射殺、研究も頓挫する中で暴走したチンパンジーの子供を育てることになり…

創世記と書いてジェネシスと読む、というめちゃくちゃうさんくさいB級テイストあふれるタイトルながら、中身はいたってマジメにしっかりと作り込んでありました
VFXがなんちゃらって感じで「アバター」を引き合いに出されて比べられることも多いですが、こういう現代のリアルワールドで猿が飛んだり跳ねたりしてるだけで「おお、すっげ」と思えるくらいの迫力はあります
人類VS猿の反乱軍という図式でワイルドアクション中心に展開するのかと思いきや、実際はそうでもなくてちょっと予想してた作品と違いましたね

実験動物として暴走後に殺処分されたチンパンジーの子供をシーザーと名付けて家で育てることにしたウィルだったけど、その子供にも脳の活性化があらわれる
もちろんチンパンジーなど近所の人から見れば凶暴な野生動物にしかすぎず、シーザーが頭がよすぎるがゆえに人と猿の間で乗り越えがたい溝が広がっていく
とりあえず言えるのは「創世記」なんていうから、人間に絶望したシーザーが仲間を集めて人類に反旗を翻す…って内容かと思ってたんですが、そういうのとは違った作品でした
猿軍団と人類軍の原始VS近代バトルアクションという要素はほとんどなく、どちらかといえばシーザーを軸にした親と子の物語、もしくはシーザーの成長記といったドラマよりの話でしたね

しかし、それがつまらなくて退屈ってわけじゃなく、いちいちシーザーがかっこよく描かれていて、その姿を見てるだけでも楽しいです
特に後半なんかシーザーが立ってるだけで「かっこいいなあ、おい」と言わざるえないし、猿軍団を指揮する姿はしびれるあこがれる
もちろんそんな後半の猿軍団&シーザーもいいですが、前半のウィルとの日常編もおもしろい
日常の中でチンパンジーが知能的にどんどん人に近づいていき、運動能力は明らかに人を凌駕してる様をみてるだけで満足ですね
ドラマ部分も非常に分かりやすく、「ああ、そういうことを言いたいのか」と難しいことを考えずに観てても理解できる安心ストーリー

ただ思ったよりドラマよりの作品なので、アクションバリバリの戦争ものと期待して、それだけを楽しみに観にきた人にとっては「あれれ?」と物足らない気がするかもしれません
あとは「猿の動きすげー」と思うのは確かですが、あくまで「違和感ないリアルな動きのVFXだな」といった感じでVFXありきな感想にすぎない
それが欠点になるかどうかはコンピュータで再現された映像をどう受け取るかのその人しだいかと

そんな感じであんまり頭を使わないわりに「なんかちょっと深いドラマを観た」感が手軽に味わえる一本でした

個人的評価:90点
オススメ度:シリーズの設定よく知らんけど、人類は最後にああなって滅ぶのか?




猿の惑星:創世記(ジェネシス) 予告


2011年10月6日木曜日

ボディ・ダブル (1984/米)

監督:ブライアン・デ・パルマ
出演:クレイグ・ワッソン / グレッグ・ヘンリー / メラニー・グリフィス / デボラ・シェルトン / デニス・フランツ









B級映画俳優のジェイクは、同業者のサムからある豪邸での長期の留守番を持ちかけられる
そこでセクシーな隣人の様子をのぞき見して楽しむジェイクだったが、隣人の女に不穏な男の影が現われ…

なんかセガール先生とかジェット・リー先生、ヴァン・ダム先生が出演してそうなB級アクション映画っぽいタイトルですが、そうじゃない…そうじゃないんだ、ボーイ
主人公がひょんなことから犯罪っぽいものを目撃しちゃった系のミステリーでした
ざっくり無駄に長いシーンが続きながら、なんかひっかかる曲と「何がおきるか分からない」感がひじょうにおもしろかったですね
なんかよく知りませんがネットでアレしてみると、デパルマ節がなんたらって作品らしいです
うん、そこはほら、ボクとかにわかな上に知ったかできるほどの知識もないんで…あとは各自で調べてみてください、としか言いようがない

売れないB級映画俳優で同棲中の女の不倫現場(ファック中)を目撃、しかも家は彼女のものだから必然的に出て行く立場になった主人公ジェイク
さらに出演作品も降板させられ、ふんだりけったりな中でとりあえず住む場所を探していると、同じ俳優仲間のサムから友人の豪邸の留守番をたのまれる
で、そこは夜になるとお楽しみがあって、隣人が同じ時間に必ず部屋でセクシーダンスショーをしている
それをのぞかずにいられないジェイクだけど、なんか彼女を見つめる変な男の影に気づいて…って感じの序盤の展開ですね
とはいえ己の性欲に忠実なジェイクさんは隣人をストーキングせざるえないところまで情熱が高ぶり、同時に変な男の影も頻繁に目撃するようになる
彼女にはなにか秘密があるのか、ないのか、みたいのを楽しんで観ていると…

隣人の女性がむにゃむにゃって展開になってからが本番で、そこに行き着くまでがわりと遠回りな気がしないでもないけど、作品じたいの怪しさがよくでていてそんな序盤の無駄に長いシーンも許容できますね
「いったいどんな話なんだ?」と探りながら観てるうちにクライマックスまできて「ああ、そういう話なのね」と気づかされます
作中でのストーリーの説明は「不親切だけど察することができる」という個人的にはちょうどいいバランスのミステリーで、ちょっと古い作品だけどさらに劇中では古くさいネタをしこんであって逆に新鮮でしたね
この監督じたいがヒッチコック大好きっ子らしく、言われてみればヒッチコックっぽいユーモアもある気がしないでもない

とりあえず主人公の演技はホントに観てて気持ちよくこの作品にマッチしていて、情けなくてユーモラスで憎めなくてダサかっこいい
他にもいきなりはじまるPV撮影シーンとか、エンディングのアレとかガッチガチの型にはまった作品以外拒絶反応おこすような人以外には小粋で洒落のきいたシーンを挿入してくるから飽きない
映画で個性をだそうとしながらも小難しいオナニー芸術作品にならず、けっこう娯楽要素があって全体的に楽しめた一本でした

個人的評価:80点
オススメ度:のぞきは性犯罪です




ボディ・ダブル 予告



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2011年10月4日火曜日

ファイナル・デッドブリッジ (2011/米)

監督:スティーヴン・クエイル
出演:ニコラス・ダゴスト / エマ・ベル / マイルズ・フィッシャー / アーレン・エスカーペタ / デヴィッド・ケックナー / トニー・トッド / エレン・ロー / ジャクリーン・マッキネス・ウッド / P・J・バーン / コートニー・B・ヴァンス








サムたち一行は会社の社員研修にいくことになる
その道中、バスが工事中の橋にさしかかると、急に大崩落事故がおこり…

はい、もう最初のシチュエーションと死に方以外は安心のいつも通り映画ですね
もうこちとら鼻歌まじりで最初のシーンで死ぬキャラ&順番を覚えるの余裕ですわ
でもそこはそれ、作り手もバカじゃないってんで、今作から新ルールが追加されます
それは「死の運命を持つものが自分の順番の時に誰かを殺せば、そいつと運命を入れ替えて死なずにすむ」というもの
しょうじき驚くような追加設定じゃないけど、これがいい感じに働いた瞬間、この作品の評価が大きくプラスの方向に動きます

ストーリーはもう言うまでもなく、死の事故の予知夢を見た主人公サムが「やべえって、みんな死んじゃうって、逃げろ!逃げろ!」って感じで死を回避
でも、いつもの謎のおっちゃんに「死は欺けないしぃ~。超ウケるぅ~」とか言われ、その言葉どおりに生き残った面々が次々に事故死していく
というホントにシリーズ5作を重ねてもブレない同じあらすじ
今作でちょっと違ったのは皆なんとなく「死の運命的なものがあるかも?」と感じているところ
ここだけはいつものように主人公が最初からまわりして皆を説得するけど信じてもらえない、という展開を排除してますね
そのかわり信じてくれない用のキャラが別に用意されてます

いよいよもって死に様バラエティとして開き直って作られている今作ですが、しょうじきひとつひとつの死に方がいまひとつパッとしない
さすがにもうひとりひとりの死が軽く感じられちゃって、観てる側は次に誰が死ぬかも分かってるわけだし、なんとも退屈
死に様バラエティもいいけど、それをふまえたもう一歩先の「はいはい、死んだね…って、え?!なに?なに?」みたいのがほしいですね
終盤までホントに「これ」といったものもなくダラダラと話が進む

それでもこのラストはちょっとおもしろい
自分の死を回避するには、身代わりに誰かを殺せばいいという新ルールが「複雑になりすぎることなく」いい感じのスパイスになってオチをおもしろくしてます
「そうきたか」→「ああ、そういうことか」とラストの展開で思えただけで評価を上方修正せざるえない
シリーズファンの人なら特に「あ、そうくる」と思えるでしょう
そんな新ルールもいいですが、今までの死の順番を飛ばす設定も取り入れて、もうちょっとだけ複雑な展開にしてくれれば最初から最後まで楽しめたかも
あとは、もっと死に方をピタゴラスイッチっぽくしてくれれば完璧
ちょっと今回のはみんな死に方が直球すぎな気がしました

そんなわけでテレビの新番組編成のあいまにやるスペシャル番組的な存在で、たまに観る分にはおもしろいいつもの死に様バラエティショーな一本でした

個人的評価:75点
オススメ度:シクヨロ~




ファイナル・デッドブリッジ 予告


2011年10月2日日曜日

ワイルド・スピード MEGA MAX (2011/米)

監督:ジャスティン・リン
出演:ヴィン・ディーゼル / ポール・ウォーカー / ジョーダナ・ブリュースター / ドウェイン・ジョンソン / タイリース・ギブソン / クリス・“リュダクリス”・ブリッジス / ドン・オマール / マット・シュルツ / サン・カン / テゴ・カルデロン / ガル・ギャドット / ヨアキム・デ・アルメイダ / エルサ・パタキ / マイケル・アービー / アリミ・バラード / ヨーゴ・コンスタンティン / ジェフ・ミード / マーク・ヒックス






ドミニクを奪還したブライアンとミアはリオである仕事を受ける
楽な仕事で金になると思っていたのだったが…

早いものでシリーズも5作目ですね
なんともいえない前作のガッカリ感から警戒して観たわけですが、これまた予想以上におもしろくて逆にビックリ
カーアクションに加えて銃撃アクション、飛ぶ跳ねるといったオーソドックスアクションとバランスよくちりばめられていて楽しい
これまでのシリーズのキャラも出演し、また魅力的な新キャラも出てきてオールスター的なお祭り作品になってます

今作もしょうじきストーリーとかどうでもよくて、なんか悪巧みに巻き込まれた主人公たちが目には目をって感じで逆襲する…みたいな内容
このシリーズの良いところは仇敵や共通目的とかストーリー的につながった何かがあるわけじゃないから、一作一作をホントに気楽に観られる点ですね
別にわざわざこれまでの作品を観なおさなくても全然オーケイだし、ぶっちゃけ今作から初めて観てもついていけるんじゃないかな

とりあえず個人的にハゲ2号こと主人公たちを追う警察だかFBIだかの男が良い感じでした
ハゲにヒゲなマッチョ野郎で、ドミニクとバトルする様は「どっちがどっちだかよく分かんねえよ」と言わざるえない
存在感もバリバリで、最初はうざい追跡者役でどうせ主人公たちにキャラ的に食われるんだろうなと思ってたら、まさかまさかのキャラ立ちっぷり
こりゃ今後も普通にレギュラー入りするだろうなあ
あとは3でアレな感じになったハンさんがまさか出るとは思わなかった
調べてみたら時間軸的にどうやら3がシリーズ中で一番最後になっていて、その前にあたる話という感じらしいから納得です
というか、いままでのシリーズのキャラも出てくるけど「おまえいたっけ?」と覚えてないのがほとんどですがね
まあ、そんなうっすい記憶でも楽しめる内容なんでどうでもいいですが

楽しいのは楽しいですが、アクション要素が色々な種類ちりばめられてはいるのはいいけど、やっぱりレースシーンが物足りないってのはどうかと思いました
「お、いよいよレースシーンか」と思ったらなんかスキップされちゃうし、じゃっかんカーアクションの要素が弱い気がしないでもなかった
それでもクライマックスのバカ丸出しなカーアクションを見せられたら、そんな不満もちょっとは吹き飛びましたけど
とりあえず個人的にシリーズで一番おもしろいと思えたし、今後の展開も期待していいかも?と感じられた一本でした

個人的評価:90点
オススメ度:この作品、どんだけハゲ優遇されてるんだよ




ワイルドスピード MEGA MAX 予告