2012年1月31日火曜日

1月のこれ一本

毎年ながら1月の終わりに思うのは
「月日の経つのは早いなあ」
「まだ今月の頭は正月だったんだね」
ということ
いつも思うことをいつものように思える、これもまたありがたいことなのかもしれませんね

などと良いことを言ってるような気になりつつ今月は「フライトナイト」推しでひとつ
しょうじきこれといって突出した作品を観なかった感がありますが、あえて印象に残ったのを選ぶとすればコレですね
純度の高いB級愛、いいッスね

さて、2月はハリウッド版ミレニアムもあるし、他にも楽しそうな作品もありそうで嬉しいかぎりですなあ
そんな中、利用してた映画館のひとつが閉館するという悲しい報せもありました
なぁんかいよいよもって企業によってはシャレにならない状況になりつつある現実…個人的にも「明日は我が身」と「覚悟」はしておいた方がいいのかなあ

麒麟の翼 ~劇場版・新参者~ (2011/日)

監督:土井裕泰
出演:阿部寛 / 新垣結衣 / 溝端淳平 / 松坂桃李 / 菅田将暉 / 山崎賢人 / 柄本時生 / 竹富聖花 / 聖也 / 黒木メイサ / 山崎努 / 三浦貴大 / 劇団ひとり / 秋山菜津子 / 鶴見辰吾 / 松重豊 / 田中麗奈 / 中井貴一







わざわざ瀕死の重傷を負いながら日本橋の麒麟像前まで移動して死亡した男性
すぐに事件に関係していそうな怪しい人物が見つかるが、警官が追っているうちに事故にあってしまい…

「麒麟の翼」という単体の作品のようでいて、テレビドラマ「新参者」を受けての「赤い指」を受けての今作みたいな立ち位置の内容ですね
まあ、どれだけの人がいきなりこの作品だけを観るか分かりませんが、明らかにこれだけで単独で楽しむ映画じゃないかな、といった感じ
最低でも「赤い指」は観ておかないとちょっと楽しめないかもしれません

なぜか意味があるかのように刺された現場から移動して力尽きた男
すぐに見つかった怪しい人物は警官に追われる中で車にひかれてしまう
被害者の遺留品と家族、怪しい人物の関係者を警部補・加賀恭一郎と捜査一課の若宮が調べるうちに背後に隠された謎が浮かび上がってくる…
うん、まあだいたいドラマ版と流れは同じなんですが、ドラマ版に共通してた「嘘」と加賀の指でつまむポーズ、「ちなみに~」という決め台詞(?)が影をひそめてじゃっかん雰囲気が異なります
加賀のキャラにしてみても飄々とした態度があまり見られず、印象的にずっと恐い顔してシリアスに捜査してる感じがして「ちょっと今までと違う雰囲気」が味わえます
まあ、悪く言えばドラマ版が好きな人には違和感があるかも

ミステリー部分とドラマ部分がよく融合してるのは変わらずで、ホントに安定感は抜群ですね
観ててスッと内容が入ってくる安定感もあって、ほどよい緊張感の中であっという間にラストまで楽しめます
なんだけど、なんとも個人的にちょっと物足りない感が否めないんですよね
優等生すぎるがゆえのつまらなさ、みたいな
いい話だな、とは思うんだけどそれもドラマ的な感覚で映画としてジーンとくるものがあったとは言いづらい
あとはミステリー部分がじゃっかん、ホントにじゃっかん弱い気がしないでもない
犯人が特定された時とか素で「え?おまえなの?」と悪い意味で感じました

総じておもしろい作品で全体的にうまくまとまっていますが、なんか被害者家族のフォローが宙ぶらりんな気もするし、ちょっとずつの不満点がつもって大きなマイナス要素になっててもったいないな、と思った一本でした

個人的評価:80点(ドラマ版から観てたなら)
オススメ度:加賀さん、もはや新参者じゃないよね




麒麟の翼 ~劇場版・新参者~ 予告

2012年1月29日日曜日

J・エドガー (2011/米)

監督:クリント・イーストウッド
出演:レオナルド・ディカプリオ / ナオミ・ワッツ / アーミー・ハマー / ジョシュ・ルーカス / ジュディ・デンチ / エド・ウェストウィック / デイモン・ヘリマン / スティーヴン・ルート / ジェフリー・ドノヴァン / ケン・ハワード / ジョシュ・ハミルトン / ジェフリー・ピアソン / ジェシカ・ヘクト






FBI長官J・エドガー・フーバー
老齢の彼は共産主義者と戦い、FBIを築いてきた回顧録を書かせることで過去を思い起こす

プリオさんが若き日からおじいちゃんになった長官をひとりで演じたことが話題になった作品ですね
まあ、しょうじきおもいっきり特殊メイク全開で、どう見ても顔に盛ってるような感じだけどそこら辺のツッコミは野暮なんでしょう
アメリカの影の支配者とか、強大な組織のトップに立つ男とか、そういった壮大さは意外となくて、あくまでJ・エドガー・フーバーというひとりの男にスポットをあててる感じの内容でした

キング牧師を共産主義者として執拗に追いかけていた長官だったが、けっきょくは証拠もないまま事態は逆風になりつつあった
そんな中で今こそ共産主義者と戦ってきた自分の回顧録を、というもとで自らの過去を語り出す
という流れなんですが、どうにも序盤の場面の見栄えが乏しくてセリフだけ洪水のようにある展開がダルい。というか眠い
延々と早口で一本調子にしゃべってるプリオさんの顔がスクリーンにずっとある感覚
なんどか意識をもってかれかけました

やっと目が覚めてきたのはリンドバーグさんの子供が誘拐されたうんぬんのあたりから
それまでのざっくりとした捜査からの脱却をはかるものの、それぞれの州の垣根を越えられない現状に突き当たるとこら辺ですね
そこから科学的な捜査やらどんどん現在のFBIっぽい組織になっていく様子がおもしろい
でもあくまでメインは長官本人のキャラ
良くも悪くもザ・男として己の進む道を切りひらいていく様はいいですね
臭いほどの父性っていうか、けっしてヒーローではない男というか、まあ、このキャラが許容できればこの作品は楽しめるかもしれません

そして終盤の晩年パートも分かりやすい
J・エドガー・フーバーってこういう男だったのか、と話が進むにつれて観ながらちょっとずつ印象が変わるんですが、全体的にかなり「こう見せたい」感が分かりやすく描かれてるので、そんなに小難しい内容に思えないのはいいですね

ただひとつ気になったのは、J・エドガー・フーバー個人にスポットをあてるのはいいんですが、「別に誰でもよかったんじゃね。ひとりの男を描ければ」と思えなくもない
FBI長官を描くことに意味があったような?そうでもないような?そんな一本でした

個人的評価:75点
オススメ度:レオ様の素敵なメタボ腹を堪能せよ




J・エドガー 予告

2012年1月25日水曜日

劇場版 ブレイク ブレイド 第五章/死線ノ涯・第六章/慟哭ノ砦 (2010・2011/日)


監督:アミノテツロ
出演:保志総一朗 / 斎藤千和 / 中村悠一 / 井上麻里奈 / 鳥海浩輔 / 白石稔 / 花澤香菜 / 中井和哉 / 寺島拓篤 / 白石涼子 / 菅原正志 / 浅野真澄 / 柳沢真由美 / 宝亀克寿


一時撤退に追い込んだボルキュス隊がライガットの故郷の村方向から侵攻を開始する
その報せを知ったライガットは独断で村へ出撃してしまう

というわけで最後だから二作連続で鑑賞しました
ロボットものとしての空を飛ばない地上戦の描写がたくさんあって画的には盛り上がりますね
ただやはりというかなんというか「俺たちの戦いは~」になってるのが、ね…
もう完全に劇場作品だってことを放棄してないか、と言わざるえない
アニメとしては楽しめる部分もあるけど、映画としては成り立ってないとか偉そうに言ってみる

この劇場シリーズのラスボス的なポジションのボルキュス将軍との前哨戦的な第五章、そして決戦としての第六章という内容でした
しょうじき戦争ドラマ、人間ドラマ、主人公の内面、そこら辺が結果的にぜんぶ中途半端なまま、しかも原作ありきで最初っから分かっててこのラストなんでしょうね
「おまえテレビシリーズじゃないんだから」と言いたくなるようなしめはガッカリ
前半のストーリーの流れからいって、原作がどうなってるか知らないけどここは最後はゼスとの戦い(決着まで描かなくても)でしめるのが個人的にはしっくりくる

ライガット、ホズル、シギュンの恋愛要素はぶっちゃけどうでもいいんですが、もっとホズルって王として政治的なものの考えをする内面に闇をもったキャラだと思ってたのにそうでもなかったのが残念
近しい者の前ではいい人として振る舞って、その実はすべて政治的な考えから国を守る王として冷静で冷徹な思いを抱えてるキャラ、それがホズルだと思ってたのに
シギュンとの関係もそうだけど、主人公の心の成長とか、全体的に中途半端に描きすぎ
結局、全六章を観た後で「何が描きかったの?」という感じが否めない
原作のある作品のとりあえずのアニメ化、としかみえないのは残念

そんなわけでボーッと観てる分には楽しめるし、世界観とか好みな部分も多いんだけど、いまいち全六章の作品としてのまとまりはイマイチから、と思えた作品でした

個人的評価:65点
オススメ度:続きは原作で!って、なあ…




劇場版 ブレイク ブレイド 第五章/死線ノ涯 予告



劇場版 ブレイク ブレイド 第六章/慟哭ノ砦 予告



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2012年1月24日火曜日

ジョニー・イングリッシュ 気休めの報酬 (2011/英)

監督:オリヴァー・パーカー
出演:ローワン・アトキンソン / ジリアン・アンダーソン / ドミニク・ウェスト / ロザムンド・パイク / ダニエル・カルーヤ / ピク・セン・リム / リチャード・シフ / 伊川東 / ティム・マキナニー / ウィリアムズ・ベル / スティーヴン・キャンベル・ムーア / イアン・ショウ






スパイ組織MI-7を解雇されたジョニーはチベットの山奥で精神と肉体の鍛錬にいそしんでいた
そんな彼のもとに復帰とともにあるミッションが伝えられる

うん、続編だったなんてまったく知りませんでした
でもまあコメディだし固いことなしでもいけるだろ、ってことで観に行ってきたわけですが…はい、前作を観てなくても普通についていけますね
なんか前作の内容だったようなジョニーが解雇されるにいたった過去ミッションの話があることはありますが、今作を楽しむ分にはまったく気になりません

過去ミッションの失敗のトラウマを抱えてチベットで修練していた元スパイのジョニーに復帰のチャンスがおとずれる
英国と中国の両首相の会談が近づく中、中国首相暗殺計画の手がかりをつかんだMI-7はそれを阻止するためにジョニー・イングリッシュを呼び戻したのだった
と、あえてストーリーを書けばこんな感じなんですが、まあ、よくあるスパイアクションもののパロディ作品なんで、話とかどうでもいい感じで
やる気だけはあるけど勘違いやら空回りで微妙に失敗続きの主人公を観て笑おうじゃないの、という作品ですね
いつまでもどうしてもビーンと比べられがちですが、個人的にはビーン臭さはいっさいないし今作を観てる間はビーンと比べるようなことじたいありませんでした

コメディ要素としてはとにかくベタで分かりやすい
「これからボケますよ~。笑いどころですよ~」と前置きがあってのギャグ、みたいな感じで突発的な笑い尾要素はほぼないんじゃないかな
良く言えば万人に分かりやすい笑い、悪く言えば突き抜けるものがないみたいなコメディ
大笑いを期待してみるとガッカリするけど、自宅のソファでダラダラしながら観る分にはちょうどいい感じ
ようするにわざわざ劇場に足を運ぶ意味がちょっとない気がしないでもない

老練な感じのローワン・アトキンソンがけっこう渋くてかっこよくて、それなのに天然なバカ丸出しのキャラを演じてる、という主人公のキャラがあってこそ楽しめる作品になってますね
この内容で他の役者さんが演じても「くっだらねえ、よくあるコメディだな」としか思えなかったかもしれません
うん、なにげに現状のローワン・アトキンソンは個人的にかなり好みな役者さんですね
そんな感じで、あくまでユルいコメディとして認識した上で主人公のキャラが好みな人はそこそこ楽しめる作品かもしれません
アメリカンなコメディばりにトンデモ展開で大笑いを期待してると「うーん?」となる一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:エネルギーとエレクトロニクスとスパイ




ジョニー・イングリッシュ 気休めの報酬 予告

2012年1月22日日曜日

劇場版 ブレイク ブレイド 第四章/惨禍ノ地 (2010/日)

監督:アミノテツロ
出演:保志総一朗 / 斎藤千和 / 鳥海浩輔 / 白石涼子 / 花澤香菜 / 井上麻里奈 / 河相智哉 / 白石稔 / ささきのぞみ / 喜多村英梨 / 中井和哉








アテネス連邦のボルキュス将軍率いる部隊の侵攻に対し、クリシュナも各大隊を出兵して本格的な戦がはじまろうとしていた
そんな中、新設された遊撃隊に組み込まれたライガットは新たな隊の仲間とともに訓練にあけくれ、そしていよいよ出撃の日がやってくる

そんなこんなで第四章
いよいよもって大規模な戦争に突入か、みたいな雰囲気ではあるんですがその実はまたもや奇襲というミクロな戦い
各地で戦火が広がっていくマクロな戦い的な戦争というより、名のある将が率いる隊同士の戦って感じがふさわしいかもしれません

新たな隊に所属することになったライガット、くせ者の隊員ジルグも加わって迫るアテネス連邦のボルキュス将軍麾下の隊との戦に挑む、というのが今作の流れ
戦いの描写がメインになっており、前作のラストの中途半端感を払拭する熱い展開になってます
わりと名のあるキャラが次々に戦に巻き込まれていき、同時に敵味方ともにそれぞれのキャラの特徴を描いてますね
けっこう作品じたいの密度も濃くて普通にロボットものとして楽しめます

でも主人公が機体を操る訓練の描写があったのはいいんですが、実戦では運動性能と馬力に物言わせた体当たり戦法がメインとかどうよ?
序盤のジルグとの戦いで評価してもらったディフェンス能力とか、ジルグにできてライガットにできなかったことに対する答え(のきっかけ)とか描かれなかったのは残念かな
しょうじきどんどん敵キャラとジルグの存在感が大きくなっていく中で、本編の主人公は影が薄くなって言ってるような気がしないでもない

この主人公の飄々としたたたずまいもちょっとアレですね
もっと、こう熱くなれよと言いたい
感情のままに突っ走ってくれよ、と
正規の兵とは違う雰囲気を出すのはいいんだけど、もっとホットな方向でいってほしいってのが個人的な好み
しかし戦の描写やらジルグの素敵キャラっぷりとか次作への期待は高まる内容でした

個人的評価:70点
オススメ度:まさかの主人公は見てるだけって展開じゃなかろうな




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2012年1月21日土曜日

劇場版 ブレイク ブレイド 第三章/凶刃ノ痕 (2010/日)

監督:アミノテツロ
出演:保志総一朗 / 斎藤千和 / 中村悠一 / 神谷浩史 / 鳥海浩輔 / 中井和哉 / 寺島拓 / 白石涼 / 花澤香菜 / 井上麻里奈








奇襲をかけてきたゼス隊に反撃を開始するクリシュナ軍
デルフィングと名付けられたゴゥレムを操りライガットはゼス隊に肉薄する

なんだかんだで第三章
もっと壮大で長い歴史をたどる物語かと思ったら、けっこう話の進みはゆったりですね
やっとこの話で新たな展開&新キャラが登場する感じでたぶん今作の流れで最後までいくのかな?
今回も王道展開な少年マンガのノリなのは変わらずで、新展開へのさわりみたいな位置づけの内容でしたね

少数精鋭でのど元まで侵入してきたゼス隊に反撃を開始し、なんかよくわからないけど微妙にふっきれた主人公がアグレッシブに戦いにおもむく、という流れ
ライバルキャラとのうやむやな決着と、そのキャラの一時退場という分かりやすい展開
ゼス隊の顛末…誰が生き残るとか逃げ切るとかの部分はけっこう緊張感もあって、けっこう楽しめました
戦闘シーンも盛り上がって見どころもあって序盤からいきなりクライマックスな感じに

前作で主人公に大きな心境の変化的なターニングポイントがあったわけですが、それをうけて今作で先陣切って戦いに挑むというのもちょっと違和感をおぼえずにいられない
うじうじ悩まれるよりはマシですが、もうちょっと丁寧に内面を描いてほしかったような気がしないでもない
じゃっかん主人公のキャラの方向性がつかみづらくなってる感は否めない、かな

あとは最初からクライマックスな流れはいいんですが、後半が今後の新展開への布石みたいな感じになってて、今作単体で観るとちょっとしまりが悪い
けっこう中途半端なところで終わってるな、と
もろにTVシリーズの「つづく」みたいな終わり方は、まがりなりにも劇場作品として作ってるんだからどうよ?と言わざるえない

そんな感じで折り返しの第三章
内容的にも折り返し地点っぽい話でしたが、まあ、ここまできたら最後まで付き合います
新キャラの活躍っぷりも気になりますしね

個人的評価:60点
オススメ度:体当たりで戦う主人公機って…




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2012年1月19日木曜日

劇場版 ブレイク ブレイド 第二章/訣別ノ路 (2010/日)

監督:アミノテツロ
出演:保志総一朗 / 斎藤千和 / 中村悠一 / 神谷浩史 / 花澤香菜 / 甲斐田裕子 / 井上麻里奈 / 白石稔








クリシュナ王の治める都に奇襲をかけるアテネス連邦のゼス隊
そのゼスと親友であるライガットは黒銀のゴゥレムを操り、話し合うために出撃する

自分の乾いたオタク心をなんたらシリーズ
そんなわけで第二章を観たわけですが、やはり第一章を観た時に感じた前作と今作を合わせて序章みたいな作りなんじゃないかというのは当たってる感じでした
それでもさすがに前作よりは設定説明的なものは減って、いよいよ物語が動きはじめるみたいな感じなので作品的にもおもしろくなってます

二人の親友ホズルとゼスがお互いの国を背負って争うという流れの中、そんなバカバカしい親友同士の戦いを止めたいライガットが行動を起こす、という内容
お互いを想う気持ちは同じだけど立場と手段がそれぞれ異なり、しかもちょっとした誤解の積み重ねのボタンの掛け違いによって対立せざるえない状況に陥っていく
それぞれの立場からすれば正しい行動なんだけど、相手の立場にしてみればとうてい受け入れられない、急激な時勢の流れに翻弄されて腰を据えた話もままならないゆえの誤解と交錯…うん、まさに王道展開ですね
少年マンガ的なこういう流れ、分かりやすくて嫌いじゃないですね

ロボットものとしてのバトル描写もけっこう見どころあるものに仕上がってるし、おおむね前作でダルかった部分は直されてます
戦争の描き方もよくなってて、やっと二大国がちゃんと争ってるって伝わってくる作りになった感じがしますね
ドラマ部分もじゃっかんシリアスな流れゆえに深くなってて、細かい演出もよかった
個人的にはラスト近くのライガットの「黙れ」のあたりの演出がきちんと重く伝わってくるセリフになっててよかったかな、と

そんなこんなでまだ第二章、まだまだ先が長いようなそうでもないような感じですが、続きが楽しみなるようなデキになってたのは嬉しかった一本でした

個人的評価:75点
オススメ度:毎回、主人公機の装甲が変わるんか?




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2012年1月17日火曜日

ロボジー (2011/日)

監督:矢口史靖
出演:五十嵐信次郎 / 吉高由里子 / 濱田岳 / 川合正悟 / 川島潤哉 / 田畑智子 / 和久井映見 / 小野武彦








社長の思いつきにより3ヶ月で二足歩行ロボットを作るはめになった白物家電メーカー木村電器の3人
期日を前に製作は頓挫、なんとか着ぐるみショーと称して中に入る人を探しているとひとりの老人と出会う

ザ・思ってたのと全然違ってた作品シリーズ
その場しのぎの軽い気持ちでロボットの中に人間を仕込んでみたものの、予想以上に話題騒然になってしまって状況はどんどん引くに引けなくなっていく…
うん、ひじょうにわかりやすくてオーソドックスなコメディ設定ですね
そんなオーソドックスさになんとか独自の味付けをしていこう、そんな気概は感じられるんですが外してる感が強い気がする
おもしろい部分はホントにありきたりなネタ部分だけで、それ以外のこの作品独特のものをあらわそうとしてる部分がすべてつまらないガッカリ仕様でしたね

苦肉の策でロボットの中に人を入れる着ぐるみ作戦で一回こっきりという約束のショーを乗り切る木村電器の3人
しかしロボットの中に入ったおじいちゃんの余計なハッスルぶりもあって予想以上に世間の注目を浴び、社長も気をよくしてPR活動の継続を打ち出す
後ろめたさと脚光を浴びる気持ちよさの板挟みな木村電器の3人と、着ぐるみショーと聞いてたのに世間を騙してる行為だと知って憤慨しつつも付き合うおじいちゃん
ロボットオタクの少女もからんできて、木村電器製ロボット「ニュー潮風」はどんどん有名になっていく
という流れなんですが、しょうじきこのあらすじだけの作品なんですよね
とにかく作品の方向性がつかめない
けっこう長いこと観てても「これ、どういう方向にもってきたいんだ?」と心に引っかかり続けます

バカ騒ぎなコメディ全開な内容でもないし、木村電器の3人とおじいちゃんの深い人間ドラマでもない
偽物のピエロが本物になっていく熱い内容でもない、なんとも中途半端
よくいえばゆるい日常系コメディ路線?
おじいちゃんの家族とか、本物のロボット製作に向けて熱い魂がなんたらとか、いくらでも盛り上げていける要素はあるのに、なんともわざとかどうか知らないけどすかしてる
とりあえず木村電器の3人をメインにもってきたいのか、おじいちゃんをメインにもってきたいのかハッキリしてほしかったかな

いちおそれぞれが前向きになっていく話ではあるんだけど、ビックリするくらい鑑賞後のスッキリ感がない
観たあとのハッピー感がないんですよ
さすがにこれはテレビドラマレベルの内容だと言わざるえない
わざわざ映画にする必要はまったくないんじゃないかな、と分かったような強気の発言をしますが、あくまで個人的な意見ということでひとつ

個人的評価:50点
オススメ度:ロボットの中の人の中の人(ミッキー)などいない




ロボジー 予告

2012年1月16日月曜日

劇場版 ブレイク ブレイド 第一章/覚醒ノ刻 (2010/日)

監督:アミノテツロ
出演:保志総一朗 / 斎藤千和 / 中村悠一 / 神谷浩史 / 花澤香菜 / 甲斐田裕子 / 井上麻里奈 / 白石稔








人々が石英を操る力を持つ世界で、ライガットにはその素質がない
ある日、彼は学生時代の親友でありクリシュナの王ホズルに呼び出され…

己の中の眠ったオタク心を呼び覚ませ
とかなんとか思ったかどうか知らんけど、前からその存在だけは知っていた6部作の劇場作品アニメ
基本的にロボットものは大好きなので、まあ、そんなに抵抗なく観れるだろう、と
そうは思って観たものの、意外になんというかイマドキ?みたいな、明らかにヤングなボーイ向け作りでおっさん的には微妙にキツイ気がしないでもない

人間的には良い奴だけど能力的に劣等生の主人公、そして立場的にも圧倒的に優位な親友がふたり
そんな親友たちは互いに敵対関係にある中、劣等生の主人公が特別な力を得てふたりの争いに介入していく、みたいな設定的には王道青春ストーリー
恋愛要素もあって、けっきょくのところ立場とか運命がなんたら~みたいな感じで泥沼な戦いになっていくような感じなんですかね
この第一章ではホントに世界観と人物紹介、大ざっぱな物語のさわりという説明についやされているため、しょうじきこの作品単体ではどうにも評価しづらい
第二章はまだ観てないけど、たぶん全体的な話の序章の前編みたいな位置づけなんじゃないかな、と

ロボットもののわりに「おお、すっげ」って感じの燃えるバトル展開がなくて、なんか地味で盛り上がりがイマイチ
日本製ファンタジー世界特有の美形ばかりで泥臭さが感じられないラノベっぽい雰囲気が鼻につく
それでも世界観的に現代の地球とつながりがあるようなそうでもないような演出もあって、そこら辺はちょっと気になりますね

とにもかくにも先を観てみなくては、とりあえず第二章くらいまでは付き合わないとホントになんともいえない一本でした

個人的評価:55点
オススメ度:大国同士が争っているようには見えない




劇場版 ブレイク ブレイド 第一章/覚醒ノ刻 予告


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2012年1月13日金曜日

フォーリング・ダウン (1993/米・仏)

監督:ジョエル・シュマッカー
出演:マイケル・ダグラス / ロバート・デュヴァル / バーバラ・ハーシー / レイチェル・ティコティン / チューズデイ・ウェルド / フレデリック・フォレスト / ロイス・スミス








蒸し暑い夏、工事渋滞、エアコンの故障した車中、騒がしい他の車、うるさいハエ
男はたまらず車を乗り捨てて家に帰るのだった

新年も早々に日々に疲れたおっさんが代わりにキレてくれる男の姿を見てスッキリしよう、っていうわけなようなそうでもないような感じで鑑賞
個人的に「冷たい熱帯魚」みたいな雰囲気を思い描いてたんですが、実際はなんとも軽いような重いようななんとも言えない微妙な印象がする作品でしたね
観てもスッキリしたような?そうでもないような?となんともハッキリしない感が全開です

ねっとりじっとり、じわじわと些細に不快な出来事が積み重なる中、男はたまらずに自分の車を放置して家路についてしまう
その後も執拗に不快な出来事が男を襲い、いよいよもってがまんの限界をむかえ…みたいな話
キレる中年の姿を楽しむ内容で、男のキレっぷりがエスカレートするにつれて同時にバックボーン的なものがじょじょに見えてきます
狂気の雪だるま式の展開と凶器のわらしべ長者が見どころ、なんでしょうが…

なんともシリアスでじめじめした男に対する不快さの圧力みたいなのの反発で、みたいな重い内容でもないんですよね
かといってキレることをエンターテインメントとして特化してありえないバイオレンスに身を任せるような軽い内容でもない
個人的にはかなりどっちつかずで、どう観ていいのかずっと心が不安定な状態で鑑賞してました
悪く言えば中途半端なデキなんですが、ストーリー的にあえて観てる側にそんな不安定な気持ちになるような「スッキリさせてもらえない」作りにしてるのかな、と思えなくもない

たまったストレスを主人公に非日常的なバイオレンスで代わりに発散してもらって、なんとなくスッキリするようなそんな映画ではないことは確か
この微妙さを意図的ととるか否かで評価が変わる一本かもしれません
個人的にはなんとも判断しかねます。無責任ですんません

個人的評価:65点
オススメ度:少年、動画知識にしろバズーカに詳しすぎだろ




フォーリング・ダウン 予告


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2012年1月10日火曜日

最後の晩餐 刑事・遠野一行と七人の容疑者 (2011/日)

監督:秋山純
出演:佐藤浩市 / 成宮寛貴 / 安達祐実 / 本郷奏多 / 柄本佑 / 佐藤めぐみ / 川野直輝 / 松山愛里 / 歌川椎子 / 西村清孝 / 西田敏行 / 大鷹明良 / 青山勝 / 目黒邑 / 芹沢礼多 / 高嶋寛 / 村上かず / 高間智子 / 江見啓志 / 斉藤由貴 / ARATA / 六角精児 / 橋爪功 / 石黒賢 / 中尾彬 / 黒木瞳 / 三浦春馬 / 池松壮亮






開店初日のレストランでおこった放火による火災事件
店内にいて助かった人たちは次々に病院を抜け出して証人がバラバラになる中、この事件を担当することになった遠野は・・・

映画じゃなくてテレビドラマのスペシャル番組だけど気にしない方向でひとつ
個人的にハマってた連続テレビドラマ「陽はまた昇る」の前身的な作品
「陽はまた~」を観てた時にこの「最後の晩餐」の存在を知ったのですが、ちょっと前になってやっとDVD化されたので鑑賞してみよう、と

まあ、しょうじき「陽はまた~」でこの作品の犯人がゲスト出演してたんで、ある意味ネタバレ済みなわけでしたが、そこはそれ「犯人を知ってるからこそ」という視点で観てました
あるレストランの火災によって死者がでるわけですが、唯一の生存者たちはみなそろって病院から黙っていなくなってしまう
そこになにかあるとにらんだ刑事の遠野は捜査本部の意向から外れながら独自に調べを進める
一方、遠野の妻とその過去に関係のある人物もサイドストーリーとして平行して描かれていきます
本編+サイドストーリーの平行展開というここら辺は「陽はまた~」と同じ形式ですね

一見なんの関係もなさそうな七人の容疑者の関係と、それぞれが抱える嘘の謎、それを追ううちに事件の真相が見えてくる
というと聞こえはいいですが、ぶっちゃけミステリー作品じゃなかったですね、これ
謎解きの部分は主人公の遠野の頭の中と関係者の自白によってかってに進みます
というか中盤には犯人もあっさり分かってしまいます
そこからは解答編的な事件の裏事情が最後まで続くわけで、どうにもミステリーとしてもドラマとしても中途半端な感じは否めない
ちょっと七人の容疑者ってのは欲張りすぎたかな、と
七人の容疑者と犯人の関連も「なんだかなあ」な感じだし、事件じたいの全容もぶっちゃけショボい

同じ連続テレビドラマの「新参者」みたいに一話一人の容疑者にスポットをあてて、じっくりと話を展開していった方がよかったかな
そうはいってもテレビドラマとしてはけっこう丁寧に作ってあって、遠野キャラやバックボーンをはじめ、各容疑者のキャラ、ラストのちょっとひねった展開とか見所は十分にあります
けっきょく遠野の本質って?という部分がいろいろ考えさせられるし、DVD内の映像特典のショートストーリーを最初に観た方が楽しめるかもしれません
かなり「陽はまた~」との連動を意識した作りになってるので、最初からそのつもりで先のことまで考えて作ってたのかな

うーん、また「陽はまた~」を観たくなってきたわ
という感じで、かなり個人的な趣味でアレですが、たまにはこういう作品を紹介してもいいじゃない、ゆるしてよ、とね

個人的評価:65点
オススメ度:陽はまたの続編まだか?



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2012年1月8日日曜日

フライトナイト 恐怖の夜 (2011/米)

監督:クレイグ・ギレスピー
出演:アントン・イェルチン / コリン・ファレル / クリストファー・ミンツ=プラッセ / デヴィッド・テナント / イモージェン・プーツ / トニ・コレット / デイヴ・フランコ / リード・ユーイング / ウィル・デントン







チャーリーは昔のオタク仲間とともに失踪した友人の家にいくことになる
そこでチャーリーの隣人がヴァンパイアだと言われるのだが…

誰がどうみてもB級ホラーなんですが、実際もまあ予想通りのB級っぷりでした
が、意外とコメディの要素が強くなく、かといってシリアスすぎずな感じでかなりバランスのいい作品でした
B級はいけるけどアホアホなコミカルホラーが嫌って人も安心して観れるんじゃないでしょうか
なんかリメイク作品らしいですが、にわかな私はもちろん元映画は未見です

隣人がヴァンパイアとかアホらしい、と思ってたチャーリーくんだったけど数々の状況からマジ話だと悟ります
で、恋人と母親を守るためになんとか対策をたてようとヴァンパイアさんの家に忍び込んだり、怪しい芸人に会ったりする…みたいな内容ですね
しょうじき序盤の学園ライフ+ヴァンパイアというノリが退屈で、このままコミカル学園ヴァンパイアものでいくのかな、とあくびが隠せません
しかし、その序盤を乗り切ればあとは一気にラストまで突っ走っていくので、とりあえず最初はがまん

けっこう緊張感があるシーンも多く、締めとゆるめの緩急がきちんとできてるので中盤以降はホントに退屈しらず
とにかくヴァンパイアのジェリーさんの笑顔がチャーミングで、なんとも胡散臭い笑顔でもあるんだけど魅力的で素敵です
あとはヴァンパイアハンター芸人のピーターさんの無駄にヘタレかっこいい様も素敵で、ジェリーさんとピーターさんのキャラが強烈すぎてじゃっかん主人公の影が薄くなってる気がしないでもない
そんなキャラ祭りな様相を呈しつつも物語はどんどん「おいおい、この先どうなるんだよ」という流れの連続と、一カ所にとどまることなく展開する場面がクライマックスに向けて加速され、どんどんおもしろくなっていきます

バカカッコイイながらもバカすぎないバランスのとれたB級ホラー、最初の退屈さをしのげばホントにどんどんおもしろくなる一本でした

個人的評価:85点
オススメ度:いや、普通は目の前のファック優先だろ




フライトナイト 恐怖の夜 予告

2012年1月7日土曜日

狼たちの処刑台 (2009/英)

監督:ダニエル・バーバー
出演:マイケル・ケイン / エミリー・モーティマー / チャーリー・クリード・マイルズ / デヴィッド・ブラッドレー / イアン・グレン / ショーン・ハリス / ベン・ドリュー / ジャック・オコネル / リー・オークス / ジョセフ・ギルガン / リーアム・カニンガム







ドラッグにおぼれ銃で暴力をふるう若者たちがたむろする街で静かに暮らす老人ハリー
ある日、そんな暴力的な若者たちから尋常ではない嫌がらせを受けていると親友から相談され…

なんとなく武侠映画っぽいタイトルですが、その実はおじいちゃんが主役の渋い復讐劇ものです
しかし、この主人公は跳べない走れない叫べない、ホントに普通のおじいちゃんでした
いや、まあ普通っていうのはアレですが
画面的にも爆発しないし疾走感もありません
こういうのをハードボイルドな作品っていうのかな?違うか?

好き勝手しほうだいの負の方向にエネルギッシュな若者、生きる糧を失いつつある老人、そしてある日、あることが引き金になって老人は封印していた過去を呼び覚ます…みたいな内容ですね
しょうじき地味ですが、きちんと両足で地面を踏みつけてるような安定感があるので、地味というより渋い作品といった方が正しいかもしれません
そんな中でも行間を読ませるスタイリッシュな描き方をしているので、いちいち言葉で説明したりど派手でスピーディなアクションエンターテインメント性がなくても十分に鑑賞に耐えられます

とりあえずハリウッド的な老人がスーパーアクションで若者を一網打尽、みたいなノリではないのが個人的には気に入りました
本当におじいちゃんな身体能力しかなく、完全に枯れ始めてる外見と内面な主人公が、悲哀も怒りもなにもかも枯れ果てた感でなお懸命に行動する様とかしびれるわ
黒幕のキャラもいい感じだし、渋い方向での名作なんじゃないかな、と思った一本でした

個人的評価:90点
オススメ度:マジで小僧どもには反吐がでる




狼たちの処刑台 予告


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2012年1月4日水曜日

風が強く吹いている (2009/日)

監督:大森寿美男
出演:小出恵介 / 林遣都 / 中村優一 / 川村陽介 / ダンテ・カーヴァー / 橋本淳 / 森廉 / 内野謙太 / 斉藤慶太 / 斉藤祥太 / 高橋ひとみ / 近藤芳正 / 寺脇康文 / 鈴木京香 / 水沢エレナ / 五十嵐隼士 / 渡辺大 / 津川雅彦 / 和久井映見







寛政大学一年の走(カケル)がひょんなことから出会った灰二(ハイジ)につれられて竹青荘に入ることになる
しかしそこは形だけであったが陸上部の寮であり、走が入ったことで10人になったことを機に灰二は箱根駅伝を目指すと言いだし…

なんとなく時期的にいいかな、という思いつきで鑑賞しました
燃える展開の熱い長距離走スポ根もの…と期待もして観てたんですが、どうにも最初から最後まで違和感というか妙な引っかかりを感じる作品でした
友情、努力、勝利、感情論で何より楽しんで取り組んでる者が一番強い、という単純なノリならよかったんですが、どうにも展開がさすがにリアルで考えると無理がある気がしてならなくて、「これはファンタジーなんだ」と納得するまで時間がかかりましたね

陸上の経験が皆無で、毎日5km走るという条件のもと格安の寮生活をしていた8人
そんな量でみんなのケアと身の回りの世話をしているリーダー的な存在の灰二
そしてアスリートとしての素質を買われて寮に入る走
灰二と走の経験者をのぞいて8人の幽霊部員たちが箱根駅伝を目指す、という話なんですが…
弱小チームが無茶な目標に向かいつつ強豪チームに食らいつく、という王道スポ根展開は大好物なんだけど、さすがにこの面子の設定は無理がありすぎる気がしてならない
弱小なりに努力し続けてきたってわけじゃなく、ただ無目的に毎日5km走ってる(さぼってる奴もいる)連中が箱根を目指すとか、普通に考えておこがましいにもほどがあるよね
そんなありえないだろ的な引っかかりが終始つきまといます

劇中で長距離は努力の要素に天秤が傾く競技みたいなこといってるけど、どうみても各キャラの持ち味というか才能や素質みたいのに依存してるように感じざるえない
努力してることがあんまり伝わってこないんですよね
楽しむことはいいんですが、その影では汗にまみれ泥水をすすって歯を食いしばり叫びを上げる雄々しさを描いて欲しい
もっと挫折から悔し涙、汗水鼻水にまみれながら乗り越えていく様をこっちは観たいわけよ
しょうじき陸上に興味もないし知識もない自分からみても、ほぼ無経験者集団な素人が箱根駅伝うんぬん語るのは何年もかけて箱根を目指してる人たちに失礼なんじゃないのかな、と

ラストもラストで「さすがに甘くない現実みたいの描いてきたか」と思ってたのに、さすがにその結果はねえだろ、という感じ
あまりにも寛政大学のメンバー中心のファンタジーすぎる展開に付き合いきれない感がハンパない
ライバルの扱いも微妙にぞんざいで東京体育大学とか存在じたいがかわいそうすぎる

そんな感じで普通のスポ根好きな人にとっては違和感ありまくりでちょっと「うーん?」ってなる作品かもしれません
最初からファンタジーとして観れば受け入れられる…かな?

個人的評価:50点
オススメ度:ヒロインの存在意義について




風が強く吹いている 予告


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2012年1月3日火曜日

聯合艦隊司令長官 山本五十六 -太平洋戦争70年目の真実- (2011/日)

監督:成島出
出演:役所広司 / 玉木宏 / 柄本明 / 柳葉敏郎 / 阿部寛 / 吉田栄作 / 椎名桔平 / 益岡徹 / 袴田吉彦 / 五十嵐隼士 / 河原健二 / 碓井将大 / 坂東三津五郎 / 原田美枝子 / 瀬戸朝香 / 田中麗奈 / 中原丈雄 / 中村育二 / 伊武雅刀 / 宮本信子 / 香川照之






世論が日独伊の三国同盟締結から対米戦争開戦に傾きつつある日本
その同盟に最後まで反対の意志を貫く海軍、そして山本五十六であったが…

史実を元にした「感動ストーリー」または「英雄賛歌」な感じのよくある映画かと思ってたんですが、そうでもなくて社会派ドラマの印象が強いものでしたね
とはいえじゃっかん重厚さがない薄い社会派ドラマみたいな感じですが
わりと淡々と描かれているので眠気との戦いも必至
つーか、劇場で思いっきりいびきかいてたおっちゃんいたし

内容的には常に物事を広く見据えて国を守る最善の手を考える山本五十六という人物を中心に、世論や上層部の流れや決定とのすり合わせの中で、なかなかにままならない日本の行く末に立ち向かわざるえない話
かなり分かりやすく現代社会を風刺してるような作りになっていて、ありていに言えば今の日本に向けられた警鐘みたいな立ち位置の作品です
当時の知識がないんで、これを100%の史実としてとらえることは避けますが、良いも悪いもない山本五十六というキャラの存在感はよかったですね
多少は美化してるんでしょうが、けっして英雄像として描くことなくあくまでままならない一人の人間として描いてるのがいい
心は折れないまでも短時間でどんどん老け込んでいく五十六の姿とか、そういった見た目的なものやエピソードを必要以上に強調したドラマにしすぎてない演出も個人的にはよかった

ただやっぱり地味すぎる内容と、ぶっちゃけ映画でわざわざやるような作品じゃない気がしないでもない雰囲気はあります
テレビのスペシャル番組でやるくらいがちょうどいい内容じゃないかな、と
戦艦のはりぼてっぽさと戦闘機のCGの残念感、コクピットの安っぽさも目に付きますね
よっぽど観るものがなくて、暇で暇でしょうがない空き時間にボーッとみるのにちょうどいい作品かもしれません

退屈すぎてつまらないわけでもないけど、これといったおもしろさもない一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:鯛がもっタイない




聯合艦隊司令長官 山本五十六 -太平洋戦争70年目の真実- 予告

2012年1月1日日曜日

宇宙人ポール (2011/米)

監督:グレッグ・モットーラ
出演:サイモン・ペッグ / ニック・フロスト / ジェイソン・ベイトマン / クリステン・ウィグ / ビル・ヘイダー / ブライス・ダナー / ジョン・キャロル・リンチ / シガーニー・ウィーヴァー / ミア・ストールラード / ジェフリー・タンバー / デヴィッド・ハウス / ジェーン・リンチ / デヴィッド・ケックナー / ジェシー・プレモンス / セス・ローゲン





イギリスからアメリカのコミコンとUFO名所観光にきたSFオタクのクライヴとグレアム
レンタカーでの二人旅のさなか、本物のエイリアンがヒッチハイクしてきて…

ライトでノリのいい軽めのコメディ映画ですね
そういっても普通に死人とか出るからじゃっかんブラックかもしれません
とりあえず渋い声で地球人になじんでるポールさんのキャラを楽しむ作品ということで
小ネタで畳みかける感じなので大笑いというよりクスクス系なコメディ

ひょんなことからエイリアンのポールと旅をすることになったオタクふたり組、それを追う地元の警察官、MIB、珍道中の果てにいろんな人を巻き込みつつゆる旅が続く、みたいな内容
渋い声で登場するポールさんとオタクたちの交流を描きつつ、どたばたロードムービーが展開するわけですが、地球の環境になじみきって余裕なポールさんとビビリまくりなその他の地球人のかけあいが楽しすぎる
お気楽な軽いキャラのポールさんがエイリアンに対するかたよったイメージしかない主人公たちをあしらう描写がいいですね

旅を続けていくうちに宗教クレイジー父娘、ビッグ・ガイ、カラテ少年といろんなキャラと出会い、共に旅をしたり追われたり助けられたり…シリアスになりすぎずだらけすぎずにほどよい緊張感で退屈することなく話は進んでいきます
確かに観てて楽しいしおもしろい、だけどなんというか今一歩なんか物足りない感がずっとつきまといます
ほどよく平均的におもしろいんだけど突き抜ける何かがない気がするんですよね
これは大爆笑したなあ、というネタがない
躍り食いとビッグ・ガイネタはおもしろかったけど、ホントに全体的にゆるい
家でだらだらと観るにはちょうどいいけど、わざわざ劇場に観に行くような作品じゃなかったかな、と思った一本でした

個人的評価:75点
オススメ度:ポールさんはエイリアンもの作品の名アドバイザー




宇宙人ポール 予告