2012年4月30日月曜日

4月のこれ一本

はい、今月はいろんな意味で印象に残る作品が多かった気がしますね
特にここ最近に観た「魂萌え!」と「わが母の記」は独特の味があって、甘っちょろいよくある家族愛ものとはちょっと違って面白かった

それでも今月は「ドライヴ」を押さざるえない
なめて観てるとガツンとくるバイオレンス描写がたまらない
主人公の魅力もあって、けっして大作ではないんだけど埋もれるにはもったいない作品ですね

と、そんなわけで珍しく映画の話題だけでアレでしたが、また来月も素敵な作品を観ていけたらいいな、と

2012年4月29日日曜日

わが母の記 (2011/日)

監督:原田眞人
出演:役所広司 / 樹木希林 / 宮崎あおい / 南果歩 / キムラ緑子 / ミムラ / 赤間麻里子 / 菊池亜希子 / 三浦貴大 / 真野恵里菜 / 三國連太郎








作家の伊上は幼い頃に母に捨てられたことに恨みを抱えていた
そんな母も年には勝てずボケが進みつつあり、自らも年を重ねたことで家族との在り方が徐々に変化しはじめ…

広司と希林でボケが進む母を抱えたなんたらなドラマっていったら、なんとなく内容が予想できる感じな作品になってると思ったんですが…
うん、実際に観てみたらけっこうコミカルな要素が多めで思ったより重くずしりとくる話ではなかったですね
しんみりと染みる系の作品でした

お母ちゃんがどんどんボケていくわ、どうしよう
おまえが面倒みろよ
お父ちゃんなんか大嫌い
とかよくあるボケの進行によって深く傷ついていく家族の絆みたいのを修復していくことで、より強固な絆になっていく…みたいなストーリーじゃないですね
50年以上昔の時代を描くことで人情味のあるファンタジーな作りになってます
「家族が~」とか「絆が~」とかわざわざ口にだして再確認しなくてもみんな根っこの部分では強く結束してる家族の有様が心地良い

おばあちゃんのボケ演技がホントにすごくて、かなり笑える点も多いです
使用人のくだりとかおばあちゃんの発言がいちいち可笑しい
でも可笑しいんだけど、次の瞬間には「笑い事じゃないよね」と思える雰囲気に作ってるのがまたうまくできてますね
あとは娘の琴子の存在がよくできてて、しょうじきウザイ感じはするけど作品的にそのウザさが損な役回りとして描かれることで良いスパイスになってます

しょうじきただ家族の様子を描いてるだけ、って感じは否めないですが出演者たちの演技が良い感じにはまってるんで不思議と退屈はしません
いや、ホントに家族って簡単じゃない、そんな感じが伝わってくる一本でした

個人的評価:90点
オススメ度:感動の押しつけが必要最低限なのもいいね



わが母の記 予告

2012年4月28日土曜日

魂萌え! (2006/日)

監督:阪本順治
出演:風吹ジュン / 三田佳子 / 田中哲司 / 常盤貴子 / 加藤治子 / 豊川悦司 / 寺尾聰 / 藤田弓子 / 由紀さおり / 今陽子 / 左右田一平 / なぎら健壱 / 林隆三








夫が定年退職をむかえて日々それなりに充実した生活を送っていた敏子
ある日、夫が急死し悲しみに沈む中、夫の携帯に見知らぬ女性からの着信があり…

時代はやっぱり萌え要素がないと売れないぜ、ってわけで熟れた萌えが満載の一本をチョイス
内容的には老齢にさしかかろうという女性が、夫の急死という生活環境の急激な変化によって戸惑いながらも力強く変わっていこうという話
ちょっと悪い言い方をすれば家庭の内だけで変化のない生活を強いられるでもなく、そうせざるえなかった女性が急に次々と強烈なハプニングに見舞われることで自分を変えていく…みたいな感じですね

亡くなった夫だけでなく、息子や娘との関係もなかなかままならなくなり、しかも仲の良い友人たちの間柄もけっして良好とはいえない
度重なるハプニングに打ちのめされながらも前進していく姿が素敵ですね
箱入り娘的な純真な心…悪く言えば世間知らずな主人公がいろんな人と出会うことで自分を変えていくわけですが、その課程がホントに一筋縄ではいかないんですね

とりあえず主人公に影響を与える人物がみんな単純にいい人ってわけじゃない
みんな人間くさくて年を重ねた分だけどこかすれてる
時には優しくされるけど、次の瞬間には冷たくあしらわれ失望させられ、それでももう一度ふれあってみると完全に悪い人ってわけでもない
周りの人々はリアルに人間臭く描きながら主人公の存在はどこかファンタジーで、自分が不幸だからって、変わろうと努力したって、ホントに世間はそんな急に優しくなんてなってくれない感がおもしろい

今のままの自分ではダメだ
現実は自分の見方によっていくらでも変わる
よくあるドラマみたいに心温まる優遇された結末へ向かう主人公とは違う、ままならない感が楽しい作品でしたね
なんか救われない後味の悪い映画みたいな言い方かもしれませんが、実際の内容はけっして観て気分の落ちるようなブルーな作品ではありません
じゃっかん無駄に豪華な出演陣な気もするけど、内容的にはなんともいえない魅力にあふれてる一本でした

個人的評価:90点
オススメ度:サービスシーンいっぱいですよ



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2012年4月26日木曜日

ボーン・アイデンティティ (2002/米)

監督:ダグ・ライマン
出演:マット・デイモン / フランカ・ポテンテ / クリス・クーパー / クライヴ・オーウェン / ブライアン・コックス / アデウェール・アキノエ・アグバジェ / ガブリエル・マン / ウォルトン・ゴギンズ / ジョシュ・ハミルトン / ジュリア・スタイルズ / オルソ・マリア・グエリーニ / ティム・ダットン






嵐の海の中で漂っていたところを救助された男
記憶のない彼は唯一の手がかりをもとにスイスへと向かう

いつものようにわりと有名なシリーズなのに観てなかったのよねシリーズ
レガシー公開前にちょっと観てみようという感じで鑑賞
しょうじきもっと裏設定がもりもりな難解系の話かと思ってたけど、わりとシンプルで分かりやすい内容でしたね
青年マンガかと思ってたら少年マンガだった、みたいな感じ
エージェントバトルとかけっこう少年マンガのノリに近くて楽しかった

けっこう序盤から記憶喪失の主人公の素性はなんとなく明らかになるのはどうなの、とは思うけど全体的な作品のテンポは確実によくなってるのでこれはこれで
それでもなんというか「実は○○だった」みたいな意外性がほしかった
なんか裏のありそうなストーリー運びみたいのもないし、特にミスリードみたいのもない
とにかく素直な話運びという印象が強くて、だからといって単調だとか退屈というわけでもない堅実な作りが好印象ですね

アクションも派手さはそんなにないけど、嫌みや臭みのないマジメな作りになってる感じ
全体的にみて大満足はできないけど「わりと普通よりおもしろい」という中の上みたいな微妙おもしろい一本でした
もうちょい個性的なエージェントとのバトルが多かったら個人的には好みだったかな

個人的評価:75点
オススメ度:記憶がないならまず病院へいくべきだと思うんだ




ボーン・アイデンティティ 予告


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2012年4月24日火曜日

Black & White (2012/米)

監督:マックG
出演:リース・ウィザースプーン / クリス・パイン / トム・ハーディ / ティル・シュヴァイガー / チェルシー・ハンドラー / アンジェラ・バセット / ジョン・ポール・ルタン / アビゲイル・スペンサー / ジェニー・スレイト







CIAエージェントで名コンビのFDRとタック
ある日、ひょんなことから同じ女性を好きになってしまい…

まあなんともひねりのないストーリーでひたすらライトに職権乱用するふたりのエージェントと、友人にそそのかされてビッチに生きるヒロインのドタバタコメディ
雰囲気的にはよくあるスクールコメディを大人でスパイな世界でやってみました、みたいな感じ(?)
出てくるキャラはみんないい大人なのに行動がすべからく子供っぽい
思ったようなシリアスな展開もなく、ひたすらライトにサクッと話は進みます

もっとクソビッチなヒロインに振り回される内容かと思ってたけどそうでもなく、なんというか真のビッチであるヒロインの友人であるトリッシュさんが最高に素敵すぎてたまらない
そのせいでヒロインの影がじゃっかん薄くなってる気がしないでもない
タックとFDRがやんちゃにハッスルしつつ、ヒロインが絡んでくるんだけどトリッシュさんにすべてもってかれてる
じゃっかん物足りない作品を大いに補ってくれてるトリッシュさん最高だわ

しょうじき作品としては微妙なおもしろさ
わざわざ観る価値もない、まではいかないけど「ついでにレンタルしてきて観たらそこそこおもしろかった」レベル
または「偶然テレビでやっててついつい最後まで観ちゃった」レベル
過度な期待はいっさいせず、ホントに暇な時にダラッとしつつ観ればわりと楽しめる作品かもしれません

個人的評価:70点
オススメ度:ぼくもセックス決定戦に出場したいです




Black & White 予告

2012年4月22日日曜日

タイタンの逆襲 (2012/米)

監督:ジョナサン・リーベスマン
出演:サム・ワーシントン / リーアム・ニーソン / レイフ・ファインズ / ダニー・ヒューストン / エドガー・ラミレス / ロザムンド・パイク / ビル・ナイ / トビー・ケベル / ジョン・ベル







神ゼウスと人の間に産まれた半神ペルセウスは息子とともに人として生きていた
しかし世は信仰の薄れにより神の力が弱まり、地底に封じられた魔物がよみがえろうとしていた

しょうじき前作の印象があまりよくなくて、その内容を思い出そうとしてもなんかでっかいサソリと戦ってたのしか思い出せないんですよね
まあ、それでも続編を作るんだからよっぽど自信があるんだろうと二作目で化けることを期待して観たわけですが…
うーん、どうにも予告編から分かる派手さは確かにあるんですが、肝心の中身が薄っぺらすぎてどうしようもない
内容なんてどうでもいいから楽しければそれでいい、というB級耐性はあるつもりなんだけどそれにしても楽しくない
つーか、アクションシーンで眠くなったのには自分でも驚いた

半分神様だけど息子といっしょに人として生きる道を選んだペルセウス
しかし人々は神に祈ることをしなくなり、神の力が弱まったことで地の底タルタロスに封じられた魔物や神に仇なすタイタン族のクロノスが目覚めつつあった
ゼウス、ポセイドン、アレスは地底の支配者ハデスに協力を求めてタルタロスの修復を試みるがハデスとアレスが裏切ったことで事態は悪化
地上の各地に魔物であるキメラが現われ、ペルセウスの村にもその襲撃の火の粉がふりかかり…という序盤の流れなんですが、このキメラ戦までは先を期待させつつアクションシーンもおもしろい

だけどそこからタルタロスに向かうための冒険パートがはじまった途端にダルくなります
なんか前作でもアドベンチャー要素がすっごいダルかった気がするんですが、たぶん気のせいじゃないよね
はっきり言って空気な存在でしかないポセイドンの息子を仲間にして、なんか画面上は派手だけど盛り上がらない冒険の果てにタルタロスへ
かなりシンプルな目標&物語なのにそれをさらに引き延ばし、薄めた話の展開に欠伸しか出ません
いや、ホントに画面上は派手でド迫力なシーンが続いてるんですよ
だけどなんか退屈さの方が上回っちゃってる感じ

クライマックスもいよいよ盛り上がってきたかな、と思ってたらなんか結局は盛り上がりきらない
父と子、兄と弟みたいなそんなのを描きたかったんだろうけど、もうそういうドラマ部分はあんまり掘り下げない方がよかったんじゃないですかね
「兄がー」「弟がー」「息子がー」とか単調に繰り返すだけで重みもくそもありゃしない
極めつけはラスボスの最期のくだりがあまりにアレすぎる
だだっ子みたいに暴れるラスボスに弱点武器をポイ捨てしたら、なんか雑魚キャラみたいにあっさり倒れちゃった…みたいな感じ
って、なんか微妙にネタバレか?

そんなわけで本当に内容とか気にしない、見た目が派手ならなんでもOKって娯楽作品が好きな人なら十分に楽しめるかもしれません
けっこう3Dを意識してる迫力ある作りなんで、いっそ3Dの臨場感だけを求めて観るのもアリかもしれませんね

個人的評価:65点
オススメ度:けっきょくペルセウスがずっとポセイドンの形見を使い続けるんかい




タイタンの逆襲 予告

2012年4月21日土曜日

マン・オン・ザ・ムーン (1999/米)

監督:ミロス・フォアマン
出演:ジム・キャリー / ダニー・デヴィート / コートニー・ラヴ / ポール・ジアマッティ / ヴィンセント・スキャヴェリ / ピーター・ボナース / ジェリー・ベッカー / レスリー・ライルズ / ジョージ・シャピロ / ボブ・ズムダ / ジャド・ハーシュ







独特な世界観を持つ歌って踊れる人、アンディ・カフマン
ある日、コメディドラマ番組に大抜擢された彼はそこから一気に人気を集め…

実在したコメディアンについて映像化した作品なんですが…スンマセン、普通にアンディさんとか知らなかったです
それでも観終わった後にこのアンディさんの出演した実際の映像とか気にならざるえない
が、今、アンディさんの芸風がテレビで流れていたら、個人的には見向きもしないと断言できるのも事実
「そんなののどこが面白いの?」という芸風ですね
こういう映画で裏の事情が分かったからこそ興味がわくけど、ホントに観客としてこの芸風だけを見てたらアンチになってたかもしれません

小さなバーでまったくうけない芸をしていたアンディ・カフマンが、ある日を境にいっきにコメディアンとして登りつめていくようなそうでもないようなストーリー
このよく分からない話を観ながら、アンディ・カフマンってこういうヤツなのかと思い描きながら楽しむのがおもしろい
ホントになんともよく分からないキャラのアンディさんが魅力的で、「ああ、実はこういうヤツなんだな」と思わせといて「あれ、そうでもないのか」とこっちを気持ちよく混乱させてくれる
照れ隠しのおどけや保身のための逃げがいっさいない、ただひたすら自分の笑いを表現する様はすごい

そしてこの作品は単なる「アンディさんすごい」ってのを描いてるだけじゃないのがいい
観てても「いや、これはダメだろ」というじゃっかん悪い面まで描いてくれてる心意気やよし、と感じますね
そこにはアンディ・カフマンという「キャラ」じゃなくて「人間」の姿が映し出されてます
まあ、最後はちょっと作品としてまとめるために軟着陸な展開に流れちゃってるけど、そうすんごい気になるってわけでもない
けっして大笑いできる内容でもないし大泣きできるものでもない
それでもなんともいえない魅力がつまったおもしろい一本でした

個人的評価:80点
オススメ度:アンディさんはどこから計算していたのか




マン・オン・ザ・ムーン 予告


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2012年4月18日水曜日

夢駆ける馬ドリーマー (2005/米)

監督:ジョン・ゲイティンス
出演:カート・ラッセル / ダコタ・ファニング / クリス・クリストファーソン / エリザベス・シュー / デビッド・モース / フレディ・ロドリゲス / ルイス・ガズマン / オデッド・フェール / ケン・ハワード / ホームズ・オズボーン







競走馬の調教師のベン、その幼い娘のケールの父娘関係はギクシャクしがち
ある日、優秀な牝馬ソーニャドールの骨折の責任をとらされ仕事をクビになったベンは、契約金の一部の代わりにその馬を引き取り種付けをして起死回生を狙うが…

じゃっかんギクシャクしてる家族が壊れてしまった安定の日常から、本来もっていた夢を思い出してそれを追うことで悲喜こもごもありながら絆を深めていく…というまあ、よくある筋の感動ドラマものですね
最近では「リアル・スティール」とかそういった系統のお話
個人的に競争馬ものってけっこう好きでマンガだけど「風のシルフィード」とか大好きなんです
競走馬をからめた映画とか期待してたんですが、うーん、なんとも思ったよりグッとこなかった

職を失い収入がなくなり、それなのに骨折した牝馬を抱えることになった主人公のベン
ささやかながら幸せな家庭ではあるけど、ベンの父とはうまくいってない
そして血筋なのかベンの実娘であるケールとの付き合い方もなんともギクシャクしがち
そんな中でもなんとかはい上がろうと骨折した牝馬に種付けをして仔馬を売って一攫千金を狙う
というのが序盤の流れ
どん底の暮らしに落ちたことで見失っていた夢が身近なものになり、決して楽ではないその夢に向かって家族がちょっとずつ団結していく、みたいなストーリー

かなりシンプルでオーソドックスな王道感動ものなんだけど、それゆえに作品の安定感はバツグン
ぶっちゃけちょっと画面を観てなくてもだいたい話にはついていけるくらいの安定感…って、王道すぎる展開もけっして良いことばかりの面ばかりじゃない、と
それでも種付けエピソードからメインの話にシフトしていく感じとか悪くはないと思いました
あと家族が絶望の淵に落ち込んでも、必ず誰かしらが希望を抱いていてみんなを引っ張り上げる夢という強さを持っている描写はいいですね
父が落ち込んでると娘が夢に輝いて高みへ牽引したり、その逆だったり…と

そんな感じで極端に悪いところはないんですね…ラストまでは
とにかくラストのレースがちょっとひどい
色々と盛り上げてきておいて、なんかあっさりしすぎなんですよ
なんともインスタントな奇跡でサクッと終わっちゃってる感じ
とりあえず騎手はトラブルの末にベンになる無茶展開の方が良かったんじゃなかろうか
そして、レースも色々と技術的なところですべてを出し切った末に人馬心が通って…みたいな、ファンタジーすぎてもいいからもっと盛り上げてほしかった

ホントに最後の着地点があまりにあっさりで普通すぎて、けっきょく築きあげてきた感動要素を爆発させることなく不発で終わっちゃてる感じがもったいない一本でした

個人的評価:60点
オススメ度:ちょっと娘のリアルクソガキっぷりがイラっとくる





夢駆ける馬ドリーマー 予告


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2012年4月17日火曜日

ジョン・カーター (2012/米)

監督:アンドリュー・スタントン
出演:テイラー・キッチュ / リン・コリンズ / サマンサ・モートン / マーク・ストロング / キアラン・ハインズ / ドミニク・ウェスト / ジェームズ・ピュアフォイ / ダリル・サバラ / ポリー・ウォーカー / ブライアン・クランストン / トーマス・ヘイデン・チャーチ / ウィレム・デフォー






エドガーは叔父のジョン・カーターが死んだことで遺産を相続することになり、そうなった経緯が記されてるかもしれない叔父の手記をひもとく
そこには黄金を追っていた叔父がひょんなことから見知らぬ場所へ飛ばされた物語が記されており…

ディズニーだし、予告の雰囲気からしてじゃっかん低年齢層をターゲットにしたシンプルなSF冒険活劇だと思ってたんですが…まあ、なんというかけっこう濃度の高い設定と用語で満ちていて意外にしっかりしたSFでしたね
とはいえ本格SFっていうのはちょっと違う雰囲気で、「大人気!カレーハンバーグランチ」とかうたってたメニューをたのんでみたら思ったよりしっかりした料理がでてきた…みたいな?
見た目はホントにライトな感じだけど作りはけっこうしっかりしてるセミハードSF作品といった印象

いろいろあって見知らぬ場所に飛ばされた主人公は四本腕の緑色な種族のサークにひろわれる
そこでやんちゃしながらも暮らしていると、人型の種族であるふたつの勢力どうしの争いに遭遇して…みたいな流れ
観る前のイメージとしてこの人型の二大勢力の戦いになんか巻き込まれて、異文化的なものにびっくりどっきりしながら救世主なノリで悪玉にチェストするオーソドックスな物語なのかな、と思ってました
でもけっこう世界観とか設定を濃密に語ってきて、その情報を頭で構築しながら観る作業を強いられますね

しょうじきあまり懇切丁寧に設定を説明してなくて、情報として最低限な描写しかしてないのであるていど頭の中で物語の行間を読まなくてはなりません
作品的にRPGっぽい感じで最近のファイナルファンタジーとか好きな人なら問題なく受け入れられるかもしれません
まあ、美形のでないFFみたいな?そんな感じ
で、とりあえず説明が不十分だし設定を消化しきれていない、っていう部分もある
アクションの要素も派手とは言い難いし、ここがすごいという部分も特にない
あくまでこの世界観に酔えるかどうか、そこが問題ですね

個人的には電報人間な設定で「ああ、そういう感じの異世界ものなんだ」と感心しましたが、そういう設定をかみしめて楽しめる人向けかも
あと原作は未読なんで比べようがないけど、未読派としては十分に楽しめましたね
ラストの一連の展開とか「どうせ俺たちの戦いは~」なんだろと期待せずに観てると「おお、そうくる」と思えるし、全体的に過度な期待をせずに「どうせ~」という心構えで観ると楽しめるかもしれません

そんなわけで個人的にはすごい面白かった作品ですが、なんか色々と評判は微妙みたいですね
「スカイライン」の時もそうだったけど、あくまで個人的な感想ってことでひとつ

個人的評価:90点
オススメ度:次回作はあえて作らない方が火傷しないんじゃなかろうか




ジョン・カーター 予告

2012年4月15日日曜日

バトルシップ (2012/米)

監督:ピーター・バーグ
出演:テイラー・キッチュ / アレキサンダー・スカルスガルド / リアーナ / ブルックリン・デッカー / 浅野忠信 / リーアム・ニーソン








NASAにより発見された地球によく似た星へのビーコンを発するプロジェクトが実行される
そしてハワイ沖で行われる国際合同演習のさなか、突如として宇宙から5つの物体が地球へ飛来し…

いわゆる地球侵略ものの内容なんですが、まあ。冒頭からザ・アメリカンですわ
細かいことはどうでもいい、頭空っぽなノリと勢いだけ&ただただゴリゴリとゴリ押すパワープレイ
観始めて早々に「なんだこの軽いノリは」と思うでしょうが、もう本編ずっとそんなノリなんで「そういう映画」って腹をくくりましょう
この冒頭のノリがダメだって人は最後まで観ても苦痛なだけかもしれません
ぶっちゃけ超絶B級映画ですね

うは、地球に似た星発見!ちょっとビーコン打ち込んでみようぜ!って、なんか来た!来ちゃった!!マジかよ!えー、ちょっととりあえず一本ガツンと撃っとく?!おいおい、反撃してきたし!やべえ!やべえし!おいぃ?!
というストーリーですね
はい、ストーリーとかどうでもいい作品ですね
リング中央で足を止めての打ち合い的ボクシングを海上を舞台に艦どうしって設定でやってみようぜ!というノリだけで作られてます

とりあえず敵が得体の知れないナニかって設定じゃなく、けっこう分かりやすい感じで描かれてるのは個人的に好印象
ようするに見知らぬ軍人どうしが出会ったら戦うしかねえべ、ってことなんですかね
実は相手は出方を見に来ただけで先制攻撃されたから応じただけ、という異星人とのコンタクトを失敗した上に地球側の勇み足で自業自得な戦いが引き起こる…みたいなちょっと深い内容を途中まで期待してたんですが、まあそんな頭使ってる作品じゃなかったわ

ひたすら、ただひたすら「あったま悪い映画だなあ」と観るのが正しいスタイル
特にジジイたちがワンピース的なノリで「どーん」と出てきた時は笑いそうになったわ
そっからの一連の展開ももうバカ丸出しでなんともいえず超素敵
この作品のタイトルからして「これがやりたかったんかい」と素敵ポイントに心躍らざるえない
いやあ、もうラストのオチ、そしてエンドロール後のおまけまでぎっしり詰め込まれたアメリカンテイストに食傷気味になるほど堪能しましたわ

個人的評価:85点
オススメ度:ロックンロール!イエー!





バトルシップ 予告

2012年4月12日木曜日

オールド・ルーキー (2002/米)

監督:ジョン・リー・ハンコック
出演:デニス・クエイド / レイチェル・グリフィス / ブライアン・コックス / ジェイ・ヘルナンデス / ベス・グラント / アンガス・T・ジョーンズ / リック・ゴンザレス / チャド・リンドバーグ / アンジェロ・スピッツィリ / ロイス・D・アップルゲイト / ラッセル・リチャードソン






幼い頃から野球が好きでプロになったものの、すぐに肩の故障で引退せざるえなかったジミー
テキサスで教師をしながらしがない野球チームの監督を務める日々だったが、野球への情熱はくすぶり続けていた

奇跡のサクセスストーリー的な実際にあったイイ話の再現ドラマ…といえばきょうびどこのテレビ局でもやってるようなもの
それをあえて映画化する、ってんならそれなりな演出が必要だと思うわけで
この作品、ストーリーとしてはおもしろいんだけど、どうにも描き方がちょっと残念な点がある気がしてならなかったですね

子供の頃から野球が大好きな主人公だったけど、軍籍の父親の度重なる転属でひとつのチームでじっくりプレイできないどころか、野球チームのない土地に引っ越すことに
その後もなんやかんやあってプロになれたと思ったらすぐに肩の故障で引退を余儀なくされる野球運のなさ
30も半ばになり家庭を持って教師の道を進み、しがない野球チームの監督をつとめてはいるもののなんともくすぶり続けている
そんな主人公がメジャーの舞台に立つのか立たないのか、というお話
遅咲きのルーキーと成り得るのか、とかしょうじき話の筋的には珍しいものじゃないですね

とりあえず言えるのは肝心要の絆の描写が希薄すぎなんじゃねえの、ってこと
なんかいつの間にか監督する野球チームの子供たちと絆ができてるし、町の人々ともいつの間にか絆ができてる設定になってる
他にもいろんな人との絆がいつの間にかできてる設定になってるんですよね
なんか話として多くを描こうとしすぎて、なんとなく全体的に薄まっちゃってる感じ
前半の監督と選手の絆を強く描写していって、結果は後日談みたいのでチラッとやるとか、または逆に後半パートだけでじっくり描いた方がよかったんじゃなかろうかと素人考えに思いました

サクセス街道まっしぐらかと思いきや、ちゃんと現実の辛い面もあってストーリーはホントにおもしろいのに、主人公のキャラもホントにマッチしてておもしろいのに、なんとももったいない微妙な完成度かなあ
絆の描写が甘いせいでジーンとくることもないし、ただ単に「うん、いい話だね」ってだけの内容に成っちゃってる一本でした

個人的評価:60点
オススメ度:主人公が実力のないピエロになってるとか、この映画の自虐ネタですか




オールド・ルーキー 予告


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2012年4月10日火曜日

アーティスト (2011/仏)

監督:ミシェル・アザナヴィシウス
出演:ジャン・デュジャルダン / ベレニス・ベジョ / ジョン・グッドマン / ジェームズ・クロムウェル / ペネロープ・アン・ミラー / ミッシー・パイル / ベス・グラント / ジョエル・マーレイ / エド・ローター / ビッツィー・トゥロック / ケン・ダヴィティアン / マルコム・マクダウェル / ベイジル・ホフマン / ビル・ファガーパッケ / ニーナ・シマーシュコ / スティーヴン・メンディロ





サイレント映画時代、時のスター俳優であるジョージは、ひょんなことからひとりの魅力的な女性ペピーと出会う
そんなペピーはこの出会いをきっかけに女優として登り詰めていき…

アカデミー賞がなんたらってんでもっとお堅い話かと思ったら、なんともおフランスチックな小洒落た作品でした
どう観ても大人の女性をターゲットにしてる内容で、韓流ドラマとかありがたがって観てる世代にはどストライクな感じでしょうね
もっと華やかさ&お洒落感を前面に出してPRして、ベリーソフトな感覚な大人のロマンスよーん的な売り方をした方がいいんじゃないッスかね

作品内の時代をいかしたモノクロ&サイレント、耳障りのいいBGMという描きかたをしていて、しょうじき眠くなるんじゃないかと心配でした
でも要所要所でコミカルなシーンやキュートなワンちゃんのシーンをはさんでくるんで、けっこう眠気はなんとかなります
まあ、それでもじゃっかん意識を持って行かれそうな時はあるんで体調的にしっかりした状態で観た方がいいでしょう
そんなサイレント作品だけにストーリーは極力シンプルになっていて、そう頭を使うまでもなく容易に内容は把握できますね
「なんかどっかで観たようなストーリー運びだなあ」という気がしないでもないけど、このくらいシンプルな方が作風的にいいのかもしれません

サイレント=声がない、ということをかなり意識していて、声関連の洒落たネタ演出が多くちりばめられていて、それでいてお高くとまってるところがないんで気持ちよく観ることができるのはいいですね
そしてなによりワンちゃんがナイスすぎる
犬好きじゃなくてもこのキュートな演技をみせられたら頬がゆるむでしょう
総じてすんごい感動できるっていうでもないし、すこぶるハッピーになれるってわけでもないけど、とにかく主人公たちのキャラを含めこの映画の雰囲気に酔えればちょっとした心地良いひだまりに身をゆだねるくらいの幸福感は得られるかもしれません

個人的評価:75点
オススメ度:ちょっとだけ上品に、午後のひとときに紅茶とクッキーをセットで用意して観たい映画




アーティスト 予告

2012年4月8日日曜日

劇場版 SPEC~天~ (2012/日)

監督:堤幸彦
出演:戸田恵梨香 / 加瀬亮 / 伊藤淳史 / 栗山千明 / 三浦貴大 / でんでん / 浅野ゆう子 / 福田沙紀 / 神木隆之介 / 麿赤兒 / 利重剛 / 有村架純 / 岡田浩暉 / 松澤一之 / 載寧龍二 / 椎名桔平 / 竜雷太







巷では百万人にひとりの割合で特殊能力を有する人間スペックホルダーが産まれており、その能力を犯罪に使う者を主に捜査する未詳事件特別対策係の当麻と瀬文
そんなミショウに「ミイラ死体殺人事件」の案件が持ち込まれ…

ドラマ版のレギュラー放送からバトンを受けるノリなストーリーを描いたスペシャルドラマ版
そんなスペシャルドラマ版からこの作品に続くわけですね
もうレギュラー放送からスペシャルドラマ、そして劇場版と普通にひとつのストーリーで結んでるんで、設定だけ知ってればなんとか楽しめる劇場版オリジナルな感じの話ではありません
その時点ですでに映画作品として欠陥があると言わざるえないですが、この作品に付き合い続けてきた身としては”個人的な意見として”十分に楽しめる内容でした

能力者であるスペックホルダーを利用する側、スペックホルダーを否定する側、スペックホルダー当事者たち、そしてミショウ周りの面々…
いろんな組織やら個人と警官として真っ正面からぶつかる主人公たちの姿をコミカル&シリアスに描いてるシリーズですね
能力者という中二病をこじらせてるような設定でありながら、この監督独特なすかしたギャグセンスで照れ隠しコーティングされてるんで、このノリに乗っかれればそう臭い作品じゃない
でも臭くはなくてもクセはかなりあるんで、合わない人は完全に拒絶反応が出るような感じ

ドラマ版で前置きは終わってることが前提な作りで、もうこの劇場版はクライマックスとしての要点だけにしぼってる感じですね
「SPECってのはこういう作品ですよ?分かった?OK?じゃ、本編いくよ」みたいな前戯はいっさいなし、いきなり今回の話の核にせまっていきます
そういう意味ではしょうじき全編クライマックスなノリは疲れる
コミカルな要素もちょっと物足りないかな、と

スペシャルドラマを観た時に感じた「ああ、そういうことだったのね」というひとつの区切りはついたけど、まだ謎は残ってる的な印象がこの劇場版でもあてはまりますね
レギュラー放送の起ノ回、スペシャルドラマの翔、そんでこの劇場版の天、とくれば誰もが「どうせこの話だけじゃキレイに終わらんのだろ」と思うのは必然
そんな感じで個人的にはやっぱり「ああ、そういうことだったのね」からの「でも、じゃあアレは…?」とならざるえない
特に新キャラたちの存在意義について謎が残りっぱなしな気がしてならないッス
作品自体は「こうくると思ったでしょ?ん?ん?」みたいなちょっと外した演出が小憎らし楽しいんで、ぜひとも続編を作っていただきたいものです

最後の最後のもどかしさも含めて個人的にはざっくり楽しめた一本でした

個人的評価:80点
オススメ度:顔は隠してても声でバレバレですやん演出は嫌いじゃないぜ




劇場版 SPEC~天~ 予告

2012年4月5日木曜日

ジャズ大名 (1986/日)

監督:岡本喜八
出演:古谷一行 / 財津一郎 / 神崎愛 / 岡本真実 / 唐十郎 / 殿山泰司 / 本田博太郎 / 今福将雄 / 小川真由美 / 利重剛 / 友居達彦 / ミッキー・カーチス / タモリ







江戸時代末期、アメリカからアフリカへ渡航中の黒人三人組が駿河のとある小藩に流れ着く
そんな来訪者に興味津々な藩主であったが、問題山積みの藩の状況に追われていた

まあ、なんだ、はい、タイトルだけでチョイスした作品ですね
内容もまんまなほどバカバカしい「んなこたあ、どうでもいいんだよ」って感じのコメディ
手に取ったときはもっと新しい作品かと思ったんですが、なんかザ・昭和テイストな気がすると思いきや作られたのはけっこう前だった、と
そういう意味では「こんな作品をこの時代に作ってたんか」という変な感慨がなくもない

奴隷解放とか建前だけじゃねえか、って感じでニューオーリンズからアフリカへ逃亡途中の黒人グループ
各々、楽器を片手にアフリカを目指して船に乗るもなんやかんやで流れ着いたのは江戸時代末期の日本
そこでは幕府と薩長連合との板挟みにあいながら、どっちつかずでのらりくらりやってる音楽好きな藩主がいて…
ってな感じの流れから、まあ、大方の予想通りみんなでジャズセッションなどんちゃん騒ぎっていうお話
というかどんちゃん騒ぎするだけの作品
国境やらなんやらを越えたセッションの先になにがあるとか、そういうのはいっさいなし

しょうじきなところ「で?」って言いたくなる内容なんですが、ホントにギリギリのところでそんな身も蓋もないツッコミを飲み込めるおもしろさ…というか魅力があります
こんな感想を書くこと自体が野暮ったいほどに「お祭り騒ぎに理由なんざいらねえ」ってノリなんですね
まじめになんやかんや語りたい人や意味を求める人ほどクソ映画認定しちゃう作品かもしれません
とにもかくにもこのノリについてこれるか否か、という一点で評価が大きく分かれると思いますね

個人的には東名開通からのバカ騒ぎ&時代の流れ描写がたまらなく魅力的で素敵おもしろい
ある意味でストイックに「ジャズ大名」である作りに感嘆せざるえない
いや、マジでこれ一歩まちがえたらとんでもないクソ映画だわ
という感じで気になる人は観てみてその内容を確かめてみましょう
観て損はない、とはあえて言いませんが

個人的評価:85点
オススメ度:アヘッー&タモリ





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2012年4月3日火曜日

ザ・フリークメーカー (1973/英)

監督:ジャック・カーディフ
出演:ドナルド・プレザンス / トム・ベイカー / ブラッド・ハリス / ジュリー・エーゲ / マイケル・ダン / スコット・B・アンソニー / ジル・ハワース / オルガ・アンソニー / リサ・コリンズ / ジョーン・スコット / トビー・レノン / ジョン・ウィルフォード







生物学の教授ノルターの講義を受けていた女学生が、ある日、見世物小屋の出演者に誘拐される
その裏には人が植物の特性を受けて進化する植物人間の研究に没頭するノルターの姿があり…

当時は「悪魔の植物人間」という邦題で公開されたという作品
まあ、アレだ、もうパッケージやらなんやらひっくるめて、見るからにカルト映画な感じですわな
内容ももちろんアレな感じでアレですね、ほら、アレアレ
とりあえずモノホンなフリークスをキャスティングしてる時点で現在の感覚ではちょっとアレでアレな感じですよね
中には「これはメイクだよね?」って人もいるけど、もうまぜこぜな感じでどこまでアレなのかよくわかりません

内容的にはマッドサイエンティスト系のホラーで、悪魔の実験の矛先を人体実験に向けた教授がいて、その悪巧みが被害が広がっていくことで明らかになってなんやかんやっていう感じ
しょうじきストーリー的にはごくごくシンプルで、実際のフリークスが出演するというまんま見世物小屋めいた見どころ以外はちょっと退屈なホラー作品かな
とりあえず悪の科学者としての教授のキャラが弱い
そのマジキチっぷりと異様にキャラがたっていることがマッドサイエンティストものの醍醐味だと思うんだけど、この作品ではどっちかといえば教授の協力者なリンチの方がナイスキャラっぷりですね

トニーくんも終盤は中々にナイスなキャラになるんですが、どうせならリンチとトニーくんの対比みたいのをじっくり描いてもらって、最後はガチンコバトルみたいなのにしてくれた方がドロドロっぷりが面白かったかもしれませんね
それでもこの作品のオチはけっこう好きかも
色々と投げっぱなしなところもあるけど、ホントにフリークスの怖さや不気味さはよく描かれてると思う
マジで純真な子供時代にこれ観たらトラウマになるレベル
ええ、子供がこれをあえて観るとは思いませんけどね

そんなわけで作品が作品だけに「こういう映画もあるんだぜ」みたいなそっち系の知識を蓄えたい人向け名一本でした

個人的評価:60点
オススメ度:無言ナイフは恐いわ。なんか言えよ、と




フリークメーカー 予告


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2012年4月1日日曜日

ドライヴ (2011/米)

監督:ニコラス・ウィンディング・レフン
出演:ライアン・ゴズリング / キャリー・マリガン / ブライアン・クランストン / クリスティナ・ヘンドリックス / ロン・パールマン / オスカー・アイザック / アルバート・ブルックス







犯罪者の逃走を助ける運転手であり、映画のカースタントマンであり、自動車修理工で働くドライバーの男
偶然に知り合った子持ちの隣人女性と知り合ったことで彼女の家庭に深く関わるようになり…

どことなくひと昔前の懐かしい感じのする作品なんですが、かといってちゃんと現代作品の息吹もある
これは個人的な感じ方ですが、いわゆる今でも色あせない過去の名作映画を観てる感覚に似たものをおぼえましたね
重ねて言うけど個人的な感じ方だけど、これマジで名作だわ
これから先、時代が変わった頃に見直しても「おもしろい」と思えるでしょう

すねに傷のある男が隣人の女性と知り合い、互いに惹かれていくんだけど…というひじょうにシンプルな内容なんだけど、ありきたりでシンプルゆえにザ・王道というか横綱相撲というかホントに堅実に作り込まれてます
音楽、雰囲気、演出、登場人物、すべてがガッチリと合わさっていっさいのすき間のないジグソーパズルとしての作品を形作ってる感じ
最初は地味な雰囲気を楽しむ系の映画かと思って観てて、「ああ、はいはい、次はこういう展開になるんだろうな」と鼻ほじってるとガツンとやられますわ
いや、「ガツン」というか「ひょい」って感じ?違うか…
ぜったい作ってる側は「こうくると思ってただろ?」とか意識してんだろうなあ、と感じつつも嫌みがいっさいないから気にならない

ホントに雰囲気が良いだけじゃなく、無駄に派手なシーンだけでもなく、スタイリッシュな画面演出だけじゃなく、○○映画じゃない「ドライヴ」という映画を見せつけられましたね
そして、主人公のキャラはもちろん良いんですが、敵側も捨てがたい
画面に映し出されたものから「こいつ、こういうキャラだったのか」と思える演出とか素敵です
ラストもまったく違和感ないし、余分すぎず足らなすぎずで満足な終わり方
いやあ、エンドロールの曲まで含めて「ドライヴ」という映画が完成されていて、頭から尻尾まであますことなく堪能できた一本でした

個人的評価:100点
オススメ度:けっこうバイオレンス表現はキツめ




ドライヴ 予告