2012年7月31日火曜日

ダークナイト ライジング (2012/米)

監督:クリストファー・ノーラン
出演:クリスチャン・ベイル / マイケル・ケイン / ゲイリー・オールドマン / アン・ハサウェイ / トム・ハーディ / マリオン・コティヤール / ジョセフ・ゴードン=レヴィット / モーガン・フリーマン







バットマンが罪を被ることで平和が続くゴッサム・シティ
世間から隠れるように暮らすブルースの屋敷に女泥棒が入り、また同時に街にベインと名乗る男の脅威が近づきつつあった

なんとなくゲームのMGS4っぽい印象を受けたこのライジング
重厚でビターな大人のヒーロー映画っていえば聞こえはいいんだけど、ちょっと雰囲気的に重すぎる気がします
常に締め付けられている重圧感があって、それが作品自体を凝縮しすぎて、はたから見たらえっらい小粒な作品になっちゃてるかな
この一粒に何倍ものうまみを凝縮している、そりゃあ濃厚でうまそうだけど、おっきい皿の真ん中にすっごい高級なものがこじんまりのってるイメージ

身も心もぼろぼろになった主人公のブルースさんが、表の顔的にも裏の顔的にも外に出ることのないヒッキーライフをしていると、街を脅かす新たな敵が現れたよっていう話
ぶっちゃけ今回のメインの敵であるベインさんに魅力をあんまり感じないのは確か
前作のジョーカーさんのキャラが強烈すぎるってのもあるんだけど、ガチムチな典型的パワーファイターみたいな外見してるベインさんなのに、策を練ってる(ように見える)描き方はどうかと思う
「ケンカだケンカ!おら、出てこいや!バットマン!みんなぶっこわしちまうぞ!」っていうノリがピッタリな外見なのに、いろいろと小細工ばかりしてる感じが似合わない

この作品、基本はおもしろいんだけど、なんか細かい不満点ばっかり目立つ気がしますね
敵側のキャラの魅力のなさ、今回からの新キャラ・・・特にキャットウーマン風なヒロインの掘り下げの浅さ、時間経過のわかりにくさ、奈落での退屈なジャンプ大会
ホントに基本はおもしろいんだけど、ところどころものすっごくつまらない所があるんですよ
マシンアクションばっかりで、飛んだり跳ねたりなバットマンとしての戦いが物足りなかったり、ね

あえてジョーカーさんの存在をにおわすことすらしないストーリー運びはいいと思うんですが、ビギンズの宗教的というか観念的というか、そんなエッセンスを取り入れたのは失敗なんじゃないかなあ
伝説が終わるってぐあいで過去作を受けての総決算の壮大なまとめをしようとしてる、そんな枠が枷になってるとしか思えない
前作の方が明らかに自由でのびのび作ってる
結果、今作は選択肢が狭められて、わりと王道で無難な着地をしたかな、と

いや、マジで映画としてはおもしろいんですよ
ただすっごいよかったとはお世辞にも言えないもどかしさが残念な一本でした

個人的評価:75点
オススメ度:技術を盗まれ、バットマンVSバットマンになると期待してた時期もありました




ダークナイト ライジング 予告

2012年7月29日日曜日

顔のないスパイ (2011/米)

監督:マイケル・ブラント
出演:リチャード・ギア / トファー・グレイス / スティーヴン・モイヤー / オデット・ユーストマン / スタナ・カティック / クリス・マークエット / テイマー・ハッサン / マーティン・シーン / ラリー・ギリアード・Jr







ある日、引退していたポールのもとにCIA長官がじきじきにおとずれる
かつてポールが殺したと思われた大物スパイ「カシウス」が再び活動を開始した話を聞き‥

なんともおしい感じで、自らもっとおもしろくなる感を放棄してるストーリーだったかな
スパイものってところに多く期待しなければ良い意味で普通におもしろいんですが、どうしても普通の領域を抜け出せない「なにか」が足りないのも事実かも
「100%予測不可能な罠」ってほど真相も「やっべ!そうだったのか!」なもんでもないし、堅実に作られてはいるけど地味さは隠せないかな、と

最初はちょっとどんな展開か分かりづらいんですが、けっこう話じたいはシンプルで、ようするに引退した元凄腕CIAエージェントがかつて解決したと思われていた蒸し返された事件にけじめをつける、って感じ
そして誰もが気になる「カシウス」の正体
しょうじきちょっと観てれば「こいつらのどっちかがそうなんだろうな」と分かるはず
そんな謎を楽しもうとしてるってのに、けっこう早い段階であっさりカシウスが誰か描かれちゃうんですよね
いや、さすがにもっと引っ張ってミスリードやらなにんやら絡めつつ、どっちがカシウスなんだ感を持続させた方がおもしろいだろと思わざるえない

カシウスが誰が描いたことで展開されるストーリーも悪くはないけど、作品としての引きは確実に落ちてる
どうせなら終盤まで正体は隠しておいて、そっからのそれぞれの思惑をあらわにした方が個人的には好みな展開かも
あとは過去の事件からカシウスの手がかりがわりと容易に手に入る描写とか、ホントにFBIとかCIAってぼんくらの集まりかと、今まで誰もそこに気づかなかったのかとツッコミを入れざるえないわ

でもオチはけっこう好きかも
この後の「このままじゃすまないだろうな」ってところをよくよく考えればキレイにまとまってるとは言いづらいけど、それでもその選択をしたことで多少は後味がよくなってる
全体的に地味さを払拭するためにリチャードおじちゃんを起用した感が見え見えで、それでいてしょうじきその配役がしっくりきてない気もするけど、まあ、ホントに普通に楽しめる一本であることは確かでした

個人的評価:70点
オススメ度:俺がカシウスだ




顔のないスパイ 予告

※予告編内、ネタバレ注意※



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2012年7月26日木曜日

ダークナイト (2008/米)

監督:クリストファー・ノーラン
出演:クリスチャン・ベール / ヒース・レジャー / アーロン・エッカート / マイケル・ケイン / マギー・ギレンホール / ゲイリー・オールドマン / モーガン・フリーマン / モニーク・ガブリエラ・カーネン / ロン・ディーン / キリアン・マーフィ / チン・ハン / ネスター・カーボネル / エリック・ロバーツ / リッチー・コスター / アンソニー・マイケル・ホール / キース・ザラバッカ / コリン・マクファーレン / ジョシュア・ハート / メリンダ・マクグロー / ネイサン・ギャンブル / マイケル・ヴィオー / マイケル・ジェイ・ホワイト / ウィリアム・フィクナー / エディソン・チャン



悪に立ち向かうデント検事の活躍めざましいゴッサム・シティ
そんな中、独自に悪を懲らしめるバットマンにジョーカーと名乗る異常犯罪者が立ちふさがり…

ライジング前に過去のやつを観ておけよ、てめえこの野郎シリーズ
色々と賛否が両極端な意見があるような感じのこの作品、実際に観てみるとなんとなく意見が割れるのも理解できるような内容でしたね
びっくりするくらいビギンズの続きを当たり前のようにはじまるってのは、しょうじき初見の人は完全に置いてけぼりなんじゃないかな
「ダークナイト」を受けての「ダークナイト・ライジング」だったらいきなりライジングから観ようって人も少ないだろうけど、「バットマン・ビギンズ」を受けての「ダークナイト」だと続編だってことすら気づかない人もいるんじゃないのかな、と
で、話題になってるからって「ダークナイト」を観てみたら、なんか微妙についていけなくてイマイチな印象を受けるかも

ストーリー的には異常犯罪者であるジョーカーのしかけた罠にバットマンが立ち向かう、というもの
でも街では犯罪と戦う精神が根付いてきており、悪に屈することのない力強い検事もあらわれた・・・そんな中で自分の存在意義も薄らいできたかな、ってことをバッツさんは気にするお年頃
バットマンさんのあいも変わらず不殺のルールにのっとって、超人ではないあくまでハイテクスーツに身を包んだ人間として生傷の絶えない戦いを続ける姿はカッコいいですね
それと同じくらいに、これでもかってほど悪の魅力をふりまくジョーカーさんが素敵すぎる
ぶっちゃけどう見てもバットマンさんがジョーカーさんに勝てる気がしない

この作品の見所は完全にジョーカーさんの卑劣な罠を楽しむってとこにつきますね
正義と悪、優勢と劣勢がころころかわる、いまが表なのか裏なのかだんだんと混沌としてきて分からなくなってくるのが不思議と気持ちいい
出てくるキャラもいい味のヤツばっかりで、中でもクライマックスに出てくる囚人のセリフと行動は思わずケツの穴がきゅんとなっちゃいそうなくらいカッコいいわあ
いや、そっちの趣味はないッスよ。いちお

でも最後まで観ると、なんとも中途半端なもやもやした気持ちが拭えないまま終わってる感じがするんですよね
ジョーカーさんとのバトルの決着が不完全燃焼というか、バットマンさんがなんかキレイにまとめようとしてるんだけど、どうみてもジョーカーさんの勝ちエンドにしか見えないんだわ
バットマンさんがゲームに勝って勝負に負けた、みたいななんともすっきりしない終わり方は狙ってるのかなあ

これだけは言えるけど、最後の最後で完全にジョーカーさんをいかしきることなく終わっちゃった感がする、そんな一本でした

個人的評価:85点
オススメ度:バットマンがやったことにした方が混乱が大きくないか?




ダークナイト 予告


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2012年7月24日火曜日

おおかみこどもの雨と雪 (2012/日)

監督:細田守
出演:宮崎あおい / 大沢たかお / 黒木華 / 西井幸人 / 大野百花 / 加部亜門 / 林原めぐみ / 中村正 / 大木民夫 / 片岡富枝 / 平岡拓真 / 染谷将太 / 谷村美月 / 麻生久美子 / 菅原文太







大学生の花は講義中に気になったひとりの男に惹かれてゆく
その男の正体、狼男であることも受け入れ、やがて花は子供を産み育てていくことになるのだが・・・

この映画の感想について一番聞かれて困るのは「おもしろかった?」という点
つまんなくはなかったんだけど、これじゃない感もあって、感情に訴えてくるシーンもあったけど、ちょっと受け入れづらい展開もある
よくまとまっているようでちぐはぐな感じもするし・・・
とりあえずいちど自分の目で観てみれば、としかいいようがない
ただ自分はいっかい観れば十分って気がする作品かな、と

花と狼男との出会い、付き合い、暮らし、妊娠出産、ひとりでの子育て、田舎での暮らし、子供の成長、それらを思ったより陰湿な展開もないポジティブな感じで描いてます
現代の子育てより遊びを優先するようなお母さんじゃない、前向きに子育てをがんばるお母さんファンタジーから、じょじょに子供たちの世界の話にシフトしていく運び方も退屈しなくておもしろい
特に雪の成長っぷりは観てるだけでも楽しい

一方でどうも飲み込みづらいのが雨のエピソード
雪の幼少期から学校にいくようになって、色々とイベントをこなしつつ成長した結果のこの作品の雪のエピソードのしめ方は納得いく
でも、雨のエピソードはなんとも感覚的すぎやしないか?と思わざるえない
ファンタジーRPGでよくある不思議なパワーで光に包まれて物事が解決するような「詳しく説明しないけど分かるだろ?」みたいなむずがゆさがあるんですよね
雨と雪の対比ってのを描きたいのは分かるけど、たぶん観てる人の多くは最後に家族そろって笑顔で終わる、そういうのを期待してるんじゃないのかな、と

あと細かいことかもしれないけど、花が畑仕事をしてるシーンの時間経過がよくわからんかった
どれだけの時間をかけてその畑を作ったの?引っ越してきてからどれだけ日が経ってるの?ってのがイマイチつかみづらかったかも

そんな感じで貞本絵につられる若い人が観てもおもしろいと感じづらいだろうし、かといってファミリーで観るような作品でもないかもしれんし・・・あるていど子育ての先が見えた中年女性がいちばん楽しめる内容かもしれんね、これ
そんな年齢層で、なおかつこの絵柄に抵抗がない人がひとりでしんみり観るのがベストな気がしないでもない一本でした

個人的評価:80点
オススメ度:リアルクソガキ注意報




おおかみこどもの雨と雪 予告

2012年7月22日日曜日

BRAVE HEARTS 海猿 (2012/日)

監督:羽住英一郎
出演:伊藤英明 / 加藤あい / 佐藤隆太 / 仲里依紗 / 三浦翔平 / 平山浩行 / 伊原剛志 / 時任三郎 / 矢島健一 / 螢雪次朗 / 神保悟志 / 平山祐介 / 橋本禎之 / 出口哲也 / 宇都隼平 / 東根作寿英 / 笠兼三 / 窪塚俊介 / 佐藤一平 / 藤本涼 / 宮下ともみ / 濱田龍臣 / 小林優美 / 綾那 / 松本実 / 青木珠菜 / 坂本真 / 深水元基 / 田中聡元 / 中丸新将 / 奥田達士 / 緒形幹太 / 鈴木ちなみ / 大山蓮斗




海上保安庁の潜水士の中でもエキスパートたちで組織された特殊救難隊に入った仙崎と吉岡
吉岡のプライベートも順調に進む中、仙崎たちは火災が発生したタンカーへと救助に向かう

ほんの数日前までなんの興味もなかったシリーズ
もちろんこの映画もまったく鑑賞する予定じゃなかったんですが、ほら、せっかく前作を観たんだから・・・っていうノリでいってきました
前作もそうですが、ちゃんと「映画を作ろう」としている姿勢があらわれてて、ファンから搾取しようとやっつけで作られてる感じがしないのがいいですね
うん、普通に海猿のファンになりつつあるわ

ストーリー的にも前作のプラントオンリーみたいな単調なものじゃなくなり、仙崎関連のドラマ、吉岡関連のドラマ、そして今作のメインとなる後半からクライマックスの展開とメリハリができてます
ちょっとドラマ部分のウエイトが占める部分が大きくて、中だるみしてるのが退屈感を出しちゃってるかも
序盤のタンカーみたいに、間にもうひとつくらい救助シーンを入れてくれてもよかったかな、と

あとは主人公周りのドラマは描けてていいんですが、嶋さんとの絆を深める描写ももっとあった方がよかったんじゃなかろうか
体育会系のノリでいくのはいいんだけど、もうちょい衝突やらなんやらで拳で語ってくようなイベントがほしい
それと、特救隊では新入りのはずの仙崎さんがことあるごとに仕切るってのは、さすがに違和感をおぼえずにいられないのは自分だけじゃないはず

前作より多少は先が読めにくくなってるラストの展開もおもしろいし、なにより政治的なあーだこーだがなくなって、シンプルに体育会系な展開で作られててごちゃごちゃしてないのは素直に楽しめてよかったですね
じゃっかん神格化されつつあった主人公を崩して描いてたのも重苦しくなくていいな、と
無難に人に勧められる良い意味で普通におもしろい、そんな一本でした

個人的評価:80点
オススメ度:おい、どっちだよ




BRAVE HEARTS 海猿 予告

2012年7月21日土曜日

THE LAST MESSAGE 海猿 (2010/日)

監督:羽住英一郎
出演:伊藤英明 / 加藤あい / 佐藤隆太 / 加藤雅也 / 吹石一恵 / 三浦翔平 / 濱田岳 / 時任三郎 / 香里奈 / 勝村政信 / 鶴見辰吾 / 石黒賢








洋上の天然ガスプラントでの事故により火災が発生、海上保安庁の救難隊員たちが救助に向かう
台風が近づく状況の中、隊員の千崎をふくめプラント職員ら数人が取り残されてしまい…

職場でちょっと話題に上がり、過去の劇場作品もTVドラマも観てないと言ったら、なんか自称完結編である劇場3作目のDVDを貸してあげるよっていう展開に
しょうじきシリーズ未見のままで楽しめるのか?という引っかかりはあったんですが…うん、予想以上に普通に観れました
最初こそなんの予備知識もなかったんで誰が主人公かよく分からなかったけど、とりあえず観ていればちょっとずつストーリーやら設定やらを説明してくれて、これがまたいいあんばいのタイミングで状況を描いてくれてとても分かりやすい
十分とは言えないかもしれませんが、この作品単体でも楽しめる作りになってますね

危機的状況の中、ベテラン(?)隊員が若造隊員と即席タッグを組んで、パニックで心の余裕のない要救助者を率いて生き延びるために行動する…かなり王道なストーリーな感じ
外野で指示するお偉いさんは人命もいいけどプラントも大事なんだから、と圧力をかけてくる
予想外のアクシデントもありつつ、主人公を中心にみんなの心がまとまっていき…みたいな、ね
悪く言えばこれといったとびぬけた何かがある内容じゃないんだけど、広く一般的には受ける作りになってるかな
特に有名店のものじゃないけど、いつものみんな大好きメロンパン的なポジションな作品…よく分からん表現かもしれんけど

平均的におもしろい内容なんだけど、ただ、個人的にちょっと気になる点があって、舞台であるプラントがけっこう重要な施設という設定なんですが、それが言葉だけで「重要重要」言ってるだけで表面的な設定にしか見えないんですよね
あとは台風、単にプラント内で孤立させるってだけの手段として設定されたとしか思わざるえない
別に暴雨の中で命綱なしで作業することもなし、いつ崩壊するか不安な夜を過ごす緊張感を描いてるでもなし、挙げ句の果てにはいつのまにか台風とか過ぎ去っちゃうし

シリーズを通して観てきた人は主人公がどうなるのかドキドキしたかもしれませんが、現状、続編があるって分かってる上に過去の作品での展開も知らないんで、個人的にはそんな「どうなるんだ」みたいなのは感じることができませんでした
良くも悪くも普通におもしろい、そんな一本でした

個人的評価:65点
オススメ度:服部くんの存在感の薄さは異常





THE LAST MESSAGE 海猿 予告


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2012年7月19日木曜日

ドクターズ・ハイ (2008/米)

監督:マーク・ショーラーマン
出演:マイロ・ヴィンティミリア / マイケル・ウェストン / アリッサ・ミラノ / ローレン・リー・スミス / ジョニー・ホイットワース / ジョン・デ・ランシー / メイ・メランコン / キーア・オドネル / アラン・ブルーメンフェルド







インターンの研修としてある医療センターにやってきた将来有望な男テッド
そこで病理解剖をおこなっている同僚のジェイクたちのグループに目をつけられ…

世の中にはなぜか胸くそ悪くなるだけの悪趣味映画ってのがあります
まさにこれがそんな作品
どこに需要があるのか分かりませんが、少なくとも私のような人間が観てる時点で需要はあるのか
たいがいの悪趣味映画でも「作りもの」として受け入れられる、そんな精神力が自分にはあると思ってたんですが、さすがにこの作品の出だしにはおもいっきり引くわ
先の展開が気になるとかそういうインパクトより、「うわあ・・・」って感じになりましたね

内容的には医療の知識を悪用して、人の命や死体をもてあそぶジェイクたちのグループに、堅物でエリートな新参者の主人公が対立しながらも・・・って感じ
まあ、ようするにジェイクたちによって、良い医者の見本みたいな主人公の内なる狂気が呼び起こされ、それがジェイクたちをも凌駕する悪意の固まりみたいなものだった、みたいな展開ですわ
それはそれでこういう作品にはよくある展開で、つまんない主人公が覚醒して豹変する系なんだけど、そのプロセスがあまりにテキトーすぎる

なんかよく分からないうちにジェイクたちの側に目覚め、どっぷりドラッグとファックと”ゲーム”にはまっていく主人公
どこがきっかけか分からないくらいその心境の変化が唐突すぎる
もっと悪の道に反発して抵抗しつつ、それでいて自分の中の内なる狂気が増大していき、やがて爆発してしまう・・・そんな丁寧な描写はいっさいないから困る
完全にストーリーを練り上げることを放棄してると思わざるえない

それでもクライマックスからラストの展開はおもしろかったですね
悪対悪の頭脳戦みたいな流れはいい
そんな終盤のノリをもっと続けてくれてもよかったと思うくらい、ラストのあたりはおもしろい
ただやっぱり後味が悪いのは仕方ないかな

ホントに悪趣味な内容なんで、まっとうな人はいっさい楽しめる要素はないかもしれない、なんかちょっと楽しめる部分があった自分がアレなんじゃないかと思う気がしないでもない、そんな一本でした




ドクターズ・ハイ 予告


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2012年7月17日火曜日

リンカーン弁護士 (2011/米)

監督:ブラッド・ファーマン
出演:マシュー・マコノヒー / マリサ・トメイ / ライアン・フィリップ / ジョシュ・ルーカス / ジョン・レグイザモ / マイケル・ペーニャ / フランシス・フィッシャー / ボブ・ガントン / ブライアン・クランストン / ウィリアム・H・メイシー / トレイス・アドキン / ローレンス・メイソン / ミカエラ・コンリン / マルガリータ・レヴィエヴァ / ペル・ジェーム / シェー・ウィガム / キャサリン・メーニッヒ / マイケル・パレ / マッケンジー・アラジェム





狡猾な手段を用いるラフな弁護士ミック
ある日、彼のところに金持ちの男から傷害事件の弁護をたのまれ・・・

そのタイトルといい、ポスターといいなんとなく陰謀系のお堅い法廷サスペンスを想像してたんですが、もうしょっぱなからそのイメージは崩れます
ルパン的というかカウボーイ・ビバップ的というかみょうにお洒落なOPが始まったかと思ったら、やっけに軽い主人公の登場
イメージとしてはアイアンマンの御曹司みたいな感じの主人公が、あるていど汚い手段を使っても被告人を弁護していくお話でしたね

どうってことない案件かと思ってたら、次々に裏側が見え隠れし始めて真実が露わになっていき、主人公のダーティ弁護士が頭脳戦をいろいろとしかけていく
見所はやっぱり真相はけっこう早い段階で分かるんですが、主人公の立場的にどうにもできないもどかしさを描いているのがいいですね
もちろん検察側とのバトルもあり、主人公の過去のいきさつもあり、家族との関係うんぬんもあり、けっこうもりだくさんで凝縮された内容になってます

そんな凝縮された内容ゆえに、やっぱりなんとも詰め込みすぎ感は否めない
人の生き死にやらなんやらを含め、全体的に重厚さが足りない気がします
ぶっちゃけTVドラマとしてシリーズ化したものを映画として再編集したかのような箇条書きみたいな印象がある

それでも主人公のキャラは十分に魅力的だし、「これで終わりか」と思ってたらもうちょい続きがあって、さらに「うん、これで終わりだね」と想ってたらもうちょい続きがあるサービス精神はいい
ねがわくば、やっぱりTVドラマとしてもうちょいじっくり描いてくれたら嬉しいかなあ
ほら、日本人って警察ものとか司法ものドラマって大好きな人種じゃない?
けっこう受けると思うんだけど・・・と感じた一本でした

個人的評価:90点
オススメ度:続編も制作中だそうで楽しみですなあ



リンカーン弁護士 予告

2012年7月15日日曜日

バットマン ビギンズ (2005/米)

監督:クリストファー・ノーラン
出演:クリスチャン・ベール / マイケル・ケイン / リーアム・ニーソン / モーガン・フリーマン / ゲイリー・オールドマン / 渡辺謙 / ケイティ・ホームズ / キリアン・マーフィ / トム・ウィルキンソン / ルトガー・ハウアー / マーク・ブーン・ジュニア / コリン・マクファーレン / ラリー・ホールデン / ライナス・ローチ / サラ・スチュワート / ジェラルド・マーフィ / ガス・ルイス / エマ・ロックハート / レイド・セルベッジア / トム・ウー / ルーシー・ラッセル / ジョン・フー




刑務所生活をしていたブルース・ウェインのもとにひとりの男が誘い話をもってくる
その言葉通りに山頂の館を訪れた彼は、そこで悪に対抗する鍛錬をつみはじめ…

ダークナイト・ライジングの前に新生バットマンを観ておこうシリーズ
はい、いつものにわかっぷりの通り、シュワちゃんの出ない方の劇場版バットマンは実は未見だったりします
噂で雰囲気は知ってましたが、大人向け…というか青年向けなバットマンさんの映画ですね
ビギンズというタイトルの通り、バットマンをその誕生から描いた1から再スタートの新生バットマンでした
全体的に暗くて重い印象が強く、画面的にはにぎやかだけど悪く言えばちょい地味な感じは否めない

これを言うとなんかファンに怒られそうだけど、しょうじき序盤の見知らぬ男に言われた通りに花を摘んで吹雪きそうな中を山頂に向かい、そこで忍者修行する主人公って超展開すぎないか?
この鍛錬パートだけ作品全体の流れを見てもひどく浮いてる気がしないでもない
そっから先のバットマン誕生までの流れは丁寧にじっくり描かれていて世界観もよかっただけに、みょうに個人的にこの序盤が引っかかって仕方ない

アイアンマンの御曹司と違って、なんか色々と悩んだ末に自分の中で悟った思想をもとに悪人でも殺さずに対処する戦いはおもしろい
まあ、殺さないけど助けないって変な逃げ道つくってるのだけはアレだったけど
基本的にすごいおもしろくて、けっこう尺が長いわりに集中して観れたんですが、なんというかもうひとつ物足りない気がしましたね
その要因のひとつは敵側のキャラがインパクトないってのもあって、怪人まではいかないけどもうちょっと存在感的にプレッシャーのある敵がいてもよかったかな
あとはノリがけっこう一本調子な感じがして、クライマックスでも盛り上がってるのかそうでもないのかイマイチ気分的な高揚が弱かった気がします

とはいえ主人公周りの脇役もみんな良い味だしていて、作品としてはしっかり作られてる感じで楽しませてもらった一本でした

個人的評価:80点
オススメ度:いたちごっこの末のヒールの強大化という流れはいいね




バットマン ビギンズ 予告


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2012年7月13日金曜日

ホーボー・ウィズ・ショットガン (2011/米)

監督:ジェイソン・アイズナー
出演:ルトガー・ハウアー / グレゴリー・スミス / モリー・ダンズワース / ブライアン・ダウニー / ニック・ベイトマン / ロブ・ウェルズ








クズどもの町に流れ着いた老放浪者
暴力とクスリで町を仕切るドレイクたちに正義の心をゆさぶられ、とうとうある女を助けるのだが…

「マチェーテ」に続いて映画本編をホントに作っちゃったフェイク予告シリーズ
まあ、なんだ、とりあえずフェイク予告だけで終わらせておいた方がよかったんじゃねえの、と誰もが思うでしょうね
しょうじきこの作品単体だけで作られたものだったら観なかったかもしれん
作ってる方もちょっとフェイク予告ありきって部分を意識しすぎてるような感じがしないでもないかも

内容的には流れ者がすさんだ町に怒りが有頂天になって、ヒロインを助けたことにより町を牛耳ってるボス&一味に目をつけられて正義の戦い勃発みたいなありふれたお話
とにもかくにも主人公のおっちゃんの魅力があんまりうまく描けてないのが痛い
完全に敵側にインパクトを根こそぎ持って行かれていて、終盤にはヒロインにすら存在感を食われるしまつ
「そこが観たいんだよ」って部分がホントにはしょられてる感じで、こういっちゃなんだけど個人的に主人公を演じる中の人のやる気もないような印象をうける

序盤でグダグダせずに、とっととショットガンを主人公に持たせて悪人とのバトルをメインにしてほしかったわあ
劇中でショットガンをくわえ目出し帽で悪人の前に現れた主人公には震えるものがあり、もっともっとそんなキレたおっちゃんのキャラとショットガンを使ったバカアクションが観たかった
地獄の使者が登場した時に「きたか!」と気分が盛り上がりもするけど、けっきょくなんか微妙な扱いで不完全燃焼

と、これを鑑賞後、ちょっと休憩してから書いてるんですが、今、マジで「あれ?これどんなラストだったっけ?」と思ったわ
クライマックスはどうみてもヒロインの方が目立ってたし、全体的に「グラインドハウスのフェイク予告から出た企画もの映画なんだから、こんなもんでいいでしょ」みたいなテキトー感がにじみ出てる一本でした

個人的評価:60点
オススメ度:もうフェイク予告はこりごりだ




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2012年7月12日木曜日

エイリアンVSアバター (2011/米)

監督:ルイス・ショーンブラン
出演:キャシー・フリーゲル / ジェイソン・ロックハート / ディラン・ヴォックス









地球に飛来する攻撃的な謎のエイリアン
それを監視し追う宇宙人が動き出す山の中、6人の男女がそこにキャンプをするために訪れ…

えっらい久しぶりな気がしないでもないみんな大好きVSシリーズ
今回の対決は…もはやVSシリーズの常連と言っても良い王者の風格エイリアン、そして対するはアバター!
いや、アバターって…
しかも原題からして「ALIENS VS. AVATARS」ってんだから潔すぎるわ
エイリアン側のデザインはそれなりにちょっとは考えて作ってるけど、アバター側のデザインはまんま有名映画のアレってのはこわいもん知らずだな

ストーリー的にはまあ、いろいろあって凶悪なエイリアンを追ってアバター的な人が地球の山奥で地球人を巻き込みながらおっかけっこする、といった感じ
とにかくもうツッコミを入れるのがめんどくさくなるくらい素敵な「おいおい」的要素が満載です
とりあえず冒頭から山小屋っぽいところに遊びに来たビッチ二人組が、なんか知らんけど”山の中”で水着になり、さらになんの脈絡もなく水着も脱ぎだした時点で「底は見えた」
で、案の定エイリアンにぶっ殺されるわけで、そんなエイリアンを倒すためにアバター的な人が地球にロボットを送り込むわけで、だけど起動することなくロボットは故障して姿すら見せずに退場しちゃうわけで…

エイリアンにしてみても姿が消せたり人を騙す知能を持ってることから、どっちかといえばプレデターに近いかもしれん
そんなエイリアンさんは普通に素手で人をあっさり殺すパワーを持ってるのに、いちいち姿を消したり人間に化けたりして隙をついた攻撃をしてきます
ふつうに走ってきて殴ればいいんじゃねえの、というツッコミは無粋なんでしょうね

もういくら数えてもきりがないツッコミポイントが多いこの作品ですが、そんな中でも印象深いシーンがふたつあります
ひとつはアバター的な人がロボットを修理するシーン
まるでファミコンカセットの端子にやるようにロボットをふーふーします…いやあ、「そうか」としか言いようがないわな
もうひとつは主人公側の地球人が仲間に化けたエイリアンと遭遇するシーン
アバター的な人が逃げろって言ってくれて、なおかつ仲間はエイリアンが化けていると気づいてるのに、ヘタレおたく主人公はおもむろにエイリアンに立ち向かっていって「ええい」と子供がいじめっ子にせいいっぱい反抗するようにソフトタッチで突き飛ばします
そしてそっこうで逃げます…僕ハソノ一連ノ行為ノ意味ガ分カラナイヨ?

なんだかんだで一番アレなのは、これが作られたのが2011年という事実
すげーよな、映画の世界って
今でもこんなのが作り続けられているなんて、夢のような世界だよな

個人的評価:40点
オススメ度:まともに動くものがないとか自虐ネタですか




エイリアンVSアバター 予告


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2012年7月10日火曜日

崖っぷちの男 (2011/米)

監督:アスガー・レス
出演:サム・ワーシントン / エリザベス・バンクス / ジェイミー・ベル / アンソニー・マッキー / エド・バーンズ / タイタス・ウェリヴァー / ジェネシス・ロドリゲス / キーラ・セジウィック / エド・ハリス / アフトン・ウィリアムソン / マンディ・ゴンザレス / バーバラ・マリノー / J・スミス=キャメロン / パトリック・コリンズ / ロバート・クロヘシー / ジョー・リシ





ある高層ホテルに部屋をとった男
軽い食事を済ませるとおもむろに窓から身を乗り出し…

主人公が電話ボックスから動けない、主人公が棺桶の中から動けない
いったい何が起こったのか、何が起ころうというのか…そんな先の読めない展開を楽しむサスペンスってのもいくつかありますが、この映画はそういうもんじゃねえから
いや、まったく騙されたわ。悪い意味で

高所の壁際に居座る主人公、そこに至るまでのピース、そしてそこから先の展開のピース、それらをうまくミスリードや先が安易に読めないようにつなげて緊張感を持続させるのがこの手の作品のセオリーだと思うんですよね
でも、この映画って丁寧に外堀からきっちり核心に向けてピースをバカ正直にはめていってくれるんで、先が読めないとかそういう「どうなるんだ」的な緊張感が薄すぎる
開始早々にそっこうこのシチュエーションに至る話を展開しちゃうし、そうかと思えばすぐに話は冒頭につながってそこから先の展開も時系列をいじることもなく一本道で描いていきます
そうするとナニがアレかっていうと、外堀から丁寧にピースをはめていくと完成する前にパズルの画が見えちゃうんですよ

さらに弟くんパートの演出の軽さがあんまりすぎて、作品じたいの崖っぷち感が台無し
また、頭脳戦っぽい要素の内容を装ってるけどかなりのパワープレイでご都合主義
あんまり細かいことを気にしないような人でも「いや、そりゃねえだろwwwwwww」とツッコミを入れざるえないくらいのひどさ
かといってすんごくつまらない作品ってわけでもないんですよね
ギリギリ普通に楽しめる感じ
もしくは「あー、今日までサービスでDVD無料で借りられるクーポンあったけなあ。うーん、まあ、クーポンもったいないし、これでも借りとくかあ」という状態で観てみたら意外に面白かったよレベル

私は「実はここまで計画通り(ニヤリ)」というのを期待してたし、そういうのを観たかったわけで
こんなすっとこルパンみたいのを出されても困るわあ、な一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:最初のホテルマンの存在感ありすぎだろ、さすがにもっと隠せよ




崖っぷちの男 予告

2012年7月8日日曜日

ひゃくはち (2008/日)

監督:森義隆
出演:斎藤嘉樹 / 中村蒼 / 市川由衣 / 高良健吾 / 北条隆博 / 三津谷葉子 / 有末麻祐子 / 橋本一郎 / 太賀 / RED RICE / VERBAL / 小松政夫 / 二階堂智 / 光石研 / 竹内力







名門野球部のベンチ入りすらできない万年補欠の雅人
同じ境遇のノブとともに諦めるこなく部活にはげみ、なんとか背番号を手に入れようと画策する

野球じたいにはそんなに興味はないんだけど、個人的にスポーツもの全般の作品は好きなんですよね
マンガとかも気づけばスポーツものばっかり手にしてるし、かといってそのスポーツじたいに興味があるかっていえばそうでもない…たぶん同じような人は他にもいる、はず
まともに野球すらさせてもらえず、ただ練習の日々を過ごす中で。時に笑い、泣き、遊び、衝突し、つながっていく…きれい事だけじゃない等身大の青春ドラマですね
隠れて煙草も吸うし酒ものむ、女遊びも夜遊びもヤりまくる、それでも高校野球にしがみついていく様がみょうに生々しいっていうか、そんな普通の高校生の汚さがすごく魅力的な作品

マジメな熱血スポーツものなら飲酒&喫煙がバレてなんたら、って流れがあるんだろうけど、そんなものはいっさいありません
煩悩上等、ズルさくらい持ってるのは当たり前、そんな高校球児の勉学以外の日常がギュッとつまっております
じゃっかんこの手の作品のメインにそえられる要素である恋愛系の描写が弱いけど、そんな日々のなにげない青春ドラマを描いてるだけでこうまでおもしろいとは
男同士の衝突や悪ふざけすらも最終的にはカラッした感じで絆で解決していくため、観ていてじめっとした重すぎることにはなりません
ホントに観ていてさわやか(?)な気分にしかなりえない感じ

ラストも「これどう盛り上げて終わるんだ?」と思ったけど、そこら辺の展開もうまく描けていて最後の最後まで飽きずに楽しめましたね
勝ち負けとか熱い青春談義、きつく結ばれた絆…んなもんはどうでもいい
ありのままの雅人の日々を観て笑ってジーンときて何かを感じられればそれでいい、そんな一本でした

個人的評価:90点
オススメ度:飲酒喫煙ネタをどうどうとやってのける。だが、それがいい




ひゃくはち 予告


ひゃくはち プレミアム・エディション [DVD]
ジェネオン エンタテインメント (2009-01-23)
売り上げランキング: 4933

2012年7月5日木曜日

オーバー・ザ・トップ (1987/米)

監督:メナヘム・ゴーラン
出演:シルヴェスター・スタローン / ロバート・ロッジア / デビッド・メンデンホール









トラッカーのホークはおよそ10年ぶりに捨てた息子に会いに行く
ふたりは手術をひかえたホークの妻のもとへ向かうが、けっして親子関係は良好とはいえず、さらにホークを敵視している義父の妨害も重なり…

昔に観た映画をもう一度なんたらシリーズ
いやあ、昔、この映画大好きだったんですよね
しょうじきシュワちゃん派だったんだけど、これだけはホントに好きでした
学校の休み時間とか腕相撲で勝負する日々がしばらく続いたくらい影響を受けましたね

話的には息子を捨てた父親がもう一度親子関係をやり直そうとあれこれする、まあ、親子の絆を描く王道のストーリー
粗野な筋肉バカの父親とどっちかといえばインテリな息子、前半はふたりが反発したり近づいたりしながら母のもとへ向かうロードムービーっぽい展開ですね
父性全開の脳筋スキンシップで息子との空白の時間を懸命にうめる姿は、なんというかやけに子供っぽくてホークさんがかわいらしく見えます
思ったよりアームレスリングの描写は少なくて、途中途中でちょっとやる程度

そんな親子のドラマなんですが、どうにもスタローン先生の演技がちょっとアレな感じが気になるわあ
昔はそんなに気にならなかったんだけど、英語とか解さない私でもしょうじきひどいってことは分かるレベル
子役の子の方がましに見えるくらい
それに加えて、ちょっと脳筋すぎる絆の築き方に「これじゃない」感を抱かざるえない
内容的にもドラマと言いつつ無駄に派手なカースタントとかもあるし、なんかアクション映画畑の人が一生懸命作ったドラマっぽい印象がしますね

それでも終盤のアームレスリングパートは良い
観てて思いっきり力が入るし、スタローン先生も生き生きしてる
この男のパワー世界の描き方は個人的にかなり好み
主題である親子の絆とかかすんで見えるわ
うーん、このアームレスリングパートに負けないくらい、もうちょいドラマ部分がしっかりしてればもっとおもしろくなったかもしれません
ホークさんが母親と息子を捨てた理由とか、アームレスラーとしてどのくらいのレベルの位置にいるのかをもっと深く描いてほしかったかも

個人的評価:75点
オススメ度:劇中の曲の名曲っぷりはガチ




オーバー・ザ・トップ 予告


オーバー・ザ・トップ  <HDニューマスター版> [DVD]
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2012年7月3日火曜日

アメイジング・スパイダーマン (2012/米)

監督:マーク・ウェブ
出演:アンドリュー・ガーフィールド / エマ・ストーン / リス・エヴァンス / デニス・リアリー / キャンベル・スコット / イルファン・カーン / マーティン・シーン / サリー・フィールド







幼い頃に両親によって叔父に預けられて育ったピーター
ある日、父が残した謎の書類を見つけ、それを調べているうちに遺伝子研究しているラボに忍び込み・・・

新しいスパイダーマンシリーズということで、最近の3作品はどれも観てないけど今回はしきり直しで最初から作りなおしたストーリーらしいので安心して鑑賞することに
ちょっと予想してた雰囲気と違って、なんというかコミックをそのまま影像化したような「軽さ」が目立ちましたね
とにもかくにも主人公があまりに軽すぎる気がしないでもないところは残念

自分の身勝手で取り返しがつかないことになってしまった主人公が、その怒りの矛先を向ける相手を追ううちになんか楽しくなってきちゃってヒャッホイ、そんな内容ですね
スパイダーマンになるまでの話を良く言えば丁寧に、悪く言えば長々と描いているんですが、しょうじき学園パートは無駄に尺をとりすぎだろ、と言いたくなる

それもこれも最後まで観れば分かるんですが、完全に続編ありきで作られてるんですよ
中途半端に伏線をはっては最初っから回収する気ゼロで、「そこら辺は続編でやるから」みたいな作りはどうかと
このストーリーだと問題解決の先延ばし、って感じのマイナスの印象しか抱けないわ

そんなストーリーはアレですがアクションは十分に見応えがあってよこった
ぴょんぴょんとちょこまか飛び回るスパイダーマンさんのアクションはいいですね
で、スパイダーマンの設定ってよく知らなかったんですが、あの糸とかありものを自分で改造して作り上げたメカニカルな装置だったんかい
コスチュームも手作りだし、なんというか「おまえどんだけ器用なんだよ」と

そんな感じでこの軽いノリについていけて、主人公の性格を許せる人ならかなり楽しめるでしょう
アクション部分だけ観る感じでも大丈夫ですが、やっぱり単体で未完な作品はちょっと・・・ね

個人的評価:70点
オススメ度:主人公の性格がいまいち把握できない




アメイジング・スパイダーマン 予告

2012年7月1日日曜日

デビルクエスト (2011/米)

監督:ドミニク・セナ
出演:ニコラス・ケイジ / ロン・パールマン / スティーヴン・キャンベル・ムーア / クレア・フォイ / スティーヴン・グレアム / ウルリク・トムセン / ロバート・シーハン / クリストファー・リー







十字軍遠征に参加していたベイメンとフェルソンは、女子供まで虐殺するやり方に反発して軍を抜ける
そしてふたりは立ち寄ったある街で脱走兵として捕まり、その腕を買われて黒死病の元凶の疑いのかかった魔女を護送する任務を提案される

なんか自分たちの正義に「そうでもなくね?」的な疑問を抱いて抜けた主人公が、心の傷である過去をぬぐい去るために見限った組織のために一肌脱いじゃう、そんなお話
影のある主人公の典型みたいなお約束すぎて食傷気味な設定を前面に押し出し、微妙な中世の映像表現に、微妙な予算をかけたCGで味付けし、微妙映画を微妙にワンランク上な感じにしてくれるニコラスを起用して作りました…みたいな
いつものクソB級ファンタジーとは違う、微妙にワンランク上のファンタジーものですね
ええ、けっして骨のある本格的なものではありません

相棒と戦いが終わった後の酒代について軽口を叩きながら敵を殺してひゃっほいする十字軍の主人公ベイメンさん
来る日も来る日もひゃっほいしてたけど、ある日、非武装の女を殺した瞬間になんかいっきに冷めて「オレ、十字軍やめるわwwwww」と軍を抜ける
序盤のこの流れだけで私の中で「ああ、こりゃダメかもしれんね」とこの映画の期待値が下がりまくりです
全体的にストーリーをなぞるだけに終始してて、まったくこの作品の世界観に没入できない
「ああ、そりゃ十字軍の行動を疑うよな」「やべえ、脱走兵だってバレちゃう」というようなストーリーとのシンクロができないのはちょっと、ね

かといって予算の全く足りない、情熱もないクソB級映画とは違う
すべてにおいて微妙
微妙に予算はあるし、微妙にやる気もある、位置的に中の下のような本気で微妙なデキに
それゆえに「こんなアホなクソ映画みつけた」というB級脳をくすぐられるような作品でもないし、かといってファンタジーもの好きの食指が動くような作品でもない
唯一、ニコラスファンだけがチェックするような、かなり観る人を限定する映画になってるかな

観た数日後には記憶から確実に消えてる自信がある、そんな微妙な一本でした

個人的評価:55点
オススメ度:さすがニコラス、仕事を選ばねえな




デビルクエスト 予告


デビルクエスト スペシャル・エディション [DVD]
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