2013年12月31日火曜日

12月のこれ一本&2013年の個人的映画ベスト3

今年の終了のおしらせも近い中、とりあえずまずは今月の一本を
というか、今月は「ゼロ・グラビティ」しかありえないでしょう
観る人によっては非常に色々な要素が内包されているようにも感じ、またはいたってシンプルにも感じる
それでいて力強いおもしろさをおぼえざるえない希有な作品かもしれません


そして、ここからは2013年を振り返ってみて、あえてベス
ト3を選ぶなら・・・

第3位「クラウド・アトラス」
細かい不満もあることはあるけど、「壮大さ」として心に残る一本
そこにある世界観に没入できるのが心地よかった

第2位「ゼロ・グラビティ」
一片の隙もない完璧で力強い、ザ・横綱という一本
現状、いつになっても、なんど観ても楽しめるリピート鑑賞に耐えうるところもありますね

第1位「サイド・エフェクト」
あくまで個人的に、という前置きのもとで2013年の1位にはこれを
粗もある、不満もある、隙もある、そんなほめ言葉としての生ぐささがたまらない
クセがあるからこそ”個人的な部分”に強く残る一本でした

その他として「地獄でなぜ悪い」「エンド・オブ・ウォッチ」「インポッシブル」もひじょうにおもしろかった
2013年、こうして思い返してみると、けっこう印象に残る作品が多くて豊作な年だったのかなあ、と


そんなところで2013年もこれまで
今年もありがとうございました
そして、また来年もよろしくお願いいたします

ルパン三世VS名探偵コナン THE MOVIE (2013/日)

監督:亀垣一
出演:栗田貫一 / 小林清志 / 浪川大輔 / 沢城みゆき / 山寺宏一 / 高山みなみ / 山崎和佳奈 / 小山力也 / 林原めぐみ / 高木渉 / 岩居由希子 / 大谷育江 / 茶風林 / 湯屋敦子 / 緒方賢一 / 山口勝平 / 入野自由 / 夏菜 / 金尾哲夫 / 内野聖陽 / 三浦知良

日本に現れたルパン三世により予告される宝石チェリーサファイアの盗みの予告
一方でコナンは来日した人気アイドルの側にルパン一味の影を察知して・・・


たまたま再放送された前作のTVスペシャル版を観たんで、どうせならって感じで鑑賞に
まあ、かなりの覚悟はしていたものの、子供子供子供家族・・・と完全にアウェーの中でおっさんがひとりで挑んできましたよ
と、そんなことはどうでもいいとして、今作ではアクション主体でよりいっそうお祭り感が高まってる印象ながら、最後にはちゃんとストーリーとしても納得のできる完成度で楽しめました

日本に現れたルパンはチェリーサファイアを盗む予告をだす
銭形も警備に加わる中、いよいよ予告の時間がおとずれる
一方、来日した人気アイドルのエミリオの側にルパン一味のひとりである次元の姿をみとめるコナン
宝石とアイドル、まったく接点の感じられないふたつの要素がしだいに交わりをみせ、ルパンとコナンの衝突も必然となっていく
という流れの中で、最初こそルパンの話がメインで進むものの、じょじょにコナンも大きく関わってくる、と

なにやら前作はルパンの世界観にコナンを入れる感じで、今作では逆にコナンの世界観にルパンを入れる趣向のようですね
で、同様に前作ではルパンの世界観でコナンの展開だったように、今作では逆にコナンの世界観でルパンの展開っていうふうに作ってあるのかな
しょうじきラスト近くのネタバレまでストーリーとか犠牲にしていいから、とにかくお祭り騒ぎな描写でアクションをメインに描いてるもんだと思ってました

話の展開的にもなんかしょぼいし、でもまあルパンチームとコナンチームの絡みが想像以上におもしろいからいいか、と
特にコナンと次元の名コンビっぷりはスタッフ悪ふざけしすぎでナイスすぎる
コナン側についてそこまで詳しく知らないけど、次元のコナンネタとか楽しすぎる
で、そんなストーリーの部分を半ばあきらめて観ていると、最後には「ああ、そういうことなのね」とそれなりに納得のできる展開が待ってるので安心ですね

ただ、ネタバレになるので詳しくはアレですが、前作のTVスペシャルであるヴェスパニアの一件は観ておかないとダメかもしれませんね
前作を引きずる小ネタぐらいは許容できても、残念ながらこの映画単体では十分に楽しめない、そんな一本と言わざるえません

個人的評価:80点
オススメ度:エミリオって別にいなくていいよね




ルパン三世VS名探偵コナン THE MOVIE 予告

2013年12月30日月曜日

武士の献立 (2013/日)

監督:朝原雄三
出演:上戸彩 / 高良健吾 / 西田敏行 / 余貴美子 / 夏川結衣 / 緒形直人 / 成海璃子 / 柄本佑 / 鹿賀丈史 / 中村雅俊

江戸時代の加賀藩、女中のはるは料理の腕も知識も一流であった
そんなはるに包丁侍でありながら料理より刀に重きをおく安信の嫁に、という声がかかり・・・

まったくもって期待してなかった、というか「~家計簿」にあまり良い印象がなかったんで、かなりマイナスイメージが強かったこの作品
実際に観てみると個人的にけっこう好みな内容でしたね
夫婦で喧嘩したりイチャつきながら料理坂を登る、みたいな面白味のない感じなんだろ、とか思ってたらそうでもない
包丁と刀のバランス、そしてなにより安信のキャラが非常に観てて気持ち良く描かれている作品でした

加賀藩の江戸屋敷で藩主の側室の世話をする女中、はる
侍ながら主君のために包丁を握り料理を作る包丁侍の台所方の舟木伝内の目にとまり、料理の腕も悪く包丁侍としての役目に対する意欲も低い息子の嫁にと声がかかる
伝内ははるによって息子に料理を教えようと考えていたのだった
という感じではじまり、「ああ、これはるが主人公なんだ」という雰囲気で話は進んでいきます

だけど安信が登場してからはじょじょに描写が逆転していき、途中から主役交代みたいな感じで安信がメインになっていく
思ったより急ピッチに安信の料理人としての腕は上がっていき、「なんか展開が早いな」と思っていると・・・
中盤で包丁パートがひと段落して、そこから加賀騒動を機に刀パートがはじまります
そんな話の中で良くも悪くもまっすぐに生きる安信の描写が観てるだけで楽しく、単なる料理ドラマだけじゃなくて時代劇の要素もあるからおもしろい

しょうじき最初は「加賀騒動とかいいから、料理メインでやってくれよ」とか思ったけど、途中からこういうストーリー展開こそおもしろい、と意識が変わりましたね
一方で、ちょっと物足らないかな、と思うクライマックスの展開が惜しい
過剰なまでじゃなくていいから、もう少しドラマティックな波があってもよかったかな、と

あとね、これは観た人のほぼ全員が感じるだろうけど、ED曲のミスマッチっぷりがひどい
最後の最後、余韻にひたりたいところで「なんじゃそりゃ」ともったいない終わり方な一本でした

個人的評価:85点
オススメ度:いや、そこは鶏は捕まえないでおいてあげて




武士の献立 予告

砂漠でサーモン・フィッシング (2011/英)

監督:ラッセ・ハルストレム
出演:ユアン・マクレガー / エミリー・ブラント / クリスティン・スコット・トーマス / アムール・ワケド / トム・マイソン / レイチェル・スターリング / コンリース・ヒル

アラブの富豪の代理人ハリエットからイエメンで鮭釣り場を作る計画を持ちかけられる水産学者のジョーンズ
ジョーンズは明らかに無謀なことに適当にあしらうものの、事態は本格的に動き出してしまう

常識的に考えて「そりゃ無茶だろ」ということに真剣に取り組む、ドラマとしてはジャンルのひとつといってもいいかもしれない内容ですね
だけど、そんなタイトルにもなってるサーモン・フィッシングというプロジェクトに向けてうんぬん・・・というより、けっこう主人公のロマンス的な要素が強かった気がしました

ハリエットと名乗る女性から、イエメンの族長が鮭釣り場を作りたいと言っていることで意見を求められる水産学者のジョーンズ博士
砂漠と乾燥地帯という印象しかないイエメンでは、そんな計画じたい夢物語で実現はとうてい不可能とジョーンズは鼻で笑って相手にしていなかった
しかし、プロジェクトは政治的見解から政府の後押しによってごり押しで進められることになる
という乗り気ではない主人公のジョーンズ、投資会社のヒロインであるハリエット、族長のムハンマドの3人が主になっているドラマ

3人それぞれにプロジェクトとは別にプライベートの問題を抱えており、それらが物語に大きく影響をあたえてくる・・・のはいいんですが、そんな要素がじゃっかん作品的にブレさせてる気がしないでもない
無謀な計画に困難を乗り越えて立ち向かうドラマのようで、釣り人を題材に人生を語るドラマのようで、男女のロマンスを鮭の遡上みたいな困難さに見立ててるドラマのようで・・・ちょっと視点が定まりきってない印象
結局のところすべてのエピソードがなんとなくおさまって終わってる感じで、あまり観てて深く心にグッとくるものがないんですよね

それでもコミカル一辺倒でもシリアス一辺倒でもなく、主人公のジョーンズさんもホントに変人的なイヤな奴からまともな性格になっていく描写はおもしろい
嫌みは言うしつまらない男の見本みたいなジョーンズさんにどれだけ魅力を感じられるか、という点が人によって大きく評価を分けるポイントになるかもしれません
個人的には「いろんな意味でいい性格してるわ」と思えたので、かろうじてクソ映画な印象は回避できてる、かな

個人的評価:65点
オススメ度;小さなことからコツコツと




砂漠でサーモン・フィッシング 予告


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2013年12月29日日曜日

劇場版 HUNTER×HUNTER The LAST MISSION (2013/日)

監督:川口敬一郎
出演:潘めぐみ / 伊瀬茉莉也 / 藤原啓治 / 沢城みゆき / 浪川大輔 / 永井一郎 / 三石琴乃 / 冨永みーな / 大友龍三郎 / 横山智佐 / 関俊彦 / 会一太郎 / 寺崎裕香 / 中村獅童 / 天野ひろゆき / 山本美月 / 志村理佳 / 田中美麗 / 前島亜美

天空闘技場でのバトルを見物に訪れるゴンとキルア
そこへハンター協会会長ネテロと因縁のある謎の敵の一団が襲来する

無理せずに原作の設定の一部をかりて、ストーリーの隙間の時間軸で展開するいたってシンプルな内容でしたね
個人的に昔によく観たドラゴンボールの劇場作品に似た感覚をおぼえました
そんな意味では現在でも受け継がれる劇場ジャンプバトルアニメのお家芸みたいな作品、なのかな

天空闘技場で開催されるフロアマスターたちのバトルイベントを、出場するズシの応援の意味もあって見に来たゴンとキルア
ハンター協会会長のネテロもゲストとして挨拶に登場し、ふたりは久しぶりに会いに行く
そこへ謎の一団が闘技場を占拠し、ネテロを捕縛するのだった
と、ようするに闘技場を占拠したテロリスト一味とゴンたちの戦い、という分かりやすいストーリー

いちお敵側にもドラマやら怨という設定はあるけど、しょうじきそこまで「オリジナル」という感じはしないですね
「なんかどっかでみた」って感じな設定のオンパレードで、とりあえずオリジナル敵とバトルしてるだけという印象は否めない
話的にも占拠してその先どうしようというのか、別にゴンとキルアが居合わせなくても解決してたよね、みたいなツッコミは無粋なんでしょうね

尺の問題もあるのかもしれませんが、ゴンたちと修羅たちの仲間意識からの対立、ネテロとジェドの因縁の対立というドラマ部分をもっと掘り下げてほしかった
表裏一体というテーマ(?)から、そこら辺をやりたかったんだろうけど、ちょっと描き切れてない感がありましたね
まあ、でも単純にオリジナル敵とのバトルは楽しめるんで、普通の少年マンガ的な戦いだけに集中して頭からっぽにして鑑賞するのがいいかもしれません

個人的評価:65点
オススメ度:怨とかどこの中二病設定だよ




劇場版 HUNTER×HUNTER The LAST MISSION 予告

パット・モリタVSプレイメイツ/ボディ・エンジェルス (1990/米)

監督:アンディ・シダリス
出演:ドナ・スピア / ロバータ・ヴァスケス / ノリユキ・パット・モリタ / エリック・エストラーダ / マイケル・シェーン / ブルース・ペンホール / シンシア・ブリムホール / ウィリアム・バミラー / リチャード・カンシーノ

悪の組織のボス・ケインによって捕らえられたふたりのセクシー凄腕連邦捜査官ドナとニコール
ケインはふたりを解放し、6組の殺し屋を向かわせて戦わせるゲームに参加させるのだった

私は最近、大切な「何か」を忘れてしまっていたようだ
というわけで、みんな大好きVSシリーズ
今回は「ベストキッド」の師匠でおなじみのパット・モリタとプレイメイツがVSだ
というかこの作品、なんか前作があったみたいですが気にしない方向で鑑賞です

内容的には敵のボスの気まぐれで、主人公たち次々と殺し屋コンビが差し向けられ、これと命をかけて戦うゲームが今、はじまる・・・!という感じ
基本的に敵の攻撃は主人公たちには当たらないし、しょぼい銃撃、爆撃、カーアクションとエンターテインメント性を追求してるものの制作側の映画作りの腕がともなってないのがほほえましい

とりあえず見所はそんなアクション要素ではなく、数分にいちど挟まれる無駄なセクシーシーン
無駄に着替えだし、無駄にファックしだし、無駄にパイオツをむき出して、無駄にケツをつきだしてくる
それらがなんというか、実にエロさが感じられないから不思議
ここら辺は「ああ、またバカなセクシーシーンがはじまったよ」という素敵な微笑で流しましょう

あとは話の流れ的に主人公たちは最初こそふたりだけど、どんどん仲間が合流していって8人のチームにもなるのに、悪の組織のボスなケインさんはあくまで二人組の殺し屋という点にこだわる正々堂々さが素敵です
さらにこのケインさん、ちょこちょこなんか持論を語りだしたり、その存在感はハンパない
ええ、まあ、最後まで主人公たちと直接戦うことはないですけどね

と、なんか最後も続編つくれるような微妙な終わりですが、これ以上こんな映画につきあう義理はねえってもんです

個人的評価:30点
オススメ度:ケインさん、カンフーバトルしてくださいよ




パット・モリタVSプレイメイツ/ボディ・エンジェルス 予告


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2013年12月22日日曜日

永遠の0 (2013/日)

監督:山崎貴
出演:岡田准一 / 三浦春馬 / 井上真央 / 濱田岳 / 新井浩文 / 染谷将太 / 三浦貴大 / 上田竜也 / 吹石一恵 / 田中泯 / 山本學 / 風吹ジュン / 平幹二朗 / 橋爪功 / 夏八木勲 / 佐々木一平 / 青木健 / 遠藤雄弥 / 栩原楽人 / 古川雄輝

祖母の死をきっかけに今の祖父が再婚相手だと知る健太郎
そんな戦時中に特攻で死んだという祖母の前夫、宮部久蔵について健太郎は姉と一緒に調べることにする

劇場ではホントにどんな作品を観にいっても必ずといっていいほど予告が流れていた本作品
しょうじきサザンの主題歌とともに流れる映像のその予告をみるかぎり、「なんか軽いなあー」というマイナス印象しかなかった
しかし実際に鑑賞してみると、地に足がしっかりついているというか、どっしりとした重厚なドラマな感じがして大安定な作りで良い意味で意外でした

今の祖父が実は祖母の再婚相手であり、母も初婚相手の夫の子供である事実を知った健太郎
フリーライターである姉の取材に強引につき合わされる形で、その祖母の前夫である宮部久蔵について調べることになる
戦時中に零戦乗りだった宮部は若くして特攻で亡くなっており、当時のことを知る人物とコンタクトをとって話を聞くうちに、臆病で恥知らずという印象が強くなり・・・
という展開の中で、最初こそ負の印象しかなかった宮部について調べるうちに、というお話

思った以上に作品からアイドル臭やキャストに対する違和感はあまり感じない
むしろベテラン勢、中堅、若手の役者さんたちそれぞれがホントに好演しており、作品として全体的な完成度を高めてますね
VFXについても最初こそじゃっかん引っかかりはありますが、鑑賞してるうちに気にならなくなるどころか、かなり無理なく作品と整合性がとれてる感じに思えてきます

ストーリー的に分かりやすさを優先してるのかもしれないけど、ちょっと先が読めすぎるのが気にならなくもない
丁寧に作られている内容ゆえに、どうせこういう展開になると分かりきってるのに、というもどかしさがあるんですよね
そこら辺も役者さんたちの熱演が上回ってそこまでマイナスイメージにはならないですが
ただ、戦後パートの宮部の奥さんと娘のコントチックな薄汚れ描写はどうかと思いましたね

というわけでサザンの軽すぎる曲がまさかの足を引っ張ってる、そんな感じのした一本でした

個人的評価:85点
オススメ度:ジジイも小僧どももナイス男ばかりだぜ




永遠の0 予告

ケイゾク/映画 Beautiful Dreamer (2000/日)

監督:堤幸彦
出演:中谷美紀 / 渡部篤郎 / 鈴木紗理奈 / 徳井優 / 小雪 / 高木将大 / 大河内奈々子 / 竜雷太 / 生瀬勝久 / 泉谷しげる

15年前の事件の遺族から招待を受けた当時の関係者に同行することになった捜査一課弐係の柴田と真山
厄神島に着いた他の関係者一同は、招待主である七海によって殺害予告を受ける

「SPEC」から入って結まで鑑賞したことから、どうせならってんで「ケイゾク」にも手をだしてみました
とりあえずTVシリーズ、特別編を観てのこの劇場版の鑑賞という流れをとったんですが、またこれがビックリするほどシリーズの一連の流れとしてつながってる形で作られてましたね
TVシリーズ、特別編、映画と連続で観た方が楽しめる作品になってるかもしれません
そんな意味では個人的には楽しめたんですが、リアルタイムで間をおきつつ観てたら別な印象を受けたかも

厄神島に集められた一同は、招待主である七海に死の宣告を受ける
実際に人が次々に死んでいくが、時には証拠が時には遺体そのものがないために、同行している刑事の柴田&真山コンビもうかつに七海に手を出せない
そんな中、島の外では因縁の相手である朝倉の動きがあり・・・という流れ
作風としてTVシリーズの縮図みたいな感じになっていて、事件編と朝倉編が合わさってる内容

とにもかくにも終盤の展開が肝
事件編だけでキレイに(?)終わっておけばいいのに、と思わなくもないけど、朝倉についても触れておかないと全体としてのストーリーとしてしまらない気がするのも確か
最初こそ「なにこの超展開。意味わかんねえし」って感じだけど、おとなしく最後まで観れば意外にシリーズとして終わらせてるな、と個人的には思えました

まあ、大きな部分の謎は残ってるちゃあ残ってるけど、TVシリーズ、特別編と描いてきたものの最低限のまとめにはなっているかな、と
そんな感じで一本の映画としては問題外だけど、特別編での違和感はあるていどすっきりしたので、これはこれで
と、すっかりファンの目線で鑑賞した一本でした

個人的評価:80点(シリーズ通しで)
オススメ度:このキャストでケイゾク2、観たかったわあ




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2013年12月15日日曜日

ゼロ・グラビティ (2013/米)

監督:アルフォンソ・キュアロン
出演:サンドラ・ブロック / ジョージ・クルーニー / エド・ハリス

宇宙にて船外活動中だったストーン博士たち
そこへ無数の破壊された人工衛星などの破片が猛スピードで迫り、襲いかかる

スペースデブリとケスラーシンドローム、「プラネテス」にハマってた私としては鑑賞せざるえない
だけど予告編をみるかぎりでは、なんか宇宙空間を舞台にした漂流を描く雰囲気ものっぽい印象を受けましたが、実際にはそんな上っ面だけじゃない完成度の作品
なんか地味かな、と思い描いていた内容とは大きく異なり、ドラマティックで雰囲気もよくエンターテインメント性も申し分ない隙のない作りで大興奮でしたね

ストーン博士たち3人は宇宙空間で船外活動中、猛スピードで接近する無数のデブリの警告を受ける
予想以上のスピードで到達したそれらに避難もままならないままに襲われ、主人公であるストーンはなすすべもなく宇宙空間に投げ出され漂流してしまう
地上との通信も途絶し、酸素の残量も心許ない状況下、心を強くもってか細い希望の糸をたぐりよせながら生還を目指す物語
シンプルなテーマをホントに力強く描いていて、最後の最後までスクリーンから目が離せませんでしたね

話の展開としても緩急がよくて、場面的にも真っ暗な宇宙空間一辺倒ではないので地味なんて印象はいっさい受けません
究極的には生と死ですが、作中ではホントにそんな相反するふたつの要素が波のように観ていて心地よいリズムで展開していくのがいい
冷たさと暖かさ、厳しさと優しさ、冷酷さと美しさ、リアルでいてファンタジック、救いの手になったものが次には枷になり、逆もまたしかり・・・テーマとかドラマとか置いといて単純に映画としておもしろい

個人的には犬の鳴き真似のシーンでまさかここまでグッとこさせられるとは思わなんだ
あとは、なにはともあれラストのそれだけのことなのに心が震える感覚は久しく味わったことがないものでした
もう出だしからラストまで完璧すぎる作りだと個人的に感じられた一本でした

個人的評価:100点
オススメ度:宇宙に対する知識が乏しい身ながら、まさに宇宙にいると思わされる




ゼロ・グラビティ 予告

ポゼッション (2012/米・カナダ)

監督:オーレ・ボールネダル
出演:ジェフリー・ディーン・モーガン / キーラ・セジウィック / ナターシャ・カリス / マディソン・ダヴェンポート / グラント・ショウ / ロブ・ラベル / ナナ・グベウォニョ / ジェイ・ブラゾー / アイリス・クイン / マティスヤフ

妻と離婚したクライドは、週末だけふたりの娘たちと過ごす生活をしていた
そんなある週末、娘がガレージセールで謎の木箱を購入したことを機に異変がおこりはじめ・・・

ザ・オーソドックスって感じの可もなく不可もなくなホラー映画
家族のドラマを軸に、何か異質なものが作中に浸食していく不気味さを描いてます
ショッキングだったり、ビックリ箱だったり、グロだったりな過度な刺激はなく、なぁーんかイヤな感じという雰囲気を楽しむ系、かな
派手に人が死にまくるというわけではないので、そういった刺激を求める人にはむいてないかもしれません

クライドのふたりの娘のうちのひとり次女のエミリーは、ガレージセールで手に入れた木箱を気に入る
細工がほどこされたその箱はなかなか開かなかったが、ひょんなことからフタがあく
その日をさかいにクライドたちの周辺で不気味な出来事がおこりはじめ、明らかにエミリーの様子が変質してくるのだった
というなんか変な箱の影響で異変がおこりつつ、クライドと妻、娘たちの家族の問題も悪化していく・・・というドラマ仕立てのホラーですね

それほど血が飛びまくるようは派手さはないんで、しょうじきなところインパクトにかける部分があるのは否めない
特に「この作品だからこそ」という強烈な見所がないのは残念かな
オーソドックスで無理せずそつなく作れているし、ドラマとしても退屈ではないだけに、ホントに独自のちょっとしたスパイスがあればもっとおもしろかったのに・・・と個人的に思わざるえない

刺激重視の昨今のホラー映画とは違う部分を攻める姿勢は好ましく感じただけに、もうちょい、あとひと味なんか物足りないのがもったいない一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:TVドラマのワンエピソード感




ポゼッション 予告


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2013年12月9日月曜日

キャプテン・フィリップス (2013/米)

監督:ポール・グリーングラス
出演:トム・ハンクス / バーカッド・アブディ / バーカッド・アブディラマン / ファイサル・アメッド / マハト・M・アリ / マイケル・チャーナス / コーリー・ジョンソン / マックス・マーティーニ / クリス・マルケイ / ユール・ヴァスケス / デヴィッド・ウォーショフスキー / キャサリン・キーナー

ある海運会社でコンテナ船の船長をつとめるリチャード・フィリップス
いつものように荷を積んで航行中に海賊船の追跡にあってしまう

実話ベースで、武装海賊に対する非武装の民間船、とか言われても予告をみただけで十分に内容が把握できちゃいます
そんな内容が分かりきっていながらもなお、おもしろい
とにもかくにもトム・ハンクスのためのトム・ハンクス映画で、フィリップス船長としての熱演を堪能できる作品ですね

コンテナ船「マースク・アラバマ」の船長であるリチャード・フィリップス
その航行中、ソマリア沖で謎の小型船2隻から追跡を受ける
しだいに接近する中、海賊船と認めた船長はなんとか振り切ろうと指示をだし、自らも無線でハッタリをかましつつ事態に対処するのだった
と、どうせ海賊に襲われて船長が~みたいに内容的な先は分かってる・・・んだけど「え?それじゃこの先どうなんの?」と思わせてくれるからおもしろい

見所はふたつに大きく分けられるホーム&アウェーでの船長の振る舞い、でしょうね
で、そんなふたつに分けられたパートそれぞれでも事態は常に二転三転するので、常に緊張感が継続して飽きることはない
フィリップス側だけでなく、海賊側にもアクシデントがつきまとい、船という限定された場面の中でも代わり映えのなさもあまり感じさせない

海賊側のボスであるムセのキャラもよくって、頭がキレすぎず愚かすぎずな人間くさい描写がストーリー展開を引き立てます
そしてなにより、主演のトムさん
トム・ハンクス映画でありながら、トムさんだけでもってる作品でもなく相互に支えあって作り上げてる感があるのがいいですね

親子愛的な部分にまで欲をかいて深く手をださなかった点は人それぞれに思うところはあるだろうけど、個人的にはこれでオーケイかと
むしろ数年後、主演を別の人にして親子愛編とかでももう一本くらい撮ればいいんじゃないですかね

個人的評価:90点
オススメ度:守るべき者がいない状況での船長のアウェー感




キャプテン・フィリップス 予告

くじけないで (2013/日)

監督:深川栄洋
出演:八千草薫 / 武田鉄矢 / 伊藤蘭 / 檀れい / 芦田愛菜 / 上地雄輔 / ピエール瀧 / 鈴木瑞穂

90をこえ、どんどんと歳老いていく自分を感じながら弱々しくなっていく柴田トヨ
そんなある日、まともな仕事にもつかずにギャンブルにあけくれるひとり息子から、詩をやってみないかともちかけられる

個人的に大好物な老人もの、どっちかというと外国のおじいちゃん&おばあちゃんのパワフルストーリー系が好みではありますが、日本のこういうのもいいですね
老いながらも詩人として周りに元気をふりまく感じのハートフルストーリーなんだろ、とじゃっかんバカにして観たところもありましたが、いやいや、これそんな陳腐なもんじゃなかったですわ
周りに元気を振りまくっていう要素はおさえつつ、なにより主人公が歩んできた人生のドラマがおもしろかったですね

病気や老衰でどんどんと体が弱っていくのを痛感して生きる主人公の柴田トヨ
その息子で定職につかずギャンブルに目がなく、他人様に迷惑をかけながら日々を過ごす健一
そんなトヨを気にかけて面倒をみつつ夫の健一をささえ、さらには自ら働く静子
そんな三人はそれぞれ生きていく上での苦悩や葛藤を抱えていたが、トヨが詩をはじめたことによりちょっとずつ変化がおとずれる
というお話

詩はあくまでトリガーにすぎず、作品としては柴田トヨとその家族のドラマという感じになってましたね
診療所の医師や登校拒否児童とかの詩がダイレクトに絡んでくるサイドストーリーありつつの、家族愛という主軸の描き方がおもしろかった
特に個人的には息子である健一のエピソードがツボでしたね
もちろん主人公のトヨの生きざまっぷりはめちゃくちゃ良いですが、健一サイドの物語が強く印象に残りました

序盤はホントにダメ人間すぎてしょうがねえな、という存在の健一が、いきなり詩を母に勧めたところで「はあ?いきなりなに言ってんだ」となる
そっから話が進むにつれて、ダメ人間だけじゃない部分が描かれていって、最後にはなんとも憎めない男に感じられる
とりあえず人はそんな大きくは変われない、けどちょっとだけ軌道修正はできる・・・みたいな「小さな変化」が良いんですよ

感動という要素より、ホントに観おわった後に元気になれる、笑顔になれるそんな一本でした
というかお年寄りに元気を分けてもらっておいてアレですが、こんなんじゃダメだろと思わざるえない

個人的評価:85点
オススメ度:トヨの旦那をふくめ、その父ちゃん&母ちゃんもいろんな意味で素敵すぎる




くじけないで 予告

2013年12月8日日曜日

47RONIN (2013/米)

監督:カール・リンシュ
出演:キアヌ・リーブス / 真田広之 / 柴咲コウ / 浅野忠信 / 菊地凛子 / 赤西仁 / 田中泯 / 國元なつき / 中嶋しゅう / 羽田昌義

赤穂の藩主、浅野によって幼い頃に助けられ育てられた異人の血が通う男カイ
鬼人と藩士からさげすまれながらも、浅野のために働く日々を送る中、長門の藩主である吉良の魔の手が赤穂に伸びる・・・

ちったあ覚悟してたものの、これはけっこうなクソB級品だったわあ
とりあえずセンスが古くさい
長門のダークキャッスル&魔界都市っぷり、およびどう見ても中国な美術と世界っぷりに、おまえ何十年前の勘違い日本ワールドだよ、とツッコミをいれざるえない
特に吉良の居城のザ・悪の巣窟みたいなところは失笑ものですらある

浅野によって子供のころに助けられ、恩義を感じて仕える異人の血が流れる主人公のカイ
仲間である藩士からは忌み嫌われるものの、浅野の娘であるミカとは密かに良い仲
そんな浅野に私怨をいだく長門の藩主である吉良は、妖術を扱う怪しい女と共謀して赤穂の乗っ取りを画策する
その野望に気づきつつもカイは浅野を失い、出島に奴隷として送られてしまう
そして年月が過ぎ、浅野の忠臣であった大石は仇を討つべくカイを探して出島へとやってきて・・・
という流れではあるけど時代劇の要素は微塵もないファンタジーアドベンチャーなんで注意ですね

忠臣蔵をホントにちょっとだけモチーフにしてるってだけで、舞台はどう見ても中国なアジアンファンタジーな作品になってます
ひと昔もふた昔も前の勘違い侍日本ワールドが臆面もなく描写され、まあ、それはそれでB級映画として個人的には容認できるんだけど・・・
とにかくバカ映画をバカ映画と認識してないで作ってるのが痛々しい

開き直ってRONINたちがNINJAばりの身体能力を発揮し、ワイヤーアクション&VFX全開でぶっ飛んだSAMURAIアクションをしてくれれば良かったんですがね
どうにも中途半端に普通の等身大な地味アクションにおさまってて、なんともかんとも
クリーチャーとか出してる時点で、もっとはっちゃけた描写をしてもいいのよ、と言いたい
それこそ屋根を軽く飛び越す跳躍力、大木すら垂直にかけあがり、炎や水を操り、刀を振れば衝撃波が飛ぶくらいやって遠慮なく超人バトルものにしちゃってよかったのにね

なにはともあれ、こんな内容の作品に出演しちゃったそれなりに名のある役者さんたちの心情を聞きたいわあ
みんなどう思ってるんだろうね、しょうじきなところ

個人的評価:60点
オススメ度:日本よ、これがジャパニーズカルチャーだ




47RONIN 予告

利休にたずねよ (2013/日)

監督:田中光敏
出演:市川海老蔵 / 中谷美紀 / 市川團十郎 / 伊勢谷友介 / 大森南朋 / 成海璃子 / 福士誠治 / クララ / 川野直輝 / 袴田吉彦 / 黒谷友香 / 檀れい / 大谷直子 / 柄本明 / 伊武雅刀 / 中村嘉葎雄

茶人、千利休が切腹にいたろうとしていた
そんな利休(宗易)のこれまでの生き方を信長や秀吉、時代の流れとともに描く

なんだろう、なんていうか求めていた作品とちょっと違ったかな、っていうのが第一印象
個人的に「へうげもの」で描かれた利休のインパクトが強くて、予告編をみたかぎりではそんな人物に近い描かれ方をするものと期待していたんですが・・・
思った以上にドラマ性より形式的な利休像を描いていたような感じがしましたね

信長との出会い
美に対する独特の感性と関わってくる人物たち
時代の流れとともに利休の存在が大きくなり、反発するものも増えてくる
しかし、あくまでストイックに利休は美を探求する
というそれぞれの時代と人物に「この時、利休はこうした」みたいな序盤の展開
かなり時代背景やらは省略されており、その時々の利休という人物の考えや行動をピンポイントで描いてます

連続する利休という人物のドラマ、ではなくあくまで人物描写のピースを個々に見せてるという印象が強いですね
力強さ、弱さ、人間らしさ、強引さ、悩みや葛藤、いちおは描かれているけど、どこか箇条書きっぽい感じ
そういう流れも後半のヤング利休編のドラマ性重視路線への移り変わりで個人的にちょっとおもしろくはなったんだけど、総じてなんか「求めていたものと違う」かな

ヤング編あっての前半の描写がいきてくる、という部分もあったけど欲をいえばひとつひとつのエピソードをもっと深くドラマティックに描いてほしかったかな
なんていうか役者さんたちの演技に作品そのものがのまれてしまってる感がした一本でした

個人的評価:65点
オススメ度:そろいもそろった豪華キャストたちの力強さは以上




利休にたずねよ 予告

2013年12月2日月曜日

あさひるばん (2013/日)

監督:やまさき十三
出演:國村隼 / 板尾創路 / 山寺宏一 / 桐谷美玲 / 斉藤慶子 / 温水洋一 / 雛形あきこ / 間寛平 / 上島竜兵 / 國本鍾建 / 松平健 / 西田敏行

高校野球部時代に「あさ」「ひる」「ばん」の愛称で親しまれていた仲良し三人組の浅本、日留川、板東
すっかり中年の域に達した三人は、かつての野球部のマネージャーでありマドンナ的存在である幸子の娘から手紙が届き・・・

すっかりうだつの上がらないおっさんになった主人公たちが、青春を思い返して年甲斐もなく無茶をする人情コメディ
とか言うとホントにありがちで内容もだいたい想像できるでしょうが、ありがちだからってんで変にひねらずストレートで直球勝負な作りできたのは正解かもしれませんね
分かりやすいストーリーとキャラ、バカ騒ぎしすぎず暗くなりすぎず、落ち着いて&安心して観れ内容になってます
シンプルな内容でもちゃんと作ればおもしろい、そんな作品

故郷を離れて小さな芸能事務所を営む浅本のところに届いた一通の手紙
そして同時に高校時代、野球部での親友の板東から電話がかかってくる
それはかつての部のマネージャー幸子が入院して状態が危ういという手紙についての話であり、浅本は宮崎へと出立する
そこへ同じく手紙をもらった日留川も合流して幸子を見舞い、娘の有三子の抱える問題を三人で解決してやろうと決意する
と、かつての憧れのマドンナとその娘のために三人が騒動を起こしながらも奔走するお話

しょうじき先が読めまくるし、落ち着く先も手に取るようにわかる
それでもあさひるばんトリオのキャラのポジションが絶妙で、おもしろおかしく描きながらも妙に親しみがあって観てて安心できる
なにはともあれ過剰すぎない演出がうるさくなくていい

そんなありきたりでシンプルな内容ながら、あえて明快に説明しない部分があるのもいい
演技や台詞、話の流れで分かるでしょう?という描き方が分かりづらくなることなく、うまく描写されてますね
その上で「ああ、こいつ分かってるな」と見て取れる役者の演技が画面の奥で描かれる作りの細かさ、そういうのが良いんですよ

個人的評価:85点
オススメ度:これはシリーズ化してほしいかも




あさひるばん 予告

かぐや姫の物語 (2013/日)


監督:高畑勲
出演:朝倉あき / 高良健吾 / 地井武男 / 宮本信子 / 高畑淳子 / 田畑智子 / 上川隆也 / 立川志の輔 / 伊集院光 / 宇崎竜童 / 古城環 / 中村七之助 / 橋爪功 / 朝丘雪路 / 仲代達矢

はるか昔の日本、竹を伐採して生計をたてるおじいさんは、光輝く竹を見つける
そこから出でた美しい姫は赤子となり、おじいさんはおばあさんとともに育てることにする

現代の子供はどうか知らんけど、自分くらいならお話として知ってるかぐや姫
そんな昔ながらのありのままのお話を丁寧に読み聞かせてくれるような感じに映像化されてる、という印象でした
じゃっかん演出重視なファンタジーな部分もありますが、イメージとしては何も足さず引かずに忠実に描いた昔話のような感じですね

竹の中から現れた姫、赤子となっておじいさんとおばあさんに育てられる
小さな村の中で動植物、そこに暮らす人々とふれあいながらも、尋常ならざる早さで成長していく姫
そんな中、おじいさんは村娘としててなく、高貴な姫君として育てようと都にうつることを考え始める
と、ホントに見知った話ながら、その丁寧な描写に画面の中に引き込まれます

全編、手描きのような柔和な独特の絵柄という点も「ただそんな描き方だけを売りにしたかった」、なんて感じもせず、というかそんなタッチすら気になることなく話に没入してる自分がいましたね
地味、という面は否定できないけど、けっこうコミカルなシーンもあるし、しっかり娯楽作品には仕上がってると思います

小さな子供が観ても理解しにくい、ってのは百も承知
だけど何かしらの引っかかりをおぼえ、将来、成長して大人になった時にもういちど観てみると・・・
という狙いがあるようなないような
個人的にはこの作品、小さな子供のうちに観られればよかったなあ、と感じざるえない
大人になれば分かる、心の葛藤やらなんやらの美しいだけじゃない部分
冷たさも激しさも温かさもひっくるめた和の心を再認識させられた一本でした

個人的評価:90点
オススメ度:ホントに子供じだいはかわいいのう(おじいさん目線的な意味で)




かぐや姫の物語 予告

2013年12月1日日曜日

劇場版 SPEC 結(クローズ) 爻(コウ)ノ篇 (2013/日)

監督:堤幸彦
出演:戸田恵梨香 / 加瀬亮 / 竜雷太 / 北村一輝 / 栗山千明 / 有村架純 / 載寧龍二 / 岡田浩暉 / 松澤一之 / 香椎由宇 / KENCHI / 遠藤憲一 / 渡辺いっけい / 三浦貴大 / 向井理 / 大島優子 / 神木隆之介 / イ・ナヨン / 浅野ゆう子 / 福田沙紀 / 城田優 / 田中哲司 / 安田顕 / 真野恵里菜

シンプルプランというスペックホルダーにのみ対応したウイルス兵器に感染しつつも、当麻はプロフェッサーJについて疑念を抱く
一方、いよいよセカイの思惑も明るみになってきて・・・

これまた色々と意見が分かれそうな作品になりましたね
考察する余地を残す系な作りにはなっているんでしょうが、しょうじき個人的には映像として描かれていたこと以上になんだかんだ考えるのはめんどくさいッスね
とりあえず「俺が描きたいものは描ききった。分かるヤツだけ分かってもらえればいい」という雰囲気がキツイ
多感な少年が書きためてきた妄想ノートのラスト数ページを見せられている感は否めない

プロフェッサーJの謎について追ううちに、当麻と瀬文たちはセカイたちの人ではない存在に気づく
そして真実、運命、その他もろもろが明らかになってくる
という感じでホントに最後の最後である解明編だけでひとつの映画にしてみました、みたいなね
画面的には人物たちの大きな動きはなく、印象的にずっと同じ場所で口を動かして必死に物語を動かしていたといった感じ
ゲーム「ポリスノーツ」のクライマックスの主人公とラスボスのやりとりをなんとなく思い出した

とにもかくにも「とりあえずこの内容だったら無理して一本の映画としてまとめようよ」と言いたくなるのは私だけじゃない、はず
そしてTVドラマから観てきたいちファンとして「こういうのが観たかったわけじゃないんだよなあ」と言わせてください
劇場版の「天」もいろいろ言われましたが、それでも個人的にはギリギリでアリだった
こんな展開になるのも、まあ、それはそれでアリだった
でもごめんなさい、この終わり方はないわあ・・・

そして肝心な映画作品としては言わずもがな、いくら分割上映映画が増えてきたとしても、これはさすがに反則過ぎ
まんまひとつのエピソードをぶったぎって、体裁を整えることなく終盤だけで一本に仕上げるとか・・・
願わくば他の作品が「この形式でもいいのか」なんて思いで、尺が長くなったからって安易にぶったぎり分割上映なんて真似しないことを祈るばかりです

個人的評価:60点
オススメ度:お前の中ではうまく結ったか。お前の中では、な




劇場版 SPEC 結(クローズ) 爻(コウ)ノ篇 予告

REDリターンズ (2013/米)

監督:ディーン・パリソット
出演:ブルース・ウィリス / ジョン・マルコビッチ / メアリー=ルイーズ・パーカー / アンソニー・ホプキンス / ヘレン・ミレン / キャサリン・ゼタ=ジョーンズ / イ・ビョンホン / ブライアン・コックス / ニール・マクドノー / デビッド・シューリス

引退した超危険なスパイのフランクは愛するサラとふつうの生活を送っていた
そこへ親友のマーヴィンが命の危険を報せにやってくる

とにかく軽快にテンポよく、という点を重視して作られてる感じでしたね
さらに各キャラの持ち味を十二分に描ききり、全体的にパワープレイ感は否めないものの、登場人物のはっちゃけ見せ場を頭からっぽにして楽しむことができました
ちょっと人の命が軽く描かれすぎじゃね?とも思えたけど、それもこの作品の個性、なのかな

サラとともにふつうの生活を送る努力をしているフランクのもとに、親友のマーヴィンがトラブルを抱えた体で現れ、しかも目の前で爆弾によって殺されてしまう
後日、身の危険からなんとかサラを逃がすものの、時すでに遅くフランクも命を狙われはじめてしまう
「ナイトシェード」という重要機密にフランクが関わっているという噂がネットで広がり、各国に散らばっていたかつての仲間たちもそれぞれのクライアントから彼の命を狙い始める、と
序盤から惜しげのないアクションで、ホントに軽いノリで人が次々に殺されながら、テンポよく話は展開していきます

そんなスピード感もありますが、なんといっても見所は個性豊かな各キャラのはっちゃけ具合を描いているポイント
中でもやはりサラとマーヴィンの変人コンビの描写っぷりは楽しすぎる
他の登場人物も負けじと活躍&ギャグをかましてくれるおかげで、主人公のフランクさんがふつうのおっさん化してる印象すらあるくらい

総じて飽きることはないんですが、やっぱりパワープレイでごりごりするストーリー展開と、ふいに流れがゆるくなって持ち味のスピード感が失速する部分があるのが気になりましたね
気持ちよくすっとばしてる話の中、急にスピードがゆるくなって「おう?」ってなる点がちらほら、と

と、まあキャラクター祭りとしては非常におもしろかったんですが、個人的な好みな作品である「アドレナリン」ほどバカに徹しきれてない感が惜しい一本でした

個人的評価:80点
オススメ度:ビョンホンさんもすっかりおっさん組なのね




REDリターンズ 予告

2013年11月30日土曜日

11月のこれ一本

母さん、今年も冬がやってきます
また師走がせまってきているのです
僕の心がどんどんささくれ立っていくのが分かります
優しい人になりたい
そう思うそばから「めんどうくさい」と人につらくあたってしまいます

「ペコロスの母に会いに行く」
この映画を観ても
どんなに音楽で潤しても
僕の心はすぐに渇いてしまうのです

そんな感じで

2013年11月25日月曜日

BAYONETTA Bloody Fate (2013/日)

監督:木崎文智
出演:田中敦子 / 園崎未恵 / 浪川大輔 / 沢城みゆき / 玄田哲章 / 高木渉 / 若本規夫

天使を狩る記憶を失った魔女ベヨネッタ
主神ジュベレウスの復活が目前に迫る中、教団のバルドルが姿を現す

ゲーム版はプレイ済み、ってことでいろいろと思い入れはあるんですが、とりあえずストーリーを追うことに力を注ぎすぎて、ベヨネッタらしい俗っぽさというか、ふざけた部分が物足りなかった気がしました
シリアスなところを抽出してうまくまとめてる感じ
しかもかなり無難な作りになっていて、しょうじき無難すぎて退屈になってるのも否めない、かな

主人公の魔女ベヨネッタと、敵のボスであるバルドルとの戦いを軸にジャンヌやルカ、ロダン、セレッサなどのキャラがからんでくる
流れ的には天使と戦い、ほかのキャラと絡んでいくうちに徐々にベヨネッタの過去と記憶が明らかになり、同時に敵の目的があらわになっていく、と
戦闘シーンの迫力は申し分ないんだけど、話をまとめるためにどうしても説明セリフが多くなっちゃってますね
そんな口を動かすシーンが始まると眠たくなるのはいたしかたないのかなあ

個人的に気になったのはBGMの使い方、オーケストラとか使ってわりと真面目にバトルシーンを描いているのはいいけど、そればっかりだと「なんか違う」と言わざるえない
アフターバーナーみたいな、ああいうくだけたBGMを使用したシーンがもっとあってもよかったんじゃないかと
でもラストバトルとかけっこう良かったですね
ああいう感じなシリアスな中にも妙にふざけたところがあると個人的に「ベヨネッタらしい」と思うんですが・・・思い出補正もあるかもしれんけど

そんな感じでストーリーはけっこうちゃんとまとめているので、作品としては安心して観られる一本でした
もうちょいスタイリッシュクレイジーな方が好みでしたが

個人的評価:70点
オススメ度:トーチャーアタックにしびれるわあ




BAYONETTA Bloody Fate 予告

2013年11月24日日曜日

PERSONA3 THE MOVIE #1 Spring of Birth (2013/日)

監督:秋田谷典昭
出演:石田彰 / 豊口めぐみ / 鳥海浩輔 / 田中理恵 / 緑川光 / 能登麻美子 / 田の中勇 / 沢城みゆき

寮生活をすることになった結城理
ある満月の夜、不思議な化け物に寮が襲われる

ということでペルソナ3
個人的に無印からFESまでプレイしてきましたが、ざっくりとした感想としてはゲームの進行をうまくまとめてる感じかな、と
主人公がしゃべるにしてもゲームの雰囲気を壊すことなく、うまく描けていると思います
逆に言えば「ああ、そんなシーンあったなあ」「そうそう、そんな展開だった」という思いだけにとらわれがちかもしれません

寮生活をすることになった結城は、深夜0時をまわると出現する謎の時間帯に遭遇する
同じくその時間帯に活動できる寮の仲間とともに、出没するシャドウと呼ばれる謎の存在と戦うことになる
銃のような召喚器を用い、ペルソナと呼ばれる力を具現化し戦う結城たち
そして、満月の晩、強大な敵が出没する
と、ようするに敵と味方をあわせた設定の説明がメインになっている作品ですね
敵については多少の解説はあるものの、しかしながら肝心のペルソナについてはちょっと説明不足なんじゃないかな

P4のアニメ版やペルソナシリーズのゲームをプレイしたことあるのがじゃっかん前提でないと、ちょっと分かりづらい気がしないでもない
内容的には印象としてバトルがメインになってる感じで、仲間とかのドラマが薄味なのは否めない
特にサブキャラとのからみはなく、仲間との絆みたいな部分もストーリーとして描いているほど深まっている気がしないんですよね
話の流れとして絆みたいな「仲間」という点を描いてはいるんだけど、なんとなく「描きました」という表層的なもののような感じ

それでもクライマックスのペルソナどうしが連携するバトルとかは燃えるし、主人公の性格が変わっていく様子も一作目としてきっかけみたいな部分がよくでてて良かったですね
個人的にはやっぱり主人公の初ペルソナ顕現が一番のクライマックスだったかな
あとは時間軸をねじまげて無理に人気キャラをからめてこなかったのは正解かもしれませんね
時期的にまだ先の登場となるキャラはいちお顔見せで出てくるけど、そんなもんにしといてよかった感じ

というわけで、ゲームのファンゆえにあまくなるけど、仲間どうしのギスギス感も良い感じだし、先が楽しみな一本でした

個人的評価:75点
オススメ度:この中二病くささがいいんだよ




PERSONA3 THE MOVIE #1 Spring of Birth 予告

2013年11月18日月曜日

マラヴィータ (2013/米・仏)

監督:リュック・ベッソン
出演:ロバート・デ・ニーロ / ミシェル・ファイファー / トミー・リー・ジョーンズ / ダイアナ・アグロン / ジョン・ドレオ

ノルマンディーの小さな町に引っ越してきたある一家
一見ふつうな家族だが、父親は何者かに命を狙われており母や姉弟の凶暴性もふくめなにやら秘密を抱えているのだった

明らかに悪事について慣れっこな一家が、日常生活の中でその凶暴性を時折むきだす様子がひじょうにおもしろくて、しょうじきそれだけのコメディ映画として作ってもよかったんじゃなかろうか、と思う
そんなスーパーパワフルな一家を楽しんでいたのに、なんか尻すぼみになってる印象が強いですね
そこまでがかなりはっちゃけた展開なのに、最後の方だけやけに映画的な展開という意味で普通に描いちゃってて、けっきょく「なんかもの足らない、かな?」という感じ

なにやらマフィア的な裏がありそうな一家が、平和な田舎町に逃げ隠れるように引っ越してきて暮らし始める
なんとか目立たずに暮らすことを基本としながらも、ちょっとしたことですぐに凶暴性が表に出て騒ぎをおこす様子をコミカルに描いてます
いちおそんな暴走一家を抑制するためのキャラも出てくるけど、ボケに対するツッコミよろしく笑いを大きくするためのエッセンスにすぎない

ストーリーとしても主人公のパパンの自叙伝やらなんやらで一家の抱える問題も見えてくるし、一家を守るような存在のキャラたちの立場も見えてきて飽きません
ただ、翻訳の問題なのか作品じたいの説明がアレなのか、日本人には分かりづらい文化の違いなのか判別できませんが、大元になった「なんで一家は狙われるようになって、なんでスタンスフィールドと一家がこんな関係になってんの?」って部分が分かりづらい
なんとなくは説明台詞とかあるんだけど、それでも個人的な問題なのかもしれないが、本編を観てるだけではよく分からなかった

あとはクライマックスの展開はアクションとしてはまっとうな展開なんだけど、あまりに普通すぎる気がしましたね
もっとブチ切れた一家がはちゃめちゃに大暴れするものかと思ってただけに「なんかやけに皆おとなしいのね」という感じ
姉弟でスタイリッシュガンカタしたり、ワンちゃんがナイフをくわえて無双するくらいのことしても個人的にはOKだったんですが・・・
そんな感じでおもしろいことはおもしろい・・・んだけど、もうひとつなにか物足りなさも感じる一本でした

個人的評価:80点
オススメ度:最後の一言、そこはファックだろ




マラヴィータ 予告

風俗行ったら人生変わったwww (2013/日)

監督:飯塚健
出演:満島真之介 / 佐々木希 / 松坂桃李 / 中村友也 / 山中聡 / 藤間宇宙 / 穂のか / 駒木根隆介 / 上原実矩 / 阿部進之介 / 山田真歩 / 谷村美月 / 金田哲 / 諏訪太朗 / 菅原大吉 / 佐藤二朗

29歳、童貞、元ニート、コミュ障、吃音、緊張すると過呼吸になる遼太郎
変わりたいと願う彼は意を決してデリヘルをたのみ、そこで理想的な女性であるかよと出会うのだった

あれだろ?ちょっと前に流行った「電車男」みたいなやつだろ?と誰でも思うよね
実際に自分もそんな映画だと思って観てたんですが、ね・・・
詳細はネタバレになるからアレだけど、まさに「そうきたか」という作品でした
だけどなんていうかスッキリした感じはなくて、ある意味でかなり反則ぎみな内容な気がしないでもない
これだけは言えるけど、根が真面目な人には絶対に合わない作品でしょう

典型的なキモヲタっぽい主人公の遼太郎は、そんな自分を変えたいとデリヘルをたのむ
そこへ現れた女性、かよは彼にとってまさに理想的な存在だった
ただ一点、風俗嬢であるということをのぞいて
それでもかよに恋してしまった遼太郎は頻繁に指名を繰り返し、やがてプライベートで会うようになり・・・
というダメ男と風俗嬢のロマンスコメディ、という流れになってますね

ギャグのシーンはとことんバカバカしく描かれていて、それでいて全体的にテンポもいいんで、生きてる世界とキャラが違いすぎる男女のロマンスコメディとしてはありふれた内容ながら笑える部分も多いしじゅうぶんに楽しめます
で、楽しいのは楽しいんですが、そこはやっぱりありふれた感じは否めず、ストーリー的にもいまいちパンチがなくて、「ああ、おもしろいけど、ドラマチックさが足りないなあ。ま、このまま軟着陸して終わりだろう」と思いました

そんな風に感じる点までは多分みんな一緒だと思う
だけどこの映画はそこからがホントの始まり、ホントに描きたかった部分がスタートするわけで・・・
その終盤の展開にしょうじき私も最初は「は?なんじゃこりゃ。ついてけねえよ」と冷めた目で見てました
そこで「あ、そう・・・。そんな作品にしたかったのね」と思えるかどうかが楽しめるか否かの分かれ目でしょう

でもこれ、真面目に観てる人ほど気づきにくいんじゃないかなあ
とりあえず原作とか知らないんで、元々こういう作りなのか判別できないけど、ホントにギリギリ一般受けしそうな体で引き込んでおいて・・・って感じだから反則くさいんですよね
なんとなくやりたいことは分かるけど、怒ったり呆れたりするほど負の印象はないんだけど、鑑賞後のスッキリしなさだけは確かな一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:これピザーラの印象悪くなるだろ




風俗行ったら人生変わったwww 予告

タイガーマスク (2013/日)

監督:落合賢
出演:ウエンツ瑛士 / 夏菜 / 哀川翔 / 良知真次 / 勝信 / 宮地真緒 / 遠藤久美子 / 辻よしなり / ビッグ村上 / 金山一彦 / 温水洋一 / 平野綾 / 釈由美子

児童養護施設の遠足で動物園にきていた少年、伊達直人
謎の声に導かれ、虎の穴という闘士を育成する地下組織に入ることになり・・・

人は時として目に見える地雷原にすすんで足を踏み入れなければならない
というわけで、まあ、明らかに「Vシネでやれ」レベルの臭いがぷんぷんしてるし、実際に観た人の感想もけっこうなガッカリっぷりでしたが、だがあえて私はこれを観る
あえてちゃんと劇場に足を運んで金を払って観る
なんてたいそうな覚悟完了ぐあいで鑑賞したんですが、なんというかクソ映画耐性があるからかどうか知らんけど、意外や意外にそこまで悪い作品じゃなかったかなあ、と
むしろじゃっかん楽しんでました

経営危機でもう閉鎖も眼前な児童養護施設で暮らす少年、伊達直人
ある日、遠足で動物園にきていた彼は虎からテレパシー的な謎の声を聞く
場所のヒントもないままに謎の男が待つ場所にたどりついた直人は、特に深く考えたり疑ったり恐怖したり、施設の関係者のことを気にしたりする様子なく虎の穴に入る
そして虎の穴でも自らの境遇について特になにも考えたり感じたりすることなく、超絶怪しい場所で最強の闘士として厳しく訓練される日々に順応していくのだった
という導入部分ですが、かなりご都合主義で強引ですね

いちお自分のやってることに疑問を持つシーンはあるんですが、それはかなり時間がたってからで、「気づくのおせえよ」とツッコミもめんどくさい
というか、これを観ててツッコミ入れようなんて無粋
「そういうもんだ」というクソ映画を観る生やさしい気持ちがあれば、そんなことは些細な問題にすぎない

アクションシーンもよく動いてる特撮ヒーローレベルで、どうにもしょぼさは隠しきれない
というか「タイガーマスクってプロレスものだよね?」という考えじたいは捨てましょう
これは完全に特撮の変身ヒーローものです
ぶっちゃけ仮面ライダーの亜種です

それでも無理して大作を目指していなくて、元からかなり志が低めで作られてる感じなために、強引に背伸びして作った映画のようなダメさは薄いですね
無理してCGを使いまくったり、無駄に豪華なキャストにしたり、とりあえず壮大な展開にしたり、という無茶をしてないのが目も当てられないクソ映画になるのをふせいでくれてる感じ
個人的には「クソ映画として覚悟して観れば、まあ、そう悪くはない」という印象
だけど、さすがにラスボスのしょぼさは擁護できんわなあ

個人的評価:60点
オススメ度:なにげに続編とか作るなら普通に観たい




ターガーマスク 予告

2013年11月17日日曜日

悪の法則 (2013/米)

監督:リドリー・スコット
出演:ミヒャエル・ファスベンダー / ペネロペ・クルス / キャメロン・ディアス / ハビエル・バルデム / ブラッド・ピット / ブルーノ・ガンツ / ディーン・ノリス / ナタリー・ドーマー / ゴラン・ヴィスニッチ / トビー・ケベル / エドガー・ラミレス / ロージー・ペレス / リチャード・カブラル / ジョン・レグイザモ

ある弁護士が金の都合をつけたくて裏社会と関わりあうことに
そんな時、彼のクライアントが裏社会の組織とトラブルに巻き込まれ、弁護士は仲間もろとも組織から嫌疑をかけられる

偶然(?)とは言え完全にトラブルに巻き込まれた主人公がどうなっていくか、という話だと理解するまでしばらくかかりましたね
個人的な理解力がアレなのかもしれませんが、ホントに序盤は「主人公がなにかヤバイ裏の仕事に手を染めようとしている」ってだけで、あとはセックスとしがない会話劇で退屈きわまりなかった
だけどやっと事態が動き出してくると、どんどん加速度的におもしろくなってきます

知人を通して大金を都合つけるために裏社会と関わる覚悟を決める主人公の弁護士
仲買人とも接触し、すべては順調にいってるかと思われたが、本来の仕事である弁護士としてのクライアントが殺されたことから事態は急転する・・・
ようするに事件に巻き込まれた主人公が組織から命を狙われてさあ大変、ってストーリー
で、その組織ってのが殺しすら生ぬるい手段ですらない、という超絶冷酷無慈悲っていうね
そこらのアクション映画のように銃撃戦のすえにかろうじて逃げ延びられる、とかそんなレベルじゃない絶望感が主人公にじわじわと迫る様を描いてます

とりあえずホントに序盤の展開が他愛もない、というと過言かもしれないけどそれくらいとらえどころのない会話劇で退屈でしたね
そんな描写が鑑賞後には「だから、あんな分かりづらい描き方したんだ」と理解できなくはない
けど、やっぱり退屈なもんは退屈
とりあえず主人公がどうなって、事態がどうなっていくのか、ってのがホントにつかみづらい
それでもやっと事情が見えてくるといっきにおもしろくなってくる

で、いよいよ盛り上がりも最高潮ってところで、ね・・・
個人的にもそうでしたが、多くの人が鑑賞直後「は?」ってなるんじゃないですかね
そして、そのまま「なに、このクソ映画・・・。意味わかんねえ」と思ってこの映画を評価する人がいる、ってのも容易に想像できます
だけど、個人的にはかなりスルメっぽい印象で、鑑賞後にじわじわくる不思議な魅力があった一本
人を選ぶ作品とはよく言う表現ですが、そんな言葉の10倍は人を選ぶ映画でした

個人的評価:80点
オススメ度:どことなく北野武作品っぽいような気がしないでもない




悪の法則 予告

ペコロスの母に会いに行く (2013/日)

監督:森崎東
出演:岩松了 / 赤木春恵 / 原田貴和子 / 加瀬亮 / 竹中直人 / 大和田健介 / 松本若菜 / 原田知世 / 宇崎竜童 / 温水洋一 / 穂積隆信 / 渋谷天外 / 春風ひとみ / 根岸季衣 / 長澤奈央 / 大門正明 / 佐々木すみ江 / 正司照枝 / 島かおり / 今井ゆうぞう / 長内美那子 / 志茂田景樹

サラリーマンとして働きながら音楽とマンガもやるペコロス岡野こと中年男、岡野雄一
雄一は息子とともに認知症の母の面倒をみながらともに暮らしていた

辛気くさくなるばかりの認知症ものを笑い飛ばせ、という単純なものでもなく、きちんと見せるべきところは真摯に描いていてよかった
ようするにしんみりするばかりでなく、かといって認知症についてバカにするコメディってわけでもない、泣きと笑いのバランスが秀逸で、登場人物たちそれぞれの思いに心地よく感情をゆさぶれる内容でした

中年でハゲ頭の雄一は、働きながら合間合間にギター片手に弾き語りをし、マンガも描いていた
そんな雄一の母は夫を亡くしてから、すっかりとボケが進行してきてしまっている
そんな母の認知症からくる日常生活をポジティブに変換して笑いをさそいつつ、母を愛する雄一の心とどんどんボケていってしまう母の交流を描いてます
オレオレ詐欺を認知症ゆえにギャグのように華麗にスルーする母ちゃんとか、ハゲネタとか全編にコメディ要素がふんだんにちりばめられています

かといって認知症というものを小馬鹿にしてるわけじゃなく、母のことを本気で想っているゆえに前向きに生活している雄一がいるからこそ笑える、って感じ
同じ認知症に悩む登場人物やら、雄一のプライベートな部分やら、その他の部分で単純に笑える部分も多い
そんな中でも母ちゃんの過去がよみがえる形で描写される思い出から、それがスイッチになって現在に影響がでるシーンとかシリアス部分もしっかりと描かれているから良い

時に気が滅入りがちな認知症をテーマにした作品ながら、そんな中でも気負うことなく存分に笑って泣ける、そんな一本でした
というか認知症ものというより、親子の想いを描くドラマみたいな部分の方が強い、かな

個人的評価:85点
オススメ度:ハゲネタがあまりにリアルすぎて共感しまくり




ペコロスの母に会いに行く 予告

2013年11月11日月曜日

2ガンズ (2013/米)

監督:バルタザル・コルマキュル
出演:デンゼル・ワシントン / マーク・ウォールバーグ / ポーラ・パットン / ビル・パクストン / ジェームズ・マーズデン / フレッド・ウォード / エドワード・ジェームズ・オルモス

ボビーとスティグのコンビは麻薬王の金を狙って銀行強盗を画策する
計画は順調に進むものの、ボビーとスティグそれぞれにとって予想外の出来事が待ち受けていた

すかした雰囲気とはまた違う意味でのスタイリッシュバディアクションですね
とにかくテンポを重視した作りになっていて、グゥっと胃を締め付けてくるような描写は避けてる感じ
どんなダークな展開になろうと、ホントにスパッと気分を切り替えて次のシーンがはじまります
そんな流れに身を任せ、頭を空っぽにしてヒャッホーと楽しむアトラクションみたいな作品でした

ボビーとスティグのコンビは麻薬王パピに殺された知人のとむらいに、組織の金を奪ってやろうと銀行強盗を企てる
そんなふたりではあったが、実はボビーとスティグにはそれぞれ異なる裏事情があった
そんな中で実行に移される銀行強盗だったが、ふたりにとって思惑と違う出来事がおこる
まあ、そんな感じで大金に群がっていろんな組織が入り乱れる中、ボビーとスティグの立場も微妙になりつつ、結局はコンビを組んでみんなまとめて相手になってやるぜ、って内容ですね

ボビーとスティグ、それぞれの立場から裏の背景がじょじょに見えてきて、関わりのある各組織が乱闘しつつふたりにとって共通の戦いが見えてきて一緒にバトる、と
物語の風呂敷の広がりから、ふたりがコンビを組むまでの流れがヌルすぎずシリアスすぎず、ちょうどいい塩梅で観ててストレスも退屈もなくていいですね
流れ的にはしょうじきよくある感じなんですが、陰謀を画策する者たちも単に金を追う者たちも、みんながみんな頭悪い感じでおもしろい

雰囲気的に知的な立場のキャラもいるけど、その実はけっきょくみんな乱闘バカで、最終的には力こそパワーに収束する頭悪い作り(ほめ言葉)が心地よい
いろいろと策をめぐらせつつ、まあ、でも銃をぶっぱなして解決するのがいちばん手っとり早いぜ、ってね
そんな感じで最初から最後まで突っ走るアクションで、本当に爽快なデキになってます
良い意味で鑑賞後に何も残らないスッキリ感が持ち味で、色々とめんどくさい感情を洗い流してくれる気持ちのよい一本でした

個人的評価:85点
オススメ度:3ガンズとか安易な続編は勘弁ねがいたい




2ガンズ 予告

ルームメイト (2013/日)

監督:古澤健
出演:北川景子 / 深田恭子 / 高良健吾 / 尾上寛之 / 大塚ちひろ / 筒井真理子 / 螢雪次朗 / 田口トモロヲ

交通事故にあった春海は、そこで出会った気の合う看護師の麗子とルームシェアするこにする
しかししばらく暮らすうちに、麗子の行動や言動にどこか怪しい部分が見えはじめ・・・

私は分からなかったけど、勘の良い人ならすぐに大まかな事情が分かるんじゃないのかな
それくらい序盤からけっこう伏線ははってあるし、見せ方もそれなりに工夫されてます
だけど、なんというかストーリーにしてみても全体的に「それなり」感が否めないんですよね
おもしろい、確かにおもしろいんだけど、1から10まであまりにきちんと順番立てて描いてるせいで、観ながらちょっとずつ先が読めてしまうのがもったいない
これってテレビドラマシリーズでやった方が受けるんじゃないのかな

交通事故にあい、怪我のせいで仕事も続けられず一人暮らしなこともあって経済的な問題に悩む春海
そこへ病院で知り合った気の合う看護師の麗子からルームシェアしないかと持ちかけられる
春海は麗子はともに暮らしながら、事故の加害者である工藤とも関わりを持つようになる
そんな中、徐々に麗子の行動に明らかに異質なものが見えはじめる
という同居人がサイコさんだった?みたいなお話
プロローグからして事件が起こるのは分かりきってるんで、もうはじめっから麗子の怪しさは全開ですね

観てるうちにどんどん「ああ、またこういう系統の話なのね」とありきたり感にゲッソリしてくるけど、それでもちょっとずつひねた要素もあるんで退屈するまではいきませんでした
伏線やミスリードなど話の練り方は良い、と思うんだけど、なんでだろ?ホントに「ほほう・・・」「そうきたか」みたいな感じにならないから不思議

すべてを順序立ててオチまできちんと描いてくれるので、そういう意味では王道なスリラーとして楽しめます
なんだけど、全体的に「それなり」感がまとわりついてるんですよね
印象として「どっかで観たことある傑作スリラーの模造品」という感じ
もちろん、この作品のマネだっていう決定的な根拠はないんで、あくまで個人的な印象ということでひとつ

個人的評価:70点
オススメ度:ミ、ミルクちゃん・・・




ルームメイト 予告

2013年11月10日日曜日

劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編] 叛逆の物語 (2013/日)

監督:宮本幸裕 / 新房昭之
出演:悠木碧 / 斎藤千和 / 水橋かおり / 喜多村英梨 / 野中藍 / 加藤英美里 / 阿澄佳奈

同じ中学に通うまどかたち4人の少女は、夜な夜な出没するナイトメアと呼ばれる存在と戦う魔法少女であった
ある日、転校生であり魔法少女であるほむらを仲間に加えるが、彼女は今の日常に違和感をおぼえていた

噂みたいなものは耳に入ってきてはいたけど、なるほどこれは賛否両論ある内容でしたね
最初こそこの新編から入る人向けの、設定だけを流用した番外編というかリブートものかと思ったけど、ちゃんとした続編になってました
続編ということで前後編で描かれた物語の対比としてあるものかどうか分かりませんが、いろんな意味でぶちこわしてくれておもしろかった

学校のそして魔法少女としての先輩マミを中心に、まどか、さやか、杏子たち4人は人を蝕むナイトメアと呼ばれる存在と戦っていた
そこへ転校生として新たな魔法少女ほむらを加えることになる
ほむらはまどかたちと関わっていくうちに、どこかこの現状について違和感をおぼえはじめ、微かな予感と記憶をたよりに調査をはじめる
といった感じではじまります
最初こそ理想的(?)な魔法少女(戦隊)ものっぽい感じで、続編っていうか再構築みたいなのかな、とも思える展開になってましたね

まあ、そこからどういう流れになるか、ってのはネタバレ回避のために詳細はなしに
だけどこれだけは言えるけど、紛れもなくこれまでの話の続編になってます
それも普通に続きとして作られているため、「この映画から観ても大丈夫じゃね?」みたいな気持ちで鑑賞するとまったくついていけないでしょう
というか、これを観る人はたぶんみんなテレビシリーズなり、劇場前後編なりチェックはしてるかな
あと、私みたいに劇場前後編だけ観て、テレビシリーズは未見な人でもちゃんと楽しめます

とにもかくにも途中で訳が分からない部分を抱えつつも、終盤では「なるほど、そういうことね」とちゃんと理解できるような作りはさすが
そこからオチに向けて「あえてそっちにいきますか」という流れは個人的にはアリ、かなと
とりあえずちゃんとした続編でありながら、観るも観ないも、あったことにするもなかったことにするも、受けてしだいってな感じに作られてる印象がしました
この新編を受け入れず、まどかマギカという作品は前回までで完結している、という取り方もじゅうぶんにアリ

個人的には新編は楽しく観られたし受け入れられましたし、あえてこういう作りにしたのもおもしろいと感じた一本でした

個人的評価:85点
オススメ度:そこまで深く考察せず、描かれてるままに受け取ればそれが答えなんでしょうね




劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編] 叛逆の物語 予告

清須会議 (2013/日)

監督:三谷幸喜
出演:役所広司 / 大泉洋 / 小日向文世 / 佐藤浩市 / 鈴木京香 / 妻夫木聡 / 伊勢谷友介 / 坂東巳之助 / 剛力彩芽 / 篠井英介 / 中村勘九郎 / 浅野忠信 / 寺島進 / 阿南健治 / 松山ケンイチ / でんでん / 市川しんぺー / 浅野和之 / 染谷将太 / 瀬戸カトリーヌ / 近藤芳正 / 中谷美紀 / 戸田恵子 / 梶原善 / 天海祐希 / 西田敏行

織田信長の亡き後、その行く末について一同が集まって会議が行われることとなる
そこで織田家を支える立場として柴田勝家と羽柴秀吉が火花を散らし・・・

真面目で武骨ながら古くさい勝家と、八方美人でお調子者ながら時代の先を読む改革者な秀吉という両極端な男たちがぶつかるドタバタコメディ・・・ではなかったですね
勝家にしてもけっこうなバカっぷりを露呈するし、秀吉にしてもけっこう抜けてる面をあらわにしてる
そこに個性豊かな登場人物たちが画面を騒がしてはいるんですが、しょうじきコメディとしてはじけてる部分が弱い
歴史ものゆえにあまりふざけたことができない、のかもしれないけど、なんか思ったより普通の時代劇だったかな、と

織田信長が亡き後の世継ぎをめぐって対立する柴田勝家と羽柴秀吉、それぞれに肩入れする者たちを巻き込み、男たちと女たち、それぞれの会議の場を舞台にした刀を用いない戦がはじまる
というシリアスな展開の裏でバカ騒ぎをする内容かと思いきや、要所要所にギャグはちりばめられているものの、全体としてみればマジメな作り
ゆえにじゃっかんの地味さは否めなく、この内容的に「三谷作品だから」と観にきた若い世代は楽しめたのかなあ

個人的にはとりあえず話のテンポが悪く感じたのがまずひとつ
そして、もうひとつは勝家と秀吉のダブル主人公はいいんだけど、どうにもどっちにも感情移入できなくて作品的にブレてる印象がしました
どうせならもっと思い切ってどっちかひとりを中心に、もう一方は悪者として扱うくらいにやってくれた方が集中して楽しめたかも
もしくは信雄や忍者が出てくるシーンみたいなバカ丸だしなコメディで全体を統一してくれてもよかった

それでも会議が終わったあとの終盤の男と女の本音ぶっちゃけ展開がおもしろかったのが救い
特に松姫&お市の女性陣の描写は役者さんの演技も相まって、かなりしびれるものがありましたね
と、「笑い」を主として求めて観た個人的にはイマイチだったけど、「歴史もの」「時代劇もの」として観ればまた違った楽しさがあったかもしれない一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:忍者の眼力芸で爆笑してたのは劇場で私だけというのが納得いかない




清須会議 予告

2013年11月9日土曜日

劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [後編] 永遠の物語 (2012/日)

監督:宮本幸裕 / 新房昭之
出演:悠木碧 / 斎藤千和 / 水橋かおり / 喜多村英梨 / 野中藍 / 加藤英美里

魔法少女という仕組みを知るうちに、キュゥべえに騙されていたと感じるまどか
一方、ワルプルギスの夜という桁違いの魔女が街を襲う日が近づいていた

そんなわけで後編を鑑賞することに
前編でもチラっと感じたけど、ダークファンタジーという雰囲気ながら、なんていうか理系の香りが強くするんですよね
ストーリー運びとか数式のように論理的に構築されているというか、きっちりはっきり組み上げられたプログラムみたいというか、うまく言えないけどそんな感じ
理系の出の自分としてはかなり分かりやすい内容でしたし、あまたの魔法少女ものの根元となるような作りで、ターンAガンダムの真逆を描くような話は楽しめました

次々に友人や知人の魔法少女が命を落としていく中、それにつれて魔法少女という仕組みについて知っていくまどか
結果的に自分たちはキュゥべえに騙されて利用されていただけと思い至る
残る魔法少女であるほむらの謎も明らかになる一方、街を強大な魔女が襲う日、ワルプルギスの夜が近づいていた
現状の魔法少女の戦力では心許なく、まどかにいよいよ魔法少女になるか否かの選択が迫られる
と、しょうじき前編では「主人公?」って感じもしなくもなかったまどかがキチンと主人公として描かれている後編でした

話的にはだいたいの謎が解決した上で「で?すべてが分かった上で、この現実をどうする?」という流れがおもしろかった
計算されたストーリーについて解を得たことで、それをもとにどう行動していくか、かなり興味深く観ることができました
ほむらを通して様々な展開を見せることで、ホントに「おいおい、これどうすりゃいいのよ」という盛り上がりの演出が良いですね

クライマックスからラストにかけても、パッとみた感じではぶっ飛んでるような気もしないでもないけど、ちゃんと頭の中で整理した上で作品として表現できていることはすごいと思う
カオスな流れながらも個人的に非常に分かりやすく感じられました
そして、これの続編(?)としての新編についても、どうなるのかまったく予想できなくて今から観にいく時を楽しみにしたいと思います

個人的評価:85点
オススメ度:いろいろと裏設定もありそうですなあ




劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [後編] 永遠の物語


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2013年11月8日金曜日

劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [前編] 始まりの物語 (2012/日)

監督:宮本幸裕 / 新房昭之
出演:悠木碧 / 斎藤千和 / 水橋かおり / 喜多村英梨 / 野中藍 / 加藤英美里

中学生の少女まどか親や友達と幸せな日々を送っていた
しかし、ある日、不可思議な世界で魔女と魔法少女の命をかけた戦いに遭遇し・・・

おっさんが観る今時の魔法少女アニメ
ってことで、まあ、キモイと言われるの覚悟でいい年ぶっこいた中年がはやり(だよね?)の魔法少女アニメを鑑賞です
熱心なファンの方もたくさんいるでしょうし、あんまり変なことを書くといらん角がたつ気がしないでもないけど、そこは「チッ、このおっさん分かってねえなあ」という広い心でスルーしていただけると幸いです
と、大人は予防線をはって生きていく、勝手をやりつつなるべく責任を回避したい生き物なのです

主人公の中学生、まどかは謎の生物(?)キュゥべえと出会い、現実とは思えない不思議な世界で魔女と魔法少女との戦いの場に遭遇する
友人のさやかと共にまどかはキュゥべえから魔法少女として契約をきりだされる
なんでもひとつ願いを叶える代わりに魔女と命をかけて戦う魔法少女になる気はないか、と
願いを叶えられることは魅力的ながら、命をかけるまでの願いが見つからないゆえに、まどかとさやかは先輩魔法少女マミと行動を共にすることにする
まどかのことだけでなく、一連の不思議な出来事について知っているような謎の転校生少女ほむらと関わりながら、深い悲しみに満ちた現実に翻弄されていく
という感じのお話

魔法少女として大活躍でウェーイ、っていう内容じゃなく、前編だけを観るかぎり「魔法少女とはどういうものか」っていう部分を知っていく物語になってましたね
主人公もここで魔法少女になるのか、と思いきやならないっていうやりとりが何回か繰り返されつつ、じょじょに魔女と魔法少女についての裏側が見えてくる、というダークファンタジーみたいな感じ
後編まで観てないんでなんともいえないけど、たぶん「魔法少女になる(ならない)」という部分を描いた作品なのかな

テレビシリーズは未見ですが、それほど総集編みたいな感じはしなくて、けっこうしっかりつなぎ目は消してあるんじゃないのかな
ただ、尺的にやっぱりというかなんというかちょっと無理が見て取れるのも否めない
特にエピソードというか「これを描きたい」という核となる部分を大事にして作られているため、ストーリーを作り上げることが主になってる印象がしました
主人公に感情移入して作品に没入する、っていうのではなく、完成された世界を「見せられている」という感覚

設定、ビジュアル、キャラクター、どれをとっても個性的でおもしろい・・・と思うと同時に個人的に、あくまで”個人的に”だけど「なんかどっかでみたことあるなあ」と頭のすみで感じる部分があるんですよね
「あ?どこで?いつ?みたんだよ?」と聞かれると答えられないですが・・・ホントに感覚的にそう思えるってことでひとつ
ってなわけで、話も良いところで終わっちゃたし、後編をちゃんと観た上で今やってる新編も鑑賞してみたいですね

個人的評価:75点
オススメ度:なんか妙に存在感のあったまどかの家族は今後からんでくるのかなあ




劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [前編] 始まりの物語


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2013年11月4日月曜日

42 世界を変えた男 (2013/米)

監督:ブライアン・ヘルゲランド
出演:チャドウィック・ボーズマン / ハリソン・フォード / ニコール・ベハーリー / クリストファー・メローニ / アンドレ・ホランド / ルーカス・ブラック / ハミッシュ・リンクレイター / ライアン・メリマン

1945年、アメリカのメジャーリーグ、ドジャースの会長リッキーは球界の慣習を破るべく黒人選手との契約を実行にうつす
生半可ではない逆境が待っていることを考慮し、選ばれたのは若さとタフさをそなえたジャッキー・ロビンソンであった

人種差別な社会の中で周りは偏見による敵ばかり、という環境で時に傷つき時に絆を築きながら黒人ベースボールプレイヤーとしてうんぬん・・・と、まあそんな想像に難くない内容
だけど、思ってた以上にザ・ベースボールな内容になっていて、差別という苦難に折れそうになりながらも・・・みたいなドラマ主体なものを期待してるとイマイチしっくりこないかも
あとはやっぱりというかなんというか、球団のある地方における黒人に対する考えや、そもそもメジャーリーグそのものに対する知識は必要かもしれません
野球に興味ないけど単純に差別ものとして泣ける系を観たいってなると、ちょっと難がある作品かも

ドジャースの会長リッキーによって黒人野球のチームから、3Aのチームであるロイヤルズの選手として契約を持ちかけられる
リッキーから前途多難なのは目に見えているが、やられてもやりかえさない勇気を持てとジャッキーは言われる
その言葉を守って何を言われようとされようと自尊心をもち、野球のプレイで自分の存在をしらしめようとする
という内容・・・というか、もう誰もが思ってる通りなストーリーですね

しかし実際の内容はけっこう差別の部分の表現にえぐみがないため、特に3A時代においては「うん?こんなもんか?」と思えました
ま、日本的な陰湿ないじめ表現は薄いってだけで、描かれている差別的な描写はけっこうひどいですけどね
で、観ているうちに気づきますが、これけっこう野球ファン、とりわけメジャーリーグファン向けな作りになってる感じがしました
個人的にメジャーどころか野球の知識もそんなないんで、感覚的なことしか言えないけど、そんな球界の知識を持ってる人が観ればかなり楽しめると思います

それゆえに普通に感動や泣き要素だけを期待してみると、ちょっと物足りない感をおぼえるかもしれません

個人的評価:80点
オススメ度:右の頬を打たれたら左の頬を出すガッツ




42 世界を変えた男 予告

劇場版 SPEC 結(クローズ) 漸(ゼン)ノ篇 (2013/日)

監督:堤幸彦
出演:戸田恵梨香 / 加瀬亮 / 竜雷太 / 北村一輝 / 栗山千明 / 有村架純 / 載寧龍二 / 岡田浩暉 / 松澤一之 / 香椎由宇 / KENCHI / 遠藤憲一 / 渡辺いっけい / 三浦貴大 / 向井理 / 大島優子 / 神木隆之介 / イ・ナヨン / 浅野ゆう子 / 福田沙紀 / 城田優 / 田中哲司 / 安田顕 / 真野恵里菜

警視庁公安第五課、通称ミショウの当麻と瀬文は謎のキーワード「シンプルプラン」の存在を知る
一方、異能力者スペックホルダーの存在を中心に、謎の組織や人物たちの暗躍が顕著になってきて・・・

とりあえず漸ノ篇とはよく言ったもので、ホントに潔いくらいぶつ切りな前編でした
そこら辺は作り手も意識したゆえの今回のシメ方なんでしょうが、これはまた色々と賛否両論ありそうですね
SPECらしいといえばらしいですが、しょうじき一本の映画作品としては超邪道と言わざるえない
そこら辺はなぜ「沈まぬ太陽」をリスペクトできなかったのか

異能力者スペックホルダー
それを抹殺するキーワード「シンプルプラン」
そして人類全体に関わる「ファティマ第3の預言」
まるで神のように振る舞う謎の男セカイ
セカイと行動を共にする謎の白い女
人の世を設計する謎の巨大な裏組織
そんな中でスペックホルダーの抹殺を阻止するために戦うミショウの面々
とりあえずすべてを片づけるために、いちど風呂敷を広げなおしてみた、ってのがこの漸ノ篇かもしれませんね

いちお新要素もあることはあるけど、印象としてはこれまでのおさらい感は否めない
逆に言えばこれまでの話をそこまでしっかり自力でチェックしなおさなくても、この漸ノ篇で説明してくれるからついていけるといえば良い点になるかもしれませんが
これは個人的な意見ながら、やっぱりこの内容だったら翔みたいにテレビスペシャルでやった上でラストは劇場で、ってのが良かったんじゃなかろうか

さすがにこれだけで劇場に足を運ばせるってのは、一本の映画作品としてちょっとひどいかなあ
内容の評価にしてみても、これだけじゃホントになんとも言えないってところで終わっちゃってるしね
あるていどキレイに人類としては完結し、後編ではエピローグみたいな感じで精神的な話になると個人的に思ってただけに残念な一本でした

個人的評価:50点(暫定)
オススメ度:いや、まあ、うん、そりゃ最後まで劇場でつきあうけどさ




劇場版 SPEC 結(クローズ) 漸(ゼン)ノ篇 予告

2013年11月3日日曜日

大統領の料理人 (2012/仏)

監督:クリスチャン・バンサン
出演:カトリーヌ・フロ / ジャン・ドルメソン / イポリット・ジラルド / アルチュール・デュポン / ジャン=マルク・ルロ / アルリ・ホベール

フランス領の南極基地へ取材にきたオーストラリアのスタッフが、男ばかりのそこで働く女性料理人に興味をよせる
実は彼女、ラボリはかつてフランス大統領専属の料理人だった

田舎から出てきた普通の(でもないか)おばちゃんが、いろいろとマナーのうるさい高貴な場所で奮闘、と言えばもう逆境コメディもののジャンルのひとつ
そんなジャンルのひとつ、としては十分に楽しめる作品でしたが、なんというかそこから突き抜けるプラスアルファがちょっと足りなかったかな、と
強気なおばちゃんの姿や大統領の笑顔、作られる料理の本当においしそうなビジュアルはよくできているんですが、それほど強烈に記憶に残る映画としての「何か」は残念ながらあまり感じられなかったですね

田舎からいきなり呼び出された一介のおばちゃんが、大都会のパリ、しかも官邸で大統領専属の料理人になってよと唐突に言われる
男社会の主厨房で働く面々には良い顔にされないながらも、ラボリの食べる相手を思う料理の数々はしっかりと大統領の胃袋を虜にしていく、と
官邸でのしきたりやら昔から働く古株シェフとのストレスもなんのその、料理に対する愛情とパワーで今日も元気にレッツクッキン
という過去パートと南極での料理人としての現在パートが交錯する作りになってますね

官邸パートでは日々チャレンジの精神で料理を作り、周囲の雑音はありながらも着実に大統領の信頼をえていく
だけどまあ、官邸内で力をつければ反動として雑音もどんどん巨大になっていくわけで
そんな中で戦い、調理する主人公の明るさを含めたキャラが非常に魅力的に描かれてますね
もちろん、すべての料理もかなり魅力的
一方での南極パートでは「なんか訳アリで大統領の料理人を辞めた」という雰囲気の中でのその後の物語みたいな感じですかね

で、わざわざそんな過去と現在を描いてるのに、なんともそこら辺の融合した部分のドラマが弱い気がしないでもない
過去は過去、現在は現在で普通におもしろいけど、それが合わさったことによるおもしろさの部分が感じられない
もうちょっとあざとい感じでドラマチックな仕掛けを用意しててもよかったんじゃないかな、とじゃっかん物足りなさの残る一本でした

個人的評価:75点
オススメ度:大統領の言うシンプルでも庶民としては高級感をおぼえざるえない




大統領の料理人 予告

2013年10月31日木曜日

10月のこれ一本

Oh...どうにも世間様は11月に突入してるってのに、10月のまとめみたいのを書いてなかった事実に遅まきながら気づく
まあ、なんだ、この記事じたいが自分の中で「その月に印象に残った映画」をメモするていどの存在なんで、それこそチラシの裏にでも書いておけばいいって了見なんですけどね

それはそれとして、今月(10月)は面白い作品が多く「インポッシブル」「エリジウム」あたりも捨てがたいですが、あえて選ぶなら「サイド・エフェクト」ですね
難解そうでそうでもなく、起承転結しっかりしてる上にどこか大作くさくないのが個人的に好み
ホントにサスペンス系の海外ドラマとか大好きな日本人にとって、かなり楽しめる映画だと思いますね

って、ところでテキトーにまとめたところで今回はこれにて
11月は「大統領の料理人」からスタートして、「42」「SPEC」「2ガンズ」「キャリー」「清洲会議」…いよいよ年末に向けて面白そうな作品が大挙してきそうな予感で楽しみです

2013年10月27日日曜日

グランド・イリュージョン (2013/米)

監督:ルイ・レテリエ
出演:ジェシー・アイゼンバーグ / マーク・ラファロ / ウッディ・ハレルソン / メラニー・ロラン / アイラ・フィッシャー / デイブ・フランコ / コモン / マイケル・ケイン / モーガン・フリーマン

何者かに集められた4人のストリート・マジシャンたち
一年後、4人はフォー・ホースメンと名乗りマジックで銀行から金を盗み出すショーを行う

騙すとか騙されるとか、しょうじきそっち方面を期待してると「うん?」ってなるかもしれません
もっと肩の力を抜いて観る怪盗エンターテインメント、ルパンみたいな感じの作品と思ってた方がいいかも
トリックじたいも後出しじゃんけんだし、素直に展開されるショーを楽しんだ者勝ちですね
そういう意味でそこまで内容的には魅力はないけど、スタイリッシュでテンポよく展開するマジシャンたちの手口が爽快でした

ステージ上から離れた銀行の金庫の金を盗み出す、そんなショーを行う4人のマジシャン”フォー・ホースメン”
ショーは成功するものの、FBIやインターポールから追われることになってしまう
そんな捜査を得意なマジックでかわしつつ、捜査されている状況をもショーのひとつに取り入れてはじめる
といった感じの作品
日本人的には有名なアニメ作品であるルパン三世みたいなもんだと伝えるのが、乱暴だけどいちばんしっくりくるかもしれません

最初こそ「どんな騙し要素があるのかな?いっちょ見破ってやるぜ」って感じで描写される要素を検討しながら観てましたが、途中から明らかに「あ、これ単純にショーを楽しむ系だな」と分かります
トリックも次々に明らかになっていくし、しょうじきそれのどれもが後出しじゃんけんみたいな感じで、そこまでねられた仕掛けじゃないし

そんなこんなで結局のところ、頭をからっぽにして観るハリウッド的な派手作品好きな人にはかなり向いてる一本と言えるかもしれません
個人的には派手さで誤魔化してはいるけど、ちょっと内容そのものはデキの良い海外ドラマレベルかなという感が否めませんでしたが

個人的評価:75点
オススメ度:ぶっちゃけ誰が裏で糸引いてても成り立つオチだよね




グランド・イリュージョン 予告

蠢動 (2013/日)

監督:三上康雄
出演:平岳大 / 若林豪 / 目黒祐樹 / 中原丈雄 / さとう珠緒 / 栗塚旭 / 脇崎智史 / 細川純一 / 芝本正 / 楠年明 / 増田久美子

因幡藩につかわされた剣術指南役の松宮に藩の内情を探っている疑いがあった
一方、他藩へ剣術修行の願いをでる若き藩士の香川は松宮の許しをえたいものの心象が悪く・・・

時代劇エンターテインメントでもなく、時代劇風でもないホントに古き良き頃の時代劇といった感じでした
というほど時代劇に精通してるわけじゃないけど、ここまで今時の娯楽性事情に媚びない作りは個人的に好み
中途半端な横やりを排除し、自分がおもしろいと思うものを貫いて撮った力強さみたいのを感じずにいられません

藩が節制によって地道に隠し通してため込んだ資産、それを公儀からつかわされた剣術指南役にかぎつけられてしまう
城代の荒木と家老の舟瀬は藩としてこの問題に頭を抱える
一方、剣の実力もある若き藩士の香川は師範の原田に修行の願いをだすが、これには若宮の許しがいる
しかし、若宮の香川に対する印象はよくなかった
という中、藩の抱える問題と香川たち若き藩士たちのドラマが平行して描かれていく、と
で、それぞれの運命みたいのが収束していって・・・みたいなストーリー

登場人物それぞれの想いと皮肉な展開になっていく状況、それを地味すぎず過剰すぎずの良い安定感で描いてますね
BGMもほぼ環境音だけで、場面や人物で描きたい部分は画面から読みとるような作りになってて楽しめた
悲しい音楽がかかれば「そういう心情(シーン)なんだな」と自動的に感じるような作品ではなく、あくまで察することを楽しむものになってますね

ちゃんとクライマックスは盛り上げてくるし、全体的に泥臭さはあるけど斬りあいの場面も魅入るものがあります
それでもちょっと気になるのがじゃっかん一部の、特に若い役者さんの演技が不安定なところがある感じ
というかベテラン勢の超絶安定感の反動もあるだろうから難しいかもしれないけど、そこら辺について名優に負けない若手がそろってれば完璧だったかもしれません

と、不満なところもあることはありますが、現代では久々に純度の高い時代劇を観られて楽しませてもらいました

個人的評価:80点
オススメ度:原田さんのかっこよさの株の上がりっぷりは異常




蠢動 予告

2013年10月21日月曜日

サイド・エフェクト (2013/米)

監督:スティーブン・ソダーバーグ
出演:ジュード・ロウ / ルーニー・マーラ / キャサリン・ゼタ・ジョーンズ / チャニング・テイタム / アン・ダウド / ヴィネッサ・ショー / カルメン・ペラエス / マリン・アイルランド / ポリー・ドレイパー / ジェームズ・マルティネス / メイミー・ガマー / ケイティ・ロウズ / デヴィッド・コスタビル

出所した夫をむかえた妻のエミリーは、ある時、急に車を発進させ壁に突っ込ませてしまう
彼女を看た精神科医のジョンは相談に乗るとともに鬱の薬を処方するが、副作用の問題が起こり・・・

前半、中盤、後半と観る場面によってホントに作品の印象が異なる
なんていうか作り手の手のひらの上でうまく転がらされてる感が心地よい、個人的にそう感じずにいられない珍しい作品でしたね
かなり楽しめたゆえにしょうじきあまり深く書きたくない、そんなもどかしさでいっぱいです

出所してきた夫と幸せな暮らしがもどるかと思われたが、妻のエミリーに唐突に精神的な不安定さがあらわれてしまう
彼女のセラピーを受け持つこととなった精神科医のジョンは、過去にもエミリーは鬱の状態にあったことを知り、薬を処方していく
そんな薬を飲みつつ、夫の社会復帰へ協力するためにがんばるエミリーだったが、症状は悪化していき同時に薬の副作用にも悩まされる日々が続いてしまう
と、まあ、そんな話だってことでひとつ
ストーリー的にはこれ以上は語らない方が楽しめると思います

たいがいこういった作品では抽象的なラストを臭わす、「指針はしめすけどあとは観た人が判断すれば?」エンドになりがちだけど、この映画ではちゃんと最後まで描ききってるからおもしろい
途中途中で「ああ、そういう展開ね。じゃあ、あんな感じで終わるのかな」と予想していると、その先その先ときちんと描いてくれて、広げた風呂敷を店にでも並べるのかってくらいきちんとたたんでくれたのがうれしい
昨今の同じ系統の映画だと、けっこうちゃんと終わらせない打ち切るようなオチが多い中、きちんと最後まで語り尽くして作ってくれると逆に新鮮ですね

まあ、そんな感じでとりあえず「騙されたと思って観てみればいい」としか言いようのない一本でしたね

個人的評価:95点
オススメ度:自信ある自覚にみちみちてるわ




サイド・エフェクト 予告


※できるなら、この予告を見ずに本編を鑑賞することを個人的に”強く”おすすめします。


人類資金 (2013/日)

監督:阪本順治
出演:佐藤浩市 / 香取慎吾 / 森山未來 / 観月ありさ / 石橋蓮司 / 豊川悦司 / 寺島進 / 三浦誠己 / 岸部一徳 / オダギリジョー / ユ・ジテ / ヴィンセント・ギャロ / 仲代達矢

旧日本軍によって隠された莫大な金塊M資金を融資するという詐欺をはたらいていた真舟
しかし、そんな彼に本当にM資金を有する財団からコンタクトがあり…

上映開始のだいぶ前からバンバンCMを流し、これが今の日本映画界における大作っぽい印象を与えてるけど、実際にこれを撮った人にとってそれは本望だったのかな
私の周りにも「邦画とか洋画に比べて迫力ないし、つまんないから観ない」って人がいるんですが、そりゃこんな映画に引っかかって「これが邦画」だと思い込んで観ちゃったらそうも思うわな
ただでさえ一般的に映画館まで足を運ぶ人はそう多くないだろうし、たまの休日に大切な人や家族と「いまCMでけっこう流れてるから面白いのかな?」とこの作品をチョイスしようものなら邦画嫌いにもならざるえないでしょうね
もう、ホント、それくらいひどい

時価10兆円の隠し資産であるM資金
それを運用する財団の内輪もめに巻き込まれた詐欺師の真舟は、その詐欺テクニックで10兆円をだましとってほしいと謎の男から持ちかけられる
という流れから、天才詐欺師が口八丁手八丁で世界的な巨大財団を相手に頭脳戦を…というマネーゲームものかと思ってたんですが、ね…
なんというか実際の内容はしょうじき支離滅裂で、どうしようもなくしょぼいアクションとコント演技で投げやりに作られてる「よく分からん話」な作品です

ホントに言い過ぎでもなんでもなく、どこのシーンを切り取ってみても画面的な安っぽさが隠しきれなくてコントにしかみえない
やる気のかけらも見えない外国人エキストラ、凄みのまったく伝わってこない財団、加えて日本人の役者さんの中にも「そりゃねえよ」って演技をする人が…
莫大な金、世界をマネーゲームで牛耳る凄い財団、という設定だけで大作を気取った中身のまったくないストーリーとか、「なんで今、こんな展開になってんの?」と話の流れが分からない
どうでもいい所で名のある役者さんを使ったり、配役にも謎が多い

けっこうクソ映画に耐久性はある方だと自認してたけど、「ああ、はやく終わんねえかな」と心の底から本気で思ってしまった一本でした

個人的評価:20点
オススメ度:ぜったい命を狙われるだろ、というキャラをスルーしてくれる財団の謎殺人基準




人類資金 予告

2013年10月20日日曜日

ダイアナ (2013/英)

監督:オリバー・ヒルシュビーゲル
出演:ナオミ・ワッツ / ナビーン・アンドリュース / ダグラス・ホッジ / ジェラルディン・ジェームズ / チャールズ・エドワーズ / キャス・アンバー / ジュリエット・スティーブンソン

チャールズ皇太子との別居が話題になっているダイアナ妃
そんなある日、ダイアナは魅力的な心臓外科医と出会い・・・

王室のどろどろした部分やらをからめつつ、素顔的なところをドラマとして描いた映画かな、と思ってたらなんともオーソドックスな立場のある主人公のロマンスものでした
超セレブな暮らしをしてきた女と、けっこう庶民派なところがある男の恋模様みたいな感じですね
有名人ゆえにその恋路には障害がつきもので、そこら辺で恋人とすったもんだありつつ「やっぱり愛してる」みたいな・・・まあ、ホントによくある話のダイアナ主人公版

チャールズ皇太子と別居し、運命的に出会った心臓外科医と恋におちるダイアナ
世界の人々を相手にした務めを自分なりにしていく中、プライベートでは少女のような恋に安らぎを感じていくさまを描く、と
世界の誰もが知っている女性としての顔と、ひとりの女としてちょっと天然が入った恋の様子をドラマにしてるのはおもしろい
だけど、なんていうか全体的に淡泊な印象は否めないかな

とりあえず妃としての世界に向けて働きかけていくパートが思った以上に描写的に補足ていどしかないのが気になりました
ダイアナとか超有名人なんだから、この映画を観るんだったら公の顔は知ってて当たり前だろという制作スタンスなのかもしれませんね
ゆえにあまり知識がないとプライベート部分とのギャップをあまり楽しめないどころか、この作品じたいに魅力を感じることができないかもしれません

あと肝心の恋愛パートもなんか中途半端
情熱的で本格的な男と女のロマンスに徹しているっていうでもなく、かといってコミカルに描いてるでもなく、なんかどっちつかずな感じで総じて淡々と恋愛要素を消化してるっていう印象を受けました
個人的にはもっとプライベート部分をコミカルにして、世界のダイアナという常識としてみんな知ってるだろう部分ももっと丁寧に描けばひとつの作品の世界観として完成したんじゃなかろうか、と思わざるえない

主人公のダイアナとしての演技だけが良かった感じなそんな一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:皇太子とかパパラッチの部分を思ったよりつっこんで描いてないのも物足りない



ダイアナ 予告

インポッシブル (2012/スペイン)

監督:J・A・バヨナ
出演:ナオミ・ワッツ / ユアン・マクレガー / トム・ホランド / ジェラルディン・チャップリン / サミュエル・ジョスリン / オークリー・ペンダーガスト

夫と3人の息子たちとともにタイの浜辺にあるリゾート地にきたマリア
一家がプールで楽しく過ごす中、突如として巨大な津波が襲いかかり・・・

なんの前触れもなく襲いかかってきた巨大な津波に引き裂かれる家族、そんな自然災害ものなんて今どきテレビの再現ドラマでもよくあるテーマ
だけど、そんなよくあるって部分をふまえた上でも上映中に「がんばれ」と心から応援する感情がわきあがってきます
個人的にこんなに感情移入して主人公を励ました作品はないかもしれん

クリスマス休暇でタイのリゾート地にきたマリアと夫、そして3人の息子たち
巨大津波の発生によりすべてを飲み込み、引き裂き、マリアと息子のルーカスを残し、家族は散り散りになってしまう
いつ再び襲いくるかもしれない災害におびえ、大けがをおし、幼い被災者に手をさしのべつつもマリアとルーカスは懸命に生き延びようと前に進む・・・
という導入がありつつ、最初こそサバイバルものかなって印象だったけど、あくまで自然災害に対するマリアたち家族の物語になってますね

序盤のこれでもか、ってくらいの悲痛な展開に「おいおい、これラストちゃんと救われてくれよな」とのっけから作品に感情をもっていかれました
たいがいこういう作品では自然災害の描写が妙にビジュアル的に美しい方向の凄まじい感じに描かれるけど、この映画ではホントに凄惨な印象しかない
加えて痛々しくてしかたないけど、スクリーンから目を離すことができない力強さもありましたね

自然災害の凶暴さ、現場の混乱による人災、そんな中にもある人の暖かさと、とにかくマリアたちにおこる出来事を中心に時に厳しく時に優しくドラマをつづっていくのが良い
救われない描写が続く中で一筋の光明みたいな感動的なシーンもあり、いい感じで感情的にも塞がりっぱなしにならないから助かります
難を言えばもうちょっとラストに露骨に泣きを誘う過剰さがあってもいいかな、と思えなくもないけどまあ、これはこれで過剰演出すぎない感じが良いのかもしれませんね

ネタバレ回避のためにマリアたちがどうなるかは語れませんが、もうラストは「こいよ!こいよ!」とずっと励ましっぱなしな一本でした

個人的評価:95点
オススメ度:家族の影にうもれてる人たちのことも忘れてない姿勢は好印象




インポッシブル 予告

2013年10月14日月曜日

おしん (2013/日)

監督:冨樫森
出演:濱田ここね / 上戸彩 / 岸本加世子 / 井頭愛海 / 小林綾子 / 満島真之介 / 乃木涼介 / 吉村実子 / ガッツ石松 / 稲垣吾郎 / 泉ピン子

明治40年、雪国の貧しい家で育った7歳の幼い女の子、おしん
嫌がるおしんをよそに家族が食べていくために1年の奉公に出されることになり・・・

国民的な超有名ドラマを映画でリメイク、もとが長い物語ゆえに仕方ないかもしれませんがかなり駆け足で描かれてましたね
個人的に元のドラマ版は観てなかったですが、それでもかなり駆け足で重要な部分だけ描き、そぎ落とせるだけそぎ落としている印象を受けました
全体的に溜めが足りないために、そこだけ観れば確かに良いシーンだし「いい話だな」とも思え、けっこうな名セリフが描かれてると分かる・・・けど、それを感じることができないんですよね
目や耳には入ってくるけど心まで届かないというか

まだ7歳ながら家族を食べさせるために半ば無理矢理に奉公に出されるおしん
奉公先でのあたりや仕事は想像以上にきつく、それでもおしんは一生懸命に働くものの、ある事件をきっかけに心が折れてしまい・・・
という様々な人との関わりによって時に辛い、時に優しい世間を知っていき強く成長していく、っていうのを大多数の人がこの映画版には期待してるでしょう
だけど、実際に観た個人的な感想としては母親とのつながりみたいな部分を強調してる印象でした
それだけに奉公先でのどろどろした人間関係みたいなところは、意外なほどあっさり描かれていて、虐げられて虐げられて・・・だけど最後には受け入れてもらえる、みたいな要素は薄い

かなりいじわるでイヤな表現をするなら、おしんが奉公先と実家をいったりきたりしてるだけ
役者についてもそんなこだわりがない私ですが、それでもこの母親役は「母と子」を主軸に描くにしては力不足感が否めない
あとちょっと気になったのは楽曲の使い方がちょっとタイミング的におかしいような・・・?
テレビドラマ版を観てなくても知ってるメインテーマ、これが挿入されるタイミングと回数がちょっとしっくりこなかったですね

それでもひとつひとつのシーンとしてのドラマはおもしろいし、主役の演技も想像してたよりしっかりしてて浮いてない
それと個人的にカメラワークがけっこう凝ってるな、と思えました
続編があるのかどうか分かりませんが、続きはもうちょっと総集編臭がしない作りにしてもらえればな、と思った一本でした

個人的評価:75点
オススメ度:物わかりの良いピン子なんてピン子じゃない(という個人的妄想)




おしん 予告

陽だまりの彼女 (2013/日)

監督:三木孝浩
出演:松本潤 / 上野樹里 / 玉山鉄二 / 大倉孝二 / 谷村美月 / 菅田将暉 / 夏木マリ / 北村匠海 / 葵わかな / 小藪千豊 / 西田尚美 / とよた真帆 / 木内みどり / 塩見三省

鉄道会社関連の広告業界で働く浩介
ある日、彼はクライアントの会社で働く昔なじみの女性、真緒と再会し・・・

単なるシャレオツな若者向け恋愛映画じゃない、というような作品の裏になんか秘密がある感じが予告から伝わってきたので鑑賞
しょうじきこういう感じのロマンスものは一番の苦手分野なんですが、はたしてやっぱり肌に合いませんでした
確かに「ほほう」となる単なる恋愛映画じゃないんだけど、その普通じゃない部分さえ肌に合わないとあっては楽しめようがない
というのはあくまで個人的な受け方で、好きな人にとってはたまらなくロマンチックで素敵で笑えて泣ける映画だってのも頭では理解できます

主人公の浩介が取引先の会社で出会った女性、真緒は彼が中学生の時の特別な人だった
最初の出会いからはじめこそぎくしゃくしてたものの、徐々にふたりは距離を縮めていき・・・
という展開の中で中学時代の描写が要所要所でさしこまれ、主人公ふたりの恋愛ドラマを描いていく、という典型的な作り
会社の同僚やら上司、主人公たち以外のキャラがかなりコミカルに描かれていて、なんとなくマンガをそのまま映像化したかのようなリアル路線とはちょっと違う演出がロマンス作品に慣れてない自分でも楽しめました

だけど、どうにも楽しめたのはそんなコミカルなシーンだけで、あとはちょっと・・・
物語の核となる部分もけっこう序盤から「ああ、そういうことね」と分かるし、伏線も深読みしなくても察せるくらい分かりやすくちりばめられてます
ここら辺も人によるでしょうが、個人的にはもっと終盤まで分からないようにしてほしかったかなあ
ミスリードを誘い、難病もの路線で引っ張っていって、ラストにきて「ああ、そういうことだったのか!」と思わせてほしかった

最初こそ笑えるシーンが多々あって、「こういう路線なら楽しめそうだ」と思ってたんですが、終盤になるにつれて変化球ではあるものの普通の難病ものシャレオツ恋愛映画の典型におさまっていってる感じ
それはそれで悪くはないんですが、さらにここで個人的にシリアスな展開の中での真緒の上司のストーカー描写の空気読めないギャグっぽさとか、唐突な子供のピンチシーンとか良いところでちょっと引いちゃう部分がダメでした・・・

そうなるともう個人的な感情部分がどんどん映画から離れていってしまい、最後にはかなり冷めた目で観てましたね
くどいかもしれませんが、ホントに個人的に肌に合わないってだけの作品なんで、ラブコメでしんみりしつつ良かったわあ、というロマンス作品が好きな人ならすっごい楽しめるんじゃないかな

個人的評価:65点
オススメ度:素敵なんじゃないですかね




陽だまりの彼女 予告

2013年10月13日日曜日

キッズ・リターン 再会の時 (2013/日)

監督:清水浩
出演:平岡祐太 / 三浦貴大 / 倉科カナ / 中尾明慶 / 市川しんぺー / 小倉久寛 / 池内博之 / 杉本哲太 / ベンガル

ボクサーをやめアルバイトの日々を送るシンジ
刑務所から出てきたものの組は解散状態のヤクザのマサル、そんなふたりが再び出会い・・・

とりあえずこれ「キッズ・リターン」ではないのよね
もちろんストーリー的には完全な続きなんだけど、個人的な印象だと前作でシンジがボクサーのマサルがヤクザの道を歩み始めた時点からのif世界を描いてる「もうひとつのキッズ・リターン」みたいな感じの作品
これはこれでシンジとマサルの生きる世界を描いてるんだけど、あまりに誰もが想像できうるふたりの生き方で普通すぎる内容かなあ
かつての親友同士がボクサーとヤクザの道を進むことになった、というドラマとしてはおもしろいんだけど、どうしても「キッズ・リターン」の続編とは観られない

新人王をとりながらもジムの会長の経営優先方針から、格上相手のかませ犬として利用されるだけ利用されて引退したボクサーのシンジ
一方、5年ぶりに刑務所から出てきたヤクザのマサルは警察のしめつけにより組としては解散状態にあり、それぞれが細々とビジネスにいそしむ現状になじめない
いまだに古いヤクザ気質を捨てられないマサルに気力を失って日々を流されて生きるシンジは再び出会うことで、もう一度ボクサーとして復帰する決心をする
という流れの中で時の流れの中で変わってしまった人と世の中にあらがうマサルとシンジの物語ですね

なんというかマサルの性格がじゃっかん変わってる気がしないでもないのがちょっと引っかかります
まあ、そこら辺は前作のラストからちょっと時が経っているということで・・・と、思いこもうとしてもなかなか受け入れづらいくらいのキャラの変容っぷり
話が進むほど前作の続きというイメージが瓦解していき、どんどん別ベクトルのif世界を描いたリメイクっぽい感覚が強くなってきます
演出やら描き方が北野武リスペクトな部分もあるし、ホントに個人的には「もうひとつのキッズ・リターン」というとらえ方が最終的な印象ですね

そんな感じでボクサーとヤクザの道をそれぞれ歩む若者たちの物語、という風に「キッズ・リターン」を頭のすみに追いやってみれば普通に楽しめるドラマ作品でした

個人的評価:80点
オススメ度:シンジの彼女(?)とか必要だったか?




キッズ・リターン 再会の時 予告

トランス (2013/米・英)

監督:ダニー・ボイル
出演:ジェームズ・マカボイ / ロザリオ・ドーソン / バンサン・カッセル

ある競売の最中に盗まれた絵画
しかしサイモンの裏切りにより絵は紛失、しかも計画中のアクシデントによりサイモンは記憶を失ってしまい・・・

最初こそ記憶をなくした主人公と絵画の行方、そして催眠カウンセラーやボスたちの思惑とか良い感じで茶番劇が楽しかったんだけど・・・
なんていうか話が進むにつれて無駄にぐっちゃぐちゃに展開を引っかき回しすぎて、悪い意味でよく分からない内容になっちゃってるかな、と
よく分からない系の作品でも後々で「あの時のあれは・・・」とか考察するのが楽しいタイプはあるし、これもそんな映画に属する要素はあったけど、個人的にはもう鑑賞後にあれこれ考えるのがめんどくさくなっちゃいましたね

競売中に絵画を強奪せんと乱入した謎の男たち
主人公のサイモンは絵を守るためにタイマー式の金庫にこれをおさめようとするが、その途中で犯行グループのボスであるフランクに見つかってしまう
サイモンはフランクに襲いかかるものの返り討ちにあって頭を強打、そのまま絵は奪われてしまう
しかし絵がおさめられていると思われたバッグは空で、実は犯行グループの一味であったサイモンは責められるものの彼は頭を打ったショックで記憶喪失になっていた
で、そこで苦肉の策として催眠術をもちいたカウンセラーのエリザベスに看てもらうことになる・・・というお話

なんでサイモンは絵を隠そうとしたのか、そしてそれはどこにあるのか、という部分を軸にしてサイモン、フランク、エリザベスの人間関係も微妙に裏でなにかありそう、という謎を楽しむ内容ですね
見所はやっぱり、今描かれているシーンは催眠状態にあるキャラの心象風景なのか、それとも現実なのかという点
あきらかにイメージとして描かれてる部分もあれば、かなり曖昧に描かれているところもあり、後半になるにつれてどんどんカオスになっていきます

それはそれで現実か否か境界線を楽しめるんだけど、この作品はちょっとやりすぎじゃないのかな、と
あんまりにごちゃごちゃしすぎて、結局のところストーリーで勝負したいのか、ビジュアル的なイメージものとして勝負したいのかよく分からなくなってる感じ
感覚的に楽しむ系に特化するならもっとぶっとんだ表現をしてもいいと思うし、逆にストーリーをみせたいならもっと洗練して分かりやすくした方がいいんじゃないか、と個人的には思わざるえない

まあ、私の読解力が足りないから楽しめきれてない、っていう部分は否定しないけど
もうちょい、もうちょい序盤のノリみたいにシンプルに描いてくれた方がよかったんじゃないのかな・・・と言いたくなる一本でした

個人的評価:75点
オススメ度:つまり同一人物だった?ってこと、なのか?




トランス 予告

レッド・ドーン (2012/米)

監督:ダン・ブラッドリー
出演:クリス・ヘムズワース / ジョシュ・ペック / ジョシュ・ハッチャーソン / エイドリアン・パリッキ / イザベル・ルーカス / コナー・クルーズ / エドウィン・ホッジ / ブレット・カレン / アリッサ・ディアス / ジュリアン・アルカラス / ジェフリー・ディーン・モーガン

突如として侵略してきた北朝鮮軍に占領されてしまうアメリカ
ジェドとマットの若い兄弟は難を逃れた若者たちをまとめ、街を取り戻すための抵抗勢力を組織する

しょうじき観る前までは話題性にしても設定にしても、かなりしょぼい映画なんだろうなと思ってました
まあ、実際にしょぼいんですが、思ってたより悪くないというのが個人的な印象
特に終盤の展開はけっこう好みで、なんというかもうちょい全体的に丁寧に作ればもっともっと光る作品になったんじゃないかな
とりあえず北朝鮮がアメリカの都市を占拠、という設定の時点で「は?」って感じですよね
あ、あと、そんなとんでも設定なクセにバカ映画ってわけじゃなく、シリアス路線で勝負してるのは驚きでした

北朝鮮兵が空から降ってきて街を占拠した
逃げ延びた若者たちは抵抗組織を作って味方と物資を集め、地の利をいかして北朝鮮兵に戦いを挑む
という導入部分がかなり無理があって、「ああ、なんかひどい映画はじまったわ」と感じずにいられない
これがコメディ要素の強いバカ映画ならいいけど、大まじめにやってるから「うーん・・?」となってしまいます
それでもアクションシーンはそこそこだし、戦闘やらストーリーの展開もそこそこなのでギリギリ退屈はしない

そんな全体的に悪い部分ばかり目に付くからかもしれませんが、個人的にクライマックスからの展開がおもしろく感じましたね
ラスボスとの決着の付け方、そこからの兄弟の絆の描写、ラストへ向けての成長、そんな終盤だけ切り取ってみると個人的にけっこう楽しめた
それだけにもっと味方と敵のキャラに魅力があれば、ロシアの特殊部隊とか戦いの部分に厚みがあれば、そもそも北朝鮮はねえだろ、というところがちゃんとしてればなあ
ま、そんな点をしっかりやってたら別作品になってるかもしれないけど

若者たちの反骨精神と友情、戦いの冷酷さ、人間としての成長ドラマの部分をもっと丁寧に描いていればけっこう個人的に好みな作品になってたかもしれません
もしくは主役と敵役にアクションものの大スターを起用すれば、それなりな見栄えになってたかもね

個人的評価:75点
オススメ度:観る前から分かる「俺たちの戦いは~」臭




レッド・ドーン 予告