2013年2月27日水曜日

2月のこれ一本

寒いわー
ホントにもうイヤになるくらい寒いわー
あれですかね、やっぱり歳を取ると寒さ耐性が低くなるんですかね
子供は風の子っていうくらいだから、人の成長にともなって耐性がすり減っていくんかな

うーん、まあ、いつものことながらどうでもいい話は置いておいて、今月いちばん印象に残ったのは「ライフ・オブ・パイ」ですね
その映像美は言わずもがな、内容もしっかりしていて見てくれだけじゃない
「ムーンライズ・キングダム」もけっこうインパクトあったけど、ちょっと人を選ぶ気がするので今月は「ライフ・オブ・パイ」で

来月はやっと3月、春が待ち遠しくもありますが、暖かくなると花粉&黄砂がアレでナニでまいっちんぐですわ

2013年2月25日月曜日

逃走車 (2013/米・南ア)

監督:ムクンダ・マイケル・デュウィル
出演:ポール・ウォーカー / ナイマ・マクリーン / ジス・ドゥ・ヴィリエ

元妻に会いに異国の地ヨハネスブルグを訪れるマイケル
レンタカー会社の手違いで手配したものと別の車をあてがわれたものの、その車から怪しい携帯電話と一丁の拳銃が出てきて…

この映画の最大の売りである「全編、車内カメラのみで構成されている」という点
うん、まあ、まさにそうなんだろうけど、しょうじきそれだけって感じが否めない
なんか一生懸命ストーリーを語ろうとしてる部分もあるけど、ぶっちゃけありきたりな上にそれほど身のある内容じゃない…というのはまだアクション映画にはありがちだから最悪ゆるせます
だけど、肝心メインなカーアクション部分が致命的に物足りない
これサスペンスでもアクションでもない、主演ポール・ウォーカーの顔をながめる作品ですわな

運悪く事件に巻き込まれた男が素人ながら車を操ってふんばる、はい、内容的にはそんだけ
あとは主演のポールさんの車内演技を楽しんでください、って感じ
ド派手なカーアクションの連続というほどじゃないし、先の読めない緊迫したストーリーが展開するでもない、車内という限定空間で描かれるある意味でワンシチュエーションもの
物語、アクション、テンポ、緊張感、すべてにおいて悪くはない、悪くはないけど良くもない
普通すぎて面白味がない、というのが個人的感想ですね

最大の売りである車内カメラのみで構成されている部分、これはこれでいいんだけど、どうにも悪い意味でそれが足かせになってる気もします
見せ方の問題かどうかは分かりませんが、どうにもカーアクション部分がパッとしないんですよ
あとはライバルキャラの不在…というか、いちおライバル的な人はいるんだけど、もっと早い段階から画面に登場させて再三にわたるカーバトルを繰り広げてほしかったかな、と
ついでに付け加えるなら、最後まで車内カメラで通そうよ

ってなわけで、ポール好きにはたまらない、ポールによるポール映画でヘイ、ポールしたい人にはたまらなく魅力的な一本かもしれません

個人的評価:65点
オススメ度:手配されたんなら早々に車を乗り捨て…いや、なんでもない




逃走車 予告

2013年2月24日日曜日

横道世之介 (2012/日)

監督:沖田修一
出演:高良健吾 / 吉高由里子 / 池松壮亮 / 伊藤歩 / 綾野剛 / 朝倉あき / 黒川芽以 / 柄本佑 / 佐津川愛美 / 堀内敬子 / 大水洋介 / 田中こなつ / 江口のりこ / 眞島秀和 / ムロツヨシ / 黒田大輔 / 渋川清彦 / 広岡由里子 / 井浦新 / 國村隼 / きたろう / 余貴美子

大学に通うために上京してきた横道世之介
彼は出会った人々が思い起こした時、自然と笑顔になれる男だった

横道世之介というキャラが世の中を、彼に関わった人をみんなちょっとだけハッピーにしていく、そんな心温まる系な作品・・・のようで、あんまりそうじゃなかったかな
というのが個人的な感想
確かになにげない日常はおもしろおかしくて、主人公を見てるだけで笑顔になれる
だけど、なんというか、鑑賞後に「ああ、よかったー」みたいな気持ちよさがないかな

内容的には昭和なちょっと懐かしい時代の大学生の青春ドラマで、主人公を中心として関わった友人たちの物語を連ねていきつつ、主人公じたいの物語も進んでいくみたいな感じ
ホントにびっくりするくらいなんてことはない日常の話で、クセのあ登場人物たちが生きている箱庭を観察してるみたいな作品、という印象がしましたね
意外と主人公の横道世之介そのもののキャラは強烈じゃなく、作中でもあるけど「笑っちゃうくらい普通」な存在
ゆえに破天荒な行動で肩の凝った世界をもみほぐすみたいなものを期待してると肩すかしかもしれません

基本的に世之介の大学生時代の生活と、そこに関わってくる登場人物の細かいエピソードの連続ですが、なにげない日常がなにげなさすぎてしょうじき退屈と感じるシーンも多い
もちろん自然と笑顔になれるシーンも多いんですが、どうしても良い部分より悪い部分の方が浮き出ちゃってる感じがします
まあ、そこら辺はこういう日常系が肌に合うか合わないか、という趣味の問題かもしれませんが

どたばたコメディというほどでもなければ、地味にじわじわくるでもない、どっちつかずな感じがしないでもない一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:とりあえず無駄に長いわ



横道世之介 予告

2013年2月22日金曜日

虹色★ロケット (2006/日)

監督:伊藤峻太
出演:松永祐佳 / 平山みな美 / 伊藤峻太 / 小泉優絵 / 寺内雄生 / 宮川広平 / 白石愛

転校生のユカは謎の学科、芸術的銀河科にはいる
ユカは難病を抱えつつもちょっと奇妙な学園生活をはじめる

荒削りな作りがいかにもって感じの自主制作作品
なんとなく場末の芝居小屋でやってる演劇を観てる感覚をおぼえますね
いろいろと雑味はたっぷりなんだけど、個人的にはけっこう好みなお話でした
もっともっと気分がめいるような展開があってもよかった気がしないでもないけど、これはこれで

難病を抱えつつ神様やら能力やらと、ちょっと特殊な存在の主人公
同じく特殊な学科で風変わりなクラスメイトたちと過ごす…その中で登場人物たちの抱える悩みやらなんやらの陰の部分が見えてくる、そんな感じの展開です
みんな実はいろいろと事情を隠し持っている、という感じ
命をテーマにコミカルで青臭いながらも、けっこう重い話でもあります

内容的にはありがちといえばありがちだけど、作品を作り上げる熱が感じられておもしろい
ちょっと気になったのは髪型、ファッションなど登場人物たちのキャラの色づけがもっと分かりやすければな、という点ですね
あと、劇中で「脚本家が~」うんぬんの台詞はどん引きものなのでカットしてほしかった

とりあえずこの作品を踏み台にした未来や将来に期待を感じられる、そんな良い意味で発展途上っぷりがおもしろい一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:個人的にあえて特殊学級という設定を採用し、もう一歩踏み込んだリメイク希望




虹色★ロケット 予告


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2013年2月18日月曜日

ゼロ・ダーク・サーティ (2012/米)

監督:キャスリン・ビグロー
出演:ジェシカ・チャステイン / ジェイソン・クラーク / ジョエル・エドガートン / ジェニファー・イーリー / マーク・ストロング / カイル・チャンドラー / エドガー・ラミレス / ジェームズ・ガンドルフィーニ / クリス・プラット / フランク・グリロ / ハロルド・ペリノー / レダ・カテブ / ジェレミー・ストロング / スコット・アドキンス / マーク・デュプラス / シモン・アブカリアン / アリ・マルヤル / ヘンリー・ギャレット / ホマユン・エルシャディ / ジュリアン・ルイス・ジョーンズ

CIA所属のマヤは911テロを受けてサウジ・グループの調査をすることに
しかし、わらの山から針を探すような仕事はうまく進まず・・・

実際のできごとをベースにしたドキュメンタリー風の作品と言えばそうなんですが、けっこうエンターテインメントしてるところもあり、思ったほど堅苦しさはありませんでしたね
クライマックス以外はそんなに過剰な演出というわけでもないので、単純な娯楽作品というわけでもなく、バランスの良い一本の映画としてひじょうに楽しめました

基本は主人公が地道に情報収集する話ですが、月日が経つにつれて状況やらなんやら変わっていくさなかでままならない調査に頭を悩ませる、と
わずかな情報から物事が進展したようでそうでもなかったり、時としてそこが生と死の隣り合わせの場所であるとあらわす展開があったりと、ベースは地味ながらまったく退屈することなく楽しめますね
当時、ニュースなどで知った内容を扱ってることもあり、しかも堅苦しさがないのでけっこうリラックスして作品に集中できます

これはちょっと人によって感じるところが違うかもしれませんが、クライマックスの展開が独特でしたね
ネタバレになるかどうか微妙だけど、まさかのまったく違う雰囲気の展開がはじまるとは、みたいな
ドキュメンタリー、ドラマ、サスペンス、アクション・・・ホントにこの映画を一本みればお腹いっぱいになりますね

ただこれは個人的にちょっとアレかな、と思ったのは年月の流れの表現がちょい浅くて歴史の積み重ねがじゃっかん軽い気がしないでもない
あとは主人公マヤの容姿がキレイすぎないかな、と
もっと汚いとは言わないけど、イメージ的に無骨でクールな男女みたいな方がしっくりくる・・・と思う

まあ、なにはともあれその尺の長さもありますが、胃もたれ一歩手前、腹9.8分目くらいまで満たしてくれる作りに満足な一本でした

個人的評価:90点
オススメ度:まあ、アメリカ万歳映画かもしれんね



ゼロ・ダーク・サーティ 予告

レッド・ライト (2012/米・スペイン)

監督:ロドリゴ・コルテス
出演:ロバート・デ・ニーロ / キリアン・マーフィ / シガーニー・ウィーヴァー / トビー・ジョーンズ / エリザベス・オルセン / ジョエリー・リチャードソン / クレイグ・ロバーツ / レオナルド・スバラグリア / アドリアーニ・レノックス / バーン・ゴーマン

超常現象のトリックを暴き続けるふたりの物理学者トムとマーガレット
そして30年前に引退した伝説の超能力者が復帰するニュースがあり・・・

世にはびこる超常現象をネタにするエセ超能力者、エセ霊能者のトリックをバッサバッサとあばきまくる
最初から最後までどことなく「おちゃらけ要素のない堤幸彦」っぽい雰囲気がする作品ですね
世間的には評価がアレだけど、個人的には「フォーガットン」っぽくもある気がしました
オチがみえてくるまではホントにおもしろいんですが、なんか最後にひどくもやもやしますね

次々に超常現象のトリックを見破っていくふたりの物理学者、その前にたちふさがる最強の超能力者サイモン・シルバー
なにやらそれぞれに過去の因縁もあるように見受けられ、はたしてふたりはサイモンのトリックを見破れるのか?それとも彼は本物なのか?
という内容ですが、サイモンが本格的に動き出すまでちょっと時間をかけすぎてて、それゆえにじゃっかん序盤が退屈かもしれません
だけどサイモンが本格始動してからは面白くなるので、それまで我慢ですね

タイトルである「レッド・ライト」、オチに結びつく小さな伏線は思い返してみればけっこうちりばめられており、それが観てる間はずっと素直に画面で起きている事象を受け入れられない「小さな引っかかり」として作用するのがいい
サイモンにだけではなく、トムやマーガレット、それぞれの関係に対しても常に「いや、でもこれぜったい何かあるだろ」と最後まで緊張感が持続します

それだけにオチがついたときの「ん?」というもやもや感がもったいない
ちょっと冷静に前後の展開を思い返せば「ああ、そういう流れで」と理解もできるけど、そこはもっと分かりやすくすっきりとみせてほしかったかなあ
そのもやもや感が最後の最後で作品の雰囲気を邪魔しちゃってて、けっきょく「うーん、なんか微妙?」という印象を植え付けちゃってるかも

終わりよければすべてよし、と言いますが逆をいえば着地がしまらないとそれまでのことが台無しに・・・ってね
まあ、ぶっちゃけオチじたいも「はあ?ふざけんな」と思う人もいるでしょうし、そういう意味でけれんみのあるB級映画として楽しみましょう

個人的評価:75点
オススメ度:サイモンの昭和っぽい超能力ショーが懐かしいわ



レッド・ライト 予告

ダイ・ハード ラスト・デイ (2012/米)

監督:ジョン・ムーア
出演:ブルース・ウィリス / ジェイ・コートニー / セバスチャン・コッホ / ラシャ・ブコヴィッチ / コール・ハウザー / ユーリヤ・スニギル

息子がロシアで重犯罪により逮捕されたという情報をえて現地にむかうジョン
その息子が政治犯の裁判に証人に呼ばれ、裁判所の爆破テロまでおこり・・・

つっこんでってぶっぱなす、うん、まさにそれだけ
細かいこととかどうでもいい、頭なんざ使う必要ない、ストーリーとかクソくらえ、というホントに今風なド派手なだけのアクション
設定的にもルーキー&ベテランの親子バディもの、というオーソドックスなもので、それが特に作品としての特徴付けになってるかどうかは微妙なところ
観てるあいだはすんごいおもしろいけど、これぜったいあとあとまで記憶に残らないだろうな、と

実は極秘ミッションを遂行中だった息子のジャック、そこにジョンが現れたことで計画が狂い・・・みたいなストーリー
最初は仲悪すぎな親子がやっかいごとを乗り越えていくうちに、なんか絆を深めていって最後にはふたりではっちゃける
実にザ・シンプルな内容ですね
とにもかくにも緩急をつけながらのテンポの良いアクションの連続がみどころ
アクション部分は申し分ないので、「俺は、今日、なにも考えずに、バカアクション映画を観たい」という欲求は満たしてくれるでしょう

逆に言えばサスペンス的なドキドキ感や、ちょっとはあるだろうとストーリーを期待してるとアレですね
もちろん親子の絆とかドラマ部分も期待しない方がいいかも
あと親子という設定をいかしたタッグアクションという部分も個人的には物足らなかったかな
なんというか良くも悪くも派手な画面でひょうひょうと死地を切り抜けるブルースアクション、かな
しょうじきあまり多くを語るところはない、ホントに典型的なハリウッドアクションでしたね

個人的評価:70点
オススメ度:これホントに別にダイ・ハードシリーズじゃなくてもいいよね



 ダイ・ハード ラスト・デイ 予告

2013年2月15日金曜日

梅田優子の告白 (2008/日)

監督:深井朝子
出演:焼広怜美 / 本多菊次朗 / 川村りか / 吉田晋一 / 野口かおる / 三島ゆたか

昼は飯屋、夜は水商売のバイト、そして夜な夜な男をかえてHして朝をむかえる
そんな梅田優子19歳にも特に気になる男性ができて…

短編よりちょい長く、長編より短い…そんな当たり前な中編ものでちょっとした時間に手軽に映画を楽しもうシリーズ
こういう軽い感じで観られる作品は自分の好みのスタッフさんやら役者さんを探求するのに役立ちます
「あ、けっこうこういうの好きだな」って感じで、自分の中の新しい嗜好の方向性をみつけようじゃないの、と
もちろんそういう意味で得られるものが何もない時もあるけど(圧倒的にそんな時の場合の方が多い)、それはそれで

内容的にはお金が絡んだ関係じゃない男性経験の積み重ねで自己を構築するヒロイン、そんなちやほやされまくりな彼女のことを見向きもしない男が現れ、そんな彼のことがどんどん気になっていくという感じ
噛み砕いて言えばヤリマンヒロインがつれない男に本気ラブというお話(か?)
見どころはロマンポルノっぽい話のわりに濡れ場どころかサービスシーンもない点ですかね
内容は道徳的じゃないけど、画的には小さなお子様と観ても安心ですよ、おとうさん

Hすることで自己を形成していくヒロイン
ヤった相手の情報を手帳にデータベース化している
年上が相手だろうが言いたいことははっきり言う性格
ここまではいいんだけど、そんな主人公が実は隠し持っている暗い部分、冷たい部分、もしくは逆に温かい核となっている部分が作中から見いだせないのは残念
全体的に軽いだけの作品になっちゃってるかな

良く言えばオーソドックス、悪く言えばなんかどっかで観たことある、そんな一本でした

個人的評価:30点
オススメ度:こちらエロ作品のエロ抜きになります




梅田優子の告白 予告



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2013年2月12日火曜日

脳男 (2013/日)

監督:瀧本智行
出演:生田斗真 / 松雪泰子 / 江口洋介 / 二階堂ふみ / 太田莉菜 / 大和田健介 / 染谷将太 / 光石研 / 甲本雅裕 / 小澤征悦 / 石橋蓮司 / 夏八木勲

世間を騒がせる爆弾魔事件の小さな手がかりを警察がつかみ、ある倉庫で不審な男を逮捕する
男はいっさいの感情を表にださないため精神鑑定をうけることになり・・・

なんというかタイトルに偽りなしというか、ホントに「脳男」についての設定を一本の映画作品として語ってたな、という印象が強い
予告編から分かる通りかなりマンガチックな雰囲気で、その状況でそんなもんなのか?というシーンも多くてリアリティは低め
青年誌のダークヒーローもののマンガを読んでる感覚に近い

爆弾魔事件で怪しい男を逮捕したけど、なんか無感情でどうにもこうにもいかないから精神鑑定しようぜ
うーん、全体的に特に異常はないんだけど、明らかに行動とか言動が普通じゃないよなあ
と、いろいろと逮捕した男、自称鈴木一郎について調べていく・・・
ここまでで全体の尺の2/3は使ってるんじゃないッスかね
しょうじき予告を見れば分かる情報を消化するのに時間かけすぎな気がするわな

主人公の脳男について丁寧に描いていくのはいいんだけど、ちょっとまとめて語りすぎだろ
事件や犯人の内面、精神科医のヒロイン関連のエピソードを交えつつ、じょじょに脳男の脳男たるゆえんを語っていった方がバランスが良い・・・と思うのは素人考えですかね
なんかそんな物語の展開の構成がおかしい感じ
いっかいシーンを全部切り貼りし直せば個人的にだいぶよくなる気が・・・
あと、もっと脳男の超絶アクションとその能力を使った展開を観たかったな、と
「脳男」としての存在感は画的にじゅうぶんあるんですが、あんまり動いてない(いかしきれてない)感じ

粗はあるけど作品としてのひとつひとつのパーツはおもしろくできてます
だけど、なんか組み立て方がイマイチでもったいかな、と思った一本でした

個人的評価:75点
オススメ度:ED曲のハンパないミスマッチ感は異常



脳男 予告

2013年2月11日月曜日

映画版 マメシバ一郎 フーテンの芝二郎 (2012/米)

監督:亀井亨
出演:佐藤二朗 / 南沢奈央 / 高橋洋 / 高橋直純 / キムラ緑子 / 角替和枝 / 志賀廣太郎 / 藤田弓子 / 酒井天満 / 岩永智 / 吉増裕士 / 早織 / 田村泰二郎

仕事をさぼりがちになっている二郎
しつけ教室も任されるものの、とうとう部屋に引きこもり・・・

幼獣マメシバTVシリーズ、映画版、マメシバ一郎TVシリーズ、映画版、フーテンの芝二郎TVシリーズ、となにげに息の長い作品
初期は自分の部屋から半径3kmだけで生活できるヒキニートだった主人公も立派に(?)成長したもんだなあ、と
で、この作品はそんな今までの集大成といえば大げさだけど、けっこう大きな節目になってる感じですね

と、このシリーズを観てて当たり前のように書いてますが、完全にTV版の続きになってていっさいそれまでの説明は本作品ではナッシングのため、これ単体では映画として成立せず
しかもこれを観てシリーズに興味をもってもらおう、という作りでもないので、完全にここまで過去作品を追ってきた人オンリーに向けられて制作されてる感がいっぱいですわな

今までは回を重ねるごとに初期で2歩下がった状態で始まり、終わる頃には3歩進む成長ストーリーでしたが、今回はしょっぱなから二郎が10歩以上は下がった「よわくてさいしょから」状態でスタート
これまで二郎のキャラとして許されてきた「ちょっとトゲのある言動&行動」に対し、それをあえてコミカルに描かずそのまんま暴言として処理していくのがおもしろい
ここまで二郎が成長してきた課程でいろいろと学び経験してきたのに、けっきょく人はそう簡単に変われるもんじゃねえのかな、と思わせる部分が良い

知ってて他人に寄りかかってきた、知らないところで支えられていた、母の試練(?)でそれに向き合って成長してきたゆえの今回の話は地味に二郎にとって必要不可欠な物語でしたね
まあ、欲を言えば一本の映画として初期状態からここに至るまでの成長物語をやってくれたら最高に良いんでしょうが・・・

一郎の物語としての腹を切っての大手術、そりゃ血も出るし予期せぬできごとも起こる
だからってそこで腹を閉じても意味がない、しかもあくまで個人的なことだけにどう転ぼうが世界が大きく変わることはない、当たり前で普通なことを描いている
だけど、そんな二郎の話がおもしろい一本でした

個人的評価:80点(シリーズファン限定)
オススメ度:べーちゃんマジ軟派野郎なだけじゃねえ



映画版 マメシバ一郎 フーテンの芝二郎 予告

2013年2月10日日曜日

ムーンライズ・キングダム (2012/米)

監督:ウェス・アンダーソン
出演:ブルース・ウィリス / エドワード・ノートン / ビル・マーレイ / フランシス・マクドーマンド / ティルダ・スウィントン / ジェイソン・シュワルツマン / ボブ・バラバン / ジャレッド・ギルマン / カーラ・ヘイワード

ボーイスカウトのキャンプから脱走する少年サム
時を同じくして家出した少女スージーを連れてサムは駆け落ちの旅を始める

ラスト・デイまでに・・・というわけじゃないけど、偶然にもブルースさんが警部を演じる本作品
ちょっとシュールな展開にで独特のカメラワーク、かなり雰囲気を楽しむ作品かもしれません
それゆえにその雰囲気が馴染めない人にとってはまったくおもしろさが見いだせない、そんな映画
日本で昭和にやってたようなポップなアメリカンホームコメディみたいな感じで、その時代が分かるならすごい懐かしさをいだくと思います
いっけんアーティスティックなオシャレっぽい作品のようですが、あんまり深い内容を期待して観るもんじゃないかな

話的には脱走したサムと家出したスージーの駆け落ちを発端に、サムの所属するスカウトチームと島の警部、スージーの家族が捜索をはじめるドタバタ劇
とりあえず変わり者どうしのサムとスージー、それを追う各登場人物たちのキャラクター祭みたいな
とりあえずホントに肩の力とか抜きまくって、なんじゃそりゃって感じで楽しめばいいかと
マジになって目くじらたててツッコミ入れたら負けです

しょうじき言ってかなり純度の高い制作側のオナニー作品という印象はぬぐえず、「すっごいおもしろい?」と聞かれても手放しでイエスとは言えない
楽しいし、なんか変にクセになる記憶に残る映画なんだけど、心のどこかになんとも言えない拒否反応がわき起こるのも事実
個人的には楽しめたけど、これを他の人に勧められるように何か書けと言われるのが一番こまるかもしれん

なにはともあれ「金と時間の余裕があれば観てみてもいいんじゃね?楽しめるかどうかは自己責任で」という無責任なことしか言えない一本ですね

個人的評価:80点
オススメ度:ス、スヌーピーさん・・・。監督は猫派なのか



ムーンライズ・キングダム 予告

2013年2月7日木曜日

ダイ・ハード4.0 (2007/米)

監督:レン・ワイズマン
出演:ブルース・ウィリス / ティモシー・オリファント / ジャスティン・ロング / マギー・Q / メアリー・エリザベス・ウィンステッド / ケヴィン・スミス / クリフ・カーティス / サン・カン / シリル・ラファエリ / ゼリコ・イバネック / ジョナサン・サドースキー / ジェイク・マクドーマン / クリス・エリス / トニー・コリッティ / マット・オレアリー

全米を襲う大規模サイバーテロ
FBIは犯行が可能な人物を手当たりしだいあたる中、刑事のジョンにもあるハッカーのもとに向かうように命令がくだる

ラスト・デイまでにシリーズを最初から追ってきていよいよ最後の一作
個人的には初見となる4.0です
まあ、なんとなく観る機会を逸してたんですが…もっと早くチェックしとけばよかったわあ
すっごいおもしろいね、これ
もう1は別作品と考え、2~3と経てのアクション主体の映画「ダイ・ハード」の集大成と言っても過言じゃないかもしれませんね

内容的にはアナログで肉体派な主人公が、デジタルで知的な電子戦をしかけてくる相手に戦う
相棒として体はなよっちぃけど頭脳はグンバツな男がそえられ、でこぼこコンビで事件に立ち向かう、と
そんな感じで概容だけ書くとよくある設定なんですが、あくまで頭脳労働としての相棒はサポート要因にすぎず、次から次へとスピーディにテンポよく飽きさせない構成で展開するアクションがメイン
物語のバックで進む事件はデジタルで現代的なんですが、実際の作品として画面に映っているのは肉体をくししたバリバリのアナログアクションばかり…という印象が強い
いいじゃない、どんなにデジタルに攻められても「それがどうした」的なノリで力押しする主人公…いいじゃない

個人的に良いいなと思った点はかっちょいいカメラワークとアクション展開の組み立て
魅せたいところで止めすぎず、かといて流しすぎず全体のテンポを崩さないバランスでシーンを切り取り、しかも場面間のつなぎもすっごいスムーズに描けてる
伝わるかどうか微妙だけどゲームの初代ゴッド・オブ・ウォーを初めてプレイした時の感動に似ている

ただ、しょうじきいってストーリーじたいは軽くなっちゃってるのは否めないかな
国としてかなりすごい事態におちいってるはずなのに、そこら辺があんまり伝わってこない
ジョンさんならなんとかしてくれんだろ、という安心感が大きすぎて事件そのものの大惨事っぷりがイマイチ感じられない
まあ、よろよろのおっさんが血と汗にまみれて派手に立ち回る泥臭さ、そんなアクション映画を楽しみたいならストーリーの細かい点なんて気にしちゃいけません

いや、気にした方がもちろんいいんだけど、「気にすんな」と思わせてくれる魅力があるそんな一本でした
さてさて、次はラスト・デイ、これを観たら期待値を上げざるえないな

個人的評価:90点
オススメ度:色々と人生を悟ってるハゲもかっこいい




ダイ・ハード4.0 予告


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2013年2月5日火曜日

ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日 (2012/米)

監督:アン・リー
出演:スラージャ・シャルマ / イルファン・カーン / タブー / レイフ・スポール / ジェラール・ドパルデュー / アンドレア・ディ・ステファノ

インドの動物園で育った少年パイたち一家は、動物たちを売却するためにカナダへ船で向かう
その途中で船は沈没してしまい、パイはたったひとりで数匹の動物たちと救難ボートで大海原に投げ出され…

あれだろ?どう猛なトラと食うか食われるかって状況から、苦難を乗り越えるうちに友情が芽生えて協力プレイする感動ものなんだろ?
と、安易に思ってた自分がバカでしたね
圧倒的な映像美の中で描かれる残酷さ、ホントに「うっわ、キレイだなあ」という画面の中では過酷な状況が展開してるんですよ
そんな演出が非常におもしろい
ファンタジックだけどリアル、美しいけど残酷、まさに神様の物語って感じ

大人になったパイのもとを訪れた小説家に自身の生い立ちから話し始め、漂流していた時の話をメインに当時を振り返る形で話は展開します
当時を思い起こす、つまりはパイの記憶を相手に聞かせる形をとり、そんなパイの中の世界をみごとに映像化してますね
独特などことなくファンタジーというか、荘厳ともいえるこの映画の映像の宗教的なところはそんなパイの内面をあらわしてるからなのかな
ストーリー展開的にはめちゃくちゃ重い話だけど、そんな映像表現ゆえに重くなりすぎてない
かといって軽すぎないバランスは秀逸

最後まで観れば分かると思いますが、単純にトラと漂流した話ととるもよし、何かしらの寓話としてとるもよし、そこら辺は観た人に委ねられてます
個人的なあくまで個人的な印象として、なんとなく手塚治虫の作品に近いものを感じましたね
もちろん深く考えずにファンタジーアドベンチャーと観ても十分におもしろいし、トラさんは怖いしかわいいし、他の動物たちの動きもめちゃくちゃよくできてるし、もちろん主人公のパイもどことなくコミカルながら強くて優しい素敵キャラで親しめる

観てる間もすっごい楽しめる作品ですが、鑑賞後もよくよく思い返してみると色々と考えさせられる噛めば噛むほど味が出てくるそんな一本でしたね
なんというか観客の思考の誘導がうまくできてる内容で、自然と「あれ?俺、なんかめっちゃ知的なんじゃね?」と思わせてもくれます

個人的評価:100点
オススメ度:中国的日本表現はまあ仕方なしか




ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日 予告

2013年2月4日月曜日

アウトロー (2012/米)

監督:クリストファー・マックァリー
出演:トム・クルーズ / ロザムンド・パイク / リチャード・ジェンキンズ / デヴィッド・オイロウォ / ヴェルナー・ヘルツォーク / ジェイ・コートニー / ジョセフ・シコラ / マイケル・レイモンド・ジェームズ / アレクシア・ファスト / ロバート・デュヴァル

5人の罪なき人の命を奪った狙撃事件の犯人から名指しで呼び出された元軍人のジャック
事件は異常者であるジェームズの犯行かと思われたが、ジャックが捜査を進めるうちに…

荒くれ者のジャックがパワープレイなアクション満載で真犯人をぶっ殺す、そんな派手な内容じゃなくて、ヒントを拾ってはジャックが推理して地味に推理していく内容でしたね
その過程でアクション要素はあるものの、基本は捜査パートの方に重きをおいた探偵もの
トータルで言えば元軍人でそれなりに身体能力の高い主人公の推理とアクションの融合した探偵アクション映画って感じ

狙撃事件の犯人として捕まったジェームズ、彼はジャックを呼んでくれと要求するが、その事件の報道をみたジャックは自主的に彼の前に現れる
ジャックはジェームズの隠された異常行動の過去を担当弁護士のヒロインに話し、有罪であると思いつつも弁護士の言葉とわずかな引っかかりを感じ独自に捜査を開始する
というストーリーで、「アウトロー」とかいう邦題ほど荒くれな捜査はしません
そりゃ巻き込まれて派手に立ち回ることはあるけど、街中で無駄に銃をぶっ放したりとかは無し

主人公設定としてハードボイルドって言えばそうなんだけど、チンピラ5人相手に華麗に立ち回ったかと思えば普通に不意打ちくらったり、けっこうお茶目な一面もある
基本的な身体能力は高いけど、無敵な強さとはいえない微妙な強さでどっちかといえば知能派な主人公キャラ
作品全体的に犯行が暴かれていくストーリーとちりばめられたアクションのバランス、ハードボイルドな雰囲気がすごく良い
それゆえに時折みられるコミカルなシーンがなんかイマイチ作品にマッチしてない気がしますね

完全なハードボイルドになりきれてない、かといって「ナイト&デイ」みたいにお茶目さを前面に出してエンタテインメントに徹してるわけでもない…うーん、基本はすっごいおもしろいんだけど、なんかほんのちょっとだけなんか惜しい印象がします
主人公のキャラにしても完全に掴みきれないし、総じて良くできてるんだけどホントにちょっとしたささくれが気になる、 そんな一本でした

個人的評価:85点
オススメ度:敵側の事情をもっと詳しくと言わざるえない





アウトロー 予告

2013年2月3日日曜日

みなさん、さようなら (2012/日)

監督:中村義洋
出演:濱田岳 / 倉科カナ / 永山絢斗 / 波瑠 / 田中圭

生活に必要な店がアーケードにすべてそろった団地
そこで育った悟は12歳にして、この団地だけで一生いきていくと決める

予告をみて怪しいとは思ってましたが、12歳の悟少年を主役の濱田岳さんが演じ・・・るだけじゃなく、他の主だった団地住人までもいい大人が子供役として出てきます
この時点でしょうじき人を選ぶ作品になっている
そこからの展開もそれが当たり前というようにそのまま続いていき、時にコミカルにじょじょに寂れていく団地と変化していく悟の同級生たち、そして悟自身が描かれる
基本的に静かな作風で、コメディ部分も大笑いというよりふふふ、と笑える感じですね

けっこう早い段階である中盤で悟少年の核となる部分が描かれ、そこからシリアスな要素が強くなってきます
ベースは細かいエピソードの積み重ねによる非日常的雰囲気な日常ものという作品
けっこう各エピソードにむらがある感じがするし、一本のすじが通った普通のストーリーを期待しちゃダメですね

個人的にはマリア編のファンタジーさが鼻についてアレだったけど、おおむね各エピソードは行間を読むことで最大限に楽しめる作りになってておもしろかった
一本の映画というよりおもしろい短編小説を読んでるってイメージ
なにより濱田岳さんの演技を観てるだけで十分に楽しめる作品と言えるでしょう

ただ重ねていうなら、クライマックスの淡泊さも含めてホントに人を選ぶ作品だと思う
おいそれとおすすめできない系の映画ですが、個人的にはかなり楽しめた一本でした

個人的評価:85点
オススメ度:個人的に好みなアヒルと鴨の作風に戻った、かな?



みなさん、さようなら 予告

2013年2月1日金曜日

ダイ・ハード3 (1995/米)

監督:ジョン・マクティアナン
出演:ブルース・ウィリス / ジェレミー・アイアンズ / サミュエル・L・ジャクソン / グレアム・グリーン / コリーン・キャンプ / ラリー・ブリッグマン / アンソニー・ペック / ニック・ワイマン / サム・フィリップス / ダリル・エドワーズ

爆弾テロ犯から名指しでゲームのような要求を突きつけられるジョン警部補
ハーレムで偶然に出会った黒人の一般人を巻き込んで街をはしる

ラスト・デイまでに過去シリーズをってわけで3作目
4.0は未鑑賞なのでアレですが、シリーズ中で一番印象深い始まり方として記憶に残っております
その始まり方だけ、ですがね
なにはともあれ「おまえに何が起こったんだ」ってくらいにいっきにブルースがおっさん化
劇中の役柄であるくたびれてる警部補っぷりがしっくりきすぎです

話的には謎の爆弾テロ犯から警察に電話が入り、主人公が名指しで犯人から次々に指示&問題を出され、答えると次の場所へって感じでサスペンスタッチに序盤は展開
最初の指示の場所で偶然に出会った黒人の一般人も巻き込んで、時にはタイトな時間制限、時には引っかけ問題、と街中を走り回ってふたりで犯人の指示をクリアしていく
そうこうしてる間に犯人の思惑が明らかになり…みたいな内容ですね

主人公と一般人の即席バディ謎解きアクションな序盤と、犯人を追う主人公と謎解きに回る一般人というダブル主人公行動の広がりある動きは楽しい
だけど、どうにも犯人の思惑があらわになってきてからが「なんだかなあ」な展開に
知能的で過去と関連のある魅力的になる要素満載な主犯格の犯人なのに、画面に現れて動きだせば出すほどイマイチな存在化してきますね
計画はずさんだし、展開的にもなんか主人公に都合の良い流れになるし…

作風的には2の正統進化というか、スピード感重視のいきおいで誤魔化す派手で脳筋なハリウッドアクションになってるかなあ
アクション映画としてはそこらのハリウッドアクションものとしてはおもしろい部類に入るんだけど、どんどん1の時のような「アクションだけじゃない」というプラスアルファの要素が薄まって骨太感がなくなってきてる気がしますね

話が進めば進むほど、クライマックスに近づくにつれて派手なだけの普通アクションになってる、そんなイメージがしてせっかくの犯人との序盤のやりとりのおもしろさが生きてきてなくて勿体ない作品
そこをわりきって単体のアクション映画、として観れば2と同様に十分おもしろいですが

個人的評価:75点
オススメ度:運が悪い、とはちょっと違う気がするわな




ダイ・ハード3 予告


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