2013年3月31日日曜日

3月のこれ一本

3月の最近はパン屋のパンにはまってました
ネットで話題のお店とか近所の無名のパン屋さんを訪れ、ハード系、ソフト系、クロワッサン系を購入するパターン
で、おもしろいのは有名店でもこの3つとも「おいしい!」という所が意外とない
けっこう無名店でも「これだけは旨いなあ」という一品があって、そういうのを発掘できるとうれしくてしかたないわけで
まあ、嗜好品なんざ個人によって千差万別なんだから、ネットの話題や他人の好みほど参考ていどにしかならないのは当たり前
ゆえに一般的な有名、無名の区別はあまり意味がないってのを再確認ですね

なんて話はどうでもいいとして、今月はちょっと良い感じの作品が多くてまよったけど「クラウド アトラス」かなあ。やっぱり
ひとつの要素のパンチ力では他の作品の方がいいものもあるけど、総体的な完成度でいったら「クラウド~」が一番でしたね
DNAというより魂のつながりとしての人生物語、ホントにおもしろかったわあ

というところで今月はこれにて
また来月

ザ・マスター (2012/米)

監督:ポール・トーマス・アンダーソン
出演:ホアキン・フェニックス / フィリップ・シーモア・ホフマン / エイミー・アダムス / ローラ・ダーン / ケヴィン・J・オコナー / アンビル・チルダース / クリストファー・エヴァン・ウェルチ / ジェシー・プレモンス / プライス・カーソン

元水兵のフレディは終戦後、いろいろな仕事につくがすべてにおいて精神的な不安定さから長く続かない
そんな中、ある客船でマスターと呼ばれる男との出会い、徐々に彼に惹かれていき・・・

すんごいライトな所から勧誘されて、その気になって観てたら最後はすんごい密度の高い制作側の世界に引きずり込まれていた、そんな作品でしたね
うん、ようするにこの映画の内容そのものな感じだけど、残念ながら私にはそんな作品を逆に飲み込んでやるようなパワーが備わってませんでした・・・
いや、ホントに途中まではかなり楽しめてたし、理解もしてたつもりなんだけど、自分の能力的な問題かもしれないが最後までついていけなかった

終戦後、精神的に不安定でまともに仕事も長続きしない主人公のフレディ
その場のありもので即席に怪しい酒を調合する能力をかわれ、忍び込んだ客船でマスターと呼ばれる男に側に置いてもらうことに
フレディもマスターのプロセシングという対話実験に感銘をうけ、どんどん彼に惹かれていき奇妙な絆が形成されていく、みたいな内容・・・だと思う
きちんと内容を把握し切れてないんで煮えきらない言い方しかできませんが・・・ほんとスンマセン

このマスターってのが最初はわりと(?)まともな感じなんだけど、だんだん新興宗教のアレっぽいアレな風になっていくのがおもしろい
師匠が弟子に教えているうちに、自分もけっこういろいろと弟子から与えられるものがあって、といった感じなのかな
とりあえず個人的にですが、バイクをかっ飛ばすマスターとフレディのあたりからちょっと「?」が増えてきて、以降はじゃっかん眠くなるくらい理解の範疇をこえて内容に集中できませんでした

それでもとにかく前評判通り俳優さんたちの演技がすごい
なんでもない画面に力があふれている、と言わざるえない
それだけでも映画としての魅力はじゅうぶんあると思いますね
あー、これで私がちゃんとこの世界にはまれたら、そうとうおもしろい一本に感じたんだろうなあ
基本的に観る人を選ぶものでも楽しめる方だと思ってたけど、そうじゃない方に割り振られるとは・・・とつまらないという感想より悔しかった思いがした作品でした

個人的評価:70点
オススメ度:実はマスターの娘が一番アレな性格なんじゃなかろうか



ザ・マスター 予告

2013年3月29日金曜日

灰とダイヤモンド (1958/ポーランド)

監督:アンジェイ・ワイダ
出演:ズビグニエフ・チブルスキー / エヴァ・クジジェフスカ / ヴァツワフ・ザストルジンスキ / アダム・パウリコフスキー / ボグミル・コビエラ

労働党書記シチュカの暗殺を実行するマチェクたちだったが、まったくの別人を殺してしまう
後のあるパーティ会場でシチュカ本人と出会ったことで、自分たちの任務が失敗したと知り…

古い映画を観ようじゃねえのシリーズ
で、今回はVHS版を引っ張り出してきて鑑賞したんですが、いつのまにかこの作品ってDVD化されてたんですね
けっこう昔の映画ってDVD化されてない名作が多くって、ちょっと前にビデオを何本か買ってたうちの一本がこの「灰とダイヤモンド」だったんですが…
まあ、DVD化はなにより嬉しいことで、このちょうしで他の作品ももっとDVD化を進めてほしいですね
できればモア・チープな感じで

そんなわけで内容ですが、色々と政治的な背景はあるけど要するに任務失敗した主人公が再度、標的の暗殺を試みるというお話
そんな中で無二の親友は早朝に旅立つってんで、それについていくため間に合うように任務を遂行しなくちゃならない状況に
同時にちょっかい出してた娘っ子が脈がないと思ってたら、まんざらでもない展開になる
んで、そんな状況の中で果たして任務は達成できるのか、という感じ

主人公の他に仲間として無二の親友であるアンジェイ、協力者である市長秘書フランクが出てくるわけですが、このふたりの存在が物語をおもしろくしてますね
いろいろと気持ちが揺れながらも組織と己に対する心根は貫くアンジェイ、生真面目で出世街道まっしぐらかと思いきや思わぬところで堕ちていくフランク
そんなふたりの間にある主人公のマチェクの気持ちの変化と生き様がみどころ
かっこいいけど惨めな存在である主人公がホントに魅力的で、その存在を追って観てるだけでもじゅうぶんおもしろい
俺は自分を貫いてるしかっこいい、と思いながら実は情けなくて惨めな自分に気づいてる男
それすなわち世間一般の男子にあてはまるわけで、自然と感情移入して魅力を感じるんでしょうね

ラストをふくめてかなり楽しめた作品ですが、内容うんぬんじゃなくてちょっと字幕の日本語訳がしっくりこないのが気になりました
これってビデオ版ゆえの古さからの仕様なのか、DVD版ではどうか分かりませんがちょこちょこ会話がぎくしゃくしてる所や「ん?」と引っかかる所がありました
話の流れにも影響する部分だけにもったいないな、と

とりあえず字幕関連以外では、陳腐な言い方ながら「今でも色あせることがない」という感想がしっくりくる一本でした

個人的評価:85点
オススメ度:書記という言葉って、あんまり偉そうに感じないんだよね




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2013年3月27日水曜日

シュガー・ラッシュ (2012/米)

監督:リッチ・ムーア
出演:ジョン・C・ライリー / サラ・シルヴァーマン / ジャック・マクブレイヤー / ジェーン・リンチ / アラン・テュディック

ゲーム世界の中、30年間ずっと悪役をやってきたラルフ
みんなから嫌われ、避けられる生活の中でヒーローみたいにメダルが欲しいと願い別のゲーム世界へ向かう

小さなお子さんがいる親が家族で観る映画といえば?
今まではピクサーものとか、ドラえもん、プリキュアとかそんな系統の作品がパッと思いつきましたが、現代ということを考慮すればまさにこの作品は真のファミリー映画と言っても過言じゃないかもしれません
ファミコン世代で、ヘタすりゃ今でもFPSなどのゲームをしてる親、そして小さい頃からマリオカートとかのゲームがある生活が当たり前だった子供、そんな親子で観ればみんなで平等に楽しめない道理はないだろ、と
もちろん、私みたいなおっさんになっても家族をもたない身分でもゲームネタにニヤニヤしながらじゅうぶん楽しめますけどね!(強がりを多分に含みつつ)

自分が登場するゲームの30年記念、ずっと嫌われ者であり続けてラルフ
ヒーローたちはラルフを露骨にハブって30周年パーティを開催する中、自分をみんなに認めてもらうために主役キャラしか手にすることができないメダルを求めて別のゲーム世界に侵入する・・・というお話
そんな中でプログラムのバグ扱いされてる少女ヴァネロペと出会い、衝突しながらもどこか似たもの同士で絆を深めてなんちゃら、って感じですね

基本はみんな3DCGキャラですが、ゲーム世界が8ビットなキャラたちは動きがカックンカックンするし、ドット絵な表現も多数あります
一方で最新のゲーム世界のキャラはポリポリでぬるぬる動く、と
あとこの手の作品にしては・・・というと失礼かもしれませんが、けっこうストーリーがしっかりしてて単なるゲームを題材にしたネタ映画にはなってません
いくつかの要素が絡みつつ「実は・・・」という展開で、普通に大人も話を楽しめます

ちょっと気になったのは、自分のゲーム世界で死んでも問題なく復活できるけど、他のゲーム世界での死は即消滅を意味するっていう設定がイマイチいかしきれてないかな、と
あとヴァネロペの性格面ね
個人的にここまでクソガ・・・じゃなくて、やんちゃがすぎる性格だとは思わんかったわ
根はいい子、ってのは分かるけど・・・分かるんだけど、ヴァネっちちょっと調子にのりすぎじゃねえの、と思わざるえない

そんなわけでゲーム世代な人なら間違いなく楽しめる一本でした

個人的評価:90点
オススメ度:軍曹さんマジかっこいいわあ。惚れるわあ



シュガー・ラッシュ 予告

2013年3月25日月曜日

ボクたちの交換日記 (2013/日)

監督:内村光良
出演:伊藤淳史 / 小出恵介 / 長澤まさみ / 木村文乃 / 川口春奈 / ムロツヨシ / ベッキー / カンニング竹山 / 大倉孝二 / 佐藤二朗 / 佐々木蔵之介

売れないお笑いコンビの房総スイマーズの甲本と田中
ネタの時以外に会話のないふたりだったが、ある日、甲本は絆を深めるために田中に交換日記をもちかける

売れない芸人のサクセスストーリー、ふたりの絆物語、きびしい現実のドラマ、そのバランスがよくとれててファンタジーな感動系ってだけでもないし、リアルすぎる悲痛な話でもない感じが良かったですね
なによりストーリーの組立がよくって、観てて「ああ、そういう流れね」「え?そういう方向なの?」「やっぱりいいなあ」と良い感じに気持ちを誘導されます
しょうじき「すごいおもしろいなにか」な要素があるわけじゃないですが、すべてにおいて丁寧に作られる印象がありました

交換日記をなかば強引に続けることでコンビの現状やバックボーン、甲本の個人的な内面、田中の個人的な内面、そしてそれぞれが変化していく課程を描いていく内容ですね
変化することで深まる絆、気づかなかったことが見えてくるし、気づきたくなかったことも見えてくる
距離を保っていたこそ維持されていたコンビの環境が、いろんな意味でどんどん変わっていくさまをおもしろおかしく、そして冷たく辛く描かれている、という感じ
さいしょこそ芸人版の「ウォーターボーイズ」系な話だろと思ってましたが、そうシンプルに言えるもんじゃなかった

観ててホントに甲本の気持ちもわかるし、田中の気持ちも分かる
分かるゆえにもどかし辛くて楽しい
学生とかの若い野郎どうしの友情とは違う、いろいろとすれた感じな等身大の大人の友情がおもしろい
ただ時の流れの中での甲本と田中の描写がイマイチだったかな
「みなさん、さようなら」ほどふっきれてないし、かといってそれ相応の別役やメークをしてるわけでもない・・・そこが個人的にちょっと中途半端な感じで残念でした

とりあえず観てるだけで気持ちの良い脚本で、「すごい」まではいかないけど鑑賞後に「良い映画だったなあ」と思える一本でした

個人的評価:85点
オススメ度:ベッキー神


ボクたちの交換日記 予告

2013年3月23日土曜日

インターミッション (2012/日)

監督:樋口尚文
出演:秋吉久美子 / 染谷将太 / 佐伯日菜子 / 奥野瑛太 / 香川京子 / 小山明子 / 水野久美 / 竹中直人 / 佐野史郎 / 中川安奈 / 寺島咲 / ひし美ゆり子 / 水原ゆう紀 / 夏樹陽子 / 畑中葉子 / 杉野希妃 / 大島葉子 / 上野なつひ / 勝野雅奈恵 / 中丸シオン / 森下悠里 / 森下くるみ / 大瀬康一 / 古谷敏 / 大野しげひさ / 中丸新将 / 利重剛 / 与座重理久 / 門脇麦 / 岡山天音 / 玄里 / 小野寺・グレン・光

とりつぶしがきまったある寂れた映画館
その支配人の妻と絵描きの夫を中心に、様々な客たちの様子を映し出す

地下にある映画館、耐震性というお役所的理由で2013年3月いっぱいでとりつぶすことが決定している映画館「シネパトス」
まさにそこを舞台に撮られた映画ですね
映画館(とその周辺施設)を舞台に、数人の登場人物が入れ替わり立ち替わりの会話劇を展開するのが主な流れ
けっこう映画ネタがふんだんに盛り込まれていて、しょうじき個人的にすべて理解はできなかったけど、特に映画の知識がなくても登場人物たちの会話を聞いてるだけでじゅうぶん楽しい

耐震性というのが大前提のなくなる理由なんですが、裏テーマというかなんというか原発がらみの話も印象深い
というか現代というものを切り取って、いろんな映画のジャンルを借りて人間模様を描いてるって感じかな
出てくる役者さんもかなり豪勢で、その人の代表作を知ってればさらに楽しめるかもしれません
あとは劇中で出てくる名画も観たことがあればさらにさらに楽しめるでしょう
なんだけど、ぶっちゃけ私はそこまでの知識はないんですよね
それでも楽しめるんだから問題はない、と

雰囲気としてメモリアル的な感じになってるのは否めない身内作品で、わりとB級なノリが強い気がするため、きっちりとしたドラマ作品を期待するとアレかもしれません
あとこれはけっこう重要ですが、このシネパトスにいちどでも訪れたことがないとおもしろさはさすがに半減するかな
まあ、そこはそれでつぶれる間際の映画館の物語として観れば・・・?

そんなわけで2013年3月24日の今現在、まだ間に合いますんで、ぜひともシネパトス周辺をぶらぶらした上で劇場に観にいくことをオススメしますね
個人的に「映画を楽しむこと」を改めて教えてもらった一本でした

個人的評価:90点(シネパトスを訪れた人限定)
オススメ度:マジで名画を観たくなるわあ



インターミッション 予告


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ワナオトコ (2009/米)

監督:マーカス・ダンスタン
出演:ジョシュ・スチュワート / マイケル・ライリー・バーク / ダニエラ・アロンソ / アンドレア・ロス / マデリーン・ジーマ / カーリー・スコット・コリンズ / ロバート・ウィズダム / ファン・フェルナンデス / ヘイリー・アレクシス・プロス

内装業者のアーキンは実は狙った家の金庫破りを企んでいた
そして決行の夜、忍び込んだものの留守のはずの家に怪しい男の影があり・・・

期待してないで観たらそこそこおもしろいじゃんシリーズ
ある一家が殺人鬼によって容赦なく惨殺されていく、というのはよくあるパターン
そこにひと味加えて、主人公はそんな現場にたまたま忍び込んでしまった泥棒(しかも家の人とは顔見知り)という設定
ホラーとしては微妙なところはあるけど、主人公と殺人鬼のあれこれはけっこう緊張感があっておもしろかったですね

内容としては家中に殺人罠をはりめぐらせて、時には捕らえて拷問する殺人鬼VS家主に同情してなんとか助けようと殺人鬼の罠をかいくぐる泥棒、というもの
殺人鬼に気づかれないように罠だらけの家の中をかけめぐり、傷つきながらも家の人たちとコンタクトをとって助けようとがんばる主人公
この主人公がどう考えても殺人鬼よりキャラがたってるんですよね
要するに定番である殺人鬼の殺しっぷりを楽しむホラーではなく、緊張感ある中でだましすかししながら行動する主人公の姿を楽しむ、ちょっと視点の変わってるホラー

殺人鬼と相対する側のキャラの方がたってる、というのはいい・・・んですが、それゆえにってわけじゃないだろうけど残念な点も大きい
それが殺人鬼側の事情や設定みたいな部分
理不尽でも歪んだ理由でも「殺しまくる理由(背景)」みたいなものが描かれてないんですよね
ざっくりとした目的は語られるけど、「じゃあ、なんでそんなことするの?」という点はスルー
しかもこの殺人鬼さん、トラップとかけっこう巧妙に配置されてるようで雑さが目立ち、なんともいえない小者感のイメージがぬぐえません

別段おもしろいってわけでもないけど、すっごいつまらなくもない
暇を持て余してしょうがない時、ちょっとホラー映画な気分になったら観ても損はないかもしれません

個人的評価:65点
オススメ度:微妙に気合いの入ったオシャレBGMがいいね



ワナオトコ 予告


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2013年3月19日火曜日

オズ はじまりの戦い (2013/米)

監督:サム・ライミ
出演:ジェームズ・フランコ / ミラ・クニス / レイチェル・ワイズ / ミシェル・ウィリアムズ / ビル・コッブス / トニー・コックス / ザック・ブラフ / ジョーイ・キング

口八丁手八丁で女たらしな奇術師のオズ
ある日、竜巻にのみこまれたオズは不思議な世界に流れ着き・・・

アリスからこのかた流行してるのかなにげに続いてる、おとぎ話の世界をリアルに描いた戦うなんちゃら系の作品
なんだけど、この作品はちょっと毛色が違ってて、現代の技術でリアルに世界を描く作風とは路線をじゃっかん変えて、昔の映画っぽいファンタジー美術表現になってます
ひとむかし前の手作り感のある絵本の世界みたいなファンシーさを現代の技術で描いてる、みたいな感じ
そんな表現がまたうまいこと描けてて、ホントに観てるだけで楽しい

話的にはインチキ奇術師でダメ人間なオズが、ファンタジー世界に迷い込みつつそう混乱することなく受け入れ、黄金に目がくらんで世界を救っちゃうかあ?という流れ
女たらしなオズと魔女たちの関係がおもしろい
善い魔女と悪い魔女の描き方もいいんだけど、個人的にはやっぱりセオドラさんのキャラが秀逸と言わざるえない
むしろセオドラさんの存在が強烈すぎて他の魔女を完全に食っちゃってる

そんなセオドラさんゆえにラスボスの存在がインパクト弱くなっちゃってるのがネック、かな
でもクライマックスの展開といい、ラストのしめ方といい、どこか懐かしいけど純粋におもしろくて自然と笑顔になれる
その世界観に身をゆだね、オズというダメ人間ながら魅力的なキャラに笑い、セオドラさん素敵です、とほんわかゆるーく楽しめる一本でした

個人的評価:95点
オススメ度:お猿さんへのギフトでうるっときたわ



オズ はじまりの戦い 予告

2013年3月18日月曜日

プラチナデータ (2012/日)

監督:大友啓史
出演:二宮和也 / 豊川悦司 / 鈴木保奈美 / 生瀬勝久 / 杏 / 水原希子 / 遠藤要 / 和田聰宏 / 中村育二 / 萩原聖人

人のDNAを解析して容姿や特徴、性格などをデータから視覚化するDNAモンタージュ技術が警察の捜査に採用され効果をあげる
ある日、そのプログラムを作った兄妹が殺害される事件が発生、犯人は残されたDNAから同プロジェクトの中心人物である神楽であると特定され・・・

しょうじき予告を観たとき、神楽龍平を演じる二宮さんの
「プラチナデータ・・・」というつぶやきに「なんともいえない地雷臭」を感じたんですが、実際に鑑賞してみるとけっこうエンターテインメント作品として楽しめましたね
内容的にもインテリもやしっ子な神楽とアナログ肉体派な浅間というでこぼこコンビもの、って思ってたんですが神楽メインだったのも個人的に意外だったかも
というか神楽がかなり行動力を持ち合わせてる文武両道なパーフェクト野郎だとは思わなかったわ

ストーリーとしてはハリウッド系にありがちな、自分の無実を証明するために逃亡しながら事件を追ううちに・・・というもの
そんなハリウッド的なものを日本式に撮ったJエンターテインメント作品ですね
自分みたいなジャパニーズオタクやギークが好きそうなハイテク設定やら、真の~やら、なんとも中二病をくすぐってくる描き方がいいわあ
もちろん普通に観てる分にもじゅうぶん楽しめると思います

ただ、やっぱりというか、なんというか二宮さんの龍平の演じ方がちょっと浮いてる
ネタバレになるからアレだけど、ホントに龍平というキャラだけなんかあまりにマンガ的すぎるというか、キャラ臭すぎるというか、ね
他のキャラはそうでもないんだけど
とりあえずちょっとマンガチックなノリで、ツッコミどころもあるけど良い意味で普通におもしろい一本でした

個人的評価:80点
オススメ度:すっごい設備なのに人ひとりすぐに捕まえられない現実



プラチナデータ 予告

2013年3月17日日曜日

クラウド アトラス (2012/米)

監督:ラナ・ウォシャウスキー / トム・ティクヴァ / アンディ・ウォシャウスキー
出演:トム・ハンクス / ハル・ベリー / ジム・ブロードベント / ヒューゴ・ウィービング / ジム・スタージェス / ペ・ドゥナ / ベン・ウィショウ / ジェームズ・ダーシー / ジョウ・シュン / キース・デヴィッド / スーザン・サランドン / ヒュー・グラント / ダヴィド・ギャジ


6つのことなる時代と土地
それぞれに生きる者たちの物語が語られ始める

6つの物語の序章から入ってエピローグへと流れていく長い長いお話・・・まるで一冊の小説を読んだような充足感があります
印象的にちょっと複雑な話なのかな?と思ってたんですが、ぜんぜんそんなことはなかった
むしろかなり分かりやすい作りになっていて、6つの物語が平行して語れていってもまったく混乱することはありませんでしたね

1849年の弁護士、1936年の音楽家、1973年のジャーナリスト、2012年の作家、2144年のクローン、そして崩壊後の世界・・・それぞれの時代と場所の別々な物語が時に交わりながら、核となる部分での結びつきを感じさせながら展開していく
それぞれの話が悲劇的に、喜劇的に、ファンタジックに、サイエンスティックに、サスペンスタッチに、ドラマスティックに、ホントにいろんな表情をもっていて楽しい
過去の人物がちょっと先の話に年を重ねた状態で再登場したり、または遠い未来に影響を与えたり、基本的にそれぞれ独立した話なんだけどきちんとつながってる部分も多い
それでいて複雑さが皆無なんで、そう力んで集中してなくても自然と内容は頭に入ってきます

個人的には2012年の作家の話がおもしろかった
もっともっとコメディよりにやってくれてもよかったけど、おじいちゃんおばあちゃんがハッスルするってだけで大満足ですね
逆に2144年のクローン編にでてくるヘジュさんの主人公補正バリな無敵っぷりはさすがにちょっと引いた
まあ、個人的に気になった点はそんなとこくらいで、ホントに長尺な作品ながら飽きずに、そしてそれぞれのエピソードすべて魅力的に感じられて楽しかった

あと、エンドロール前に出演者さんと演じたキャラが紹介されるんですが、いやあ、すっごいね
「このキャラもそうだったの?」と感嘆せずにいられない
トムさんの6変化的なとこが押され気味だけど、ほかの人もじゅうぶんすごいわあ
6つの話を理詰め的な感じできっちりはめこむみたいな作りじゃなく、ひとつのやんわりとした核みたいをふんわりやさしく包み込んだような印象な心地よい一本でした

個人的評価:100点
オススメ度:ワンちゃん・・・



クラウド アトラス 予告

ひまわりと子犬の7日間 (2013/日)

監督:平松恵美子
出演:堺雅人 / 中谷美紀 / でんでん / 若林正恭 / 吉行和子 / 夏八木勲 / 檀れい / 小林稔侍 / 左時枝 / 草村礼子 / 近藤里沙 / 藤本哉汰

保健所に勤める神崎は規則を破って犬の保護期間を延ばして引き取り手を探していた
それでも処分という現実は避けられず、とうとう娘からそのことについての問いを投げかけられ…

個人的にどうにも嫌いな設定があるんですよ
報道番組とかでよくあるんですが、なにかしらのスポーツ競技で番組があるひとつのチームを密着して特集する、というもの
隠された美談やらなんやらを交えてそのチームの試合を演出して放送しますが、別にその密着対象だけが特別なわけがあるはずもないし、試合にもなれば相手チームだっていろんな事情は抱えてるわけで
ちょっと脱線しましたが、この映画でも似たような嫌悪感を抱かざるえない
主人公は自分の都合と感情で母子犬にぼっとうしすぎじゃないかな、と

人嫌いになってしまった半野犬の母犬と生まれたての子犬
主人公はさいきん関係がぎくしゃくしてる娘から「母子犬を助けてあげて」と約束させられる
「よっしゃ、パパがんばるよ」という感じでなつかない母犬と接し始めるうちに忘れかけてたものをお思いだしたりしながらうんぬん、というお話
安易な設定、安易なストーリー、安易なキャスティングで動物と子供をダシにインスタントな感動モノを作りました感がバリバリな映画ですね

父親を苦しめる約束をせがんでくる子供、空気の読めない行動ばかりな後輩、規則破ってる状況なのにその様子をホームページにのせるバカ医者、もうこの映画そんな登場人物ばかりですか
主人公も主人公でなんの努力もする前に、当たり前のように母子犬の保護期間をそっこーで限界いっぱいまで延長しちゃうし
しかもしまいには母子犬ばかり特別扱いしすぎな偽善っぷりを発揮します
おそらく母子犬の保護期間中にも何頭か処分はしてるんでしょうが、どう思ってたんですかね

ラストのオチも「いや、そりゃ安易すぎるだろ」と
なら他の犬もみんな同じようにしてやれよ、と言いたくなるわな
とにもかくにもあんまりにも偽善的すぎる作りがイヤな印象しかいだけない一本でしたね

個人的評価:20点
オススメ度:母ちゃんもこれみよがしに目の前で旅行のキャンセル電話するなよ




ひまわりと子犬の7日間 予告

2013年3月16日土曜日

ラブド・ワンズ (2009/濠)

監督:ショーン・バーン
出演:ゼイヴィア・サミュエル / ロビン・マクリーヴィー / ヴィクトリア・セイン / ジャシカ・マクナミー / リチャード・ウィルソン / ジョン・ブランプトン

内気な女の子ローラからプロムの誘いを受けるが、彼女のいるブレントはそれを断る
そして、その日、ブレントは謎の男に拉致され…

マジキチ系のホラー映画・・・なんだけど、直前に観た「ムカデ人間2」とは違って良い意味で主人公が魅力的なんですよね
マジキチなんだけどカワイイ(ような気がする)、キチカワなローラさんを受け入れられるか否か、そこにこの作品を評価するポイントがあると思う
しょうじきホラー作品としてはそんな面白くないんで、ローラさんのキャラだけで成り立ってるところはありますね

憧れの男子にコクってはみたけど玉砕したローラさんが、パパンにお願いしてちょっと拉致ってもらい、監禁拷問でレッツゴーという感じの内容
やってることはエグイけど、そうイヤな感じはしない
なんというかポップまではいかないけど、やってることは異常でマジキチながら印象的には軽く感じる
じゃっかんドジっ娘属性も入ってるローラさんが陰惨さを軽減してます

なにはともあれローラさん、ああローラさん、ローラさんマジキチっぷりサイコーです、という映画なんでローラさん的に何ローラさんも感じない人にとっては単なるクソB級ホラーでしかないかもしれません
ストーリーにしても明らかに練り込み不足で消化不良だし、かといってインパクトのあるグログロゴアゴアな感じもない、全体的に物足りないと思うだけ

それだけローラさんでもってる作品なんで、かなり博打的な感覚で観ることをオススメします
というかぶっちゃけローラさんの魅力はあるけど、そこまでな作品じゃない佳作的なポジションの一本ですね

個人的評価:65点
オススメ度:作品的にブレント&ミアの抱える闇の部分がいきてないよね




ラブド・ワンズ 予告


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2013年3月12日火曜日

ムカデ人間2 (2011/オランダ・英)

監督:トム・シックス
出演:ローレンス・R・ハーヴィー / アシュリン・イェニー / マディ・ブラック / ドミニク・ボレリ

警備員をしているマーティンは映画「ムカデ人間」を崇拝していた
そして、医学的に100%実現可能なムカデ人間製造に着手する…

自分ではけっこう悪趣味な雰囲気の映画に耐性があると思ってた
しょせんはホラー映画なんて作り物の世界だ、ってね
でも、それでも個人的にここまで観た後に気分が落ち込んだ作品は初めてです
あくまで個人的に受けた印象だとは思うんですが、あまりに醜悪すぎてマジでテンションが急降下しました

2っていうくらいだから、前作「ムカデ人間」の続編…というか3部作の2作品目という位置づけになってます
前作はまんま「そういう映像作品でした」という存在になっていて、今作ではその映画「ムカデ人間」を観た主人公が影響を受けて「医学的に可能?じゃあ、俺もやってみっか!」という内容
そして、そんなストーリーより何より、これを観た人のほぼ100%が感じるだろう主人公の醜悪さがこの映画のメイン
あまり人の外見的なアレは言わない方がいいんだろうけど、主人公のチビ、デブ、ハゲ、ぎょろ目、精神的にも問題を抱えているという存在がホントに”ザ・醜悪”で、負の方向の魅力をいかんなく発揮して作品を形作ってますね

前作ではハイターさんのムカデ人間実験は悪趣味ではあったけど、そう気分が悪くなるほどじゃなかった
むしろちょっと物足りない感もあった
でも、今作は悪趣味すぎる
ホラー映画としてそこまでグロさはないし、恐怖感もないんだけど、とにかく気持ち悪い
たぶん鑑賞後に気分が落ちるのは正常な反応…だと思う

まあ、ここまできたらラストの3作目も劇場かDVD化したら観るだろうけど、あまり精神的にキツイのはちょっとやめていただきたい…マジで

個人的評価:70点
オススメ度:よくこんな怪優(褒め言葉)を探し出したもんだ…




ムカデ人間2 予告


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2013年3月11日月曜日

愛、アムール (2012/仏・独・オーストリア)

監督:ミヒャエル・ハネケ
出演:ジャン=ルイ・トランティニャン / エマニュエル・リヴァ / イザベル・ユペール / アレクサンドル・タロー / ウィリアム・シメル / ラモン・アジーレ / リタ・ブランコ / カロル・フランク / ディナーラ・ドルカーロワ / ローラン・カペリュート / ジャン=ミシェル・モンロック / スザンヌ・シュミット / ダミアン・ジュイユロ / ワリッド・アフキール

ある音楽家の老夫婦が仲むつまじく暮らしていた
そんな中、妻であるアンヌの体調が悪くなり、手術するのだが・・・

BGMや演出に余計なものがいっさいない、問題に直面した老夫婦の最期の愛の物語といった感じですね
いやあ、個人的にですが、老人ものってすごい好きなんですよね
なんというかおじいちゃんやおばあちゃんを題材にしたものに惹かれる性癖でもあるんスかね
とりあえずホントにふたりの話としての純度が高いんで、かなり人を選ぶ作品かもしれません

話的には車いす生活を余儀なくされてしまった老いた妻と、それを介護することで賢明に支える老夫の話
人生の終盤にさしかかって問題を抱えることになるふたり、それでも長い人生をともに歩んできたことから前向きに支え合うことができる
問題があるからこそより深まるもの、長く共に過ごしてきたからこそ逆に枷になること、ふたりの暮らしを切り取って描かれた作品を観てるだけでじゅうぶんにおもしろい

特徴的なのはやっぱり生活音を重視した作りで、作品としての核となる部分だけを余分な手を加えずにあらわしてますね
手の込んだものではない、素朴で作品としての素材そのものを堪能できます
そんな純度の高さが個人的には楽しめたけど、逆にその部分にクセが強く感じて肌に合わない人も少なくないだろうな、ってのも否めない
なんとなくチーズみたいな映画かな

ストーリー的にはそう目新しいものじゃないし、何かを考えさせられるみたいな利口なものでもない、「映画」としてのドラマを楽しむ一本でした

個人的評価:80点
オススメ度:キツイ約束の重さ



愛、アムール 予告

2013年3月10日日曜日

キャビン (2011/米)

監督:ドリュー・ゴダード
出演:クリステン・コノリー / クリス・ヘムズワース / アンナ・ハッチソン / フラン・クランツ / ジェシー・ウィリアムズ / リチャード・ジェンキンス / ブラッドリー・ウィットフォード / エイミー・アッカー / ブライアン・ホワイト

山奥にある湖畔の山荘にやってきた5人の男女
怪しい雰囲気のそこで週末を楽しむが、密かに彼らを監視する施設の存在があり・・・

あまりに挑発的な予告に気になって鑑賞してみたけど、まあ、アレだ、しょうじき「そういう話だったのか」という驚きはそんな期待しない方がいいかも
けっこう序盤から小出しにネタバレしていくので、観てればしぜんと話は読めます
そんな「なんとなく分かるけど、何かが起こってるのか気になる」感を楽しむ作品ですね
なによりクライマックスの盛り上がりはめちゃくちゃ楽しめた

怪しい山荘で恐怖体験をする若者、実はその模様は第三者によって監視されていた・・・
という感じで山荘サイドのホラーと、監視サイドのサスペンスというふたつの要素をいったりきたりしながら物語は進んでいきます
で、徐々になんでこうなってるのか、という状況が明るみになってくる、と

もう最初からなんか陰謀めいたものの臭いはちりばめられてるんで、しょうじきホラーとしての恐怖感は薄いですね
あと、グロ要素も最小限に抑えられてるんで、ホントに恐いとか痛いとかホラー映画としては物足りないかもしれません
でもそんな物足りなさもクライマックスでいっきに吹き飛びます
ホラー映画としてはアレだけど、ホラー映画ものとしてはホントにおもしろい

オチの付け方にもうひと味ほしかったのと、もうちょいホラー部分の恐怖感があれば完璧だったのにな、と楽しいながら惜しくもある一本でした

個人的評価:85点
オススメ度:どんぶりこ



キャビン 予告

2013年3月8日金曜日

インブレッド (2011/英)

監督:アレックス・シャンドン
出演:ジョー・ハートリー / シーマス・オニール / ジェームズ・ドハティ / ジェームズ・バロウズ / テリー・ヘイウッド / ナディーン・ローズ・マルケリン / クリス・ウォーラー / ニール・ライパー / エミリー・ブース

週末を利用してある田舎町にやってきた社会福祉士と4人の少年少女
そんな中、地元の若者に襲われ…

いかにも地雷くさいホラー映画だけど、ちょっと勧められたので鑑賞
うん、まあ、ごく普通でオーソドックスなホラーですね…途中までは
何かがおこりそうで何もおこらない前半、やっとホラーっぽいシーンが展開するのも尺が後半にさしかかってから、というのもよくある話
で、やっと残酷展開がはじまるや雪崩式に血みどろクライマックスまで流れていくのもよくあるパターン
でもこの作品はクライマックスになればなるほど、血が流れれば流れるほど作り手の「やる気」みたいなものが感じられなくなっていく不思議仕様でしたね

話的にはなんか怪しい町にきた一般人な登場人物たちが、イカレた集団に理不尽に襲われる…という「2000人の狂人」っぽい感じ
総じて言えばガッカリ感が半端ないですが、それでも馬がカッポカッポするところまではけっこう緊張感と恐怖感があっておもしろい
ちょっと作品的におかしくなるのはそこからで、ミスターダーティさんが出てくる辺りから路線が迷走し始める

特に終盤はホントにひどい有様でご都合主義、投げっぱなしのオンパレード
雰囲気もコメディホラーよりにどんどん傾いていくし、ラストのあっさり感もあって「これ途中で予算つきたのか?」と勘ぐりたくなるくらい最後の方は映画作りに対する集中力がなくなってる感じがしましたね
意外に楽しめた掘り出し物感もなし、かといって変なモノを観て満足する系のクソB級趣味もみたしてくれない、なんとも中途半端な存在の一本でした

個人的評価:50点
オススメ度:前半の重苦しい雰囲気でなぜ統一してくれないのか




インブレッド 予告


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2013年3月5日火曜日

ジャンゴ 繋がれざる者 (2012/米)

監督:クエンティン・タランティーノ
出演:ジェイミー・フォックス / クリストフ・ヴァルツ / レオナルド・ディカプリオ / ケリー・ワシントン / サミュエル・L・ジャクソン / ウォルトン・ゴギンズ / デニス・クリストファー / ローラ・コヨーテ / M・C・ゲイニー / クーパー・ハッカビー / ドク・デュハム / ドン・ジョンソン / ジェームズ・ルッソ / トム・ウォパット / ジェームズ・レマー / マイケル・パークス / フランコ・ネロ / ブルース・ダーン / マイケル・ボウエン / ドン・ストラウド / ロバート・キャラダイン / ゾーイ・ベル

賞金稼ぎキング・シュルツが追うブリトル三兄弟の顔を知っていることから、奴隷として売りに出される途中で買われるジャンゴ
しかしシュルツはあくまでジャンゴを対等な人間として扱い、ともに協力して賞金クビを追うのだった

うん、まあ、良くも悪くもいつも通りなタランティーノ映画でしたね
これはこういう映画なんだ、ってのをあまり前面に出さずに斜に構えたひねくれた作りで、あえて観る人の思う斜め上をいく感じになってるのもいつも通り
逆にそれゆえに「いつも通り」という印象を抱くのも否めないかな
で、これは個人的になんだけど、観てる印象としてジョジョっぽい雰囲気があるような気がしました
ホントにあくまで個人的な印象なんですが

内容的には長尺だけあってけっこうみっちりつまってて、前後編ものくらいのボリュームを一本にまとめやがったというくらい山盛りな内容
これだけ長いのにまったく退屈させないのはすごいなあ、と
とにかく出てくるキャラがみんな魅力的で、中でもシュルツさんの存在感がいいですね
シュルツさんの存在でこの作品のおもしろさの半分以上が占めてる、と個人的には思います
登場人物がだらだらとしゃべくりまくる、それだけで面白く作れるのはお見事としか言いようがない

基本的に「突っ込んでいってぶっぱなす」という感じじゃなくて、事前にも事後にもギリギリ法的にセーフのラインで行動するんで、馬に乗って銃を乱射しつつ敵のアジトに乗り込むとか、町の被害かえりみずに乱闘するとか、そういったド派手なハリウッドアクションはあまりない
そりゃ決めるべきところではちゃんとアクションするけど、パワープレイはホントに最終手段って感じ
まあ、タランティーノ作品にあまり普通を求める人はいないだろうけど、普通のガンアクション復讐劇を期待してるとアレかもしれんね

個人的にちょっと残念だったのは、もう主役級な存在であるシュルツさんのキャラとしての背景がちょっと描き足りてないんじゃないかな、と
過去にこういう因縁があったとか、こういうトラウマを抱えてるとか、実はこんな闇を持ち合わせてるとか、もうちょい掘り下げてほしかった気がしました
あと同じ感じでスティーブンさんも、もうちょい深く描いてほしかったかも

なにはともあれ、とりあえずタランティーノ映画が好きなら問題なく楽しめる一本ですね

個人的評価:80点
オススメ度:ジャンゴさんの学習能力の高さは異常




ジャンゴ 繋がれざる者 予告

2013年3月4日月曜日

フライト (2012/米)

監督:ロバート・ゼメキス
出演:デンゼル・ワシントン / ドン・チードル / ケリー・ライリー / ジョン・グッドマン / ブルース・グリーンウッド / メリッサ・レオ / ブライアン・ジェラティ / タマラ・チュニー / ナディーン・ヴェラスケス / ジェームズ・バッジ・デール / ガーセル・ボヴェイ

旅客機がフライト中に制御不能におちいるが、機長であるウィトカーの機転と手腕により最小限の被害で不時着が成される
しかし、彼は当日、飲酒とドラッグを服用していた状態であったため問題になりはじめ・・・

彼だからこそできた、まさに多くの命を救った英雄という存在の主人公のクズっぷりがホントにおもしろい
そんな今までにないタイプの良い話の裏側ものでしたね
主人公の人間性やら行動、言動は事故とは直接的には関係ないし、彼だからこそ飛行機を最小限の被害でとどめることができた、そんな大前提のもとに描かれる劇中のドラマが「そういう方向で描いていくのか」って感じで良かった

奇跡的に事故機を最小限の被害で不時着させた主人公、その体内からアルコールと薬物反応が検出される
事件の原因のひとつになり得るってんで刑事事件に発展しそうな様相な中、主人公は「いやいや、機体が故障したのが原因じゃん?俺の状態とか関係なくね?むしろ俺だからこそこんなていどですんだんじゃね?」とご立腹
周りからいろいろ心配されるけど「だーかーら、関係ねえって言ってんじゃん。俺の好きにさせろよ」とクズっぷりを隠さない主人公に惚れるわ

しょうじき感動、英雄、涙なしでは語れない事件の裏側みたいのを期待してるとアレかもしれんね
けっこう作りもエンターテインメントしてるし、ちょっとひねたものが好きな人の方がより楽しめる作品かもしれません
そういう意味ではオーソドックスな感動ものが観たくて手を出すと「は?なに、こいつ」と主人公のアレっぷりに嫌気ばかりさすだけな印象を受けるかも

主人公の友人がからんでくるシーンとか、冷蔵庫の上に置かれた酒のシーンとか、けっこう演出がエンターテインメント重視な点も地味な内容ながら退屈しないで観られて良かった
うーん、実はB級ものが好きな人が楽しめる、そんな作品なんじゃないかなあ

個人的評価:90点
オススメ度:いきなりヌードからくる作りからしてアレだわな



フライト 予告

2013年3月3日日曜日

すーちゃん まいちゃん さわ子さん (2012/日)

監督:御法川修
出演:柴咲コウ / 真木よう子 / 寺島しのぶ / 染谷将太 / 井浦新 / 木野花 / 銀粉蝶 / 風見章子 / 佐藤めぐみ / 上間美緒 / 吉倉あおい / 高部あい

30歳をこえて未婚ということ以外に共通点の少ない仲良し女性三人のすーちゃん、まいちゃん、さわ子さん
今日もそれぞれに仕事に恋に家庭事情に一喜一憂する日々が流れていく

観る前まではプライベートでのイヤなことをため込んだ女性三人組が甘いケーキやおいしい食べ物、プチ贅沢な旅行や遊びへくりだして「バカヤロー!」的なノリでわいわいやる…そんな女の人向け名「男ってほんと…」なスイーツ映画かと思ってたんですよね
それだけにすっごい期待値が低いまま鑑賞したんですが、うん、いや、これ普通におもしろいじゃんと言わざるえない
完全に落ち着ききってる、とまでは言わないけど、けっこう大人がゆったりとしみじみ共感しながら観るタイプの作品でしたね
言うほど「女性向け」って感じの雰囲気でもないし、男でもじゅうぶん楽しめました

内容的にはすーちゃんをメインに、まいちゃん、さわ子さんをとりまく仕事や恋模様の悲喜こもごもを重すぎず軽すぎず描く日常系
個人的には「横道世之介」よりはこっちの方が分かりやすくてオーソドックス、細かい話の積み重ねのテンポもいいし楽しかったですね
話の中心は30をすぎた女性たちの先の人生を見据えての恋のあれこれ、というもので良いこともあれば悪いこともある、かなりヘビーでヘコむこともあればちょこっと楽しいこともある、そんな短いエピソードが連なっていくんですが、男の身でも「ああ、分かるわー」と共感できる部分が多い

ただ日常のイヤなことを忘れて無条件にハッピーになるタイプの作品じゃなくて、なんとなく観たらちょっとだけ前向きになれる、ちょっとだけほっこりできる、そんなゆるく楽しむ映画ですね
基本的にとくにすっごいことがおこるわけじゃなくて、いろんな人が選択して分岐していく人生に自分を重ねたり、知ってる誰かを重ねたり、共感できれば退屈することなく楽しめると思います
逆に言えばこの雰囲気や共感できる要素がないとまったくおもしろくないかもしれません

今までの、そしてこれからの自分(または知人)の人生の選択肢で分岐した部分は、もしかしたらすーちゃん、まいちゃん、すわ子さんのおかれてる状況かもしれんね、ってのを見つめる一本でした

個人的評価:85点
オススメ度:つかわなくていい気づかい…マジで分かるわあ




すーちゃん まいちゃん さわ子さん 予告