2013年12月31日火曜日

12月のこれ一本&2013年の個人的映画ベスト3

今年の終了のおしらせも近い中、とりあえずまずは今月の一本を
というか、今月は「ゼロ・グラビティ」しかありえないでしょう
観る人によっては非常に色々な要素が内包されているようにも感じ、またはいたってシンプルにも感じる
それでいて力強いおもしろさをおぼえざるえない希有な作品かもしれません


そして、ここからは2013年を振り返ってみて、あえてベス
ト3を選ぶなら・・・

第3位「クラウド・アトラス」
細かい不満もあることはあるけど、「壮大さ」として心に残る一本
そこにある世界観に没入できるのが心地よかった

第2位「ゼロ・グラビティ」
一片の隙もない完璧で力強い、ザ・横綱という一本
現状、いつになっても、なんど観ても楽しめるリピート鑑賞に耐えうるところもありますね

第1位「サイド・エフェクト」
あくまで個人的に、という前置きのもとで2013年の1位にはこれを
粗もある、不満もある、隙もある、そんなほめ言葉としての生ぐささがたまらない
クセがあるからこそ”個人的な部分”に強く残る一本でした

その他として「地獄でなぜ悪い」「エンド・オブ・ウォッチ」「インポッシブル」もひじょうにおもしろかった
2013年、こうして思い返してみると、けっこう印象に残る作品が多くて豊作な年だったのかなあ、と


そんなところで2013年もこれまで
今年もありがとうございました
そして、また来年もよろしくお願いいたします

ルパン三世VS名探偵コナン THE MOVIE (2013/日)

監督:亀垣一
出演:栗田貫一 / 小林清志 / 浪川大輔 / 沢城みゆき / 山寺宏一 / 高山みなみ / 山崎和佳奈 / 小山力也 / 林原めぐみ / 高木渉 / 岩居由希子 / 大谷育江 / 茶風林 / 湯屋敦子 / 緒方賢一 / 山口勝平 / 入野自由 / 夏菜 / 金尾哲夫 / 内野聖陽 / 三浦知良

日本に現れたルパン三世により予告される宝石チェリーサファイアの盗みの予告
一方でコナンは来日した人気アイドルの側にルパン一味の影を察知して・・・


たまたま再放送された前作のTVスペシャル版を観たんで、どうせならって感じで鑑賞に
まあ、かなりの覚悟はしていたものの、子供子供子供家族・・・と完全にアウェーの中でおっさんがひとりで挑んできましたよ
と、そんなことはどうでもいいとして、今作ではアクション主体でよりいっそうお祭り感が高まってる印象ながら、最後にはちゃんとストーリーとしても納得のできる完成度で楽しめました

日本に現れたルパンはチェリーサファイアを盗む予告をだす
銭形も警備に加わる中、いよいよ予告の時間がおとずれる
一方、来日した人気アイドルのエミリオの側にルパン一味のひとりである次元の姿をみとめるコナン
宝石とアイドル、まったく接点の感じられないふたつの要素がしだいに交わりをみせ、ルパンとコナンの衝突も必然となっていく
という流れの中で、最初こそルパンの話がメインで進むものの、じょじょにコナンも大きく関わってくる、と

なにやら前作はルパンの世界観にコナンを入れる感じで、今作では逆にコナンの世界観にルパンを入れる趣向のようですね
で、同様に前作ではルパンの世界観でコナンの展開だったように、今作では逆にコナンの世界観でルパンの展開っていうふうに作ってあるのかな
しょうじきラスト近くのネタバレまでストーリーとか犠牲にしていいから、とにかくお祭り騒ぎな描写でアクションをメインに描いてるもんだと思ってました

話の展開的にもなんかしょぼいし、でもまあルパンチームとコナンチームの絡みが想像以上におもしろいからいいか、と
特にコナンと次元の名コンビっぷりはスタッフ悪ふざけしすぎでナイスすぎる
コナン側についてそこまで詳しく知らないけど、次元のコナンネタとか楽しすぎる
で、そんなストーリーの部分を半ばあきらめて観ていると、最後には「ああ、そういうことなのね」とそれなりに納得のできる展開が待ってるので安心ですね

ただ、ネタバレになるので詳しくはアレですが、前作のTVスペシャルであるヴェスパニアの一件は観ておかないとダメかもしれませんね
前作を引きずる小ネタぐらいは許容できても、残念ながらこの映画単体では十分に楽しめない、そんな一本と言わざるえません

個人的評価:80点
オススメ度:エミリオって別にいなくていいよね




ルパン三世VS名探偵コナン THE MOVIE 予告

2013年12月30日月曜日

武士の献立 (2013/日)

監督:朝原雄三
出演:上戸彩 / 高良健吾 / 西田敏行 / 余貴美子 / 夏川結衣 / 緒形直人 / 成海璃子 / 柄本佑 / 鹿賀丈史 / 中村雅俊

江戸時代の加賀藩、女中のはるは料理の腕も知識も一流であった
そんなはるに包丁侍でありながら料理より刀に重きをおく安信の嫁に、という声がかかり・・・

まったくもって期待してなかった、というか「~家計簿」にあまり良い印象がなかったんで、かなりマイナスイメージが強かったこの作品
実際に観てみると個人的にけっこう好みな内容でしたね
夫婦で喧嘩したりイチャつきながら料理坂を登る、みたいな面白味のない感じなんだろ、とか思ってたらそうでもない
包丁と刀のバランス、そしてなにより安信のキャラが非常に観てて気持ち良く描かれている作品でした

加賀藩の江戸屋敷で藩主の側室の世話をする女中、はる
侍ながら主君のために包丁を握り料理を作る包丁侍の台所方の舟木伝内の目にとまり、料理の腕も悪く包丁侍としての役目に対する意欲も低い息子の嫁にと声がかかる
伝内ははるによって息子に料理を教えようと考えていたのだった
という感じではじまり、「ああ、これはるが主人公なんだ」という雰囲気で話は進んでいきます

だけど安信が登場してからはじょじょに描写が逆転していき、途中から主役交代みたいな感じで安信がメインになっていく
思ったより急ピッチに安信の料理人としての腕は上がっていき、「なんか展開が早いな」と思っていると・・・
中盤で包丁パートがひと段落して、そこから加賀騒動を機に刀パートがはじまります
そんな話の中で良くも悪くもまっすぐに生きる安信の描写が観てるだけで楽しく、単なる料理ドラマだけじゃなくて時代劇の要素もあるからおもしろい

しょうじき最初は「加賀騒動とかいいから、料理メインでやってくれよ」とか思ったけど、途中からこういうストーリー展開こそおもしろい、と意識が変わりましたね
一方で、ちょっと物足らないかな、と思うクライマックスの展開が惜しい
過剰なまでじゃなくていいから、もう少しドラマティックな波があってもよかったかな、と

あとね、これは観た人のほぼ全員が感じるだろうけど、ED曲のミスマッチっぷりがひどい
最後の最後、余韻にひたりたいところで「なんじゃそりゃ」ともったいない終わり方な一本でした

個人的評価:85点
オススメ度:いや、そこは鶏は捕まえないでおいてあげて




武士の献立 予告

砂漠でサーモン・フィッシング (2011/英)

監督:ラッセ・ハルストレム
出演:ユアン・マクレガー / エミリー・ブラント / クリスティン・スコット・トーマス / アムール・ワケド / トム・マイソン / レイチェル・スターリング / コンリース・ヒル

アラブの富豪の代理人ハリエットからイエメンで鮭釣り場を作る計画を持ちかけられる水産学者のジョーンズ
ジョーンズは明らかに無謀なことに適当にあしらうものの、事態は本格的に動き出してしまう

常識的に考えて「そりゃ無茶だろ」ということに真剣に取り組む、ドラマとしてはジャンルのひとつといってもいいかもしれない内容ですね
だけど、そんなタイトルにもなってるサーモン・フィッシングというプロジェクトに向けてうんぬん・・・というより、けっこう主人公のロマンス的な要素が強かった気がしました

ハリエットと名乗る女性から、イエメンの族長が鮭釣り場を作りたいと言っていることで意見を求められる水産学者のジョーンズ博士
砂漠と乾燥地帯という印象しかないイエメンでは、そんな計画じたい夢物語で実現はとうてい不可能とジョーンズは鼻で笑って相手にしていなかった
しかし、プロジェクトは政治的見解から政府の後押しによってごり押しで進められることになる
という乗り気ではない主人公のジョーンズ、投資会社のヒロインであるハリエット、族長のムハンマドの3人が主になっているドラマ

3人それぞれにプロジェクトとは別にプライベートの問題を抱えており、それらが物語に大きく影響をあたえてくる・・・のはいいんですが、そんな要素がじゃっかん作品的にブレさせてる気がしないでもない
無謀な計画に困難を乗り越えて立ち向かうドラマのようで、釣り人を題材に人生を語るドラマのようで、男女のロマンスを鮭の遡上みたいな困難さに見立ててるドラマのようで・・・ちょっと視点が定まりきってない印象
結局のところすべてのエピソードがなんとなくおさまって終わってる感じで、あまり観てて深く心にグッとくるものがないんですよね

それでもコミカル一辺倒でもシリアス一辺倒でもなく、主人公のジョーンズさんもホントに変人的なイヤな奴からまともな性格になっていく描写はおもしろい
嫌みは言うしつまらない男の見本みたいなジョーンズさんにどれだけ魅力を感じられるか、という点が人によって大きく評価を分けるポイントになるかもしれません
個人的には「いろんな意味でいい性格してるわ」と思えたので、かろうじてクソ映画な印象は回避できてる、かな

個人的評価:65点
オススメ度;小さなことからコツコツと




砂漠でサーモン・フィッシング 予告


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2013年12月29日日曜日

劇場版 HUNTER×HUNTER The LAST MISSION (2013/日)

監督:川口敬一郎
出演:潘めぐみ / 伊瀬茉莉也 / 藤原啓治 / 沢城みゆき / 浪川大輔 / 永井一郎 / 三石琴乃 / 冨永みーな / 大友龍三郎 / 横山智佐 / 関俊彦 / 会一太郎 / 寺崎裕香 / 中村獅童 / 天野ひろゆき / 山本美月 / 志村理佳 / 田中美麗 / 前島亜美

天空闘技場でのバトルを見物に訪れるゴンとキルア
そこへハンター協会会長ネテロと因縁のある謎の敵の一団が襲来する

無理せずに原作の設定の一部をかりて、ストーリーの隙間の時間軸で展開するいたってシンプルな内容でしたね
個人的に昔によく観たドラゴンボールの劇場作品に似た感覚をおぼえました
そんな意味では現在でも受け継がれる劇場ジャンプバトルアニメのお家芸みたいな作品、なのかな

天空闘技場で開催されるフロアマスターたちのバトルイベントを、出場するズシの応援の意味もあって見に来たゴンとキルア
ハンター協会会長のネテロもゲストとして挨拶に登場し、ふたりは久しぶりに会いに行く
そこへ謎の一団が闘技場を占拠し、ネテロを捕縛するのだった
と、ようするに闘技場を占拠したテロリスト一味とゴンたちの戦い、という分かりやすいストーリー

いちお敵側にもドラマやら怨という設定はあるけど、しょうじきそこまで「オリジナル」という感じはしないですね
「なんかどっかでみた」って感じな設定のオンパレードで、とりあえずオリジナル敵とバトルしてるだけという印象は否めない
話的にも占拠してその先どうしようというのか、別にゴンとキルアが居合わせなくても解決してたよね、みたいなツッコミは無粋なんでしょうね

尺の問題もあるのかもしれませんが、ゴンたちと修羅たちの仲間意識からの対立、ネテロとジェドの因縁の対立というドラマ部分をもっと掘り下げてほしかった
表裏一体というテーマ(?)から、そこら辺をやりたかったんだろうけど、ちょっと描き切れてない感がありましたね
まあ、でも単純にオリジナル敵とのバトルは楽しめるんで、普通の少年マンガ的な戦いだけに集中して頭からっぽにして鑑賞するのがいいかもしれません

個人的評価:65点
オススメ度:怨とかどこの中二病設定だよ




劇場版 HUNTER×HUNTER The LAST MISSION 予告

パット・モリタVSプレイメイツ/ボディ・エンジェルス (1990/米)

監督:アンディ・シダリス
出演:ドナ・スピア / ロバータ・ヴァスケス / ノリユキ・パット・モリタ / エリック・エストラーダ / マイケル・シェーン / ブルース・ペンホール / シンシア・ブリムホール / ウィリアム・バミラー / リチャード・カンシーノ

悪の組織のボス・ケインによって捕らえられたふたりのセクシー凄腕連邦捜査官ドナとニコール
ケインはふたりを解放し、6組の殺し屋を向かわせて戦わせるゲームに参加させるのだった

私は最近、大切な「何か」を忘れてしまっていたようだ
というわけで、みんな大好きVSシリーズ
今回は「ベストキッド」の師匠でおなじみのパット・モリタとプレイメイツがVSだ
というかこの作品、なんか前作があったみたいですが気にしない方向で鑑賞です

内容的には敵のボスの気まぐれで、主人公たち次々と殺し屋コンビが差し向けられ、これと命をかけて戦うゲームが今、はじまる・・・!という感じ
基本的に敵の攻撃は主人公たちには当たらないし、しょぼい銃撃、爆撃、カーアクションとエンターテインメント性を追求してるものの制作側の映画作りの腕がともなってないのがほほえましい

とりあえず見所はそんなアクション要素ではなく、数分にいちど挟まれる無駄なセクシーシーン
無駄に着替えだし、無駄にファックしだし、無駄にパイオツをむき出して、無駄にケツをつきだしてくる
それらがなんというか、実にエロさが感じられないから不思議
ここら辺は「ああ、またバカなセクシーシーンがはじまったよ」という素敵な微笑で流しましょう

あとは話の流れ的に主人公たちは最初こそふたりだけど、どんどん仲間が合流していって8人のチームにもなるのに、悪の組織のボスなケインさんはあくまで二人組の殺し屋という点にこだわる正々堂々さが素敵です
さらにこのケインさん、ちょこちょこなんか持論を語りだしたり、その存在感はハンパない
ええ、まあ、最後まで主人公たちと直接戦うことはないですけどね

と、なんか最後も続編つくれるような微妙な終わりですが、これ以上こんな映画につきあう義理はねえってもんです

個人的評価:30点
オススメ度:ケインさん、カンフーバトルしてくださいよ




パット・モリタVSプレイメイツ/ボディ・エンジェルス 予告


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2013年12月22日日曜日

永遠の0 (2013/日)

監督:山崎貴
出演:岡田准一 / 三浦春馬 / 井上真央 / 濱田岳 / 新井浩文 / 染谷将太 / 三浦貴大 / 上田竜也 / 吹石一恵 / 田中泯 / 山本學 / 風吹ジュン / 平幹二朗 / 橋爪功 / 夏八木勲 / 佐々木一平 / 青木健 / 遠藤雄弥 / 栩原楽人 / 古川雄輝

祖母の死をきっかけに今の祖父が再婚相手だと知る健太郎
そんな戦時中に特攻で死んだという祖母の前夫、宮部久蔵について健太郎は姉と一緒に調べることにする

劇場ではホントにどんな作品を観にいっても必ずといっていいほど予告が流れていた本作品
しょうじきサザンの主題歌とともに流れる映像のその予告をみるかぎり、「なんか軽いなあー」というマイナス印象しかなかった
しかし実際に鑑賞してみると、地に足がしっかりついているというか、どっしりとした重厚なドラマな感じがして大安定な作りで良い意味で意外でした

今の祖父が実は祖母の再婚相手であり、母も初婚相手の夫の子供である事実を知った健太郎
フリーライターである姉の取材に強引につき合わされる形で、その祖母の前夫である宮部久蔵について調べることになる
戦時中に零戦乗りだった宮部は若くして特攻で亡くなっており、当時のことを知る人物とコンタクトをとって話を聞くうちに、臆病で恥知らずという印象が強くなり・・・
という展開の中で、最初こそ負の印象しかなかった宮部について調べるうちに、というお話

思った以上に作品からアイドル臭やキャストに対する違和感はあまり感じない
むしろベテラン勢、中堅、若手の役者さんたちそれぞれがホントに好演しており、作品として全体的な完成度を高めてますね
VFXについても最初こそじゃっかん引っかかりはありますが、鑑賞してるうちに気にならなくなるどころか、かなり無理なく作品と整合性がとれてる感じに思えてきます

ストーリー的に分かりやすさを優先してるのかもしれないけど、ちょっと先が読めすぎるのが気にならなくもない
丁寧に作られている内容ゆえに、どうせこういう展開になると分かりきってるのに、というもどかしさがあるんですよね
そこら辺も役者さんたちの熱演が上回ってそこまでマイナスイメージにはならないですが
ただ、戦後パートの宮部の奥さんと娘のコントチックな薄汚れ描写はどうかと思いましたね

というわけでサザンの軽すぎる曲がまさかの足を引っ張ってる、そんな感じのした一本でした

個人的評価:85点
オススメ度:ジジイも小僧どももナイス男ばかりだぜ




永遠の0 予告

ケイゾク/映画 Beautiful Dreamer (2000/日)

監督:堤幸彦
出演:中谷美紀 / 渡部篤郎 / 鈴木紗理奈 / 徳井優 / 小雪 / 高木将大 / 大河内奈々子 / 竜雷太 / 生瀬勝久 / 泉谷しげる

15年前の事件の遺族から招待を受けた当時の関係者に同行することになった捜査一課弐係の柴田と真山
厄神島に着いた他の関係者一同は、招待主である七海によって殺害予告を受ける

「SPEC」から入って結まで鑑賞したことから、どうせならってんで「ケイゾク」にも手をだしてみました
とりあえずTVシリーズ、特別編を観てのこの劇場版の鑑賞という流れをとったんですが、またこれがビックリするほどシリーズの一連の流れとしてつながってる形で作られてましたね
TVシリーズ、特別編、映画と連続で観た方が楽しめる作品になってるかもしれません
そんな意味では個人的には楽しめたんですが、リアルタイムで間をおきつつ観てたら別な印象を受けたかも

厄神島に集められた一同は、招待主である七海に死の宣告を受ける
実際に人が次々に死んでいくが、時には証拠が時には遺体そのものがないために、同行している刑事の柴田&真山コンビもうかつに七海に手を出せない
そんな中、島の外では因縁の相手である朝倉の動きがあり・・・という流れ
作風としてTVシリーズの縮図みたいな感じになっていて、事件編と朝倉編が合わさってる内容

とにもかくにも終盤の展開が肝
事件編だけでキレイに(?)終わっておけばいいのに、と思わなくもないけど、朝倉についても触れておかないと全体としてのストーリーとしてしまらない気がするのも確か
最初こそ「なにこの超展開。意味わかんねえし」って感じだけど、おとなしく最後まで観れば意外にシリーズとして終わらせてるな、と個人的には思えました

まあ、大きな部分の謎は残ってるちゃあ残ってるけど、TVシリーズ、特別編と描いてきたものの最低限のまとめにはなっているかな、と
そんな感じで一本の映画としては問題外だけど、特別編での違和感はあるていどすっきりしたので、これはこれで
と、すっかりファンの目線で鑑賞した一本でした

個人的評価:80点(シリーズ通しで)
オススメ度:このキャストでケイゾク2、観たかったわあ




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2013年12月15日日曜日

ゼロ・グラビティ (2013/米)

監督:アルフォンソ・キュアロン
出演:サンドラ・ブロック / ジョージ・クルーニー / エド・ハリス

宇宙にて船外活動中だったストーン博士たち
そこへ無数の破壊された人工衛星などの破片が猛スピードで迫り、襲いかかる

スペースデブリとケスラーシンドローム、「プラネテス」にハマってた私としては鑑賞せざるえない
だけど予告編をみるかぎりでは、なんか宇宙空間を舞台にした漂流を描く雰囲気ものっぽい印象を受けましたが、実際にはそんな上っ面だけじゃない完成度の作品
なんか地味かな、と思い描いていた内容とは大きく異なり、ドラマティックで雰囲気もよくエンターテインメント性も申し分ない隙のない作りで大興奮でしたね

ストーン博士たち3人は宇宙空間で船外活動中、猛スピードで接近する無数のデブリの警告を受ける
予想以上のスピードで到達したそれらに避難もままならないままに襲われ、主人公であるストーンはなすすべもなく宇宙空間に投げ出され漂流してしまう
地上との通信も途絶し、酸素の残量も心許ない状況下、心を強くもってか細い希望の糸をたぐりよせながら生還を目指す物語
シンプルなテーマをホントに力強く描いていて、最後の最後までスクリーンから目が離せませんでしたね

話の展開としても緩急がよくて、場面的にも真っ暗な宇宙空間一辺倒ではないので地味なんて印象はいっさい受けません
究極的には生と死ですが、作中ではホントにそんな相反するふたつの要素が波のように観ていて心地よいリズムで展開していくのがいい
冷たさと暖かさ、厳しさと優しさ、冷酷さと美しさ、リアルでいてファンタジック、救いの手になったものが次には枷になり、逆もまたしかり・・・テーマとかドラマとか置いといて単純に映画としておもしろい

個人的には犬の鳴き真似のシーンでまさかここまでグッとこさせられるとは思わなんだ
あとは、なにはともあれラストのそれだけのことなのに心が震える感覚は久しく味わったことがないものでした
もう出だしからラストまで完璧すぎる作りだと個人的に感じられた一本でした

個人的評価:100点
オススメ度:宇宙に対する知識が乏しい身ながら、まさに宇宙にいると思わされる




ゼロ・グラビティ 予告

ポゼッション (2012/米・カナダ)

監督:オーレ・ボールネダル
出演:ジェフリー・ディーン・モーガン / キーラ・セジウィック / ナターシャ・カリス / マディソン・ダヴェンポート / グラント・ショウ / ロブ・ラベル / ナナ・グベウォニョ / ジェイ・ブラゾー / アイリス・クイン / マティスヤフ

妻と離婚したクライドは、週末だけふたりの娘たちと過ごす生活をしていた
そんなある週末、娘がガレージセールで謎の木箱を購入したことを機に異変がおこりはじめ・・・

ザ・オーソドックスって感じの可もなく不可もなくなホラー映画
家族のドラマを軸に、何か異質なものが作中に浸食していく不気味さを描いてます
ショッキングだったり、ビックリ箱だったり、グロだったりな過度な刺激はなく、なぁーんかイヤな感じという雰囲気を楽しむ系、かな
派手に人が死にまくるというわけではないので、そういった刺激を求める人にはむいてないかもしれません

クライドのふたりの娘のうちのひとり次女のエミリーは、ガレージセールで手に入れた木箱を気に入る
細工がほどこされたその箱はなかなか開かなかったが、ひょんなことからフタがあく
その日をさかいにクライドたちの周辺で不気味な出来事がおこりはじめ、明らかにエミリーの様子が変質してくるのだった
というなんか変な箱の影響で異変がおこりつつ、クライドと妻、娘たちの家族の問題も悪化していく・・・というドラマ仕立てのホラーですね

それほど血が飛びまくるようは派手さはないんで、しょうじきなところインパクトにかける部分があるのは否めない
特に「この作品だからこそ」という強烈な見所がないのは残念かな
オーソドックスで無理せずそつなく作れているし、ドラマとしても退屈ではないだけに、ホントに独自のちょっとしたスパイスがあればもっとおもしろかったのに・・・と個人的に思わざるえない

刺激重視の昨今のホラー映画とは違う部分を攻める姿勢は好ましく感じただけに、もうちょい、あとひと味なんか物足りないのがもったいない一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:TVドラマのワンエピソード感




ポゼッション 予告


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2013年12月9日月曜日

キャプテン・フィリップス (2013/米)

監督:ポール・グリーングラス
出演:トム・ハンクス / バーカッド・アブディ / バーカッド・アブディラマン / ファイサル・アメッド / マハト・M・アリ / マイケル・チャーナス / コーリー・ジョンソン / マックス・マーティーニ / クリス・マルケイ / ユール・ヴァスケス / デヴィッド・ウォーショフスキー / キャサリン・キーナー

ある海運会社でコンテナ船の船長をつとめるリチャード・フィリップス
いつものように荷を積んで航行中に海賊船の追跡にあってしまう

実話ベースで、武装海賊に対する非武装の民間船、とか言われても予告をみただけで十分に内容が把握できちゃいます
そんな内容が分かりきっていながらもなお、おもしろい
とにもかくにもトム・ハンクスのためのトム・ハンクス映画で、フィリップス船長としての熱演を堪能できる作品ですね

コンテナ船「マースク・アラバマ」の船長であるリチャード・フィリップス
その航行中、ソマリア沖で謎の小型船2隻から追跡を受ける
しだいに接近する中、海賊船と認めた船長はなんとか振り切ろうと指示をだし、自らも無線でハッタリをかましつつ事態に対処するのだった
と、どうせ海賊に襲われて船長が~みたいに内容的な先は分かってる・・・んだけど「え?それじゃこの先どうなんの?」と思わせてくれるからおもしろい

見所はふたつに大きく分けられるホーム&アウェーでの船長の振る舞い、でしょうね
で、そんなふたつに分けられたパートそれぞれでも事態は常に二転三転するので、常に緊張感が継続して飽きることはない
フィリップス側だけでなく、海賊側にもアクシデントがつきまとい、船という限定された場面の中でも代わり映えのなさもあまり感じさせない

海賊側のボスであるムセのキャラもよくって、頭がキレすぎず愚かすぎずな人間くさい描写がストーリー展開を引き立てます
そしてなにより、主演のトムさん
トム・ハンクス映画でありながら、トムさんだけでもってる作品でもなく相互に支えあって作り上げてる感があるのがいいですね

親子愛的な部分にまで欲をかいて深く手をださなかった点は人それぞれに思うところはあるだろうけど、個人的にはこれでオーケイかと
むしろ数年後、主演を別の人にして親子愛編とかでももう一本くらい撮ればいいんじゃないですかね

個人的評価:90点
オススメ度:守るべき者がいない状況での船長のアウェー感




キャプテン・フィリップス 予告

くじけないで (2013/日)

監督:深川栄洋
出演:八千草薫 / 武田鉄矢 / 伊藤蘭 / 檀れい / 芦田愛菜 / 上地雄輔 / ピエール瀧 / 鈴木瑞穂

90をこえ、どんどんと歳老いていく自分を感じながら弱々しくなっていく柴田トヨ
そんなある日、まともな仕事にもつかずにギャンブルにあけくれるひとり息子から、詩をやってみないかともちかけられる

個人的に大好物な老人もの、どっちかというと外国のおじいちゃん&おばあちゃんのパワフルストーリー系が好みではありますが、日本のこういうのもいいですね
老いながらも詩人として周りに元気をふりまく感じのハートフルストーリーなんだろ、とじゃっかんバカにして観たところもありましたが、いやいや、これそんな陳腐なもんじゃなかったですわ
周りに元気を振りまくっていう要素はおさえつつ、なにより主人公が歩んできた人生のドラマがおもしろかったですね

病気や老衰でどんどんと体が弱っていくのを痛感して生きる主人公の柴田トヨ
その息子で定職につかずギャンブルに目がなく、他人様に迷惑をかけながら日々を過ごす健一
そんなトヨを気にかけて面倒をみつつ夫の健一をささえ、さらには自ら働く静子
そんな三人はそれぞれ生きていく上での苦悩や葛藤を抱えていたが、トヨが詩をはじめたことによりちょっとずつ変化がおとずれる
というお話

詩はあくまでトリガーにすぎず、作品としては柴田トヨとその家族のドラマという感じになってましたね
診療所の医師や登校拒否児童とかの詩がダイレクトに絡んでくるサイドストーリーありつつの、家族愛という主軸の描き方がおもしろかった
特に個人的には息子である健一のエピソードがツボでしたね
もちろん主人公のトヨの生きざまっぷりはめちゃくちゃ良いですが、健一サイドの物語が強く印象に残りました

序盤はホントにダメ人間すぎてしょうがねえな、という存在の健一が、いきなり詩を母に勧めたところで「はあ?いきなりなに言ってんだ」となる
そっから話が進むにつれて、ダメ人間だけじゃない部分が描かれていって、最後にはなんとも憎めない男に感じられる
とりあえず人はそんな大きくは変われない、けどちょっとだけ軌道修正はできる・・・みたいな「小さな変化」が良いんですよ

感動という要素より、ホントに観おわった後に元気になれる、笑顔になれるそんな一本でした
というかお年寄りに元気を分けてもらっておいてアレですが、こんなんじゃダメだろと思わざるえない

個人的評価:85点
オススメ度:トヨの旦那をふくめ、その父ちゃん&母ちゃんもいろんな意味で素敵すぎる




くじけないで 予告

2013年12月8日日曜日

47RONIN (2013/米)

監督:カール・リンシュ
出演:キアヌ・リーブス / 真田広之 / 柴咲コウ / 浅野忠信 / 菊地凛子 / 赤西仁 / 田中泯 / 國元なつき / 中嶋しゅう / 羽田昌義

赤穂の藩主、浅野によって幼い頃に助けられ育てられた異人の血が通う男カイ
鬼人と藩士からさげすまれながらも、浅野のために働く日々を送る中、長門の藩主である吉良の魔の手が赤穂に伸びる・・・

ちったあ覚悟してたものの、これはけっこうなクソB級品だったわあ
とりあえずセンスが古くさい
長門のダークキャッスル&魔界都市っぷり、およびどう見ても中国な美術と世界っぷりに、おまえ何十年前の勘違い日本ワールドだよ、とツッコミをいれざるえない
特に吉良の居城のザ・悪の巣窟みたいなところは失笑ものですらある

浅野によって子供のころに助けられ、恩義を感じて仕える異人の血が流れる主人公のカイ
仲間である藩士からは忌み嫌われるものの、浅野の娘であるミカとは密かに良い仲
そんな浅野に私怨をいだく長門の藩主である吉良は、妖術を扱う怪しい女と共謀して赤穂の乗っ取りを画策する
その野望に気づきつつもカイは浅野を失い、出島に奴隷として送られてしまう
そして年月が過ぎ、浅野の忠臣であった大石は仇を討つべくカイを探して出島へとやってきて・・・
という流れではあるけど時代劇の要素は微塵もないファンタジーアドベンチャーなんで注意ですね

忠臣蔵をホントにちょっとだけモチーフにしてるってだけで、舞台はどう見ても中国なアジアンファンタジーな作品になってます
ひと昔もふた昔も前の勘違い侍日本ワールドが臆面もなく描写され、まあ、それはそれでB級映画として個人的には容認できるんだけど・・・
とにかくバカ映画をバカ映画と認識してないで作ってるのが痛々しい

開き直ってRONINたちがNINJAばりの身体能力を発揮し、ワイヤーアクション&VFX全開でぶっ飛んだSAMURAIアクションをしてくれれば良かったんですがね
どうにも中途半端に普通の等身大な地味アクションにおさまってて、なんともかんとも
クリーチャーとか出してる時点で、もっとはっちゃけた描写をしてもいいのよ、と言いたい
それこそ屋根を軽く飛び越す跳躍力、大木すら垂直にかけあがり、炎や水を操り、刀を振れば衝撃波が飛ぶくらいやって遠慮なく超人バトルものにしちゃってよかったのにね

なにはともあれ、こんな内容の作品に出演しちゃったそれなりに名のある役者さんたちの心情を聞きたいわあ
みんなどう思ってるんだろうね、しょうじきなところ

個人的評価:60点
オススメ度:日本よ、これがジャパニーズカルチャーだ




47RONIN 予告

利休にたずねよ (2013/日)

監督:田中光敏
出演:市川海老蔵 / 中谷美紀 / 市川團十郎 / 伊勢谷友介 / 大森南朋 / 成海璃子 / 福士誠治 / クララ / 川野直輝 / 袴田吉彦 / 黒谷友香 / 檀れい / 大谷直子 / 柄本明 / 伊武雅刀 / 中村嘉葎雄

茶人、千利休が切腹にいたろうとしていた
そんな利休(宗易)のこれまでの生き方を信長や秀吉、時代の流れとともに描く

なんだろう、なんていうか求めていた作品とちょっと違ったかな、っていうのが第一印象
個人的に「へうげもの」で描かれた利休のインパクトが強くて、予告編をみたかぎりではそんな人物に近い描かれ方をするものと期待していたんですが・・・
思った以上にドラマ性より形式的な利休像を描いていたような感じがしましたね

信長との出会い
美に対する独特の感性と関わってくる人物たち
時代の流れとともに利休の存在が大きくなり、反発するものも増えてくる
しかし、あくまでストイックに利休は美を探求する
というそれぞれの時代と人物に「この時、利休はこうした」みたいな序盤の展開
かなり時代背景やらは省略されており、その時々の利休という人物の考えや行動をピンポイントで描いてます

連続する利休という人物のドラマ、ではなくあくまで人物描写のピースを個々に見せてるという印象が強いですね
力強さ、弱さ、人間らしさ、強引さ、悩みや葛藤、いちおは描かれているけど、どこか箇条書きっぽい感じ
そういう流れも後半のヤング利休編のドラマ性重視路線への移り変わりで個人的にちょっとおもしろくはなったんだけど、総じてなんか「求めていたものと違う」かな

ヤング編あっての前半の描写がいきてくる、という部分もあったけど欲をいえばひとつひとつのエピソードをもっと深くドラマティックに描いてほしかったかな
なんていうか役者さんたちの演技に作品そのものがのまれてしまってる感がした一本でした

個人的評価:65点
オススメ度:そろいもそろった豪華キャストたちの力強さは以上




利休にたずねよ 予告

2013年12月2日月曜日

あさひるばん (2013/日)

監督:やまさき十三
出演:國村隼 / 板尾創路 / 山寺宏一 / 桐谷美玲 / 斉藤慶子 / 温水洋一 / 雛形あきこ / 間寛平 / 上島竜兵 / 國本鍾建 / 松平健 / 西田敏行

高校野球部時代に「あさ」「ひる」「ばん」の愛称で親しまれていた仲良し三人組の浅本、日留川、板東
すっかり中年の域に達した三人は、かつての野球部のマネージャーでありマドンナ的存在である幸子の娘から手紙が届き・・・

すっかりうだつの上がらないおっさんになった主人公たちが、青春を思い返して年甲斐もなく無茶をする人情コメディ
とか言うとホントにありがちで内容もだいたい想像できるでしょうが、ありがちだからってんで変にひねらずストレートで直球勝負な作りできたのは正解かもしれませんね
分かりやすいストーリーとキャラ、バカ騒ぎしすぎず暗くなりすぎず、落ち着いて&安心して観れ内容になってます
シンプルな内容でもちゃんと作ればおもしろい、そんな作品

故郷を離れて小さな芸能事務所を営む浅本のところに届いた一通の手紙
そして同時に高校時代、野球部での親友の板東から電話がかかってくる
それはかつての部のマネージャー幸子が入院して状態が危ういという手紙についての話であり、浅本は宮崎へと出立する
そこへ同じく手紙をもらった日留川も合流して幸子を見舞い、娘の有三子の抱える問題を三人で解決してやろうと決意する
と、かつての憧れのマドンナとその娘のために三人が騒動を起こしながらも奔走するお話

しょうじき先が読めまくるし、落ち着く先も手に取るようにわかる
それでもあさひるばんトリオのキャラのポジションが絶妙で、おもしろおかしく描きながらも妙に親しみがあって観てて安心できる
なにはともあれ過剰すぎない演出がうるさくなくていい

そんなありきたりでシンプルな内容ながら、あえて明快に説明しない部分があるのもいい
演技や台詞、話の流れで分かるでしょう?という描き方が分かりづらくなることなく、うまく描写されてますね
その上で「ああ、こいつ分かってるな」と見て取れる役者の演技が画面の奥で描かれる作りの細かさ、そういうのが良いんですよ

個人的評価:85点
オススメ度:これはシリーズ化してほしいかも




あさひるばん 予告

かぐや姫の物語 (2013/日)


監督:高畑勲
出演:朝倉あき / 高良健吾 / 地井武男 / 宮本信子 / 高畑淳子 / 田畑智子 / 上川隆也 / 立川志の輔 / 伊集院光 / 宇崎竜童 / 古城環 / 中村七之助 / 橋爪功 / 朝丘雪路 / 仲代達矢

はるか昔の日本、竹を伐採して生計をたてるおじいさんは、光輝く竹を見つける
そこから出でた美しい姫は赤子となり、おじいさんはおばあさんとともに育てることにする

現代の子供はどうか知らんけど、自分くらいならお話として知ってるかぐや姫
そんな昔ながらのありのままのお話を丁寧に読み聞かせてくれるような感じに映像化されてる、という印象でした
じゃっかん演出重視なファンタジーな部分もありますが、イメージとしては何も足さず引かずに忠実に描いた昔話のような感じですね

竹の中から現れた姫、赤子となっておじいさんとおばあさんに育てられる
小さな村の中で動植物、そこに暮らす人々とふれあいながらも、尋常ならざる早さで成長していく姫
そんな中、おじいさんは村娘としててなく、高貴な姫君として育てようと都にうつることを考え始める
と、ホントに見知った話ながら、その丁寧な描写に画面の中に引き込まれます

全編、手描きのような柔和な独特の絵柄という点も「ただそんな描き方だけを売りにしたかった」、なんて感じもせず、というかそんなタッチすら気になることなく話に没入してる自分がいましたね
地味、という面は否定できないけど、けっこうコミカルなシーンもあるし、しっかり娯楽作品には仕上がってると思います

小さな子供が観ても理解しにくい、ってのは百も承知
だけど何かしらの引っかかりをおぼえ、将来、成長して大人になった時にもういちど観てみると・・・
という狙いがあるようなないような
個人的にはこの作品、小さな子供のうちに観られればよかったなあ、と感じざるえない
大人になれば分かる、心の葛藤やらなんやらの美しいだけじゃない部分
冷たさも激しさも温かさもひっくるめた和の心を再認識させられた一本でした

個人的評価:90点
オススメ度:ホントに子供じだいはかわいいのう(おじいさん目線的な意味で)




かぐや姫の物語 予告

2013年12月1日日曜日

劇場版 SPEC 結(クローズ) 爻(コウ)ノ篇 (2013/日)

監督:堤幸彦
出演:戸田恵梨香 / 加瀬亮 / 竜雷太 / 北村一輝 / 栗山千明 / 有村架純 / 載寧龍二 / 岡田浩暉 / 松澤一之 / 香椎由宇 / KENCHI / 遠藤憲一 / 渡辺いっけい / 三浦貴大 / 向井理 / 大島優子 / 神木隆之介 / イ・ナヨン / 浅野ゆう子 / 福田沙紀 / 城田優 / 田中哲司 / 安田顕 / 真野恵里菜

シンプルプランというスペックホルダーにのみ対応したウイルス兵器に感染しつつも、当麻はプロフェッサーJについて疑念を抱く
一方、いよいよセカイの思惑も明るみになってきて・・・

これまた色々と意見が分かれそうな作品になりましたね
考察する余地を残す系な作りにはなっているんでしょうが、しょうじき個人的には映像として描かれていたこと以上になんだかんだ考えるのはめんどくさいッスね
とりあえず「俺が描きたいものは描ききった。分かるヤツだけ分かってもらえればいい」という雰囲気がキツイ
多感な少年が書きためてきた妄想ノートのラスト数ページを見せられている感は否めない

プロフェッサーJの謎について追ううちに、当麻と瀬文たちはセカイたちの人ではない存在に気づく
そして真実、運命、その他もろもろが明らかになってくる
という感じでホントに最後の最後である解明編だけでひとつの映画にしてみました、みたいなね
画面的には人物たちの大きな動きはなく、印象的にずっと同じ場所で口を動かして必死に物語を動かしていたといった感じ
ゲーム「ポリスノーツ」のクライマックスの主人公とラスボスのやりとりをなんとなく思い出した

とにもかくにも「とりあえずこの内容だったら無理して一本の映画としてまとめようよ」と言いたくなるのは私だけじゃない、はず
そしてTVドラマから観てきたいちファンとして「こういうのが観たかったわけじゃないんだよなあ」と言わせてください
劇場版の「天」もいろいろ言われましたが、それでも個人的にはギリギリでアリだった
こんな展開になるのも、まあ、それはそれでアリだった
でもごめんなさい、この終わり方はないわあ・・・

そして肝心な映画作品としては言わずもがな、いくら分割上映映画が増えてきたとしても、これはさすがに反則過ぎ
まんまひとつのエピソードをぶったぎって、体裁を整えることなく終盤だけで一本に仕上げるとか・・・
願わくば他の作品が「この形式でもいいのか」なんて思いで、尺が長くなったからって安易にぶったぎり分割上映なんて真似しないことを祈るばかりです

個人的評価:60点
オススメ度:お前の中ではうまく結ったか。お前の中では、な




劇場版 SPEC 結(クローズ) 爻(コウ)ノ篇 予告

REDリターンズ (2013/米)

監督:ディーン・パリソット
出演:ブルース・ウィリス / ジョン・マルコビッチ / メアリー=ルイーズ・パーカー / アンソニー・ホプキンス / ヘレン・ミレン / キャサリン・ゼタ=ジョーンズ / イ・ビョンホン / ブライアン・コックス / ニール・マクドノー / デビッド・シューリス

引退した超危険なスパイのフランクは愛するサラとふつうの生活を送っていた
そこへ親友のマーヴィンが命の危険を報せにやってくる

とにかく軽快にテンポよく、という点を重視して作られてる感じでしたね
さらに各キャラの持ち味を十二分に描ききり、全体的にパワープレイ感は否めないものの、登場人物のはっちゃけ見せ場を頭からっぽにして楽しむことができました
ちょっと人の命が軽く描かれすぎじゃね?とも思えたけど、それもこの作品の個性、なのかな

サラとともにふつうの生活を送る努力をしているフランクのもとに、親友のマーヴィンがトラブルを抱えた体で現れ、しかも目の前で爆弾によって殺されてしまう
後日、身の危険からなんとかサラを逃がすものの、時すでに遅くフランクも命を狙われはじめてしまう
「ナイトシェード」という重要機密にフランクが関わっているという噂がネットで広がり、各国に散らばっていたかつての仲間たちもそれぞれのクライアントから彼の命を狙い始める、と
序盤から惜しげのないアクションで、ホントに軽いノリで人が次々に殺されながら、テンポよく話は展開していきます

そんなスピード感もありますが、なんといっても見所は個性豊かな各キャラのはっちゃけ具合を描いているポイント
中でもやはりサラとマーヴィンの変人コンビの描写っぷりは楽しすぎる
他の登場人物も負けじと活躍&ギャグをかましてくれるおかげで、主人公のフランクさんがふつうのおっさん化してる印象すらあるくらい

総じて飽きることはないんですが、やっぱりパワープレイでごりごりするストーリー展開と、ふいに流れがゆるくなって持ち味のスピード感が失速する部分があるのが気になりましたね
気持ちよくすっとばしてる話の中、急にスピードがゆるくなって「おう?」ってなる点がちらほら、と

と、まあキャラクター祭りとしては非常におもしろかったんですが、個人的な好みな作品である「アドレナリン」ほどバカに徹しきれてない感が惜しい一本でした

個人的評価:80点
オススメ度:ビョンホンさんもすっかりおっさん組なのね




REDリターンズ 予告