2014年12月31日水曜日

真夜中の五分前 (2014/日・中)

監督:行定勲
出演:三浦春馬 / リウ・シーシー / ジョセフ・チャン

中国で時計修理をしている良
ある日であった女性が双子だと分かり、その思いを聞いているうちに惹かれていく

双子というギミックをいかしているようで、けっきょく雰囲気映画という印象が強い
ふたりの矛盾するような発言にルオランとルーメイの境界があやふやになっていくのはおもしろいけど、どうにもドラマ的にもう一段ふかさが足りない気がしないでもない
良の元カノのことや双子の子供のころのこと、そこら辺のエピソードでもっと混沌とした内容になった方が個人的に好みだったかも

ようするにあんたが惹かれてる女は双子のどっちよ?って感じの内容で、主人公たちといっしょに「どっちかなあ」と観ているのがおもしろい
なんか双子の企みみたいなものがあるようなミステリーっぽい部分が求心力になりつつ、雰囲気に飲み込まれていきます
決めつけと疑い、事故の影響もあって不安定なアイデンティティに本人もゆれる双子ちゃんの描写はいいですね

ただ作品的にこねくりまわすだけこねくりまわした結果、ドロッとしたよく分からんものになってる感がする
ここら辺は私のセンスの問題が大きいと思うんで、ホントに個人的な感じ方になっちゃうけど、どうせならもっと混沌につきぬけるか、逆に「そういうことか」というスッキリ感がほしかった

とりあえずこの作品を気になる人には観てもらって、この雰囲気が合うかどうか個々に判断してもらうしかない、と無責任に逃げざるえない

個人的評価:70点
オススメ度:時計の音と、ゆったり感が眠気をさそうわあ




真夜中の五分前 予告

2014年12月28日日曜日

サンバ (2014/仏)

監督:エリック・トレダノ / オリビエ・ナカシュ
出演:オマール・シー / シャルロット・ゲンズブール / タハール・ラヒム / イジア・イジュラン

フランスでの滞在許可が切れていることに気づかなかったサンバは勾留されてしまう
そんな彼を支援するためにアリスが話を聞きにきたことで、ふたりの交流がはじまる

いろんな人の助けになる主人公、という映画であることは間違いないんだろうけど、なんとも微妙な物足りなさを感じずにいられない
アリスをメインにオムニバス的に出会った人に笑顔をふりまく、というシンプルなものでもなく、個人的に各エピソードそれぞれが不完全燃焼すぎる気がした
鑑賞後も「え?終わり?」みたな半端な気持ちなまま突き放された印象がありました

警察に絡まれれば一発アウトという状況になり、かなり生活に制限と虚偽の負担がかかるサンバさんが、そんな自身のことをよそになんだかんだで周りの人の助けになっていく感じのお話ですね
ただ、自己犠牲による人情ドラマみたいな息苦しさの中での気持ちよさ、ってのが観てて感じられないんですよね
特にメインとなるアリスさんとの話にあまり魅力が感じられない

ウィルソンとバカをやりはじめた辺りでおもしろくなってきて、どんどん救われていくアリスと苦境におちいっていくサンバの対比が楽しめます
だけどやっぱりウィルソンが絡んできてこそサンバさんの魅力が輝く気がしないでもない
話的にもアリスかウィルソンかもっとしぼって描くか、三人の関係を深めてくれた方がおもしろかったかも

瞬間的なおもしろさはあるし、ここが良かった点もある
だけど総じてみてみると、鑑賞後の物足りなさがなんともいえないんですよね

個人的評価:75点
オススメ度:自分のことはおいといて、バカみたいに笑顔を振りまく話じゃないのは確か




サンバ 予告

海月姫 (2014/日)

監督:川村泰祐
出演:能年玲奈 / 菅田将暉 / 長谷川博己 / 池脇千鶴 / 馬場園梓 / 太田莉菜 / 篠原ともえ / 片瀬那奈 / 速水もこみち / 平泉成 / 内野謙太

クラゲオタクの月海はオタク仲間のみんなと天水館で暮らしていた
ある日、出会った女装趣味の男から再開発計画によって天水館が取り壊されると聞かされ・・・

思ってたより蔵之介の女装は見るに耐えたし、月海たちのオタクっぷりも楽しめました
そんな個人的にプラスの「思ってたより」があった反面、逆にマイナスの部分の方が強く感じられて残念
ちょっとは覚悟してたけど、その覚悟をこえる感じのスイーツ臭というか、明らかにナウなヤング向けっぽい作りでしたね

オタクたちが現実の波によるピンチに立ち向かううちに、ちょっとはネガティブなヒッキー根性が矯正され、同時に主人公のロマンスもうんぬんっていう内容なんですが・・・
過剰演出によるコメディ部分も含めて、ホントに全体的におっさんが観るような空気感じゃないッスね
サクっとした超絶ライトコメディに古くさいロマンス成分が加わり、作品じたいもしょうじきイマイチな感じがしました

バカコメディならそっち方面に突き抜けてくれればいいんですが、中途半端に守りに入っちゃってて笑うに笑えないシーンが多い
特にファッションショーで立ち向かうとか、正気の沙汰と思えないアイディアを「いや、さすがにそれはない」と冷めた目線でしか観られないのはどうかと
ドレスの数々のデザインセンスも冗談でやってるのかマジなのか個人的に理解しがたかった

そんな感じでバカ盛り大爆笑オタクコメディを期待してたものの、話じたいも含めて中途半端感にげんなりしてしまった一本でした

個人的評価:40点
オススメ度:あのドレスは見る人が見れば素敵なんかな




海月姫 予告

2014年12月21日日曜日

バンクーバーの朝日 (2014/日)

監督:石井裕也
出演:妻夫木聡 / 亀梨和也 / 勝地涼 / 上地雄輔 / 池松壮亮 / 高畑充希 / 宮崎あおい / 貫地谷しほり / ユースケ・サンタマリア / 本上まなみ / 光石研 / 大杉漣 / 田口トモロヲ / 徳井優 / 大鷹明良 / 岩松了 / 鶴見辰吾 / 石田えり / 佐藤浩市

1900年代前半のカナダで働く日本人によって結成された野球チーム朝日軍
新キャプテンとなったレジーだったが、どうあがいても白人の力にはかなわずチームに暗いムードが漂う

弱小日本人野球チームがカナダの地というアウェーな環境の中、なんとか光明を見いだす
という話で間違いはないんだけど、なんというか野球映画じゃない感がしてならない
逆境の中でのドラマを描きたいのは分かるけど、もうちょい野球の部分で興奮させてもらいたかった

遠い異国の地で安い賃金で働かされ、罵られ陰口をたたかれ、しかも働き口もどんどん減ってきている悪い状況という暗い状況の中、さらに辛気くさい主人公の覇気のなさがどうしようもない出だし
もう序盤から負の部分ばかり強調されて観ててげんなりせざるえない
せめて主人公が天然の明るさをもつか、野球シーンが楽しそうに描かれれば救われたけど、それすらない

本格的に野球の試合がはじまると、やっと話じたいが楽しめるようになる
負けてもどこか明るさがあるし、そんな光あればこそ負のオーラをまとう主人公もちょっとは魅力がでてきます
頭脳野球によって試合にも勝てるようになってきて、どんどんと明るくなってくる作品
そんな良い部分あっての新たに問題が生じる展開なら、もう息苦しさは感じない

ただなんか野球の試合的に、チーム的にすごいことをやってるのは分かるけど、そこら辺がいまいち伝わってこないんですよね
野球シーンが見ていてドキドキもわくわくもしないし、別段おもしろくない
なんというか作ってる側がそれほど野球というスポーツに思い入れがないんじゃなかろうか、と邪推してしまう

こういうドラマを描きたかったという点ではいいとしても、「おもしろい野球してるな」と観てて思えないのが残念だった一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:フジの朝日映画か




バンクーバーの朝日 予告

ベイマックス (2014/米)

監督:ドン・ホール / クリス・ウィリアムズ
出演:スコット・アツィット / ライアン・ポッター / T・J・ミラー / ジェイミー・チャン / デイモン・ウェイアンズ・Jr. / ジェネシス・ロドリゲス / ダニエル・ヘニー / マーヤ・ルドルフ / ジェームズ・クロムウェル / アラン・テュディック

ロボットファイトに明け暮れる少年ヒロ
兄のタダシに連れられて大学を訪れ、それを機に入学を目指すことになる

ケアロボットで戦うとか、そういうんじゃねえから
という感じのまったりものかと思ってたんですが、超オーソドックスなスーパーヒーローアクションだったという
ケアしてるよりアクションしてる場面の方が多くて、個人的にはこういう少年バトルマンガっぽいノリの方が好みだったので楽しめました

話的には兄のタダシの死に裏があると気づいて、ケアロボットのベイマックスと仲間たちとともになりきりヒーローデビューだぜって感じ
ぷにぷに癒し系なベイマックスは序盤で終了、あとはアーマー姿のバージョン2とヒーロー姿の面々でずっとアクションしてる印象が強い
内容もヒーローとして正しい行いをしよう、ってふうな流れだしアメコミヒーローものが好きなら楽しめるかもしれんね

そんな感じでアクションをメインなら楽しめるけど、兄弟愛とかベイマックスに癒し要素を求めているとちょっと「あれれ?」ってなるかも
ストーリーも単純という意味でけっこうシンプルなアクションアドベンチャーなんで、ホントに少年マンガを読んでる感覚に近いですね
世界観とかも最初はアジアがベースになってる部分が中途半端な感じで引っかかるけど、最後にはけっこう魅力的に思えるようになりました

個人的評価:85点
オススメ度:まさに新ヒーロー誕生編みたいで続きも観たい気がしないでもない




ベイマックス 予告

2014年12月15日月曜日

ゴーン・ガール (2014/米)

監督:デビッド・フィンチャー
出演:ベン・アフレック / ロザムンド・パイク / ニール・パトリック・ハリス / タイラー・ペリー / キム・ディケンズ / パトリック・フュジット / キャリー・クーン / デビッド・クレノン

5年目の結婚記念日、ニックが家に帰ると室内が荒れていると同時に妻がいなくなっていた
事件性があると判断した彼は警察を呼び、妻の捜索に協力するのだった

出だしから終わりまで本当によく練られていると言うしかないアメージングな作品
予告を見ていただけの段階では、加熱する報道によって事実は置いてけぼりで主人公のことをおもしろおかしく悪役にまつりあげていく皮肉っぽい内容かと思ってましたが…
ネタバレはしない方向で言うと、なんとも前半と後半、始めと終わり、夫と妻、色々と相対する描き方が本当におもしろかった

夫のニックが妻の失踪に警察へ協力するけど、けっこう彼女の知らない部分が多い
しかもどことなく冷めている様子もうかがえて、事件に関係するような裏があるような雰囲気が漂う
そんな中で妻エミリーの日記で夫婦の過去を描きつつ、ニックと事件が怪しい方向へ流れはじめるという「なんかある」感じが興味を持続させる
しばらく重苦しい空気が支配してるけど、意外に早い段階で事件の真相が分かって観ていて一息つけます

そこからさらに観ていくと「そういうことか」というように分かりやすいヒントの描写で、まるで自分で気づいたかのような気持ちよい満足感へ誘導してくれるから小憎らしい
話の流れ的にも、作品じたいとしてもいろんな意味で観ていて自然と心を掴まれながら、そのエスコートっぷりが心地よいからたまらない
「本当に大切なものはいつも 失って初めてわかる」…鑑賞後、何気に目についた映画のポスターの前で思わず立ち止まって「良いコピーだな」と思い耽りました

個人的評価:100点
オススメ度:観てて、なんとなく「シリアル・ママ」を思い出した




ゴーン・ガール 予告

2014年12月14日日曜日

劇場版「進撃の巨人」前編 紅蓮の弓矢 (2014/日)

監督:荒木哲郎
出演:梶裕貴 / 石川由依 / 井上麻里奈 / 谷山紀章 / 小林ゆう / 下野紘 / 逢坂良太 / 細谷佳正 / 橋詰知久 / 嶋村侑 / 三上枝織 / 藤田咲 / 神谷浩史 / 小野大輔 / 朴ろ美 / 藤原啓治

壁に囲まれた街で暮らすエレンたち
ある日、突如として現れた超大型巨人によって壁が破壊、街が巨人たちに蹂躙されてしまう

アニメで話題になった時、原作マンガのさわりだけ読んだていどのいつも通りのにわかっぷりで鑑賞
マンガだとちょい分かりづらくて魅力が理解できなかったけど、アニメで観ると非常におもしろくて内容も伝わってきました
とはいえ、やっぱり元のアニメもしくは原作マンガをちょっとでも読んでないと辛い内容な気がしないでもなかったですね

実際にアニメとして動いている立体機動をはじめて観ましたが、これはTV放映時に話題になるのもうなずけた
スピード感と迫力のある動きはホントに爽快
それに反して生理的に嫌悪感しかおぼえない巨人のデザインと、話の絶望的な流れがブレンドされておもしろい

だけど、総集編的な再編集という意味で仕方ないかもしれんけど、どうにもずっと同じテンションで戦いっぱなしで疲れる
さらに絶望的な展開で重苦しすぎて苦しくなってきます
この作品の売りである部分がプラスにもマイナスにも作用してる感じがしました

じゃっかんぶつ切りが気になる部分があるにはあるけど、編集の仕方じたいは不自然な点はあまりなかったですね
巨人の再生能力とか弱点とかの説明が不足してる感じで、そこら辺は原作を知っていないと飲み込みづらいかもしれん
とりあえず、なんとなく知ってるけどスルーしてて、ぎゅっと凝縮した感じで一気に観たいっていう私のようなものぐさにはちょうどいい一本かもしれません

個人的評価:75点
オススメ度:2016年までこの人気が保てるんかな




劇場版「進撃の巨人」前編 紅蓮の弓矢 予告

宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟 (2014/日)

監督:出渕裕
出演:小野大輔 / 桑島法子 / 鈴村健一 / 大塚芳忠 / 中村繪里子 / 菅生隆之 / 久川綾 / 國分和人 / 近木裕哉 / 藤田咲 / 東地宏樹 / 諏訪部順一 / 園崎未恵 / 立花慎之介 / ふくまつ進紗 / 大友龍三郎 / 甲斐田裕子 / 田中正彦 / 石井康

イスカンダルから地球への帰途にあった宇宙戦艦ヤマト
新たなる敵ガトランティスの攻撃にあい、なんとか逃げようとするが・・・

とりあえず完全に前作の続きで、いっさいこれまでの航海に関するフォローはなかったですね
「前作とか観ててあたりまえなんで。そこら辺は大前提ですから」って感じ
ガミラスとの本当の意味での決着、という感じなようなそうでもないような微妙な話ではありました
しょうじきやってもやらなくても良かった話な気がしないでもない

話としてはまんま家につくまでが旅ですってふうで、なんかとってつけた感のかませ犬なガトランティスというチンピラに絡まれながら、よく分からんうちにヤマトを憎むガミラス残党とホテルでばったり、みたいな
ガミラスとのいざこざに完全決着つけたいってなら、もっと深い部分までドラマを展開した方がよかったかなあ
地球人とガミラス人のいさかいうんぬん、という核になる部分をやりたいのはいいけど、それをとりまく要素が中途半端すぎな感じ

新たな敵の脅威、かつての敵とのやりとり、熱い男のドラマ、燃える戦闘、盛り上がる要素はふんだんにあるし、瞬間的には男の子の心が呼び覚まされる部分はある
だけどなんともサイドストーリーを観ているような、本編から外れてる物語に気分が上がりきらないのも事実

シリーズの一編としての挿入話ならいいけど、これ単独で劇場作品って言われるとじゃっかん物足りない感じがする一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:まあ、別にわざわざヤマトじゃなくてもいいよね




宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟 予告

2014年12月8日月曜日

チェイス! (2013/印)

監督:ビジャイ・クリシュナ・アーチャールヤ
出演:アーミル・カーン / カトリーナ・カイフ / アビシェーク・バッチャン / ウダイ・チョープラー

シカゴで銀行を襲っては金をばらまく強盗のサーヒル
そんな彼は表の顔としてサーカス興業をシカゴで始めようとしていた

歌と踊りと演出過剰なアクション、インド映画としてのテイストが満載
それでいてあまり強烈なインドっぽさはないんで、普通の娯楽作品として楽しめます
唐突なダンスシーンとかはあるけど、そこら辺はけっこう流れに合わせてる感じもするし、そう歌って踊る場面は多くない
ちょっとクライマックスにかけて尻すぼみな感はあるけど、スタイリッシュアクションとして頭からっぽにして観られますね

とにもかくにも主人公をかっこ良く魅せるための演出がくどいくらいに炸裂しまくり
トンデモアクションにトンデモバイク、トンデモサーカスで胸焼けするほどの娯楽展開
中盤まではホントに息をつく暇を逆に要求したくなるくらいにアクションとサーカスの特盛り波状盛り上がり攻撃で、ちょい観てて疲れるほど

で、このままストーリーとか放棄して、アクション&サーカスのくどい盛り上がりを続けていくのかと思いきや、それなりに作品として話を進めてくる中盤でやっと一息
ネタバレ部分もふくめて話もいっきに見えてきます
だけど、どうにも前半に比べてクライマックスの展開のさびしさと唐突さが気にならざるえない

ケンカしてたふたりが普通に元通りになってたり、場面転換が急すぎたり、なんか露骨な息切れっぷりを感じずにいられない
あと、個人的にはもう少し歌と踊りのシーンとバカ演出があってもよかったかな、と思った一本でした

個人的評価:80点
オススメ度:3って1とか2があるんかな




チェイス! 予告

西遊記 はじまりのはじまり (2013/中)

監督:チャウ・シンチー
出演:スー・チー / ウェン・ジャン / ホアン・ボー / ショウ・ルオ

調教系妖怪ハンターの三蔵は修行中ながら己の無力さを痛感していた
そんな時、彼につきまとう女妖怪ハンター段と出会い・・・

はじまりのはじまり、っていう副題と「降魔篇」と表記されてることからイヤな予感はしてたけど、まんま序章ポジションな作品でしたね
寒いギャグに引きまくり、子供だましなようでエグい展開もある作品の雰囲気がどうにも最後まで個人的にノリきれなんだ
すっごい食べ合わせの悪いもんを嫌々ながら食ってる感がしてならなかったです

要するにおなじみの三妖怪と三蔵が天竺へGOするまでのプロローグな内容なんですが、とりあえず作風じたいが肌に合わない
ギャグなのかスリラーなのか中途半端な雰囲気は独特で、大人が観るには子供っぽいし、子供が観るにはキツい描写もあり、どのターゲットを狙ってるのか分からない
妖怪も妙にパチモンくさいデザインで、いっさいのかわいさがない

出てくるキャラもみんな軽くイラっとくる輩ばかりで、久しぶりに苦行的に映画を観ることになりました
特に悟空登場時の穴の中での一連のシーンは出来の悪いコントにしか思えず、ここも含めていっさい笑えるところがなかったのも残念
まあ、個人的に合わない映画だけだったかもしれんけど、最初から最後までこの作品の良い部分を見つけることができませんでした

個人的評価:0点
オススメ度:続編とかわりと本気でノーサンキューです




西遊記 はじまりのはじまり 予告

2014年12月7日日曜日

滝を見にいく (2014/日)

監督:沖田修一
出演:根岸遙子 / 安澤千草 / 荻野百合子 / 桐原三枝 / 川田久美子 / 徳納敬子 / 渡辺道子 / 黒田大輔

幻の滝を見るツアーに参加した7人の中年女性たち
山道で先行したガイドの帰りを待ちきれず、二手に分かれて探しに行くことにするが・・・

想像通りなおばちゃんパワー全開映画
そりゃ王道展開なギスギス要素もあるけど、パワープレイで困難を笑い飛ばしてくれます
この状況で、っていうようなシュールな要素も多く、単なるおばちゃんたちのキャラだけコメディってわけでもないのがおもしろい

7人もいればそりの会うグループと合わないグループができるのは必然で、そんな登場人物たちのやりとりの中で自然と各キャラの特性が観てて伝わってきます
そんな灰汁の強いキャラたちの個性爆発っぷりが、他の人たちとからむことで魅力が数倍にふくれあがる
なにげないおばちゃんトークが不思議と楽しすぎるんですよね

特にジュンジュンのキャラの素敵さが卑怯なほど増していくから困らない
苦境を笑顔で通す超絶いやし系のその存在は、作品自体のおもしろみの中でもけっこうなウエイトをしめてる気がしてならない
あとは個人的に草っていうかつるの引っ張りあいに「ああ、やったやった」と懐かしすぎて笑みがこぼれた

しょうじきストーリー展開的にはなにかすごいものがあるってわけじゃないんで、そこら辺の物足りなさは否めない
だけどそれ以上に状況を観ているだけでゆるい笑いがこぼれすぎておもしろい
このゆるさに乗り切れれば最初から最後までゆっるゆるで楽しめる一本かもしれません

個人的評価:80点
オススメ度:クワマンってあだ名はやめてあげてください




滝を見にいく 予告

6才のボクが、大人になるまで。 (2014/米)

監督:リチャード・リンクレイター
出演:エラー・コルトレーン / ローレライ・リンクレイター / パトリシア・アークエット / イーサン・ホーク

両親、姉とともに暮らす少年メイソン
ある日、離婚により母について姉と引っ越すことになる

12年という歳月を同じキャストで描いた、というのが話題ながら、そういった挑戦的な手法の部分だけって作品ではなくておもしろかった
成長する少年と家族、時の流れ、大きな変化と小さな変化、「映画を観たな」という気分に満たされます
けっこうコミカルなシーンも多く、堅苦しさがないのもよかった

とりあえず感じるのが時間の流れの自然さ
いきなり再婚したシーンが展開されても、そんなに場面的に不自然なつながりに感じない
主人公の成長する姿だけではなく、唐突に訪れる状況の変化の中でも観ていてすんなりそれを受け入れられる
過剰すぎず説明不足でもない絶妙なバランスが心地よい

話的にはホントに主人公と家族うんぬんというなんの変哲もない内容だけど、少年である身ではどうにもできない家族の問題の苦しさ、逆に家族ゆえの喜びという部分を観ているだけでじゅうぶんに楽しめる
なにより両親の存在が完璧すぎないところがいいですね

ひとつだけ気になる点があるとすれば、じゃっかん最後の方が蛇足っぽく思えなくもない
人によって感じるところは違うかもしれないけど、個人的には大学での新生活はちょい気分が冷めた
と、まあ、ホントに些細な気になるところはあるけど、良い映画だったと思える一本でした

個人的評価:90点
オススメ度:アニメとゲームの移り変わりから時の流れを感じざるえない




6才のボクが、大人になるまで。 予告

2014年12月1日月曜日

楽園追放 Expelled from Paradise (2014/日)

監督:水島精二
出演:釘宮理恵 / 三木眞一郎 / 神谷浩史 / 林原めぐみ / 高山みなみ / 三石琴乃 / 稲葉実 / 江川央生 / 上村典子 / 三宅健太 / 遠藤大智 / 安済知佳 / 古谷徹 / 半田裕典 / 荒井聡太 / 金本涼輔 / 新井良平 / 森下由樹子 / 劉セイラ / のぐりゆり / 小川慎太郎 / 小池万瑠美

人類の90%が電脳世界ディーヴァで暮らすようになった未来
地球に残った何者かからハッキングを受けたディーヴァは、エージェントであるアンジェラらに肉体を与え地球へ調査に向かわせる

何の前知識もなく飛び込みで鑑賞
SF、萌え、メカ、と現代の売れる要素をぜいたくにぶちこんだ盛りだくさんな作品でした
しょうじき個人的に主人公のあからさまな萌えキャラっぷりに拒絶反応があったけど、他の部分で楽しませてもらいました

内容的には美少女&ワイルドでアダルトな男がコンビを組み、主人公であるアンジェラが地球の現状と肉体を持つことの意味を感じつつハッキング犯を追いかける、という感じ
犯人探しうんぬんっていうより、主人公が初めての体験を通じて色々と経験値を高めていくのを見守る要素が強い
作品として1から世界観を説明しなくちゃいけないっていうのは分かるけど、そういった主人公の体験を通して描かれる部分がちょっと退屈

盛り上がってくるのはやはりハッキング犯を含めた真相が見えてきてから
真実が分かってから、「このままゆるゆるっと終わっちゃうのかな」と思いもしたけど、そこはキチンとサービス精神旺盛なバトルで熱くなれたので満足です
まあ、アレですよ、ぶっちゃけバトルシーンだけで個人的には楽しみきった感があると言わざるえない

難を言えばやっぱり主人公の美少女キャラっぷり&キンキン声が個人的に最後まで好みに合わなかったこと
そして、世界観、荒廃した地球の描写がどうにも「作られた汚さ」みたいな感じで、現実の延長線にあるリアルな汚さと思えなかったのが残念でした

個人的評価:80点
オススメ度:ロリ巨乳金髪ツインテとか狙いすぎて引くわ




楽園追放 Expelled from Paradise 予告

THE NEXT GENERATION パトレイバー 第6章 (2014/日)

監督:田口清隆 / 湯浅弘章
出演:真野恵里菜 / 筧利夫 / 福士誠治 / 太田莉菜 / 千葉繁 / 堀本能礼 / 田尻茂一 / しおつかこうへい / 藤木義勝 / 波岡一喜 / 高島礼子 / 大東駿介 / 駿河太郎

密輸された軍用レイバー強奪騒ぎの顛末を描くエピソード10
高校の同窓会が開かれることになり、青春時代を思い起こす泉野のエピソード11を描くオムニバス

待ってましたの軍用レイバーとの戦い、というか本格的な対レイバー戦ってんで盛り上がらざるえない
という期待が高すぎたのかもしれんけど、どうにも思ったような熱い展開じゃなくてガッカリ感に落ちる
エピソード11も単純なロマンス話っていうんじゃなかったけど、ちょっと物足りなかったかな

まずは軍用レイバーとの対決を描くエピソード10
待ってました、という展開ながらなんというか蜂野と公安のおばちゃんというキャラを描きたかっただけな内容な気がする
ふたりとも今後(長編劇場版?)に引き継がれるのか知らんけど、どうなんですかね
内容的にはやっぱり2号機をかませ犬にしてからの1号機、っていう二段戦闘が観たかった
民宿とかどうでもいいわあ

次に同窓会をめぐる泉野のロマンス話のエピソード11
甘くて苦い青春の思い出と、同現実を描いていて、思ったより甘すぎないロマンス要素で個人的に鑑賞には耐えられた
どっちかといえば青春小説っぽい雰囲気な内容で、なんだかんだ良エピソードにまとまってますね
だけど、なんというかどっかで観たようなシーンと展開のつぎはぎに引用を重ねた感は否めない、泉野のロマンス”ネタ”エピソードという印象でした

そんなこんなで気分が盛り上がりきらないまま、次で最後になりました
予告からはなんとも内容が読めないけど、ここまできたら長編まできっちりつき合います

個人的評価:75点
オススメ度:対レイバー戦なんて”あまり”なかった





THE NEXT GENERATION パトレイバー 第6章 予告

2014年11月30日日曜日

寄生獣 (2014/日)

監督:山崎貴
出演:染谷将太 / 深津絵里 / 阿部サダヲ / 橋本愛 / 東出昌大 / 大森南朋 / 北村一輝 / ピエール瀧 / 新井浩文 / 國村隼 / 余貴美子 / 浅野忠信

謎の寄生生物に右腕を乗っ取られた高校生の泉新一
同じ頃、日本各地で脳を乗っ取られ、人間を喰い殺す事件が頻発しだすのだった

かの有名傑作マンガの実写映画化・・・とか言いつつ、いつものように原作は未読というね
世代的にはおもいっきり寄生獣を読んでておかしくはないんだけど、なんだかんだで当時はスルーして現在にいたってしまいました
逆に考えれば変な思い入れがないだけ映画そのものを楽しめる、という方向性で鑑賞

いくら思い入れがないとはいえ、ちょっと気がかりだった阿部サダヲの声
しかし実際に作品を観てみると、最初こそちょっと変な感じだったけどすぐに慣れましたね
それよりもがっかりしたのは染谷将太の扱い
個人的に彼の変幻自在な演技にすごい魅力を感じているんですが、この作品では普通すぎるキャラ表現と撮り方で残念

内容も「こんな話です」とストーリーを展開していく部分では興味は持続していて楽しめるんですが、どうにも盛り上がりが散発的な気がしないでもない
いくつか盛り上がるべき展開なシーンがあるんですが、どれも高ぶりきらないうちに次の流れに移っていっちゃってる感じ
そつなく話を描いてはいるし、冷静に観ればひとつひとつのシーンの表現は丁寧に描いていると思う
でも、なんともインパクトがないっていうか、ここが最高に良かったという場面が思い浮かばない

まあ、アレだいつもの「20世紀少年」とか「カイジ」のノリと同じ一時だけ盛り上げて売り抜けばOKみたいな方向性の作品っぽい印象
どうせ完結編の公開にあわせてTVで放送されるだろうし、それを待ってもいいかもしれません

個人的評価:70点
オススメ度:思った以上に寄生された人間の戦闘方法にバリエーションないのね




寄生獣 予告

フューリー (2014/米)

監督:デビッド・エアー
出演:ブラッド・ピット / シャイア・ラブーフ / ローガン・ラーマン / マイケル・ペーニャ / ジョン・バーンサル / ジェイソン・アイザックス / スコット・イーストウッド

第二次大戦中、戦車フューリー号で仲間とともにドイツ軍と戦うドン
亡くした副操縦士に変わって補充された新兵ノーマンを加え、新たな任務につくのだった

思った以上にオーソドックスな戦争映画でした
アクション中心に観ても、戦争うんぬんということを中心に観ても楽しめますね
ただ、ちょっと優等生すぎるという部分で面白味がかけるかな、という点と大作を狙いすぎてるくさみが気になるといえば気になる

戦車についても知らず人も殺したことのない新兵に観てる人の感情移入を促し、その視点から生死、宗教、戦争という要素を楽しむオーソドックスな作り
戦争の残酷さや皮肉さ、生命のやりとりうんぬんについて色々と考えさせられながらも、なんだかんだ戦闘シーンでは純粋に熱くなってる自分を見つめるのがおもしろい

人の感情の部分をゆさぶるドラマ性、そして多様な戦車戦のバランスがいいですね
今までに戦争映画の名作はいっぱいあったけど、現代のそれを目指してる感が伝わってきます
そんな大作を作る、という欲目が個人的に嫌らしく映ってしまってるように思えたのも確か

近年の戦争を扱ったFPSゲームや、軽いノリな戦争アクション映画に慣れた世代に重さを感じられるザ・戦争映画ってのを提示したかったのかもしれんね

個人的評価:80点
オススメ度:ドイツの戦車がすげえってのは分かった




フューリー 予告

2014年11月23日日曜日

日々ロック (2014/日)

監督:入江悠
出演:野村周平 / 二階堂ふみ / 前野朋哉 / 岡本啓佑 / 落合モトキ / 古舘佑太郎 / 喜多陽子 / 蛭子能収 / 毬谷友子 / 竹中直人 / 古舘佑太郎 / 藤井清也 / 小林亮平 / 藤川雄太

THEロックンロールブラザーズという売れないバンドをやっている日々沼たち
ある日、ライブハウスで演奏中に謎の女に乱入されステージを乗っ取られてしまい・・・

確かにクソB級だけでバカやってるだけの映画
なのにクッソマジメにバカを貫き通してるから不思議なおもしろさがあるんですよね
チープなつくりに、うなってがなってるだけの登場人物、垂れ流されるクソな音楽、だけど暑苦しい熱さが伝わってくる・・・これがロックってやつなんですかね

小さなライブハウスで住み込み活動してる売れないバンド、そこに人気絶頂のアイドルがからんでくるんですが、とにかく話やセリフうんぬんっていうよりノリと勢いだけで押し切ってる内容
特に主人公のキョドりっぷりが顕著で、自分で音楽について心の声で語るでもなく、理解者が彼について代弁するでもないのがひどい(ほめ言葉)

開幕の流血騒ぎから、乱闘騒ぎ、とバカすぎるバイオレンスっぷりにクソ映画臭を隠そうともしない潔さ
かといってライブシーンが迫力あって、なんだかんだ主人公たちが輝くかと言えばそうでもない
そんなジャンクな作りにだんだんと慣れてきて、変な感じで楽しくなってくる
さすがにクライマックスでは不覚にも「日々沼・・・カッコイイ、かも」と思わされますが

なにはともあれ、まともなセリフがほとんどなく、中腰で力みながら腕をつきだしているのが基本スタイルのキャラをなんのフォローもなく主人公にしてるのが素敵すぎると言わざるえない

個人的評価:75点
オススメ度:日々沼、マジ社会不適合者




日々ロック 予告

インターステラー (2014/米)

監督:クリストファー・ノーラン
出演:マシュー・マコノヒー / アン・ハサウェイ / ジェシカ・チャステイン / ビル・アーウィン / エレン・バースティン / マイケル・ケイン

食糧危機にみまわれた地球
エンジニアのクーパーは娘の部屋で土埃に座標が示されていると読みとる

言うほどSF作品について知識はないけど、そんな素人目線ながらザ・SFな映画だなと感じました
ひとつのネタに特化したものではなく、広がりがあるというか、作品の世界がしっかりしてて太いというか、うまく言えないけどそんな感じ
アドベンチャー的な娯楽要素もあって、そんなに肩肘はらずに楽しめるのもよかった

なんとなくの第一印象通り、地球から宇宙へ向かう課程をふくめて起承転結がはっきりしてて丁寧な作りがうかがえますね
長尺な映画ながら、けっこう序盤には宇宙へ飛び立つのも早い
だけど個人的にはもうちょい地球での話を続けてもよかった気がしないでもない
逆に宇宙出発初期段階のテンポがじゃっかんゆるく感じました

途中でちょっと眠くなったりもしたけど、中盤以降はいっきに盛り上がってきます
未知の星でのアドベンチャー、親子のドラマ、プロジェクトの真相、たたみかけるように展開していって目が離せない
特に地球での話の時から「なんかファンタジー要素も大きいのかな」と、頭のすみに引っかかる部分があったんですが、そこら辺もSF的に処理されていてよかった

しかしながら、しょうじきなところ賛否の幅が大きい映画なんじゃないかな、と思うのも確か
「これがいいんだよ」と思う人もいれば、「こんなん求めてない」と思う人もいるんじゃなかろうかと
途中で引っかかるとこはあったけど、最後まで観てみれば個人的には大満足できた一本でした

個人的評価:85点
オススメ度:なにげにナイスな相棒TARSさん




インターステラー 予告

2014年11月20日木曜日

フランク (2014/英・アイルランド)

監督:レニー・アブラハムソン
出演:マイケル・ファスベンダー / ドーナル・グリーソン / マギー・ギレンホール / スクート・マクネイリー / カーラ・アザール / フランソワ・シビル

キーボードをひいて作曲もしているジョンは、ある日、地元でのライブで演奏するバンドに飛び入り参加する
その着ぐるみの面をかぶったフランクと名乗る男の率いるバンドから、後日、メンバーへの誘いがきて・・・

ある意味で人によっていろんな見方ができるんだろうけど、作りとしてはジョン目線で観るようにできていて、それにのっかった方が楽しめるかもしれん
なにはともあれフランクの強烈な存在感、そして個性豊かなバンドメンバーのキャラクターがおもしろい
真面目に音楽作りをしてるようで、「おまえら何やってんだよ」と思えるコミカルな部分もあるけど、個人的にはあまりコメディっぽく受け取れなかった

なかなか自分の曲がみつけられないジョン、そこへ奇妙な面をかぶったフランク率いるバンドから声をかけられ、音楽作りをともにするうちにいろいろと変化がおとずれる
みたいな内容だけど、フランクの面もさることながらジョンに嫌悪感丸だしのクララをはじめ、精神的にアレなドンとかメンバーの素敵さを堪能させられる作品

ジョンはずっとメンバーと曲作りをともにすることで、どんどんとけ込んでいく・・・ように見えて、実際は彼の一方通行な絆な雰囲気が漂う
そんな暗さが良い味をだしていて、バカみたいな音楽制作の日々のライトさとの温度差がいい
ジョンとフランクの親密さ、ジョンとクララの敵対関係みたいな分かりやすい部分から細かいところまで作品をあえて不安定な感じにしてるのがおもしろい

しょうじきかなり人を選ぶ系な作品だと思うし、なにか物足りない感じもする
フランクという特異な存在を興味本位で楽しんで観てると、ちょっと複雑な気分にさせられる
そこがおもしろいと感じるか、拒絶反応をおこすかで評価が変わるかもしれんね
個人的には「アリ」でしたが

個人的評価:80点
オススメ度:日本のバンドの色物担当はベースが多い不思議




フランク 予告

2014年11月19日水曜日

想いのこし (2014/日)

監督:平川雄一朗
出演:岡田将生 / 広末涼子 / 木南晴夏 / 松井愛莉 / 巨勢竜也 / 高橋努 / 川籠石駿平 / 佐藤二朗 / 村杉蝉之介 / 鹿賀丈史

女たらしで金に汚い男の本多ガジロウは、ある日、路上に飛び出して車にひかれてしまう
ガジロウはなんとか一命をとりとめるものの、車に乗っていた四人は死んでしまい、彼にだけ姿が見えて触れられる存在として付きまとうのだった

わりとライトでコメディタッチな印象が強く、あまり思いっきり泣けるような心に響くドラマじゃなかった感じ
作品全体がどこかTVドラマっぽい雰囲気をかもしだし、死んだ四人の想いのこしを成就させるちょっと良い話集っぽい
主人公のキャラと演者さんのマッチングは良い感じで、チャラくてダーティな存在感だけはよかったですね
けっしてつまらなくはないけど、過度な期待はしない方が楽しめるザ・普通な作品だな、と思いました

基本は主人公が四人の死者が貯め込んだ金をもらうことで、現世への未練を代行する流れ
そんな中でけっこう終盤にさしかかっても性格の悪さがブレないガジロウさんは素敵かもしれん
口が悪くて誤解されやすい性格とか、そんなヌルいキャラじゃなく、ホントに最低な野郎っぷりを貫いていておもしろい
エピソードじたいもガジロウと恋人を重ねて感じられるファンタジーな最初の話、そして次にはなんだかんだで「そこにいると思わせてくれた」という現実的な話という差別化された二編までは楽しめました
だけど、あとはなんかファンタジー一辺倒で代わり映えしない話が続いて物足りない

話の流れ以外でもあまりに主人公が登場人物と偶然に遭遇する場面が多く、ご都合主義で強引すぎる展開が気になる
さらにクライマックスにかけていきなり良い人っぽい行動へ傾く主人公の姿にも違和感がある
ちょっとした偶然の重なりのファンタジーさは良いスパイスになるけど、ここまでやられるとさすがに鼻につきますね
と、良い話の寄せ集めではあるけど、気になる部分も多々ある作品でした

個人的評価:60点
オススメ度:ポールダンスやろうってとこに至る思考経緯が理解できんわ




想いのこし 予告

2014年11月17日月曜日

神さまの言うとおり (2014/日)

監督:三池崇史
出演:福士蒼汰 / 山崎紘菜 / 神木隆之介 / 優希美青 / 染谷将太 / 大森南朋 / リリー・フランキー / トミーズ雅 / 前田敦子 / 肥後克広 / 上島竜兵 / 寺門ジモン / 山崎努 / 水田わさび / 小桜エツコ

高校生の高畑のクラスで動けば死ぬルールのダルマさんがころんだが突如として開始される
脱出不能の教室の中、状況把握の間もなく次々とクラスメイトが死んでいく

世界のMIIKE監督作品の灰汁部分だけを凝縮したような内容だろうと覚悟して観たけど、やっぱりそんな感じでした
予告編を見て「あ、これやばいやつだ」とちょっとでも感じたなら回避するのが賢明でしょう
軽い好奇心で鑑賞しようものなら、映画終了後にぽかーんとさせられること必至

観てる最中は「鑑賞に耐えられないほどクソ」な感じはせず、おもしろくはないけどクソつまらなくもないレベルと思えます
でも最後まで観れば「やっぱクソ映画だわ」とすがすがしい気持ちで胸をはって断言できる
中途半端な残虐描写にスリル感、見所であるゲーム攻略の部分も子供だまし

それでもラストにはちょっとしたサプライズがあるだろう、なんて淡い気持ちで退屈感は紛らわすことはできます
でも、ホントに観てもなんも残らねえから、コレ
特に真剣に映画と向き合ってる人ほど、このふざけかげんにマジギレするかもしれんね
個人的にはクソB級映画に耐性がある上、覚悟完了してたんで「うん、こんな映画だろうって知ってた」ていどの軽いダメージですみましたが

ようするによくあるクッソB級な低予算の生き残りゲーム映画をちょっと金かけて撮るとこうなる、ってな風になんとなく世界のMIIKE監督が息抜きで作った感もする一本でした

個人的評価:40点
オススメ度:神さまも予告で完全にバレてるしね




神さまの言うとおり 予告

紙の月 (2014/日)

監督:吉田大八
出演:宮沢りえ / 池松壮亮 / 大島優子 / 田辺誠一 / 近藤芳正 / 石橋蓮司 / 小林聡美 / 平祐奈 / 佐々木勝彦 / 天光眞弓 / 中原ひとみ / 伊勢志摩 / 舟田走 / 井端珠里 / 冨田ミキ / 井上肇 / 大西武志 / 藤本泉 / 清瀬やえこ / 清水彩花 / 佐藤直子 / 猫田直 / 松岡恵望子 / 永井理沙 / 水野小論 / 俵木藤汰 / 稲森誠 / 梶原章司 / 今村雄一 / 佐津川愛美 / 桜木信介 / 嶋田翔平 / 森脇由紀

銀行の営業職についている梅澤梨花
夫がある身ながら顧客の家にいる若い男を意識しはじめてしまい・・・

金欲の話かと思ったら愛欲の話だった、とも感じつつ実はそう単純なものでもない作品でしたね
一見してありがちな体を装ってて、そういう見方もできるけど、いろいろと思うこともあります
なんか微妙に難しくてめんどくさいような作品だけど、最後まで引き込まれる力はありました

予告だけを見てると、ちょっと魔がさして金をちょろまかしたのを発端に雪だるま式に欲望が押さえきれなくなっていく内容のようだけど、序盤を観ててもなかなかに一線をこえてこなくて「あれ?」ってなる
そうこうしてるうちに愛欲におぼれていくような展開になり、やっと横領うんぬんの流れに
金にめがくらんで堕ちていく、という単純なものじゃないとわかって楽しめました

なんだかんだで主人公の思いは自身の口から語られるので、どんな内容だったのかは分かりやすい
しゃべれば軽くなるみたいな伏線も生きてるし、作品的にもよくできてると思えました
ただよく分からない人にはよく分からない、めんどくさい難しさがあるのも確か

主人公が語った部分をこえて理由づけしようとすると、とたんにどつぼにはまる気がしますね
そんな感じでちょっと観る人を選ぶけど、受け入れられる人は自然体でおもしろさを感じられるかもしれません

個人的評価:85点
オススメ度:こういうことがあった時の銀行の裏側って、こんな風にわりとクールに波風をおさえようとするんかな




紙の月 予告

2014年11月16日日曜日

天才スピヴェット (2013/仏・加)

監督:ジャン=ピエール・ジュネ
出演:カイル・キャトレット / ヘレナ・ボナム・カーター / ジュディ・デイビス / カラム・キース・レニー / ニーアム・ウィルソン / ジェイコブ・デイビーズ / ドミニク・ピノン

頭脳派の少年T.S.スピヴェットは同じく頭脳派の母、肉体派の弟と父、そして姉とともに暮らしていた
T.S.のもとにスミソニアンからベアード賞の受賞の連絡がきてまもなく、弟が銃が原因で死んでしまう

頭脳派といっても頭でっかちなだけじゃない天才、さらに個性豊かな家族もみんな魅力的に描かれてます
じゃっかん風変わりな部分を楽しむ雰囲気系な作品と言えなくもないんで、人を選ぶかもしれません
基本的に愛くるしいかわいらしさを強調したコミカルな作りで、それほど堅苦しい作品ではなかったですね

発明は父のものだと嘘をついて一度は断ったベアード賞の受賞式だけど、意を決してひとりで家出するようにワシントンを目指す中、いろんな人と出会ったりゆっくりと自身を見直していくことで少年の魅力を描いていく内容
自分自身を見つめ直すパート、他人との出会いのパート、そして思考するだけじゃない飛んだり跳ねたりの冒険パートがあることでT.S.のやんちゃな面もみれておもしろい

弟の死をはじめ、いろんな要素がけっこうあっさりと消化され、コメディタッチな作風も手伝ってライトな自分を見直す冒険活劇な印象を受ける
だけど、それこそが重要なことになっていて、あっさりとスルーしたような部分があとあとできいてくるからいい
作り笑いのような表層的なT.S.だけの話でない、家族の温かみを染み込むように感じさせられた一本でした

個人的評価:90点
オススメ度:変に悟りきってない子供らしさが残ってるのが小憎らかわいい




天才スピヴェット 予告

2014年11月10日月曜日

マダム・マロリーと魔法のスパイス (2014/米)

監督:ラッセ・ハルストレム
出演:ヘレン・ミレン / オム・プリ / マニシュ・ダヤル / シャルロット・ルボン / ミシェル・ブラン

父や兄姉妹とともにインドからフランスへやってきた料理人のハッサン
父が新しく店をかまえようとしるのは、ミシュランひとつ星の伝統あるフランス料理のレストランの目の前だった

インド人の料理人な主人公が、伝統あるフランス料理の店でインド的な味付けを武器に成功していく・・・という料理メインな映画じゃなくて逆にびっくりだわ
なんともロマンスや人と人とのドラマ部分の要素が大きいイメージ
料理人が主人公だけど料理がメインの映画じゃない、なんともいえない作品でした

インド料理の店を成功させようとはりきるハッサン父、フランス料理と自分の店に過剰なこだわりのあるマダム
内容はそんなふたりの素材の買い占めやら、重箱の隅をつつくような市長に対する苦情合戦ばかり
そこへハッサンとヒロインのロマンスがありつつ、あくまでドラマを盛り上げるスパイスとして料理がある感じ

劇中でマダムがシェフに料理で勝負しろみたいなニュアンスのセリフを言うけど、マダム自身が嫌がらせしてる現状で「おまえが言うか」と思わざるえない
ふたつ星うんぬんからの新しい味展開も蛇足っぽいし、どうにも個人的に盛り上がりきれないままラストをむかえましたね

あくまで個人的に料理映画を期待してたのがアレだったのかもしれませんね
あくまで料理の要素は映画本編に対してスパイスていどのものだ、と割り切れればよかったんでしょうね

個人的評価:70点
オススメ度:邦題で言うほどマダムの話でもない




マダム・マロリーと魔法のスパイス 予告

100歳の華麗なる冒険 (2013/スウェーデン)

監督:フェリックス・ハーングレン
出演:ロバート・グスタフソン / イバル・ビクランデル / ダビド・ビバーグ / ミア・シュリンゲル / イエンス・フルテン / アラン・フォード

100歳の誕生日を迎えたアランは、ふいに老人ホームを抜け出す
そして成り行きで駅にいた若者のバッグをそのまま持ち去ってしまい・・・

個人的に大好きな老人を扱った映画ですね
どことなくシュール&ファンタジーな映像系コメディを想像してたんですが、けっこうブラックな要素が多くて意外性がおもしろい
なるようにしかならない自分の道を貫き通す、すっとぼけたジジイの現在と過去、すべてにおいてキャラクターのチャーミングさがきわだってました

なんとなく抜け出した老人ホーム、とりえあえず手持ちの金でいけるところまで買ったチケット、成り行きで持ってきてしまった見知らぬ若者のバッグ・・・
というまったりさを楽しむ作品かと思いきや、キツネの爆破で「!?」と引っかかった部分が、話が進むにつれてどんどん大きくなる
暴力、殺人、金に警察とギャング・・・どんどん洒落にならない展開になっていく様子をコミカルに描いてます

で、同時にアランの過去がたびたび描かれ、なにげにとんでもねえジジイな現在のアランが「ああ、こういう過去があれば納得できるわ」となります
基本は成り行きまかせな人生のアランの周りで、巻き込まれた人たちがドタバタする感じで、現在においても過去話においても展開が進むごとにとんでもない状況になっていってく、と

そんな中でもとうのアランはすっとぼけた流されるままキャラを貫き、人が死のうが大事件に巻き込まれようが、苦境にたたされようがブレない姿が素敵です
最後の最後までそんなアランらしさが詰まりまくった一本でした

個人的評価:85点
オススメ度:幸せかとか道徳とか深く考えず、なるようになる感じで




100歳の華麗なる冒険 予告

2014年11月9日日曜日

エクスペンダブルズ3 ワールドミッション (2014/米)

監督:パトリック・ヒューズ
出演:シルベスター・スタローン / ジェイソン・ステイサム / アントニオ・バンデラス / ジェット・リー / ウェズリー・スナイプス / ドルフ・ラングレン / ケルシー・グラマー / テリー・クルーズ / ランディ・クートゥア / ケラン・ラッツ / ロンダ・ラウジー / グレン・パウエル / ビクター・オルティス / ロバート・ダビ / メル・ギブソン / ハリソン・フォード / アーノルド・シュワルツェネッガー

バーニー・ロス率いる消耗品部隊は新たな仲間ドクをえて、次のミッションへ向かう
そこでバーニーと因縁浅からぬ相手ストーンバンクスと出会い・・・

誰かが言った「こういう映画ってだいたい最後は敵と殴り合うんだよね」、と
おいおい、それが、それこそがB級アクション映画の美学じゃないか、こいよベネット
まあ、そんなことはどうでもいいんだけど、肝心の作品じたいもわりとどうでもよかった
要するにエクスペンダブルズ立ち上げのメンバーであり、バーニーが殺したはずの男が生きていて、そいつとやりあうってだけ

とりあえず個人的に今作からのバンデラスさんの参戦が嬉しいかぎり
若者枠で登場した時には「え?」と思ったけど、想像以上にウザいキャラで素敵でしたわあ
けっこう作中でも戦力以外の部分でも目立ってたんで、次回以降もメインメンバーにおさまってほしい

というか、次回作をやるんだったら、もうちょい間をあけてもいいから中身をなんとかしてください、と言わざるえない
とりあえずメルギブとハリソンの旦那を出演させただけで力つきたのか、作品から豪華なメンツを引くとホントに後になにものこらない内容の薄っぺらさ
なんかバトルシーンもみんなでわちゃわちゃやってるだけで、どうにもここがすごかったというのが思い出せない

なにはともあれ出演陣に見合う重厚な内容と、メリハリのある記憶に残るアクションを次回作があるなら期待したい
・・・けどお祭り映画にそこまで求めちゃダメなんかな

個人的評価:75点
オススメ度:ジェット・リー先生の扱いが良い意味でひどくなっていくな



エクスペンダブルズ3 ワールドミッション 予告

サボタージュ (2014/米)

監督:デビッド・エアー
出演:アーノルド・シュワルツェネッガー / サム・ワーシントン / オリビア・ウィリアムズ / テレンス・ハワード / ジョー・マンガニエロ / ハロルド・ペリノー / マーティン・ドノバン / マックス・マーティーニ / ジョシュ・ホロウェイ / ミレイユ・イーノス / ケビン・バンス / マーク・シュレーゲル

ジョン率いる麻薬潜入捜査の特殊班は、組織から奪った金を何者かに盗まれてしまう
疑いは班の人間にかけられ、ジョンもDEAから監視されることになる

シュワちゃん主役の映画でも個人的にトップクラスのおもしろさでした
作品に恵まれた感は否めないけど、老齢のアクションスターながら「こいつはおもしろい」と心から思わされる映画に出会えたことは感謝せざるえない
過剰すぎず地味すぎないアクション、加えて小気味のよいストーリー運びにホントに引き込まれる幸福感が得られました

金を奪い殺しまくってるのは誰なんだ?
っていうかおまえだろ?
あれ、そうでもないの?
という観てる側の思考をうまくコントロールしつつ、けっこうなグロさな描写で班のメンバーがひとりまたひとりと殺されていく緊張感
疑いと同時に浮かび上がる新事実の波に翻弄されるのも悪い気分じゃない

アクション部分も過剰演出すぎず、地味になりすぎないていどにおさえたリアル路線の銃撃戦が盛り上がる
過去と現在のシーンが入り乱れたり、シューティングゲームのような視点など見せ方もおもしろい
シュワちゃん主演ってことで、他の登場人物がかすむわけでもなく、それぞれが魅力的に作品の中で生きているのもよかったですね

今さら感というか、空しさ、意味がないことにすっごいこだわりがあって楽しめた一本でした

個人的評価:90点
オススメ度:いろいろとイヤな殺しの知識も身に付くわ




サボタージュ 予告

2014年11月3日月曜日

ドラキュラZERO (2014/米)

監督:ゲイリー・ショア
出演:ルーク・エバンス / サラ・ガドン / ドミニク・クーパー

トランシルヴァニアの君主ヴラドは山で魔物と遭遇する
一方、オスマン軍の無茶な要求をのむか、争いをおこすかの決断も迫られる

いまどきヴァンパイアものか、と思ってはいたけど現代風なものじゃないファンタジーアクション系だったんで退屈せずに最後まで鑑賞できました
とにかくスタイリッシュさ、見た目重視で、どこかコミックやゲームを彷彿させる衣装や演出がかっこよかったですね
主人公ヴラドさんのヴァンパイアキャラも素敵でした

けっこうヴァンパイア化するのも早く、全体的にテンポよく話は進みます
アクション要素もヴァンパイア能力を生かし、コウモリ化しつつのバトルがおもしろく、剣に映し出す演出とか「どっかで観た」感じがしないでもないけどスタイリッシュでよかった
スタイリッシュ、と言えばやはり目に付くのがその衣装と武具などの小道具
ひとつひとつが見た目重視な感じでいちいちかっこいいものばかり

じゃっかんラストバトルが地味でしまらないなあ、と感じつつも最後の最後の展開で再び気分が盛り上がらざるえない
「あいつとのケリもついてないし、こりゃ続編くるな」と思ってたところで、ちょっと意外なオチでおもしろかった
まあ、この続編を観たいか、といわれたらちょっと微妙だけど

個人的評価:80点
オススメ度:あえてこの話はこれで完結しとく方がいいかもしれん




ドラキュラZERO 予告

光の音色 THE BACK HORN Film (2014/日)

監督:熊切和嘉
出演:山田将司 / 菅波栄純 / 岡峰光舟 / 松田晋二 / セルゲイ・ペルミノフ

愛する者を失った老人は、荒れた家から廃材を使って台車を作る
そして亡骸とともに旅に出るのだった

しょうじきTHE BACK HORNのファンというわけでも、というかその曲すらまともに聴いたことがなかった
どちらかといえばその老人のドラマパートにひかれて観たんですが、いやあ、けっこうこのバンドの曲って好みかもしれん
映画じたいも当たり前だけどドラマだけでは成り立たず、曲があってこその内容になってましたね

墓穴の中から起きあがる老人、どこか絶望を身にまとった感じのある雰囲気の冒頭からグッと心を掴まされます
そこからの一曲目が流れはじめるんですが、ロシアンな老人&どこか異国っぽい情景に「日本のロックバンドの曲とかどうよ?」というちょっとした心配もあっさり消し飛びました
詞の内容も映像とマッチしているし、違和感は皆無

内容的には旅を続けながら過去がフラッシュバックし、じょじょに現在へと追いついていく感じになっていて、少しずつ老人のことが分かってくる感じになってます
描写じたいもぬるすぎないエグさがいいスパイスでした
で、それだけな内容だとちょっとありきたりな感じだけど、そこに様々な曲が加わることで互いに作品を高めあっていておもしろい
ラストまで観てもドラマの印象が強すぎるでもなく、曲の印象が強すぎるでもない絶妙なバランスで楽しめた一本でした

個人的評価:90点
オススメ度:これはCDを購入せざるえない




光の音色 THE BACK HORN Film 予告

美女と野獣 (2014/仏・独)

監督:クリストフ・ガンズ
出演:バンサン・カッセル / レア・セドゥー / アンドレ・デュソリエ / イボンヌ・カッターフェルト

破産した商人が森に隠された城に迷い、そこでバラを盗んだことで代償として命を要求される
それを知った娘のベルは父の代わりに城へ行くと、そこには野獣の姿をした人間がいて・・・

超有名な物語、だけど個人的にしっかりと観たり読んだりしたことがなかったんですよね
そんなわけでちょうどいいや、ってぐあいで鑑賞
元の話を知らないからなんとも言えない部分はあるけど、なんとなく物語を忠実に映像化してるような雰囲気がしました
ハリウッド的な盛りに盛った上で新解釈で味付けまくった作品とは違う印象

丁寧に話をつむいでいる堅実さの反面、どうにも地味で盛り上がりにかける感がある
確かに美しい世界に美しい音楽ではあるんだけど、あまりに心地よすぎるというかなんというか、とりあえずちょっと観てて眠くなります
心地よい音楽を聞いてると自然と眠りに落ちてしまう自分のような性質の人には睡魔との戦いがつらい

それでも話的に粗野な野獣が純粋な少女の心に触れるうちに、真実の愛になんたら・・・みたいな単純すぎない部分は楽しめました
あくまで自身を愛してほしい自分本位な野獣、家族のためと好奇心でいっぱいなだけな美女
そんなふたりがどう引かれ合っていくのか、と簡単にくっつきそうにない様子がおもしろい

だけど、なんかけっきょくよく分からんうちに愛が芽生えてる流れになってて「え?」とならざるえない
それなりに眠気と戦ってちゃんと観てたつもりだけど、どこでふたりの間に愛が生まれたのか
恋愛要素にうとい自分にとってはちょっと理解しがたい部分もありました

個人的評価:70点
オススメ度:丁寧かつ堅実なザ・普通作品




美女と野獣 予告

25 NIJYU-GO (2014/日)

監督:鹿島勤
出演:哀川翔 / 寺島進 / 温水洋一 / 高岡早紀 / 笹野高史 / 小沢仁志 / 波岡一喜 / 嶋田久作 / 鈴木砂羽 / 竹中直人 / 石橋蓮司 / 大杉漣 / 木村祐一 / 袴田吉彦 / 岩佐真悠子 / 初音映莉子 / 井上正大 / 中村昌也 / 木下隆行 / 本宮泰風 / 金子昇 / 工藤俊作 / 小沢和義 / 菅田俊 / ブラザートム

相棒の日影と組んでいる悪徳刑事の桜井は、250万の金を返済しなくてはならくなる
そこへ巨額横領事件をおこしヤクザにかくまわれていた九十九と出会い・・・

言うほどVシネは観ていないけど、25周年記念作品で25にちなんだ数字を無理矢理あてこんだ、なんともイメージとしてVシネっぽい作りが楽しめました
「アウトレイジ」とかそういった作品とは違い、雑で頭の悪い(ほめ言葉)娯楽映画として王道かつ堅実な感じ
ホントに肩の力を抜きまくって酒をあおりながらソファに体をうずめて観るのが正しいスタイルかもしれんね
つまり劇場に足を運ぶ価値があるかは微妙

内容はバイオレンスアクションの王道で、ご都合主義に合わせて描かれる部分をつっこまないで楽しむ心が必要です
悪徳刑事にヤクザに殺し屋、狂言回しに麻取にアジアマフィア、クセのある女どもと警察の人間・・・ごくごくありがちな相関図のもとにそれぞれ25億ゲットのために敵対しあう、と
そんな中で悪徳ではあるけど超最低ラインの男気のある主人公の桜井が素敵ですね

他の登場人物たちも存在感ありまくりで、性悪なクズどもの狂演が楽しい
25周年だからって変な気負いがなく、豪華なメンツをそろえながらもチープさがあふれでる作風は潔いと言わざるえない
このキャラを生かしておけば安易に続編を量産できるのに、っていう部分を切り捨ててそれなりな決着をつけるのも個人的に好印象でした

まあ、でもこれでもかってくらいなB級映画なんで、本格的なバイオレンスアクションを期待していると、刑事ドラマレベルの銃撃戦にガッカリするかもね

個人的評価:75点
オススメ度:はじめて「やったか?」の成功例をみたかも




25 NIJYU-GO 予告

2014年10月27日月曜日

小野寺の弟・小野寺の姉 (2014/日)

監督:西田征史
出演:向井理 / 片桐はいり / 山本美月 / 及川光博 / ムロツヨシ / 寿美菜子 / 麻生久美子 / 大森南朋 / 木場勝巳 / モロ師岡 / 梅沢昌代 / 村松利史 / 秋本奈緒美 / 橋本じゅん

ふたり仲良く暮らす小野寺の姉と弟
そんなふたりの前に気になる異性が現れ…

独りよがりで自分に自信がなくて、優しく、不器用で空回りしている姉弟をコミカルながら温かく描いていて、個人的にかなり好みな作品でした
ほのかな残り香のような主張しすぎない昭和な雰囲気も好みに合ってました
ロマンスと縁のない姉弟が恋することで変化していく、みたいな要素以外に観るべきところがあるのか内容的にシンプルすぎて不安でしたが、見事にちょっぴり泣かされるしまつですよ
観ていて独りよがりなのは重々承知ながら「がんばれ、がんばれ」とふたりを思わず応援してましたね

基本はなんだかんだの日常のエピソードの中で姉の温かい思いを弟が知っていく、と同時にチャーミングな姉の姿を楽しむ話でした
そこに過去の恋愛を引きずる弟と、自分に自信の持てない姉の各々のロマンスがはじまりつつ、やっぱりそこからも姉弟の想いの絆が描かれておもしろい
ちょっと都合の良いロマンス要素だな、と途中で感じもしたけど最後まで観てみればそんな引っかかりも吹き飛びました

なにげない日常の中で隠された想いが浮き彫りになっていき、ふたりの過去が現状に結びついていく話の運びがいい
全体的にコメディタッチなんだけど、時に映し出された画としてはコミカルなものでもそこにいる人物の心情を考えると笑えないシーンのバランスの妙が素敵ですね

温かくて笑えて泣ける、感情をうまく誘導されていると分かっていても、どこか嫌な気分にはならない作品でした

個人的評価:90点
オススメ度:片桐はいりさんの魅力を引き出しまくってたわあ




小野寺の弟・小野寺の姉 予告

ヘラクレス (2014/米)

監督:ブレット・ラトナー
出演:ドウェイン・ジョンソン / イアン・マクシェーン / ルーファス・シーウェル / アクセル・ヘニー / イングリッド・ボルゾ・ベルダル / リース・リッチー / トビアス・サンテルマン / ジョセフ・ファインズ / ピーター・ミュラン / ジョン・ハート / レベッカ・フェルグソン / イリーナ・シェイク

ゼウスと人間の子という伝説の男ヘラクレス
彼が率いる傭兵たちはトラキア軍とともに内戦の首謀者レーソスの軍と戦うこととなる

またデミゴッドが主人公のファンタジーアクションか、という食傷気味なこっちの気分を見透かしたような作りでしでけっこう楽しめましたね
伝説の英雄として神の超常的なパワーで、この世のものではない怪物たち、異形の者たちに独り立ち向かうというのもいいけど、この映画のようなヘラクレス像も魅力的でいい
まあ、この話が真実かどうかはおいといて、人間くささにファンタジーのスパイスがほどよく足された感じがおもしろかった

もう冒頭で伝説的なバトルの数々が描きつくされ、「おまえたちが観たかったのはこれだろ?」という制作側の意図が小憎らしい
そこからは伝説を利用して傭兵稼業な、むっさい男ヘラクレスさんの現実的な戦いが描かれていくんですが・・・
しょうじき集団戦闘な戦での無双アクションは、最初こそ楽しめたけど「それだけかよ」と思わざるえなかった

しかし、そこら辺の退屈さも終盤の盛り上がりで一蹴されましたね
B級ではあるものの、単調になりすぎない展開はおもしろい
欲を言えばもっと仲間たちとのコンビネーションプレイが観たかった気がするけど、現実的なバトルにいい塩梅で加味されたファンタジー要素がうまく利いてる一本でした

エンドロール中の伝説の裏側描写も粋な感じで、最後の最後までけっこう楽しませてもらいました

個人的評価:85点
オススメ度:テュデウスさんのキャラが個人的に素敵といわざるえない




ヘラクレス 予告

2014年10月26日日曜日

トム・アット・ザ・ファーム (2013/加・仏)

監督:グザビエ・ドラン
出演:グザビエ・ドラン / ピエール=イブ・カルディナル / リズ・ロワ / エブリーヌ・ブロシュ / マニュエル・タドロス

ギョームの葬儀のために農場へやってきたトム
しかし、そこでギョームの兄から母によけいなことを言うなと暴力的におどされる

公開前からけっこう期待してた作品で、途中まではすっごい楽しめてたんだけど、どうにも思ってたのと方向性が違ってましたね
狂気と秘密をはらんだ兄に、どこか危うい感じのする母、そこで暴力的に支配されていくトム・・・そんな雰囲気には満足でしたが、それだけな感じの作品

ゲイやバイセクシャルの要素を取り入れることで、兄弟愛やら親子愛、いろんな愛の形を複雑化してるけど、個人的にけっきょくぼんやりしたまま終わっちゃったという印象
キャラの内包する狂気や情欲がいっきに吐き出されるようなドラマを期待してただけに、ちょっと物足りなかった

フランシスの理不尽な暴力描写や、トムの心のゆらぎっぷりが楽しめる中盤あたりまではいいんだけど、サラが加わってからの盛り上がりがどうもノリきれなかった
もっと複雑で危険な内容かと思ったら、意外にもシンプルなところに落ち着いちゃったのに肩すかしをくらわざるえない

個人的評価:70点
オススメ度:レーザー搾乳機がじゃっかん気になる




トム・アット・ザ・ファーム 予告

イコライザー (2014/米)

監督:アントワン・フークア
出演:デンゼル・ワシントン / マートン・ソーカス / クロエ・グレース・モレッツ / デビッド・ハーバー / ビル・プルマン / メリッサ・レオ

ホームセンターで働くマッコールは深夜のダイナーである少女と出会う
その少女の抱えたトラブルを知るうちに、彼は悪をみすごせなくなり・・・

19秒でなんでも解決!みたいな特殊能力っぽいものをもった主人公が暴れるアクションです、ってな作品イメージを予告からうけたけどぜんぜん違うじゃないの
実際はそんなイメージとは真逆の内容で、あえてそういう思いこみをさせるために予告を作ったんじゃないかと疑うレベル
とりあえず派手なアクションで悪と戦うヒーロー(ダークヒーロー)ものを期待してると裏切られますね

昼はホームセンターで働く普通のおっさんな主人公が、出会った少女とロシアンマフィアとつながりのある男たちとトラブルにひとはだ脱ぐ、っていうような流れ
ありがちなつかみのアクションはなく、少女との出会い、組織とのトラブル、という話をいたって普通に淡々と描いていきます
ただ主人公の存在が普通のおっさんながら、どこか陰がある部分がちらつくので、派手さはかけるが退屈はしない

しょうじき個人的に「なんなんだろうな、この映画」と特にこれといった見所のなさに困惑したけど、それも鑑賞後には「これでよかった」とその地味さを楽しめた
なんでもない男がなんでもない顔をして悪と対していく様がじょじょにおもしろくなってくるんですよね
いったい主人公は何者なのか、なんでここまでの行動をするのか、そもそもこの映画ってなんなんだ、という問いこそ野暮ってもんなのかもしれん

主人公の戦いの果ての結末、そのためにここまでやらなくちゃらならかったのか、と不思議な満足感が得られた一本でした

個人的評価:80点
オススメ度:ホームセンターは危険物でいっぱいだな




イコライザー 予告

2014年10月20日月曜日

THE NEXT GENERATION パトレイバー 第5章 (2014/日)

監督:辻本貴則 / 田口清隆
出演:真野恵里菜 / 筧利夫 / 福士誠治 / 太田莉菜 / 千葉繁 / 堀本能礼 / 田尻茂一 / しおつかこうへい / 藤木義勝 / 高島礼子 / 螢雪次朗 / 西島まどか

来日したロシア要人を狙撃手から守るため、特車2課のカーシャに声がかかるエピソード8
欲に目がくらんで禁断の地下迷宮へ踏み込んでしまった整備班パーティを救出するエピソード9の2話で構成される

パトレイバーファンならおなじみのダンジョンシリーズの三作目ってんだから期待値もしぜんと高まる第5章
だけど個人的にはスナイパー話の方が楽しめました
ダンジョン話もおもしろいけど、そこは期待通りの範疇って感じで「ああ、やっぱそうなるよね」といったふうでした

まずはカーシャメインのエピソード8
なにげにこのTNGシリーズでは優遇されてるキャラな気がするカーシャの過去が明らかになりつつ、緊迫した話にいつにないシリアスムードがよかった
ベタではあるけどゴルゴネタで軽い笑い要素もありつつ、カーシャ関連の人間ドラマ、緊張感のあるスナイプバトルとバランスのよいエピソードでした

次に封印されたダンジョンのエピソード9
白いワニの生む20億の真珠に目がくらみ、ダンジョンの危うさを知らない若い世代が暴走する・・・と、まあ、もぐる理由はどうあれダンジョンでモンスターパニックな話ですね
ダンジョンRPGネタより人の欲望の部分の描写が大きく、レトロなゲームネタを期待してた部分は満足できなかったかな
過去のダンジョン話を踏襲するネタはあるので、「そんなのあった、あった」と懐かしむのはアリ

そんな感じで期待の範囲内のおもしろさだったエピソード9、期待以上に楽しめたエピソード8と、総じて言えば分かりやすいシリアスとコメディの二本立てが楽しめた第5章でした

個人的評価:75点
オススメ度:逃げまどう時のBGMはコミカル調がよかったな




THE NEXT GENERATION パトレイバー 第5章 予告

2014年10月19日日曜日

まほろ駅前狂騒曲 (2014/日)

監督:大森立嗣
出演:瑛太 / 松田龍平 / 高良健吾 / 真木よう子 / 本上まなみ / 奈良岡朋子 / 新井浩文 / 三浦誠己 / 古川雄輝 / 横山幸汰 / 岩崎未来 / 水澤紳吾 / 大西信満 / 原田麻由 / 宇野祥平 / 市川実和子 / 伊佐山ひろ子 / 麿赤兒岡 / 松尾スズキ / 大森南朋 / 岸部一徳 / 永瀬正敏

まほろ駅前で便利屋をやっている多田と行天
ある日、行天の元妻から子供をあずかってほしいと頼まれ・・・

間にTVドラマ版をはさんでるので、久しぶりな感じはしないけど前作の公開はけっこう前になるんですね
相変わらずのゆるいながらも危ういコンビっぷりを堪能させてもらいました
しょうじき話の流れじたいは予告をみて分かるくらいのものだけど、多田便利軒シリーズとしてはちょっとだけ踏み込んだ内容でした

子供が苦手な行天、その上にあずかるのは行天の元妻の子という事態に打ち明けられず悩む多田
一方で多田たちと因縁浅からぬヤクザは、元宗教団体の野菜栽培でやっかいごとを抱えていた
というふたつの話の流れが一本につながっていく感じの内容
多田たちが子供をあずかるうんぬんで、どんだけ話を盛り上げるんだと思わせつつ、けっこう観てて飽きることがないから困らない

「子供」をキーワードにして過去にそれぞれ問題を抱える多田と行天、ふたりの過去がかいまみえるという点でもシリーズの核となる部分をちょっと描いてる感じですね
大の大人が無邪気な子供に振り回される、というよりいい大人がやっと子供と向き合うというのも安直すぎることなくていい
ただ、やっぱりそれはシリーズとしてみればの話で、冷静にストーリーだけを追えばちょっと物足りない
さらにツッコミどころも多く、シリアスな場面でも「いやいや」と冷めてしまう部分も

どこか距離感のはかり方がぎくしゃくしてる多田と行天、そんなコンビに映画でまたあえたのが嬉しい、そんなシリーズファン向けな一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:バスジャックからの展開がツッコミどころ多すぎてじゃっかんひどいわな




まほろ駅前狂騒曲 予告

グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札 (2013/仏)

監督:オリビエ・ダアン
出演:ニコール・キッドマン / ティム・ロス / フランク・ランジェラ / パス・ベガ / パーカー・ポージー / マイロ・ビンティミリア / デレク・ジャコビ / ロバート・リンゼイ / ジェラルディン・ソマービル / ニコラス・ファレル / アンドレ・ペンブルン / ロジャー・アシュトン=グリフィス / イブ・ジャック / オリビエ・ラブルダン / ジェーン・デル / フローラ・ニコルソン / ジャンヌ・バリバール

元アメリカ女優のモナコ公妃グレース・ケリー
その素性ゆえにモナコに馴染めきれずにいる中、フランスとの問題に国も揺るぎはじめる

超個人的な思いこみだけど、なんとも「おフランス映画」っぽい印象でした
グレース自身の悩みや滑稽さ、陰謀やサスペンス、政治的な重大事件、すべてが綺麗に装飾されて描かれている感じ
すました感じで抑揚をおさえた作りはわざとなのかしらんけど、どうにも個人的に一本調子すぎて睡魔との戦いに終始せざるえなかったですね

メリケンの卑しいビッチ女優の公妃とか、モナコ公国にふさわしくないザマス的な空気の中、自身も女優であることを捨てきれずに過ごすグレース
そんな中、フランスとの関係が悪化、いろんな問題が山積み状態でどうするよっていうお話
グレースが女優魂を有効利用して「公妃を演じる」ためにトレーニングをはじめたり、身内で陰謀めいたものがあったりところどころでおもしろい展開はあります

だけど、どんな展開になろうと作品のリズムは頑なに一定を保ち、その抑揚のなさっぷりになんかえらい事態になってるけど、それが伝わってこない
こういう作品だから、と言われれば仕方ないけど、もっと過剰演出があってもよかった気がしないでもない

話じたいはドラマティックでコミカルでスキャンダラスで盛り上げられる要素はたっぷりあるんですが、どうにもホントに個人的に乗り切れなかったですね

個人的評価:50点
オススメ度:言いたいことは分かるがあんまり「演じること」が響かない




グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札 予告

2014年10月13日月曜日

蜩ノ記 (2014/日)

監督:小泉堯史
出演:役所広司 / 岡田准一 / 堀北真希 / 原田美枝子 / 青木崇高 / 寺島しのぶ / 三船史郎 / 井川比佐志 / 串田和美 / 吉田晴登

庄三郎は城内での斬り合い騒ぎの責めとして、幽閉の身である秋谷の手伝いをかねた見張りを命じられる
秋谷は3年後までに家譜を仕上げ切腹をする身であった

あれだろ?切腹が決まってるおっさんとふれ合ううちに、青年が武士の心根について悟っていくみたいな文学チックなドラマだろ?
という思いこみは外れてもいなかったけど、負のイメージを抱くほどのものではなかった
むしろ鑑賞後には前向きな正のイメージで満たされましたね

城内で斬り合い騒ぎをおこした庄三郎は家老の都合で切腹は免れ、そのかわりに不義の罪によって十年の間に家府を作成の後に切腹を命じられている秋谷の手伝いと見張りをすることになる
そんな中で庄三郎は秋谷の罪について調べるうちに、その秋谷の家族に思いが傾いていき…みたいな分かりやすいドラマ
庄三郎が秋谷のところへ来た時点で話の筋は分かりやすく描かれて、ひじょうに作品に入り込みやすい

かといって先が読めすぎて「何が描きたいのか予告を見るだけでじゅうぶん」な退屈さはなく、確かに秋谷の罪についての事実はすぐに分かるが、真実が分かるまでの過程が興味を持続させてくれます
さらに基本は静かな、それこそ情景や所作をじっくり楽しむ文学を映像にしたような作りながら、時おり殺陣や喧嘩、大立ち回りなどの動の要素が良いタイミングで差し込まれてくるのも飽きを緩和している
ドラマ部分も武士として理不尽に耐えて覚悟を決めざるえない締め付けられる部分だけでなく、観ててスカッとするシーンもあって良いですね

静と動、文学的描写と娯楽要素、バランスのとれた人間ドラマがとても楽しめました

個人的評価:85点
オススメ度:さりげなく成長していく庄三郎と秋谷親子、この三人組の男っぷりが素敵




蜩ノ記 予告

2014年10月12日日曜日

アバウト・タイム 愛おしい時間について (2013/英)

監督:リチャード・カーティス
出演:ドーナル・グリーソン / レイチェル・マクアダムス / ビル・ナイ / トム・ホランダー / マーゴット・ロビー / リディア・ウィルソン / リンゼイ・ダンカン / リチャード・コーデリー / ジョシュア・マクガイア / ウィル・メリック / バネッサ・カービー / トム・ヒューズ / キャサリン・ステッドマン / リチャード・E・グラント / リチャード・グリフィス

21歳になったティムは、父親から自分の過去に戻れるタイムトラベルの力が使えるようになったとしらされる
この能力をどう使うか考えたすえ、ティムは恋人探しに使うことにするのだった

ちょっと想像していたのと違い、全体的にさらっとストレスなく観られる心地の良い作品でした
時間を操れるという設定から思いつく負の部分とか、どろどろしがちなドラマっぽい要素はわりと薄め
コミカルな展開とチャーミングな登場人物たち、特にティム父ちゃんの存在感がハンパなく素敵でした

ちょっとした失敗も過去に戻ってやり直せるタイムトラベルの力
それを使って恋人をゲットしようとティムは画策するも、あっちをたてればこっちがたたず状態でなかなかにうまくいかない
という中で、なんだかんだ幸せをゲットしていく・・・みたな話ですね

とにかくティムのタイムトラベルの力の使い方、というキャラの性格じたいがすごい魅力的
せっかく力を使って個人的にうまくいったのに、悩むとかそういう計算なしで知人のために過去を変えて、自分の成功がなかったことになってもくじけない
けっきょくのところ力のありようも大きいけど、ティム自身の人間性が良いんでしょうね

力との正しい向き合い方を受け入れていく課程のドラマもおもしろいけど、家族との付き合い、特にティム父ちゃんとの話がホントにおもしろい
ある時は父と子、父と父、似たもの同士のダブル良い人キャラがすっごい癒される

鑑賞後にこみ上げてくる感動的でさわやかな気持ちよい感情に心の淀みが洗われざるえない作品でした

個人的評価:90点
オススメ度:あたりまえの日常の素晴らしさ、言葉や歌の詞にするとピンとこなくてもこの映画なら身にしみてわかる




アバウト・タイム 愛おしい時間について 予告

アルゲリッチ 私こそ、音楽! (2012/仏・スイス)

監督:ステファニー・アルゲリッチ
出演:マルタ・アルゲリッチ / スティーブン・コバセビッチ / シャルル・デュトワ / リダ・チェン / アニー・デュトワ

世界的なピアニスト、マルタ・アルゲリッチ
その娘が母と家族にせまるドキュメンタリー

とうぜんながら通常運転なにわかっぷりゆえに、ピアニストとしてのマルタさんについては知りませんでした
しかし、その冒頭の演奏シーンでいっきにもっていかれ、迫力というかそういう部分はガツンと感じられた
鑑賞後にCDを購入したくなる系の作品でしたね

ドキュメンタリーということでマルタさんの人柄みたいのから、アルゲリッチ家という部分を描きたかったんでしょう
そんな部分はけっこうすぐにつかめ、マルタさんはこういう人物だ、とかアルゲリッチ家はこういう事情なんだよっていうのはホントに序盤でまとまっている感じ
そんなわけで、なんか中盤以降はずっと同じことを繰り返し描いているようにしか思えなかった

いろんな時代の映像が「こんなのよく撮ってたな」という意味では貴重なシーンが多いけど、しょうじきホームビデオを見せられてる感じは否めない
家族や関係者にとっては超レア映像なのかもしれないが、個人的には「いや、そんなん見せられても」と言いたくなる
なんか意味がありそうな映像から得られる情報が退屈なんですよね

マルタさんの演奏シーンこそ見応えはあったけど、ちょっとそれだけな感じの一本でした

個人的評価:45点
オススメ度:言葉や映像で説明できないなら、もっと演奏シーン中心にすればいいのに




アルゲリッチ 私こそ、音楽! 予告

2014年10月6日月曜日

ジャージー・ボーイズ (2014/米)

監督:クリント・イーストウッド
出演:ジョン・ロイド・ヤング / エリック・バーゲン / マイケル・ロメンダ / ビンセント・ピアッツァ / クリストファー・ウォーケン / マイク・ドイル / レネー・マリーノ / エリカ・ピッチニーニ / ジョセフ・ルッソ / ドニー・ケア / キャサリン・ナルドゥッチ

盗品を売買しつつバンドで演奏するトミーとニック
ある日、トミーはフランキーの歌声に目を付けて仲間に引き入れるのだった

個人的にフォーシーズンズのことは知らない身でしたが、流れてくる曲にはけっこう聴いたことのあるものも多く、洋楽とかの知識が乏しくても楽しめました
まあ、でも当時の事情とか知識があった方がホントの意味で楽しめるんでしょうね
夢を叶えていく様と挫折して堕ちていく様の両方を平等に描いていて、感動系のサクセスストーリーとはちょっと違う感じでした

粋がってる街のチンピラがバンドとして、紆余曲折ありながら成功をおさめていく様を描いている内容で、元がミュージカルだけどそんな要素は皆無な感じ
演奏シーンはふんだんにあるものの、そこは流れでステージのシーンを描いているだけで歌って踊って状況を描写するようなのではないですね

メンバー内の確執もあまりきれいごとな風に美化せず、人間的にちょっと悪い印象を与える部分もあえて描いていていい
バンドにとっての明と暗をはっきりと映し出している感じ
ただ、ちょっと個人的に話がダイジェストっぽく思えて、登場人物の独白もあってなんか外側からながめてる感がしました

良い時期も悪い時期も描くのはおもしろいけど、鑑賞後にトータルでは負の感情が多く残ったのもちょっと・・・
嘘でもファンタジーでもいいから、最終的には観てて抱えたストレスをすべて発散させてほしかった
やっぱりバンドのファンならば最後にはスッキリ晴れた心で観終えることができたのかなあ

個人的評価:75点
オススメ度:普通にサントラが欲しくなったのは言うまでもない




ジャージー・ボーイズ 予告

ミリオンダラー・アーム (2014/米)

監督:クレイグ・ギレスピー
出演:ジョン・ハム / アーシフ・マンドビ / ビル・パクストン / スラージ・シャルマ / マドゥル・ミッタル / レイク・ベル / アラン・アーキン / ピトバッシュ

スポーツ選手のエージェントをしているJB
経営的に崖っぷちの彼は最後の賭けとして、インドでの野球選手を発掘することにする

ビジネスよりな考えに傾きすぎてんじゃねえよ、みたいなけっこう日本人好みな話でしたね
リアル路線なドラマというより、人情系な感じで細かい辛い現実部分は気にせず、とりあえず気持ちを優先しようぜ、みたいなノリがファンタジーでおもしろい

長年かけてきた案件がポシャってしまったエージェントのJB
金銭的にも厳しい中、最後の描けとしてインドでのプロ野球選手発掘にのりだす中、そうそうことはうまくいかず・・・みたいな感じでカルチャーショックみたいなドタバタがありつつ話は進みます
なんだかんだでうまくいきかけてはハプニングやらで問題がおき、それを乗り越えていくことで人間としてのJBも成長していく、と

けっこう問題になる部分が分かりやすく、解決法もそう引きずりすぎないうちに見つかる
そこへインドとの文化の違いやらでコミカルな日常をはさみ、さらに偶然というかじゃっかんのファンタジー要素で味付けしてあります
とりあえず観ていてストレスがたまらない展開でいて、ゆるすぎない良い話なドラマが楽しめました

愛嬌あるリンクとディネシュのふたりとお調子者コーチ見習いも加わって、けっこう肩の力を抜いて観ていられますね
主人公のJBのビジネスライクに凝り固まった部分がどう変化していくか、って部分も急激に変わることなく描いているのもキャラが魅力的に映っていい
さらに彼らを支える周りの登場人物たちも素敵な人たちばかりで、自然と観ていて笑顔になれます

しょうじき爆発的なおもしろさってのはないけど、ゆったりと絆のつながりを楽しめるドラマでした

個人的評価:80点
オススメ度:じゃっかんインド人を見下してるように感じなくもない




ミリオンダラー・アーム 予告

記憶探偵と鍵のかかった少女 (2013/米)

監督:ホルヘ・ドラド
出演:マーク・ストロング / タイッサ・ファーミガ / ブライアン・コックス / サスキア・リーブス / リチャード・ディレイン / インディラ・バルマ / ノア・テイラー / アルベルト・アンマン

人の記憶を観ることができる能力をいかして仕事をするジョン
そんな彼は絶食している少女の記憶を観て、原因を取り除いてほしいという仕事を受ける

うーん、なんというか理解できるけどスッキリも納得もできない、そんな映画でしたね
いちおミステリ要素もあるんでネタバレはしないけど、オチを知っても「おお、そうだったのか」という驚きや、「あの時のあのシーンは・・・」みたいな伏線に感嘆することもない
つまらなくはないんだけど、観てていろいろ考えてた時間を返してとちょっと言いたくなりましたね

人の記憶を観る能力をもつ観察者として、同じ力を持つ者たちと会社で働くジョン
妻を亡くして復帰したばかりの彼は、ある少女の絶食の理由をさぐるために記憶を観ることになる
という中で、当の少女をふくめその家族もくせ者ぞろい、さらにトラウマ持ってる主人公に、記憶を観る能力という怪しい設定・・・どこかに仕掛けがあって騙してくるのだろうと思わざるえない

どんなトリックが展開し、真相はどうなのかって部分を映画に騙されないように考えながら観るのが楽しい
細部に怪しいシーンは点在しているので、ホントに観ているあいだは退屈することはない
現実か、記憶の中の出来事か、だんだん境界が怪しくなっていく意図的な作りがおもしろさを加速させていきます

だんだん頭が混乱してきて、オチでどんな感じでこのごちゃごちゃした感情をスッキリさせてくれるのかと期待してたんですけどね・・・
いろんな意見があるんでしょうが、とりあえず個人的にはなんか嫌な意味で肩透かしくらった感が強かった

個人的評価:70点
オススメ度:鍵のかかった少女とか意味深な邦題やめて




記憶探偵と鍵のかかった少女 予告

2014年10月5日日曜日

翠星のガルガンティア めぐる航路、遥か 前編 (2014/日)

監督:村田和也
出演:石川界人 / 金元寿子 / 水瀬いのり / 茅野愛衣 / 阿澄佳奈 / 伊藤静 / 大原さやか / 小西克幸 / 恒松あゆみ / 杉田智和

ガルガンティアでサルベージの仕事をするレド
そんな中、海底でほぼ無傷の船を発見、これをサルベージする大仕事が始まろうとしていた

今回の劇場公開にあわせ、取り急ぎテレビシリーズを観て予習ずみです
単純に襲いかかる敵と戦うロボットものと違い、日常描写が多くありシンプルなボーイミーツガールでな部分もおもしろい
で、この劇場版はまんまテレビシリーズの続きからはじまり、前編とはいえあるていど区切りはつくので、これ単作としてもとりあえずは楽しめる作りにはなってましたね

レドが見つけた船を引き上げることで盛り上がるガルガンティアの中、レドは過去の経験(エピソード)を思い出しつつ、今の新たな暮らしに生きていく、という話
なにか新しい動きがあるというより、日常を描くことでレドたちのリスタートを描いている感じですね

しょうじきテレビシリーズの後日談というかサイドストーリーみたいな感じは否めないけど、いちおこれからどうなるんだみたいな先が気になる要素もある
だけど、やっぱり基本は現状を描く部分に終始しているので、新たな展開みたいのを期待してると物足りないかもしれん
まあ、でも過去話を交えつつ元気でやってる主人公、そしてアクシデントがありつつのみんなとの関わりを描く作りは新たな成長みたいな感じで楽しめる

おそらく後編での急展開があるという中でのあえてゆるい描写だと思うので、希望的観測ではあるけど、作品のファンとして後編に期待したいですね

個人的評価:65点
オススメ度:サプライズはあまりないッス




翠星のガルガンティア めぐる航路、遥か 前編 予告

ファーナス 訣別の朝 (2013/米)

監督:スコット・クーパー
出演:クリスチャン・ベール / ウッディ・ハレルソン / ケイシー・アフレック / フォレスト・ウィテカー / ウィレム・デフォー / ゾーイ・サルダナ / サム・シェパード

病の父と面倒のかかる弟を持つラッセル
ある日、飲酒運転で自動車事故を起こしてしまい、服役することになるが塀の外では人も社会も微妙に変わっていき・・・

地味ながら積み木をひとつひとつ重ねていくような作りがじっくりと楽しませてくれる
ホントにゆっくりと話が進むため、起承転結のあるドラマを観ている充足感がある
なにより兄弟愛を軸にした主人公の存在が大きく、大げさになりすぎない人間くさい行動がいいですね

刑務所に入ることになった主人公が、刑期を終えて戻ってみると関わりのあった人たちが微妙に変容していた
という時の流れに取り残されて変わらない主人公と変わってしまった周り、特に弟とのあれこれを描いている作品
父親、恋人、知人、弟、前とちっとも変わらない部分と大きく変わってしまった部分、そんなところがじんわりとにじみ出てくるように描かれてます

どんな話かっていうと単純なんだけど、はじまりから本筋が見えてくるまでの積み重ねがおもしろく、つまるところ主人公がたどる道筋を楽しむ内容かもしれません
別にすごい過去があるわけでもない主人公が、あれこれと思い悩みつつ話が進んでいくのを観てるだけでじゅうぶんにおもしろい

弟に対する態度や言葉がさりげない愛に満ちてる感じがすごい伝わってくるのもいいですね
で、そこからのラストの展開がまたなんともいえない
観てる人の思い、いろんな解釈を引き受けるようなクライマックスの主人公が素晴らしい
こういう思いなんだろう、という観てる人の数だけどんな色にも染まる姿の描き方になってる感じ

物語の中にあって自分の答えを自由に当てはめることのできるおもしろい一本でした

個人的評価:90点
オススメ度:またこの人、警官役かと思わざるえない




ファーナス 訣別の朝 予告

マザー (2014/日)

監督:楳図かずお
出演:片岡愛之助 / 舞羽美海 / 真行寺君枝 / 中川翔子

漫画家である楳図かずお、その生い立ちについて若草さくらは取材することになる
語られる過去の中、かずおの母が大きな存在であると分かってきて・・・

呪いとか精神的な訳の分からないJホラーとは違う、だけどおもいっきりB級臭いクセのある作品でした
オーソドックスでダイレクト、物理的な恐怖が襲いかかってくる感じは個人的にはアリだと思う
だけど、やっぱりどうにも安っぽいというか、ギャグっぽくみえちゃう点はご愛敬ってことなんでしょうね

生い立ちを取材される楳図かずお
画を描くことを教えてくれた母について語る中、母が語ってくれた夢が現実へとなっていく
一方、取材を続けるさくらも次々と怪しい出来事にあっていく、というような話
化け物のような怪しい母のエピソード、そして現実的な悲話の中の母のエピソード、現実と幻の中でイメージを変える姿がおもしろい

それでいてけっきょくはダイレクトにドーンと襲ってくる恐怖が今の時代では逆に新しいJホラーと思えなくもない
なんだかんだでうまくまとめきれてない感はあるけど、独特な楳図ワールドってことで個人的には楽しめました
が、やっぱり好き嫌いは大きく分かれるでしょうね

くる、これぜったいくるってポイントは絶対に外さないオーソドックスな描写が懐かしおもしろい一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:まあ、わかっちゃいるけどビックリせざるえないお化け屋敷みたいな、ね




マザー 予告

2014年9月29日月曜日

TOKYOてやんでぃ (2012/日)

監督:神田裕司
出演:ノゾエ征爾 / 南沢奈央 / 有坂来瞳 / 黒田福美 / 伊藤克信 / 池田鉄洋 / ラサール石井 / でんでん / 石井正則 / 千太郎 / 中村昌也 / 平沼紀久 / 山田清貴 / 佐藤栞菜 / 村木藤志郎 / 里見要次郎 / 泉堅太郎 / 金原亭世之介 / 夕霧 / 白須慶子 / 三谷昇 / 真野響子 / 安達祐実 / 小松政夫

すでに9年5ヶ月も落語家の前座修行をしているピカッチ
師匠が高座に上がるという日、楽屋をまとめる彼にトラブルが次々と襲いかかる

落語の映画なのにほぼ全編が楽屋で話が展開するワンシチュエーション、なんか舞台っぽいなと思ったらやっぱり演劇版がありましたね
感覚的にも舞台を観劇してるようで、話の転がし方とか良くも悪くもあまり映画っぽくない
無駄にずっとバカ笑いするようなコメディではなく、笑わせられるポイントも大小の波があって楽しめました

話的には寄席の支配人な席亭のたくらみやら単純な遅刻やらで、高座に上がる人が常に足りなくなってしまう状況下でドタバタしながら主人公のピカッチがまとめていく…みたいな感じ
入れ替わり立ち替わりなゲスト出演者のトラブルやらなんやらでワンエピソードを展開しつつ、主要キャラの裏側っぽい部分がじょじょに見えてきます
高座でどんなことが起こっているのか想像し、楽屋に引っ込んできた出演者の姿と他のキャラのリアクションを見ているだけでもおもしろい

とりあえずクセのありすぎるおもしろ登場人物の要素が大きいキャラクター祭もの、という感じ
それでいてちょっとしたネタが後につながっていたり、笑いの部分が爆笑、小笑、凪とリズムよく組み立てられていて良いですね
今、ここで言うか、というたたみかけが個人的にツボでした

ピカッチの師匠が引き締めるクライマックスもビシッと決まっていて、作品トータルとしてよく計算されて作られていると思った一本でした

個人的評価:85点
オススメ度:ピカッチの師匠はマジで惚れざるえない




TOKYOてやんでぃ 予告


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2014年9月22日月曜日

柘榴坂の仇討 (2014/日)

監督:若松節朗
出演:中井貴一 / 阿部寛 / 広末涼子 / 中村吉右衛門 / 高嶋政宏 / 真飛聖 / 吉田栄作 / 堂珍嘉邦 / 近江陽一郎 / 木崎ゆりあ / 藤竜也

幕末の日本、生命を賭して護ると誓った主君をむざむざ殺されてしまった金吾
その責により生き恥をさらしながら逃亡した刺客を討つことを命じられる

時代劇、仇討、というキーワードおよび予告編から連想してたものと大きく異なる感情がそのラストでわきあがりました
内容も予告編から見て取れる部分だけの話でもなく、なんだかんだ単純なものを引き延ばして一本の作品にしたような安易さは感じられなかったですね
終着点がどうなるか、って部分は書かない方向として、とりあえずまっすぐな作品という印象を受けました

主君である井伊直弼を一命をかけて護ると誓いながら、わずかな少数の刺客に翻弄され暗殺まで許してしまった金吾
唯一の生き残りであった金吾は切腹を希望するが、命じられたのは逃亡した刺客を討てというものだった
という感じで生き恥をさらし、世の大きな変革の流れによる社会と人々の変容に苦労しながら、いっこうに足取りのつかめない刺客を追う、時代に取り残された侍のお話ですね

命を受ける相手が変わっても、みな洋服を着て新たな生活を生きても、藩そのものがなくなっても、頑なにちょんまげ袴姿で刀を携えて身も心も侍をつらぬく主人公が魅力的
けして侍として見た目がカッコイイわけでもなく、どこか情けなく儚いのに芯が強いのがいいですね
そんな意固地なまでに全身侍を貫く主人公と、新たな時代で新たな生き方を進む登場人物たちの関わりからくるドラマがおもしろい

仇討うんぬんという部分より、時代が流れていく中で関わりを持っていく人物たちとのやりとりの方に自然と関心がむきますね
変わるもの、変わらぬもの、変わらなくてはいけないもの、変えてはいけないもの、そこら辺が分かりやすく描かれてて賢くない私でもすんなり飲み込めました
作りも重く堅苦しい展開の中にも、ホッと一息つけるところが用意されているので疲れない一本でした

個人的評価:85点
オススメ度:ミサンガに懐かしさを感じるのはおっさんの証拠




柘榴坂の仇討 予告