2014年2月24日月曜日

鑑定士と顔のない依頼人 (2013/伊)

監督:ジュゼッペ・トルナトーレ
出演:ジェフリー・ラッシュ / ジム・スタージェス / シルビア・ホークス / ドナルド・サザーランド / フィリップ・ジャクソン / ダーモット・クロウリー

競売人のオールドマンはある日、クレアと名乗る女性から美術品の鑑定を依頼される
最初は乗り気でなかったもののその依頼を受けたオールドマンだったが、理由をつけてクレアは彼の前に顔を出さず・・・

じゃっかん個人的な期待値が高すぎた、のかなあ・・・
あきらかに謎をはらんだ騙し系の映画だけに、かなり慎重に観ていたんですが、鑑賞後に思ったことが「あ、そうなんだ」くらいでしかなかった
もっと、こう「おお!そうだったのか!もういっかい観てみようかな」って思いがわきたつかと思ってたけど、そうでもない作品でした

ベテラン競売人のオールドマンは、依頼人クレアのために処分する美術品の鑑定をすることになる
しかし、彼女は主人公のオールドマンを時にバカにするような態度をとり、いっこうに顔を出すことがない
そんな無礼でミステリアスな彼女と接するうちに、謎の機械パーツのこともあって興味を抱いていく
そのうちに彼女の謎が少しずつ明らかになっていきながら、同時に新たな引っかかりが展開していく感じの内容ですね

どんなトリックにも騙されないぜ、という意気込みで観られるのを前提にしてるような作りでミスリードもそこそこ仕掛けられてます
そういう意味ではミステリとしては真相が分かるまで楽しめます
果たして論理的なトリックが隠されているのか、非現実的なファンタジックな真相なのか、もしくは映画を観ている観客だけを騙す罠が仕掛けられているのか、色々と自分なりに推理できておもしろい

だけど、しょうじき真相が分かった後の満足感がいまいちなんですよね
観客を鑑定士にして映画を見極めさせようって作りはいいんだけど、けっきょく「なんか裏の裏に隠された意味があるように勝手に深読みしてくれよ」みたいな印象が個人的には強かった

個人的評価:75点
オススメ度:すべて計算づくっていうより、けっこう主人公が自爆してる部分が大きいような気がしないでもない




鑑定士と顔のない依頼人 予告

エージェント:ライアン (2013/米)

監督:ケネス・ブラナー
出演:クリス・パイン / キーラ・ナイトレイ / ケビン・コスナー / ケネス・ブラナー

従軍中の負傷を乗り越えたライアンはCIAの男にスカウトされる
テロの資金源を探るために情報分析官として動く指示を受けるのだった

伝説的なエージェント、ジャック・ライアンというパーフェクトな男を描くわけじゃなく、どこか頼りない部分がある主人公のライアンがよく描かれてた作品ですね
分析官という裏方の頭脳労働デスクワークから、体をはったエージェントになる課程の話だからこその弱さや頼りなさが逆に魅力になっている感じ
ほどよいサスペンスとアクションが無理なくまとまっていて退屈はしませんでした

CIAの情報分析官として秘密裏に民間企業に潜り込み、そこでテロの資金源に目を光らせる任務にあたっていたジャック・ライアン
そんな主人公がテロの予兆を察知したことで、事情をよく知る者って感じで体をはったエージェントに抜擢される、と
地味に命の危機にさらされながらも、地味な分析能力と意志の強さで地味に困難に立ち向かって地味に戦う
画面の派手さの割に内容はけっこう地味な感じは否めない

主人公の分析能力も超推理っぽいところもあるし、総じて楽しめる作品ではあるんだけど「ここが見所」って部分に乏しいかな
なんか経済が~って難しい方向に話をふって誤魔化し、アップテンポなBGMとスピード感のあるカメラワークですっごいアクションしてるように強制的に盛り上げられてる感がちょっと鼻につく

ここが許せないってくらいにダメってところもないけど、ここがすげえって部分もない、良くも悪くも普通な一本でした

個人的評価:80点
オススメ度:痴話喧嘩をピシャリといさめるシーンは良かった




エージェント:ライアン 予告

ダラス・バイヤーズクラブ (2013/米)

監督:ジャン=マルク・バレ
出演:マシュー・マコノヒー / ジャレッド・レト / ジェニファー・ガーナー / ダラス・ロバーツ / グリフィン・ダン

ロンは仕事中の事故で病院に運ばれ、そこで行われた検査の結果HIV陽性反応がでる
余命30日と告知された彼はなんとか未認可の新薬を手に入れようとする

法の下に患者の方を見てない人たちと、違法ながら真に病にとっての最善の未認可の薬に手を出す主人公という「真の正義とは」みたいな映画
と、ちょっと観た感じではそう思えますが、個人的にはそんなことより主人公の心境の変化の課程がおもしろかったですね
自分勝手で酒と女とドラッグにおぼれる自堕落な主人公なのは確かですが、その根底がありつつの変容がよく描けていると思いました

余命30日な主人公が医師や製薬会社、新薬を認可する組織の癒着っぷりに怒りをおぼえる
裏ルートを駆使しして未認可の薬を入手し、自分の体で試験しつつ効き目を見極めて同じ病に苦しむ人たちに売りはじめる
最初は病院関係の人たちへの復讐をかねて、裏で本当に病のためになる薬をバラまく形だったけど、それがビジネスとして成功していき・・・
という中で話は主人公を取り巻く状況とともに心境の変容を描いていきます

最初こそ立場的に弱い者と強い者のぶつかり合いで、弱い側の目線から力を付けていく様を描く普通のドラマなんですが、どんどん主人公の抱える部分に興味がシフトしていきます
個人的に「なんでロンはこんなことをしているのか」という思いが観ていて強くなっていき、単純に一貫していないところに気がついた途端にすごくおもしろく感じました

観ている最中より鑑賞後にどんどんジワジワとくるものがある、いろんな意味で映画として味のある一本でした

個人的評価:95点
オススメ度:今、この時代に同じことをしたら、権力みたいなものにあっさり潰されるんだろうな




ダラス・バイヤーズクラブ 予告

キック・アス ジャスティス・フォーエバー (2013/米・英)

監督:ジェフ・ワドロウ
出演:アーロン・テイラー=ジョンソン / クリストファー・ミンツ=プラッセ / クロエ・グレース・モレッツ / ジム・キャリー / モリス・チェスナット / ドナルド・フェイソン / ジョン・レグイザモ / クラーク・デューク / オーガスタス・プリュー / リンジー・フォンセカ / リンディ・ブース / ロバート・エムズ / モニカ・ドラン / スティーブン・マッキントッシュ / オルガ・クールクリナ / ダニエル・カルーヤ / トム・ウー / アンディ・ナイマン

いちどはヒーローをやめたキックアスだが、ヒットガールのもとで訓練にはげみ復帰を目指す
一方、レッドミストは母の死をきっかけにマザーファッカーと改名、悪の組織を作ってキックアスへの復讐に乗り出す

予告を初めて見たとき、「ああ、ヒットガールを主人公にした安易な続編か」と思いもしました
が、実際にはちゃんとキックアスの続編で大満足
むしろヒットガールよりマザーロシアのインパクトが強くて素敵すぎる
バカで抜けてるギャグパートとえげつない描写、一転して冷めたシリアスな展開になる温度差と、最後まで飽きることなく楽しめました

なんだかんだあった末に仲間たちとヒーローとして活躍することに生き甲斐を求めるキックアス
普通の女の子として生きる道を選ぶヒットガール
悪の道を極めて復讐に生きるマザーファッカー
という3人のストーリーがメインになっていて、それぞれ現実のしっぺ返しを経験することでよりリアルな方向へ進んでいく、と

とにかくコメディ部分とシリアス部分の温度差、えげつない描写が前作以上にパワーアップしてる感じで、ホントにまっとうに(?)強化された続編になってたな、と個人的には思いましたね
特に画太郎リスペクトか知らんけど、JKのゲロゲリ描写とか超絶素敵すぎる
マザーロシアとか新キャラも個性的で良い味だしまくりで良いわあ

クライマックスのバトルも盛り上がってテンションも上がるし、オチも読めるながら最後まで楽しめた一本でした

個人的評価:90点
オススメ度:キックアスの肉体と顔のギャップに違和感ありまくり




キック・アス ジャスティス・フォーエバー 予告

ゲームセンターCX THE MOVIE 1986 マイティボンジャック (2014/日)

監督:蔵方政俊
出演:有野晋哉 / 吉井一肇 / 平祐奈 / 阿部考将 / 松島海斗 / 吉田翔 / 遠藤雅伸 / 名越稔洋 / 鈴井匡伸

2006年、番組収録時間中にゲームのクリアを目指す有野が「マイティボンジャック」に挑戦することに
一方、1986年のある中学校ではダイスケが同ゲームをもとにトラブルに巻き込まれ・・・

実際に放送された番組の総集編+ちょっと関連してる感じな新作ドラマで一本の映画にしてる、んですが・・・
しょうじきこのくらいの内容だったらテレビでやるなり、ビデオ化するくらいでよかったんじゃなかろうか
わざわざ映画として作った意味が分からん

有野課長がゲームに挑戦する総集編的な2006年パート
中学生のダイスケが密かに想いをよせる女子と不良たちとの間でゲームをもとにドタバタする1986年パート
それぞれ交互に描きながらゲームの攻略とドラマの話が進んでいく、というまんまな作品
思った以上に番組とドラマの融合率は低く、課長パートは普通に何度みてもおもしろいけど、ドラマパートは「ほら、懐かしいだろ?あ?お?」ってのが全面にですぎで、やっつけ感が見え見え

けっきょく最後まで観てもわざわざドラマを融合させようとした意味は分からなかった
有野課長がゲームに挑戦してる様だけを単純に総集編として観てた方が普通に楽しめたんじゃなかろうか、と思わざるえない
要するに、総集編は総集編として、おまけドラマはおまけドラマとして映画以外のよそでやれ、って感じな一本でした

個人的評価:60点
オススメ度:ファミマガ、ディスってるの?




ゲームセンターCX THE MOVIE 1986 マイティボンジャック 予告

2014年2月17日月曜日

土竜の唄 潜入捜査官 REIJI (2014/日)

監督:三池崇史
出演:生田斗真 / 仲里依紗 / 山田孝之 / 上地雄輔 / 岡村隆史 / 堤真一 / 吹越満 / 遠藤憲一 / 皆川猿時 / 大杉漣 / 岩城滉一

交番のダメ巡査の菊川玲二は懲戒免職になる
そして、潜入捜査官として暴力団の数寄屋会へ潜り込む任務が課せられる

三池崇史こと世界のMIIKEが得意のバイオレンスコメディを撮ったとあっちゃ観ずにいられない
というかMIIKE作品は地雷臭が強烈にしててもつき合わざるえないってのが個人的な習性
とりあえず予告編だけは「なんかおもしろそう!」と思わせてくれるMIIKE監督、この映画もそんな感じなんだろうなと期待せずに鑑賞しました
が、なにこれ、なんか普通に娯楽作品としておもしろくて逆に驚かされたわ

曲がったことは嫌いだがスケベでバカなダメ巡査の菊川玲二
ある日、懲戒免職を言い渡されるが、実は暴力団の数寄屋会へ潜入捜査官として潜り込む任務のためであった
潜入捜査官、モグラとしてテストをパスした菊川は組織に接触するためにチンピラを装って行動するうちに数寄屋会の若頭である日浦と出会う
と、まあ、とりあえず軽いバカなノリでバカな主人公がバカをやりつつバカで乗り切っていく作品ですね

基本はコメディタッチながらちゃんとバイオレンスすべき点は押さえられてるんで、あんまりにも軽くなりすぎてるという感じはしない
ギャグもコテコテながらしつこすぎないし、熱い部分も暑苦しくなりすぎてなく、暴力表現もエグすぎない、と全体的にバランスが良い
主人公をとりまく登場人物も強烈な個性の持ち主なんだけど、見た目のとんでもないくせにこの作品の中だとけっこう違和感なく存在してる感があるんですよね

何はともあれ主人公の気持ちいいくらいのバカっぷりを、頭からっぽにして楽しむ娯楽作品な一本でした

個人的評価:90点
オススメ度:あえて続編はなしの方向でこれ一本で終わってほしい気がしないでもない




土竜の唄 潜入捜査官 REIJI 予告

マイティ・ソー ダーク・ワールド (2013/米)

監督:アラン・テイラー
出演:クリス・ヘムズワース / ナタリー・ポートマン / トム・ヒドルストン / アンソニー・ホプキンス / ステラン・スカルスガルド / イドリス・エルバ / クリストファー・エクルストン / アドウェール・アキノエ=アグバエ / カット・デニングス / レイ・スティーブンソン / ザカリー・リーバイ / 浅野忠信 / ジェイミー・アレクサンダー / レネ・ルッソ

ソーにより9つの世界の立て直しも終わろうとしていた
そんな中、地球上ではジェーンが重力特異点を見つけだし・・・

アベンジャーズの続編に向けての、って意味合いが大きいながら、けっこうちゃんとソーとしての前作の続きとして作られてておもしろかった
何はともあれソー、アベンジャーズとライバル(?)キャラとして素敵さをレベルアップさせてきてるロキさんの存在が良い
しょうじき作品がソーよりロキさんでもってる感がしないでもないわあ

ロキの尻拭いに9つの世界を立て直しているソー
いよいよそれも終わり王になる日も近くなっていた
一方、地球ではジェーンが重力特異点を発見し、そこで彼女はアスガルド世界に伝わる古の仇敵ダークエルフの用いた兵器エーテルと接触
9つの世界が直列に並ぶ日が近づく中、ダークエルフたちも目覚めはじめ、というお話
前作はちょっとこじんまりしてた印象だったけど、今回はけっこう作品的に広がりが感じられました

ダークエルフ軍とアスガルド軍との戦い、ソーの戦いがアスガルドと地上の両方を舞台に展開していって画面的にも変化があって飽きづらい作りになっている
ただせっかくソーの愉快な仲間たちを登場してるんだから、もっとダークエルフ軍勢VSアスガルド軍勢みたいな大きな戦争描写があってもよかったかな、と

それでもクライマックスの特異点を飛び越えまくるバトルは盛り上がるし、なによりロキさんが画面に映るだけで素敵さが跳ね上がるからおもしろい
とりあえず「でもロキさんなんでしょ?」と胡散臭さになま暖かい目で観るのが楽しい一本でした

個人的評価:80点
オススメ度:善良に生きる第一歩がジェーンに会いに行くことッスか




マイティ・ソー ダーク・ワールド 予告

2014年2月16日日曜日

大統領の執事の涙 (2013/米)

監督:リー・ダニエルズ
出演:フォレスト・ウィテカー / オプラ・ウィンフリー / マライア・キャリー / ジョン・キューザック / ジェーン・フォンダ / キューバ・グッディング・Jr. / テレンス・ハワード / レニー・クラビッツ / ジェームズ・マースデン / デビッド・オイェロウォ / アレックス・ペティファー / バネッサ・レッドグレーブ / アラン・リックマン / リーブ・シュレイバー / ロビン・ウィリアムズ / ヤヤ・ダコスタ / アムル・アミーン / コールマン・ドミンゴ / ネルサン・エリス / ニーラ・ゴードン / イライジャ・ケリー / ミンカ・ケリー / モー・マクレー / パーネル・ウォーカー / ジェシー・ウィリアムズ / クラレンス・ウィリアムズ3世

黒人のセシルは幼いときより白人の給仕として働いてきて、ホワイトハウスで執事として仕えるまでになった
そんな彼も息子と人種問題に対するスタンスの違いに思い悩んでいた

ザ・執事は見た、みたいなホワイトハウスで大統領の執事な主人公がおもしろエピソードや人々の悩みやらなんやらの裏事情に接するのを描く
というコミカルストーリーを家族ドラマを交えて作られたものだと思ってたら、なんか歴代大統領時代の黒人問題を社会の移り変わりとともに主人公視点と息子視点で描いた真面目な話でしたね
ようするに黒人問題に対する父と息子の考え方の違いを時代の変化とともに描いてる映画

屋敷、ホテル、ホワイトハウスと給仕として働いて大統領と顔を合わせる執事にまでなった主人公
その白人に対するスタンスは息子ルイスには受け入れられず、彼はじょじょに黒人の権利を主張する運動にのめり込んでいく
歴代の大統領、それぞれの時代で人種問題は様相を変えていく中でセシルは白人と折り合いをつけてつつ、うまく立ち回っていく
しかし息子のルイスは時に過激な行動に出つつ、黒人として声を大きく主張する道を歩みはじめる
というふたりの溝を社会的なバックの中で描いていく、というお話

コミカルな部分がまったくない、というわけでもないけどわりと全体的にシリアスな作品
時に主人公セシルの生き方が正しく息子のルイスの生き方が間違っているように見え、時に逆な感じにも見える、と
黒人に対する事情も時代や大統領が替われば大きく変わり、その波に振り回されたりうまく利用したりという父と息子の話をメインに、家族としてのドラマも描いていきます
思ったよりホワイトハウスや大統領の内情みたいな部分の描写は控えめで、むしろ各大統領については予備知識があってしかるべきくらいな作りになってる感じですね

そんな感じで自分みたいにコミカルなものを思い、そっち方面を期待して観ると「これじゃない」感を味わうかもしれません
じっくりとドラマを楽しむ映画なんだけど、しょうじき日本人にはあんまり合わないんじゃないかなと思えるところもある一本でした

個人的評価:65点
オススメ度:どうもセシルというとFF4のイメージしかないわあ




大統領の執事の涙 予告

2014年2月10日月曜日

ウルフ・オブ・ウォールストリート (2013/米)

監督:マーティン・スコセッシ
出演:レオナルド・ディカプリオ / ジョナ・ヒル / マーゴット・ロビー / マシュー・マコノヒー / ジョン・ファブロー / カイル・チャンドラー / ロブ・ライナー / ジャン・デュジャルダン

ウォール街で巨万の富を稼ぎ出すジョーダン・ベルフォート
そんな彼の成り上がりの道が語られる

とにもかくにもハイテンションで、バカで素敵な描写を楽しんでるうちにあっという間にラストだったわ
驚くのはぶっとんだテンションがずっと続きながらも、最後までホントに疲れずに観ることができたという点
コミカルな要素の挿入されるタイミングが秀逸で、シリアスな展開の中でもバカすぎる部分がある最高にファックな映画でしたね

株のブローカーとして働き、いよいよ資格もとれたと思ったら勤めていた会社がつぶれ、一転して無職になるジョーダン・ベルフォート
しかしブローカーとして成功することをあきらめない彼は、底辺から頭脳と出会った仲間をフル活用して成り上がっていく
というとアメリカンドリームみたいな良いドラマなようですが、実際は普通にブローカーとして詐欺とか法に触れることはするし、ドラッグも当たり前、浮気も含めて女遊びにも精力全開なクレイジーな主人公のお話ですね

作中、いくどとなく窮地におちいるもののバカなノリと勢いに回転のいい頭脳を加え、どんな手段を使っても乗り越えていく様が素敵です
頭がいいのにバカなノリでどこかぬけてる主人公の魅力に引っ張られているうちに、ファック、ドラッグ、マネーと繰り返されるだけの話にのめり込めるから不思議

どうせ持ち上げるだけ持ち上げて落とす、そんな惨めに没落していく様が描かれるんだろうと当たり前な予想をして観てたんですが・・・
まあ、なんというか、ホントにどんなに惨めな状態になってもバカな描写のおかげで凄惨をみじんも感じないのがおもしろい
同様にどんなに汚い違法行為やドラッグにおぼれていっても、とことんハイテンションで軽く観ていられる気楽さがいいですね

ウォール街で成り上がる、株とかマネーゲームとか多少の頭脳戦みたいなものはあるものの、基本的にバカで素敵ないきおいで突っ走って描いているので肩の凝らない一本でした

個人的評価:90点
オススメ度:バカで素敵な飢えた最高にファックな狼ども




ウルフ・オブ・ウォールストリート 予告

セブンデイズ リポート (2013/日)

監督:近藤真広
出演:白濱亜嵐 / 山下リオ / 鈴木伸之 / 波岡一喜 / 鈴之助 / 羽場裕一 / 板尾創路

高校卒業を目前に片思いの美月になんとか告白したいと思い悩む涼太
そんなある日、校舎に隠された研究施設を見つけた彼は、そこでクローンの研究が行われていると知り…

どうせアレだろ?7日間をカウントダウンしていって、ラストの1日で急展開の大逆転ってタイプなんだろ?分かってる分かってるよ
という邪推だけは微妙に外れてちょっとだけ感心した、なんて上から目線に言ってみたとこだけがこの映画の良かった部分
まあ、あるていどは覚悟してたものの、ここまで深夜ドラマっぽい作りを隠さない作品も珍しいんじゃないですかね
結果的にVシネっぽくなっちゃった映画、二時間ドラマみたくなっちゃった映画というのはよくあるけど、最初から最後まで深夜ドラマな作りを通した点はいろんな意味で勇気あるなと思わざるえない

高校卒業間近なある日、涼太は思いを寄せる女子の美月を呼び出すための手紙を書き、放課後に誰もいなくなった教室で机に忍ばせようと画策する
なんとか目的を果たした時、床に落ちている謎のパスを広う
その帰り、校舎で教員の田口が校舎の隠し扉に入っていくのを目撃した涼太は、拾ったパスを使ってその扉の先にある実験施設に迷い込む
そこで知るクローン研究のデータの中に自分のものもあり…
という展開が軽い感じで説明され、事態はオリジナルとクローンのふたりの涼太が出会ったことで青春ハイスクールラブコメがはじまるッ!
って、訳わからんわな
ようするにクローンとオリジナルがラブコメする、そんな企画モノ深夜ドラマだと思えばいいんじゃないですかね

全体的に古くさいラブと寒いコメで構成されており、深夜ドラマとしては「まあ、つまらなくはない」という作品
深夜ドラマ深夜ドラマと連呼してるけど、ホントに映画として観ることができない
自分も含めてだけどこれを金を払って観た人は、有料チャンネルにお布施した上にじゃっかんハズレ引いたと思って泣き寝入りしましょう
なんて書いてるとひどくクソっぽい作品みたいだけど、どうしようもないレベルのつまらなさではないんですよ
そこまで無理なSF描写じゃないし、背伸びしてない作りゆえに観ててキツイものはそう感じないし

オリジナルがクローン実験体に選ばれた基準とか、一般人に実験のことをベラベラしゃべることとか、けっこうでかいツッコミどころを気にしないで広い心でまったり観られる精神を養いましょう

個人的評価:50点
オススメ度:なんだかんだでクローンに救いがなさすぎだろ




セブンデイズ リポート 予告

2014年2月9日日曜日

スノーピアサー (2013/韓・米・仏)

監督:ポン・ジュノ
出演:クリス・エバンス / ソン・ガンホ / ティルダ・スウィントン / ジェイミー・ベル / オクタビア・スペンサー / ユエン・ブレムナー / コ・アソン / ジョン・ハート / エド・ハリス / アリソン・ピル

地球は凍りつきわずかに生き残った人類は列車にのってたえず走り続けている世界
先頭車両の富裕層と最高尾の貧困層との格差を正そうと、カーティスは最高尾の人たちとともに先頭へ向けて出発する革命をおこす

また貧しい人たちが富裕層へ殴り込みをかける映画か、というのが鑑賞前のしょうじきな感想でした
が、観おわってみると、逆にシンプルにそっち系のアクションに徹してくれた方がよかったような気がしないでもない微妙な気持ちになりました
作品的に変に作家性が強いというか、独特の世界観というか、描きたい部分はよくある話で分かりやすいんだけど・・・
「俺が作ったこの列車、おまえは(気分的に)ノレるかい?」と聞かれたら「うーん」とためらわずにいられないかな

地上はすべからく凍てつき、残った人類は世界を回る列車の中で自給自足で生きていた
しかし内部では先頭車両の富裕層と最高尾の貧困層という格差が生まれており、貧しい者たちは虐げられる暮らしに不満を抱いていた
そんな最高尾の人間であるカーティスは、謎の手紙に導かれ先頭車両を目指す革命をおこす、と
主人公ひとりが孤軍奮闘するヒーローものってわけでもなく、みんなで先を目指す展開はおもしろい

だけど列車の中を進む戦いは、その車両ごとに独特の世界があってなんか生っぽく感じられないんですよね
ステージクリア型のゲームというか、車両ごとにワールドがくっきり分かれてて現実味が乏しいというか
そこら辺のクセのある世界観がおもしろいと思う人もいるだろうし、逆にそう思えない人もいるでしょうね
戦いの最中に新年とか、寿司とか、学校とかインパクトはあるけどノリノリでついていけない微妙さがある

もう完全にバカ映画と割り切って作ってくれれば楽しめるんだけど、なんともよく分からない文化圏の音楽を聴いてるみたいな「良い曲な気もするけど、そうでもない気もする」ってなもどかしさを感じます
個人的にはハマレる部分もあるけど、ひどく退屈で眠気とバトルせざるえない部分もあった微妙な一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:いろいろと「ありえねー設定」がネックかもしれんね




スノーピアサー 予告

ラッシュ プライドと友情 (2013/米・独・英)

監督:ロン・ハワード
出演:クリス・ヘムズワース / ダニエル・ブリュール / オリビア・ワイルド / アレクサンドラ・マリア・ララ / ピエルフランチェスコ・ファビーノ / クリスチャン・マッケイ / アリスター・ペトリ / スティーブン・マンガン / ジュリアン・リンド=タット / ナタリー・ドーマー

1976年、F1レーサーでライバル同士であったジェームス・ハントとニキ・ラウダのバトルが白熱していた
そんなふたりのF3時代からの出会いと確執が語られる

自分の中でのF1といえば、地上波でも放映されてた頃のセナ&マンセル時代からシューマッハ一強のはじまりくらいのミーハーななんちゃってF1ファンだった思い出が強いですね
ニキ・ラウダもレーサーとしては知るよしもなく、フェラーリのアドバイザーとしてちょいちょい見かけたていど
まあ、そんなにわかF1ファンだとしても、一時でも熱中してたのは事実でレースマンガとかも読みあさったものです
てなわけで、この映画も期待して鑑賞したんですが、思った以上にレースシーンは迫力あるしBGMも良い感じで盛り上げてきます
なにより気持ち悪い馴れ合いのない男と男の衝突やらなんやらは心に熱いものが込み上がるわあ

F3時代、接触事故という最悪な出会いをしたジェームス・ハントとニキ・ラウダ
互いにF1を目指す中、意識しあいながらレースと私生活の日々に存在を感じ取っていた
ドライバーとして、男として問題につまずき乗り越えながら、ふたりはいよいよF1の舞台でワールドチャンピオンを競い合うに至る…というお話
元が実際におきた出来事をベースにしてるので、完璧なまでにこってこてなドラマが展開するでもないんだけど、そこはコミカルな描写やらなんやらの肉付けでうまく作品としてまとまってて楽しめる
一見して軽薄なパーティ男のハントと生真面目で理詰めなラウダの対比も良い感じ

炎と氷、みたいな二極のライバルではあるんだけど芯にある熱い部分は共通してるんで、両者ともにどっちもどっちで人間として似たもの同士でもあるところが良い感じに描けてますね
ホントに顔を合わせては罵りあいのケンカ腰で、レーサーとしては相手が落ち目だろうと、どんな状況でも容赦なく攻める姿勢も個人的には好感がもてます
ホモホモしいくらい気持ち悪い友情な部分がないけど、宿敵として最低ラインでは互いのことをどこかリスペクトしてる描写がいいんですよ

欲を言えば場外口ゲンカもいいけど、もっとふたりのレースでの直接バトルを描いてほしかった気がしないでもない
あと、やっぱり単純に映画作品として観てる人には、ちょっとドラマとして盛り上がりが欠ける…んじゃないかと思う部分もあるかもしれません

個人的評価:80点
オススメ度:いっかいぐらい陰で殴り合いとかほしかったけど…過剰演出になるのかな




ラッシュ プライドと友情 予告

2014年2月3日月曜日

アイム・ソー・エキサイテッド! (2013/スペイン)

監督:ペドロ・アルモドバル
出演:アントニオ・デ・ラ・トーレ / ウーゴ・シルバ / ミゲル・アンヘル・シルベストル / ラヤ・マルティ / ハビエル・カマラ / カルロス・アレセス / ラウル・アレバロ / ホセ・マリア・ヤズピック / ギジェルモ・トレド / ホセ・ルイス・トリホ / ロラ・ドゥエニャス / セシリア・ロス / ブランカ・スアレス / パス・べガ / アントニオ・バンデラス / ペネロペ・クルス

メキシコへ向かう飛行機の機内、エコノミークラスの客は全員不自然に爆睡
電話もネットもダメという状況の中、ビジネスクラスの面々は不満と疑念をつのらせて乗務員につめよるのだった

空の上の飛行機の機内、さらにビジネスクラスの限られた空間という状況の中、そろいもそろって個性的なキャラを集めました、ってだけの映画でしたね
短い尺のわりにキャラの魅力を引き出すタイミングが遅い上に、なんか「で?」って感じで空回りしてる
こういうのって、クライマックスに向けてごっちゃごちゃにキャラの個性がからまっていくのが楽しいんだろうに、けっきょくほぼ単品料理のまんまでガックリですわ

メキシコへ向かう飛行機の機内、機長たちはなにやら酒をあおって抱えた問題を乗客に悟られないようにしていた
そんな状況の中、乗客も乗客でそれぞれ問題を抱えており、狭い機内で騒ぎへと発展していく、と
飛行機の乗務員のオカマ率の高さから「これはかなりバカっぽくて期待できる」と思ってわくわくして観てたんですが、ゆっるい笑いが続くだけでなかなか爆笑がこない

じゃっかん不安になりながらも定番である各キャラの背景が描かれはじめ、もうちょい我慢してればぶっとんだ展開になるに違いないと鑑賞してたんですが・・・
小粒な笑える要素はあるんだけど、いまいちパッとしないまま終わっちゃって「うん?え?」って感じ
わざわざ飛行機の外での出来事を描いたキャラも、それ以降は空気化して最後には「ああ、そんな奴もいたね」ってなっちゃってるし、他のキャラの扱いも同じく微妙

それぞれの抱える問題じたいはおもしろいと思う
キャラじたいも個性的で素敵な人たちばかり
ひとつひとつの素材は楽しくなる要素があるのに、ビックリするくらいそれらがうまく絡まってなくて拍子抜け
唐突に始まるオカマミュージカルと、乱交パーティぐらいしか見所がなかった一本でした

個人的評価:60点
オススメ度:リカルドさんのエピソードの必要性




アイム・ソー・エキサイテッド! 予告

2014年2月2日日曜日

アメリカン・ハッスル (2013/米)

監督:デビッド・O・ラッセル
出演:クリスチャン・ベール / ブラッドリー・クーパー / ジェレミー・レナー / エイミー・アダムス / ジェニファー・ローレンス / ルイス・C・K / マイケル・ペーニャ / アレッサンドロ・ニボラ / ロバート・デ・ニーロ

アーヴィンは出会った女性シドニーとともに詐欺を繰り返していた
FBIのリッチーによって捕まったふたりは、そのスキルを買われて市長を罠にはめるために協力させられることになるが・・・

詐欺師が主人公で、不本意ながら騙しのスキルでFBIに協力するって言われたら「あなたもきっと騙される」的な観る側にもトラップが仕掛けられてるんだろうな、と構えて鑑賞せざるえない
それはそれとして、雰囲気的にもっと軽いノリかと思ってたけどわりとドラマ性が強くてシリアスな印象が強く残りましたね
ちょいちょいコミカルなシーンもはさんでくるんで、それほど肩がこることもないし、個人的には楽しめました

頭髪が薄く小太りなアーヴィン、そんな彼に不思議とひかれる美女のシドニーはふたりで金をだまし取る詐欺ビジネスを展開していく
しかしFBIのリッチーによる潜入捜査にあって捕まってしまい、免罪をエサに市長を罠にかけて詐欺仲間をFBIに売り渡す手助けをすることになる
という騙し騙されみたいな詐欺ストーリーなんですが、実際のところやっぱり登場人物たちの魅力が半端ない

中でもやっぱりロザリンさんの存在感は鳥肌もんですね
個人的にこの映画の半分はこの腐れビッチで成り立っていると思わざるえない
内容的にも非常におもしろくて、どこまで主人公たちは騙しあいをしているのか、もはや本音と建て前が紙一重な感じで展開するドラマがホントに観てるだけでおもしろい
なにより、そこに「詐欺」という要素が加わるもんだから、観てる側も登場人物の言葉や行動を素直に受け取れずに「なにか裏があるんじゃねえの」と緊張感が持続していい

そんな感じでどんどん人間ドラマがずぶずぶに、捜査じたいは大きな計画へ、そしてロザリンさんはどんどんクレイジーになっていって盛り上がる
んでもって「騙されないぞ」と主人公たちをうがった視点で観ていった結果、個人的にある意味でまんまと騙され、だけど不思議と嫌な気持ちがいっさいしないオチでした

個人的評価:90点
オススメ度:氷上釣りのオチ・・・




アメリカン・ハッスル 予告

ゲノムハザード ある天才科学者の5日間 (2013/日・韓)

監督:キム・ソンス
出演:西島秀俊 / キム・ヒョジン / 真木よう子 / 浜田学 / 中村ゆり / パク・トンハ / イ・ギョンヨン / 伊武雅刀

誕生日の日、石神が家に帰ると妻が死んでいた
同時に妻から電話がかかってきて、部屋に警察が訪れた時、死体はなくなっており・・・

自分が自分でないような記憶のあいまいさ、しかしそれも何者かたちの謀略からきているのかもしれない
本当に自分はおかしくなってしまっているのか、それともそう思わされる罠にはまっているのか、という絶妙なバランスの中で展開していくサスペンスってのは個人的に好みな内容でした
伏線をひろっていき、真実が見えたと思いきやさらにその先に隠されたものがある、みたいな期待がふくらむのは観ていて楽しいですね

部屋に妻の死体
そこへその妻から電話がかかってきて、さらに事件の捜査という名目で警察が部屋を訪れる
主人公の石神はパニックになりながらも警察に応対し、やむなく部屋に通すがそこにあった死体は消えていた
連行される石神だが、警察の人間かと思っていた人たちは明らかに偽物だと分かり逃走をはかる
という中で妻に、自分になにが起こっているのかというのを逃げながら探っていく話ですね

そんな中でどんどん自分の記憶があいまいになっていくことに混乱が増していき、現実とのギャップに謎が深まっていく、と
自分は自分じゃないのか、それとも誰か(なにかしら)にだまされているのか、振り子のようにゆれるストーリーが観ていて飽きさせることがない
さらにアクションシーンもちょいちょい挿入されるのでエンターテインメント性もじゅうぶん

なんだけど、なんかだんだん観ててめんどくさくなってくるんですよね
で、鑑賞後に「なるほどねー」というスッキリした感じがない
あくまで個人的な印象かもしれないけど、元々シンプルなモノをぐちゃぐちゃした感じで描き、さらに乱暴にかき集めて話をまとめてみました、みたいな部分があるような

死人が出てるのに騒ぎがおこらなかったり、芝(草?)の上に落とした割にキレイだったり、ツッコミたいポイントは多々あるんで練られた展開、というには抵抗がある作品だけど、観ていてまあまあおもしろいのは確か
どんなB級ゾンビ映画だよ、とバカにして観たら予想してたよりおもしろかった・・・みたいな感じな一本でした

個人的評価:75点
オススメ度:冷静に考えればツッコミどころ満載だよね




ゲノムハザード ある天才科学者の5日間 予告