2014年3月30日日曜日

ワン チャンス (2013/英)

監督:デビッド・フランケル
出演:ジェームズ・コーデン / アレクサンドラ・ローチ / ジュリー・ウォルターズ / コルム・ミーニー / ジェミマ・ルーパー / マッケンジー・クルック / バレリア・ビレロ

ずっとオペラ歌手になることが夢だったポール
本格的にオペラを学ぶために学費をえるため、賞金のでる発表会に出場する

じゃっかんイケてない太っちょでいじめられっこ、だけど唯一、その歌声だけは一級品な主人公
というなんかありがちな設定かと思いきや、この主人公、けっこうユーモアのセンスもあるし、恋愛に関してもいざとなれば積極的、なんだかんだでリア充で逆にビックリだわ
いわゆるたったひとつの取り柄以外、人としてなんかうまく生きていけてない系の主人公が光輝く大舞台へ・・・ってサクセスストーリーとはちょっと違いますね

オペラ好きな主人公ポールは歌手になりたいと思いつつも、現実は携帯ショップで働く日々
しかし職場のボスのはからいでメル友の女性とあったことをきっかけに、歌手としての道が拓かれはじめる、と
評判的にぜんぜんワンチャンスじゃねえ、って感じみたいだけど個人的にも同意見ですね
なんとも序盤からピンチになればソッコーでチャンスがおとずれ、あれよあれよと成功への階段を登っていくんだもんなあ

まあ、さすがに登りっぱなしじゃなくて挫折も描かれてる・・・
描かれてはいるんだけど、そう深刻になりすぎない感じで、けっこうあっさりと逆境も乗り越えていくんですよね
そういう意味ではじゃっかん物足りないというか、ドキドキハラハラする要素は薄いかもしれません
やばい、これは本気でやばい・・・ってところからの「おお!きたー!」ってのがないんですよ

良い話ではあるんだけど、感動系に分類される話ではあるんだろうけど、あっさりしすぎな部分が感情をゆさぶってくるところも殺しちゃってる気がする一本でした

個人的評価:75点
オススメ度:工員を負け組みたいに言うな




ワン チャンス 予告

白ゆき姫殺人事件 (2014/日)

監督:中村義洋
出演:井上真央 / 綾野剛 / 蓮佛美沙子 / 菜々緒 / 貫地谷しほり / 金子ノブアキ / 小野恵令奈 / 谷村美月 / 染谷将太 / 生瀬勝久 / 秋野暢子 / ダンカン / 山下容莉枝 / TAIRIKU / KENTA / SUGURU / 宮地真緒 / 朝倉あき / 大東駿介 / 草野イニ / 川面千晶 / 野村佑香

めった刺しの上に焼死体で発見された女性
その事件の情報を偶然に入手した映像製作会社の赤星は、事件を取材するうちに城野という怪しい女性に目を付ける

あきらかに城野が犯人じゃねえだろ、と思わせつつやっぱりいちばん怪しい奴が裏の裏をかいて犯人なのか・・・?
とかそういうミステリーじゃねえから、これ
ツイッターが流行りだした直後に観れば感想は違ったかもしれないけど、今のネットの状況とか考えると今更感がハンパない
そんな微妙な時代遅れなところが、作品じたいをケータイ小説っぽいチープな印象にまでおとしめちゃってる感じ

噂という真実と嘘と歪められた都合の良い記憶、そして作意的な印象操作が錯綜する中、殺人事件の容疑者として浮かび上がった城野という人物を追ううちに、主人公の赤星は真相にたどりつけるのか、という内容
次々に事件や関係者のことを語る人物たち、それぞれ本当のことを言ってるのか、それとも・・・?というのを楽しむ作品なんでしょうけど、なんともトリッキーさが物足りない

殺人事件というミステリーが解決に向かう明快感が気持ちいいわけでもなく、噂に噂が上塗りされて、真実がどんどん形を変えていくおもしろさがあるわけでもなく・・・
なんだろう、このブラックユーモアだけが上滑りして描かれてる感覚
確かに人が発信する情報の危うさって点を描いてるのはおもしろいんだけど、さんざん言われ尽くしてる今になってこのテーマでやられても、ね

時代が一周して、再びこういう内容の危険性をみんなが忘れかけたころに観れば評価も変わるかも・・・変わらないかもって感じの一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:作品のネタもナマモノっていうことを痛感せざるえない




白ゆき姫殺人事件 予告

2014年3月24日月曜日

ローン・サバイバー (2013/米)

監督:ピーター・バーグ
出演:マーク・ウォールバーグ / テイラー・キッチュ / エミール・ハーシュ / ベン・フォスター / アリ・スリマン / アレクサンダー・ルドウィグ / エリック・バナ

武装勢力タリバンの指導者発見の情報を得て、マーカスたちネイビー・シールズの4人は現地へ確認に向かう
通信状況が悪く連絡がとれなくなる中、タリバンと関わりもあると思われる現地人と遭遇してしまい…

確かに緊張感があって想像を絶するサバイバルが描かれてはいる、んですが…なんというか微妙な感じが否めない
戦争というものの残酷さ、戦場の無慈悲さ、極限状態における人間の明と暗っていうドキュメンタリー風なリアル戦場ものを期待してると裏切られるかもしれません
ドラマ性やメッセージ性を重視しているというより、緊張感のあるアクション映画よりな内容と個人的に受け取れました

主人公たちわずか4人は通信もできない状態で、敵地の中、孤立無援で戦い抜くって内容ですね
あくまで「戦う」ことを前提に行動し、いかなる状況でも「逃げる」という選択肢も「少しでも戦うための有利を得るため」という理念も徹底していておもしろい
とにもかくにも生き残れ、っていうパターンのサバイバルものじゃないってのはよかったですね
絶望度はガンガン上がっていくのに、ホントに「諦め」というのを微塵も表に出さない主人公たちに燃える
戦いが始まってからは終始、緊張感も持続するので最後まで楽しめます

一方、個人的にかなり大きな引っかかりを感じた部分もありました
それは主人公たちが特殊部隊ってのは分かるけど、あまりに「強く、勇敢な戦士たち」というのを強調しすぎてる気がする点
圧倒的に不利な状況の中で主人公たちはけっこう敵を倒してるし、被弾や負傷してもマイナスの感情をほとんどださない
それはそれでいいんですよ…ただし、娯楽に特化したアクション映画としてならね

この作品って、始まりから作中の雰囲気的には「リアルな戦場」を意識して作ってると思うんですよ
でも、実際にスクリーンに映ってるのはスーパーソルジャーすぎる
死に際まで軽口たたきながら、敵をどっかんどっかん派手に倒していくような娯楽アクションでもないし、リアルタッチな生っぽい人間ドラマでもない、かといって戦争うんぬんというメッセージ性があるもでもない半端さがどうにも残念な感じがするんですよね
絶望感マックスな緊張の中で戦い抜く、というアクション部分だけに期待して観る分には申し分なくおもしろいんだろうけど

個人的評価:70点
オススメ度:ナイフとダックネタとか、そういうB級な娯楽ノリに徹してくれていれば…




ローン・サバイバー 予告

LEGO(R) ムービー (2014/米)

監督:フィル・ロード / クリストファー・ミラー
出演:クリス・プラット / ウィル・フェレル / エリザベス・バンクス / ウィル・アーネット / ニック・オファーマン / アリソン・ブリー / チャーリー・デイ / リーアム・ニーソン / モーガン・フリーマン

レゴブロックでできた世界の住人エメット
マニュアル通りで流されてばかりの彼は、ある日、奇跡のパーツを発見し選ばれし者となるのだったが・・・

まあ、言っても子供向けなおちゃらけ映画だろ、とかバカにしててホントすんません
確かに子供向けな部分は大きいけど、ネタ的に大人向けなところもあるし、なによりストーリー展開がおっさんにもじゅうぶんに楽しめる
コミカルなバカ騒ぎで子供も楽しめ、ハイテンションな内容の裏にある物語に大人もグッとくる万人受け型の完成度の高い作品でした

お仕事社長によって世界は壁で分断、完璧で秩序あるマニュアル通りに構築されたレゴの街
そこでなんの取り柄も特徴もない普通すぎる作業員の主人公エメットが、奇跡のパーツを手に入れたことで仲間たちとともに世界の垣根を取っ払うためにお仕事社長の野望を阻止しようと戦う、ってお話
ようするに「マニュアル人間が非日常を体験することで自由のすばらしさを知る」みたいな内容・・・なんだけど、そう単純でもないからおもしろい

とりあえず序盤からずっとハイテンション&ハイスピードでアクションが続いて話も展開していきます
かといって落ち着くところはちゃんと落ち着くので、観てて疲れることもないほどよいジェットコースターが楽しいですね
ギャグはわりとベタなものが多いけど、無駄に強調したりせずにテンポよく流していく感じですべってるシーンでも「寒いな」と感じる前にもう次へ進んでるから気にならない

なにより「上の人」とか最初こそネタの一部にすぎないと思ってたら・・・
まさか失礼ながらこの映画で感動させられるとは思ってもみなかったわ
無駄にはちゃめちゃな話かと思いきや、まさかしっかりと考えられてるとは、ね
見る人によってはめちゃくちゃだけど、裏ではそれを真剣に作った人がいる・・・まさにLEGOってことなのかな

ファミリー映画として親子で楽しめながら、別々のおもしろさを味わえる希有な一本かもしれません

個人的評価:95点
オススメ度:TMNTとかピンポイントで狙ってくるネタの冒険心は潔いね




LEGO(R) ムービー 予告

2014年3月23日日曜日

猫侍 (2014/日)

監督:山口義高
出演:北村一輝 / 蓮佛美沙子 / 寺脇康文 / 浅利陽介 / 戸次重幸 / 洞口依子 / 温水洋一 / 津田寛治 / 横山めぐみ / 駒木根隆介 / 深水元基 / 斎藤洋介 / 小野寺昭

浪人の斑目久太郎は金につられて猫を斬る仕事をうける
しかし、ひっそり家に猫を持ち帰ったことから、町のならず者どうしの争いに巻き込まれていく

TVドラマ版は視聴済みという珍しくにわかっぷりを路程しない状態で鑑賞
あまり比べるものではないかもしれないけど、劇場版はTV版とは完全に別ストーリーになっていて、焼き直しとかそんなんでもなかったのはよかったですね
新たな気持ちで猫ザァームライの世界を楽しめました
コメディの要素はさらにパワーアップし、物語の展開もテンポよくなっていました
が、ちょっとドラマの要素が掘り下げ不足でアレでしたね

猫派の相川一家と犬派の米沢一家のならず者がにらみあう町で、浪人の斑目は相川の愛猫を斬る依頼を受ける
しかし、斑目は斬ったことにして家に猫を持ち帰ったことで、両一家の争いの深みにはまっていってしまう
という中で家族というテーマを主軸に、猫の玉之丞と触れ合ううちに不器用な性格が改まっていく、と
まあ、いちおしつこいくらいに「家族」的なテーマが前面に出してはいるけど、ドラマ要素よりコメディ要素の方がはるかに大きい

いかつい眼力の主人公のお茶目なモノローグがホントにおもしろく、ベタなネタも多いながらけっこう笑えます
主人公だけじゃなく、わき役たちのキャラもコミカルで、そんな登場人物たちのドタバタを観てるだけで十分に楽しめる
もちろん猫の玉之丞の「萌えー」も十二分だし、それだけじゃなく犬もモフモフでかわいい&癒される

一方で主人公の抱えるドラマの部分が最後まで観ても掘り下げが足りないと言わざるえない
「斬らない」ことにたいする説明が描ききれてない感じで、説得力がないまま終わっちゃてるからホントに「斬れない」だけな煮えきらなさがモヤモヤする
せっかく敵討ちキャラを出してるのに、主人公が中途半端なままなだけに、そっちまでうやむやになっちゃってる感じ

というわけで、どうせならコメディとして徹底して作ってくれた方がよりスッキリ楽しめたかもしれない一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:てっしゅー




猫侍 予告

LIFE! (2013/米)

監督:ベン・スティラー
出演:ベン・スティラー / ショーン・ペン / クリステン・ウィグ / シャーリー・マクレーン / アダム・スコット / パットン・オズワルト / キャスリン・ハーン

LIFE誌でネガの管理をしているウォルター
その最終号をかざるネガがどこにも見つからず、撮影した本人を捜しにでることになる

良い映画だ、良い映画なんだけど、なんというかキレイにまとまりすぎてて困る
という贅沢な悩みを感じる作品ですね
なんというか「最高にうまい水」をスカッとさわやかに気持ちよく飲み干したぜ、という感じ・・・って、よく分からないか
じゃっかん盛り上げ方が微妙で、描き方によってはもっともっと高揚できる要素があった気がするんですよね

空想という自分の殻に閉じこもりがちな小心者のウォルターが、つとめてた会社の雑誌の最終号のネガを探すうちに、昔のアグレッシブな自分を取り戻していく・・・という分かりやすい物語
空想のシーンを含め、全体的にファンタジックな描写が特徴的で、空想のはちゃめちゃさと現実の大冒険のギャップが埋まっていくのが見所ですね
まあ、しょうじきだいたい予告から受けてとれるイメージまんまの映画かも

総じて大きな欠点のない優等生映画なんだけど、細かいところで減点が積み重なって、思わず「良い映画なんだけど・・・」と「けど・・・」をつけたくなるんですよね
個人的に気になったのは、派手ではちゃめちゃな空想シーンは見応えあるんだけど、それを大きく上回る現実の大冒険シーンが少なかったかな、と
確かに大冒険ではあるんだけど、序盤の空想シーンの方がインパクトありすぎてる感じ

あとはやっぱりオチの25番の写真
悪くはないんだけど、やっぱり過去じゃなく現在、もしくは未来を指し示すようなものの方がしっくりくる
主人公の成長(昔の自分を取り戻す?)みたいな流れなんだから、25番の写真も更新されてもよかったんじゃなかろうか
もうひとつは超盛り上がる予告でも流れてる曲、これ本編でも流さない理由が分からないわ

と、いろいろと不満点ばかりつらねてしまうのも、ホントに映画としてはおもしろかっただけにマイナス部分が残念でしょうがなかったって愛情の裏返しということでひとつ

個人的評価:85点
オウスメ度:じゃっかんコメディ要素すべってますよ、ベンさん




LIFE! 予告

2014年3月17日月曜日

オール・イズ・ロスト 最後の手紙 (2013/米)

監督:J・C・チャンダー
出演:ロバート・レッドフォード

海上でボートと漂流物との接触事故がおきてしまう
ただひとりの乗員である男は機材トラブルや船体の破損を抱えつつ、なんとか航行を続けるが・・・

名優がひとりで洋上というシーンでの漂流してる姿を力強く描く、という企画の意図は理解できる
だけど、最後まで観た感想としては「で?」と言わざるえないです
いや、ホントにただ漂流してる姿を描いてるだけで、鑑賞後になにも得るものがないから困る
漂流というアクシデントからのプラスアルファのテーマってのが見えてこない

ひとりでボートに乗ってクルーズを楽しんでる最中、目が覚めたらなんか船に漂流物が突き刺さって船体に穴あいてるし
すっかり浸水しちゃって機械類はアウトっぽいけど、まあ、とりあえずなんとかやってみっか
というストーリーなんですが、とりあえず電子機器に頼った航海に慣れきった主人公がそれを取り上げられ、知識としてはわかってるけど経験のない(浅い)緊急時の対策に追われる姿を描いた作品ですね

物事に対して後手に回ったり、かなり効率悪く対処したり、不慣れで危なっかしい処置をしていく中、どんどん容赦のないトラブルが襲いかかってくる、と
こういうのって精神的&肉体的に追いつめられていく悲壮さ、っていうか人間としての生の部分が丸だしになっていく感じがおもしろい系な映画だと思うんですよ
なんだけど、ちょっとそこら辺の描写が物足りない気がしないでもない
淡々と描くのもいいけど、もっとドラマティックに過剰演出な感じで主人公の変容を描いてもよかったんじゃなかろうか

あとはやっぱりラストのオチがパッとしない
なんというか魂をゆさぶられるようなものを感じさせてくれるでもなく、なんかテーマ的な部分で深く考えさせられるでもなく・・・
「うん、え?終わり?」という感じで、ホントにただ漂流してただけな映画としか受け取れなかった一本でした

個人的評価:65点
オススメ度:魂の「ファック」はよかったんだけどね




オール・イズ・ロスト 最後の手紙 予告

2014年3月16日日曜日

あなたを抱きしめる日まで (2013/英・米・仏)

監督:スティーブン・フリアーズ
出演:ジュディ・デンチ / スティーブ・クーガン / ソフィ・ケネディ・クラーク / アンナ・マックスウェル・マーティン / ミシェル・フェアリー / バーバラ・ジェフォード / ルース・マッケイブ / ケイト・フリートウッド / ピーター・ハーマン / メア・ウィニンガム

50年前の修道院時代に息子と引き離された経緯を娘に語り出すフィロミナ
彼女は今になってジャーナリストのマーティンに記事にすることを条件に、息子を捜してほしいと依頼するのだった

なんの前知識もなく鑑賞したんですが、とりあえずどんな話か見えてこないところから「こんな話なのか」と分かるまでの課程が心地よい
ホントに「映画を観てるなあ」としみじみ思いました
とにもかくにも正反対で似たもの同士なフィロミナとマーティンの主人公ふたりのからみが素敵で楽しい
そして、それだけじゃなくてジーンと心にしみるシーンが散りばめられていて、最初から最後までひじょうにおもしろかったですね

50年以上前、修道院に身を置きながら男と淫らな行為におよんだ末に妊娠、出産をした経験のあるフィロミナ
その時に生んだ子供とは幼い時に唐突に引き離され、そのことはずっと自分の心の中だけにとどめて生きてきた
しかし今になって彼女は息子の消息を探るため、ジャーナリストのマーティンに声をかける
という中で取材という形で修道院から場所や土地を変え、いろんな人の協力や拒絶にあいながら息子の足取りを追う、と

今でも信心深いフィロミナ、神を信じず皮肉屋のマーティンというふたりのコミカルなやりとりがありつつ、どこかミステリーっぽい雰囲気で息子のことを調べていく
それでいてけっこうあっさり行方はつかむけど、そこから人間模様や人生ドラマ、宗教感の描写やらなんやら展開していって、まさに盛りだくさんな内容に大満足
とりあえずどんな深刻な展開になっても、ちょっとした主人公たちのおかしなやりとりが描かれることでどろどろしすぎないのがいいですね

軽すぎず、重すぎずなバランスの中での映画として楽しく、心にしみ、小粋なところもありつつしっかりしている
たぶん記事として読んだだけでは「へえ」ていどで流しちゃうような出来事だけど、こういう映画という作品として観るとホントに色々と得るものがあるなあ、と感じた一本でした

個人的評価:100点
オススメ度:達観してるようなお茶目なようなフィロミナさんのチャーミングさに惚れるわ




あなたを抱きしめる日まで 予告

ロボコップ (2014/米)

監督:ジョゼ・パジーリャ
出演:ジョエル・キナマン / ゲイリー・オールドマン / マイケル・キートン / アビー・コーニッシュ / ジャッキー・アール・ヘイリー / マイケル・K・ウィリアムズ / ジェニファー・イーリー / ジェイ・バルチェル / マリアンヌ・ジャン=バプティスト / サミュエル・L・ジャクソン / ジョン・ポール・ラッタン

重傷を負った警官のアレックスは、ほぼ全身を機械の体へと作り替えられる
人の心を残した警官ロボコップとして実験的に活動することになり・・・

往年の名作アクションを現代風にリメイクする、っていうと「どうせ大迫力&派手に大暴れするだけだろ」って印象が強い
けど、どっちかというとこの作品は内容に重きをおいてて、一本の映画としても普通におもしろかった
ちょっとダルい展開もあるけど、アクション映画ながらストーリーを丁寧に描こうとしてる点は好印象ですね
まあ、それでもラストはちょっとアレでしたが

ある事件を追っていた警官のアレックスは、邪魔者として消される対象になり車の爆破によって重傷を負ってしまう
同時期、機械と人との融合により世論の受けの良いロボットを開発しようとしていた企業に目をつけられ、妻の同意もあってロボコップとして生まれ変わる
で、鋼の体に生まれ変わった主人公が悪に立ち向かうって内容はシンプルなんだけど、主人公周りに降り懸かる陰謀をわりと丁寧に描いてる感じですね

単純に主人公よりのキャラかと思ってた博士も、なんだかんだで科学者という職業を抜け出せない感じで描かれていておもしろい
ロボコップ誕生までテストやら思惑やらを掘り下げて撮っている、という点はよく言えば丁寧なんですが、悪くいえばテンポが遅い
しょうじきそこまで長々とロボコップ誕生までのくだりを引っ張らなくてもよかったかなあ、と

で、やっとロボコップさんが大暴れをはじめるとシリアスな展開もあって楽しくなってくるんですが、だんだんなんか話をまとめるのがつらくなってきたのか作りが雑になってきてる印象が強い
特にラストはもうちょっとやりようがあったんじゃなかろうか
どうせなら最新鋭のライバル的なロボとバトルとかありがちすぎる展開でもよかったのに
と、ガッカリな点はあるけど、リメイクものにしては普通に楽しめた一本でした

個人的評価:80点
オススメ度:やっぱり全黒じゃない方がいいッスね




ロボコップ 予告

アナと雪の女王 (2013/米)

監督:クリス・バック / ジェニファー・リー
出演:クリステン・ベル / イディナ・メンゼル / ジョナサン・グロフ / サンティノ・フォンタナ / ジョシュ・ギャッド / アラン・テュディック / クリス・ウィリアムズ

すべてを凍らせる魔法の力を持つエルサ女王の戴冠式の日、妹アナの唐突の婚約話に姉エルサは力を暴走させてしまう
凍てついた城と街を後にし、山で自分の氷の城に閉じこもるエルサをアナは追うのだが・・・

思ったよりエルサのキャラが個人的にツボで、というかむしろアナよりエルサの方に感情移入してる自分がいました
作りとしてはさすがのディズニーというか、基本は子供向けっぽいけど万人受けするような内容になってておっさんでも楽しめました
アニメチックなデフォルメキャラながら、思ったほど粗さもないし見た目的にも十分に満足でした

なんか知らんけど凍らせる魔法を生まれつきもっていて、どんどんその力が強くなっていく姉のエルサ
その力を隠し通すために妹や城下町の人たちからも隠れてくらしていたけど、戴冠式にはイヤでも顔を出さずにいられず、そんな時に妹のアナの電撃婚約から端を発した騒動から力が暴走する、と
そんな姉と凍った城&街を救うためにアナはエルサを追って氷の城へむかう話ですね

日本語吹き替え版で鑑賞しましたが、ミュージカルパートは原曲まんまと思ってたら歌も日本語になってるんですね
なんか日本語になった途端にじゃっかん歌の印象が間抜けな感じになるのは否めないけど、そこまで悪くはなかった
そこまで頻繁にしつこく歌って踊ってるイメージがなかったってのも大きいかもしれませんが
そういう意味ではミュージカルパートとのバランスはけっこう良い感じでまとまってると思います

変にエルサが闇堕ちしないのも観てて肩がこらなくて個人的にもよかったですね
ちょっとあまりにあっちなキャラのデザインと、明らかに小さな子供向けっぽいキャラがいるって点が気にならないなら大きなマイナス要素なく楽しめる映画だと思います

個人的評価:85点
オススメ度:愛にも色々あらぁな




アナと雪の女王 予告

2014年3月10日月曜日

リディック ギャラクシー・バトル (2013/米)

監督:デビッド・トゥーヒー
出演:ビン・ディーゼル / ジョルディ・モリャ / マット・ネーブル / ケイティー・サッコフ / デイブ・バウティスタ / ボキーム・ウッドバイン / ラオール・トゥルヒロ / ノーラン・ジェラード・ファンク / カール・アーバン

謎の星で大きな怪我を負った体を引きずるリディック
凶暴な原生生物がうろつく中、厳しいサバイバルバトルがはじまる

過去作はいちお観てきたけど、しょうじきその内容の詳細までは覚えてません
つうか、そんなストーリーを大切にするような作品じゃなかった気がしないでもない
それなのに、つかみからメインストーリーまで1,2を覚えててあたりまえみたいな顔で、普通に続きとして制作した体になってるから困る
しかも別に重要なエピソードってわけでもないし、ホントに「なんで今、リディックの続編?」と首を傾げざるえない

罠にはまって未知の星で重傷を負ったままサバイバルすることになったリディック
なんかこの星じたいもやばそうだし、あえて賞金稼ぎを呼び寄せて、その鑑で脱出すっか・・・というストーリー
つまり、エピソードの主軸は「危険な星からの脱出」というだけ
それじゃアレだってんで1の話がじゃっかん絡んではくるけど、それでもあえて新作映画として作るほど重要な話が展開するわけじゃない

それなりに金をかけたB級SFアクションというイメージが強く、大金つかってあえて狙ったB級感じゃなくて「けっきょくB級になっちゃった」みたいな残念さが痛々しい
画面的には派手だし、CGなんかもそれなりに金はかけたSFっぽい雰囲気は出てる
B級SFアクションとして「とりあえず大暴れしとけ」みたいな娯楽性はクリアしてるけど、深夜や平日昼下がりにテレビ放送するのを観るようなテンションじゃないと「おもしろい」と感じるのは難しいかも

よっぽどリディックという作品に思い入れがあって、外伝的な位置づけな内容でもオーケイという人なら、ソフト化してからレンタルして観ても楽しめると思います

個人的評価:65点
オススメ度:「ジョンズだ」ババーン!<知らんがな




リディック ギャラクシー・バトル 予告

銀の匙 Silver Spoon (2014/日)

監督:吉田恵輔
出演:中島健人 / 広瀬アリス / 市川知宏 / 黒木華 / 上島竜兵 / 吹石一恵 / 西田尚美 / 吹越満 / 哀川翔 / 竹内力 / 石橋蓮司 / 中村獅童

進学校から逃げるように農業高校へ目的もなく入学した八軒
サラリーマン家庭だった彼にとって、酪農の知識と経験のある生徒ばかりに囲まれた学校生活は未知の世界だった

胸キュンラブストーリーも~ない、というフレーズを信じて鑑賞しましたが・・・
結果として動物がかわいいってだけのほのぼのでもなく、安易なラブコメでもない内容に満足です
農業高校で普通の高校では味わえない酪農体験をしつつ、正統派ヒロイン、ロリ、ナイスバディ、とか女の子に囲まれてラブでコメする映画じゃないってだけで安心ですわ
原作は未読ですが、ちょっと気になりますね

内容的には酪農についてまったくの素人な主人公が、なんとなく目的もなく入学した農業高校でいろんな人や出来事にあいつつ成長していく直球青春ドラマでした
思ってたよりバカ騒ぎ要素は控えめで、経済動物との関わりを主軸にした酪農経験と、人間どうしのつき合いを経て主人公が成長していく課程を丁寧に描いてます
流されない~、とか逃げ~うんぬんとか重要な要素は台詞としてしゃべって表現しているので、そう話的にも難しくなくて分かりやすいですね

個人的には「割り切ったフリ」という部分に強く引かれるものがあって、誰かに偽善と言われても自分で逃げだと思っても「割り切ったフリ」さえしないで自分なりの答えを模索する大切さを感じられて良かったなあ、と
ちょっとマイナスな意味で気になったのは、主人公周りのエピソードを「とりあえずまとめてみました」みたいな描き方でしめた点
しょうじき作品的にまだまだ話の途中という感は否めないのは仕方ないのかもしれないですが、そこら辺は続編があったらそれに期待ということで

個人的評価:85点
オススメ度:チャリデキタの方が気になるわ




銀の匙 Silver Spoon 予告

2014年3月9日日曜日

グランドピアノ 狙われた黒鍵 (2013/スペイン・米)

監督:エウヘニオ・ミラ
出演:イライジャ・ウッド / ジョン・キューザック / ケリー・ビシェ / タムシン・エガートン / アレン・リーチ / ドン・マクマナス / アレックス・ウィンター

5年のブランから復帰したピアニストのトム
そして演奏するための舞台上、演奏中に楽譜に書かれた脅迫文を見つけ・・・

ようするに「フォーン・ブース」系だよね、って感じで目新しさはないものの、個人的にはこういうシチュエーションものもご無沙汰だったんで鑑賞することに
とりあえず観終わって思うのは全体的に雑な感じが否めないって点
主人公の超早い指運びという部分をいかしてた序盤はいいんだけど、サスペンス部分にしてもドラマ部分にしても犯人像にしても作り込みが浅い気がしてならなかった

有名女優である妻との結婚を機にピアニストとして復帰することになったトム
その舞台は亡くなった恩師を追悼するための演奏会であり、そしていよいよ演奏がはじまると楽譜に「ミスしたら殺す」という脅迫文が書かれていた
という話で、主人公は5年前の演奏でのミスタッチから舞台を離れていた経緯があり、ブランクもあることから緊張感が生まれます
さらに犯人との通話手段を得ると、助けを呼んだり余計なことをしたら会場にきてる妻を殺すと言われる、と

そんな中で犯人とコンタクトをとりながら、なんとか現状を打開する道を模索していくけど、まあ、そううまくことが運ばないのはお約束
ありがちな作品を盛り上げるためだけに仕立て上げられた犠牲者やら、犯人の裏をかいたり見透かされたりしつつ徐々に事件の背景がみえてくる・・・
んですが、真相が見えてくるほどつまらなくなってくるんですよね

なんというかとりあえず犯人の人間としての底が浅い
どこかとらえどころがなく不気味だけど、なにかしら強い信念のもとに行動する悪としての魅力がどんどん薄くなっていく
最後にはとうとう普通のアクション映画の雑魚悪役にまで堕ちる始末です
最後まで見えそうで見えない真相、はっきりと姿の見えない犯人との化かしあいってのを期待してると、ガッカリな展開が待ってます
真相にしても犯人像にしても、とにもかくにも雑という感じ

なんか5年のブランクとか、強烈な恩師の存在感とかありながら、あんまり主人公の過去がドラマとして真相にからんでこないのもアレだし、もうちょっと話を練ってほしかった作品でした

個人的評価:70点
オススメ度:いや、犯人さんよ、もうちょいやりようがあったろ。マジで




グランドピアノ 狙われた黒鍵 予告

偉大なる、しゅららぼん (2014/日)

監督:水落豊
出演:濱田岳 / 岡田将生 / 深田恭子 / 渡辺大 / 貫地谷しほり / 佐野史郎 / 高田延彦 / 田口浩正 / 大野いと / 柏木ひなた / 小柳友 / 津川雅彦 / 笹野高史 / 村上弘明

琵琶湖のもとに不思議な力をもつ日出家と棗家
15歳になった日出涼介は本家に修行へ訪れ、そこでたぐいまれなる力を持つという淡十郎と出会う

まあ、なんというかどう評価したらいいもんか迷う微妙さ
微妙なコメディ、微妙なファンタジー、微妙な能力者バトル、微妙なドラマ、微妙なオチ・・・
けっしてつまらなくはないんだけど、なんともスッキリしないおもしろさ、というかなんというか
タイトルやキャストからもハチャメチャでドタバタなコメディって感じがするんですが、実際はいろんな要素をつまみぐいしてそつなくまとめてみました、みたいな印象ですね

人の精神を操る日出家の力、人の肉体を操る棗家の力、それぞれ琵琶湖の周囲でしかその能力を発揮することができず、また両家は長年に渡って宿敵同士として争ってきている
そんな中、日出家の主人公の涼介と淡十郎は棗家といがみ合いながらも、謎の敵と相対していく・・・みたいな内容
ホントに思ったほどコメディの要素は強くなくて、バカ笑いを期待して観ると「あれれ?」ってなります

能力者バトルものとして盛り上がってくる!と思いきや、なんか中途半端なところで学園ドラマにシフトして、そのノリでいくのかと思いきやまた能力者バトルっぽくなる
で、けっきょくすべての要素で盛り上がってくると別の要素へ内容がシフトしていく感じで、そこそこおもしろくなってきた途端にその流れを自ら断ってる印象が個人的にしました

ラストのオチにしても、しゅららぼんの意味にしても、ホントに中の中の上という微妙なおもしろさになんとも言えない感想しかわかない
観てる最中はまあまあ楽しめるんだけど、鑑賞後には特になんの思いもわきあがらない、そんな一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:設定的にもっとおもしろくなる潜在能力は秘めてる、とは思う




偉大なる、しゅららぼん 予告

2014年3月3日月曜日

ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅 (2013/米)

監督:アレクサンダー・ペイン
出演:ブルース・ダーン / ウィル・フォーテ / ジューン・スキッブ / ステイシー・キーチ / ボブ・オデンカーク / アンジェラ・マキューアン

あからさまにインチキな高額当選手紙を信じ、1000km以上も離れたネブラスカへ徒歩で向かおうとする老人ウディ
騙されているだけだという家族の説得もむなしく、幾度となく家を抜け出すウディに息子のデイヴィッドは車でネブラスカへ向かうことにする

モノクロの画面にノスタルジックな音楽、そしてゆるやかに丁寧に描かれる人物たち・・・もう最高ですわ、これ
基本はボケ老人っぽいウディと、常識人でありながらなんだかんだで気を遣って父につき合うデイビーのコミカル&親子の絆みたいなドラマなんですが、それがもうホントにいちいちおもしろい
懐かし名画を観てる錯覚におちいります

話的にはインチキくさい高額当選手紙を信じて取りに行こうとする老人ウディとそれにつき合う息子のデイビーが、その道中で父の過去やら友人関係やら、親類とのあれこれな出来事に遭遇しては親子の絆を深めていく、と
とりあえずコミカルなシーンのセンスがよく、随所にクスクスと心地の良い笑いを上げてしまいます
入れ歯のやりとりとか、無口な親族の男連中とか、ねらってると分かってても笑ってしまう

そしてただコミカルな感じってわけでもなく、お金の絡んだシリアスでどろどろした部分もちゃんと描くことで作品が引き締まってますね
そんな中で最初こそウディのキャラを観てるだけで楽しい映画でしたが、わき役たちもみんないきいきしてて素敵だし、なによりもうひとりの主人公であるデイビーがどんどん魅力的になっていく

なんだかんだで物わかりのよい息子で、ウディとも似たもの親子という対比としてのキャラだけかと思いきや・・・
「父親とはちょっと違うかな、いやいや、やっぱ親子だわ」って分かっていくの良い
とにかく捨てキャラがほとんどいなく、可能な限り個々の人物を丁寧に描いてるのがおもしろかった

個人的評価:100点
オススメ度:話じたいはホントになんでもない、でも最高




ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅 予告

東京難民 (2013/日)

監督:佐々部清
出演:中村蒼 / 大塚千弘 / 青柳翔 / 山本美月 / 中尾明慶 / 金井勇太 / 落合モトキ / 田村三郎 / 岡村洋一 / 大谷ノブ彦 / 吹越満 / 福士誠治 / 津田寛治 / 小市慢太郎 / 金子ノブアキ / 井上順

大学生の時枝修は学費の未納により大学を除籍される
金がないことで住んでいた部屋も追い出され、ネットカフェ難民になってしまうのだった

東京という街の影の部分を描いて、痛々しくも這いずり生きる主人公を描いた物語、と思ってみてたら自分自身について見つめ直さざるえない映画だった
重く、痛く、暗い話ではあるんだけど光は射している、なんとなくすっごい厳しいけど生徒おもいな先生に叱られた気分ですね
どんだけ知ったか気分で甘い意識で生きていたか、ガツンとみせられました

大学を除籍になり、部屋を追い出され、ネットカフェ難民になって即日払いのバイトで生活を続ける主人公が、甘い考えのもとでどんどん底辺へと転がり落ちていく様を描いた内容
なんだけど、結局は主人公を通して自分自身をみてる錯覚をおぼえる映画ですね
とりあえず中盤くらいまでは東京という街の暗部を、そんな裏の顔があるのかもねって感じで楽しむ(?)転落劇

どんなに底辺へ向かって落ちていこうと、流されるままに甘い考えで行動する主人公に「こいつ、シャレにならんくらい痛い目に合わないとダメだろ」と悲劇の展開を期待しつつ観ていき・・・
最終的にはちょっと救われる、というドラマを楽しみにしてたら、そんな客観的にのんきに観てる自分がじょじょに主人公に重なっていくんですよね
で、最後には主人公を通り越して自分自身を見つめている、と

ホスト編の最後、覚悟うんぬんを説くシーンで「うわ、これ俺に言ってるわ」と痛感せざるえない
それなりにこれま生きてきて知識も得たし、経験もつんだつもりだけど、それでもまだまだ「そんな気になってただけだろ?」と自分覚悟の甘さについて考えさせられた一本でした

個人的評価:90点
オススメ度:愛!愛!




東京難民 予告

アニメミライ2014 (2014/日)

監督:吉浦康裕 / 渡辺歩 / 恩田尚之 / 今井一暁
出演:松岡禎丞 / 上田麗奈 / 沼倉愛美 / 大地葉 / 松本健太 / 岩崎了 / 古川慎 / 田村睦心 / 矢島晶子 / 久野美咲 / 花江夏樹 / 小野大輔 / 大地葉 / 前野智昭 / 松本夕紀 / 藤村歩 / 勝杏里 / 川澄綾子

短編アニメ「パロルのみらい島」「大きい1年生と小さな2年生」「黒の栖」「アルモニ」を描くオムニバス

短編アニメ集っていうと、なんかとがったクリエイターの世界観を描いたものが集まったカオスな感じのを想像するけど、これはそういうのとはちょっと違いました
ボーイ・ミーツ・ガールを基本にして、オーソドックスなテーマで作られている感じ
悪く言えばありがちな素材ではあるけど、そこはそれぞれの作品の作り手の腕の見せ所ってことなのかな

「パロルのみらい島」
獣と人間の中間みたいな存在の主人公たちが暮らす島
島を抜け出す禁忌を犯した主人公たちが、人間の街にたどりついてうんぬんという話
個人的には一番すきな作品ですね
なんというかオーソドックスな冒険活劇と少年の成長、こういうシンプルなのがいいんですわ
変に説教臭くなく、ハイスピードな展開に合わせてどこか懐かしいキャラたちがドタバタを繰り返す
それだけがいい、それだからいい、そんな作品

「大きな1年生と小さな2年生」
どこか頼りない背の大きな少額1年生の男の子、背は小さいけどしっかりものの2年生の女の子
男の子が女の子のために苦手やらなんやらを克服しつつ、小さな旅に出るという話
じゃっかん「パロル~」とかぶるけど、典型的な児童書って感じな内容でしたね
先が読めすぎるのはアレですが、優しい物語を丁寧に作ってあって大きなマイナス要素もない一遍

「黒の栖」
死に神が見える少年、やがてその姿が気になる少女の側に見え始め・・・みたいな内容
前2本とはガラっと雰囲気が変わって、どこかダークな始まり方はしますが芯の部分は同じ
ただ今時な人物や絵柄なんで、テーマがシンプルゆえにそういった意味ではあまり新鮮さ、というか「この作品だからこそ」ってとこが見つけづらい

「アルモニ」
一度きいた曲は弾くことができる特技をもつ少年、クラスでも目立つ存在の少女のケイタイの着信を聞いて・・・という感じの話
4作品の中で一番異質・・・というか「どこのラノベのプロローグだよ」と言わざるえない
個人的に、だけどなんとなくこの映画に組み込むには毛色が違うんじゃないかなと感じましたね
微妙にひねた内容ってこともあるし

個人的評価:70点
オススメ度:パロルにはまたあいたいなあ




アニメミライ2014 予告

2014年3月2日日曜日

魔女の宅急便 (2014/日)

監督:清水崇
出演:小芝風花 / 尾野真千子 / 広田亮平 / 山本浩司 / 新井浩文 / 吉田羊 / 浅野忠信 / 筒井道隆 / 宮沢りえ / 寿美菜子

13歳になって一人前の魔女になるために修行にでるキキ
たどり着いた島のコリコの町で、空を飛べる魔法をいかした荷物を運ぶ仕事をはじめる

見える地雷、それでもあえて踏まなくてはいけない時があるとかないとか
ってわけで予告からしてヤバイ臭いがしてきてる本作を鑑賞です
結果、やっぱりというかなんというか、まあ、多くの人が抱いてるマイナス要素まんまの作品でしたね
ひどいCGに薄っぺらいドラマを合わせた感じ

一人前の魔女になるには他に魔女のいない見知らぬ土地で一年すごさねば、って体の修行にでたキキ
そんな主人公が悲喜こもごもしながら町の人たちとよろしくやっていくファンタジードラマなんでしょうが・・・
しょうじき個人的には人間の心はこうも簡単に傾いてしまうっていう部分を描いた一種のホラーな印象が強かった
とにもかくにもキキに対する町の人たちの態度やらなんやらが恐ろしいほどに軽く変化しすぎ

自分たちに都合の良いことをしてくれれば「良い子やで」、もとが良い子だけに悪い部分が目に付いた途端に「やっぱ魔女だわ。怖い怖い」、でもちょっと評判が良くなってくると「やっぱ良い子や。知ってたし」と
世間的なキキに対する評価に多くの人がいっせいに傾く集団心理みたいな様を描いてる部分はホントに観てて怖い
キキとそこに絡んでくる人たちの一対一の感情のぶつけあい描写が薄くて「みんなそう言ってるから」みたいな印象がある

とりあえず悪いことをしたな、と思ったら面と向かって素直に「ごめんなさい」って言おうよ、と
良くも悪くも正面きっての感情のぶつかり合いがないと観ててもスッキリしない
なんか良い話みたいな体で作ってるのが逆に怖く感じた一本でした

個人的評価:60点
オススメ度:いまだに劇場公開作品でここまで動物系のCGに不自然さを感じる日本の技術




魔女の宅急便 予告

マチェーテ・キルズ (2013/米)

監督:ロバート・ロドリゲス
出演:ダニー・トレホ / ミシェル・ロドリゲス / ソフィア・ベルガラ / アンバー・ハード / カルロス・エステベス / レディー・ガガ / アントニオ・バンデラス / ジェシカ・アルバ / デミアン・ビチル / アレクサ・ベガ / バネッサ・ハジェンズ / キューバ・グッディング・Jr. / ウィリアム・サドラー / マルコ・サロール / ウォルト・ゴギンズ / メル・ギブソン

不死身の麻薬捜査官マチェーテ
大統領の命によりミサイル攻撃を企む革命家メンデスを倒すためにメキシコへ向かう

前作が思ってたより微妙だったんで、ちょっと続編とか言われても・・・って感じは否めなかった
だけどもう開始早々に「これだよ。俺が観たかったのは、こういうバカ映画なんだよ」とテンションが上がりましたね
展開の早さとぶっとんだバカっぷりに、誉め言葉と敬意を表してして「おまえ頭おかしいだろ」と制作陣にツバを吐きかけたい

マチェーテは新たな任務として革命家をぶち殺しにメキシコへ暴れに向かう
そんな中でミサイル発射を阻止するために群がる敵と戦いつつ、裏に隠された真相に近づいていくって話なんですが、まあ、しょうじきストーリーとかどうでもいい
こっちはただ頭悪いストーリー展開に涎を垂らしてげへげへとひげた笑いで興奮するだけですわ

重要っぽいキャラが出てきてはちょっと絡んで死んでいく
けっこう豪華なキャストなのに惜しげもなく使い捨てていくバカな作りが最高に素敵
とにもかくにもバイオレンス的なベクトルの娯楽を最優先した描写が楽しくて、話が進むにつれてメルギブさんのキャラ&扱いみたいな頭の悪さが加速していって素晴らしい

とりあえずアレだ、マジでアゲインをたのむと言わざるえない
いやあ、ホントに久々にスカッとするバカ映画に興奮したわ
ロドリゲスさんずっと信じてたよ、またこんな映画を撮ってくれるって

個人的評価:100点(超個人的趣向)
オススメ度:ダブルDって、ダブルDアベンジャーのこと・・・じゃないよなあ




マチェーテ・キルズ 予告