2014年4月28日月曜日

テルマエ・ロマエII (2014/日)

監督:武内英樹
出演:阿部寛 / 上戸彩 / 北村一輝 / 竹内力 / 宍戸開 / 笹野高史 / 市村正親 / キムラ緑子 / 勝矢 / 曙 / 琴欧洲 / 菅登未男 / いか八朗 / 松島トモ子 / 白木みのる

古代ローマ帝国の公衆浴場”テルマエ”の技師であるルシウス
日々、過酷な闘いに身を投じる剣闘士のためにテルマエを改装する任を受け、思い悩むうちに再び現代日本へ流れ着いてしまうのだった

ザ・安定感
1を観て面白かった、と思えた人なら今作も間違いなく楽しめるでしょう
満足するか否かは別として、ね
なんというか2にしてすでにネタがパターン化してしまっている感は否めなくて、同じシチュエーションのコントを観てる感覚

古代ローマの公衆浴場技師の主人公が、なんか知らんけど現代日本へタイムスリップしてきて、そこでカルチャーショックやら勘違いやらしながらヒントを見付けてローマに戻ってテルマエを作る
日本でのカルチャーショックやら勘違いやらをコミカルに描いたり、ローマでのアレンジされたテルマエのトンデモさを楽しむ内容…
まあ、しょうじきやってることは前作と同じですね

ネタも1の時にあったものを受けての「2ではこんなリアクションになります」とか、まんま1と似たようなネタが多い
良く言えば前作とおなじにおもしろい
悪く言えば2ならではのこれといった見所がない
例えば古代ローマ、現代日本という世界の他に第3の世界が関わってきたりとか、やり過ぎなくらいの過激な変化がないんですよね
置きにきてる笑い、という点では安定感はありますがもうちょっと冒険心があってもよかった気がしないでもない

それでもローマで日本での大まじめにバカをやるルシウスの姿を見てるだけでもホントに楽しいことは楽しい
加えて個性的なキャラ、ローマアレンジされたトンデモテルマエ、とコメディとしては笑えるポイントは多々ある
2だからって大きな期待を持たなければ、そこにはどっかで見たことある理想郷な映画があるっていうことで

個人的評価:80点
オススメ度:ED曲の途中変化はネタとしてハズしてる




テルマエ・ロマエII 予告

アメイジング・スパイダーマン2 (2014/米)

監督:マーク・ウェブ
出演:アンドリュー・ガーフィールド / エマ・ストーン / ジェイミー・フォックス / デイン・デハーン / キャンベル・スコット / エンベス・デイビッツ / コルム・フィオール / ポール・ジアマッティ / サリー・フィールド

ニューヨークの治安を守るために戦うスパイダーマンことピーター
スパイダーマンに引き寄せられる敵のことと恋人グウェンの父親との約束のため、彼女と距離をとることになり・・・

じゃっかん忘れたところもありますが、そうなんですよね、この「アメイジング~」は恋と友情の青春要素が強いティーン向けヒーローものだったんでしたね
なんか妙にノリの軽い描写を観てるうちに思い出しました
ダークで重いシリアスさのあるアメコミ映画っていうより、本来の(?)アメコミっぽいどこか少年向けなヒーロー作品ってことで、大人な雰囲気を期待して観るとアレかもしれません

スパイダーマンとして街の平和のために体をはって戦うピーター
調子のいい感じでスパイダーマン生活を楽しんでいたが、恋人グウェンのことを真剣に考えるほどに、彼女の父親との約束が重く感じられてくる
そんな中で街を騒がす電気人間やら、病について悩む親友とのあれこれがありつつ、逆ギレでスパイダーマンの敵が増えていく、というお話

今作ではエレクトロ、グリーンゴブリン、ライノと3人の敵が相手だってんで、こりゃ燃える乱戦が観れるぜ・・・とわくわくしてたんですが、ね
エレクトロの誕生という部分から描かれ、ヴィラン側についても丁寧にやっていくのはいいけど、「エレクトロだけの段階で、これこんなゆっくり描いてて大丈夫なの?」と心配になります
グリーンゴブリンが颯爽と登場してからも「おお、こっからさらにくるか!でも、まだライノ出てきてないよな・・・」とさらに心配が加速

スパイダーマンとしてのアクロバティックなバトルシーン、恋と友情、ヴィラン側の物語、見応えはじゅうぶんあっておもしろいんだけど、いかんせん一本の映画としてまとまりきれてないのは残念だったかなあ
ホントにエレクトロ編+グリーンゴブリン編の序章みたいになっちゃってる感じ
続編は作る気まんまんなんだろうけど、さすがにもうちょひとつの映画作品としてまとめてほしかったかな、と思わざるえない一本でした

個人的評価:80点
オススメ度:けっこうライノさんショボかった




アメイジング・スパイダーマン2 予告

2014年4月27日日曜日

そこのみにて光輝く (2014/日)

監督:呉美保
出演:綾野剛 / 池脇千鶴 / 菅田将暉 / 高橋和也 / 火野正平 / 伊佐山ひろ子 / 田村泰二郎

日々を自堕落に暮らす達夫は、ある日、パチンコ屋で調子の良い男の拓児と出会う
拓児の家に連れてこられた達夫は、そこで千夏と出会い徐々にひかれていく

偶然に出会った男女、どこか影のある感じなふたりが辛い現実に悩みながらもイチャイチャしていく、ってな大人のちょっとダークなロマンス
なんだけど、そんなふたりだけのドラマだったらちょっと退屈だったかもしれんね
なんといっても千夏の弟であり、達夫に絡んでくる拓児の存在が非常に大きい
そのキャラのおかげで作品にグッと面白味が出てきてると言わざるえない

自堕落に暮らす主人公の達夫には傷みをともなう過去があり、ヒロインの千夏にも体を売っているほかにも闇を抱えている
さらに拓児や千夏の両親にも問題があり、人並みに男女のつき合いを求めるほどに闇の部分が明らかになって、同時に濃くなっていく、と
ホントに闇を抱えた男女の恋愛話ってだけなら、しょうじき退屈なだけですが、主人公周りの登場人物たちの存在が良いスパイスになってる感じですね

序盤はヒロインの千夏が抱える部分が描かれ、徐々に達夫の過去が分かってきて、救われないまでもまだ希望は持てる
だけど、そこから畳みかけるように千夏周りの闇がどんどん濃くなっていくのが作品てきにおもしろい
まあ、おもしろいというか気持ち悪いというか、なんというか、ね
最初こそめんどくさい男女+その弟の自縄自縛ストーリーと思わせといて、みごとに男女の間の熱に浮かれてて見えない(ふりをしてた)暗部に打ちのめされます

だけど、これは個人的になんだけど、もうちょっと効果的にドラマを残酷で深く印象づける描き方も工夫できたんじゃないかな、とちょっと思えた
ぎりぎり退屈さは感じないけど、こう、ガツンとくる感じが物足りないんですよね
そんな感じで個人的にいろんな意味で印象に強く残る作品というとこまでいかない一本でした

個人的評価:80点
オススメ度:体当たり演技、特にファックシーンは見応えあるっちゃあ、ある




そこのみにて光輝く 予告

2014年4月21日月曜日

シャドウハンター (2013/米・独)

監督:ハラルド・ズワルト
出演:リリー・コリンズ / ジェイミー・キャンベル・バウアー / ロバート・シーハン / ケビン・ゼガーズ / レナ・ヘディ / ケビン・デュランド / エイダン・ターナー / ジェミマ・ウェスト / ゴッドフリー・ガオ / CCH・パウンダー / ジャレッド・ハリス / ジョナサン・リース=マイヤーズ

母と暮らしていた少女クラリーは男友達のサイモンとあるクラブに入り、そこで人殺しの現場に遭遇するがそれは自分にしか見えていなかった
その後、母親が何者かに襲われ連れ去られたことから、妖魔を狩る存在シャドウハンターと自分との関係を知る

雰囲気的にはジュヴナイル小説または海外版ラノベみたいな感じで、バトルの多い「トワイライト」みたいな印象でしたね
原作は知らないですが、とりあえず重要な部分を箇条書きにしてみて、それをまんま1から10まで順を追って映像化してるような気がしてならない
要点はちゃんと押さえてはいるんだけど、それに関する肉付けが弱くて、必要なとこをごちゃごちゃと詰め込んでみました、みたいに個人的には思えた作品でした

不思議なマークに誘導されるように主人公のクラリーはクラブへ入店し、そこで殺しの現場に遭遇するけどそれは自分にしか見えていなかった
で、そこへ母親の連れ去り、人間ではない存在シャドウハンターのジェイスの登場、妖魔と呼ばれる異形の怪物、聖杯がうんぬんとはじまる
要するにみんな聖杯を狙ってて、その場所を知る鍵として主人公があって、ジェイスに守られたり、サイモンをくわえてイチャイチャしたりしながら真相に迫っていく、と

けっこう重要な要素もびっくりするくらい軽く流されていくんで、ボーッと観てると完全に理解できないまま終わること必至ですね
まあ、しょうじき派手なシーンとネタバレあたりを把握して、細かいことを気にせずにアクション映画として観てるだけでも普通におもしろい
この「普通におもしろい」レベルとしては「レンタルでたまたま観たらそこそこだった」くらいなので、ぶっちゃけ観ても観なくてもオーケイな記憶に残りづらい映画ではある

まあ、なんだ、とりあえず「骨の街ってなんだったんだ」とか「ドロシアと母ちゃんの関係って?」とか「サイモンどうなるんだ?」「ラスボスはなにがしたかったんだ?」「そもそもシャドウハンターってなによ?」と、よく分からない説明不足感はありあまってる一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:ハンガーゲーム、トワイライト、日本ではこういうの流行りづらいと言われてるのに




シャドウハンター 予告

2014年4月20日日曜日

キャプテン・アメリカ ウィンター・ソルジャー (2014/米)

監督:アンソニー・ルッソ / ジョー・ルッソ
出演:クリス・エバンス / スカーレット・ヨハンソン / セバスチャン・スタン / アンソニー・マッキー / コビー・スマルダース / フランク・グリロ / エミリー・バンキャンプ / ヘイリー・アトウェル / ロバート・レッドフォード / サミュエル・L・ジャクソン

スパーソルジャーのキャプテン・アメリカが所属する組織シールド内部で不穏な影が浮かび上がりつつあった
そんな中、長官であるフューリーは命を狙われ・・・

アベンジャーズ2につなげる用か、キャプテン・アメリカ3へつなげる用か、その両方か知らんけど、とりあえずホントに次のエピソードのための序章という感じの作品でしたね
派手で見所十分なアクション、先は読めるけどいちお内容はあるストーリー、とパッと観た感じでは普通に一本のアクション映画として完成度は高い・・・んですが、ね
結局はほとんどのことが解決しないまま、「つづく」みたいなノリでスッキリしなかった

内容的には正義の味方な組織だった主人公たちが、なんだか陰謀によって敵として命を狙われる立場になってしまう、という続編にありがちな話
序盤はそれなりに誰が敵で誰が味方なのか、という謎はあるものの「どう見てもあんたが黒幕だよね」っていう先の読めやすさは否めない
それでもとりあえずストーリーは形になるくらい組み上げられてるんで、最低限度の緊張感は継続するのは救い

アクション部分もちょっと動きが早すぎて、ビシっときめる止めポイントが少なく感じたけど、それなりに派手で見応えはあります
まあ、盾万能すぎるだろ、というツッコミは野暮ってことで、そこら辺は目をつぶる方向で
だけど副題になってるウインター・ソルジャーの存在がじゃっかんふわっとしちゃってるのが残念

話が序章的なものだけにキャラ紹介やら、事前設定に重きがおかれてて、肝心のウインター・ソルジャーさんの存在感がメインというよりサブになっちゃってるイメージ
キャプテンとのドラマにしてもバトルにしても、鑑賞後にあまり印象に残る部分がないんですよね
「こういうキャラだった」ていどの認識で、個人的にどっちかといえばファルコンさんの方が記憶に強く残りました

そんな感じで、一本の映画としてはアレだけど、シリーズとして割り切ってみれば前作より見応えはあった一本でした

個人的評価:75点
オススメ度:本編前のちょっと規模の大きい説明回




キャプテン・アメリカ ウィンター・ソルジャー 予告

8月の家族たち (2013/米)

監督:ジョン・ウェルズ
出演:メリル・ストリープ / ジュリア・ロバーツ / ユアン・マクレガー / クリス・クーパー / アビゲイル・ブレスリン / ベネディクト・カンバーバッチ / ジュリエット・ルイス / マーゴ・マーティンデイル / ダーモット・マローニー / ジュリアンヌ・ニコルソン / サム・シェパード / ミスティ・アップハム

田舎町で暮らす老夫婦、妻のバイオレットは口腔癌を
患い薬物中毒の状態であった
ある日、夫の失踪によってバイオレットの妹や娘たちが久しぶりに家に集まるのだが・・・

色々と問題を抱えた家族のドラマ、って言うとあまりに単純すぎる
なんというか家族だからこそめんどくさくて、優しくて、冷酷で、イラつく複雑でぐっちゃぐちゃな感情が描かれていておもしろかった
けっこうな訳ありな事情をみんな抱えているんだけど、そこら辺は話が進めばじょじょに露わになってくる感じで、しかもけっこう観てても混乱しない分かりやすさな作りになっていてよかったですね

バイオレットの夫が失踪したことによって久しぶりに家に集まった家族たち
バイオレットの妹に娘たち、それぞれにも恋人や家族があって連れだって訪れてきていた
そこで突発的な事件やらなんやらによって、それぞれが抱える問題が爆発、周りを巻き込んで連鎖的に事態はややこしくなっていく、と
この人にもこんな一面があるのか、ってのがイヤっていうほど描かれていて、どんどん話にのめりこんでしまいます

とりあえず登場人物がでそろって、各キャラクターを把握させるような序盤の作りはありがちなホームドラマながら、観てる側への複数の人物の印象づけ方は丁寧
そして、「こいつはこういうキャラなのか」と理解させるような説明展開が終わってからが本番でした
もう、次から次へと秘め事やら問題が噴出してきて、「それでも家族なんだから」とか無理矢理まとめさせる暇も与えてくれない

しょうじき個人的にこの映画のすべてが理解できたか、というとNOと言わざるえない
でも複雑でカオスな家族のつながりと溝、単純な他人との関係を観てるだけで不思議とおもしろいと思わされた一本でした

個人的評価:90点
オススメ度:バイオレットさん、すべてお見通しすぎ




8月の家族たち 予告

2014年4月14日月曜日

ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う! (2013/英)

監督:エドガー・ライト
出演:サイモン・ペッグ / ニック・フロスト / パディ・コンシダイン / マーティン・フリーマン / エディ・マーサン / ロザムンド・パイク

学生時代にやり残したこと、故郷の12のバーをはしご酒で制覇する
そのためにゲイリーはかつての仲間たちに声をかけはじめるのだった

なんとなく「ハング・オーバー」みたいなおっさんが飲んで騒いでトラブルに巻き込まれるバカ騒ぎコメディなんだろうな、という予備知識なしで観たのが幸いでした
まあ、アレですね、ここら辺はネタバレするとつまらないんで伏せますが、ホントに予告もふくめて事前に情報を入れないで観た方が100%楽しめるのは確か
個人的には先の展開も含めてマジでWTFで最高にバカすぎで楽しめました

学生時代、12のバーを回るはしご酒に挑戦したものの失敗した過去を思い起こしたゲイリー
今ではそれぞれ家庭や仕事のある中年になったかつての仲間に声をかけ、再び挑戦しようと考える
という感じで大人になりきれないバカ主人公が、今ではそれなりに大人になったかつての仲間たちに声をかけてバカをやるうちに、なんだかんだでみんな昔に戻っていく…みたいな話くらいに思って観ましょう
とりあえずイメージとしては、「イギリスでもピンポンダッシュあんのかよ」くらいのネタがテンポよく繰り出されるコメディ作品

スタバかよ、って感じなバーのチェーン展開やら店にさりげなくあるナンバー、近代美術、過去の挑戦での顛末とかわりとどうでもいい伏線がなにげに回収されてて細かいところまでおもしろい
そのわりにゲイリーとアンディの確執とか、もうちょっと本編に絡ませる感じで掘り下げてもいいんじゃないの、って気がする点だけが残念かな
とにもかくにも途中からの展開も含め、ラストのJRPGでよくある万能な存在的ラスボスに対する主人公の主張みたいなの(かなりくだけた主張だけどね)もツボに入りまくりでテンション上がったわあ

ホントにしつこいくらい繰り返すけど、これから鑑賞しようって人は事前情報は控えめに

個人的評価:90点
オススメ度:トイレからはじまるWTF




※この映画が気になる人は予告を見ずに本編を鑑賞することを強くオススメします

ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う! 予告

それでも夜は明ける (2013/米・英)

監督:スティーブ・マックイーン
出演:キウェテル・イジョフォー / マイケル・ファスベンダー / ベネディクト・カンバーバッチフォード / ポール・ダノ / ギャレット・ディラハント / ポール・ジアマッティ / スクート・マクネイリー / ルピタ・ニョンゴ / アデペロ・オデュイエ / サラ・ポールソン / ブラッド・ピット / マイケル・ケネス・ウィリアムズ / アルフレ・ウッダード / クリス・チョーク / タラン・キラム / ビル・キャンプ / クワベンジャネ・ウォレス

奴隷制度が残っていた米国で自由黒人として家族と暮らすソロモン
ある日、彼は拉致されて奴隷として売り飛ばされてしまう

さいきんわりと奴隷制度の描写がある映画が多い気がしますが、多くが人種問題とかそこら辺を改めて考えようぜって感じで作られてると思われます
だけど、この映画はそんな差別的な要素よりも、主人公が黒人であり奴隷であるのは客観的に明らかながら、それでも人として生きる姿を描いた人間ドラマとしての作品という印象が強い
奴隷としてではなく、人であるがゆえの葛藤や強さがおもしろかった

自由黒人として妻と子供たちとともにヴァイオリニストとして暮らす主人公のソロモン
仕事のために単身ワシントンへおもむくが、そこで仕事を持ちかけてきた者の罠によって拉致され奴隷として売られてしまう
多くの奴隷、主人としての白人に出会いながら、辛い日々を送る中、それでも自由黒人であることを証明する機会をずっとうかがって強かに生きる、っていうお話

頭の回転がよくて、器用な主人公はどんな仕事をまかされても十分な働きを示す
それゆえにかわいがられることもあるし、うとまれることもある
そんな辛い日常を他の奴隷たちの扱いをふくめて描いてるんですが、とにもかくにも主人公の異質さがおもしろい
どんな目にあっても、理不尽なことを命じられても人として生きることを目的に心を強くもつ
自分を奴隷だと認めず、あくまで人として現状を打破しようともがく姿が周囲の奴隷たちと違って浮いているんですよね

時には歯を食いしばってイヤな命にも応じ、時には人として反抗する
黒人奴隷が微かな希望を捨てずに前を向いて生きる感動作というベクトルじゃなく、心が折れそうになりながらもあくまで人間としての生きざまを観てるだけで飽きることなく最後まで観れました

個人的評価:90点
オススメ度:自分で自分を差別しないってのも素晴らしいと同時に辛い生き方かもしれんね




それでも夜は明ける 予告

2014年4月13日日曜日

サンブンノイチ (2013/日)

監督:品川ヒロシ
出演:藤原竜也 / 田中聖 / 小杉竜一 / 中島美嘉 / 窪塚洋介 / 池畑慎之介☆ / 木村了 / 哀川翔 / 壇蜜 / 赤羽健一 / レイザーラモンHG / 増田修一朗 / ぼんちおさむ / 河本準一 / 松田大輔 / 海原ともこ / 庄司智春 / ワッキー / YASU-CHIN / ケン

銀行強盗をはたらいたシュウ、コジ、健さんの三人
警察に追われる中、あるキャバクラで分け前の分配にもめだして・・・

あんまり期待しないで観たんですが、思った以上に話が二転三転しつつのテンポがいい作品でした
いわゆる騙しうんぬん系の話ではあるんですが、そう複雑で深い緻密なストーリーってわけじゃなく、「実はこうでした」からの「でも実はこうでした」というふうなの後出しじゃんけんの上重ねっぽい感じ
とにもかくにも娯楽に特化してるんで、騙し系ではあるけどそう深く考えずに楽しめます

銀行強盗を終えて警察に追われる中、キャバクラ店内で分け前についてもめるシュウ、コジ、健さん
そんな三人の化かしあいの現在を軸に、そこにいたった経緯を描きつつ徐々に関わりのある人物を巻き込んで騙し騙されな駆け引きが展開されていく、というお話
次々に個性的なキャラが登場し、話の裏側が見えてくるみたいな作品ですね

考え抜かれた脚本と絶妙に配置された伏線、というのとはちょっと違って、新たな展開があるたびに「実はこれが俺(私)の計画でした~」というのの繰り返し
しょうじきトリックとかそっちについてはどうでもよく、この展開は誰の筋書きなのかな、と描かれるままを観てその場のキャラのピンチっぷりを楽しむ内容かな
時にシリアス、時にコミカルに描かれる展開をぼおっと観てるだけでもじゅうぶんにおもしろい

だけどちょっとこのラストは好き嫌い分かれるかもしれませんね
言いたいこと、描きたいことは納得できるし、こういうオチで納得はできるんだけど、個人的にもうちょいすっきり終わってほしかった気がしないでもない
なんか中途半端に続きがありそうな、そうでもないような感じは変に続編を狙ってるようでちょっと、ね

個性的なキャラをこの映画一本でおしまいにするもったいなさは分からんでもないけど、そこは割り切ってスッパリ切り捨てるところは切り捨てようよ、とじゃっかんマイナスイメージなラストがもったいない作品でした

個人的評価:80点
オススメ度:まあ、なんだかんだで銀行強盗だから、あんたら




サンブンノイチ 予告

クローズEXPLODE (2014/日)

監督:豊田利晃
出演:東出昌大 / 早乙女太一 / 勝地涼 / KENZO / 矢本悠馬 / 奥野瑛太 / 遠藤雄弥 / 柿澤勇人 / 栁俊太郎 / 深水元基 / やべきょうすけ / 高橋努 / 浅見れいな / 高岡早紀 / 板尾創路 / ELLY / 岩田剛典 / 永山絢斗 / 柳楽優弥 / 野替愁平 / 丞威

鈴蘭に転校してきた旋風雄だが、初日に暴れて目立ったもののケンカ嫌いの性分だった
しかし、鈴蘭はそんな自由に生きられるところではなく・・・

バトルものなのにバトルしたくない設定の主人公ってのはよくあるんですが、相当にうまく作らんとモヤモヤばかりが残ってしまう
この映画もそんなモヤモヤ全開な感じで、「悩んだりしゃべったりしてねえで殴りあえよ。カラスならよ」と言いたくなるわな
かといってドラマ的に深いわけでもなく、全体的に中途半端な作品でした

鈴蘭に転校してきた主人公は腕っぷしは強いがケンカしない主義
しかし鈴蘭や他校、チンピラどもに絡まれて戦わざるえなくなってくる、というありきたりストーリー
主人公の旋風雄メインってわけでなく、様々なキャラの群像劇な作りになっていて、それはそれでおもしろい試みなんだけど・・・

とりあえずそれぞれのドラマがつまらない&退屈
そして致命的なのがキャラに魅力がないという点
強羅にしても終盤にはすっかり小者に成り下がってるし、旋風雄じたいウジウジしてて印象が悪い
いちおライバルキャラの加賀美も結局、最後までよくつかめないままだったなあ

なんかみんな抱えてる葛藤とかよく分からないうちに自己完結しちゃって、ホントになにが描きたかったのか、と
ケンカじたいも泥臭さがなくなって、なんかキレイな顔で表面上だけ殴りあわれても、って感じな一本でした

個人的評価:50点
オススメ度:やっぱりMIIKEさんが・・・ってのは言わない約束ですかね




クローズEXPLODE 予告

2014年4月12日土曜日

クローズZERO II (2009/日)

監督:三池崇史
出演:小栗旬 / やべきょうすけ / 黒木メイサ / 金子ノブアキ / 三浦春馬 / 高岡蒼甫 / 桐谷健太 / 高橋努 / 鈴之助 / 遠藤要 / 上地雄輔 / 伊崎右典 / 伊崎央登 / 阿部亮平 / 大口兼悟 / 蕨野友也 / 綾野剛 / 大東俊介 / 橋爪遼 / 小柳友 / 阿部進之介 / 波岡一喜 / 深水元基 / 松重豊 / 遠藤憲一 / 岸谷五朗 / 山田孝之

芹沢を倒し鈴蘭の頂点に一番近い男となった源治
しかしタブーであった鳳仙学園とトラブルを起こし、鈴蘭はまとまりきらないままに全面戦争へと突入してしまうのだった

エクスプロード前に復習しておこうシリーズその2、って感じで鑑賞
挑戦者から王者になった立場の違いにうんぬんって感じで、続編としては正統な作り
いちおライバル校である鳳仙との対立っていう図式はあるものの、描いているのは主人公が鈴蘭を背負うことの重さを知る「鈴蘭の内部の話」な印象が強い
ケンカによるアクションシーンが多く、MIIKE監督にしては珍しく一般受けする娯楽に特化した作品に仕上げてますね

過去に鳳仙と問題をおこした男である川西が少年院から出てきて、早々に報復を受ける
それに関わって鳳仙にケンカを売ってしまった源治だけど、実は鈴蘭と鳳仙の間には血塗られた歴史を受けての不戦協定が結ばれていた
鈴蘭を背負う立場にありながら軽率な行動をとってしまった源治、いまだにまとまりきれない校内勢力の中で鳳仙との全面戦争に突入してしまう…と
前作ではなんだかんだで拳が力になってくれてるところが大きかったけど、今作では自分とGPSの仲間たちだけで鈴蘭をまとめていかなくてはいけないのに、なんともそううまくいかないって感じな話

鳳仙の存在が主人公を成長させるためって感じが露骨にするものの、敵キャラもけっこう良い味だしてるヤツが多くてそうマイナスな印象はしません
だけど、一方で前作から引き続きの登場人物の中で、”フラグをたてるためだけに”出てくるようなキャラの描写の薄さがじゃっかん気になる
特にヤクザ組の人たちはホントに捨てキャラが多く、薄っぺらに話に絡んで退場するだけな感じで残念

そんな点がありながらもアクションが多くなり、変なギャグが控えめで主人公周りのキャラにもほどよくスポットがあてられている感じで娯楽的には数段パワーアップしてますね
やっぱりこういう男どもは口より拳を動かしまくってた方が映える
とりあえず細かく気になる点はあるものの、続編としては十分に楽しめた一本でした

個人的評価:80点
オススメ度:ヒロイン、別にいらなくね?




クローズZERO II 予告




クローズZERO (2007/日)

監督:三池崇史
出演:小栗旬 / やべきょうすけ / 黒木メイサ / 山田孝之 / 塩見三省 / 遠藤憲一 / 岸谷五朗 / 桐谷健太 / 高岡蒼甫 / 渡辺大 / 深水元基 / 高橋努 / 鈴之助 / 遠藤要 / 上地雄輔 / 伊崎央登 / 伊崎右典 / 大東俊介 / 橋爪遼 / 小柳友

腕に自信のある不良どもが集う鈴蘭男子高校
そこに転校してきた源治は頂点をとるべく一番の猛者と噂の芹沢に戦いを挑む

エクスプロードへ向けて復習しようシリーズ
とりあえず原作コミックは未読というにわかっぷりは通常運転ですが
世界のMIIKE作品らしく、ギリギリ許せるか許せないか微妙な点をついてくるギャグセンスが多発するところをのぞけば熱い不良バトルものとして万人受けする作品ですね
そういう意味では良い感じにMIIKE臭が薄くて普通におもしろい娯楽映画

ヤクザな親父への当てつけに鈴蘭の頂点をとろうと転校してきた主人公の源治
そこで出会った頂点に一番近い男の芹沢、そして中学時代の親友の時生
ただひとりの男として最強なだけでなく、鈴蘭の猛者どもに認められる男を目指して源治は仲間を集め始める、と
個人対個人、ただケンカの強さをしめしあう話ではなく、学校を統一する器もみがいて仲間を集める戦国乱世ものっぽいところがそこらのヤンキーものとは異なる楽しさがあります

登場キャラたちも個性的ではあるけど、あまり主張しすぎず必要最小限の出番があるだけであれもこれもなゴチャゴチャした感じがなくて良い感じ
逆に言えば各人の掘り下げがじゅうぶんではないところもあるのは確かで、単に「こいつはそこそこ強いやつだよ」って説明だけなキャラもいて、いざバトルがはじまってもキャラに感情移入しづらいというマイナス要素もなくはない
特に時生と芹沢の間の絆はもうちょっと描かれてもよかった気がしないでもないかな
源治と拳とのエピソードは十分だっただけに、その対比である芹沢と時生の話が物足りない、かな

それでも多くの登場人物がよけいな主張をしすぎず、主人公の源治と芹沢の対立にスポットをあてたシンプルさは熱い展開もあいまって非常におもしろかった
ただ、やっぱりオリジナルストーリーとはいえ、原作を読んでた方がもっと楽しめたんだろうな、と思わざるをえない一本でした

個人的評価:85点
オススメ度:リンダマンとか一年生3人組とか原作絡みのキャラなのかな




クローズZERO 予告


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2014年4月8日火曜日

リベンジ・マッチ (2013/米)

監督:ピーター・シーガル
出演:ロバート・デ・ニーロ / シルベスター・スタローン / ケビン・ハート / アラン・アーキン / キム・ベイシンガー / ジョン・バーンサル

伝説のボクサーであるレーザーとキッドとの試合から30年
年老いたふたりにゲームのモーションキャプチャーと声の出演依頼が舞い込んでくる

なんだかんだでリタイアしたおっさんが奮起する系はひとつのジャンルになってきてる感じで、かつてアクション映画界でハッスルしてた名優たちも大活躍でうれしい限り
だけど、ひとつのジャンルであるていど作品がつくられてくると・・・こういう微妙なのも産まれるはしょうがない、のかなあ
とりあえずリタイアした伝説的な男が汗と絆と努力でカムバックするドラマチックな映画じゃないので注意ですね

30年前の試合を最後に喧嘩別れのようになったボクサーのレーザーとキッド
そんなふたりにボクシングゲームへの協力の仕事が舞い込み、良い金になることから引き受ける
しかし、現場でのふたりのいがみ合いから実際のボクシングでのリベンジ・マッチへと話は展開していく
という中でトレーニングしつつのふたりの過去の因縁、そして現在へのしこりが描かれていくという作品
なんだけど、ほぼ全編コメディ調でノリは軽い

それでもクライマックスのガチバトルが熱ければ感想は変わってたんですが・・・ね
なんというかまったく熱くないハンデ戦な上にぬるい友情描写と、ホントに男としてグッとくるポイントがいっさいない
そしてガッカリしてるところにエンドロールのオチが重なり、最終的に「この作品ってふつうにコメディ映画じゃねえか」と思わされます

最初からコメディとして心構えして観てればよかったんでしょうが、熱い闘いものに大人な重厚ドラマってのを期待してたもんだから真逆な作風に失望せざるえない
かってに思いこんでガッカリした自分が悪いのかもしれませんが、同じく熱いドラマを期待して観ようと思ってる人は注意した方がいいですね

個人的評価:60点
オススメ度:最後のオマケのオチは嫌いじゃない




リベンジ・マッチ 予告

大人ドロップ (2014/日)

監督:飯塚健
出演:池松壮亮 / 橋本愛 / 小林涼子 / 前野朋哉 / 渡辺大知 / 馬渕英俚可 / 諏訪太朗 / 美波 / 香椎由宇 / 河原雅彦

高校生の由は友人の始からクラスの女子の杏に好きな気持ちを伝えてほしいとたのまれる
そこで杏と仲がよく気軽に話せる女子の春に相談するのだった

主人公の高校生たちの甘くて切ない四角関係、って感じの現代風なスイーツドラマかと思いきや、実はけっこうしっかりした青春ドラマでしたね
甘酸っぱい話の酸っぱい部分、ほろ苦い話の苦い部分の方がウエイトが大きく、深いようなシュールなだけのような訳のわからなさが、まさしく「青春」と呼べる映画でした

高校最後の夏を前にクラスの女子に好きな気持ちを伝えたいという始
その親友である主人公の由はもやもやした気持ちを感じながら、女友達の春に相談を持ちかけてWデートを計画する
そうこうしてるうちにそれぞれの気持ちが交錯していきつつ、杏の抱える問題を機に話が大きく動いていく、と
キャスティングも含め、ホントにスイーツ青春ロマンス映画とは違うぜ、って作りが個人的に好印象でした

ひとつひとつの台詞や芝居にけっこう意味を持たせてある感じで不必要に繰り返さないため、なにげに聴き逃したりよそ見をしてると「え?なんで?」となるシーンがあるかもしれん
という点以外はホントに個人的にツボに入った作品でした
映画じたいが深いようなそうでもないような、単純なような複雑なような「青春」というものをそのまんま映像化したような感じでおもしろい

登場人物たちもリアルな高校生なようで今時じゃなさすぎる感じで、画面に移る登場人物は生の人間ではなくて「高校生の精神」的な部分を擬人化してる・・・ととらえていいのかなあ
描かれていることをいいちいち説明なんてしてくれない不親切さが楽しい、そんな映画でした

個人的評価:90点
オススメ度:安易な問いは思考停止、それだけの相手だってことッスかね




大人ドロップ 予告

2014年4月6日日曜日

THE NEXT GENERATION パトレイバー 第1章 (2014/日)

監督:押井守
出演:真野恵里菜 / 筧利夫 / 福士誠治 / 太田莉菜 / 千葉繁 / 堀本能礼 / 田尻茂一 / しおつかこうへい / 藤木義勝

レイバーと呼ばれる人型作業機械の犯罪利用に対し、警察専用レイバーを運用する組織の特車2課
そのメンバーも代替わりしてはや3世代目になり、組織も人もかつての栄光の影もなくなっていた

実写版パトレイバーということ以外、事前情報を頭に入れてなかったので、普通にアニメを実写化したんじゃないと知って驚きました
ようするに世代交代をしたちょっと先の時代の続編なんですね
だからといってまたキャラをいちから覚え直す必要はなく、アニメ版の性格や言葉遣いはほぼそのままに、名前まで似た感じにしてくれてすぐに作品世界に入り込めました

いちお続編という立ち位置な話だけど、どうみてもアニメ版の一話完結な日常コメディパートにしか感じられない
とりあえずパトレイバーの世界感を説明する0話と、ぐだぐだ日常コメディを展開する1話でできてます
別に大きな一本のストーリーがあっての一話完結ものってわけでもない感じで、それでもいちお存続うんぬんがメインになるのかなあ
次回予告をみるかぎり、ホントにアニメの日常話なエピソードだけでいくみたいですね

グリフォン編とか、劇場版みたいなシリアス話の欠片も感じることができないのは残念なような気もしますが・・・
とりあえずまんま実写化したような、どこか懐かしい感じがする作品の雰囲気は楽しかったです
ただ、やっぱり隊長の役だけは違和感ありすぎますわ
あと、イングラムの動きの軽さもじゃっかん引っかかる

いきなりこれからパトレイバーを観ようって人はいないだろうから、そこら辺はいいとして・・・
なんだかんだでシリアスな核となる部分があるだろう、と思ってると物足りなく感じるかもしれません

個人的評価:75点
オススメ度:初代メンバーのその後が、なにげに悲惨な道を歩んでるやつ多すぎだろ




THE NEXT GENERATION パトレイバー 第1章 予告