2014年11月30日日曜日

寄生獣 (2014/日)

監督:山崎貴
出演:染谷将太 / 深津絵里 / 阿部サダヲ / 橋本愛 / 東出昌大 / 大森南朋 / 北村一輝 / ピエール瀧 / 新井浩文 / 國村隼 / 余貴美子 / 浅野忠信

謎の寄生生物に右腕を乗っ取られた高校生の泉新一
同じ頃、日本各地で脳を乗っ取られ、人間を喰い殺す事件が頻発しだすのだった

かの有名傑作マンガの実写映画化・・・とか言いつつ、いつものように原作は未読というね
世代的にはおもいっきり寄生獣を読んでておかしくはないんだけど、なんだかんだで当時はスルーして現在にいたってしまいました
逆に考えれば変な思い入れがないだけ映画そのものを楽しめる、という方向性で鑑賞

いくら思い入れがないとはいえ、ちょっと気がかりだった阿部サダヲの声
しかし実際に作品を観てみると、最初こそちょっと変な感じだったけどすぐに慣れましたね
それよりもがっかりしたのは染谷将太の扱い
個人的に彼の変幻自在な演技にすごい魅力を感じているんですが、この作品では普通すぎるキャラ表現と撮り方で残念

内容も「こんな話です」とストーリーを展開していく部分では興味は持続していて楽しめるんですが、どうにも盛り上がりが散発的な気がしないでもない
いくつか盛り上がるべき展開なシーンがあるんですが、どれも高ぶりきらないうちに次の流れに移っていっちゃってる感じ
そつなく話を描いてはいるし、冷静に観ればひとつひとつのシーンの表現は丁寧に描いていると思う
でも、なんともインパクトがないっていうか、ここが最高に良かったという場面が思い浮かばない

まあ、アレだいつもの「20世紀少年」とか「カイジ」のノリと同じ一時だけ盛り上げて売り抜けばOKみたいな方向性の作品っぽい印象
どうせ完結編の公開にあわせてTVで放送されるだろうし、それを待ってもいいかもしれません

個人的評価:70点
オススメ度:思った以上に寄生された人間の戦闘方法にバリエーションないのね




寄生獣 予告

フューリー (2014/米)

監督:デビッド・エアー
出演:ブラッド・ピット / シャイア・ラブーフ / ローガン・ラーマン / マイケル・ペーニャ / ジョン・バーンサル / ジェイソン・アイザックス / スコット・イーストウッド

第二次大戦中、戦車フューリー号で仲間とともにドイツ軍と戦うドン
亡くした副操縦士に変わって補充された新兵ノーマンを加え、新たな任務につくのだった

思った以上にオーソドックスな戦争映画でした
アクション中心に観ても、戦争うんぬんということを中心に観ても楽しめますね
ただ、ちょっと優等生すぎるという部分で面白味がかけるかな、という点と大作を狙いすぎてるくさみが気になるといえば気になる

戦車についても知らず人も殺したことのない新兵に観てる人の感情移入を促し、その視点から生死、宗教、戦争という要素を楽しむオーソドックスな作り
戦争の残酷さや皮肉さ、生命のやりとりうんぬんについて色々と考えさせられながらも、なんだかんだ戦闘シーンでは純粋に熱くなってる自分を見つめるのがおもしろい

人の感情の部分をゆさぶるドラマ性、そして多様な戦車戦のバランスがいいですね
今までに戦争映画の名作はいっぱいあったけど、現代のそれを目指してる感が伝わってきます
そんな大作を作る、という欲目が個人的に嫌らしく映ってしまってるように思えたのも確か

近年の戦争を扱ったFPSゲームや、軽いノリな戦争アクション映画に慣れた世代に重さを感じられるザ・戦争映画ってのを提示したかったのかもしれんね

個人的評価:80点
オススメ度:ドイツの戦車がすげえってのは分かった




フューリー 予告

2014年11月23日日曜日

日々ロック (2014/日)

監督:入江悠
出演:野村周平 / 二階堂ふみ / 前野朋哉 / 岡本啓佑 / 落合モトキ / 古舘佑太郎 / 喜多陽子 / 蛭子能収 / 毬谷友子 / 竹中直人 / 古舘佑太郎 / 藤井清也 / 小林亮平 / 藤川雄太

THEロックンロールブラザーズという売れないバンドをやっている日々沼たち
ある日、ライブハウスで演奏中に謎の女に乱入されステージを乗っ取られてしまい・・・

確かにクソB級だけでバカやってるだけの映画
なのにクッソマジメにバカを貫き通してるから不思議なおもしろさがあるんですよね
チープなつくりに、うなってがなってるだけの登場人物、垂れ流されるクソな音楽、だけど暑苦しい熱さが伝わってくる・・・これがロックってやつなんですかね

小さなライブハウスで住み込み活動してる売れないバンド、そこに人気絶頂のアイドルがからんでくるんですが、とにかく話やセリフうんぬんっていうよりノリと勢いだけで押し切ってる内容
特に主人公のキョドりっぷりが顕著で、自分で音楽について心の声で語るでもなく、理解者が彼について代弁するでもないのがひどい(ほめ言葉)

開幕の流血騒ぎから、乱闘騒ぎ、とバカすぎるバイオレンスっぷりにクソ映画臭を隠そうともしない潔さ
かといってライブシーンが迫力あって、なんだかんだ主人公たちが輝くかと言えばそうでもない
そんなジャンクな作りにだんだんと慣れてきて、変な感じで楽しくなってくる
さすがにクライマックスでは不覚にも「日々沼・・・カッコイイ、かも」と思わされますが

なにはともあれ、まともなセリフがほとんどなく、中腰で力みながら腕をつきだしているのが基本スタイルのキャラをなんのフォローもなく主人公にしてるのが素敵すぎると言わざるえない

個人的評価:75点
オススメ度:日々沼、マジ社会不適合者




日々ロック 予告

インターステラー (2014/米)

監督:クリストファー・ノーラン
出演:マシュー・マコノヒー / アン・ハサウェイ / ジェシカ・チャステイン / ビル・アーウィン / エレン・バースティン / マイケル・ケイン

食糧危機にみまわれた地球
エンジニアのクーパーは娘の部屋で土埃に座標が示されていると読みとる

言うほどSF作品について知識はないけど、そんな素人目線ながらザ・SFな映画だなと感じました
ひとつのネタに特化したものではなく、広がりがあるというか、作品の世界がしっかりしてて太いというか、うまく言えないけどそんな感じ
アドベンチャー的な娯楽要素もあって、そんなに肩肘はらずに楽しめるのもよかった

なんとなくの第一印象通り、地球から宇宙へ向かう課程をふくめて起承転結がはっきりしてて丁寧な作りがうかがえますね
長尺な映画ながら、けっこう序盤には宇宙へ飛び立つのも早い
だけど個人的にはもうちょい地球での話を続けてもよかった気がしないでもない
逆に宇宙出発初期段階のテンポがじゃっかんゆるく感じました

途中でちょっと眠くなったりもしたけど、中盤以降はいっきに盛り上がってきます
未知の星でのアドベンチャー、親子のドラマ、プロジェクトの真相、たたみかけるように展開していって目が離せない
特に地球での話の時から「なんかファンタジー要素も大きいのかな」と、頭のすみに引っかかる部分があったんですが、そこら辺もSF的に処理されていてよかった

しかしながら、しょうじきなところ賛否の幅が大きい映画なんじゃないかな、と思うのも確か
「これがいいんだよ」と思う人もいれば、「こんなん求めてない」と思う人もいるんじゃなかろうかと
途中で引っかかるとこはあったけど、最後まで観てみれば個人的には大満足できた一本でした

個人的評価:85点
オススメ度:なにげにナイスな相棒TARSさん




インターステラー 予告

2014年11月20日木曜日

フランク (2014/英・アイルランド)

監督:レニー・アブラハムソン
出演:マイケル・ファスベンダー / ドーナル・グリーソン / マギー・ギレンホール / スクート・マクネイリー / カーラ・アザール / フランソワ・シビル

キーボードをひいて作曲もしているジョンは、ある日、地元でのライブで演奏するバンドに飛び入り参加する
その着ぐるみの面をかぶったフランクと名乗る男の率いるバンドから、後日、メンバーへの誘いがきて・・・

ある意味で人によっていろんな見方ができるんだろうけど、作りとしてはジョン目線で観るようにできていて、それにのっかった方が楽しめるかもしれん
なにはともあれフランクの強烈な存在感、そして個性豊かなバンドメンバーのキャラクターがおもしろい
真面目に音楽作りをしてるようで、「おまえら何やってんだよ」と思えるコミカルな部分もあるけど、個人的にはあまりコメディっぽく受け取れなかった

なかなか自分の曲がみつけられないジョン、そこへ奇妙な面をかぶったフランク率いるバンドから声をかけられ、音楽作りをともにするうちにいろいろと変化がおとずれる
みたいな内容だけど、フランクの面もさることながらジョンに嫌悪感丸だしのクララをはじめ、精神的にアレなドンとかメンバーの素敵さを堪能させられる作品

ジョンはずっとメンバーと曲作りをともにすることで、どんどんとけ込んでいく・・・ように見えて、実際は彼の一方通行な絆な雰囲気が漂う
そんな暗さが良い味をだしていて、バカみたいな音楽制作の日々のライトさとの温度差がいい
ジョンとフランクの親密さ、ジョンとクララの敵対関係みたいな分かりやすい部分から細かいところまで作品をあえて不安定な感じにしてるのがおもしろい

しょうじきかなり人を選ぶ系な作品だと思うし、なにか物足りない感じもする
フランクという特異な存在を興味本位で楽しんで観てると、ちょっと複雑な気分にさせられる
そこがおもしろいと感じるか、拒絶反応をおこすかで評価が変わるかもしれんね
個人的には「アリ」でしたが

個人的評価:80点
オススメ度:日本のバンドの色物担当はベースが多い不思議




フランク 予告

2014年11月19日水曜日

想いのこし (2014/日)

監督:平川雄一朗
出演:岡田将生 / 広末涼子 / 木南晴夏 / 松井愛莉 / 巨勢竜也 / 高橋努 / 川籠石駿平 / 佐藤二朗 / 村杉蝉之介 / 鹿賀丈史

女たらしで金に汚い男の本多ガジロウは、ある日、路上に飛び出して車にひかれてしまう
ガジロウはなんとか一命をとりとめるものの、車に乗っていた四人は死んでしまい、彼にだけ姿が見えて触れられる存在として付きまとうのだった

わりとライトでコメディタッチな印象が強く、あまり思いっきり泣けるような心に響くドラマじゃなかった感じ
作品全体がどこかTVドラマっぽい雰囲気をかもしだし、死んだ四人の想いのこしを成就させるちょっと良い話集っぽい
主人公のキャラと演者さんのマッチングは良い感じで、チャラくてダーティな存在感だけはよかったですね
けっしてつまらなくはないけど、過度な期待はしない方が楽しめるザ・普通な作品だな、と思いました

基本は主人公が四人の死者が貯め込んだ金をもらうことで、現世への未練を代行する流れ
そんな中でけっこう終盤にさしかかっても性格の悪さがブレないガジロウさんは素敵かもしれん
口が悪くて誤解されやすい性格とか、そんなヌルいキャラじゃなく、ホントに最低な野郎っぷりを貫いていておもしろい
エピソードじたいもガジロウと恋人を重ねて感じられるファンタジーな最初の話、そして次にはなんだかんだで「そこにいると思わせてくれた」という現実的な話という差別化された二編までは楽しめました
だけど、あとはなんかファンタジー一辺倒で代わり映えしない話が続いて物足りない

話の流れ以外でもあまりに主人公が登場人物と偶然に遭遇する場面が多く、ご都合主義で強引すぎる展開が気になる
さらにクライマックスにかけていきなり良い人っぽい行動へ傾く主人公の姿にも違和感がある
ちょっとした偶然の重なりのファンタジーさは良いスパイスになるけど、ここまでやられるとさすがに鼻につきますね
と、良い話の寄せ集めではあるけど、気になる部分も多々ある作品でした

個人的評価:60点
オススメ度:ポールダンスやろうってとこに至る思考経緯が理解できんわ




想いのこし 予告

2014年11月17日月曜日

神さまの言うとおり (2014/日)

監督:三池崇史
出演:福士蒼汰 / 山崎紘菜 / 神木隆之介 / 優希美青 / 染谷将太 / 大森南朋 / リリー・フランキー / トミーズ雅 / 前田敦子 / 肥後克広 / 上島竜兵 / 寺門ジモン / 山崎努 / 水田わさび / 小桜エツコ

高校生の高畑のクラスで動けば死ぬルールのダルマさんがころんだが突如として開始される
脱出不能の教室の中、状況把握の間もなく次々とクラスメイトが死んでいく

世界のMIIKE監督作品の灰汁部分だけを凝縮したような内容だろうと覚悟して観たけど、やっぱりそんな感じでした
予告編を見て「あ、これやばいやつだ」とちょっとでも感じたなら回避するのが賢明でしょう
軽い好奇心で鑑賞しようものなら、映画終了後にぽかーんとさせられること必至

観てる最中は「鑑賞に耐えられないほどクソ」な感じはせず、おもしろくはないけどクソつまらなくもないレベルと思えます
でも最後まで観れば「やっぱクソ映画だわ」とすがすがしい気持ちで胸をはって断言できる
中途半端な残虐描写にスリル感、見所であるゲーム攻略の部分も子供だまし

それでもラストにはちょっとしたサプライズがあるだろう、なんて淡い気持ちで退屈感は紛らわすことはできます
でも、ホントに観てもなんも残らねえから、コレ
特に真剣に映画と向き合ってる人ほど、このふざけかげんにマジギレするかもしれんね
個人的にはクソB級映画に耐性がある上、覚悟完了してたんで「うん、こんな映画だろうって知ってた」ていどの軽いダメージですみましたが

ようするによくあるクッソB級な低予算の生き残りゲーム映画をちょっと金かけて撮るとこうなる、ってな風になんとなく世界のMIIKE監督が息抜きで作った感もする一本でした

個人的評価:40点
オススメ度:神さまも予告で完全にバレてるしね




神さまの言うとおり 予告

紙の月 (2014/日)

監督:吉田大八
出演:宮沢りえ / 池松壮亮 / 大島優子 / 田辺誠一 / 近藤芳正 / 石橋蓮司 / 小林聡美 / 平祐奈 / 佐々木勝彦 / 天光眞弓 / 中原ひとみ / 伊勢志摩 / 舟田走 / 井端珠里 / 冨田ミキ / 井上肇 / 大西武志 / 藤本泉 / 清瀬やえこ / 清水彩花 / 佐藤直子 / 猫田直 / 松岡恵望子 / 永井理沙 / 水野小論 / 俵木藤汰 / 稲森誠 / 梶原章司 / 今村雄一 / 佐津川愛美 / 桜木信介 / 嶋田翔平 / 森脇由紀

銀行の営業職についている梅澤梨花
夫がある身ながら顧客の家にいる若い男を意識しはじめてしまい・・・

金欲の話かと思ったら愛欲の話だった、とも感じつつ実はそう単純なものでもない作品でしたね
一見してありがちな体を装ってて、そういう見方もできるけど、いろいろと思うこともあります
なんか微妙に難しくてめんどくさいような作品だけど、最後まで引き込まれる力はありました

予告だけを見てると、ちょっと魔がさして金をちょろまかしたのを発端に雪だるま式に欲望が押さえきれなくなっていく内容のようだけど、序盤を観ててもなかなかに一線をこえてこなくて「あれ?」ってなる
そうこうしてるうちに愛欲におぼれていくような展開になり、やっと横領うんぬんの流れに
金にめがくらんで堕ちていく、という単純なものじゃないとわかって楽しめました

なんだかんだで主人公の思いは自身の口から語られるので、どんな内容だったのかは分かりやすい
しゃべれば軽くなるみたいな伏線も生きてるし、作品的にもよくできてると思えました
ただよく分からない人にはよく分からない、めんどくさい難しさがあるのも確か

主人公が語った部分をこえて理由づけしようとすると、とたんにどつぼにはまる気がしますね
そんな感じでちょっと観る人を選ぶけど、受け入れられる人は自然体でおもしろさを感じられるかもしれません

個人的評価:85点
オススメ度:こういうことがあった時の銀行の裏側って、こんな風にわりとクールに波風をおさえようとするんかな




紙の月 予告

2014年11月16日日曜日

天才スピヴェット (2013/仏・加)

監督:ジャン=ピエール・ジュネ
出演:カイル・キャトレット / ヘレナ・ボナム・カーター / ジュディ・デイビス / カラム・キース・レニー / ニーアム・ウィルソン / ジェイコブ・デイビーズ / ドミニク・ピノン

頭脳派の少年T.S.スピヴェットは同じく頭脳派の母、肉体派の弟と父、そして姉とともに暮らしていた
T.S.のもとにスミソニアンからベアード賞の受賞の連絡がきてまもなく、弟が銃が原因で死んでしまう

頭脳派といっても頭でっかちなだけじゃない天才、さらに個性豊かな家族もみんな魅力的に描かれてます
じゃっかん風変わりな部分を楽しむ雰囲気系な作品と言えなくもないんで、人を選ぶかもしれません
基本的に愛くるしいかわいらしさを強調したコミカルな作りで、それほど堅苦しい作品ではなかったですね

発明は父のものだと嘘をついて一度は断ったベアード賞の受賞式だけど、意を決してひとりで家出するようにワシントンを目指す中、いろんな人と出会ったりゆっくりと自身を見直していくことで少年の魅力を描いていく内容
自分自身を見つめ直すパート、他人との出会いのパート、そして思考するだけじゃない飛んだり跳ねたりの冒険パートがあることでT.S.のやんちゃな面もみれておもしろい

弟の死をはじめ、いろんな要素がけっこうあっさりと消化され、コメディタッチな作風も手伝ってライトな自分を見直す冒険活劇な印象を受ける
だけど、それこそが重要なことになっていて、あっさりとスルーしたような部分があとあとできいてくるからいい
作り笑いのような表層的なT.S.だけの話でない、家族の温かみを染み込むように感じさせられた一本でした

個人的評価:90点
オススメ度:変に悟りきってない子供らしさが残ってるのが小憎らかわいい




天才スピヴェット 予告

2014年11月10日月曜日

マダム・マロリーと魔法のスパイス (2014/米)

監督:ラッセ・ハルストレム
出演:ヘレン・ミレン / オム・プリ / マニシュ・ダヤル / シャルロット・ルボン / ミシェル・ブラン

父や兄姉妹とともにインドからフランスへやってきた料理人のハッサン
父が新しく店をかまえようとしるのは、ミシュランひとつ星の伝統あるフランス料理のレストランの目の前だった

インド人の料理人な主人公が、伝統あるフランス料理の店でインド的な味付けを武器に成功していく・・・という料理メインな映画じゃなくて逆にびっくりだわ
なんともロマンスや人と人とのドラマ部分の要素が大きいイメージ
料理人が主人公だけど料理がメインの映画じゃない、なんともいえない作品でした

インド料理の店を成功させようとはりきるハッサン父、フランス料理と自分の店に過剰なこだわりのあるマダム
内容はそんなふたりの素材の買い占めやら、重箱の隅をつつくような市長に対する苦情合戦ばかり
そこへハッサンとヒロインのロマンスがありつつ、あくまでドラマを盛り上げるスパイスとして料理がある感じ

劇中でマダムがシェフに料理で勝負しろみたいなニュアンスのセリフを言うけど、マダム自身が嫌がらせしてる現状で「おまえが言うか」と思わざるえない
ふたつ星うんぬんからの新しい味展開も蛇足っぽいし、どうにも個人的に盛り上がりきれないままラストをむかえましたね

あくまで個人的に料理映画を期待してたのがアレだったのかもしれませんね
あくまで料理の要素は映画本編に対してスパイスていどのものだ、と割り切れればよかったんでしょうね

個人的評価:70点
オススメ度:邦題で言うほどマダムの話でもない




マダム・マロリーと魔法のスパイス 予告

100歳の華麗なる冒険 (2013/スウェーデン)

監督:フェリックス・ハーングレン
出演:ロバート・グスタフソン / イバル・ビクランデル / ダビド・ビバーグ / ミア・シュリンゲル / イエンス・フルテン / アラン・フォード

100歳の誕生日を迎えたアランは、ふいに老人ホームを抜け出す
そして成り行きで駅にいた若者のバッグをそのまま持ち去ってしまい・・・

個人的に大好きな老人を扱った映画ですね
どことなくシュール&ファンタジーな映像系コメディを想像してたんですが、けっこうブラックな要素が多くて意外性がおもしろい
なるようにしかならない自分の道を貫き通す、すっとぼけたジジイの現在と過去、すべてにおいてキャラクターのチャーミングさがきわだってました

なんとなく抜け出した老人ホーム、とりえあえず手持ちの金でいけるところまで買ったチケット、成り行きで持ってきてしまった見知らぬ若者のバッグ・・・
というまったりさを楽しむ作品かと思いきや、キツネの爆破で「!?」と引っかかった部分が、話が進むにつれてどんどん大きくなる
暴力、殺人、金に警察とギャング・・・どんどん洒落にならない展開になっていく様子をコミカルに描いてます

で、同時にアランの過去がたびたび描かれ、なにげにとんでもねえジジイな現在のアランが「ああ、こういう過去があれば納得できるわ」となります
基本は成り行きまかせな人生のアランの周りで、巻き込まれた人たちがドタバタする感じで、現在においても過去話においても展開が進むごとにとんでもない状況になっていってく、と

そんな中でもとうのアランはすっとぼけた流されるままキャラを貫き、人が死のうが大事件に巻き込まれようが、苦境にたたされようがブレない姿が素敵です
最後の最後までそんなアランらしさが詰まりまくった一本でした

個人的評価:85点
オススメ度:幸せかとか道徳とか深く考えず、なるようになる感じで




100歳の華麗なる冒険 予告

2014年11月9日日曜日

エクスペンダブルズ3 ワールドミッション (2014/米)

監督:パトリック・ヒューズ
出演:シルベスター・スタローン / ジェイソン・ステイサム / アントニオ・バンデラス / ジェット・リー / ウェズリー・スナイプス / ドルフ・ラングレン / ケルシー・グラマー / テリー・クルーズ / ランディ・クートゥア / ケラン・ラッツ / ロンダ・ラウジー / グレン・パウエル / ビクター・オルティス / ロバート・ダビ / メル・ギブソン / ハリソン・フォード / アーノルド・シュワルツェネッガー

バーニー・ロス率いる消耗品部隊は新たな仲間ドクをえて、次のミッションへ向かう
そこでバーニーと因縁浅からぬ相手ストーンバンクスと出会い・・・

誰かが言った「こういう映画ってだいたい最後は敵と殴り合うんだよね」、と
おいおい、それが、それこそがB級アクション映画の美学じゃないか、こいよベネット
まあ、そんなことはどうでもいいんだけど、肝心の作品じたいもわりとどうでもよかった
要するにエクスペンダブルズ立ち上げのメンバーであり、バーニーが殺したはずの男が生きていて、そいつとやりあうってだけ

とりあえず個人的に今作からのバンデラスさんの参戦が嬉しいかぎり
若者枠で登場した時には「え?」と思ったけど、想像以上にウザいキャラで素敵でしたわあ
けっこう作中でも戦力以外の部分でも目立ってたんで、次回以降もメインメンバーにおさまってほしい

というか、次回作をやるんだったら、もうちょい間をあけてもいいから中身をなんとかしてください、と言わざるえない
とりあえずメルギブとハリソンの旦那を出演させただけで力つきたのか、作品から豪華なメンツを引くとホントに後になにものこらない内容の薄っぺらさ
なんかバトルシーンもみんなでわちゃわちゃやってるだけで、どうにもここがすごかったというのが思い出せない

なにはともあれ出演陣に見合う重厚な内容と、メリハリのある記憶に残るアクションを次回作があるなら期待したい
・・・けどお祭り映画にそこまで求めちゃダメなんかな

個人的評価:75点
オススメ度:ジェット・リー先生の扱いが良い意味でひどくなっていくな



エクスペンダブルズ3 ワールドミッション 予告

サボタージュ (2014/米)

監督:デビッド・エアー
出演:アーノルド・シュワルツェネッガー / サム・ワーシントン / オリビア・ウィリアムズ / テレンス・ハワード / ジョー・マンガニエロ / ハロルド・ペリノー / マーティン・ドノバン / マックス・マーティーニ / ジョシュ・ホロウェイ / ミレイユ・イーノス / ケビン・バンス / マーク・シュレーゲル

ジョン率いる麻薬潜入捜査の特殊班は、組織から奪った金を何者かに盗まれてしまう
疑いは班の人間にかけられ、ジョンもDEAから監視されることになる

シュワちゃん主役の映画でも個人的にトップクラスのおもしろさでした
作品に恵まれた感は否めないけど、老齢のアクションスターながら「こいつはおもしろい」と心から思わされる映画に出会えたことは感謝せざるえない
過剰すぎず地味すぎないアクション、加えて小気味のよいストーリー運びにホントに引き込まれる幸福感が得られました

金を奪い殺しまくってるのは誰なんだ?
っていうかおまえだろ?
あれ、そうでもないの?
という観てる側の思考をうまくコントロールしつつ、けっこうなグロさな描写で班のメンバーがひとりまたひとりと殺されていく緊張感
疑いと同時に浮かび上がる新事実の波に翻弄されるのも悪い気分じゃない

アクション部分も過剰演出すぎず、地味になりすぎないていどにおさえたリアル路線の銃撃戦が盛り上がる
過去と現在のシーンが入り乱れたり、シューティングゲームのような視点など見せ方もおもしろい
シュワちゃん主演ってことで、他の登場人物がかすむわけでもなく、それぞれが魅力的に作品の中で生きているのもよかったですね

今さら感というか、空しさ、意味がないことにすっごいこだわりがあって楽しめた一本でした

個人的評価:90点
オススメ度:いろいろとイヤな殺しの知識も身に付くわ




サボタージュ 予告

2014年11月3日月曜日

ドラキュラZERO (2014/米)

監督:ゲイリー・ショア
出演:ルーク・エバンス / サラ・ガドン / ドミニク・クーパー

トランシルヴァニアの君主ヴラドは山で魔物と遭遇する
一方、オスマン軍の無茶な要求をのむか、争いをおこすかの決断も迫られる

いまどきヴァンパイアものか、と思ってはいたけど現代風なものじゃないファンタジーアクション系だったんで退屈せずに最後まで鑑賞できました
とにかくスタイリッシュさ、見た目重視で、どこかコミックやゲームを彷彿させる衣装や演出がかっこよかったですね
主人公ヴラドさんのヴァンパイアキャラも素敵でした

けっこうヴァンパイア化するのも早く、全体的にテンポよく話は進みます
アクション要素もヴァンパイア能力を生かし、コウモリ化しつつのバトルがおもしろく、剣に映し出す演出とか「どっかで観た」感じがしないでもないけどスタイリッシュでよかった
スタイリッシュ、と言えばやはり目に付くのがその衣装と武具などの小道具
ひとつひとつが見た目重視な感じでいちいちかっこいいものばかり

じゃっかんラストバトルが地味でしまらないなあ、と感じつつも最後の最後の展開で再び気分が盛り上がらざるえない
「あいつとのケリもついてないし、こりゃ続編くるな」と思ってたところで、ちょっと意外なオチでおもしろかった
まあ、この続編を観たいか、といわれたらちょっと微妙だけど

個人的評価:80点
オススメ度:あえてこの話はこれで完結しとく方がいいかもしれん




ドラキュラZERO 予告

光の音色 THE BACK HORN Film (2014/日)

監督:熊切和嘉
出演:山田将司 / 菅波栄純 / 岡峰光舟 / 松田晋二 / セルゲイ・ペルミノフ

愛する者を失った老人は、荒れた家から廃材を使って台車を作る
そして亡骸とともに旅に出るのだった

しょうじきTHE BACK HORNのファンというわけでも、というかその曲すらまともに聴いたことがなかった
どちらかといえばその老人のドラマパートにひかれて観たんですが、いやあ、けっこうこのバンドの曲って好みかもしれん
映画じたいも当たり前だけどドラマだけでは成り立たず、曲があってこその内容になってましたね

墓穴の中から起きあがる老人、どこか絶望を身にまとった感じのある雰囲気の冒頭からグッと心を掴まされます
そこからの一曲目が流れはじめるんですが、ロシアンな老人&どこか異国っぽい情景に「日本のロックバンドの曲とかどうよ?」というちょっとした心配もあっさり消し飛びました
詞の内容も映像とマッチしているし、違和感は皆無

内容的には旅を続けながら過去がフラッシュバックし、じょじょに現在へと追いついていく感じになっていて、少しずつ老人のことが分かってくる感じになってます
描写じたいもぬるすぎないエグさがいいスパイスでした
で、それだけな内容だとちょっとありきたりな感じだけど、そこに様々な曲が加わることで互いに作品を高めあっていておもしろい
ラストまで観てもドラマの印象が強すぎるでもなく、曲の印象が強すぎるでもない絶妙なバランスで楽しめた一本でした

個人的評価:90点
オススメ度:これはCDを購入せざるえない




光の音色 THE BACK HORN Film 予告

美女と野獣 (2014/仏・独)

監督:クリストフ・ガンズ
出演:バンサン・カッセル / レア・セドゥー / アンドレ・デュソリエ / イボンヌ・カッターフェルト

破産した商人が森に隠された城に迷い、そこでバラを盗んだことで代償として命を要求される
それを知った娘のベルは父の代わりに城へ行くと、そこには野獣の姿をした人間がいて・・・

超有名な物語、だけど個人的にしっかりと観たり読んだりしたことがなかったんですよね
そんなわけでちょうどいいや、ってぐあいで鑑賞
元の話を知らないからなんとも言えない部分はあるけど、なんとなく物語を忠実に映像化してるような雰囲気がしました
ハリウッド的な盛りに盛った上で新解釈で味付けまくった作品とは違う印象

丁寧に話をつむいでいる堅実さの反面、どうにも地味で盛り上がりにかける感がある
確かに美しい世界に美しい音楽ではあるんだけど、あまりに心地よすぎるというかなんというか、とりあえずちょっと観てて眠くなります
心地よい音楽を聞いてると自然と眠りに落ちてしまう自分のような性質の人には睡魔との戦いがつらい

それでも話的に粗野な野獣が純粋な少女の心に触れるうちに、真実の愛になんたら・・・みたいな単純すぎない部分は楽しめました
あくまで自身を愛してほしい自分本位な野獣、家族のためと好奇心でいっぱいなだけな美女
そんなふたりがどう引かれ合っていくのか、と簡単にくっつきそうにない様子がおもしろい

だけど、なんかけっきょくよく分からんうちに愛が芽生えてる流れになってて「え?」とならざるえない
それなりに眠気と戦ってちゃんと観てたつもりだけど、どこでふたりの間に愛が生まれたのか
恋愛要素にうとい自分にとってはちょっと理解しがたい部分もありました

個人的評価:70点
オススメ度:丁寧かつ堅実なザ・普通作品




美女と野獣 予告

25 NIJYU-GO (2014/日)

監督:鹿島勤
出演:哀川翔 / 寺島進 / 温水洋一 / 高岡早紀 / 笹野高史 / 小沢仁志 / 波岡一喜 / 嶋田久作 / 鈴木砂羽 / 竹中直人 / 石橋蓮司 / 大杉漣 / 木村祐一 / 袴田吉彦 / 岩佐真悠子 / 初音映莉子 / 井上正大 / 中村昌也 / 木下隆行 / 本宮泰風 / 金子昇 / 工藤俊作 / 小沢和義 / 菅田俊 / ブラザートム

相棒の日影と組んでいる悪徳刑事の桜井は、250万の金を返済しなくてはならくなる
そこへ巨額横領事件をおこしヤクザにかくまわれていた九十九と出会い・・・

言うほどVシネは観ていないけど、25周年記念作品で25にちなんだ数字を無理矢理あてこんだ、なんともイメージとしてVシネっぽい作りが楽しめました
「アウトレイジ」とかそういった作品とは違い、雑で頭の悪い(ほめ言葉)娯楽映画として王道かつ堅実な感じ
ホントに肩の力を抜きまくって酒をあおりながらソファに体をうずめて観るのが正しいスタイルかもしれんね
つまり劇場に足を運ぶ価値があるかは微妙

内容はバイオレンスアクションの王道で、ご都合主義に合わせて描かれる部分をつっこまないで楽しむ心が必要です
悪徳刑事にヤクザに殺し屋、狂言回しに麻取にアジアマフィア、クセのある女どもと警察の人間・・・ごくごくありがちな相関図のもとにそれぞれ25億ゲットのために敵対しあう、と
そんな中で悪徳ではあるけど超最低ラインの男気のある主人公の桜井が素敵ですね

他の登場人物たちも存在感ありまくりで、性悪なクズどもの狂演が楽しい
25周年だからって変な気負いがなく、豪華なメンツをそろえながらもチープさがあふれでる作風は潔いと言わざるえない
このキャラを生かしておけば安易に続編を量産できるのに、っていう部分を切り捨ててそれなりな決着をつけるのも個人的に好印象でした

まあ、でもこれでもかってくらいなB級映画なんで、本格的なバイオレンスアクションを期待していると、刑事ドラマレベルの銃撃戦にガッカリするかもね

個人的評価:75点
オススメ度:はじめて「やったか?」の成功例をみたかも




25 NIJYU-GO 予告