2015年12月31日木曜日

orange (2015/日)

監督:橋本光二郎
出演:土屋太鳳 / 山崎賢人 / 竜星涼 / 山崎紘菜 / 桜田通 / 清水くるみ / 鶴見辰吾 / 真野恵里菜 / 森口瑤子 / 草村礼子

高校生の高宮菜穂のもとに届いた10年後の自分からの手紙
なにかのいたずらかと思いきや、そこに書かれた通りにことは進み、彼女のクラスに転校生の成瀬翔がやってくる

大丈夫、これ友情メインの青春映画だから、という巷での評価にのっかって鑑賞
しかし内容はけっこう甘々な雰囲気に支配されていて、確かに友情の要素は大きいけど、そこにデッコデコでスイーツ成分が盛られていておっさん的には歯が痛くなる
それでも未来からの手紙、どこか秘密がありそうな翔、未来からの手紙をもとに現在を改変することによる結果、と先が気になるところがあったのは救い
作品的に細かく気になる部分が多かったけど、個人的にいちばん引っかかったのは悲壮感の軽さでした
あえて気が滅入りすぎるのを回避してるのかしれないけど、どうにも鬱々とするシーンで場違いなBGMによって出来事が軽く描かれすぎてる感じ
少年少女の青春と明暗、みたいなガッツリドラマじゃないんですね
キュンキュンする恋愛シチュ満載で出演者萌えなだけの作品にはいつまでもだまされない、って感じのちょっと背伸びをしたい人向けな一本かもしれません

個人的評価:50点
オススメ度:手紙の指示がアバウトなのも最初は気になったけど、最後まで観れば腑に落ちる



orange 予告

2015年12月27日日曜日

ストレイト・アウタ・コンプトン (2015/米)

監督:F・ゲイリー・グレイ
出演:コーリー・ホーキンス / オシェア・ジャクソン・Jr. / ジェイソン・ミッチェル / オルディス・ホッジ / ニール・ブラウン・Jr. / ポール・ジアマッティ

自身の曲とキューブの詞でレーベルを立ち上げようとエリックに声をかけるドレー
そして売り出したレコードは過激な詞とノリのよい曲が受け入れられヒットをとばす

伝記だからって退屈はさせねえぜ、という作りがひしひしと感じられておもしろかった
どんだけ話を盛ってるうんぬんとか気にならないほどにドラマティックな展開で、普通に娯楽映画としても楽しめる内容でした
ラップやヒップホップ、N.W.Aについて見識があればそれにこしたことはないんだろうけど、そこら辺のことを知らなくてもじゅうぶんに鑑賞に耐えられる
暴力にセックスにドラッグ、人種差別、社会問題、音楽業界、友情と裏切り、ホントにどんどんカオスな状況になっていきつつ不思議と分かりにくさはない
鑑賞後にディープに語りたい人は存分に弁をふるえるし、もっとシンプルに一本の映画としてドラマを堪能することもできるので、N.W.A、伝記というワードでよくある退屈な結果の見えたサクセスストーリーと敬遠するのはもったいないかもしれないですね

個人的評価:90点
オススメ度:ファックファック言い過ぎで耳がファック慣れするわ



ストレイト・アウタ・コンプトン 予告

クリード チャンプを継ぐ男 (2015/米)

監督:ライアン・クーグラー
出演:マイケル・B・ジョーダン / シルベスター・スタローン / テッサ・トンプソン / フィリシア・ラシャド / アンソニー・ベリュー / グレアム・マクタビッシュ / リッチー・コスター / ウッド・ハリス / アンドレ・ウォード / ガブリエル・ロサド / リカルド・“パッドマン”・マッギル / マリク・バジール / ジェイコブ・“スティッチ”・デュラン

メキシコでボクサーとして戦うアドニス
ある試合の後、彼は仕事をやめてボクシングひとすじの道を進むことを決意する

しょうじき名作のタイトルをかりたビジネス優先な新章かと思ってたんだけど、序盤から丁寧に新主人公を描いていて一気にマイナス印象は吹き飛びました
ロッキーの存在もぎりぎりのところで主張しすぎない感じで作品に、新旧の主人公のバランスもいい
なにはともあれ随所にある長回しが特徴的で目に付く中、主人公の立ち居振る舞いはもちろんだけど、個人的にはスタローンにこういう演出での演技にひかれた
温かいドラマパートからの熱いボクシングパートはクソもりあがり、ロッキーファンの心をくすぐる演出もにくめない
なにげにアドニスとバイカーたちのちょっと珍妙に見えるシーンも個人的にはお気に入り
とりあえず殴っても倒れてもかっこいいボクシングシーンだけでも観た価値があったと思えた一本でした

個人的評価:85点
オススメ度:試合時のロッキーのボクサーに戻る眼光にしびれる



クリード チャンプを継ぐ男 予告

2015年12月20日日曜日

スター・ウォーズ フォースの覚醒 (2015/米)

監督:J・J・エイブラムス
出演:ハリソン・フォード / キャリー・フィッシャー / アダム・ドライバー / デイジー・リドリー / ジョン・ボヤーガ / オスカー・アイザック / ルピタ・ニョンゴ / アンディ・サーキス / ドーナル・グリーソン / グウェンドリン・クリスティー / アンソニー・ダニエルズ / ケニー・ベイカー / ピーター・メイヒュー / マーク・ハミル / マックス・フォン・シドー / ワーウィック・デイビス

行方をくらましてしまった最後のジェダイであるルーク・スカイウォーカー
彼の所在をつきとめるため帝国軍の残党、そして共和国の支援を受けたレジスタンスが動き出す

しょうじき観ているあいだは「なんか微妙だな」という悪い印象しか抱けなかった
だけど鑑賞を終えてみるとシリーズとしてなくてはならないエピソードというのが分かりますね
誰が主人公なんだよ、懐かしい要素でお茶を濁してるだけじゃねえか、という意見ももっともだろうけど、たぶん今後のエピソードの礎としてはよくできていると思う
新たな話の幕開けに新キャラ、それが定着するまでに過去作を想起させる要素で作品を彩るのもありでしょう
終盤に向けてぐいぐい引き込まれるし、先の展開も気になってしかたない
それでも個人的にもっと娯楽に満ちたアドベンチャーや、序盤のフィンとBB-8のやりとりみたいな脱力できる部分があってもよかったかな、と思った一本でした

個人的評価:75点
オススメ度:個人的には熱狂的なファンでもアンチでもない



スター・ウォーズ フォースの覚醒 予告

2015年12月14日月曜日

I LOVE スヌーピー THE PEANUTS MOVIE (2015/米)

監督:スティーブ・マーティノ
出演:ノア・シュナップ / ビル・メレンデス / フランチェスカ・カパルディ / マリエル・シーツ / ハドリー・ベル・ミラー

なにをやってもうまくいかないダメな男の子チャーリー・ブラウンとその飼い犬であり親友のスヌーピー
そんなチャーリーの家の隣にある日、ひとりの気になる赤毛の女の子が引っ越してくる

個人的にキャラクターはよく知ってるけど、話じたいはよく分かってないスヌーピー
もっと、こう某猫型ロボットと眼鏡のダメ少年みたいな内容かと思ってたんですが、チャーリーとスヌーピーの異種族友情ものってわけでもないんですね
この映画、チャーリー・ブラウンに視点を向けるか、スヌーピーに視点を向けるかで楽しみ方が変わってきておもしろい
憎めないどころか愛おしさを感じるチャーリー・ブラウンのがんばりを見守るもよし、スヌーピーのはちゃめちゃ行動に身をゆだねるもよし、大人も子供もいっしょにバッチリ楽しめるファミリー映画としてよくできてる感じ
終始たがいに支えあう友情物語ってのもいいけど、スヌーピーを含めて周りはさりげないフォローにとどめ、チャーリー・ブラウンが基本、自分で悩んで自分で活路をひらいていくけなげさはグッとくる

個人的評価:85点
オススメ度:一個一個はパッとしないギャグも連打されつづけることで、寒さを感じる暇を与えない



I LOVE スヌーピー THE PEANUTS MOVIE 予告

4/猫 (2015/日)

監督:上田慎一郎 / 早坂亮輔 / 浅沼直也 / 中泉裕矢
出演:三浦誠己 / 木南晴夏 / 掛田誠 / 中山雄介 / 西辻こずえ / 片岡哲也 / 曽我真臣 / 山本真由美 / 柴田杏花 / 長谷川朝晴 / 高橋奈々 / 森脇英理子 / 山田キヌヲ / 栞那 / 朝倉あき / 水澤紳吾 / 諏訪太朗 / つるにしこうき / 柴田千紘 / いしはらだいすけ / 山中崇 / 熊澤枝里子 / 村木雄 / 瀬戸寛 / 伊与勢我無 / 加藤四朗

舞台は秩父、そしてそこに生きる猫
そんな中で4つの物語が描かれるオムニバス

猫好きのための猫メインな猫映画というわけでもなく、時にはホントに画面のアクセントていどしか登場しない人間ドラマメインの作品でした
まあ、あまり無理して猫を中心にもってこられるより、こういう作りの方が安心して観ていられていいですが
オムニバスってことで笑いあり、ちょっと心温まるものあり、変化球ものありって感じ
で、個々の話がちゃんとそれぞれの内容と雰囲気のバランスがとれていて、独立した4編ながら流れるように最後まで鑑賞できる
こういう作品だとどうしてもちょっと変化球的なものが印象に残りやすいけど、それが分かっていながら「一円の神様」の往年の安達祐実的なとがった子役の存在に強くひかれる
全編を通して登場人物どうしの間にあるものが「観ていてなんとなく分かる、けど分かりきれない」もどかしさ、他人は他人でしかなりえない関係性がおもしろい一本でした

個人的評価:75点
オススメ度:むろんのり子さんの可愛さに異論はない



4/猫 予告

2015年12月13日日曜日

母と暮せば (2015/日)

監督:山田洋次
出演:吉永小百合 / 二宮和也 / 黒木華 / 浅野忠信 / 加藤健一 / 広岡由里子 / 本田望結 / 小林稔侍 / 辻萬長 / 橋爪功

長崎の原爆で息子の浩二を亡くした伸子
それから三年が経ち、忘れる決意をした時になりふいに伸子の目の前に浩二が現れ・・・

昭和テイストな作りで懐古心を満足させる中高年向けの鉄板映画、ということに間違いはないけど本物の昭和の心を映しだしているから薄っぺらさはない
初めて観るのに懐かしい、まさにそんな言葉がしっくりくる
昔の映画のような作風とおもしろおかしい描写で興味をひいて話に引き込み、いつしか見てくれではないドラマとしての内容にどっぷりとひたらせてくれます
母子とその周りの人々の思い出と今がエピソードとして展開しつつ、優しさだけでひとつのドラマを作るのはおもしろかった
長回しと長台詞による落ち着いた画面に、優しい心持ちによって自分や他者を時に救い、時に苦しめる登場人物たちのやりとりをゆったりと鑑賞できる
死者が姿を現す裏事情とか深く勘ぐらず、ありのままの作品に身をゆだねるのが一番いいのかもしれないですね

個人的評価:85点
オススメ度:予告だとクサイ感じの台詞が劇中だとそんなに気にならない




母と暮せば 予告

2015年12月7日月曜日

杉原千畝 (2015/日)

監督:チェリン・グラック
出演:唐沢寿明 / 小雪 / 小日向文世 / 塚本高史 / 濱田岳 / 二階堂智 / 板尾創路 / 滝藤賢一 / 石橋凌 / ボリス・スジック / アグニェシュカ・グロホウスカ / ミハウ・ジュラフスキ / ツェザリ・ウカシェビチ / アンナ・グリチェビチ / ズビグニェフ・ザマホフスキ / アンジェイ・ブルメンフェルド / ベナンティ・ノスル / マチェイ・ザコシチェルニ

昭和初期、外交官である杉原千畝は満州国での出来事でソ連ににらまれる存在となる
モスクワゆきを希望していた杉原だったが、リトアニアで新設された大使館での任をまかされる

いきなりやっすいスパイアクションがはじまり、「これって命のヴィザうんぬんなヒューマンドラマなんじゃねえの?」と戸惑う
なんというか戦争ものでもなし、スパイものでもなし、人間ドラマでもなし、という中途半端な伝記ものだったという主演の演技だけが熱く空回りしてる作品でした
表の顔は人情派大使、しかし裏では諜報活動に長ける曲者な杉原千畝がソ連、ドイツ相手に頭脳戦で出し抜く物語
みたいな感じでリトアニア編だけ、もしくは部分でもいいんでどこかでのエピソードを集中してやってほしかった
ざっくりと杉原千畝っていう人物はこんなんでした、というのは分かったけどどの要素をとっても深みがない残念空気に満ちてる
いきなりパッと出てきた登場人物で語られても困惑するしかない
杉原千畝を中心に、いろんなものを包括した大作にするには明らかに力及んでない一本でした

個人的評価:50点
オススメ度:主演の熱演が逆にギャグっぽく見えてしまうもったいなさ



杉原千畝 予告

海難1890 (2015/日・トルコ)

監督:田中光敏
出演:内野聖陽 / ケナン・エジェ / 忽那汐里 / アリジャン・ユジェソイ / 夏川結衣 / 永島敏行 / 小澤征悦 / 宅間孝行 / 大東駿介 / 渡部豪太 / 徳井優 / 小林綾子 / 螢雪次朗 / かたせ梨乃 / 竹中直人 / 笹野高史 / 川野直輝 / 三輪ひとみ / 斉藤とも子 / 池谷のぶえ / みのすけ / 辻本祐樹 / 金子昇 / 高田敏江 / 上田耕一 / メフメット・オズギュル / ウール・ポラット / ジェム・ジュジェンオール / メルト・アユギュン / エルカン・ペクバイ / ハリト・ムズラクル / メリス・ババダー / タメル・レベント / デニズ・オラル / ハック・ハルック・ジョメルト / エライ・アヤズ

1890年、日本へトルコの使節団をのせた船がやってくる
そして台風の近づく中、大島の貧しい漁村に爆音が轟くのであった

ベッタベタな熱い展開と心をふるわせるシーン、年をとってくるとこういうストレートにぶつかってくる作品に弱くなりますね
ベタだけど言葉や文字だけで安易に語ってるだけじゃなく、ちゃんと心まで届くから素直に熱くたぎり、心が洗われ、笑顔になれる
村側のトルコ船側の切り替えも一工夫していることで、分かりきった話の流れに飽きることはない
なによりトルコ船側のドラマをちゃんと描いているので、ムスタファたちの存在が日本メインのドラマの飾りってだけになってないのがいい
ただ、テヘラン編に入ってからの蛇足感はどうにも否めない気がする
素人考えとして、テヘラン編を先にやって過去にさかのぼるって構成ではダメだったのかな、と思ってしまう点だけが残念でしたね
さびついた真心を意識しないと動かせない今の自分に痛烈に響く一本でした

個人的評価:80点
オススメ度:どんなにふざけていても礼には真摯に礼で応える姿勢がなにげに印象深い



海難1890 予告

2015年12月6日日曜日

グリーン・インフェルノ (2013/米・チリ)

監督:イーライ・ロス
出演:ロレンツァ・イッツォ / アリエル・レビ / ダリル・サバラ / カービー・ブリス・ブラントン / スカイ・フェレイラ / マグダ・アパノビッチ / ニコラス・マルティネス / アーロン・バーンズ / イグナシオ・アラマンド / ラモン・ラオ / リチャード・バージ

ペルーのジャングルを開発する企業に抗議する活動に参加することになるジャスティン
リーダーのアレハンドロ一行とともに先住民と作業員、傭兵のいるジャングルの奥地へ向かうのだった

犠牲者候補がけっこう数そろってることから、死に様ショー的にお腹いっぱいにさせてもらえると期待させる序盤
意外にクソ野郎なヤツがいたり、一行のキャラ紹介の退屈な前半も意外に苦にならなかった
だけど、どうにも最初の調理犠牲者までの流れが最大の山場で、あとはなんか惰性で乗り切った感がしなくもない
全体的に暗いジメジメとした陰惨さはなく、作中のみんなの絶望的な状況に反し、後半はけっこうノリが軽い
そこでふざけちゃうかあ、というシーンがちょいちょいはさまり、「それでも最後にはすごいのが待ってる」と思ってたんですが・・・
「食人族」を想起させる別物の作品として中盤までは恐怖を感じさせてくれる一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:あいつは帰ってくる的な調子にのった最後のおまけ映像は嫌いじゃない



グリーン・インフェルノ 予告

2015年11月30日月曜日

黄金のアデーレ 名画の帰還 (2015/米・英)

監督:サイモン・カーティス
出演:ヘレン・ミレン / ライアン・レイノルズ / ダニエル・ブリュール / ケイティ・ホームズ / タチアナ・マズラニー / マックス・アイアンズ / チャールズ・ダンス / エリザベス・マクガバン / ジョナサン・プライス / フランシス・フィッシャー

マリアは伯母のアデーレをモデルに描かれたクリムトの名画をオーストリア政府相手に返還してもらおうと考える
そこで選ばれた若き弁護士ランディは最初こそ無謀な依頼だと考えていたのだが・・・

名画にまつわるドラマと法廷劇、基本となるそこら辺もいいけど個人的には主人公ふたりの視点を追いかけてるのが楽しかった
核となる画をめぐってマリアとランディの見ている方向が異なっていて、さらに物語の進行に合わせてさらに微妙に向きがずれてくる、そんなふたりの視点をスイッチングしながら鑑賞するのがおもしろい
マリアの年を重ねてきたことの良い点も悪い点も、ランディの若さゆえの良い点も悪い点もじょじょに浮かび上がってくるドラマ性はめんどくさそうだけど、ぼんやり観ていても「ここが重要だったんだよ」と描いてくれるので分かりやすい
マリアの過去に関しての感動のドラマや、ランディの奇想天外な発想からの法廷劇を過度に期待していると物足りないかもしれないけど、作品の構成だけで堪能できた一本でした

個人的評価:75点
オススメ度:オーストリア政府がちょっとチョロすぎるように見えるのは仕方なしか



黄金のアデーレ 名画の帰還 予告

亜人 衝動 (2015/日)

監督:瀬下寛之
出演:宮野真守 / 細谷佳正 / 大塚芳忠 / 櫻井孝宏 / 小松未可子 / 平川大輔 / 洲崎綾 / 木下浩之

不死身の肉体を持つ亜人の存在が認められる世界
高校生の永井圭はある日、交通事故により亜人であることが発覚し・・・

心身ともに脆弱で凡庸な少年という存在の主人公が、世界に影響を与える立場へ立たされる
というベースにどんだけこの作品だからこその肉付けをしてくるのか、という部分だけを期待してたしょせんは能力者ものとい期待値の低さを大きく裏切ってくれて楽しめた
訳の分からない状態と状況におちいって、周りに翻弄されるままに流されるっていう中で、ところどころ主人公の言動や行動に「?」となる引っかかりがおもしろい
そんな疑問点が話が進むにつれて大きくなっていき、ありきたりな巻き込まれ型主人公じゃないのが分かってくるのがいい
ストーリーもテンポよく進み、さすがに第1部なだけにきれいにまとまるわけじゃないけど盛り上がるべきところはきちんとあるので退屈はしない
なんか時代の流行もの設定のおいしい部分をつまんできて作られた即席作品なんて失礼な思いが鑑賞後には完全に消えてなくなってましたね

個人的評価:80点
オススメ度:妹のビッチ的発言が後々にきいてくる



亜人 衝動 予告

愛を語れば変態ですか (2015/日)

監督:福原充則
出演:黒川芽以 / 野間口徹 / 今野浩喜 / 栩原楽人 / チャンカワイ / 永島敏行

オープン前日のカレー屋、あさこが夫とその後輩と準備を進める中、バイトの面接を受けに男が訪れる
さらにそこへあさこのことを好きだと公言する男がやってきて・・・

舞台演劇風な映画ってのはいくつかあるけど、まんま舞台を映し出しているとしか思えない作りなのは珍しいかも
そういう意味ではシチュエーションコメディとしての映画作品として鑑賞にのぞむとしっくりこないでしょうね
悪く言えば映画の体をなしてないんだけど、ライブ感がない舞台として割り切ってみれば楽しめる、という感じであるていどの観劇脳が必要なクセのある作品
土台がコメディだけに人によってはウザキャラばかりで辟易し、コントを延々と観せられていると思えるだろうってのは否めない
クライマックスでやっと舞台を飛び出して、っておもしろくなってきたと思いきや結局は舞台から舞台へ移っただけで枠の窮屈さが映画作品としてはちょっと残念な一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:口を開けばウザキャラですか



愛を語れば変態ですか 予告

2015年11月29日日曜日

007 スペクター (2015/米)

監督:サム・メンデス
出演:ダニエル・クレイグ / クリストフ・ワルツ / レア・セドゥー / レイフ・ファインズ / モニカ・ベルッチ / ベン・ウィショー / ナオミ・ハリス / デビッド・バウティスタ / アンドリュー・スコット / ロリー・キニア / イェスパー・クリステンセン / ステファニー・シグマン

英国諜報員のボンドはメキシコである男を抹殺する
その行為は正規の任務ではなかったことから、彼は監視のもとに停職させられるが・・・

古くからのシリーズファンにも新たに観る人にとっても、アクションと遊び心がちりばめられていてサービス精神旺盛な感じでしたね
スペクターを扱うことに変な気負いや凝り固まりがなく、けっこう観やすい内容でした
前作の復活から、死と復活をイメージする今作導入が良い感じに作用して、物語が進むにつれて「ああ、そういう作りなのね」と得心する
新規のお客さんに向けては場面を変えて手を変えてのアクションと緊張感をほぐすユーモアで楽しませてくれる
で、旧来からのお客さんに向けてはスペクターという求心力からここ数作のつながり、なにより猫とかスカーフェイスににやりとせずにいられないでしょう
しょうじき内容だけだったらスカイフォールのが好みだけど、こういう方向性の娯楽傾向は歓迎できる一本でした

個人的評価:85点
オススメ度:でもこれ次作への制作陣向けハードルがめちゃくちゃ上がってるよね



007 スペクター 予告

かけがえのない人 (2014/米)

監督:マイケル・ホフマン
出演:ミシェル・モナハン / ジェームズ・マースデン / ルーク・ブレイシー / リアナ・リベラト / キャロライン・グッドオール / ジェラルド・マクレイニー

ある日、弁護士から連絡を受けたドーソンは、訪れた先で21年ぶりにかつての恋人のアマンダと再会する
そんなふたりの高校時代には様々な思い出があり・・・

変にコミカルなところや軽さのないド直球なラブストーリーでした
現在と過去の話が並行して進み、やがてその先へと展開していく作りはオーソドックスながら安定感がある
ラブストーリーとしては障害を乗り越えては次の問題がたちふさがる、という王道展開だけど甘く、良い出来事だけで包まれていない雰囲気はおもしろい
どんなに愛が深まろうと、そのふたりの関係の裏にちらつく冷たい現実が常にいいアクセントになっていて、過去話が現在の展開に追いついてからも気が抜けない緊張感が持続する
しょうじき地味さは否めないし、あまりにピンポイントで不幸が襲ってくることに強引さを感じるところもあるけど、記憶に残るかどうかは別として良い話であることは間違いない作品でした

個人的評価:75点
オススメ度;振り返って分かるドーソンの行動原理



かけがえのない人 予告

2015年11月23日月曜日

劇場霊 (2015/日)

監督:中田秀夫
出演:島崎遥香 / 足立梨花 / 高田里穂 / 町田啓太 / 中村育二 / 小市慢太郎

売れない女優の沙羅は事務所のすすめで、とある舞台のオーディションを受けることになる
そして、その舞台で使われるために不気味な人形が運び込まれるのだった

なんか人形が「ちょうだい、ちょうだい」言いながら舞台の出演者を霊的なアレでナニする
という予告編から読みとれる以上のものはなにもない、観ているあいだにJホラー黄金期に量産されたガッカリ類似映画が蔓延する時代に戻された気分になれる
ちょっとはそんな残念っぷりを覚悟してたけど、ここまでただ不快になるだけの演技をみせられる苦行を強いられることになるとは
それでもラストは多少なんかひねってくるはず、と期待してたのにロボットダンス的な動きで笑わせにくるしまつ
エンドクレジット後に場内にリアル失笑があふれる映画もいまどき逆に珍しいんじゃないかと、そういう意味では貴重な体験ができたと嫌みのひとつももらしたくなる
クライマックスで都合に合わせて霊的な本気をだしてきたり、正体としての真相も弱いし、演技も内容もどうにもこうにもな一本でした

個人的評価:10点
オススメ度:無料動画配信でじゅうぶんだろ



劇場霊 予告

リトルプリンス 星の王子さまと私 (2014/仏)

監督:マーク・オズボーン
出演:ジェフ・ブリッジス / マッケンジー・フォイ / レイチェル・マクアダムス / ジェームズ・フランコ / ベニチオ・デル・トロ / マリオン・コティヤール / ポール・ジアマッティ / アルバート・ブルックス / リッキー・ジャーベイス / バッド・コート / ライリー・オズボーン

あこがれの学園に入学するために引っ越してきた母娘は、隣のボロ家にすむおじいさんの迷惑行為に頭をいためる
そんな中、お母さんの計画通りに日々を過ごす女の子は、おじいさんの星の王子さまの話にじょじょにひかれていき・・・

それなりにざっくりと原作の物語は描かれるけど、やっぱり「その先の話」としての作品なんで元となる「星の王子さま」は読んでおいた方がいいかも
現代社会の悪い部分をあからさまに表現する説教臭さや、プリンスの描写に嫌悪感を感じないと言えば嘘になるけど、個人的には多様なメッセージをくみ取ることができて心に響くものをえられた
良い部分も悪い部分も受け取り手の感じたものをすべて許容する柔軟さ、それでいて作品としてひとつの答えに凝り固まらせないの原作を受けてのこの映画もその作りはそれなりに受け継がれている感じ
ちょっと感じとり方を誘導されてる気もするけど、まあ、嫌な気分になるほどじゃない
大人も子供もなにかしら思いを抱けるものがあるだろうけど、惜しいのは「星の王子さま」に興味のない大人は、この作品にも興味をいだかないだろうってことですね

個人的評価:80点
オススメ度:原作の熱烈な信者はどう感じるのか気になる部分ではある



リトルプリンス 星の王子さまと私 予告

2015年11月22日日曜日

ムーン・ウォーカーズ (2015/仏・ベルギー)

監督:アントワーヌ・バルドー=ジャケ
出演:ロン・パールマン / ルパート・グリント / ロバート・シーハン / スティーブン・キャンベル・ムーア / エリック・ランパール / ケビン・ビショップ / トム・オーデナールト / エリカ・セント

アポロ11号による月面着陸計画が進む中、CIA諜報員のキッドマンは計画の失敗を見越した捏造映像をキューブリック監督に依頼する任を受ける
イギリス入りした彼は監督のエージェントと勘違いし、売れないバンドのマネージャーのジョニーへ依頼してしまう

思った以上にバイオレンスでバカバカしい、というより毒々しい内容でした
ベトナム戦争の幻覚からシュールなアニメのOPがクソB級くささ(ほめ言葉)を醸しだし、本編への期待値が高まらざるえない
んで、やっぱり本編もドラッグ的な世界観とバイオレンスが波のように襲ってきて、そのイッてるセンスが気持ちいい人にはたまらない
ただ個人的にはどうにも要所要所で盛り上がるバイオレンスにはっちゃけるシーンの寸止め感に高まりきれない
内容は分かりやすくどんどんカオスに転がっていって、いよいよもってクライマックスで暴発する、のはクッソ楽しめる
だけど、もっとベトナム戦争の幻覚をいかして、全体的にイクとこまでイッた暴走っぷりをもっと堪能したかった
もうちょっと弾けてほしい、ってところでお預けをくらったような感じがした一本でした

個人的評価:75点
オススメ度:たるんたるんのおっさんを見せつけられる



ムーン・ウォーカーズ 予告

2015年11月16日月曜日

起終点駅 ターミナル (2015/日)

監督:篠原哲雄
出演:佐藤浩市 / 本田翼 / 中村獅童 / 和田正人 / 音尾琢真 / 泉谷しげる / 尾野真千子

旭川で判事をやっている鷲田完治はひょんなことから昔の恋人と再会する
東京に妻と息子がある身ながら、完治はその女との関係を深めていってしまうのだった

北海道、雪、駅という要素だけでも重苦しい内容を想起させ、実際に出だしからけっこうヘビーな展開で「観るのに体力を使いそうな映画だな」と思わせる
だけどそんなのも最初だけで話が進むうちに意外と肩の力を抜いて楽しめる内容だと分かります
とりあえず飯の描写が反則的すぎて、話の流れからホッと一息つけると同時に腹が減る
内容じたいも演出、演技、台詞によって主人公の感情の流れがひじょうに分かりやすく描写されていて、変に難しい部分やめんどくささはないので、おっさんおばさんはもとより若い世代にも伝わりやすい作りになってる感じ
ちゃんと心情にうったえるところはしっかりと響かせてくれているので、重すぎはしないけど軽すぎもしない味加減が楽しめる

個人的評価:85点
オススメ度:いくら泣きの飯+演技の合わせ技は卑怯だろ



起終点駅 ターミナル 予告

劇場版 媚空 (2015/日)

監督:雨宮慶太
出演:秋元才加 / 須賀健太 / 朝倉えりか / 伊藤かずえ / ミッキー・カーチス / 佐野史郎

闇に堕ちた者に対処する闇斬師を生業とする媚空
ある日、元老院よりダイチと名乗る使者がつかわされ、ひとりの男の心を見定める任を受けることになる媚空であった

TVシリーズ終了から微妙に時間が空いた上、なんか作中でもそんなに強烈なキャラクター性があった気がしない媚空を主人公にした劇場作品とかどうよ
という負のイメージが拭えないままに鑑賞したけど、意外にストーリーに引き込まれて楽しめた
あくまで牙狼シリーズ作品という視点で観るならば、話的にも完成度はけっこう高い
媚空も実際に動いているのをみると堂々と主人公として描かれているし、スピンオフや外伝特有の物足りなさみたいなものはない
ホラーが関わってこない人間同士の話でもここまでおもしろくなるとは思わなかった
最後の媚空と白海との会話からの流れも良い味がでていて作り方としておもしろい
まあ、それでもホントに映画としてじゃなく、牙狼としてという前提ありきで評価できる一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:媚空さんキックがカッコいいっすわ



劇場版 媚空 予告

2015年11月15日日曜日

ラスト・ナイツ (2015/米)

監督:紀里谷和明
出演:クライブ・オーウェン / モーガン・フリーマン / クリフ・カーティス / アクセル・ヘニー / ペイマン・モアディ / アイェレット・ゾラー / ショーレ・アグダシュルー / 伊原剛志 / アン・ソンギ

バルトーク卿に仕える騎士隊長ライデン
主君が都の大臣へ賄賂を贈ることをよしとしないことから問題をおこし、ライデンは苦渋の命を迫られる

西洋風なビジュアル重視のなんちゃって忠臣蔵、という先入観で期待値は低かったけど、オープニング戦いでの殺陣に燃える
忠、義、忍、上辺だけじゃない魂がこめられていて、日本人が大好きな時代劇の要素が色濃い
それでいてこてこてな外国人風貌なライデン隊長が不思議と作品にとけ込んでいて、心の芯の部分からキャラクターが非常に魅力的に描かれている
というかマジで男としてライデン隊長に惚れる
さらに敵側も小心者な悪大臣、それを分かっていながら騎士として仕える敵隊長も設定の時代劇っぷりがはまっている
まあ、ちょっと敵側のストーカー行為の重複描写が滑稽だけど、引っかかるのはそこくらい
日本人監督の地味騎士ものとか、監督名で敬遠するのはもったいない作品ですね

個人的評価:85点
オススメ度:なにげにライデン隊長の奥さんも素晴らしい



ラスト・ナイツ 予告

ハーモニー (2015/日)

監督:なかむらたかし / マイケル・アリアス
出演:沢城みゆき / 上田麗奈 / 洲崎綾 / 榊原良子 / 大塚明夫 / 三木眞一郎 / チョー冴紀 / 森田順平

人の健康状態がコンピュータによって管理された社会
螺旋監察官のトァンは学生時代の親友ミァハの影と日本社会から逃げるよう、戦場でシステムの目を盗んで生活していたのだが・・・

良い意味でも悪い意味でも原作小説を映し出している作品でした
しょうじき原作を読んだ人が映像として参考として観るもので、これを単体で鑑賞するとけっこうきびしいかもしれない
内容じたいも映画というよりTVアニメとして連続ドラマの体の方があっている感じで、30分アニメで区切ってくれれば耐えられるけど、長時間ずっと押し寄せるセリフの波に眠気をおさえるのに苦労する
ストーリーとしての映像化という意味ではいいんだけど、やっぱり読み物という核となる部分がこの作品だけでは描き切れてない気がしないでもない
あとは未来世界な表現からくる建築物や美術的な部分がちょっと個人的にしっくりこなかったのが残念
小説を読んだ人が読んでない人といっしょに観て、「これってこういうことなんだよ」としたり顔で語るのにちょうどいい作品かもしれません

個人的評価:70点
オススメ度:性的表現のストレートさは評価せざるえない



ハーモニー 予告

コードネーム U.N.C.L.E. (2015/米)

監督:ガイ・リッチー
出演:ヘンリー・カビル / アーミー・ハマー / アリシア・ビカンダー / エリザベス・デビッキ / ヒュー・グラント / ジャレッド・ハリス / ルカ・カルバーニ / シルベスター・グロート / クリスチャン・ベルケル / ミシャ・クズネツォフ / デビッド・ベッカム

CIAエージェントのソロは任務のために東ベルリンで整備士の女ギャビーに接触する
そこへKGBのエージェントのイリヤがふたりを追ってきて・・・

なんだかんだバディものといってもどっちかが引き立て役になもんだけど、この作品では互いの長所と欠点を不本意ながらもカバーしあっている対等さがおもしろい
ヒロインであるギャビーを要に王道ながら安定感のあるスパイアクションもののストーリー展開で、土台がかためられていてスタイリッシュな見てくれだけな内容になってないのもいいですね
変にきをてらいすぎてないストーリーゆえに、ノリノリなBGMと演出、ビジュアルに集中できて堪能できました
楽曲と狙いすぎなシーンの数々が鼻につく人もいるだろうから、なんとも言えないけどわりと万人向けよりな作りになってる感じの一本でした
こういうふうに当たり前のように続編を堂々とにおわされると次作にも期待せざるえない一本でした

個人的評価:85点
オススメ度:思ったよりソロが完璧超人じゃないのが逆に魅力的



コードネーム U.N.C.L.E. 予告

2015年11月9日月曜日

グラスホッパー (2015/日)

監督:瀧本智行
出演:生田斗真 / 浅野忠信 / 山田涼介 / 麻生久美子 / 波瑠 / 菜々緒 / 村上淳 / 宇崎竜童 / 吉岡秀隆 / 石橋蓮司 / 金児憲史 / 佐津川愛美 / 山崎ハコ

車の暴走事件で恋人を失った鈴木が後日、その現場を訪れると真犯人は別にいるむねの謎のメッセージを拾う
その手がかりをもとに記されていた組織へ潜り込むのだったが・・・

主人公の鈴木がなんらかの勢力に利用されている、という前提を頭においた上でさらにどんな真相が待っているのか期待心をくすぐられて最後まで引っ張られる
鯨と蝉の話が鈴木の話と微妙にリンクしながら並行して進むため、色々と裏の事情を先読みしながら観ているのが楽しい
鯨の能力や蝉の耳鳴り、トノサマバッタのくだりやら、なんかすっごい意味がありそうな素材が散らばっていて、それらの情報をもとにあれこれ考察している鑑賞中はホントに楽しい・・・んですが、ね
ネタバレになる部分はさけるにしても、真相が分かった後にもうひとつガツンとくる何かがほしかった
鈴木は鈴木でアレでいいとしても、最後までつきあわされた観ている側にも「おお!」っていうご褒美みたいのがないんですよね
観ている間はのめり込めるんだけど、観客と主人公の立場のリンクが微妙にずれてる気持ち悪さというか物足りなさを感じるオチだった一本でした

個人的評価:75点
オススメ度:変態殺し屋大戦争なノリの三池監督か園監督版で観たかった



グラスホッパー 予告

ミケランジェロ・プロジェクト (2014/米)

監督:ジョージ・クルーニー
出演:ジョージ・クルーニー / マット・デイモン / ケイト・ブランシェット / ビル・マーレイ / ジョン・グッドマン / ジャン・デュジャルダン / ボブ・バラバン / ヒュー・ボネビル

第二次大戦末期、ナチスに強奪された美術品を取り戻すため、ストークスは仲間を集める
美術品に関してはプロだが兵としては素人の面々を率い、奪われた品々を探すのだったが・・・

美術品のエキスパートの素人兵をたばねて、堅牢なナチスの施設に大胆不敵な計画を練って奪還作戦、みたいなエンターテインメントを想像してたけど地味すぎる一同の活動に微妙さを感じざるえない
とりえあず無駄に豪華な出演陣で、戦争映画ってほど重厚でもないし娯楽作品ってほどユーモラスさに偏ってもいない作風にどう向かい合って良いか悩まされる
かといって退屈きわまるってほどでもなく、ドナルドの手紙やハイル・ヒトラーに反応する子供たちなど、随所に感じるものあり、笑えるところありと光る部分もあるんですよね
淡々と話が進んでは時折はさまれる印象に残るシーンの繰り返し、という悪く言えばちぐはぐさがもったいない一本でした

個人的評価:65点
オススメ度:実話ベースの地味さは素材そのままってわけですかね



ミケランジェロ・プロジェクト 予告

2015年11月8日日曜日

劇場版 MOZU (2015/日)

監督:羽住英一郎
出演:西島秀俊 / ビートたけし / 香川照之 / 真木よう子 / 伊勢谷友介 / 松坂桃李 / 長谷川博己 / 小日向文世 / 池松壮亮 / 伊藤淳史 / 杉咲花 / 阿部力

ビルを襲った爆弾テロ集団騒ぎの中、倉木警部は大使員襲撃の現場に居合わせる
そしてそれらの事件の裏にダルマの存在がちらちき、否応なく倉木は巻き込まれていく

テレビドラマ版でも徐々に変態キャラ祭りになってきてたのに、さらに変態度がスケールアップした劇場版でした
シリーズが長引くほど、その黒幕が実際に動き出した時のガッカリ感が浮き上がり、姿が見えない方が盛り上がるパターンからは脱せなかった印象
なんとなく予想はしてたけど、新谷はもちろん東もダルマもキーになるキャラの結末はすべからくもやっとしている
これが結末だと言われればそうも受け取れるし、様子を見て続編をやろうと思えばできる卑怯なラストですね
黒幕の急にここにて行動が雑で計画が杜撰になってるのは気になるけど、場面ごとにアクションや謎の展開っぷりは安心して観ていられて楽しめました

個人的評価:70点
オススメ度:もう死んだ死んだ詐欺はいいんで



劇場版 MOZU 予告

サヨナラの代わりに (2014/米)

監督:ジョージ・C・ウルフ
出演:ヒラリー・スワンク / エミー・ロッサム / ジョシュ・デュアメル / ロレッタ・デバイン / マーシャ・ゲイ・ハーデン / フランシス・フィッシャー / ジェイソン・リッター / アリ・ラーター

ALS患者のケイトは新たに介護してくれる女性のベックを雇う
失敗続きの彼女に夫のエヴァンは心配するばかりだが、ケイトはベックをとどまらせる

いわゆる難病もので、どことなく「最強のふたり」の女性版なイメージをぬぐえないけど、実際に観てみるとまったく違うおもしろさでした
真逆の性格な感じの患者と介護人という中での友情や、闘病生活に鬱々としない日々の生活の素晴らしさという面はもちろんきちんと描かれている
そこにプラスされる要素があるかないかで、こういう難病もののおもしろさは大きく左右されるだろうけど、この作品にはそれがありましたね
「幸せ」というテーマがとても分かりやすく描かれていて、鈍い私でもすんなりと理解することができました
死へ向かう「悲しさ」より強かに生きる「幸せ」ということを感じさせてくれた作品となりました

個人的評価:80点
オススメ度:叫び合いにふるえざるえない



サヨナラの代わりに 予告

2015年11月2日月曜日

PAN ネバーランド、夢のはじまり (2015/米)

監督:ジョー・ライト
出演:リーバイ・ミラー / ヒュー・ジャックマン / ルーニー・マーラ / ギャレット・ヘドランド / アマンダ・セイフライド / アディール・アクタル

戦時下のロンドン、孤児院で生活する少年パンは大人たちに冷たく扱われていた
そんなある夜、パンを含む孤児院の子供たちは謎の空飛ぶ船を操る海賊たちに連れ去られてしまい・・・

次々にめまぐるしく展開するさまは、まるでダイジェスト映像を観ているようなハイスピード、というかスキップ感
現状をじゅうぶんに堪能する暇も、余韻にひたったり間でひといきつくことも許されず、悪く言えば暴力的に無理矢理おしつけられるままに流されっぱなし
落ち着きがないお子さまなら飛ばし飛ばし見ても、いつでも華やかに盛り上がるアドベンチャーが展開しているんで楽しめるかもしれない
映像や美術的なセンスや美しさがもったいないくらい使い捨てな感じで、次々に画面からあふれてはこぼれていく
これからどうするんだろう、どうなるんだろうというわくわく感すら抱かせる時間を観ている側に与えてくれない全自動急速展開っぷりに置いていかれっぱなしな一本でした

個人的評価:50点
オススメ度:わりとさっくり覚醒するピーターくん



PAN ネバーランド、夢のはじまり 予告

俺物語!! (2015/日)

監督:河合勇人
出演:鈴木亮平 / 永野芽郁 / 坂口健太郎 / 森高愛 / 高橋春織 / 恒松祐里 / 健太郎 / 篠田諒 / 小松直樹 / 中尾明慶 / 高田里穂 / 富田海人 / 堀越太耀 / 池谷のぶえ / 安井順平 / 緑友利恵 / 渋川清彦 / 寺脇康文 / 鈴木砂羽

強面の高校生の剛田猛男はある日、ひとりの少女、大和凛子と出会う
彼女に一目惚れする猛男であったが、凛子は友人の砂川のことが好きだと思いこんでしまい・・・

完全なるデートムービー、もしくは女子同士でキャスト目当てで観る映画、という事前の印象から避けようかと思ってたんですが、鈴木先生のノリはけっこう好きだったので鑑賞
思ってたより甘さは控えめで、というかむしろまっとうな青春ドラマな感じなむずがゆさがおもしろかった
砂川を間にはさんだ猛男と凛子のちょっとしたすれ違いが、ふたりの距離を近づけては遠くしていくもどかしさがコミカルで楽しい
砂川がホントに良い奴すぎて個人的には猛男より惚れてしまいそうにならざるえない
どろどろとした展開でドラマ性を膨らませるのもアリかもしれんけど、あえてこういうさわやかで軽く楽しめる後味の良さに仕上げてるのもいいですね

個人的評価:80点
オススメ度:男同士の恋愛方向に話が進まないかとどきどき



俺物語!! 予告

2015年11月1日日曜日

犬に名前をつける日 (2015/日)

監督:山田あかね
出演:小林聡美 / 上川隆也 / 青山美郷 / 今村沙緒里 / 渋谷昶子 / 藤井聡

テレビディレクターの久野は愛犬のナツを亡くす
そんなある日、犬についてのドキュエンタリー映画を撮ることになるのだった

実在の団体や人物を対象にしたドキュメンタリー映画を撮る、その撮影風景をドラマとした作風はおもしろい
ドキュメンタリーパートとドラマパートは分かりやすく描きわけられているため、ドキュメンタリーサイドに作り物っぽさを感じることは少ない
作品じたいなのか、観ている自分自身にむけてなのか、ペットを飼うことについて考えているうちに鑑賞中ずっと息苦しさを感じる
どう言ってもペットを飼うということは、多少はあるだろうけど人間側の都合に左右されるわけで、犬や猫との生活の良い点だけに安易に優しい気持ちになれない
そういう意味で「飼う」ということについて強く認識させられる
ちょっと気になるのは、どうせならドキュメンタリーとしてもっとブリーダーや放棄した飼い主側のインタビューもほしかった
ブリーダーはみんな敵とか安易に考えず、あくまでボランティア保護する側の一面だけを切り取った映画、と考えないと危険かもしれんね

個人的評価:75点
オススメ度:ロケとか忙しくてもちゃんと預け先とか考えてます、くらい言ってほしかった


犬に名前をつける日 予告

機動戦士ガンダム THE ORIGIN II 哀しみのアルテイシア (2015/日)

監督:安彦良和
出演:池田秀一 / 潘めぐみ / 浦山迅 / 銀河万丈 / 三宅健太 / 渡辺明乃 / 喜山茂雄 / 沢城みゆき / 茶風林 / 恒松あゆみ / 一条和矢 / 松田健一郎 / 土屋トシヒデ / 藤村歩 / 古谷徹 / 関俊彦

ザビ家から逃れ名前を変えて地球で生活を始めるキャスバルとアルテイシア
平穏な暮らしが続く中、ラルの画策により怪しい者たちが動き出す

なんだかんだでガンダムブランドにはあらがえない世代、というわけでなんだかんだで二作目も鑑賞することに
前よりだいぶおふざけ要素が減り、観ていて「きっついな」と感じる部分が軽減されて助かりました
メカアクションもあるものの、兄妹のふたりのドラマがメインになっているため、言ってもクライマックスにはバリバリの戦闘シーンが展開するだろうと期待するとアレかもしれん
大人たちの事情と政争パート、少年少女の冒険とドラマというふたつの要素が完全に分離してしまっていて、兄妹視点で大人たちの世界も描くことでドラマ性を盛り上げてくれればいいのにと思わざるえない
見所であるだろうキャスバルの転機となる展開も、どうにも心に響かなくて残念

個人的評価:65点
オススメ度:全身鎧の意味について



機動戦士ガンダム THE ORIGIN II 哀しみのアルテイシア 予告

2015年10月26日月曜日

ギャラクシー街道 (2015/日)

監督:三谷幸喜
出演:香取慎吾 / 綾瀬はるか / 小栗旬 / 優香 / 西川貴教 / 遠藤憲一 / 段田安則 / 石丸幹二 / 秋元才加 / 阿南健治 / 梶原善 / 田村梨果 / 浅野和之 / 山本耕史 / 大竹しのぶ / 西田敏行

宇宙の幹線道路ギャラクシー街道にあるハンバーガーショップを経営するノアとノエの夫婦
そんなふたりの店に様々な宇宙人たちが来店して・・・

昭和の時代に夢描いた未来の宇宙像、はるか未来の話なのに小道具はどこか古くさいアンバランスさ
そんな世界観ならおもしろい話がわんさとあふれ出すにちがいない、という思いがつのるうちに楽しさ弾けることなく終わってしまってガッカリ
テンポの悪いベタで寒いギャグがブツ切りで、乾いた笑いすら浮かべるのが難しい
キャプテンソックスや数えるほどの些細なクスっとくる要素が超貴重
個性的なキャラたちの話が散発的に進み、連鎖的に作用してバカ騒ぎが加速していくでもなく、なんとも総じて微妙なままに過ぎ去っていく
このセンスが理解できない私が悪い、と言われればそれまでだけど、個人的にはノリきれなかった残念な作品でした

個人的評価:30点
オススメ度:オチが先読みできすぎるギャグの痛々しさ



ギャラクシー街道 予告

トランスポーター イグニション (2015/仏)

監督:カミーユ・ドゥラマーレ
出演:エド・スクレイン / レイ・スティーブンソン / ロアン・シャバノル / ガブリエラ・ライト / タチアナ・パジコビク / ウェンシャ・ユー / ラシャ・ブコビッチ / レン・クダジャビスキ / ノエミ・ルノワール

運び屋のフランクは退職した父を家へ招いた日、新たな仕事の依頼の連絡をうける
しかし依頼主は早々に契約を破り、父を人質にフランクを利用しようとするのだった

主人公を交代し、新たなシリーズを開始するためのオープニング作品的な意味合いが強い内容でしたね
新主人公とその父親のキャラ紹介、そして今後の展開を期待させる要素を盛り込んだパイロット版みたいな感じ
依頼人の企てに利用され巻き込まれる主人公という立場で、状況と先行きが見えない不安さを観ている側は主人公と共有することでうまく感情移入させようと誘導している
魅力的な父親の存在と、親子それぞれの過去をチラつかせることで続編への種まきまでしている周到さ
アクション面においてもカーアクションはもとより、銃を使わない己の肉体と、その場のオブジェクトを利用した戦いもいい感じ
ただ、それらの作り手側の狙いがホントにあざといくらい作品から見えすぎてるのは冷める
あと運転中のフランクの顔のアップを多用するのもちょっと鼻につく
とりあえず次の展開が楽しみになるという意味では成功しているかもしれない一本でした

個人的評価:75点
オススメ度:意外に主人公交代に違和感がない不思議



トランスポーター イグニション 予告

2015年10月25日日曜日

ヴィジット (2015/米)

監督:M・ナイト・シャマラン
出演:キャスリン・ハーン / ディアナ・デュナガン / ピーター・マクロビー / エド・オクセンボールド / オリビア・デヨング

祖父母の家へ一週間のあいだ泊まりにいくことになった姉弟たち
そこで母の過去と祖父母の関係をカメラにおさめようとするが・・・

もう監督みずから「もう騙されている」みたいなこと言っちゃうから、また無駄に期待値だけ上がりまくった末のガッカリ感ただようトリックだよ
と思わせることじたいが計算の上だった、のかちょっと気になる内容でした
ネタバレはしない方向で書くのはつらいけど、疑いをもった目で観ていると露骨に真相にむすびつくヒントが段階的に提示されているのが分かる
で、けっこう序盤のヒントで答えは分かっちゃうんですよね
そっからはもう消化試合のごとく冷めた視線で、ちょっとした落胆気分のまま話につき合うことに
だけどそんな期待はずれ感の負の感情の積み重ねの「まあ、そうだよね」という果て、その先のクライマックスに一気に心象が逆転せざるえない
子供たちの子供たちらしい無邪気さ、好奇心、恐怖に見入った一本でした

個人的評価:80点
オススメ度:さすがにエンドクレジットは雰囲気ぶちこわし



ヴィジット 予告

メイズ・ランナー2 砂漠の迷宮 (2015/米)

監督:ウェス・ボール
出演:ディラン・オブライエン / カヤ・スコデラーリオ / トーマス・ブロディ=サングスター / キー・ホン・リー / パトリシア・クラークソン / ジェイコブ・ロフランド / ジャンカルロ・エスポジート / エイダン・ギレン / バリー・ペッパー / リリ・テイラー / ロサ・サラザール

迷宮を抜け出しWCKDの魔の手から逃れたトーマスたちは、救出者とともにある施設へ移送される
そこで新生活を迎えようとする中、他の迷宮からのきたエリスによってトーマスは施設にある怪しい部屋について知ることになる

これがテレビドラマなら見応えや一話ごとにめりはりがあって盛り上がったんだろうけど、どうにも通して観ると一本調子感が強い気がする
なんとなく追われるままに逃げてるだけで、世界が広がった分だけ中身も漠然としてる印象
内容も思った通り、この手の話にありがちな起承転結の転となる「さあ、いよいよ次はこっちの番だぜ」という感じ、なのはいいとしてもあまりにそんな作り方が露骨すぎ
荒廃した世界のビジュアルや、緊張感をあおるアクション、インパクトのある化け物じみたクランクの見た目、抜き出せばすごい良い素材ばかりなのに、それらの見せ方がちょっと単調かも
なにも考えず、資金と技術力にものを言わせたパワープレイに頼りすぎてる気がする一本でした

個人的評価:65点
オススメ度:世界観の背景にある設定部分をもっと描いてほしかった



メイズ・ランナー2 砂漠の迷宮 予告

2015年10月19日月曜日

ジョン・ウィック (2014/米)

監督:チャド・スタエルスキ
出演:キアヌ・リーブス / ミカエル・ニクビスト / アルフィー・アレン / ウィレム・デフォー / ディーン・ウィンタース / エイドリアン・パリッキ / オメル・バルネア / トビー・レナード・ムーア / ダニエル・バーンハード / ブリジット・モイナハン / ジョン・レグイザモ / イアン・マクシェーン / ブリジット・リーガン / ランス・レディック / ランダル・ダク・キム / デビッド・パトリック・ケリー / クラーク・ピータース / ケビン・ナッシュ

愛する妻を失った直後、悲しみに沈むジョンのもとに彼女のメッセージとともに一匹の子犬が届く
その最期の贈り物とともに暮らすジョンだったが、ある日、車を狙った強盗団が家に押し入ってきて・・・

久しぶりのこの感覚、劇場を出るひととき、主人公のジョンになったつもりで歩きだしてる自分に酔う
鉄仮面のごとく冷めた表情とたたずまいのジョンの通常時と激しい戦いの温度差にたまらなく引き寄せられる
仕事周りの設定や登場人物も主張しすぎず足らなすぎずで主人公を上手に引き立てながらも、いい感じで世界観をかためてる
単にクールキャラが激しいバトルをすることでのギャップをみせるだけでなく、アクションの中にも華麗さと泥臭さの緩急があって飽きることがない
けっこう豊富なアクションバリエーションがあって、単調にバンバンぶっぱなすだけの派手さでごまかすことがないのはいいですね
文字通りのカーガンアクションとか観てて男との心が「うっひょー」となるのを押さえられない一本でした

個人的評価:90点
オススメ度:いろんな意味で不可能と言われたことを可能にするジョンに惚れざるえない



ジョン・ウィック 予告

2015年10月18日日曜日

ダイバージェントNEO (2015/米)

監督:ロベルト・シュベンケ
出演:シャイリーン・ウッドリー / テオ・ジェームズ / オクタビア・スペンサー / ジェイ・コートニー / レイ・スティーブンソン / ゾーイ・クラビッツ / マイルズ・テラー / アンセル・エルゴート / マギー・Q / ナオミ・ワッツ / ケイト・ウィンスレット / スキ・ウォーターハウス

5つの派閥で形成された世界、逃亡生活を続けるトリスとフォーたちは「平和」の土地へ流れ着く
しかし、そこへも彼女たちを追う武装した兵士たちが現れ・・・

NEOとかいうダサさと、一見してシリーズ2作目と分かりづらい二重の意味で問題があるとしか思えない邦題
そんな微妙さに負けず劣らず作品じたいもパッとしない印象が強い
場面展開は早いし、画面的には派手でストーリーもそこまで悪くはないのに、なんというかキャスト的な問題なのか地味さがぬぐえない
いちばん目に付く登場人物がピーターだといっても言い過ぎじゃないかもしれん
内容も前作とセットとして成立する感じで、さらなる続編があると考慮すると、1、2通して観ることでいい具合に「俺たちの戦いはこれからだ」エンドになってる
けっしてつまらい作品じゃないんだけど、海外ドラマ以上映画作品未満という雰囲気がする一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:なんかシリーズものって、こういう箱庭実験みたいなノリが好きだよね



ダイバージェントNEO 予告

アデライン、100年目の恋 (2015/米)

監督:リー・トランド・クリーガー
出演:ブレイク・ライブリー / ミキール・ハースマン / キャシー・ベイカー / ハリソン・フォード / エレン・バースティン / アマンダ・クルー

年をとることのない体のアデラインは名前をかえて生活していた
新年を祝うパーティに出席した彼女は、そこでひとりの男性と出会い・・・

思っていた以上にファンタジーな内容でしたね
年をとらないがゆえの悩みを抱えながらも、特別な男性と出会って変化していく物語ってのは日本人の好みにあう内容かもしれない
ただちょっと逃げるように暮らす日々の理由がドラマティックさにかける気がする
ラストの展開もそのファンタジーさにけっこう賛否わかれる感じがして、個人的に別の方向へクライマックスは向かってほしかった
あとナレーションが物語に没入するには邪魔な感じで、いちいち言葉で説明しないで画面に映して察しさせてくれたほうが気持ちよかった

個人的評価:70点
オススメ度:間際の犬のしっぽふりとか細かい演技の部分はいい感じなのに



アデライン、100年目の恋 予告

探検隊の栄光 (2015/日)

監督:山本透
出演:藤原竜也 / ユースケ・サンタマリア / 小澤征悦 / 田中要次 / 川村陽介 / 佐野ひなこ / 岡安章介

落ち目の俳優の杉崎は、探検サバイバルという番組の撮影で南の島へきていた
役作りに余念のない杉崎だったが、現地での撮影スタッフたちはいきあたりばったりのテキトーな対応で・・・

マジメにバカをやる男たちの姿がホントに楽しい
劇中劇としての探検サバイバルという番組の撮影風景、そしてこの映画そのものがシンクロする感じで楽しんで作ってる感が伝わってくる
トカゲを食べるシーンや、ところどころで映画としての演技と素の境界があいまいになるのもおもしろい
過剰演出に緊迫感をあおる番組シーンと、実際の撮影風景のギャップだけでもじゅうぶんに笑えて、邦画でもこういう本気でバカをやる作品が観れて満足
やらせ感ドーンな内容ながら自然に気持ちよく笑える一本でした

個人的評価:85点
オススメ度:藤原竜也のはまり役っぷりがトゥルース



探検隊の栄光 予告

2015年10月12日月曜日

ファンタスティック・フォー (2015/米)

監督:ジョシュ・トランク
出演:マイルズ・テラー / ケイト・マーラ / マイケル・B・ジョーダン / ジェイミー・ベル / トビー・ケベル / レグ・E・キャシー / ティム・ブレイク・ネルソン

物質の転送装置を研究するリードとその親友ベン
ある日、バクスター財団から声をかけられたふたりは、スーとビクターという新たな仲間を加えて研究を進めるのだった

前日話としてのテレビドラマ版みたいなノリの序盤がしょうじきダルイ
この映画に求める方向性によって楽しめるかどうか変わってくるだろうけど、多くの人はやっぱりヒーローアクションを期待してるんでしょうね
で、フタをあけたらヒーロー誕生話だった、と
作ってる方もさすがにやばいと思ったのか、さすがにクライマックスはアクション的に盛り上がるけど、かえってそれが前半のドラマとかみあってない印象が強い
丁寧に描いた友情や愛情、そのすれ違いというどろっとした部分が置いてけぼりな感じの、クライシス&バトルというすかっとした雰囲気に変容する様に違和感
なんか色々と確執ありながら「これが運命だよね」とまとめられても困惑せざるえない

個人的評価:65点
オススメ度:まさかのおまけ映像なしも逆に新鮮かもしれん



ファンタスティック・フォー 予告

マイ・インターン (2015/米)

監督:ナンシー・マイヤーズ
出演:ロバート・デ・ニーロ / アン・ハサウェイ / レネ・ルッソ / アダム・ディバイン / アンダース・ホーム / ジョジョ・カシュナー / リンダ・ラビン / ジェイソン・オーリー / ザック・パールマン / アンドリュー・ラネルズ / クリスティーナ・シェラー

妻に先立たれ仕事も退職し、気ままに暮らす日々の中にも寂しさを感じるベン
そんな時、シニアインターンの募集を目にし、若き女性社長ジュールズの会社へ再就職するのだった

若くて女性の社長、という記号的なキャラに対し、人生経験豊富なジジイが化学反応をおこす引き金になる
というほどベンはジュールズや会社にとって刺激と副作用の強い存在ではなく、自然に溶けあう感じでなじんでいく様が心地いい
主人公ふたりの関係も激しい衝突や感情のぶつけあいがあるでもなく、コーヒーに注いだミルクのごとくなめらかに進展していく
なんだかんだ精力的なベンが周りとうまくやっていく様は安心して観ていられて楽しいけど、人生に悟りすぎてることで問題が大きく発展しない低刺激感は否めない
メールを削除しにいくシーンのような突拍子もない展開は盛り上がるけど、そんなことばかり期待しているとふんわり自然と幕をとじるラストに物足りなさを感じるかもしれないですね

個人的評価:75点
オススメ度:お茶とお菓子を用意して、まったり素敵な登場人物たちのかけあいを楽しむ室内映画かも



マイ・インターン 予告

2015年10月11日日曜日

図書館戦争 THE LAST MISSION (2015/日)

監督:佐藤信介
出演:岡田准一 / 榮倉奈々 / 田中圭 / 福士蒼汰 / 西田尚美 / 橋本じゅん / 土屋太鳳 / 松坂桃李 / 栗山千明 / 石坂浩二 / 中村蒼 / 鈴木達央

本をめぐる図書隊と良化特務機関との果てない戦いが続く日本
図書隊に茨城県展の警備依頼がある中、未来企画なる集まりの謀略の手が伸びようとしていた

覚悟はしていたけど観ててこっぱずかしくなる恋愛要素に、「おまえら中学生の恋愛ごっこか」とつっこむのは無粋なんでしょうね
同様に主人公補正で弾丸の雨の中もひょいひょいすりぬけたり、死と隣り合わせの緊張感が気迫なのもつっこんじゃいけないのかもしれん
あくまで「邦画にしては」というフィルターにおいて、その戦闘シーンは見応えがあり、今作では銃撃戦の単調さの中にも格闘やスニーキングの味付けがいきてて楽しめた
それでもどうしても命や歪んだ世界、護るもの、使命や意志が作品の内容としてうすっぺらく思えてしまう
とりあえずまとめるためにそれっぽい描写やテーマをだしておこう、みたいなあざとさがあざといままに感じられるのがもったいない

個人的評価:65点
オススメ度:手塚(兄)に悪役の魅力を感じられない



図書館戦争 THE LAST MISSION 予告

先生と迷い猫 (2015/日)

監督:深川栄洋
出演:イッセー尾形 / 染谷将太 / 北乃きい / ピエール瀧 / 嶋田久作 / 佐々木すみ江 / カンニング竹山 / 久保田紗友 / もたいまさこ / 岸本加世子

町の人たちから校長と呼ばれるひとり暮らしの老人
そんな彼の家へ迷い込んできた野良猫を見るたびに亡くした妻のことを思いだし、追い払おうとするのだった

周囲と距離をおく偏屈なじいさんが、ある接点を介してじょじょに人々とうちとけていく
というパターンの内容の接点=猫にしてみました、みたいな内容が容易に想像できるけど、そんな「分かってるけど」という安心感を観る作品ですね
話も描写もすごい分かりやすいし、わりと猫萌え要素もふんだんにあるので、世のおっさんおばさんも何も考えずに楽しめます
なにより主人公の偏屈なだけじゃないとぼけた部分も魅力的ですね
冒頭のパン屋のシーンや、死を口にする少年、校長のふんぞり返り、そこら辺の作品内での処理の仕方も丁寧でいい
優しさと安定感だけでなく、カッターや痴呆症っぽいおばあちゃんの存在がほどよい不安をちらつかせ、最後まで退屈することはなかった

個人的評価:75点
オススメ度:観た人のほとんどが「肉球」とつぶやかざるえない



先生と迷い猫 予告

2015年10月7日水曜日

バクマン。 (2015/日)

監督:大根仁
出演:佐藤健 / 神木隆之介 / 小松菜奈 / 桐谷健太 / 新井浩文 / 皆川猿時 / 宮藤官九郎 / 山田孝之 / リリー・フランキー / 染谷将太

高校生の真城は同級生の高木にノートのスケッチを見られたことから、いっしょにマンガを描かないかと誘われる
乗り気ではなかった真城だが、気になる女子の亜豆の前で高木がマンガ家になる宣言をしたことで意欲をだすのだった

知っていればニヤリとできるマンガネタはもちろんあるけど、オタクくささはそれほどない
それでいてキャスト萌えなひよったスイーツドラマというわけでもなく、純粋に映画作品としておもしろかった
マンガについて特に知識がなくてもじゅうぶんに楽しめる間口の広さと、主人公周りを堅牢にかためる役者さんの演技が、個人的に失礼ながら「どうせ色物のネタ映画だろ」と思っていたイメージを完全に吹き飛ばしてくれました
少年マンガ的な熱い部分を芯に、冷徹で現実的な部分におちいりすぎないのもいい
友情、努力、勝利という要素をみごとに映像化していて、おとぎ話と鼻で笑うでなく、そうと分かっていて身をゆだねるのが心地いい一本でした

個人的評価:85点
オススメ度:まあ、でもエンドロールはこだわりすぎてて見にくいわな



バクマン。 予告

2015年10月5日月曜日

ドローン・オブ・ウォー (2014/米)

監督:アンドリュー・ニコル
出演:イーサン・ホーク / ブルース・グリーンウッド / ゾーイ・クラビッツ / ジェイク・アベル / ジャニュアリー・ジョーンズ

無人攻撃機を操ってアメリカ本国の基地から、遠く離れた敵地で目標を爆撃する任につくトーマス
元パイロットの彼は実際に現地で実機に乗りたいと切望するのだが・・・

戦場から遠く離れたクーラーのきいた安全快適な部屋から、液晶画面ごしに目標に向かってトリガーを引く
そんな行為に葛藤する主人公の様を戦争も戦場も知らない快適環境で映画として観る日本人の私
この映画がなにを伝えたいのか、主人公の心をどうくみ取ってあげればいいのか、安易に語るにはおこがましい
しょうじき言うとこの映画を観ても、個人的に人の命のなんたらを感じることはない不感症っぷりに自分でも戸惑わされた
けっきょくのところ人を殺してるだけ、という気持ち悪さだけが残るけど、時折うつる液晶画面に反射した自分の顔を見つめるにはいい作品かもしれないですね

個人的評価:80点
オススメ度:個人的に知識としてではなく、感覚として分かるのは無理なのかもしれん



ドローン・オブ・ウォー 予告

岸辺の旅 (2015/日)

監督:黒沢清
出演:深津絵里 / 浅野忠信 / 小松政夫 / 村岡希美 / 奥貫薫 / 赤堀雅秋 / 千葉哲也 / 藤野大輝 / 松本華奈 / 石井そら / 星流 / いせゆみこ / 高橋洋 / 深谷美歩 / 岡本英之 / 蒼井優 / 首藤康之 / 柄本明

瑞希の前へ3年ぶりに夫の優介が現れ、自分が死んでいると伝える
そして彼はきれいな場所を見せると言って、お世話になった人たちのもとをたどる旅にでようともちかけてくる

死者が生者の世界に干渉しつつ存在する世界観に、死んだ者のルールみたいな線引きがあるんじゃないかと終始ひっかかる
うがった見方をして、変な深読みをさせるそんな作りは狙いのうちなんですかね
ともあれ目的地へ順路通りにたどる旅はよくある話だけど、折り返しの帰路を逆にたどる構成はおもしろい
いろんな意味で旅に出る前にふたりともうっすら答えは出てるんだけど、あえて迷い傷つくのを承知でキッチリとした答えに向かい合っていく様にひかれる
まあ、ちょっと旅の回りくどさは感じるけど、ここまでの過ぎた時間と人としての経験値があっても難しいことなんだろうな、と思う

個人的評価:75点
オススメ度:奇をてらった仕掛けがあるんだろ、と疑って観てた自分の姿勢は正解なのかも



岸辺の旅 予告

2015年10月4日日曜日

パパが遺した物語 (2015/米・伊)

監督:ガブリエレ・ムッチーノ
出演:ラッセル・クロウ / アマンダ・セイフライド / アーロン・ポール / ダイアン・クルーガー / クワベンジャネ・ウォレス / ブルース・グリーンウッド / ジャネット・マクティア / カイリー・ロジャーズ / ジェーン・フォンダ / オクタビア・スペンサー

事故により精神病院へ入院することとなったジェイクは、幼い娘のケイティを親戚にあずけることになる
そして退院した彼は娘を引き取りにいくが、そこで養子の話を持ち出され・・・

そして25年後、って唐突に時間がぶっとんで雰囲気が一変するノリなパターンでもなく、自然に二重構造へ流れていって最初は戸惑った
退院後のジェイクと25年後のケイティの話が並行して進み、状況がリンクしつつの結末に期待せざるえない
だけど、なんていうか良い話ではあるけど物語的な感情を強制的に揺り動かす感動話じゃないんですね
現実なんてこんなもん、というほど冷めてはいないけど小説の中の物語ではない現実のことなんだよ、みたいな部分がおもしろい
泣かせてやろうというあざとさがないという点ではいいんだけど、それでもやっぱりなにか強烈に後に残るなにかが足りない気がするのは否めない

個人的評価:75点
オススメ度:肉体関係に潔癖な人にはむいてないかもしれんね



パパが遺した物語 予告

屍者の帝国 (2015/日)

監督:牧原亮太郎
出演:細谷佳正 / 村瀬歩 / 楠大典 / 三木眞一郎 / 山下大輝 / 花澤香菜 / 大塚明夫 / 菅生隆之

死んだ人間を使役する屍者技術が発達した世界
ワトソン博士は屍者のフライデーをつれ、ある使命をはたすべく旅をしているのだった

珍しくも原作は読んでいる、という状況で鑑賞したんですが、なんというか私が読んだ本とは別ものな印象しかしない
原作との比較による善し悪しうんぬんは野暮ってことで、そこら辺は気にしないことにするとしても、せっかくワトソンやらフランケンシュタインやら耳に馴染みのあるキャラが出てきてるのにあまりいきてない感じ
しょうじき登場人物の名前を別に置き換えても、この作品が成立しちゃうんじゃないかと言わざるえない
けっきょく手記にたずさわった者たちと主人公の対比みたいなシンプルな内容に、「魂がー、魂がー」とふわっとして煙に巻くような要素をまとわせて、なんか高尚で厚みのあるもののように見せかけられてるような・・・
なんか頭の回転の弱い私のようなものが多く語るのはアレだけど、個人的には思ったよりうすっぺらい内容に受け取れた一本でした

個人的評価:60点
オススメ度:新しい相棒のオマケ映像とか完全に蛇足だわ



屍者の帝国 予告

2015年9月28日月曜日

心が叫びたがってるんだ。 (2015/日)

監督:長井龍雪
出演:水瀬いのり / 内山昂輝 / 雨宮天 / 細谷佳正 / 藤原啓治 / 吉田羊 / 村田太志 / 高橋李依 / 石上静香 / 大山鎬則 / 古川慎 / 津田英三 / 宮沢きよこ / 野島裕史 / 河西健吾 / 柳田淳一 / 手塚ヒロミチ / 葉山いくみ / 加隈亜衣 / 天崎滉平 / 田澤茉純 / 西谷修一 / 山下誠一郎 / 芳野由奈 / 諏訪彩花 / 東内マリ子 / 木村珠莉 / 榎木淳弥 / 木島隆一 / 久保ユリカ / 前川涼子 / 石谷春貴 / 三宅麻理恵

幼いころにおしゃべりが過ぎたことで両親の離婚のきっかけを作ってしまったと悩む少女、順
しゃべると腹痛をともなうことから無口になった彼女は、クラスメートたちと地域ふれあい交流会の委員に選ばれ・・・

青春映画、青春映画とやかましい宣伝が鼻についたけど、のっけからラブホ描写に良い意味での引っかかりを感じる
確かにメインストーリーの流れはザ・王道なんだけど、そこに変化球のラブホやら恋愛要素のザラつきが良い感じでブレンドしてきて楽しめた
明と暗、というかいっけん混ざりあえないような要素をメインの上にうまくテーマとしてのせることで、単調な青春ものという感じがしなくていい
ちょっとクラスのみんなの受け入れ方がご都合的に流されてる気もして、個人的にはもっとえぐってくる感じでもよかったかな、と思わなくもない
とりあえず泣きや感動とは違うけど、いい話だなと素直に思える一本でした

個人的評価:80点
オススメ度:このキャラ画がダメな人はダメかもしれんね



心が叫びたがってるんだ。 予告

GONIN サーガ (2015/日)

監督:石井隆
出演:東出昌大 / 桐谷健太 / 土屋アンナ / 柄本佑 / 安藤政信 / 根津甚八 / 竹中直人 / 福島リラ / テリー伊藤 / 井上晴美 / りりィ / 松本若菜 / 菅田俊 / 井坂俊哉 / 鶴見辰吾 / 佐藤浩市

19年前に全滅させられた大越組のひとり息子の大輔は、五誠会の三代目の下で働いていた
不遇の大輔のもとへ三代目の愛人とされる麻美からある話が持ちかけられ・・・

なんとも前作の「GONIN」をもっと楽しむための補足、参考書みたいな内容に思えた
強烈な妖艶さや変態さが影をひそめ、それでいて続編を名乗るから、どうしても前作と比べざるえない
前作を意識した独立したひとつのバイオレンス映画、というスタンスなら比較も無粋だろうけど・・・
「GONIN」の映像がところどころに挿入され、この作品から観ても問題ないようにみえて、ちゃんと前のを知ってないとどうにも内容についていけない部分もなんか中途半端
とりあえず「GONIN」という映画があって、それを補う意味でのドラマスペシャルな意味でならアリかもしれん

個人的評価:65点
オススメ度:明神とハエのネタくらいしか印象に残らない



GONIN サーガ 予告