2015年2月23日月曜日

アメリカン・スナイパー (2014/米)

監督:クリント・イーストウッド
出演:ブラッドリー・クーパー / シエナ・ミラー / ルーク・グライムス / ジェイク・マクドーマン / ケビン・ラーチ / コリー・ハードリクト / ナビド・ネガーバン / キーア・オドネル

愛国心から30歳で入隊したクリス
厳しい訓練でシールになり、狙撃手としての能力を開花ささせる

単なる戦争ものだけでもなし、戦争が生み出す闇の深さを描いたドラマってだけでもなし、家族愛や愛国心、クリスという個人だけって作品でもない
どうしても映画について語るのに「~もの」という単純化すると楽なんですが、どうにもこの作品については表現が難しい
ただ個人的に言えるのは「なにか感じられるか否か」ってのが重要な映画だと思う
そして、静寂のエンドロールで思いふけってみたけど、残念んがら私にはなにかを感じられなかった

主な舞台はイラク戦争で、敵の優秀な狙撃手のこともあって仲間を救いたい強い心が主人公をしばりつけ、帰国しても心は戦場に置いてきたまま、けっきょく幾度も戦地へ向かうことになってしまう
そんな流れの中で強い愛国心でけっして心を病んだりしないかにみえたクリスだけど、みたいな話
戦争と心の問題というドラマ性も、戦争じたいのドンパチも両立して描かれ、頭でも目でも楽しめる

戦闘は終始リアル路線の描写で迫力もあり、それでいて戦争万歳ってわけじゃないのはいいですね
ただそんな中でぴょんぴょんアクション映画ばりにスタイリッシュに飛び回る敵スナイパーとか、銃弾スロー演出みたいな部分は作品から浮いてる気がする
あとは終盤の退役後の話を個人的にはもっと尺をさいてやってほしかったかも

とりあえずなにか思ってほしい、感じてほしい、という作りは分かるし、作品に肝となるものが内包されてるのはうっすら分かる
しかしながらホントに個人的に感じ取ることができなかったゆえ、どうにも微妙な表情で「うーん?」と鑑賞後にもやもやしてしまいました

個人的評価:70点
オススメ度:レジェンドも連呼がすぎると安っぽく響くね(それが狙いのか知らんけど)




アメリカン・スナイパー 予告

娚の一生 (2015/日)

監督:廣木隆一
出演:榮倉奈々 / 豊川悦司 / 向井理 / 安藤サクラ / 前野朋哉 / 落合モトキ / 根岸季衣 / 濱田マリ / 徳井優 / 木野花 / 美波 / 岩佐真悠子 / 紺野千春 / 朝倉えりか / 若林瑠海 / 坂口健太郎

亡くなった祖母の家で暮らすことにしたつぐみ
そこへ祖母の知り合いだという見知らぬ男、海江田が転がり込んでくる

あれだろ?少女マンガとかによくある疑似恋愛がやがてマジになっちゃってく感じなんだろ?と、ちょっと趣味に合わないかな、と思いながらも鑑賞
結果としては思った以上にスイーツ感はなく、大人の恋愛ドラマっていうより人情ドラマに近い印象でけっこう楽しめました
さいしょは現代離れした昭和っぽい男臭むんむんの海江田に違和感があったけど、観ているうちにその魅力がクセになってきますね

年の離れた、しかも祖母とのっぴきならねえ関係だった感じの男の海江田と共同生活するようになった主人公のつぐみ
そんなふたりのところにいろんな人物が訪れたりして、関係を引っかき回すうちにつぐみと海江田の仲も良い感じにこねられていく、みたいな作品
ふたりの家にゲストキャラが訪れ、そのエピソードを消化するとともにメインストーリーが進展していく感じですね

そんなわけで主人公たちの甘酸っぱい日常の恋愛話を延々と見せられるわけでなく、問題を抱えたゲストキャラたちが入れ替わり立ち替わりでエピソードを展開していくので飽きません
そんな中で「なんだこいつ」と印象の悪かった海江田のことがじょじょに見えてきて、最後には「トヨエツ惚れるわあ」とならざるえない
まさにトヨエツ劇場といっても過言じゃないかもしれん

逆に言えば古くさいタイプのおっさんである海江田、そのめんどくさいキャラが受け付けないと楽しめないかも
はっちゃくの父ちゃんみたい、というと強烈すぎるし例えとして伝わるか微妙だけど、昭和の遺物的な「良い男だけど、リアルではあんまり関わりたくない」という点に魅力を感じるか否かがポイントになる気がしますね

若い男女が恋愛映画として観るより、おばちゃんたちに受けそうな一本かもしれません

個人的評価:85点
オススメ度:足指ねぶりが印象的だけど、危険な香り漂うフェチ映画じゃないのね




娚の一生 予告

2015年2月22日日曜日

きっと、星のせいじゃない。 (2014/米)

監督:ジョシュ・ブーン
出演:シャイリーン・ウッドリー / アンセル・エルゴート / ローラ・ダーン / ナット・ウルフ / サム・トラメル / ウィレム・デフォー

末期ガン患者のヘイゼルはサポートグループの集まりでひとりの男性ガスに出会う
そして、ある小説をきっかけにすっかり意気投合するのだった

この感動をSNSに投稿うんぬんで鑑賞前の気分を害し、同じ文句で鑑賞後の気分をぶちこわされる、そんな作品でした
といっても劇場で鑑賞したからだろ、って言われればそれまでだけど、こういう押しつけは本当にカンベンしてほしい
内容が日本人が大好きな難病ものだけに、こういう売り方なのは大人の事情として仕方ないのかもしれんけどね
で、肝心の作品としては先が読めまくるのはちょっとアレだけど、生きている登場人物たちがすごく魅力的に描かれていました

末期ガンのヘイゼルと、ガン治療で足を切断したガスが出会い、ヘイゼルの好きな小説についてあれこれやってるうちに良い感じの仲になっていく、と
いつ終わってもおかしくない日々の中、ふさぎこみすぎない明るい青春要素を絡めてくるのはアメリカンらしいかも
かといって負の部分もきっちり描き、軽すぎず重すぎない雰囲気はいい塩梅と言わざるえない

気持ち悪いほどに良い人ばかり出てくるわけでもない登場人物たちもおもしろく、雰囲気とキャラたちのつむぐ物語としては最高に楽しめる
ただ、ちょっと個人的に「こういう展開になるんだろうな」という素人予想が、まさかまんま的中しちゃったストーリーが残念
よくある日本的な難病もの、みたいな感じで「よくある外国映画の難病もの」という個人的な思いこみの枠からはみだしてほしかった

そんな感じで良い作品ではあるとは思うけど、すっごい良かったと言い切れない部分もある一本でした

個人的評価:75点
オススメ度:こんなのでにわかファンの間でOKがはやると思ったら大間違いだ




きっと、星のせいじゃない。 予告

2015年2月16日月曜日

フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ (2015/米)

監督:サム・テイラー=ジョンソン
出演:ジェイミー・ドーナン / ダコタ・ジョンソン / ジェニファー・イーリー / ルーク・グライムス / マーシャ・ゲイ・ハーデン / マックス・マーティーニ / エロイーズ・マムフォード / ディラン・ニール / リタ・オラ / ビクター・ラサック / カラム・キース・レニー

若くして大企業のトップに立つ男クリスチャン・グレイ
アナは友人の代わりに彼のインタビューに訪れ、そのことを機にお互いに惹かれていくのだった

まさにエロスだね、って感じだけの映画
変態プレイの中でも「グレイさん、それでもまだ本気モードじゃないんでしょ?」という秘めた狂気がいつ解放されるのか、ということだけが引きつけられる魅力として最後まで鑑賞に耐えられるけど・・・
原作とか知らないけど、ホントによく分からん作品としか言いようがない
続きをどうするかこの作品の稼ぎしだい、みたいな逃げっぽいラストと思わざるえない

なんか知らんけどアナに特別なものを感じたグレイさんが、向こうも好意を持ってくれてることをチャンスにものにする
で、なんとか自分の性的嗜好をアナに理解してもらおうと、飴と鞭やちょっと自分を抑えたり妥協したりして快楽へ続く道をじょじょに開拓していく、みたいな内容
変態趣味を自覚してるグレイさんが、なんとか嫌われないように丸め込んで快楽マックスプレイしたいんだが、というソフトに攻めるのがもどかしい

逆に言えば、ちょっと前まで優しかった彼が一転して激しい狂気の本性を見せて無理矢理・・・というありがちな展開じゃないのはおもしろい
で、いつブチギレて本気だすのか、ってのをわくわくせざるえないわな
恋愛と快楽という部分も楽しめるけど、やはりふたりの距離間が近づいたり離れたりするだけの展開は眠気を誘う

クライマックスのプレイによるグレイさんの表情は盛り上がるけど、どうにもラストの投げっぷりはどうにも
話じたいも中途半端な部分もあるし、せっかく登場させた家族たちの存在意義も宙ぶらりんな気がする微妙すぎる一本でした

個人的評価:60点
オススメ度:追加料金で黒いのが透けるメガネをください




フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ 予告

悼む人 (2015/日)

監督:堤幸彦
出演:高良健吾 / 石田ゆり子 / 井浦新 / 貫地谷しほり / 山本裕典 / 麻生祐未 / 山崎一 / 戸田恵子 / 秋山菜津子 / 平田満 / 椎名桔平 / 大竹しのぶ

死んだ人の記事を調べ、全国で悼む旅をしている静人
道中で自分を殺してくれる人を探す女の奈義と出会い、ともに旅をすることになる

生きること、死ぬこと、悼むこと、愛すること、そんなことについてどう思うよ?ってことなんだろうけど、ちょっと考えるのがめんどくさくなる作品でした
上記の基本要素に加えて静人の周りの登場人物の話も加わってきて、重いというか詰め込みすぎな気がする
いくつかのエピソードがちりばめられているので、退屈することはないんだけど、全体的にぼやけてる印象

色々あって死者を悼む旅をしている静人さん、そこに死を望む女がパーティに加わることでお互いにちょっとずつ変化が訪れる
という旅での話と奈義のエピソードに加えて、蒔野のエピソードや静人の母のエピソード、さらに細々とした話が折り重なってけっこうカオス
だけど不思議と分かりづらさはないので混乱することはない

ただやっぱりテーマとして中心にどんと構える部分がぼんやりしてる感は否めないかも
生と死、悼みと愛、男と女、親と子、静人の成長、見所がありすぎても逆に困る
さらに静人の母と奈義の存在感の大きすぎっぷりもあって、けっきょく作品として何が伝えたかったのか、という部分を考えるのがめんどくさくなる

なんだかんだ、ようするに何かしらの答えは観た人にゆだねる系なんだろうね、と個人的にテキトーに納得しておくことにします

個人的評価:75点
オススメ度:主人公周りの登場人物、特に大竹さんの印象が強すぎて誰が主人公やら




悼む人 予告

2015年2月15日日曜日

味園ユニバース (2015/日)

監督:山下敦弘
出演:渋谷すばる / 二階堂ふみ / 鈴木紗理奈 / 川原克己 / 松岡依都美 / 宇野祥平 / 松澤匠 / 野口貴史 / 康すおん / 赤犬

刑務所から出たところを襲われて記憶を失った男
記憶を失った男はライブに乱入したことから出会ったカスミに世話になることになる

ココロオドレバのキャッチーな感じに惹かれた作品で、ポチオの人とか誰だろとか思ってたんですが、普通にジャニーズ系の有名な方だったんですね
とりあえずこういう映画を観るとライブハウスに行きたくなる
歌がいいとかそういうことより、バンドによるライブの場の雰囲気の楽しさが伝わってきておもしろかった

記憶をなくした男の素性的な部分では、もう冒頭でクズな感じをかもしだしていることから、作品としてはやはりライブというかバンドというか場の雰囲気を楽しむものなんでしょうね
ポチオの無表情っぷりからサラっと良い声で歌いあげる描写が素敵すぎる
赤犬のおっさんたちのキャラも良い味だしてて、個人的にはヒロインとのあれこれより、もっとバンドメンバーとの絡みが観たかったかもしれん

全体的に楽しげなわいわい感を観ているだけでも満足なんですが、ちょっとポチオの記憶が戻ってからの展開がイマイチ
家族のこととか悪い仲間のこととか描くのはいいけど、けっきょく問題はほとんど解決してないよね、みたいな
歌ってライブして、という部分はホントに楽しめたんだけど、仲間なんかとの絆感もちょい弱い感じがしてもったいない印象な一本でした

個人的評価:80点
オススメ度:もう一生分の古い日記を聴いた気分




味園ユニバース 予告

フォックスキャッチャー (2014/米)

監督:ベネット・ミラー
出演:スティーブ・カレル / チャニング・テイタム / マーク・ラファロ / バネッサ・レッドグレーブ / シエナ・ミラー / アンソニー・マイケル・ホール / ガイ・ボイド / デイブ・ベネット

ロス五輪のレスリング金メダリスト、マーク
ある日、デュポン財閥のマークに呼び出され、彼のもとでトレーニングすることになる

なんか最近ちょっと多い気がする「事実をもとにした物語」、これもそんな作品ですね
当時の報道されていた記憶がなんとなくあるような、ないようなあいまいさの中で鑑賞
わりと静かなトーンの雰囲気の中、登場人物の浮き沈みっぷりを堪能できました
まあ、しょうじき地味だし、すごい魅力がある映画ではないけど、人の感情の推移が分かりやすくて楽しめる

金メダリストなのにアメリカでのレスリングの不遇によって惨めさを感じてるマークさん
そこへ金持ちジョンから誘いがきて金銭面も環境面も期待以上のものになったけど・・・
という中で、それぞれの登場人物がいつわりのもろい絆に気づいたり気づかないフリをしたりして、一喜一憂もんもんとしていく話ですね

マークとデイヴの兄弟の間、そしてジョンと母親の間にあるものを基本に、マーク、デイヴ、ジョンの三人が引かれあったり拒絶しあったりする姿が分かりやすいくらい顔と態度に出ているので難解さはない
誰が悪いのかうんぬんより、どうすればよかったのかという部分を考えて観ているのが楽しい

ただ、キャストのせいなのかなんなのか判断しづらいけど、じゃっかん重厚さが足りないような気がしないでもない
ようするに「映画でやるほどのものか?」という考えがちらつくんですよね

個人的評価:70点
オススメ度:マーク、デイヴ、ジョン、誰かに完全に視点をしぼった方がいいんじゃなかろうか




フォックスキャッチャー 予告

2015年2月9日月曜日

フェイス・オブ・ラブ (2013/米)

監督:アリー・ポジン
出演:アネット・ベニング / エド・ハリス / ロビン・ウィリアムズ / ジェス・ワイクスラー / エイミー・ブレネマン

30年連れ添った愛する夫を事故で亡くしたニッキー
事故から5年経っても引きずっている中、そんな夫とうりふたつな男トムと出会う

中高年のロマンス、いわゆる大人の恋愛模様ってやつなんですが、小難しい部分がなくて分かりやすい内容で楽しめました
けっしてハッピーな内容ではないけど、鑑賞後にどこか「良かったな」と心を洗い流された気分に
展開としては先が読める部分はあるけど、そこは名優の演技で安易さなんかは打ち消されている感じですね

今でも愛情を引きずっている死んだ夫とふりふたつな男に出会い、いい関係になっていく熟年カップル
だけど、なかなか死んだ夫と同じ姿っていうのを言い出せない・・・っていう中でのロマンスもの
ちょっとずつニッキーの嘘が外壁部分からトムにバレ、そのつど嘘を重ねたりとぼけたり大人として飲み込んだりしつつ問題を乗り越えていく、という流れ

ニッキーの隣人やら娘やら死んだ夫を知る存在が近くにある中で、トムとの関係がどんどん深まっていく危うさがおもしろい
いつすべてがバレるのか、その時どうなってしまうのか、ということのほか、ニッキーがトムをどう想っているのかっていうところが作品の求心力になっていて飽きさせない
なんだかんだで色々と事情のあるニッキーとトムが、見た感じは幸せになっていくけど、比例して不安感がつのっていく感じがいいですね

ラスト、この終わり方へのもって行き方も個人的によかった
愛の肖像でグッときて、ラストカットをむかえ、鑑賞後にふたりの関係の顛末について思い巡らされる
だけどホントに分かりやすいよう、観客をうまく導いてくれるオチなんでスッキリした気持ちで席を立てる作品でした

個人的評価:90点
オススメ度:後ろ姿のシャツの襟が立ってたりそうでなかったり、細かいかもしれんが気になるわ




フェイス・オブ・ラブ 予告

チャーリー・モルデカイ 華麗なる名画の秘密 (2015/米)

監督:デビッド・コープ
出演:ジョニー・デップ / グウィネス・パルトロウ / ユアン・マクレガー / オリビア・マン / ポール・ベタニー / ジェフ・ゴールドブラム

アートディーラーのモルデカイは多額の負債に窮地に陥っていた
そこへ盗まれた絵画を取り戻すようMI5のマートランドから依頼があり・・・

まさにハイテンションでハイテンポな痛快アドベンチャーで、良い意味で鑑賞後になにも残らない
なによりもやはりモルデカイのキャラクターっぷりを楽しむ作品
ダメ人間だけどなにかひとつだけスーパー特技がある、というわけでもないマイナス要素の固まりな真なる社会不適合者な主人公が不思議と憎めない
そんな主人公をバックアップする周囲のキャラたちも含め、あまり深く考えずに話の流れに身を任せておけばいい感じですね

金に困ってる主人公が盗まれた絵画を取り戻す依頼を受けるが、実はその画には秘密があって・・・という感じで追いつ追われつ捕らわれつで世界を飛び回って各地で騒ぎをおこしまくる内容
単なるバカ騒ぎものってわけでもなく、そこそこストーリーも練られている感じなので薄っぺらさは見た目よりはない
テンポよくハイスピードで話が進み、展開を理解する間を与えてくれない感じもするけど、しょうじきあまり気にせずに観てれば最終的に説明されるので問題なし

口は悪くプライドだけが高い主人公、身体能力が高いわけでも知略に長けているわけでもない、いざという時に頼りになるどころかピンチに拍車をかけるダメっぷりが逆にほほえましい
どこまでも軽くコミカルなノリなわりに、あっさりと人が死んだりして引っかかる部分もあるけど、キャラたちの掛け合いとスピード感で強引に押し流していく
ホントに細かいことは気にせず、だらだらっと流す感じで鑑賞するのがいいんでしょうね

明らかに続編を作る気まんまんでしょうし、こういうスナック感覚で楽しめるライトなアドベンチャーもたまにはいいものです

個人的評価:80点
オススメ度:まさに普段は映画とか観ない人向けかもしれん




チャーリー・モルデカイ 華麗なる名画の秘密 予告

2015年2月8日日曜日

はじまりのうた (2013/米)

監督:ジョン・カーニー
出演:キーラ・ナイトレイ / マーク・ラファロ / ヘイリー・スタインフェルド / アダム・レビーン / ジェームズ・コーデン / シーロー・グリーン / キャサリン・キーナー

レコード会社をクビになったダンは、ふいに寄ったライブハウスでグレタの演奏に惹かれる
デモテープもない彼女と契約するために、ニューヨークの街でゲリラ収録を敢行することになる

わりと最近、こういう音楽系の映画が目立ってきているような気がして、ジャンル的に好みな私としては嬉しいかぎり
特にこの映画は予告を見た時から、その曲も趣味にあうものだったので期待してました
で、結局は音楽的な要素ももちろんですが、思ってた以上にロマンス的なドラマ部分が多く、普通に映画としても堪能できて満足です

レコード会社をクビになり、家族ともギクシャクしてるダン
恋人デイブの音楽活動を自分を殺してサポートしてきたのに、ほかに女を作られて別れることになったグレタ
そんなふたりが偶然に出会って路上収録という無茶をやるうちに化学変化で素晴らしい曲が仕上がっていく
と同時にそれぞれのロマンスな展開もいろいろと並行して描かれていく作品ですね
恋人や家族とのあれこれってところはありきたりかもしれないけど、収録が進んで良い音楽が形になりつつある中でのドラマの展開は引き込まれるものがある

グレタの曲だけでなく、デイブやほかの劇中曲でホントに音楽的な要素が楽しめます
じゃっかんレコーディングのダイジェスト感はあるけど、ほかの部分で耳を癒してくれるので物足りなさはない
そしてダンとグレタそしてデイブのドラマ部分も見逃せない流れになってくるからいいですね
特にデイブとかネタ&憎まれ対象な存在かと思ってたのに、捨てキャラに終わらないのもいい

音楽もドラマも楽しめて、なにげにサントラもほしくなる一本でした

個人的評価:85点
オススメ度:人はそう簡単に変わらないだろうな、という現実は考えない方向で




はじまりのうた 予告

繕い裁つ人 (2015/日)

監督:三島有紀子
出演:中谷美紀 / 三浦貴大 / 片桐はいり / 黒木華 / 杉咲花 / 中尾ミエ / 伊武雅刀 / 余貴美子

南市江がひとりでやっている洋裁店
先代の作った服の直しを主にやっている彼女に、販売の拡大案をプレゼンしに藤井が訪れるが・・・

感情を押し殺したがんこじじいキャラ、そんな職人気質な主人公かと思いきや序盤からいきなり人間くさいところが描かれて意表をつかれた
キャラクターではなくちゃんと人間を描こうとしているんだよ、と出だしでやってくれたことで一気に観る楽しみが増幅しますね
またいちいち出てくる服が着ている人とセットで素敵に描かれていて、目も満足させてもらいました

話的には先代の仕事にこだわる市江に対し、自分の仕事にチャレンジしようぜっていう後押しがある中で、南洋裁店を訪れる人たちとのドラマが展開する感じ
とにかくまったりゆったり心地よく流れる時間を、心に余裕をもって楽しむ作品ですね
なにか劇的なことが起こるわけでも、派手なドラマがあるわけでもないのに、静かに流れる作品世界を観ているだけでおもしろい

とにかく一見、どこかサイボーグっぽい主人公の市江の人間くささがふいに出てくるのが魅力
ほかの登場人物たちも人と服、それぞれが合わさることで作品の中で生きている感じがしてくる
悪い言い方をすれば地味な印象が強いけど、この世界観にハマれれば目も心も幸福にひたれる時間をもたらしてくれますね

まあ、どうしても公開時期的に「ゴーストライター」を想起せざるえないけど、こういう人間くさい部分が見える方が個人的に好みかもしれん

個人的評価:85点
オススメ度:マジで普通のおっさん&おばちゃんが魅力的に思える夜会のマジック




繕い裁つ人 予告

ミュータント・タートルズ (2014/米)

監督:ジョナサン・リーベスマン
出演:ミーガン・フォックス / ウィル・アーネット / ウィリアム・フィクトナー / アラン・リッチソン / ノエル・フィッシャー / ピート・プロゼック / ジョニー・ノックスビル / ジェレミー・ハワード / ダニー・ウッドバーン / トオル・マサムネ / ウーピー・ゴールドバーグ / ミナエ・ノジ / アビー・エリオット

ニューヨークにはこびこる悪の組織フット軍団を追うジャーナリストのエイプリル
その現場で戦う人間大のしゃべるカメたちに遭遇する

変に気負ったリブート作品が多い中、ホントにシンプルな感じが良いようなそうでもないような微妙な感じの作品でした
街にはびこる悪と戦う正義の味方、それに巻き込まれるヒロイン、ホントにただそれだけ
画面的な派手さはあるけど、しょうじき内容はかなり子供向けっぽい印象が強いですね

悪の組織のボス、シュレッダーとその手下がニューヨークをおびやかしてるんで、カメでニンジャな四人組がひっそり戦うよ
カメさんたちは見た目はちょっとリアル路線で怖い感じだけど、バカなヤングな軽いノリでアメリカンジョーク吐きまくりだよ
ってな感じで子供向けアニメな雰囲気が強い
個人的にこれまでカメたちの色と名前がいつになっても一致しなかったけど、この作品を観てそこら辺がすぐに飲み込めたのはちょっと嬉しかった

悪と正義の単純な戦いっていう部分では、見た目の派手さに集中して「見て楽しむ」ことができます
だけど、やっぱりどうにも話として敵の企みが穴だらけなのが気にならざるえない
計画として実行はできるとしても、ちょっと頭の回る人には余裕で企みなんか見破られるだろ、と

なんかわいわいやってる感のノリはおもしろいけど、ただそれだけって感じなのは物足りないかも
あまりにシリアス方向にかたよりすぎるのもアレだけど、もうちょい重厚さみたいのがあってもよかった気がしないでもない

個人的評価:70点
オススメ度:新車をぶちこわされて軽いノリで流されるのを許せる度量が私にはありません




ミュータント・タートルズ 予告

2015年2月2日月曜日

エクソダス:神と王 (2014/米)

監督:リドリー・スコット
出演:クリスチャン・ベール / ジョエル・エドガートン / ジョン・タトゥーロ / アーロン・ポール / ベン・メンデルソーン / シガニー・ウィーバー / ベン・キングズレー / マリア・バルベルデ / インディラ・バルマ / ゴルシフテ・ファラハニ / ヒアム・アッバス / アンドリュー・ターベット / ダール・サリム

古代エジプト、将軍であるモーゼは王のラムセスとは兄弟のように育った仲であった
しかしある日、モーゼは当時奴隷扱いされていたヘブライ人であると出生を知られ、エジプトを追放されてしまう

モーゼについてのエピソードは知らない、といういつもの通りのにわか知識のままに鑑賞しましたが、なんというか、バトル中心な戦記ものじゃなかったのね
最初の戦いのノリで、兄弟同然に育ったふたりがやがて敵と味方に分かれて剣を交える戦争へ、っていう内容かと思ってたんで
おそらくモーゼについての物語を忠実に描きつつ派手な映像技術で華を添えた、という感じなのかな
個人的にはもっと新解釈でもいいから娯楽に特化したバトルが観たかった

話的にはエジプトを追放されたモーゼが信仰に目覚めて、エジプトからヘブライ人を解放しようと軍を組織しようとしたら、なんか急に神様がキレてエジプトに災いラッシュをかけだした、みたいな
ようするにモーゼがやる気だして立ち上がったとたん、なか神様もやる気だしちゃって、けっきょくモーゼがなにするまでもなく災いの連鎖でエジプトが疲弊していく
それまで観ていて中途半端にモーゼに感情移入してたもんだから、観客サイドとしても神様の天罰無双をぼけーっと見てるだけの傍観者に追いやられます

派手で迫力のある映像は堪能できるけど、やっぱり神様の全自動淘汰っぷりにむずむずする
せっかくモーゼがヘブライ人を鍛えはじめたんだから、史実や物語と違ってもラムセスとバトってほしかったわあ
で、神様は演出担当でちょいちょい力を小出しするバックアップ要員な感じでいてくれればね

そんなこんなで思ってた以上にゴッド要素が大きすぎて、なんとも人間は振り回されてばかりなもやもや感を引きずってしまうのは私の信仰が足りないせいなんですかね

個人的評価:70点
オススメ度:衣装や小道具、美術的なものはえらくかっこよくて素敵




エクソダス:神と王 予告

マエストロ! (2015/日)

監督:小林聖太郎
出演:松坂桃李 / miwa / 西田敏行 / 古館寛治 / 大石吾朗 / 濱田マリ / 河井青葉 / 池田鉄洋 / モロ師岡 / 村杉蝉之介 / 小林且弥 / 中村倫也 / 斉藤暁 / 嶋田久作 / 松重豊 / 宮下順子 / 淵上泰史 / 木下半太 / 中村ゆり / 綾田俊樹 / 石井正則 / でんでん

解散した楽団が再結成することになり、コンサートマスターの香坂たちは廃工場で練習することになる
そこへ今回の指揮者、天道が現れ傍若無人に振る舞うのだった

なあなあでぬるくつながった人たちの中に、社会不適合者な異物が入り込んでかき乱すけど結果として前よりよくなる
いわゆる大家族ドラマとしてはありきたりだけど、やはり演奏シーンの迫力はハンパない
クラシックというジャンルに興味があまりないし、知識なんか皆無にひとしいながら「音楽」として素晴らしいと伝わってくる
ドラマとして、ってより心地よい音楽に心を酔わせて楽しむ作品かもしれん

再結成することになった楽団の中で、ゆるい感じでみんなをまとめる香坂
そこへとことん厳しい指揮者の天道がみんなを一喝してしていく、と
そんな中で不満がわき出て小さな不和が広がり、表だって傷が目立ってくる
だけど、なんだかんだで楽団としてのレベルは上がっていく、って話なんだろという展開が想像できるまんまな作品

いちおうそれぞれのキャラのドラマは描かれるものの、なんか一端みたいなピースだけ提示されて深く掘り下げられることなく話が進む感じ
なんとなく事情は察せるレベルなんで理解できなくもないけど、そこら辺の深い部分は原作を読めってことなんですかね
同様にみんなの絆が深まっていく過程も、結局は天道の超パワーでいつの間にやらまとまってました、みたいな

そんなことより、結局は要所要所である名演奏な心に響く音楽が本当にいいんですよね
クライマックスはもちろん、駅でのシーンとか趣味とか知識の部分を超越して単純に音楽としてグッとくるものがある
思ったよりはちゃめちゃ感は薄くてマジメな作りだけど、ちょいちょい笑えるシーンもある深く考えずに楽しめる娯楽作品でした

個人的評価:75点
オススメ度:夜歩いてたら漁船の上で若い女性がフルートを吹いている場面に遭遇する確率を知りたい




マエストロ! 予告

2015年2月1日日曜日

WILD CARD/ワイルドカード (2014/米)

監督:サイモン・ウェスト
出演:ジェイソン・ステイサム / マイケル・アンガラノ / マイロ・ビンティミリア / ドミニク・ガルシア=ロリド / ソフィア・ベルガラ / マックス・カセラ / ジェイソン・アレクサンダー / ホープ・デイビス / スタンリー・トゥッチ / アン・ヘッシュ

ラスベガスで警備コンサルタントをしているニック・ワイルド
そんな彼のもとに暴行を受けた知人女性から復讐の依頼がある

久しぶりにはっちゃけ痛快ステイサムアクションが期待できる、とわくわくしてた心をガッツリへし折られました
アクションシーンのキレは最高なのは間違いないんだけど、どうにもそれ以外の部分が微妙すぎる
とりあえず主人公の枯れっぷりと作品がマッチしてない気がしてならない
というか、ジェイソン・ステイサムというキャスティングが雰囲気をちぐはぐにしてる感じ

知らんぷりもできない女から復讐の依頼がくるけど、それをやっちまうと組織からみのアレコレで自分の身が危うくなる
という状況の中で枯れかけた主人公が悶々とする、という序盤の展開
まあ、クライムドラマとしてアクション映画に中身を伴わせようっていう意気はわかるが、とりあえずファーストアクションまで延々と待たされるのはどうかと

お約束、定番、手垢まみれ、なんと言われようと早い段階でガツンとくるファーストアクションにより観客の心を掴むのが肝心じゃなかろうか
あえてそれをしないという選択肢、アクション部分以外での辛気くさい主人公の存在、それはそれで雰囲気を楽しむクライムアクションとしてアリかもしれん
だけど、そんな主人公がいかにも肉体派まるだしなマッチョ野郎だから違和感がありまくる

こういう作品にはもっとひょろい感じの男じゃないと似合わない気がするのは個人的な好みの問題ですかね
あえてジェイソン・ステイサムを起用したなら、もっとバカ騒ぎなB級要素爆裂アクションでノリといきおいで押し切る作風にしてほしかったところ
なんというか「あえてこっちの方向で」という試みがマイナスに働いちゃってる気がする一本でした

個人的評価:60点
オススメ度:ちっともワイルドじゃないじゃない




WILD CARD/ワイルドカード 予告

映画 深夜食堂 (2015/日)

監督:松岡錠司
出演:小林薫 / 高岡早紀 / 柄本時生 / 多部未華子 / 余貴美子 / 筒井道隆 / 菊池亜希子 / 田中裕子 / オダギリジョー / 不破万作 / 綾田俊樹 / 松重豊 / 光石研 / 安藤玉恵 / 須藤理彩 / 小林麻子 / 吉本菜穂子 / 中山祐一朗 / 山中崇 / 宇野祥平 / 金子清文 / 平田薫 / 篠原ゆき子 / 渋川清彦 / 谷村美月

夜の0時から朝方まで営業しているめしや
そのマスターの店へは様々な事情を抱えた人々が集まる

しょうじきかなり微妙だったTVシリーズの3期だったんで、ちょっと心配はしてたけど杞憂でしたね
いつものような深夜食堂、そしてちょっと違った角度、しんみりしてたところに絶妙なオチ、3つのエピソードのオムニバスだけど全体を通してのバランスも良かった
まあ、オチにすべてを持ってかれた感はあるけど、3期で物足りなかった部分はじゅうぶんに補充できました

まずは軽いジャブとしていつもの深夜食堂らしいエピソード「ナポリタン」
話じたいはこの作品の導入的なものになっていて、単体でみればイマイチだけど作品世界に引き込むにはじゅうぶん
で、続いてはマスターの昼の顔が楽しめる「とろろご飯」
昼の顔うんぬんっていうより、じゃっかん朝ドラ化してる深夜食堂っていう印象
これで妙にコミカルで明るいBGMでも流れればホントにまんま朝にNHKでやってそうな感じですね

そして最後に被災者とボランティアの複雑な心を描いた「カレーライス」
最初はうざったい被害者ヅラしたストーカーな話と思いきや、色々とこみいっためんどくさい事情が見えてきておもしろい
そこにきてとどめのオチで大満足させてくれるから心憎いわあ

という感じで1期2期のよかったところをすくいとって、ひとつの作品にした感じでシリーズファンとしては満足でき一本でした

個人的評価:85点
オススメ度:名バイプレイヤーたちの宝石箱や




映画 深夜食堂 予告