2015年3月30日月曜日

ジュピター (2015/米)

監督:アンディ・ウォシャウスキー / ラナ・ウォシャウスキー
出演:チャニング・テイタム / ミラ・クニス / ショーン・ビーン / エディ・レッドメイン / ダグラス・ブース / タペンス・ミドルトン / ペ・ドゥナ / ジェームズ・ダーシー / ティム・ピゴット=スミス / マリア・ドイル・ケネディ / フロッグ・ストーン / ジェレミー・スウィフト / キック・ガリー / ググ・バサ=ロー / エドワード・ホッグ / デビッド・アヤラ / ニキ・アムカ=バード / アリヨン・バカーレ / テリー・ギリアム

母や叔母たちとハウスクリーニングの仕事を嫌々つづけるジュピター
そんな彼女に異星人たちの魔の手がせまっていた

重厚なSFを観る覚悟で、深みのある設定を頭に受け入れる心構えだったのに、実際は典型的な派手なだけのザ・ハリウッド映画でした
まさにSFアクションジェットコースターで、熱の感じない爆発、とりあえず撃っとけな銃撃戦、かとんぼのように飛び回る飛行がぎゅっとつまっただけの内容
娯楽と割り切った頭を使わなくていい派手なアクション映画としては普通におもしろいけど、ストーリーとかSF要素を期待していると吠え面かきますね

実は地球は全宇宙を支配する一族によって管理されてて、なんか知らんけどジュピターはそんな王族のDNAを持つ存在だった
で、王家の3人のそれぞれの思惑により、ジュピターが鍵をにぎるってんで巻き込まれる中、騎士役として伝説的な傭兵ケインが大立ち回り
収穫やら、地球人の起源やら、混合種やら設定面ではおもしろいものはあるのに、とりあえず派手さを重視した作りはもったいないかもしれん

とにかく良く言えばテンポがいい、悪く言えば展開が唐突で総集編みたい
練りに練った作品の上っ面だけをすくい上げて切り張りしてる感じ
こんな急ぎ足になっちゃうなら、それこそ無理せずに二部作、三部作にすればいいのにと思わざるえない
カリーク、タイタス、バレムの王族トリオには個々の企みがあり、ジュピターがそれぞれの手に落ちてピンチになってはケインが颯爽と助けに現れる
話的にそんな繰り返しの印象しかない

なんてマイナス要素ばかりでアレだけど、ホントに頭空っぽにして観られる、いかにもなイメージとしての派手なハリウッド映画が好きな人ならじゅうぶんに楽しめる作品だと思います

個人的評価:70点
オススメ度:コメディ要素のことごとくがすべってるのも痛々しい




ジュピター 予告

アンリミテッド (2014/米)

監督:ダニエル・ベンメイヤー
出演:テイラー・ロートナー / マリー・アブゲロプロス / アダム・レイナー / ラフィ・ガブロン

借金に苦しむカムは、ある日、出会った女性と彼女がやっているパルクールに興味をもつ
そして自分でも街の障害を乗り越え、パルクールの練習をはじめるのだった

スケボーを使ってアクロバティックに街を疾走するのを、己の肉体のみで跳んで走ってみたいな感じでやるのをパルクールとよぶというのを初めて知りましたね
とにかくスピード感がこれでもかってくらい堪能でき、けっこうパルクールアクションも満載なので、よくある「最初と最後だけかよ」みたいなガッカリ感はない
作品的に派手派手なスーパーアクション、というところまではいかないけど無理せずそこそこ小粒な感じでまとまってる印象でした

気になる彼女とお近づきになりたくてパルクールに目覚めた主人公
めでたく彼女とその仲間の一員になれたけど、借金問題やらなんやらとめんどくさいトラブルが襲いかかる、と
正念場でうまくいかない主人公の運の悪さからか、なにかにつけて問題が噴出しつつ今日も明日もパルクールな内容
ストーリーはおまけで、街を跳び回る疾走感を楽しむ感じで

せっかく自転車便設定なんだし、しょうじきもっとバイクアクションとの合わせ技があってもよかった気がしないでもないけど、それは贅沢な望みですかね
さらに言えばカーアクション要素も詰め込めば完璧だったかもしれん
まあ、ないものねだりはおいといて、思った以上にアクションシーンが多く、ストーリーも期待してなかったけど小さくまとまってて楽しめました
キャスト的な問題なのか、画的にちょっと微妙さがあるのは否めないけど

なんか主人公があっさり犯罪行為に手を染めるのがアレだけど、うじうじと変な葛藤が描かれるよりパルクールってるのを観てた方が爽快でいいかもしれん
なんの期待もなく、なんとなく観てみたら「意外といいじゃん」と思える系の一本ですね

個人的評価:75点
オススメ度:仲間を含め、人が死んでもあっさり流しすぎだろ




アンリミテッド 予告

2015年3月29日日曜日

牙狼 GARO GOLD STORM 翔 (2015/日)

監督:雨宮慶太
出演:栗山航 / 南里美希 / 桑江咲菜 / 井坂俊哉 / 柄本明 / 泉谷しげる / 黒木桃子 / 影山ヒロノブ

魔獣ホラーを狩る旅を続ける魔戒騎士の道外流牙と法師の莉杏
ホラーを狩り続けたことで牙狼の鎧に邪気がたまり、浄化するためにラインシティの高名な法師のもとへ行くことに

この日のためにhuluで公開されている(2015年3月現在)牙狼シリーズを観て世界観を学習しておきました
TV版の闇を照らす者の続きで、前作のキャラは主人公周り以外は出てこない感じでこの映画単体でも楽しめるよう作ってるようだけど、やっぱり過去を知らないとキツい部分はあるかも
個人的にTV版の闇照よりストーリー性は薄いものの、アクションのスタイリッシュさは大幅にパワーアップしてる印象で楽しめました

新たな街で鎧を浄化する=牙狼になれないという状況下、阿号というホラーを狩りながら人にも危害を加える謎の存在が問題を引き起こし、これに主人公たちが対処するという流れ
まあ、しょうじきストーリーはシンプルで先が読める良く言えば王道展開で、見るべきはやはりアクション部分でしょうね
今作では牙狼モードでのアクションも闇照より見応えがあってよかった

とりあえず序盤の生身アクションから牙狼アクションのスタイリッシュっぷりに、いっきに盛り上がらざるえない
どこかアニメ的というかゲーム的というか、どっかで見た演出っぽさはぬぐえないけどかっこよければいいじゃない、ってね
まじめなシーンではきっちりしめ、日常シーンでは人なつっこい面を持ち合わせる流牙さんはすっかり立派な主人公キャラになったもんでね
敵役の阿号も戦闘形態をふくめ見た目を含めてとても魅力ある存在でした

それでも次のTVシリーズに続けるためなんだろうけど、Dリンゴさんの存在や翔にバージョンアップする描写がどうにも中途半端
ケバブ屋のおっさんが訳知りっぽい態度をみせても流牙たちがあっさり受け入れる流れとか、さすがに観てて疑問を抱く
とりあえず最初っからアクションだけを期待してれば楽しめる作品ですね

個人的評価:70点
オススメ度:やっぱり襟は気になるわな




牙狼 GARO GOLD STORM 翔 予告

2015年3月23日月曜日

ナイト ミュージアム エジプト王の秘密 (2014/米)

監督:ショーン・レビ
出演:ベン・スティラー / ロビン・ウィリアムズ / オーウェン・ウィルソン / ダン・スティーブンス / ベン・キングズレー / リッキー・ジャーベイス / スティーブ・クーガン / レベル・ウィルソン / スカイラー・ギソンド / ラミ・マレック / パトリック・ギャラガー / ミズオ・ペック

夜になると石版の輝きによって展示物に命が宿る自然史博物館
そんな石版の輝きが失われつつあり、解決策を知るために警備員のラリーは仲間たちとともに大英博物館へと向かう

どうせシリーズものだろ、という期待値の低さをみごとに吹き飛ばしてくれて楽しかった
新キャラたちもうまくからんできてたし、なにより小ネタが盛りだくさん
確かにマンネリなところもあるけど、安易な続編になってないのはよかった

石版の輝きが失われつつある中、その秘密を知る大英博物館にいるアクメンラーの父王をたずねてラリーと愉快な仲間たちがドタバタアドベンチャーな作品でした
騎士ランスロットが加入することで冒険感が増してる感じ
でも大英博物館だから、とかイギリスだから、みたいな特別な何かな要素がちょっと薄い気がしないでもない
あと石版の謎とか話の展開じたいとか、最低限の盛り上がりはあるけど、じゃっかん淡泊

せっかく大英博物館を飛び出してイギリスの街中で石版の力が作用して・・・、なんてド派手で大盛り上がりな展開もできたのに劇場でのネタに力を入れる制作陣は嫌いじゃないですね
二役のラーが絡んでくる小ネタも最高におもしろい
いや、まさかマグナムかましてくるとは思わんかった

親子のドラマ描写とかちょっとブレてたり、全体的に薄味なところもあるけど、最後まで飽きさせないアドベンチャー感は楽しめました

個人的評価:80点
オススメ度:魔法が終わらないことを本当に望む




ナイト ミュージアム エジプト王の秘密 予告

映画 暗殺教室 (2015/日)

監督:羽住英一郎
出演:山田涼介 / 菅田将暉 / 山本舞香 / 竹富聖花 / 優希美青 / 上原実矩 / 橋本環奈 / 加藤清史郎 / 知英 / 高嶋政伸 / 椎名桔平 / 葵わかな / 加藤雄飛 / 長村航希 / 高橋紗妃 / 宮原華音 / 荒井祥太 / 志村玲那 / 小澤顧亜 / 市川理矩 / 吉原拓弥 / 大岡拓海 / 菅原健 / 大熊杏実 / 田中日南乃 / 金子海音 / 武田玲奈 / 岡田隆之介 / 三河悠冴 / 高尾勇次 / 佐藤ありさ / 長谷川ティティ

中学校の中でも落ちこぼれだけを集めたクラスの3年E組
そこへ担任としてやってきたタコ型の特殊生物は、生徒たちに1年以内に自分を暗殺してみろと言い出すのだった

出演者のクラスのみんなが楽しそうにやってる感じ、そしてけっこう殺せんせーが画的になじんでるのはよかったですね
暗殺とか言いながらヌルい感じなんだろう、って部分は覚悟してたんで気にはなりませんでした
だけど思った以上にマンガチックというかなんというか、まあ、こういうもんだって飲み込めればいいんでしょうが、それでもとりあえず誰か殺せんせーの存在にもっと冷静に対処しようぜと思わざるえない

落ちこぼれの中学生たちが担任としてやってきたタコ型生物を暗殺するために、日々の授業とあわせて暗殺訓練を受ける
特に深く思い悩むことなく状況を受け入れるノリと、次々にやってくる転入生やら色物な暗殺テコ入れキャラを楽しんだもの勝ちな作品
なんだかんだで生徒&殺せんせーの紹介的な内容って感じ

殺せんせーをナチュラルに映像になじませるために映画化という手段を選んだんだろうけど、明らかに連続TVドラマ向きだよね
山田孝之とかにかぶりものさせてTVドラマでやればいいんじゃねえの、と乱暴な考えがちらつく
ネタバレというか、公式で発表してるか知らんけどキリがいいとこで区切ってるけど未完なんですね、これ

あくまで少年マンガなノリが楽しいっちゃあ楽しい
想像してたよりはるかに子供向けな作風だけに、マジな顔してツッコミ入れる方が野暮なんかもしれんね

個人的評価:70点
オススメ度:子供っぽすぎて痛々しい演出がおっさん的にはキツい部分が多々ある




映画 暗殺教室 予告

2015年3月22日日曜日

妻への家路 (2014/中)

監督:チャン・イーモウ
出演:コン・リー / チェン・ダオミン / チャン・ホエウェン / チェン・シャオイー / イエン・ニー / リウ・ペイチー / ズー・フォン

逃亡の罪をおかしたイエンシーと会うことを禁止された妻のワンイー
再会の機会を逸したまま引き裂かれ、数年後、釈放されたイエンシーが家に戻ってみると妻の様子がおかしいことに気づく

なんだろう、良い映画だったと思うし切ない気持ちにもなるんだけど、予告編以上の内容じゃない物足りなさは否めない
妻に対して現代なら医学的にも個人的にも色々と他に治療の方法が思いつくんだろうけど、時代的にどうにも対処できないもどかしさは強く感じる
なんだかんだ夫婦であることより、母娘という現状の家族を思う主人公の姿も印象的でした

内容としては時代によって引き裂かれた夫婦が、ほとぼりがさめて再会してみたら妻は記憶障害によって夫のことだけ認識できなくなっていた
そんな中で夫があの手この手で自分の存在を思い出してもらおうとするけど・・・ってな流れ
妻との関係とともに娘とのドラマもあって夫婦というより家族の物語という感じ

昔の写真をゲットしたんなら、ちょっと無理はしても姿を似せる努力はしようよ
ピアノのくだりはもっとクライマックスで盛り上がったところでやろうよ
とか、細かい気になる点はあるけど、夫婦の関係が近づいてきては遠ざかるもどかしさが良い

ラストカットもとても切なくて良い映画ではあるんだけど、なんとも「だけど」とちょっと苦言がでてしまう点があるのがもったいない一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:時代背景とかしっかり理解してないと深みを感じられんのかもしれんね




妻への家路 予告

2015年3月16日月曜日

シェフ 三ツ星フードトラック始めました (2014/米)

監督:ジョン・ファブロー
出演:ジョン・ファブロー / ソフィア・ベルガラ / ジョン・レグイザモ / スカーレット・ヨハンソン / ダスティン・ホフマン / オリバー・プラット / ボビー・カナベイル / ロバート・ダウニー・Jr. / エイミー・セダリス / エムジェイ・アンソニー

一流シェフのカールはオーナーの言いなりになったことでネット上で評論家にコケにされる
怒り狂ったカールは今度は新作料理でリベンジしようとするのだが・・・

軽快な音楽にのせて超テンポよく、流れるようなリズムにのってるうちに最後まで鑑賞できました
変にしんみりしすぎない部分も作品を邪魔しない絶妙な加減で楽しめる
最初から最後までカラっとさわやか、良い意味で鑑賞後になにも残らないスッキリ感が最高ですね

腕はいいけど雇われシェフである以上、どうにも好き勝手できない現実に苛立つ主人公
そこへ評論家とのネット上でのケンカ、オーナーとの対立の果てに職を失い落ちるところまで落ちてしまう、と
そんな中で移動屋台やればいいんじゃね、ってことで復活をかけて・・・みたいな内容
評論家やらオーナーやら元妻の元夫やら、そんでもって自業自得な問題からの墜落人生なんだけど、不思議とどんよりイヤな気持ちにならない

なにより作品を盛り上げるBGMのノリノリっぷりが印象的で、展開のテンポよさを際だたせている
そこへホントにうまそうな料理の数々に、肉を欲する男の子の魂が揺さぶられざるえない
主人公の再起の話もいいけど、やっぱり親子のドラマが個人的によかった
やっぱり母性のドラマもいいけど、父性のドラマは熱いものがある
子供にビール?ナイフ?いっしょに働きながら旅?それがなんだってんだ、っていうノリは素敵です

カールが息子のパーシーに埋め合わせをする短いカットとか個人的に印象に残る部分はあるものの、基本的に作品からは元気だけをもらって鑑賞後は気持ちの切り替えがスッキリできる一本な感じですね

個人的評価:85点
オススメ度:ホント、こういう移動屋台に出会ってみたいわあ




シェフ 三ツ星フードトラック始めました 予告

イントゥ・ザ・ウッズ (2014/米)

監督:ロブ・マーシャル
出演:メリル・ストリープ / エミリー・ブラント / ジェームズ・コーデン / アナ・ケンドリック / クリス・パイン / トレイシー・ウルマン / クリスティーン・バランスキー / ジョニー・デップ / ダニエル・ハトルストーン / リラ・クロフォード / マッケンジー・マウジー / ビリー・マグヌッセン / ルーシー・パンチ / タミー・ブランチャード / フランシス・デ・ラ・トゥーア / サイモン・ラッセル・ビール / リチャード・グローバー / アネット・クロスビー

子供に恵まれないパン屋の夫婦のもとに魔女が訪れる
子供を授かりたければ森に入り、4つの物を3日以内に手に入れろと言われ・・・

いや、これは観る人を選ぶ映画かもしれん
ディズニーの、おとぎ話の主人公クラスがつむぐファンタジーだから予定調和な良い子ちゃん作品だろうと思ってたら強烈なパンチをもらった感じ
いいのか、ディズニーがこんなの作っちゃっていいのか、とじゃっかん心配にならざるえない
けど、そんな作風が個人的にはじわじわきておもしろかった

パン屋の夫婦が森に入ることで、シンデレラ、ジャック、赤ずきん、ラプンツェルのストーリーがリンクして有名なおとぎ話が歪んで展開していく、という流れ
最初の頃は「赤ずきんビッチだなあ」とか「こういう風に物語がリンクしていくのか」とか「バカ王子兄弟のバカ歌かよ」と森を舞台にした各キャラの行動が楽しめる
けっこうそれぞれのキャラに黒いところがあって、それも最初は「したたかな面もある」とポジティブに受け入れられるんですが・・・

やっぱり問題は第2部の進撃の巨人編でしょうね
第1部だけだったら誰もが予想してた良い子ちゃんな映画として終わってただろうに
話が終盤になるにつれて「こいつらなに言ってるんだ」という上辺だけというか、偽善というか、なんともいえないもやもやした感情がわいてくる
で、作品がラストを迎えた後、じわじわとわきあがってくるものがあるんですよね

各主人公クラスの行動や言葉だけを追えば良いラストなんだろうけど、さすがに素直に受け入れることはできない
そんな部分がおもしろいと感じられるか否かで人を選ぶかもしれません

個人的評価:85点
オススメ度:安定の色物ポジションのデップさん




イントゥ・ザ・ウッズ 予告

2015年3月15日日曜日

風に立つライオン (2015/日)

監督:三池崇史
出演:大沢たかお / 石原さとみ / 真木よう子 / 萩原聖人 / 鈴木亮平 / 藤谷文子 / 中村久美 / 山崎一 / 石橋蓮司

ケニアの研究施設兼診療所へやってきた医師の島田航一郎
しばらく過ごすうちに内戦による少年兵らを治療する赤十字病院へ応援にいくことになるのだった

まさか世界のMIIKEで感動させられると思わなかった
どうせ三池だろ?さだだろ?ってな感じでなめて鑑賞したけど、意外とこの組み合わせは良い方向に作用してる
温かさの中にもぬるすぎない部分もあり、もうごちゃごちゃ言うことなく純粋に楽しめました

内容としては医師である主人公が、赤十字病院での経験から成長していき、厳しい状況の中で現地の人々から与えられ与えていくドラマですね
単なる万能主人公が厳しい現実を知ったことで奮闘する、というものではなく、じょじょに過去が語られることで島田航一郎として作品の中で厚みがでてくるのがいい
ひとりの人としてそこに本当に生きているように映る、というと言い過ぎかもしれないかな

とにもかくにも主人公の笑顔と真摯でまっすぐな表情の使い分けがよく描けていて、ふざける時ははじける笑顔で、相手が真剣ならまっすぐ受け止める眼差しで接する姿がかっこいい
まさに島田航一郎という人物の映画って感じですかね
総じて楽しんで鑑賞できたんですが、まあ、ちょっと「ここ良いシーンですよ」「ここで感動してください」みたいな部分がみえみえなところが多いのが個人的にじゃっかん引っかかった

とりあえず個人的に思うところの世界のMIIKEっぽくない作品ながら、こういう路線もいいんじゃないスか、と色眼鏡をちょっと外さざるえない一本でした

個人的評価:85点
オススメ度:主人公のメンタルが強靱すぎだろ




風に立つライオン 予告

博士と彼女のセオリー (2014/英)

監督:ジェームズ・マーシュ
出演:エディ・レッドメイン / フェリシティ・ジョーンズ / チャーリー・コックス / エミリー・ワトソン / サイモン・マクバーニー / デビッド・シューリス

物理学で博士号取得を目指す学生のスティーブン・ホーキング
彼は病によってじょじょに筋肉がおとろえ余命2年と宣告される中、恋人のジェーンとともに生きることにするのだった

気がついたら高校野球のスターが、有名アイドルが、人気俳優がどんどん年下になっていく自分の年を実感する中、とうとう偉人レベルの人物物語も身近な人を扱うようになってきました
とはいえしょうじきホーキング博士の功績についてはよく知らなという、ね
ともあれ映画の話に戻すと、これ難病ものでも博士の研究についてのものでもなかったんですね
まさに邦題の通り、博士と彼女の愛の物語でした

余命2年と言われるスティーブンだけど、ジェーンは残りの人生をともに歩むと言ってきかない
最初は戸惑ったものの、スティーブンも彼女と生きていくことを決意する・・・というような流れ
ジェーンはスティーブンを尊重し、順調にふたりで愛をはぐくんでいくんだけど、やっぱり色々と問題がでてくる
そんな愛がどうなっていくかが見所ですね

博士の人物像を知らない私のような人ほど「へえ、そんなことがあったのね」と、すべてを実話と鵜呑みにするわけでもないけど物語として楽しめる
病が進行していくにつれて、どうにも主人公周りの話にシフトしていって博士じたいは悟りきったポジションに置かれるのがちょっと寂しい気がしないでもない
ベタでも博士が自由にならない身体にもっと強烈な苛立ちをあらわし、周りに負の感情をふりまくイヤな奴っぷりをだしてくる様を観たかった

しかし、なんだ、これで博士の内面を描くドラマと研究そのものにスポットを当てたスティーブン・ホーキング映画はあと2本は撮れるかもしれんね

個人的評価:75点
オススメ度:余命2年とはなんだったのか




博士と彼女のセオリー 予告

イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密 (2014/英・米)

監督:モルテン・ティルドゥム
出演:ベネディクト・カンバーバッチ / キーラ・ナイトレイ / マシュー・グード / マーク・ストロング / チャールズ・ダンス / アレン・リーチ / マシュー・ビアード / ロリー・キニア

1951年イギリス、天才的な数学者のアラン
彼はドイツとの戦争中、暗号機エニグマを解読する仕事につていたと語り始める

難攻不落な暗号機に挑む変人天才な主人公、その変わり者っぷりゆえに内部にもいらん敵を作りまくるマンガ的キャラクターが魅力ある
暗号に挑みながら、ちょっとでも正確さがかける言葉のキャッチボールが解読できない様はちょっとイラっとくるほど
物語の主人公ならいいけど、ぜったいにいっしょに仕事はしたくないと言わざるえない

きっちりしすぎてるゆえに人と衝突がたえない主人公が、暗号機へと挑む過程で仲間たちとなんだかんだありつつ、人としても融通がきくようになっていく、という感じの話
まあ、なにはともあれ主人公周りの人たちがよくつき合ってやったよな、とアランの功績以上にそっちを褒めてあげたいわ
途中でなんらかのちょっとした副産物的な功績をあげて、ホントにすっごい奴なんだって主人公のすごさが分かるイベントもこれといってないのに

内容としては解読までの道のりに終始するのかと思いきや、その先の展開もあって飽きることなく鑑賞できたのはよかったですね
情報を扱う戦争という中で、あくまで論理的な思考をせまられる苦悩はよかった
だけど、なんか途中で同性愛うんぬんって流れになって、ちょっと作品がブレてる気がしないでもないのは残念

アランという人間を描く意味でホモセクシャルは外せないんだろうけど、個人的には人かマシンかっていう部分をもうちょいじっくり観たかった

個人的評価:75点
オススメ度:暗号解読するまでが仕事じゃないのね




イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密 予告

2015年3月8日日曜日

あと1センチの恋 (2014/独・英)

監督:クリスチャン・ディッター
出演:リリー・コリンズ / サム・クラフリン / クリスチャン・クック / タムシン・エガートン / スキ・ウォーターハウス / ジェイミー・ビーミッシュ / ジェイミー・ウィンストン

なんでも気楽に話し合える親友のロージーとアレックス
ともに恋愛と進路について語り合う中、いっしょにボストンへ行くことになっていたのだが・・・

思った以上に女性向けな映画ではあったけど、それほど子供っぽさがないので私でも楽しめました
気になる男女どうしながらすれ違いで~、とか予告から読みとれる情報で十分かな、って気もしましたが実際に鑑賞してみてよかったですね
テンポもよくてすれ違いっぷりもハンパなく、ユーモアにも溢れていて最後まで飽きることもなかった

話としては男女の関係のすれ違いの連続ってだけなんだけど、ロージーとアレックスの幸せと不幸のタイミングのかみ合わなさっぷりの波状攻撃がおもしろい
それでいて何度かふたりにも良いタイミングがあるんだけど・・・というもどかしさがなんともいえない
幸と不幸の繰り返しの中でも辛気くさくなりすぎないさじ加減がいいですね

ロージーのつき合う男のクズっぷりも、あまりにあんまりすぎて逆にすがすがしい
というかロージーの明るさと前向きさが男として目が痛くなる部分を緩和してくれていて助かります
アレックスもナイスガイではあるんだけど、やっぱりロージーの存在が大きい作品と言わざるえない

ケイティの恋いとかホテルの最初の客、作品の中でのつながりが秀逸なクライマックスからラストの展開もいい感じで、ロマンス映画不慣れな身でもじゅうぶんに楽しめました

個人的評価:85点
オススメ度:意外とアレなロージーさんの性癖




あと1センチの恋 予告

ソロモンの偽証 前篇・事件 (2015/日)

監督:成島出
出演:藤野涼子 / 板垣瑞生 / 石井杏奈 / 清水尋也 / 富田望生 / 前田航基 / 望月歩 / 西畑澪花 / 若林時英 / 西村成忠 / 加藤幹夫 / 石川新太 / 佐々木蔵之介 / 夏川結衣 / 永作博美 / 黒木華森 / 田畑智子 / 池谷のぶえ / 塚地武雅 / 田中壮太郎 / 市川実和子 / 江口のりこ / 森口瑤子 / 安藤玉恵 / 木下ほうか / 井上肇 / 高川裕也 / 中西美帆 / 宮川一朗太 / 嶋田久作 / 余貴美子 / 松重豊 / 小日向文世 / 尾野真千子

1990年、ある中学校で生徒の死体が発見される
警察は自殺と判断したが、そこへ殺されたむねを記した告発状が届くのだった

おもいっきり前編とうたっているからなんとも言えない部分があるけど、とりあえず事件と裁判の空気感の温度差が気持ち悪い
シリアスで重厚な作りで事件とドラマを描いていたと思ったら、急に非現実的な学校裁判という要素をライトな感じで放り込んでくる違和感
最初っから裁判エンターテインメントな雰囲気で事件を扱ってくれた方がすっきり観やすい気がする

死んだ生徒、その事件に対する噂や個人的感情、不幸な事故というあやふやな要素が錯綜することで、どんどん泥沼にはまっていく感じがいいですね
偶然やらなんやら周りがごちゃごちゃすることで、大切な何かが見えづらくなる「実は真相はすっごいシンプルなんだよ」みたいな作品なのかな
原作は未読といういつも通りのスタンスでの鑑賞なんで、なんとも言えんけど

とりあえず告発状をめぐる問題やら、主人公の抱える問題、マスコミや大人の対応問題という闇の部分を描き、事件そのものをややこしくしていく課程はシリアスで楽しめる
その解決策として「じゃあ、学校裁判で白黒はっきりさせよーや」という流れになってから、「ん?」と引っかかりをおぼえざるえない
中心人物たちは真面目に裁判に取り組もうとしているんだけど、周りはどうみてもノリと勢いとおもしろ半分でやってるようにしか思えんのだわ

重い事件と軽い裁判の差がどうにも気持ち悪い感じを残したまま終わってもどかしい
柏木くんが亡くなりました報告から涙がクラスに伝染するうさんくささ、そこら辺の描写がわざわざあったんだから、後編では裁判のこの軽いノリにもうまい具合に調節されるんかなあ

個人的評価:70点
オススメ度:タイトルにまで浸食する宮部みゆき推しがちょっとウザい




ソロモンの偽証 前篇・事件 予告

2015年3月2日月曜日

機動戦士ガンダム THE ORIGIN I 青い瞳のキャスバル (2015/日)

監督:安彦良和
出演:田中真弓 / 潘めぐみ / 浦山迅 / 銀河万丈 / 藤真秀 / 三宅健太 / 渡辺明乃 / 津田英三 / 恒松あゆみ / 喜山茂雄 / 沢城みゆき / 茶風林 / 池田秀一 / 大塚明夫

ジオン・ズム・ダイクンの死により、その子であるキャスバルとアルテイシアは母とともにラル家の保護を受ける
しかし、ダイクン暗殺の嫌疑のあるザビ家の魔の手が迫りつつあった

張りぼてのMSに紙人形のようなキャラがドタバタしてて、なんともデジタルの悪い部分ばかり目に付く
シリアス路線かと思いきや、できそこないのジブリ映画みたいな中途半端な喜劇のノリで、どんどん退屈が加速せざるえない
話もシャアの子供時代のエピソードかと思いきや、ほぼラル家とザビ家のいさかいばかり
それでも燃える戦闘シーンに期待してたんですが、見事に裏切られました

話的にはダイクンが死んだあとのラル家とザビ家の勢力あらそいの中、キャスバルくんとアルテイシアさんが大人の事情に翻弄されながら脱出するよ、みたいな感じ
大人の世界でのキャスバルの冒険活劇の雰囲気な中で、いっさい冒険も活劇もない作品といった印象ですね
重厚さのないマンガ的なコミカルさは好き嫌いが分かれるだろうな、と

とりあえず比較されるだろうユニコーンとは大きく方向性が違うので注意がいるかも
とりあえず個人的にファーストガンダムのキャラの若い頃コントみたいな、どうでもいい話のお遊びっぽく思える「別にガンダムじゃなくてもよくね?」なのを観たかったわけじゃないのは確か
なんか一話完結じゃなく、次もこの続きらしいんでオリジンへの期待が急降下せざるえない一本でした

個人的評価:40点
オススメ度:既存のファーストの時代、キャラにこだわらなければいいのに




機動戦士ガンダム THE ORIGIN I 青い瞳のキャスバル 予告

ドライブ・ハード (2014/加)

監督:ブライアン・トレンチャード=スミス
出演:ジョン・キューザック / トーマス・ジェーン

元プロレーサーのロバーツは今では自動車の教習をして、妻と冷めた関係の暮らしをしていた
ある日の路上教習中、ロバーツを指名してきた教習生の男ケラーが銀行強盗をおこしてしまう

久しぶりにひどい(褒め言葉)B級映画を観てしまい、なんとも微妙に心が躍ってしまいましたね
ふざけた展開にツッコミを入れつつ、最近ちょっと眠りについていたB級スピリッツを呼び覚まされた感じで楽しめました
ありきたりな巻き込まれ系のカーアクションを覚悟してたけど、まさかロードムービーがはじまるとは思わんかった

おっさんのケラーがおこした強盗に運転手役として巻き込まれた主人公のロバーツが、逃亡しながら自分と妻との問題や事件についてなんとかやっていく感じの内容
まあ、このての作品によくあるように、ストーリーとかはわりとどうでもいい
ロバーツとケラーの掛け合いと先々でのトラブルをまったりツッコミでもいれながら観てればいいんじゃないでしょうかね

序盤のカーアクションから緊張感のない逃亡劇がはじまった時には「ああ、つかみだけで後はクライマックスでチラっと盛り上がって終わりかな」と、ちょっとガッカリ&退屈感がこみ上げてくる
だけど式場のババアがあらぶってきてからが本編のはじまりでした
そっから行く先々でのトラブルとふたりの掛け合いがいちいちバカバカしくておもしろい

クライマックスにしてもFBIと悪徳警官の顛末から、ブッダの話やらテキトーなやる気のなさに個人的に大満足
しょうじき普通に観てたらつまらないのは否めないんだけど、個人的に「なんじゃそりゃ」とB級映画をいつくしむ精神で生ぬるく楽しめた
このアホっぽさをちょっとおもしろいと感じられる人とは、なんかいい感じの映画的バディになれそうな気がしないでもない

個人的評価:70点
オススメ度:いや、普通に観たらホントに普通につまらんからね




ドライブ・ハード 予告

くちびるに歌を (2015/日)

監督:三木孝浩
出演:新垣結衣 / 木村文乃 / 桐谷健太 / 恒松祐里 / 下田翔大 / 葵わかな / 柴田杏花 / 山口まゆ / 佐野勇斗 / 室井響 / 渡辺大知 / 眞島秀和 / 石田ひかり / 木村多江 / 小木茂光 / 角替和枝 / 井川比佐志 / 朝倉ふゆな / 植田日向 / 高橋奈々 / 狩野見恭平 / 三浦翔哉 / 内里奈 / 阿部夏実 / 浜浦彩乃 / 脇内萌 / 春乃きいな / 山崎可穏 / 中村結香 / 田村隆 / 鈴木亮平 / 前川清

長崎の小さな島の中学生ナズナの学校へ臨時の教師としてプロピアニストの柏木がやってくる
合唱部の面倒をみることになった柏木だが、ピアノは弾かないなど冷めた態度に部長のナズナは苛立ちをおぼえる

アンジェラ・アキの歌ありきで小手先の感動ドラマっぽい作品・・・という個人的な失礼な思いこみを叩きのめしてくれましたね
都会派のドライ教師が田舎のまっすぐな子供たちとふれ合ううちになんたら、っていう単純な話じゃなくて楽しめた
というか、柏木先生の話ってより子供たち中心になってる内容で、非常に真面目に丁寧に作られている印象

ピアノを弾かないとか言っちゃうピアニストの教師な都会からやってきた柏木先生
合唱部のコンクールが近づく中、ドライな雰囲気にナズナは反感をもちながらも歩みよろうとするけど、どうにもこうにもって感じの流れ
柏木先生の抱えている問題だけが中心ではなく、ナズナと自閉症の兄を持つサトルのエピソードが加わって単調なものではなくなってますね

田舎の子供に対する「素直でまっすぐ」という幻想や、ちょっと過剰演出すぎる部分が気になるけど、要所要所でグッとくるものがあっておもしろい
ピアノにうつる子供たちの顔の描写とか、ちょっとした部分に印象深いシーンがちりばめられてますね
あとは個人的にはサトルの手紙がやばかった
しょうじきサトルの問題へシフトした作りにしても、じゅうぶんに鑑賞に耐えうる作品が一本できるんじゃないかと思わざるえない

ナズナのエピソードの締めくくり方もどうすんのか、と思ってたらノリだけのやっつけ仕事になってなくて好印象な感じの一本でした

個人的評価:85点
オススメ度:優しさだけに溢れているわけじゃない青春ドラマにおっさんの心も洗われるわ




くちびるに歌を 予告