2015年4月27日月曜日

寄生獣 完結編 (2015/日)

監督:山崎貴
出演:染谷将太 / 深津絵里 / 阿部サダヲ / 橋本愛 / 新井浩文 / 岩井秀人 / 山中崇 / ピエール瀧 / 豊原功補 / 大森南朋 / 北村一輝/ 國村隼 / 浅野忠信

寄生生物を狩ることに執念を燃やす新一
一方、田宮良子たちは市役所を寄生生物のコロニーと化していた

前編のあとアニメ版を全話観たんですが、この完結編は個人的にはシーンのつながりやカット具合がけっこうできていると感じられました
どこかちぐはぐな気がした前編とは違い、それなりに一本の流れになるように構築されている
だいぶ完結編から前面に出てきた役者さんの力に助けられてる面もあるけど、わりと集中が途切れることなく鑑賞できました

すっかり復讐鬼なハンター気分で新一の戦いが続く中、寄生生物たちのグループも田宮良子のやり方に反発する勢力が立ち上がってくる
ってな感じで敵とか味方とか、人とか寄生生物とか、戦いが続く中にもかなりテーマ性を重視した内容になってますね
言いたいこと、やりたいこと、伝えたいこと、という部分がわりと分かりやすく描かれている感じ

個人的に原作マンガはいまだに未読なんで、「問題はそういうことじゃねえし」みたいな、あるべき姿の作品としての「寄生獣」との比較はできません
そういう意味では思い入れや解釈の相違から、いろいろと思うところのある原作ファンの気持ちは察せないので勘弁を
と、逃げの一手を大人としてうっておいて、とりあえずは個人的な感想としては「うまくまとめたね」ということで

ただまとめることだけで力つきてしまい、作品としてそれ以上の感情がわかないのは残念
あと後藤とのファーストバトルとか、ラストとか微妙に盛り上がらないシーンが点在するムラが気になりましたね
役者さんの演技に頼りっぱなしな部分も目立ったけど、個人的には賛も否もなくごく普通に楽しめた一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:終末にディープキスさしてくれる相手は何処にいる




寄生獣 完結編 予告

シンデレラ (2015/米)

監督:ケネス・ブラナー
出演:リリー・ジェームズ / ケイト・ブランシェット / ヘレナ・ボナム・カーター / リチャード・マッデン / ソフィー・マクシェラ / ホリデイ・グレインジャー / デレク・ジャコビ / ノンソー・アノジー / ステラン・スカルスガルド / ベン・チャップリン / ヘイリー・アトウェル

母を亡くし父とともに暮らす心優しい少女エラ
そんな父が再婚することになるが、新しい継母とふたりの連れ子はエラに辛くあたるのだった

うん、まあ、予想通りというかなんというか、よく知るところのシンデレラでした
変に改変したり、制作に冒険することなくオーソドックスに手堅くまとめられてます
主人公に対するいじめシーンは、物語の流れ上で最小限にとどめられている感じで、全体的に優しく明るい印象
悪く言えば優等生すぎて退屈

父が再婚した女性とその娘たちは外見は美しいけど、どうにもこうにも性格がアレだった
そうこうしてるうちに父も他界し、エラに対するいじわるな仕打ちは露骨さマックスになっていく
そんな中でも勇気と優しさを忘れない主人公の健気さと、先の展開は既知ながらも物語の雰囲気を楽しむ作品ですね

内容じたいはホントに「シンデレラ」そのもので、多くを足されも引かれもしてない感じ
それだけだどザ・普通な作品だな、ってだけでなにも心に残るものはないんだけど、個人的に継母の存在が印象深い
口も性格悪くて心が醜い継母なんだけど、ふたりの義姉と違って単純ないじわるキャラじゃないんですよね
その心の醜さ、汚い部分が理解でき、不思議と嫌なキャラに思えない

誰もが容易にイメージできる「シンデレラ」という作品ゆえに、それこそ次の世代へ物語を伝えるっていう意味で鑑賞するのがいいのかもしれません

個人的評価:75点
オススメ度:そりゃガラスの靴に合わせて指とか踵は切らんよな




シンデレラ 予告

2015年4月26日日曜日

王妃の館 (2015/日)

監督:橋本一
出演:水谷豊 / 田中麗奈 / 吹石一恵 / 尾上寛之 / 青木崇高 / 中村倫也 / 安達祐実 / 山中崇史 / 野口かおる / 緒形直人 / 石橋蓮司 / 安田成美 / 石丸幹二 / 山田瑛瑠

ツアーでパリを訪れた小説家の北白川右京は他の客と有名ホテル「シャトー・ドゥ・ラ・レーヌ」に宿泊することになる
しかし、秘密裏に同じホテルの同じ部屋は別のツアー客たちも泊まる予定になっていた

文字通りキャラが立ちまくってる外見な主人公の右京さん
そんな彼を演じる水谷豊無双な作品なんだろうな、と覚悟して観たんですが、思いの外に見た目だけがインパクトのある主人公ってだけの作品でした
個性豊かな多数の登場人物たちが面白い方向へ絡み合うでもなく、プティ・ルイ関連の多重構造が見応えあるほど作用するわけでもなく、全体的に中途半端な気がする
なんかうまく誤魔化すようにまとめてるけど、もっとやりようはあったんじゃなかろうか

同じホテルを内緒で2組の客に利用させて利益を得ようとするツアー会社
そんな思惑を知らぬ主人公たちは観光を楽しむけど、そう物事はうまく運ぶわけはなく…みたいなドタバタ劇
そこへプラスして右京の執筆するプティ・ルイの話が平行して描かれる、と
なんか問題ありげな客たちとツアー会社の人たち、そして進む右京の小説の物語というそれぞれの素材がうっすらと交錯していくぬるい感じがラストまで続きますね

しょうじき個人的にプティ・ルイの話とかどうでもよかった
それよりツアー客たちの抱える問題が噴出いって、化学変化を起こし、カオスになりつつも収束していく布石の敷き拾いを楽しみにしていただけに残念な内容でした
多めな登場人物たちもそれほどガッツリ絡んできたり、めんどくさい問題が連鎖するわけでもないので頭を使わず観てて疲れないって意味では鑑賞に優しい作品と言えなくもない
まあ、なんだかんだ毒にも薬にもならん内容ですね

そもそもホテルが協力する意味とか、いよいよもって最悪な状況になるクライマックスにおいても、なんとなく良い話チックに展開する様とか、いくら鈍い私でも誤魔化されないですから
やるなら太陽と月(ポジとネガ)の相対するうんぬん関連をもっと煮詰めるか、水谷豊無双に振り切った作りにしてほしかった

個人的評価:60点
オススメ度:俺は太陽の子!が脳裏にチラついて仕方ない




王妃の館 予告

龍三と七人の子分たち (2015/日)

監督:北野武
出演:藤竜也 / 近藤正臣 / 中尾彬 / 品川徹 / 樋浦勉 / 伊藤幸純 / 吉澤健 / 小野寺昭 / 安田顕 / 矢島健一 / 下條アトム / 勝村政信 / 萬田久子 / ビートたけし / 清水富美加 / 山崎樹範

最近の義理も人情もない世の中をなげく元ヤクザの龍三
昔の仲間たちに声をかけ、新たに組を立ち上げようとするのだった

良いか悪いかよく分からんけど、びっくりするくらい映画を観た感がない
ふわっとはじまってふわっと終わる淡泊っぷりに、おもしろかったのかと聞かれるのが一番こまる系統の作品かもしれん
とにもかくにも笑いのジャブをひたすら連打されてる感じで、とりあえず誰かといっしょにお気楽に笑いたい人むけかも
なにかしら映画的な意味をもとめてひとりで観るもんじゃないのは確か

昔を懐かしむ主人公たちがバカ騒ぎしながら組を立ち上げ、今時のヤクザを名乗らないチンピラどもとおもしろおかしく対立していく
バイオレンスの、ドラマの、アクションの芯となる骨の部分を大胆にとっぱらったふっにゃふにゃのコメディ
親子の絆とか、抗争とかめんどくさいシリアスな部分はいっさいないですね

そのシーンのノリを最優先に、空気読めない方へ、または空気読みすぎる方へ極端に振り切って描いてる印象が強いですね
基本的に先が読め、笑いのポイントでは丁寧な前フリがある全年齢対応型コメディ・・・なんだけど、やっぱり中高年むけな感じは否めない
冷静に考えればけっこうひどい展開なのに、あくまでふわっとやってのける感じが楽しめるかどうかは人を選ぶ

個人的にはけっしておもしろいとは言えない作品だけど、拒絶感があるほどつまらないってわけでもない不思議な感覚がくすぐったい
小難しいことなんか考えず、ジジイたちのキャラを楽しめればそれでいいだけなんかもしれんね

個人的評価:50点
オススメ度:まあ、観ても観なくても好きにしてOK




龍三と七人の子分たち 予告

2015年4月20日月曜日

ソロモンの偽証 後篇・裁判 (2015/日)

監督:成島出
出演:藤野涼子 / 板垣瑞生 / 石井杏奈 / 清水尋也 / 富田望生 / 前田航基 / 望月歩 / 西畑澪花 / 若林時英 / 西村成忠 / 加藤幹夫 / 石川新太 / 佐々木蔵之介 / 夏川結衣 / 永作博美 / 黒木華 / 田畑智子 / 池谷のぶえ / 塚地武雅 / 田中壮太郎 / 市川実和子 / 江口のりこ / 森口瑤子 / 安藤玉恵 / 木下ほうか / 井上肇 / 高川裕也 / 中西美帆 / 宮川一朗太 / 嶋田久作 / 津川雅彦 / 余貴美子 / 松重豊 / 小日向文世 / 尾野真千子

生徒の謎の死から端を発し、中学生の藤野たちによっておこなわれることになった学校内裁判
開廷の準備が進む中、藤野たちも今回の事件を調べ直し証人を見つけるために行動を開始する

裁判エンターテインメントにもリアルドラマにもなりきれない中途半端な雰囲気だった前作を引きずり、やっぱりそんな微妙な印象のまま後編のスタート
そこへさらに昭和演出と学芸会演技に磨きがかかり、もう個人的に終盤は「まだ終わらんのか」とエンドロールが待ち遠しいだけでしたね
言いたいことは分かるけど、致命的なまでに心に響かない

当事者をよそに、ほとんどの生徒がなんか面白そうじゃね?なノリで裁判の準備が進む中で、なんか知らんけど中学生の超捜査によってごろごろと新情報がでてくる、と
とりあえず1990年って時代よりさらに20年は古く感じる昭和チックな雰囲気と演出が気になる
そんな部分も些細な点で、もうつっこむのも面倒なくらいちっちゃなマイナス要素が積み重なって一本の映画ができあがってる感じ

生徒たちが画面に映らない貴重なシーンだけがゆいいつ安心して観ていられる
ある意味で中学生たちがやる裁判なんてこんなもん的なゆるさはリアルなんだろうけど、どんどん学芸会臭がキツくなってくる体育館法廷でのやりとりは痛々しい
子役たちが奮起する舞台演劇とかならアリだけど、映画作品としてこのデキはどうかと

真相が分かったところで「ふーん」ってなもんだし、ひどい部分ばかり引っかかって感動もくそもありゃしない
たぶん見せ方の問題で、違う形でこの話に触れたならもっと良い方向に感じ取れたかもしれん
かといってもう原作小説読む気もおこらず、個人的に「ソロモンの偽証」にはこれ以上かかわりたくないと思わされた

個人的評価:20点
オススメ度:このあとも続く中学生活中、「でもアイツって・・・」とか蒸し返す奴でてくるだろ




ソロモンの偽証 後篇・裁判 予告

セッション (2014/米)

監督:デイミアン・チャゼル
出演:マイルズ・テラー / J・K・シモンズ / メリッサ・ブノワ / ポール・ライザー / オースティン・ストウェル / ネイト・ラング

音楽院でドラムを叩くニーマン
ある日、フレッチャー教授に見初められ彼の楽団の練習に参加することになる

音楽、ジャズという文系な作品と思わせつつの体育会系、というかバトル映画でした
ラスト約10分がなんかすごいらしいとか、予告からハードル上げまくってくれたけど、期待は裏切られませんでしたね
ドラマも音楽もたかぶりまくりで、もう鳥肌の連続でした

内容としては冴えないドラマーな主人公が、鬼教官の容赦ないレッスンを受けるうちにマッチョになっていくブルーワーカーな感じ
基本はアメとムチでニーマンくんをのぼせさせといてから落とす、という繰り返しなだけなんだけどその過程でどんどん狂気じみてきて素敵

この主人公の傲慢さというか、自惚れの部分が意外なくらい個人的に嫌な気分にならなかったのも楽しめた要因のひとつかも
「女なんかすっこんでろ」ってな感じの野心家なオスは嫌いじゃない
そんなニーマンくんとフレッチャー軍曹とのバトルが熱くて、おっさんの心のタンスの奥にしまっておいた男の子の部分をたぎらせてくれる

欲を言えばどうせならもっとつっこんで恋愛要素を描いてくれれば完璧だったけど、終わりよければすべて良し、あのラストを観せられた日にゃ細かいことをグジグジ言うのは野暮と言わざるえない

個人的評価:90点
オススメ度:ま、作品内では魅力的だけど現実ではこのふたりとお近づきにはなりたくないわな




セッション 予告

2015年4月19日日曜日

ワイルド・スピード SKY MISSION (2015/米)

監督:ジェームズ・ワン
出演:ビン・ディーゼル / ポール・ウォーカー / ジェイソン・ステイサム / ミシェル・ロドリゲス / ジョーダナ・ブリュースター / タイリース・ギブソン / クリス・“リュダクリス”・ブリッジス / ドウェイン・ジョンソン / カート・ラッセル / ナタリー・エマニュエル / エルザ・パタキー / ガル・ギャドット / ルーク・エバンス / トニー・ジャー / ジャイモン・フンスー / サン・カン

日々に刺激不足を感じながらも家族や恋人、大切な人と平穏に暮らすドミニクたち
そこへ弟の仇討ちのために謎の男がドミニクの仲間を襲い始める

次はカーアクションでどんなバカなことやってやろうか、という流れで空がチョイスされたかどうか知らんけど、そもそもすでに「エクスペンダブルズ」系統の普通のドンパチアクションになってました
それが悪いとは言わんけど、いよいよもって車に乗ることじたいが逆に枷になってきてるんじゃなかろうかと思わざるえない
それはそれとして、画面にはえる悪役が登場するだけでここまで盛り上がるもんなんだ、と感じる作品になってました

内容としては主人公たちにボコられた弟の復讐のため、最強ワンマンアーミーが次々にドミニクの仲間たちを襲いはじめてさあ大変、と
そこでこの謎の男を逆に追いつめるために残った仲間を招集して、世界を飛び回っておつかいミッションをこなす
という流れなんですが、追いつめようとする男がいちいちおつかいミッションに乱入してくるんで、もう現場でケリつけちゃいなよ、と無粋なツッコミを入れたくなる
うん、いつものごとくストーリーは気にしない方が吉ですね

なにはともあれ復讐の男、ショウ(兄)君とドミニクの文字通り真っ正面からのバトルに昂ぶりまくる
前回のラストでジェイソン・ステイサムが登場した時点で「おおっ!」と興奮したもんですが、そのキャスティングを上手くいかして作られていて期待を裏切らないものになってました
レティの記憶喪失をここまで引きずらなくてもとか、なんか肉弾戦の方が印象に強く残って別にワイルド・スピード冠しなくてもよくねとか、色々おもうところもあるけど個人的にはジェイソン・ステイサムの魅力でじゅうぶん楽しめた

いつもなら次作に続けるおまけ映像も空気を読んでたし、ラストシーンはシリーズを観てきた者としてやっぱり感慨深いものがりました

個人的評価:80点
オススメ度:東京在住のおっさん顔高校生ショーン君は仲間にならんのか




ワイルド・スピード SKY MISSION 予告

ドラゴンボールZ 復活の「F」 (2015/日)

監督:山室直儀
出演:野沢雅子 / 中尾隆聖 / 山寺宏一 / 森田成一 / 堀川りょう / 佐藤正治 / 鶴ひろみ / 田中真弓 / 古川登志夫 / 草尾毅 / 緑川光 / 皆口裕子 / 中川翔子 / 伊藤美紀 / 千葉繁 / 玄田哲章 / 山田栄子 / 斎藤志郎 / 中井和哉 / 百田夏菜子 / 玉井詩織 / 佐々木彩夏 / 有安杏果 / 高城れに

フリーザ軍の残党により、地球のドラゴンボールが利用され死んだはずのフリーザが復活してしまう
よみがえったフリーザは復讐をなすために、トレーニングをはじめるのだった

悟空とかどんどんチートで強くなってるけど、ここらでちょっと遠慮なくぶっ殺せる相手をぶつけて本気パワーを見せようじゃねえの、って感じの映画でした
内容じたいもオールドファン向けな部分もあり、やっぱり単純な絶対悪の敵とバトルも燃える
まあ、でもバトルばっかで中身はないのは否めない

復活したフリーザさんがトレーニングという努力を生まれて初めてして、地球と悟空たちに復讐しようってだけの話
しょうじきストーリーとかどうでもいい感じで、原作のフリーザ編あたりに心躍らせていたオールドファンに向けて「フリーザ様復活祭」的なイベント作品な気がしないでもない
ホントにバトル中心の内容だけど、戦いが続いてダルくなってきたころに、ここぞとコミカルなシーンを差し込むことで飽きないようにはできてますね

分かりやすいくらいプライドの高いザ・悪な感じのフリーザ様は魅力的
いまごろ復活しても悟空の好敵手になるかいな、みたいな小物感を漂わせつつ、なんだかんだでみじめに感情を露わにする無様さがたまらん
ゴールデンな趣味とかチンピラっぽさが素敵すぎる

なんだかんだバトルシーンじたいも派手でかっこいいんだけど、ここが強烈に印象に残ったという名シーンになりうる決めポイントがなかった感じなのは残念かもしれん
まあ、とりあえず懐かしのキャラたちがどっかんどっかん戦う姿を観て「ほへ~」となれたから良し

個人的評価:70点
オススメ度:フリーザ様、なにげにかませ犬ポジション




ドラゴンボールZ 復活の「F」 予告

2015年4月15日水曜日

ジヌよさらば かむろば村へ (2015/日)

監督:松尾スズキ
出演:松田龍平 / 阿部サダヲ / 松たか子 / 二階堂ふみ / 片桐はいり / 中村優子 / 村杉蝉之介 / 伊勢志摩 / オクイシュージ / モロ師岡 / 田中仁人 / 宍戸美和公 / 近藤公園 / 荒川良々 / 皆川猿時 / 松尾スズキ / 西田敏行

かむろば村へ引っ越してきた高見
お金を使わずに生活するという無茶に村長たちもなめていると一蹴するが・・・

ライトなバカ騒ぎコメディっぽい皮をかぶったシュールで普通じゃない映画でした
こりゃ好き嫌いが大きく分かれるでしょうね
個人的には現実と虚構、シリアスとコメディのバランスの気持ち悪さが逆におもしろく感じられたけど・・・
まあ、とりあえず序盤、神様うんぬんの描写に嫌な予感がした人は合わないかもしれん

金を使わないために田舎で自給自足しようって主人公だけど、なんだかんだ田舎の現実を思い知りながら村人にじょじょに受け入れられ自身の辛い過去と向き合っていく
という内容を想像してたんですが、そんなありきたりな普通の作品じゃなかった
お金アレルギーという部分、というか高見についてはそれほど深く掘り下げられず、村での細々とした騒動と村長の話がメインでした

金が触れない関連の笑い要素の基本みたいなものは早々に消化し、あとはひたすら村でのドタバタ騒ぎが続く感じ
話が進むにつれて村長がどんどん前面に出てきて、さらに神様の存在感やら、村人たちの強烈なキャラクターが主張しまくり高見の影が薄くなる一方ですね
それでも時折、思い出したように高見の出番はあるけど、お金アレルギー設定ていどでは村では目立たない

この映画ってけっきょくなんなんだ、っていうのは説明しづらいんですが、とりあえず普通の笑ってちょっと心あたたかくなる、そんなよくあるパターンを期待しない方がいいかもしれません

個人的評価:80点
オススメ度:この独特のクセが人を選びまくるわな




ジヌよさらば かむろば村へ 予告

マジック・イン・ムーンライト (2014/米・英)

監督:ウッディ・アレン
出演:アイリーン・アトキンス / コリン・ファース / マーシャ・ゲイ・ハーデン / ハミッシュ・リンクレイター / サイモン・マクバーニー / エマ・ストーン / ジャッキー・ウィーバー / エリカ・リーセン / キャサリン・マコーマック / ジェレミー・シェイモス

一流の奇術師ながら皮肉屋で合理主義なスタンリー
友人のたのみで霊媒師を名乗るソフィのトリックを暴いてくれと頼まれるのだった

古き良き時代のロマンスものの名画風な作品でしたね
雰囲気を楽しむもよし、スタンリーとソフィのロマンスを楽しむもよし、みたいな感じで
ただ奇術師VS霊媒師っていう腹のさぐり合いがメインではないんで、そこらを楽しみにしすぎるのはアレかもしれん
ソフィ関連の事情もわりと初期のうちにうっすら感じ取れるんで

この世は目に見えるものがすべてですから、という男が霊界うんぬんいう女と出会い、インチキを見破ろうとするうちに・・・みたいな話
スタンリーとソフィ、ふたりの頭と心の変容がけっこういいテンポで描かれ、カップルとしてくっついてるようで微妙にズレてる点がおもしろい
男性優位な感じの描写がいまの時代では引っかかるけど、作品内&作風の設定としてそういうもんだと受け入れることはできる

まあ、とにかくスタンリーのがっちがちな頭と心が影響するソフィとの思いのズレが小粋な感じですね
こんな簡単にうまくいっちゃうの、と思わせつつの二転三転っぷりがおもしろい
ただ、ちょっとセリフがくどいっていうか、そこまで説明してくれなくても分かるから、みたいな部分で長々と話されて眠気を感じざるえない

どこか昔の映画みたいで懐かしい、けど一周まわって新しさも感じられるザ・素敵な作品でした

個人的評価:70点
オススメ度:どうせならモノクロ、フィルムノイズ演出で・・・っていうのはあざとすぎるか




マジック・イン・ムーンライト 予告

2015年4月12日日曜日

バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) (2014/米)

監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
出演:マイケル・キートン / ザック・ガリフィアナキス / エドワード・ノートン / アンドレア・ライズボロー / エイミー・ライアン / エマ・ストーン / ナオミ・ワッツ / リンゼイ・ダンカン / メリット・ウェバー / ジェレミー・シェイモス / ビル・キャンプ / ダミアン・ヤング

その昔、バードマン役として映画スターだったリーガン
新たに演劇界に進出し、舞台の上演がせまりつつあった

しょうじき予告編からの情報以外はシャットダウンして鑑賞したんですが、おもしろいっていえばおもしろいし、だからなんだってんだと言えばそれだけの印象の作品でした
なんというかたえず作り手の「どう?このシーンとかどう?」みたいなチラ見されてるような視線を感じる
それをふくめて楽しめる人には楽しめるし、バカにされてるようでイラっとくる人には嫌悪感しかないかもしれん

内容的にはかつての映画スターで、ちょっと落ち目のリーガンさんが演劇界でもういちど花咲かせようとするけど、なんともトラブルが続く・・・みたいない感じ
ワンカットで進行する作品の雰囲気からも「自称映画好き」を手玉にとるきまんまん、と思えなくもない
超能力演出とか、数々のトラブルとか、けっきょくのところ「どういうオチにもっていくのか」という点でラストまで鑑賞の気力が続く

これは革新的な素晴らしい映画で、そこに内包されたテーマはとても深い
ってなぐあいに批評家なら持てる知識をフル稼働して小難しい言葉で解説するところだろうけど、にわかな私にとっては「小汚いおっさんがあたふたしてるのがおもしろいね」レベルの言葉しか思いつかない
またはけっきょくなんだかよく分からないね、と乱暴に投げ捨てるのもアリかもしれん

どういう感想を抱いても「へえ、キミはそう感じたんだね」みたいな作り手の嫌らしさをおぼえずにいられない
だけど個人的には「そういう映画」として受け入れ、じゅうぶんに楽しめた一本でした

個人的評価:80点
オススメ度:役者ってホントにめんどくさい生き物だな




バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) 予告

2015年4月6日月曜日

案山子とラケット 亜季と珠子の夏休み (2015/日)

監督:井上春生
出演:平祐奈 / 大友花恋 / 星田英利 / 小市慢太郎 / 関めぐみ / 久保田磨希 / 佐藤正宏 / 齋藤隆 / 駿河太郎 / 久松信美 / 藤井さやか / 斉木しげる / 草村礼子 / 柳葉敏郎

東京から佐渡島へやってきた亜季は島で友達になった珠子とソフトテニスの試合を見に行く
そして、経験者の亜季は珠子に頼まれ、ソフトテニスを教えることになるのだった

得意分野がありなが自ら封印してる都会育ちの主人公が、田舎町にやってきて出会った人たちの影響でうんぬん・・・というパターンのソフトテニス版
そんな感じなんだろ、と軽い気持ちで観たらいつの間にやらけっこう作品にのめり込んでいる自分がいました
ありがちな設定ではあるんだけど、とにかく鑑賞後にホントに後味さわやかな気分になった

珠子にソフトテニスを教えることになった亜季、そんなふたりは練習場所をなんとかするため、草むしりからのコート作りをはじめる
という流れなんだけど、亜季が思いの外に前向きで明るい性格で、ソフトテニス&過去に対する傷を抱えたやさぐれガールなキャラかと思ってただけに意外でした
ソフトテニスを教えることについても、田舎暮らしについてもわりとポジティブな対応で作品的などろどろ感は薄い

島の情景やら人物の描写やら、どこかマンガのひとコマのような撮り方な印象を受けた
そんな点が最初こそちょっと鼻につく画作りと思ったけど、良い意味での作品のクセとして最終的にはプラス要素に感じられました
そんな作品世界でふたりの少女がきゃっきゃとソフトテニスと夏休みを楽しむ姿を観ているだけでも楽しい

だけど、やっぱり個人的には裏主人公コンビ(?)な小田切父とリンジー青木さんの存在が大きいと言わざるえない
下を向いていたおっさんが顔を上げ、やがて子供みたいに笑顔になっていく姿に妙に心を洗われる
それぞれが抱えた問題やら暗くなる要素はひかえめで、とにかく子供たち&おっさんたちによってスッキリさわやかな心持ちにしてもらえる一本でした

個人的評価:85点
オススメ度:なんとも前向きな気分に、というか体を動かしたくさせられる




案山子とラケット 亜季と珠子の夏休み 予告

エイプリルフールズ (2015/日)

監督:石川淳一
出演:戸田恵梨香 / 松坂桃李 / ユースケ・サンタマリア / 菜々緒 / 戸次重幸 / 宍戸美和公 / 小澤征悦 / 大和田伸也 / 寺島進 / 高橋努 / 浜辺美波 / 山口紗弥加 / 高嶋政伸 / りりィ / 岡田将生 / 生瀬勝久 / 千葉雅子 / 小池栄子 / 窪田正孝 / 矢野聖人 / 浦上晟周 / 千葉真一 / 古田新太 / 木南晴夏 / 滝藤賢一 / 富司純子 / 里見浩太朗

エイプリルフール、嘘をつき嘘をつかれる人々
そんな嘘がからみあって大きな騒動へと発展していく

こんだけちらかった状況をどれだけうまく処理するか、っていう部分で不安はあったけど、まあ、こんなもんかなという感じで楽しめはしたのでOK
多重構造のエピソードが「なるほどなー」と一本につながる、というほどじゃないにしても各エピソードが無理して力技で関連付けられるよりは良かったかもしれん
とりあえずゆるーくリンクした話のギミックより、バカ騒ぎでちょっといい話が楽しめたのでそれなりに満足

ある人は嘘をつき、ある人は嘘をつかれ、嘘と分かって騙され、と様々な登場人物たちがいくつかのエピソードを同時進行でつむいで騒動がおきるのを楽しむ感じの作品
それぞれにリンクする部分はあるし、ちょっと「へえ」と思える接点もあるけど、基本はゆるいつながりですね
嘘の数々でおこる騒ぎ、そしてそんな嘘の裏側にある事情がおもしろいんで、あまり細かいことは気にしない方がいいのかもしれん

しょうじき単発では弱いエピソードを寄せ集めた感はあるし、賑わせ要因な彩り話もあるけど雰囲気は楽しめる
もうちょっと削るとこは削って舞台でやればおもしろいんじゃないか、と個人的に思いましたね
オチとしてもそれぞれいい話におさまって、それはそれでいいんですが、なんというか感動の演出が致命的にヘタな気がする
特に宮内庁夫婦(?)のしめ方はどうにかならんものかと言わざるえない

なんだかんだで個性的な登場人物たちによるバカ騒ぎ、というシチュエーションをまったり楽しむだけならライトなコメディ作品として満足できる
あまり多くのからくり要素を期待しちゃいかん、ということで

個人的評価:80点
オススメ度:贅肉の多い三谷作品、みたいな印象




エイプリルフールズ 予告

2015年4月5日日曜日

PERSONA3 THE MOVIE #3 Falling Down (2015/日)

監督:元永慶太郎
出演:石田彰 / 豊口めぐみ / 鳥海浩輔 / 田中理恵 / 緑川光 / 能登麻美子 / 坂本真綾 / 緒方恵美 / 中井和哉 / 田の中勇 / 沢城みゆき / 神奈延年 / 小野坂昌也

最後の12体目のシャドウとの戦いに挑む理たち
そしてすべてに決着がついたかと思われたが・・・

いよいよ物語的に真相が見え、新展開の幕開けとなるエピソード
なんですが、話そのものっていうよりラストへ向けての下準備とキャラの成長の描写がメインになってましたね
序盤から「12体目との最終決戦から真相が分かるまでの描写がこれだけ?」と不安になる部分はあったけど、その割愛具合が鑑賞後には納得できた
ただ話をなぞるだけじゃない、内容に熱を感じる作りになってました

これまでの戦いの真相が語られる中、失うことの痛みによって仲間をも遠ざけるようになった主人公
そこへみょうに人なつっこい綾時が転入してきて・・・ってな流れで、日常、修学旅行、そしてストレガとの戦いを通して精神的な成長を描いてます
12体目との戦い、これまでの戦いの真相という盛り上がり要素を抑え、キャラの内面的な描写とドラマに重きをおいた感じの作り

話的な急展開は最低限に、ちょっとスピードを落としてじっくりと主人公周りを描いているのが好感がもてますね
話のすべてをあまさず均一になぞるのもいいけど、端折る所とじっくり描く所があってもいいし、この作品ではその選択のバランスがよくできていると個人的には思えました
修学旅行なんかのコミカルな部分をカットしないで、ノリノリでやってくれたのはグッジョブですね

しょうじき順平より明彦パイセンの葛藤をもっとやってほしかった気もするけど、まあ、これはこれでって感じでラストへの期待が高まらざるえない作りな一本でした

個人的評価:80点
オススメ度:そりゃ駅の上から飛び降りてくる人物と話す気にはならんわ




PERSONA3 THE MOVIE #3 Falling Down 予告

翠星のガルガンティア めぐる航路、遥か 後編 (2015/日)

監督:村田和也
出演:石川界人 / 金元寿子 / 水瀬いのり / 茅野愛衣 / 阿澄佳奈 / 伊藤静 / 大原さやか / 小西克幸 / 恒松あゆみ / 杉田智和 / 櫻井孝宏

物資の補給と慰安をかねて竜宮城へと向かう船団ガルガンティア
そんな中、レドをめぐりリーマが暗躍をはじめる

ガルガンティアの真エンディングの後編ってことで、やっぱりロボ的なバトルがあると盛り上がってよかったですね
新たな展開、作品世界の広がりをにおわせながら、登場人物たちのその後というか、これからの指標をしめしたいい最終回でした
どうやらアニメとしての続編はないようなので残念ですね

話としては前編のラストであやしい動きを見せ始めたリーマが本格的に行動を開始し、そこにレドが関わってきていて~、みたいな感じ
船団としても陸の動きや戦闘マシンの情報が入り、ここにきて世界が広がっておもしろくなってくる
後編はレドたちの話というより、作品世界そのもののエピソードという印象が強いかもしれん

各々の登場人物の歩む道やら、陸の情勢やらTVシリーズからつきあってきての楽しみはじゅうぶんある
だけど、ちょっとキャラが棒立ち口パクな省エネ動作っていうアニメ的な部分で引っかかる場面が多い
別にひとりしゃべって動いてるからって、周りのみんなおとなしく棒立ちしてることないんだよ、と

あとは個人的にリーマというキャラの容姿に慣れずじまいでした
作品の画的にもうちょっと年齢層が高いキャラを配置してほしかった気がしないでもない
まあ、気になる点はあるものの、TVシリーズからの流れにおけるガルガンティアという作品をしめるには良い感じだったと思います

個人的評価:70点
オススメ度:こりゃ続編の小説に期待するしかねえ




翠星のガルガンティア めぐる航路、遥か 後編 予告