2015年5月31日日曜日

Mommy (2014/加)

監督:グザビエ・ドラン
出演:アンヌ・ドルバル / スザンヌ・クレマン / アントワン=オリビエ・ピロン / パトリック・ユアール / アレクサンドル・ゴイエット

ダイアンは施設で問題を起こした行動障害の息子スティーヴを引き取り、ともに暮らす新生活をはじめる
そんな中、ひょんなことから隣人のカイラと親密になる

観ていてホントに不安になる要素しかないのに、不思議と作品の世界に引き込まれる
使われている楽曲のリンクっぷりも秀逸で、「映画だから」と根っこの部分では分かっていながら、登場人物をそこにいる人として現実の延長として感情移入してしまう没入感がすごい
なんとも問題ある、というかクセのある人物たちのオンパレードに酔いしれざるえない

キレたらヤバい息子とどうにも頼りない母親
問題ありまくりな日々を送るけど、そんな母子の愛はとても深い
という愛とかラブとかうんぬんいうテーマの映画は数多いけど、この作品におけるそこら辺の描写は素晴らしい
母子の関係をこえた、みたいな背徳的な要素すら軽く超越してるレベルですね
そこにカイラが加わることでの関係の化学変化もおもしろい

とにかく観ていてすっごい不安になる部分が逆におもしろく、特にスティーヴがからんでくることで「いつ事態が急転直下するのか」とハラハラ楽しい
それでいて安定して明るい兆しがかいま見えるシーンは観ていて気持ちも晴れるし、シーンと楽曲の合わせ技に心動かされまくり
狙い通りと分かっていてもスティーヴがスクリーンを開くとことか自然とたかまる

鬼気迫る演技に思わず体がスクリーンに引っ張られる一本でした

個人的評価:95点
オススメ度:変にピュアピュアしてないのがまたいいですね




Mommy 予告

あん (2015/日・仏・独)

監督:河瀬直美
出演:樹木希林 / 永瀬正敏 / 内田伽羅 / 市原悦子 / 水野美紀 / 太賀 / 兼松若人 / 浅田美代子

どら焼き屋をやっていてる店長の店に、70を越える徳江がアルバイトをしたいとやってくる
店長はいちどは断ったものの、徳江の作るつぶあんの味に感動し雇うことにするのだった

分かっちゃいたけどかなり純度の高い樹木希林無双な作品でした
徳江というキャラ、樹木希林という女優の魅力が掛け合わさって感動する塩梅になってましたね
そういった意味では希林アレルギーのある人にはどうにも嫌悪感に耐えられない映画かもしれません
ハンセン病を扱う内容だけど、気が滅入るような直接的な差別要素はうすくて、けっこうコミカルな笑えるシーンが多くて楽しめました

どら焼き屋の求人へやってきたのは70過ぎの手がちょっと不自由なおばあちゃん
そんな店長とおばあちゃんのあん作りから始まる、微笑ましい日常とどら焼き店のドラマですね
とにもかくにもチャーミングな徳江の行動や言動がおもしろおかしくてたまらない
無骨で陰のある店長との名コンビっぷり、まさに塩とあんのバランスが最高でした

そんな登場人物の魅力だけでもっているわけじゃなく、なにげない仕草や言葉がさりげなく伏線になってる構成もいい
全体的に言いたいこと、描きたい部分は分かりやすくて、扱ってるテーマやらドラマが重すぎないから観ていて疲れない
徳江の軽い口振りの重い言葉にグッとくるし、安易な表現だけど笑って泣ける、どっしりした安定感のあるドラマな一本でした

個人的評価:90点
オススメ度:どら焼き職人の朝は早い(待ち時間多めだけどね)




あん 予告

2015年5月25日月曜日

チャッピー (2015/米)

監督:ニール・ブロムカンプ
出演:シャルト・コプリー / デブ・パテル / ニンジャ / ヨーランディ・ビッサー / ホセ・パブロ・カンティージョ / ヒュー・ジャックマン / シガニー・ウィーバー / ブランドン・オーレ

ヨハネスブルグで導入されたAI制御のロボット警官隊
その制作者でるディオンは意識を持つAIの開発に成功し、それを廃棄処分のロボットにインストールしようと試みる

個人的には「エリジウム」の雰囲気も好きだけど、今作は大人の事情か知らんけどだいぶ「第9地区」に近い作りでしたね
それはそれとして、やっぱりこの監督は鑑賞前に想像してる上のものをこともなげにサラっと描いてくるから敬服するわ
テーマ性強い作品と思わせといてジャンクなB級要素を入れてくれるから非常に観やすくて、今作も存分に堪能させてもらいました

心を持った機械のチャッピーをめぐって、まだ子供な彼を街のワルと創造主のディオンが教育していく、という感じで善悪優しさ厳しさもろもろをカオスに教えていく流れ
善悪とは、人とは、機械とは、魂や意識とは、みたいな予告からくみとれる想像にやすい展開ながら、チャッピーの成長っぷりの描写が微妙に斜め上をいく感じでおもしろい
単純にチャッピーがロウヒーロー、カオスヒーローどっちに傾くんだってだけじゃない

心を持って成長を続けるロボット、なんだけど途中から人と機械の区別とかどうでもよくなってくる
ホントにチャッピーという存在の話として、ロボットだからチタンの体だからとか気にならないで鑑賞している自分に気づく
そんなチャッピーの成長と変容の話としての完成度だけでもじゅうぶんなのに、ディオンたちについてもこともなげにサラっと描いてくれるから褒め言葉として小憎らしい

ナニかが徐々に、それでいて大きく変わっていくものを撮らせたら、こっちの想像を越えるものを描いてくれる
このセンスで次も楽しませてもらえたら嬉しいですね

個人的評価:95点
オススメ度:規制丸わかりなシーンのつぎはぎだけは残念




チャッピー 予告

リピーテッド (2014/英・仏・スウェーデン)

監督:ローワン・ジョフィ
出演:ニコール・キッドマン / コリン・ファース / マーク・ストロング / アンヌ=マリー・ダフ

記憶障害のクリスティーンは夫のベンに支えられて暮らしていた
しかし医師からの電話でベンが嘘をついていることを知ってしまい・・・

定期的に作られてる感じな記憶障害主人公もの、真相に向かって徐々に情報が開示される作りは安定のおもしろさをうむのかもしれないですね
そして個人的にどうしてもこのての映画を観ると想起せざるえないのが「フォーガットン」という作品のある意味での偉大さ
この映画も終局に向けてのおもしろさは超絶安定しているものの、やはりどこかパンチが足りない感は否めませんでした

記憶障害で翌日に目が覚めるとある地点での過去まで記憶がリセットされてしまう主人公
それは事故のせいだと説明する夫のベン
それは事件のせいだと説明する医師のナッシュ
そんな中で記憶障害と戦いながらカメラで記録をとって、過去を少しずつ取り戻して真実を知っていく話
さっきまで信じていた人が次の瞬間には怪しくなり、逆にちょっと前まで怪しんでいた人がホントは信じられる人だと思えてくる、そんなめまぐるしさがおもしろいですね

誰を信じたらいいのか、なにが本当なのか、それとも全部ウソなのか、過去を取り戻すほどに真実と虚実が分からなくなってくる
しょうじきこういう記憶障害ものではお約束だと分かりつつも、真相に期待して色々と疑いの視線で観ている楽しさはある
この作品でもそこら辺は堅実に作られていて飽きることなく
ラストまで鑑賞できました

しかし、ネタバレはしないですが、どうにもオチのパンチ力がイマイチな気がしてならない
なんというか、よく今までその秘密がバレずにこれたよね、と言いたくなるくらい雑な隠し方なんですよね
良くも悪くも名作(人により迷作とも置き換えられる)「フォーガットン」のオチのインパクトはすさまじいと再認識させられた一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:最後の最後まで疑心が拭いきれない感が逆にすっきりしない




リピーテッド 予告

2015年5月24日日曜日

ゼロの未来 (2013/英・ルーマニア・仏・米)

監督:テリー・ギリアム
出演:クリストフ・ワルツ / デビッド・シューリス / メラニー・ティエリー / ルーカス・ヘッジズ / マット・デイモン

荒れた教会で電話を待ちながらひとりで暮らすコーエン
切望する在宅業務を許可されるかわりにゼロの定理を証明する仕事を与えられる

ヒューマンドラマのような、人間の未来うんぬんについてのような、不思議な雰囲気とテーマ性が魅力の作品
難解で訳の分からない臭さを、独特のコミカルなキャラと世界観でうまく中和している気がする
結局なにが言いたかったのか、なにをあらわしていたのか、とか考察するのもありのままをざっくり受け入れるのもいいんじゃないかと
悟った風に気取るつもりはないんで、はっきり言うなら個人的には深く語れるほど理解できたとはいえないですね

未来世界で主人公のおっさんが孤独に仕事してるんだけど、なんだかんだでかまってくる人たちをウザがりながらも悪い気分じゃないと日々を送る話、でいいのかな
このキャラは、あのシーンは、となにをあらわしテーマを形作っているのか説明する作業は個人的にできそうもないですね
とりあえず「なんか分からんけど変な魅力がある」としか言いようがない

作品として言わんとしている部分はとりあえず、ぼんやりと頭のすみで鎮座させといて、とりあえずこのインチキくさい独特の未来の世界観が素敵といわざるえない
ごちゃごちゃしてて洗練されてない未来世界は、どこか懐かしさすら感じる
理論理屈で固められた「ありそうな世界」とはかけ離れたでたらめっぽさがおもしろい

さらに登場するキャラも負けず劣らずの胡散臭さで、変な世界で変な奴らが変なことをしてる、という部分だけでも個人的には非常に魅力的に鑑賞できました
テーマを追求してもいいし、映像から受けるまんまの雰囲気を楽しむもいいんじゃないでしょうかね
でも、どっちもダメな人にしたらホントに「はあ?!」と嫌悪感しか残らないクソ映画に思えるかもしれないですが

個人的評価:80点
オススメ度:なんか知らんけど「これぞSFだな」とにわかな私はバカっぽく思いましたとさ




ゼロの未来 予告

新劇場版「頭文字D」Legend2 闘走 (2015/日)

監督:日高政光
出演:宮野真守 / 諏訪部順一 / 中村悠一 / 小野大輔 / 阪口周平 / 白石稔 / 内田真礼 / 平田広明 / はまやねん / 田中シングル

どさくさで秋名の走り屋チームに誘われるが、拓海は気乗りしない素振り
そんな中、新たな挑戦者が現れるのだが・・・

やっぱり口を動かしたり女の子とイチャってるより、純粋に車が走ってる方がおもしろい
今作ではバトルがメインのために、ホントにあっという間に時間が過ぎていく感じで内容に没入できましたね
逆に言えばバトルだけの単調な作りなんだけど、頭文字Dという作品じたいこういう走りのシーンを楽しむのに特化したところがあるんじゃなかろうか

話としては「いや、俺とか走り屋じゃないんで」と秋名のチームとして走ることを拒否る拓海くん
だけど、なんかちょろっと乗せられてノリノリでバトルすることに、ってなわけでVS中里、VS庄司戦の二本立てでお送りしますみたいな感じ
まあ、バトルメインうんぬんというより、ヒロインがしゃしゃり出てこない方がおもしろいと証明している

もともとチート能力な主人公が、やる気になって積極バトルする中でさらに磨きがかかって覚醒して速くなるさまが燃えざるえない
盛り上がり、興奮するレースシーンは見応えあるんだけど、やっぱり対戦相手が雑魚っぽく見えてしまうのは否めないですね
勝てるのか?やばくないか?みたいなドキドキ感は薄くて、初見な人でも「まあ、勝つわな」と確信すると思う

内容としても、連作としてつかみ後の主人公の魅せ戦という中盤の展開的なノリなので、ドラマ性やらクライマックスバトルなほどの熱さはないのは確かですね

個人的評価:70点
オススメ度;頭からっぽでバトってる様をよだれたらしてながめてるくらいでちょうどいい




新劇場版「頭文字D」Legend2 闘走 予告

2015年5月18日月曜日

ホーンズ 容疑者と告白の角 (2013/米)

監督:アレクサンドル・アジャ
出演:ダニエル・ラドクリフ / ジュノー・テンプル / マックス・ミンゲラ / ジョー・アンダーソン / ケリ・ガーナー / ジェームズ・レマー / キャスリーン・クインラン / ヘザー・グラハム / デビッド・モース

恋人のメリン殺害の容疑をかけられるイグ
マスコミや町の人々の容赦ない追求と冷たい視線の中、ある日、彼の頭に角が生えてくるのだった

宗教じみていて、サスペンスでもあり、ブラックな面がありあがら、なんかダークヒーローっぽい魅力的な作品でした
テーマ性や復讐劇に凝り固まりすぎず、堅さと柔らかさを良い感じで兼ね備えていておもしろかった
大きなツッコミどころもあるけど、簡単に先読みをさせることで後々にいきてくる計算された隙もいいですね

恋人の殺人容疑をかけられ、すでに周りからは犯人確定扱いされる日々なイグくんの頭に角が生えてきたよ
そしたら、なんかみんなの態度がちょっと変になってきたんだ、っていうような内容
角という肉体的な変化もあれだけど、周囲の人たちがイグに奇妙な態度をとってきてから、その実が分かってくるまでの悪ふざけ&人間の内面のブラックさがおもしろい

しょうじき真犯人という核になる部分は序盤で容易に読めてしまい、さらに全体的に展開の裏側にある真意もけっこう透けて見えるとこが多い
なんだけど、それだからこそ「実はこいつは・・・」とか「ホントのところは・・・」とか真相を考察しながら観るのが楽しい
ネタバレ披露までまったく訳分からないのでなく、ヒントをちょいちょい出してくれてる感じ

そもそも角って、というツッコミは野暮だと割り切ることにして、人間の内面うんぬんというか本音と建て前の描写をガッツリ描くテーマ性の強さを大きく期待してると、けっこうなB級臭さにぎゃふんとなるかもしれないですね
個人的には悪ノリの部分も含め、なんか最後はもの悲しいというよりダークヒーロー誕生みたいな変な燃えを感じた一本でした

個人的評価:90点
オススメ度:真犯人が追いつめられ、しかもすごいものを目にしながらも立ち向かえるメンタルの強さに憧れるわ




ホーンズ 容疑者と告白の角 予告

明烏 (2015/日)

監督:福田雄一
出演:菅田将暉 / 城田優 / 若葉竜也 / 吉岡里帆 / 柿澤勇人 / 松下優也 / 新井浩文 / ムロツヨシ / 佐藤二朗

場末のホストクラブ「明烏」の最下位ホスト、ナオキ
多額の借金を返さないと東京湾に沈む状況下、野球賭博で金が用意できたと喜ぶのだが・・・

ほぼ全編ホストクラブの事務所という場所で展開するシチュエーションものですね
かなり舞台作品っぽい作りで、どこか芝居も演劇じみてて楽しかった
福田監督作品はどうにも個人的に当たり外れが大きいんですが、これは大当たりかもしれません

主人公のナオキが借金を返す都合できたと喜んでたんだけど、寝て起きたら金がなくなってて同僚のホストたちに聞いても知らないの一点張り
で、金のことは夢だったのか、同僚たちが裏切ったのか、っていう中で返済の時間が近づいて大騒動っていう感じのコメディでした
金を都合しないと命がないってのに、店に巻き起こるハプニングにナオキは振り回される、という流れ

次々とクセのあるキャラが登場しては、場を引っかき回してナオキをどんどん追いつめていく様が分かっていてもおもしろい
ただシチュエーションものでもホントに舞台作品くさい感じなので、一度でもなにかしらの公演を観た人でないと分からない楽しさはあるかもしれません
この役者さんたちの過剰演技な立ち回りに見入ることができるか否か、って部分が大きいかも

内容もネタバレはできないけど、バカバカしいだけじゃなくて最後まで飽きることはなかったですね
ちょっと心中のことがうっすら引っかかって、手放しでほめられない気もしますが

個人的評価:90点
オススメ度:安定ネタだけじゃなく、存分に流行ネタをぶちこんだ舞台版が観てみたい




明烏 予告

2015年5月17日日曜日

Zアイランド (2015/日)

監督:品川ヒロシ
出演:哀川翔 / 鈴木砂羽 / 鶴見辰吾 / 木村祐一 / 宮川大輔 / RED RICE / 風間俊介 / 窪塚洋介 / 大悟 / シシド・カフカ / 川島邦裕 / 山本舞香 / 水野絵梨奈 / 般若 / 篠原ゆき子 / 中野英雄 / 小沢仁志 / 河本準一 / 玉置浩二

殺し屋に命を狙われるヤクザの組長、宗形
それから十年、ある島では怪しげなドラッグが広まりつつまった

Jゾンビ映画、B級からC級、Z級までいろいろあるけど、アクション+コメディ+ちょいエロというありがち域におとなしくおさまってる内容でした
アクション部分ではがんばってるけど、「和製」な「ゾンビもの」という単語からイメージできる以上のものはなにひとつない
あとは人にもよるだろうけど、個人的にゾンビネタ以外の部分のギャグセンスにひどく嫌悪感がありましたね

元ヤクザな親分の主人公が、ある島でゾンビ騒ぎに巻き込まれて、かつて命を狙ってきたヤクザもんも参戦してきててんやわんや、ってな内容ですね
とりあえず島での本編に入るまでの前置きが長い
さらに話をぶったぎるコントシーンがクッソさむいからテンポを悪くしてる
このノリが笑える人ならいいけど、個人的にはどうにもこうにもノーサンキューでした

ゾンビ映画ネタとか、芸人がからんでこないギャグな部分はおもしろく思えるんで、安易に芸人パワーにたよらないでほしかったかもしれん
本格的にゾンビとの戦いがはじまってくると、けっこう本気なアクションシーンに盛り上がってくる
盛り上がってくるんだけど、なんか全体的にテンポが悪くて間延びしてる感じ

クソ映画ならクソ映画と自覚&割り切って、とことんまでクソな方向へ振り切ってくれればいいのに、なんか中途半端に「観せよう」という欲が出てる風なのが邪魔くさい
クソながらどこか憎めない、そういうクソB級的な素敵さが薄かったのが残念

個人的評価:50点
オススメ度:そもそもヤクザ設定とかいるか?




Zアイランド 予告

ラン・オールナイト (2015/米)

監督:ジャウム・コレット=セラ
出演:リーアム・ニーソン / ジョエル・キナマン / ビンセント・ドノフリオ / ニック・ノルティ / ブルース・マッギル / ジェネシス・ロドリゲス / ボイド・ホルブルック / コモン / エド・ハリス

飲んだくれの元殺し屋のジミーは昔なじみのマフィアのボス、ショーンの息子ダニーの下で自堕落に日々を過ごしていた
そして息子どうしのトラブルから、ジミーはダニーを撃ち殺してしまい・・・

子供のために昔に戻って銃を手にして大暴れ、といういつものパターンな感じがする映画
親子としても亀裂が入ってる関係だけど、ともにことに対処していくうちにわかりあって、ってのもお約束ですね
まあ、そこまで単純じゃないんだけど、なにかすごい印象に強く残るほどの斬新さもない

話的には息子を救うために主人公が銃をとって、親友がボスなマフィアと敵対してさあ大変、というありがちなパターン
警察にもマフィアの息がかかってて、表に裏に追われまくる中、なんとかことを納めようとボスとかたをつけようとっていう流れ
主人公が足が抜けきれてない現役でワルな裏の人間、という存在のために暗い業の描写が全編通して漂っている雰囲気はいい

そんなだから息子との関係もあっさり好転するわけでもなく、なんだかんだ分かりあえない微妙な関係を引きずる感じは不自然すぎなくていいかもしれん
だけど裏社会の仁義、親子のドラマをからませるストーリーで一本の映画を作るのはちょっと厳しいんじゃなかろうか
今やこのくらいの話は海外ドラマのワンエピソードで転がってそうな気がせざるえない

鑑賞しはじめれば最後まで引っ張られて楽しめるけど、なんとも「これが観たい」と、こっちから強く興味がわくほどの求心力はないかもしれない一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:リーアムおっさんアクションの判別が困難になる日も近いかもしれん




ラン・オールナイト 予告

2015年5月11日月曜日

脳内ポイズンベリー (2015/日)

監督:佐藤祐市
出演:真木よう子 / 西島秀俊 / 古川雄輝 / 成河 / 吉田羊 / 桜田ひより / 神木隆之介 / 浅野和之 / 野波麻帆 / 岡本玲 / カンニング竹山 / ともさかりえ

30歳目前の女性、いちこの脳内では5人の異なる思いが常に脳内会議をして言動と行動を決定していた
そんないちこはある日、年下の気になる男と出会い、脳内も大騒ぎとなる

しょうじき普通ならスルーする系の内容ですが、個人的に監督の過去作が好みなデキだったので鑑賞することに
果たして、少女マンガにありがちな壁ドンスイーツラブコメな作品じゃなくてホントに楽しめました
脳内会議のドタバタっぷり、現実世界での恋愛模様ともにかなりテンポがよく、単純にバカバカしいだけじゃない話の展開に引き込まれまくり
まさか、こんなにラブでコメな話をおもしろく感じるなんて自分でも意外でしたね

気になる年下の男、早乙女との出会いで、いちこの脳内で開かれる会議も大騒ぎって感じで空気読めない&勘違い発言によって現実の恋愛もドタバタしまくり
そんな脳内と現実の二重構造それぞれが時にコミカル、時にシリアスに描かれておもしろい
さらにいちこの抱えている問題や、恋愛ターゲットの過去やらがいい感じにからんでくる

主人公の思考停止顔や早乙女のふわふわっぷり、脳内メンバーの自己主張と各キャラが本当に生き生きしている
さらに早乙女のライバルキャラ的なポジションとなる越智さんも、最初はかませ犬かと思いきやどんどん良い味が出てきて素敵でしたね
そんな登場人物にたよるだけのキャラものってわけでもなく、話じたいも二転三転と転がりまくって退屈しない

なんだかんだでスイーツなところに落ち着くんだろ、とネガティブに想像してたラストの展開も、個人的には意外な方向へオチがついて最後の最後まで楽しませてもらいました
トリッキーすぎずオーソドックスすぎずな良バランスな印象

個人的評価:85点
オススメ度:西島さんはこっち方面の役のが生き生きしてる




脳内ポイズンベリー 予告

百日紅 Miss HOKUSAI (2015/日)

監督:原恵一
出演:杏 / 松重豊 / 濱田岳 / 高良健吾 / 美保純 / 清水詩音 / 筒井道隆 / 麻生久美子 / 立川談春 / 入野自由 / 矢島晶子 / 藤原啓治

高名な絵師の葛飾北斎の娘であるお栄
父と居候の善次郎と暮らす中、目の見えない妹のことを気にかけていた

北斎とお栄&居候によるちょっと怪談な非日常要素が入った日常の短編集みたいな作品でした
いちおは妹関連でメインストーリーはあるけど、短編のつながりでできたひとつの長編といった感は否めない
ひとつひとつのエピソードは趣があっておもしろかったけど、一本の映画としてはぼやっとしてる風で、雰囲気を楽しむ系の作品かもしれません

内容としてはこの世ならざるモノを視ることができる似たもの親娘が、俗物な居候とともにちょっと不思議な現象に対処したりしなかったりする日常ストーリー
そんな合間に目の見えない妹との話、お栄の恋話をはさんでつなげてる感じ
完全に悟りきってる風な北斎、俗物マックスな善次郎、その中間っぽいお栄というキャラのバランスがよくとれてます

絵にまつわるエピソードにこだわらず、お栄やゲストキャラの悩みをふんわりと描いてる感じで、ようするにきっちりした顛末は観てる側にゆだねてくる作風
ちょっと不思議な出来事も、人々の想いもドラマも必要最小限でとどめるていどになってます
そんな作りは各エピソードを切り離して、短編として観ればおもしろいけど、一本の長編としてみるとちょっと微妙かもしれません

せめてお栄が女になるうんぬん、妹の過去話あたりはきっちり描いてほしかった気がする一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:唐突なロックサウンドの意味がよく分からない




百日紅 Miss HOKUSAI 予告

2015年5月10日日曜日

ズタボロ (2015/日)

監督:橋本一
出演:永瀬匡 / 清水富美 / 堀井新太 / 成田瑛基 / 荒井敦史 / 大江健次 / Kaito / 小久保寿人 / 中西晶 / 吉村界人 / 石田卓也 / 菅田俊神 / 伊藤洋三郎 / 木村祐一 / 佐藤二朗 / 平田満 / 南果歩

高校生になったコーイチたちは暴走族の先輩にヤキを入れられる日々を送っていた
コーイチも高校で新たな友人ができるが、喧嘩にあけくれることでトラブルも大きくなってくるのだった

しょうじき鑑賞の直前まで「ワルボロ」の続編だと気づかなかった
まあ、それはそれとして、前作は背伸びした不良ライフって感じでまったり楽しめたけど、今作ではけっこう息苦しいシリアス要素が強い気がしましたね
喧嘩が超強いわけでもなく、年のわりに変に悟ってるわけでもないスーパー不良高校生じゃないハンパ者の主人公っぷりが楽しめました

先輩にヤキを入れられる日々のコーイチが、腐って暴れて新たなもめごとの火種をおこし、さらに事態を収拾しようともがいては裏目に出て敵ばかり増える
みたいな四面楚歌どころか、なにかするたびに敵を作ってがんじがらめになっていく、というような内容

母ちゃんやら、ヤクザの身内やら、ヤッコなどの旧友、高校での新たな友を巻き込み巻き込まれのトラブル包囲網がせばまってくる感じが観ていて息苦しくなってくる
だけどそんな中でも母ちゃんやら、ヤクザの竹脇のキャラの存在によってほどよく息抜きできます
特に竹脇が登場してからは、もう竹脇ワールド・・・というか佐藤二朗ワールドに作品が引き込まれてしまってる感じ

それでもクライマックスでは主人公のコーイチも竹脇に負けじと前面に出てきて、熱い喧嘩に観ていてこっちも燃えざるえない
どうしようもなくハンパ者で強いのか弱いのか分からない、だけど身近な不良に思えるコーイチの不思議な魅力&佐藤二朗にメロメロになれる一本でした

個人的評価:80点
オススメ度:けっきょく喧嘩は数や力や技じゃなく、根性ってことですね




ズタボロ 予告

2015年5月7日木曜日

フォーカス (2015/米)

監督:グレン・フィカーラ / ジョン・レクア
出演:ウィル・スミス / マーゴット・ロビー / ロドリゴ・サントロ / ジェラルド・マクレイニー / エイドリアン・マルティネス / B・D・ウォン / ロバート・テイラー / アポロ・ロビンス

天才詐欺師のニッキーはある日、未熟なスリの女ジェスと出会う
やがてニッキーたちの詐欺グループに彼女を入れることになるのだが・・・

たまにある特にこれといったもののない、別につまらないわけじゃないけどおもしろくもない悪い意味でのザ・普通映画でした
どんな内容か予備知識なしで鑑賞したんですが、いつ本編がはじまるのかと内容を把握するまで無駄に時間がかかりましたね
たぶんお洒落な雰囲気を意識した作りの詐欺&ラブなトリッキー方面を目指したんだろうけど、どうにも盛り上がりにかける

詐欺に情とかいらねえから、ってスタンスの天才ニッキーさんが若くて美しい新米詐欺師ジェスの魅力にメロメロ
彼女と恋愛関係っぽくなりつつ、今日も華麗にターゲットをカモる
みたいな内容なんだけど、とりあえずジェスとの関係を描く前置きが長い
そして全体的にテンポが悪いのが致命的な退屈さになってる感じ

軽快な音楽にのせて次々と話が展開していけばいいんだけど、なんだかずっと単調な流れが続いて「だから何がやりたいんだ、この映画」と観ている側にツッコミのスキを与えるはいかんでしょ
もっとリズムよくピンチなのか計画通りなのか、って部分を煙に巻く感じで押し切れば楽しめたかもしれん

クライマックスにもなればそれなりにおもしろくなってくるんだけど、やっぱり微妙なテンポっぷりで気持ちよくなりきれない
ストーリーの流れじたいは嫌いじゃないんで、もっと見せ方をなんとかしてほしかった一本でした

個人的評価:60点
オススメ度:次々にスリまくってドヤ顔を観せられても気分がいいもんじゃないね




フォーカス 予告

THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦 (2015/日)

監督:押井守
出演:筧利夫 / 真野恵里菜 / 福士誠治 / 太田莉菜 / 堀本能礼 / 田尻茂一 / しおつかこうへい / 藤木義勝 / 千葉繁 / 森カンナ / 吉田鋼太郎 / 高島礼子

レインボーブリッジ爆破事件が発生し東京をにぎわす
特車2課たちの面々は公安の高畑の情報から光学迷彩を搭載したヘリの仕業と断定するのだった

アニメの劇場版2の後日談、ってポジションの作品というわけでまさしくその通りの内容でした
劇場版2を連想させる描写も数多く、事前に鑑賞しておくといっそう楽しめるかもしれません
だけど、肝心の内容じたいはどうにも後日談というゆるい枠から脱せてなくて、新作映画という感じが薄い
終わり方もスッキリしないし、これだけで完結してない宙ぶらりんなのがどうにもこうにも

話としては劇場版2における戦争騒ぎの再来か、っていう感じで柘植逮捕後の残党が騒ぎを起こす
新たな世代の第二小隊のキャストで劇場版2をなぞって実写化しました、みたいな
しょうじき劣化コピーという語が観ていてずっとチラつかざるえない

派手な戦いより後藤田をメインにした遺産と事件の地味なドラマで、それはそれでいいんだけど、どうにもあえてこれを作った意味がよくわからない
後日談、外伝、実写化実験、そんな印象が強すぎてひとつの作品として完成されてる感がないんですよね
長編劇場版ではなく、第8章として観ればまあ楽しめるっちゃあ楽しめる

個人的に劇場版2の流れの雰囲気は好きだけど、どうせなら新しい隊の面々による新しい話が観たかった気がしますね

個人的評価:50点
オススメ度:さすがに第二小隊にメンツによる武装勢力の敵地突入、銃撃戦は違和感あるわな




THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦 予告

2015年5月3日日曜日

コードギアス 亡国のアキト 第3章「輝くもの天より堕つ」 (2015/日)

監督:赤根和樹
出演:入野自由 / 坂本真綾 / 日野聡 / 松岡禎丞 / 日笠陽子 / 藤原啓治 / 甲斐田裕子 / 川田紳司 / 茅野愛衣 / 石塚運昇 / 森久保祥太郎 / 小松未可子 / 瀬戸麻沙美 / 東山奈央 / 早見沙織 / 高森奈津美 / 松風雅也 / 伊瀬茉莉也 / 寺島拓篤 / 島崎信長 / 花江夏樹 / 井口祐一 / 小野友樹 / 石川界人 / 逢坂良太 / 室元気 / 菅生隆之 / 子安武人 / 武虎 / 宮田光 / 立木文彦 / 石原夏織 / 能登麻美子 / 櫻井孝宏 / 福山潤

レイラたちワイバァン隊のIDが抹消されてしまう
そんな中、因縁をつけられた老婆たちと生活をともにすることになり・・・

まさにクライマックスに向けての助走回でした
それじゃあまりに地味だってんでキングスレイ&スザクをゲスト登場させました、みたいな大人の事情を邪推せざるえない
ここにきて話をいったん止めてキャラの掘り下げはいいけど、次がラストなのにまとめきれるのか、と心配もしたけど最後の最後のアレでちょっと納得
もうちょいこの作品を楽しめるのはいいけど、風呂敷を広げてる間だけがおもしろい、って感じにならないことを切に祈る

ババアどもに因縁をつけられて小間使い扱いで共同生活することになったレイラとアキトたち
で、日常生活を嫌々ながらも楽しむうちに、隊の絆が深まったりキャラの背面がみえてくる
同時にユーロピア連合、ユーロ・ブリタニアの状況が描かれ、いよいよクライマックスへ向けて動きはじめる、と
まあ、ホントにラストへの展開へ向けての種まきと割り切ってるエピソード

ここでちょっと日常的なのんびり感を描くことで、先の過酷な戦いがはえる、という感じなんでしょうね
ギアスファンにはキングスレイとスザクというご褒美要素もあるし、助走回といえど画面的には盛り上がるから良し
と、思えれば楽しめるっていえば楽しめる
一応は盛り上がるバトルシーンもあるけど、ゲストキャラもふくめて「サービスしとくんで」感が露骨

ストーリーの核となる部分もチラつかせてはいるものの、ここにきてまだ謎が多いんですが、ホントにキレイに終わってほしいですね

個人的評価:65点
オススメ度:尻以上のものも揉んでるように見えるわな




コードギアス 亡国のアキト 第3章「輝くもの天より堕つ」 予告

ビリギャル (2015/日)

監督:土井裕泰
出演:有村架純 / 伊藤淳史 / 野村周平 / 大内田悠平 / 奥田こころ / あがた森魚 / 安田顕 / 松井愛莉 / 阿部菜渚美 / 山田望叶 / 矢島健一 / 中村靖日 / 峯村リエ / 吉田羊 / 田中哲司

学年最下位の女子高校生の工藤さやか
ある塾を訪れ、講師の坪田と出合ったことから慶応を目指すことになるのだった

たぶんまんまな内容だとは予想してたけど、ホントにまんまな作品でした
とにかく前向きな雰囲気が心地よく、根が嫌な性格な自分でも明るい気分にさせてくれます
なにより坪田の存在が作品を大きく支えている感じで、こっちをメインにしてもじゅうぶんおもしろくなるんじゃないかと思える

学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話、というそのものずばりな内容
主人公のがんばりという部分より、坪田をはじめとする周りの支援要素が大きく、のせられてるうちに本気モードに火がついていく感じ
思ったより学校関連イベントの描写が控えめで、学園ドラマくささがなくて個人的には楽しめた

ただ家族内でのごたごたも外せない要素だとは思うけど、どうにも野球うんぬんの話とかそこまで興味を引かれない
もっとシンプルな不器用父と不器用娘のドラマだけで良かった気がしないでもない
あと良いか悪いかは別として、恋愛関連の部分がないのは意外でしたね

結末が読めるだけにどれだけ楽しめるか不安だったけど、さやかの非常識っぷりと坪田のポジティブっぷりがおもしろおかしく描かれ、分かっちゃいるけど「よかったよかった」と気持ちよくなれる一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:坪田主役のスピンオフドラマとか受けると思うが、どうか




ビリギャル 予告