2015年6月29日月曜日

きみはいい子 (2015/日)

監督:呉美保
出演:高良健吾 / 尾野真千子 / 池脇千鶴 / 高橋和也 / 喜多道枝 / 黒川芽以 / 内田慈 / 松嶋亮太 / 加部亜門 / 富田靖子

新米小学校教師の岡野は生徒がおこしたピンポンダッシュの陳謝のために老婆宅を訪れる
一方、幼い娘をもつ母親の水木は自分の子に暴力的につらくあたってしまっていた

きっつい序盤から想像できないほど心温まる作品で、その温度差がたまらなくいい気持ちにさせてくれる
個人的に子供があまり好きじゃない性分だったんですが、そんな自分がちょっとだけ子供好き方向へ天秤が傾きましたね
ささくれだった心を癒す一時の処理法や逃避したりする術はいくつか身につけたつもりですが、根本的な対処法をうっすらと示してくれたこの映画に感謝がとまらない

大きく分けて教師編と母娘編、老婆編の3つのエピソードが平行して描かれている感じの内容でした
それぞれのエピソードで問題が発生するものの、当の主人公たちも大きな問題や傷を抱えている、と
悟りきって、ここぞって時に適切な行動や言動で場をおさめる完璧人間がでてこない等身大さがおもしろい

なにげないのに、不意打ちのようにハッとさせられるカットがちりばめられていて、作品にぐいぐい引き込まれていく
けっこう意外な場面で意外な援護が入り、「ここでこの人が、そうきますか」と感心させられる
そして愛とか大げさすぎてネタっぽいテーマ性ではなく、ホントに優しい温かさに観ているこっちが救われます

物事をうがった見方して、ささくれだった心の苛立ちにどう向き合っていけばいいのか、愚鈍なフリをするとか強かであるとか、そういうのとは違うものが得られた超個人的に貴重な一本でした

個人的評価:90点
オススメ度:目に付きやすい負の物事ばかり見てちゃダメだね




きみはいい子 予告

ストレイヤーズ・クロニクル (2015/日)

監督:瀬々敬久
出演:岡田将生 / 染谷将太 / 成海璃子 / 松岡茉優 / 白石隼也 / 高月彩良 / 清水尋也 / 鈴木伸之 / 柳俊太郎 / 瀬戸利樹 / 黒島結菜 / 青木崇 / 渡辺大 / 忍成修吾 / 団時朗 / 日向丈 / 布施紀行 / 本郷奏多 / 豊原功補 / 石橋蓮司 / 伊原剛志

実験によって人間離れした能力を付加された昴たちは、渡瀬の庇護のもとで指示に従って生きていた
そんなある日、昴たちとは別の実験で能力を得た者たちが姿を現し・・・

中二病全開な能力者バトルとかベタだけど嫌いじゃないぜ、って感じで鑑賞したものの元から低かった期待値のさらに下を滑空してくれてげんなり
予告であまりに不釣り合いな主題歌が流れてがっくりきた失望感、ゆえに多くを求めてなかったんですが・・・
とりあえず、もっと少年マンガなノリで能力者バトルしまくってほしかった

別々の実験で能力者になったふたつのグループが、なんか敵対してるようでゆるくつるんで生きる意味だの、運命だのぬるいトークに花咲かせる、そんな内容でした
あまり演技とか気にしない私でも、ちょっとこの学芸会ドラマには冷ややかな目にならざるえない
学役の染谷将太の演技がキレてただけに、それがかえって仇となって他の若者たちのひどさが目に付く

望んでいない能力のために戦わされ、しかも長く生きることもゆるされない
別の道を歩みながらも願いは同じで、重いものを背負わされている
という状況説明は伝わってくるんだけど、実際の作品にその「重み」がまったく感じられないから、どうにもこうにも
いっそテーマとか言い訳ていどに利用して、スタイリッシュ能力者バトルに特化してくれた方が熱くなれたかもしれん

なんか秘密結社、実験、政府がらみとか壮大そうで、かなりスケールが小さいしょぼい世界観での茶番劇に冷めた感情がEDの主題歌でさらに凍てつく一本でした

個人的評価:30点
オススメ度:動画で体術をマスターする能力のがすごいわ




ストレイヤーズ・クロニクル 予告

2015年6月28日日曜日

天の茶助 (2015/日)

監督:SABU
出演:松山ケンイチ / 大野いと / 大杉漣 / 伊勢谷友介 / 田口浩正 / 玉城ティナ / 寺島進 / RYO / DJ KEIN / I-VAN / 山田親太朗 / 今野浩喜 / 手塚とおる / 菅田俊

あの世の茶番頭の茶助は、人間の人生の脚本を記す脚本家にアドバイスをする
そのことにより、人間のユリが死の運命をたどることになり、これを覆すために茶助は下界におりるのだった

ハートフルドラマなのか、ファンタジーなのか、シリアスなのか、コメディなのかよく分からない作品でした
ツッコミどころをあえて見ないフリして、そういうもんだと割り切って楽しむのが正しい姿勢なんでしょうね
でも、そのツッコミポイントがあまりに大きすぎて、無視しようにも常に視界に入ってくるから気が散ってしかたがなかった
リアルに「なんだこの脚本は」と繰り返し思わざるえない

ヒロインであるユリを助けるため、下界におりた主人公の茶助が脚本家の妨害にあいながらも改編に奔走する
そんな単純な話だったらよかったのに、なんかどこに視点をおいていいのか困る
出会った人間の仲間たちとのちょっと笑えて温かいドラマ、最悪な脚本に苦しむ人を助ける茶助の活躍と人間のエゴ、たぶん本筋だろうユリがらみのエピソード、なんかそれぞれの要素がうまく合わさっていない感じがしました

コメディとシリアスの切り替えも唐突で、全体的にがちゃがちゃしてる印象が強い
あと雰囲気をだすためなんだろうけど、茶助が下界におりた直後とか、事故った直後の変な間がテンポ悪い
そういう雰囲気が好きな人ならいいかもしれんけど、個人的には「んなことより、さっさと話を進めようぜ」と思うだけでした

この監督の作品を久しぶりだったけど、やっぱり今でも主人公に走らせまくってんだな、という懐かしさと所々でふふっと笑えるコメディパートだけが好印象な一本でした

個人的評価:60点
オススメ度:このめちゃくちゃっぷりはクソ脚本を扱う映画として、わざとこうしたと思いたい




天の茶助 予告

ラブ&ピース (2015/日)

監督:園子温
出演:長谷川博己 / 麻生久美子 / 西田敏行 / 渋川清彦 / マキタスポーツ / 深水元基 / 手塚とおる / 奥野瑛太 / 長谷川大 / 谷本幸優 / IZUMI / 小倉一郎 / 真野恵里菜 / 神楽坂恵 / 菅原大吉 / 波岡一喜 / 松田美由紀 / 田原総一郎 / 水道橋博士 / 宮台真司 / 茂木健一郎 / 津田大介 / 星野源 / 中川翔子 / 犬山イヌコ / 大谷育江 / 横尾和則

元ロックシンガーの会社員、鈴木良一は職場で皆からバカ呼ばわりされて孤立していた
そんな寂しさを紛らわすために亀を飼うのだったが・・・

予告を見た瞬間から、かなり期待して鑑賞したんですが、どうにも悪い意味で想像を裏切られました
まったくどんな映画か読めない、ぶっとんだ内容かとふんでたけど思ったより普通だった
主人公と亀のキャラ、そして歌は記憶に強烈に残るけど、なんかそれだけな感じで残念

ダメ人間な主人公が、ひょんなことから急速にサクセスロードをばく進しはじめる、と簡単に言えばそんな内容ですが、ホントに序盤はどんな話なのか読めなくておもしろい
主人公のダメっぷりがコミカルに描かれ、亀と出会い、地下世界へと話が転がっていくにつれて、その奇妙な世界観に酔いしれていかざるえない

そんな前半の盛り上がりがすべて
先の展開が「こんな流れになるんだろうな」と見えてくると、主人公の成功と反比例して作品の勢いはどんどん失速していきます
それでも、それでも、その先にこっちの予測を裏切る超ぶっとんだものが待っているだろう、という希望だけが残るものの、結局、「普通に終わっちゃったね」というガッカリ感が残る

画面的なインパクトはあるし、歌と実生活のかけ離れっぷりとか、見所はあるんだけど個人的にはもっともっとイカレた展開を期待してたんですよね

個人的評価:70点
オススメ度:巨大亀にはわきたつが歩く人形はスルーの世の中




ラブ&ピース 予告

2015年6月22日月曜日

マッドマックス 怒りのデス・ロード (2015/米)

監督:ジョージ・ミラー
出演:トム・ハーディ / シャーリーズ・セロン / ニコラス・ホルト / ヒュー・キース=バーン / ゾーイ・クラビッツ / ロージー・ハンティントン=ホワイトレイ / ライリー・キーオ / アビー・リー / コートニー・イートン / ジョシュ・ヘルマン / ネイサン・ジョーンズ/ ジョン・ハワード/ リチャード・カーター / アンガス・サンプソン / メリッサ・ジャファー / ジェニファー・ヘイガン

土地を支配するイモータン・ジョーの兵に拉致されるマックス
一方で大隊長のフュリオサはジョーを裏切り、ウォータンクで逃亡を計るのだった

荒廃した大地ながらも美しく、そんな世界をイカレたセンスの野郎どもが狂い咲き
どこか懐かしいシンプルな娯楽映画だけど、ひと周りして新しいような印象がある
というか、個人的に最小限の情報だけで鑑賞したんだけど、これ最近はやりのリブート系かと思ったらおもいっきり続編だったのね
まあ、でも過去作とか知らなくても、世界観にひかれた人なら問題ないかもしれん

ヒャッハー系集団にサクっと拉致られたマックスさんが、内輪もめの裏切り騒動に巻き込まれて首謀者のフュリオサさんと爆走デコトラバトル、みたいな内容
ストーリーとか細かいことは気にせず、狂気の世界によだれ垂らして食い入ればいいじゃない、ってね
全編ほとんど疾走しながらのアクションに特化していて単調かと思いきや、他の部分が濃すぎるので画的に飽きることはない

なんか完全に主役がフュリオサさんで、マックスさんとかバディものの相棒役っぽくなってるのが物足りないと感じるどころか、かえってこの方がおもしろいかもしれん
展開もちょっとズレた方へ流れる描写が多く、テンポとスピードのノリを最優先にしてる感じで楽しませてくれる
こういう一点に特化した愚直な作品は鑑賞後に良い意味で後腐れなくていいですね

ただ、これはホントに個人的な感想ですが、なんとなく熱しやすく冷めやすい映画のような気がする
確かに鑑賞後の興奮度はすごいんだけど、同時に急激に冷めていく自分もいるんですよね

個人的評価:80点
オススメ度:一過性のハンパないやみつきさ




マッドマックス 怒りのデス・ロード 予告

愛を積むひと (2015/日)

監督:朝原雄三
出演:佐藤浩市 / 樋口可南子 / 北川景子 / 野村周平 / 杉咲花 / 森崎博之 / 佐戸井けん太 / 岡田義徳 / 吉田羊 / 柄本明

心臓に問題を抱える妻と北海道で暮らすことになった小林篤史
ある日、妻から新たな家の庭にある作りかけの石塀を完成させてほしいと頼まれ・・・

予告から読みとれるものがすべてで、人生経験豊富な女性をターゲットにしたシンプルな夫婦愛ドラマ
という個人的なマイナスイメージな予想を上回って、勝手な思いこみで決めつけ鑑賞をするもんじゃねえ、と反省させられた作品でした
女性がターゲットなようで、これは世の男性陣の方が気持ちよく観ることができる内容でしたね

石塀を作る課程で夫婦のことやら、娘のこと、手伝いにくる徹とその彼女のこと、と色々な問題に主人公が立ち向かう、という話でした
それぞれの問題は重くて難しいものが多いんですが、全編を通して作品的に優しさと温かさの度合いが多くしめている感じ
観てて滅入るような悲壮感より、心温まる要素にあふれていて心地いい

頑固で口べたな不器用野郎どもと優しく強い女たち、ちょっと都合がよすぎる話しの展開はあるものの、分かって観ててもじゅうぶん楽しめる
手紙演出とか日本人的な満足感を満たしてくれつつ、キレイに事をおさめすぎないのもいい
変化球すぎず、普通すぎないドラマに最後まで退屈することがなかったですね

こういう円熟した夫婦の愛や、男女のあれこれみたいなドラマを女性視点なだけではなく男臭さを感じられる作りになってる作品は珍しいかもしれません

個人的評価:80点
オススメ度:理想的すぎると分かっていても憧れの良い夫婦と言わざるえない




愛を積むひと 予告

2015年6月21日日曜日

極道大戦争 (2015/日)

監督:三池崇史
出演:市原隼人 / 成海璃子 / リリー・フランキー / 高島礼子 / 青柳翔 / 渋川清彦 / 三浦誠己 / テイ龍進 / ヤヤン・ルヒアン / 三元雅芸 / 有薗芳記 / 中村靖日 / 坂口茉琴 / 優希美青 / 三津谷葉子 / 渡辺哲 / ピエール瀧 / でんでん

組長の神浦に憧れてヤクザになった影山
そんな神浦のところへ謎の男が襲いくるのだった

これだよ、世界のMIIKEの持ち味が良い方向へそそぎ込まれれば、ホントにこういう素敵すぎるものができあがる
人を選ぶとか当たり前のことは抜きにして、こういう映画を観てカッコイイと思える自分のイカレ具合に陶酔せざるえない
細かいツッコミとかどうでもいい、その1シーンのセンスに酔い、たぎるものがあればそれでいい

話としては神浦から引き継いだ血によってヤクザヴァンパイアになった影山が仲間を増やして仇を討つ、という単純なもの
だけど、敵がどいつもこいつもクセのある輩ばかりでたまらない
寒いギャグ、唐突なコント要素などコメディパートにおいても他だったら大きなマイナスになる部分も、不思議とこの作品なら許せる
そして冷静にみればクソがつくほどバカっぽいことをやっているのに、なんかカッコイイ…という魅力にあふれている

しょうじき前置きであるヤクザとしての描写が長めでダルい、けど影山がヤクザヴァンパイア化してからの暴走っぷりで打ち消してくれる
その場のノリと勢いと熱さとネタに身を委ねているだけでも楽しめる
自転車の前かごの犬とか、どうでもいいところまでこだわるセンスに共鳴できたら勝ちですね
とりあえず予告編をチェックして、ちょっとでも「おもしろそう」と感じられる人なら満足できる内容
ヤクザ、ヴァンパイア、そんでもってちょっと感染拡大なゾンビものっぽいところもありつつ、いさぎよいまでに話の流れを気にしない、刹那の楽しみに特化した一本でした

カッパ、ヴァンパイア化した人々の行方、ラスボスとか大小ツッコミどころは満載だけど、あえてそこは気にしないのがこの作品の鑑賞マナーなのかもしれんね

個人的評価:90点
オススメ度:珍しくアグレッシブなリリーさんも見所




極道大戦争 予告

攻殻機動隊 新劇場版 (2015/日)

監督:黄瀬和哉
出演:坂本真綾 / 塾一久 / 松田健一郎 / 新垣樽助 / 咲野俊介 / 中國卓郎 / 上田燿司 / 中井和哉 / 沢城みゆき / 野島健児 / 浅野まゆみ / 潘めぐみ / 麦人 / 宮内敦士 / NAOTO

大使館占拠事件を対処すべく、草薙素子ひきいる部隊に声がかかる
事件は問題なく解決するかと思われたが・・・

ARISEは観てないですが、それほど声優さん関係では違和感はなかった
それより鑑賞するまで気にしてなかったんだけど、この新劇場版ってARISEを受けての延長線上のエピソードなのかな、そうでもないのかな
まあ、とりあえず尺の中にぎゅぎゅっと情報が濃縮されまくってて、しかも最小限の説明しかなされないために、ちょっとでも話から気がそれると、もうついていけない感じなのが疲れる

色々と事件がおこって捜査するうちに、なんやかんやで素子の過去や、公安9課のはじまりみたいな流れになる感じ
とにもかくにもセリフによる情報量が観ててめんどくさくなるレベルで、しかも息抜きタイムもわずかしかない
攻殻という看板をしょった意気込みで力入ってるのは分かるけど、しょうじき結果的にゴチャゴチャしてる印象が一番強く残った

アクションシーンや二転三転する捜査状況、素子の過去や義体関連の将来性など見応えはじゅうぶん
だけど、やっぱり観てて「ちょ、ちょっと休ませて。頭クールダウンさせて」と、かしこさが足りない自分としては言いたくなる
あと、ひとつひとつのシーンだけ切り抜いてみれば、かっこよくて見栄えもするんだけど、鑑賞後に振り返ってみれば特に何も残らない変な印象の薄さもありますね

けしてつまらない作品ではないと思うんだけど、映像的、物語的革新みたいな目新しさはない
分割してテレビ放映でもすれば「こういう攻殻もいいかもね」とワンランク上の評価になったかもしれん

個人的評価:75点
オススメ度:パーツ呼ばわりから絆を深めるシンプル前日談じゃなかったのはよかったけど




攻殻機動隊 新劇場版 予告

2015年6月15日月曜日

海街diary (2015/日)

監督:是枝裕和
出演:綾瀬はるか / 長澤まさみ / 夏帆香田 / 広瀬すず / 加瀬亮 / 鈴木亮平 / 池田貴史 / 坂口健太郎/ 前田旺志郎 / キムラ緑子 / 樹木希林 / リリー・フランキー / 風吹ジュン / 堤真一 / 大竹しのぶ / 浅野陽子

幸、佳乃、千佳の3姉妹は父の葬儀で山形を訪れる
そこで異母妹のすずと出会い、鎌倉の家で4人で暮らさないかと話を持ちかけるのだった

予告から想像できるものを良い意味で裏切られた時の嬉しさ、この映画もそんな喜びを感じられたものでした
良い話なんだろうけどどうせ、みたいに作品の幅を決めてかかって観た、という部分もあったろうけど個人的には思った以上に楽しめた
重すぎず、軽すぎずで押しつけがましくないドラマにさわやかな心地よさを味わえましたね

異母妹を引き取って4人姉妹で暮らそうぜ、って中での日常の悲喜こもごもなドラマ
というだけなのに、ちっとも退屈することがない
鎌倉の四季と情景や、親子&姉妹の絆ドラマを押し売りのごとく見せられる嫌味がない
目線が低いというか、等身大のドラマというか、日本の感動系作品にありがちなめんどくささがないのが個人的に良かった

似たもの親子、似たもの姉妹を観ているだけでも十分なんだけど、やっぱりすずの存在が作品の素敵度を大きく上げてる
もっと腫れ物な感じで姉妹の絆を破壊して再生する爆弾キャラかと思ってたのに、実際はそんな印象とは逆な潤滑油キャラだったのが好印象
ちょっと気持ち毒気が足らない気がしないでもないけど、致命的に何かが足りない感はない

ただ、どこで盛り上がって泣かせポイントがくるんだろ、とか感動系を期待して観るとアレかもしれんね

個人的評価:85点
オススメ度:エロ方面で盛り上がるのもアリ




海街diary 予告

ザ・レジェンド (2014/中・加・仏)

監督:ニック・パウエル
出演:ヘイデン・クリステンセン / ニコラス・ケイジ / リウ・イーフェイ / アンディ・オン

12世紀の中国、元十字軍兵だったジェイコブはある少年とその姉の命を助ける
そしてふたりの旅の用心棒をすることになり、そのことから次代の皇帝争いの戦いへと巻き込まれるのだった

色々と詰め込みすぎてグダっちゃった見本のような作品でした
王道のストーリーながら、それなりに凝った美術と殺陣でチープさを払拭していて画面映えはしてるのに、もったいない感があふれてる
1クールのドラマでやるべき内容を凝縮しすぎ、けっきょく終盤は駆け足&ご都合展開&パワープレイでガッカリ

辛い過去を引きずってアヘン漬けになった主人公が、皇子と姫の旅に同行することで人間らしさを取り戻していき、過去を清算して許しうんぬんってな話
旅の道中でサブイベントをこなすうちに、仲間が増えパーティの絆やらなんやらが成長していく
という作りはいいんだけど、いかんせん描き切れてない感がハンパない

序盤はホントに王道だけど楽しめてたのに、観ててどんどん「これまとめきれるのか」といういらん心配が大きくなっていく
果たしてその不安は的中してしまい、皇子としての成長も、ロマンス要素も、敵の描写も、主人公と師匠の確執も、ラストバトルすらもすべて中途半端かつ強引にまとめて微妙感だけが残る
いくつかの要素を削れば佳作アクションくらいにはなってたろうに、もったいない

個人的評価:50点
オススメ度:さすがにラスボスとの唐突な一騎打ちは強引すぎるだろ




ザ・レジェンド 予告

2015年6月14日日曜日

あの日の声を探して (2014/仏・グルジア)

監督:ミシェル・アザナビシウス
出演:ベレニス・ベジョ / アネット・ベニング / マキシム・エメリヤノフ / アブドゥル・カリム・ママツイエフ / ズクラ・ドゥイシュビリ

戦闘状態のチェチェンから逃げる少年
なんとか逃げ延びた彼をEUの職員であるキャロルが保護するのだった

声を失った少年と、それを保護する大人の女性が共同生活するうちに、みたいなハートフルなドラマを予測してたけど、そんな単純なもんじゃなくておもしろかった
怯えた捨て犬のようでも根っこの部分に強かなものを持ち合わせている少年が、なにはともあれその存在感だけで強烈にスクリーンに目が釘付けにさせられる
さらに姉とニコライの話が交錯することで深みも増して、退屈な要素がなにひとつなかった

チェチェンから逃げてきた声を失った少年
EUの人権委員会職員としてロシアで活動するキャロル
いまだ戦闘状態のチェチェンで少年を探す姉
ロシア軍として強制入隊させられるニコライ
それぞれの話が徐々に絡み合ってくる作品、というより少年とニコライのふたつのストーリー多重構造ものみたいな感じ

少年と女性の心の交流を描いたドラマとしてはもちろん、そこにニコライによる軍の話が並行して描かれて面白味が増してますね
さらに姉のエピソードが加わることで満足から大満足な作りにランクアップしてる
落ち着くべきところが見えてくる少年の道の安心、それと反比例して行き着く先が見えなくなっていくニコライの道の不安さがおもしろい

作品としてのしめ方の予測としての先は読めるけど、それぞれの登場人物の魅力と対比に強く引きつけられた一本でした

個人的評価:90点
オススメ度:いろんな意味でまっすぐな少年の魅力にメロメロにならざるえない




あの日の声を探して 予告

画家モリゾ、マネの描いた美女 名画に隠された秘密 (2012/仏)

監督:カロリーヌ・シャンプティエ
出演:マリーヌ・デルテルム / マリック・ジディ / アリス・バトード / ベランジェール・ボンブワザン / パトリック・デカン / フランソワ・デューアイデ / グレゴリー・ガドゥボワ

ベルトとエドマの姉妹は習い事から本格的な画家の道を選ぼうとしていた
そんな折り、画家のマネと出会いふたりは彼に惹かれていく

おそろしく薄味な印象しかない、なんとも退屈なテレビドラマでも観ているような感じの作品でした
姉妹の関係、家族のあれこれ、マネとの愛憎、社会情勢、色々と盛り込んではいるけどすべてが平坦で盛り上がる要素がないのがなんとも
退屈で一本調子な流れに自然と先の盛り返しを期待する心も折られます

女性の画家が冷たい目で見られる中、本気でその道を姉妹の固い絆で歩もうとしていたベルトとエドマ
そんな時、マネと出会いエドマは彼に恋心を抱くんだけど、本命はベルトでしたってな流れの話
愛か姉か画か、愛憎うずまく濃厚なドラマかと思いきや、おそろしいほど淡泊に話は進む
まるで味気のない文献を読んでいる気分

展開が箇条書きすぎて、わざとドラマティックさを排除しているのかと疑うほどどこを楽しめばいいのか不明すぎる
いまどきの特定人物にスポットをあてた再現ドラマでも、過剰演出で視聴者を楽しませてくれるだろ、と言わざるえない
戦争やら時代の流れを取り入れるより、ベルトのある限定された人生期間にスポットをあて、その時期だけを濃密にドラマ化した方がまだ観られたかもしれん

個人的評価:20点
オススメ度:睡魔との背中合わせの戦い




画家モリゾ、マネの描いた美女 名画に隠された秘密 予告

2015年6月8日月曜日

予告犯 (2015/日)

監督:中村義洋
出演:生田斗真 / 戸田恵梨香 / 鈴木亮平 / 濱田岳 / 荒川良々 / 宅間孝行 / 坂口健太郎 / 窪田正孝 / 小松菜奈 / 福山康平 / 田中圭 / 滝藤賢一 / 本田博太郎 / 小日向文世

新聞紙をかぶって世の中の悪事に対し、私刑の予告ネット動画を投稿する男
警察のサイバー犯罪対策課が動く中、予告通りの事件が起きるのだった

報道番組のスポーツコーナーの特集で、ドラマ性のあるチームに密着取材するものがあり、チームのバックボーンを演出しつつ試合で惜しくも負けてしまうまでを描く
ひじょうにわかりにくい例えでいうなら、そんな感じの作品でした
一方的に片方に肩入れして美化して描かれ、そんな事情を抱えてる連中はほかにもいっぱいいるだろ、そもそも敵として設定されてる相手にだってドラマはあるんじゃねえのか、という違和感
素人が私的に制裁を加える予告動画をネットで配信、という一発屋的なものとしては成功してるけど、ただそれだけといった印象は否めない

ネットにアップされた予告通りに事件が起きたよ、ってな感じで警察が動き出す
そして捜査の手は確実に犯人たちに迫る中、予告するにいたる裏事情は捜査に関係なく主人公の回想で説明されるのだった、という流れの話でした
とりあえずシンブンシの言い分は言葉として説明はされるけど、観ててどうにも感情移入できない
手段にしてももっと他にやりようがあるだとか、そういうツッコミを心にしまって娯楽映画だから、と割り切ってみれば楽しめないでもないですが

主人公サイドだけの話としては分かりやすくていいんだけど、やられた側の「仕方ない」のさらに裏にあるドラマを交えたりした方が面白味が増してたかも
あとは警察側の描写をもっと正論&正義な感じでやりつつ、吉野の抱えた光と闇の部分と奥田のそれの対比とかじっくりと観たかった
新聞紙マスクの予告犯がネットを炎上させつつ、法に守られた加害者どもに制裁だ、っていう企画ものな出オチ作品な感じなのがもったいない

尺の問題もあるだろうけど、もっと色々な視点や角度から描けば個人的に好みな内容だったかもしれません

個人的評価:65点
オススメ度:もうこういう自分勝手な誹謗中傷匿名投稿系の演出は食傷気味ですわ




予告犯 予告

トゥモローランド (2015/米)

監督:ブラッド・バード
出演:ジョージ・クルーニー / ヒュー・ローリー / ブリット・ロバートソン / ラフィー・キャシディ / トーマス・ロビンソン / ティム・マッグロウ / キャスリン・ハーン / キーガン=マイケル・キー / ピアース・ガニォン / ジュディ・グリア

少年フランクは万博で出会った少女アテナにあるピンバッヂをもらう
そして、それによって不思議な未来世界のような場所へ導かれるのだった

どうせディズニーを誉めよ讃えよってなヌルイ映画かと思ってたら、意外と最後まで楽しむことができました
あえて今の時代だからこそのテーマなんだろうけど、もうちょい画的にショボくても1980年代から90年代にかけての頃に作られていれば名作SFアドベンチャーとして名が残ってたかもしれないですね
観ていて確かにわくわくするし、気持ちも盛り上がるんだけど「どこか懐かしい」という印象が強い
この「懐かしさ」が「新しさ」に感じられた時代に鑑賞したかったかも

夢のような未来世界へ導かれるフランク
そして時は経ってケイシーがその場所の存在を知ることになるけど、なんかそこでは問題が起きていた
という中で事態の把握と問題解決のために大騒動なアドベンチャーが展開される、と
ちょっと昔の簡単に情報が得られない不便さを空想で埋めていた日々、そんな時によく観た希望と奇抜なテクノロジーにあふれたアドベンチャー映画的な感じ

少年フランクの冒険、そしてケイシーとアテナの名コンビっぷりが楽しいですね
必要以上にネガティブな要素がなくて、テーマも分かりやすいのもいい
ただ、あるていどの大人が懐かしさを感じながら観るなら楽しめるかもしれないけど、やっぱり今の子供たちには派手さはあるものの低刺激すぎるかもしれない

なにより一番この映画を観るべきはやっぱり小さな子供たちなんだろうけど、一番楽しめるのはおっさんという、じゃっかんターゲットがブレてる感は否めない
もっと親子で観ようぜ、みたいなファミリー映画路線で売り出した方がいいんじゃなかろうか
「ベイマックス」といい、なんか日本での宣伝の方向性は微妙にずれててもったいないですね

個人的評価:80点
オススメ度:でも日本じゃSFというジャンルはファミリー路線とは相性悪いかな




トゥモローランド 予告

2015年6月7日日曜日

原宿デニール (2015/日)

監督:タカハタ秀太
出演:武田梨奈 / ミンス / ジュノ / ジュン / シュウタ / ギュミン / 今野浩喜 / 麻宮彩希 / 平田薫 / 椎名もも / 小山莉奈 / 外岡えりか / 三宅ひとみ / 田代さやか / 千阪健介 / 廣田ミヨン / ダレアレ悟 / Robin / 藤原理恵 / 野添義弘 / 木下ほうか / 山本浩司 / 浅利陽介 / 松尾諭 / Maiko / Yumi / Hami / 千佐文子 / 松本若菜 / 伊藤祐奈 / 街子 / アレクサンドラ・サナフィーバ / 太田篤

パンストのデニール当てをしている男、婦警やスカウトされることを夢見る男女
原宿を舞台にそこに集まる人々のエピソードが描かれる

しょうじきどんな話なのかまったく予想できなかったけど、実際に観てみるとオムニバスのような、劇中劇のような、ループもののような、イメージオチのような、なんともいえないジャンルの作品でした
思ったよりバカ騒ぎ度は低く、淡泊に文字通りくっだらねえ話が続くのがだんだん病みつきになってくる
すっごいおもしろいってわけじゃないのに、なんかよく分からないうちに作品にハマっていきます

話としてはある女性が、目にした人たちから着想してエピソードを書き上げていく感じのもの
実際のできごとなのか、脚本をイメージ化したものなのか、はたまた映画として撮影している体なのか、そんな部分をどうでもいい感じに「くっだらねえ」と観ているのがちょっとずつ楽しくなってきます
原宿という街について詳しい人はなお楽しめるかもしれません

全体的に淡々と話は進むんで、登場人物が多いわりにごちゃごちゃしてない
それでいて各エピソードをまたいでキャラが関わりあってきて、ゆるい感じで関係が収束していく
観ていても「けっきょくどんな方向へ話が落ち着くのか」ってのが見えづらいのが、良くも悪くも最後まで気持ちの引っかかりが持続しますね

合成着色料、保存料てんこもりなのに、けっきょく口と手を油まみれにしながら最後まで食べてしまう駄菓子的な変な魅力のある一本でした
B級っぽいのを許容できない人には完走はつらいかもしれんね

個人的評価:75点
オススメ度:新宿より40分短い原宿、監督にもっとしゃべってほしかった




原宿デニール 予告

トイレのピエタ (2015/日)

監督:松永大司
出演:野田洋次郎 / 杉咲花 / リリー・フランキー / 市川紗椰 / 古舘寛治 / MEGUMI / 岩松了 / 大竹しのぶ / 宮沢りえ / 森下能幸 / 澤田陸

フリーターの園田はバイト中に倒れ、病院に運ばれる
その検査結果が知らされる日、親族の代わりに病院で出会った少女に妹役を頼むのだった

病ものとボーイミーツガール、どう話が転がるのかちょっとめんどくさそうな感じがしたけど、内容はすごい分かりやすいものだった
ちょっと過剰説明すぎじゃないのか、と思えなくもないくらいで、私のような鈍い人間にも描きたいものが理解できるほど
主人公とヒロインのじゃっかん不安定な部分は、実力のある人たちが脇を固めることで良い形になっているドラマでした

自分の人生にさめてる主人公が死の宣告を受けることで、ヒロインといっしょに生きることか真剣に考えるようになるうんぬん、ってな話
そんなふたりがメインに変わりはないけど、主人公の周りの人物たちの存在もかなり大きいですね
停滞した人生を送ってた男が、悪い意味でも良い意味でも動かされ動き出す姿がおもしろい

ヒロインである真衣の存在が主人公の歩みを助けるだけなポジションではなく、もうひとりの内なる園田としての代弁者になってるのがいい感じ
最初こそ真衣の言動や行動に観ててイラっとくるものがあったけど、園田とのセットでとらえるとバランスがとれてると気づける
真衣の言葉は園田の耳をふさいで聞こえないようにしていた自分の心の声、みたいな感じで

作品として言いたいことなんかもだいたい園田&真衣が言葉と行動で語ってくれて、なんかドラマを自分の力で分かったように、ちょっと賢くなったような優越感を自然と感じさせてくれる一本でした

個人的評価:80点
オススメ度:リリーさんの美尻といい、なにげに尻映画とも言えなくもない気がしないでもない




トイレのピエタ 予告

2015年6月3日水曜日

ソレダケ that's it (2015/日)

監督:石井岳龍
出演:染谷将太 / 水野絵梨奈 / 渋川清彦 / 村上淳 / 綾野剛

金とハードディスクを奪った大黒は、それを取引材料に殺したい相手の情報を得ようとする
そして恵比寿と交渉をはじめるのだが・・・

なんというか個人的に塚本晋也監督の「鉄男」に心酔していた頃の気分を思い出させてもらいました
好き嫌いのはっきり分かれる作りで、私はすっごい楽しめたけどダメな人はまったくついていけないかもしれません
あと、いつものごとくなにわかっぷりでブラッドサースティ・ブッチャーズというバンドについて知らなかったのを白状しておきます
なのに、なんでこの映画を観たんだ、とつっこまれたら返す言葉もないけど、まあ、結果として楽しめたんだから気にしない方向で

話としては殺したいやつのためにブツと引き換えに交渉しようとする主人公だけど、どんどん泥沼にはまっていく、という感じ
ブッチャーズの楽曲とのコラボっていう体で、わりと音楽の重要性が高いんだけど、個人的には最初こそ曲が目立つもののどんどん作品じたいに引き込まれていきましたね
ライブハウスのスピーカの前にいるようなインパクトの大きい爆音にもじょじょに慣れ、それすら作品の演出として気にならなくなってくる

独特な見せ方にB級くさいふざけた感じがするものの、それすらかっこよく思える
そして、こういう死んだ目が似合う主人公も魅力的ながら、やっぱり千手の存在が鳥肌もののかっこよさがなんとも言えない
と、ホントに個人的には「良い」と思える部分が、多くの人にとっては「はあ?」となるだろうことは否定できないから、手放しで他人にすすめるのは躊躇しますね
特にクライマックスのバトルとか、そこまでノリノリだった人でも「ちょっと、これは・・・」と思う人もいるでしょう

ちょい中だるみを感じざるえないのが気になるけど、楽曲に強い思い入れがなくとも楽しめる人には楽しめる作品でした
逆もまたしかりですが

個人的評価:85点
オススメ度:主人公にPC知識があることに驚きだわ




ソレダケ that's it 予告

メイズ・ランナー (2014/米)

監督:ウェス・ボール
出演:ディラン・オブライエン / カヤ・スコデラーリオ / アムル・アミーン / トーマス・ブロディ=サングスター / キー・ホン・リー / ウィル・ポールター / パトリシア・クラークソン / ブレイク・クーパー / デクスター・ダーデン / クリス・シェフィールド / ジェイコブ・ラティモア / ジョー・アドラー / カール・グリーン / ランドール・D・カニンガム / アレクサンダー・フローレス

記憶を失い、訳も分からないままに壁に囲まれた場所へ送り込まれた男
そこでは同じ境遇の男たちが生活しており、壁の向こうにはこの場からの脱出の謎が隠されているだろう迷宮が広がっているのだった

三部作っていうふれこみから、完結編を待っていっきに観ようかとも思ったけど鑑賞することにしました
思ってたより話が進んだとこで終わった感じで、続編ありきにしては訳がわからなすぎることなくスッキリ観終えることができました
それでもやるならあまり間をおかずに公開してくれないと、しょうじき次も劇場へ足を運ぶかは微妙かもしれん

あるていどのルールのもとで迷宮探索をするみんなをよそに、新入り主人公は自分をつらぬいてひっかき回す
それが時に良い方向へ、時に悪い方向へ転がりつつ状況は停滞から確実に流れはじめる、みたいな話
なんか色々と独自の生活っぷりを、新入り主人公目線で説明する感じは分かりやすくていいですね
まあ、せっかく説明してくれてあれだけど、展開が早すぎて閉鎖世界を楽しむ暇もなかったですが

うだうだといつまでも迷宮の謎の核心へ足を踏み出さないのも苛つくだろうけど、もうちょい日々の暮らしの中での仲間どうしの醜い争いを観ていたかったかも
足早に話は展開していくのはスリリングでいいけど、どうしてもちょっと軽い印象をうけてしまう気がしないでもない
せっかく女の子をテコ入れしたんだから、性的な意味でのいざこざくらいあってもよろしかろうに

迷宮を探索しているどきどき感や、謎を解くミステリアス感が思ったより薄く、なんかひたすら走って逃げて戦って、とアクション要素が強い
謎の部分は頭が混乱するほど難解じゃなさそうなので、そういう意味では続編を観た時に話についていきやすいかも
ちょっとした謎がある娯楽アクション映画として、だらっと鑑賞できた一本でした

個人的評価:75点
オススメ度:ほら、野郎ばかりで囲われた世界で、何年も過ごしてれば、いろいろとあるんじゃないの?




メイズ・ランナー 予告

2015年6月1日月曜日

新宿スワン (2015/日)

監督:園子温
出演:綾野剛 / 山田孝之 / 沢尻エリカ / 伊勢谷友介 / 金子ノブアキ / 深水元基 / 村上淳 / 久保田悠来 / 真野恵里菜 / 丸高愛美 / 安田顕 / 山田優 / 豊原功補 / 吉田鋼太郎 / 今野杏南

金もやることもないまま新宿で暴れる白鳥龍彦は、そこに居合わせた真虎に助けられる
そんな真虎に見初められ、龍彦は風俗で働く女性をスカウトする仕事をまかせられるのだった

エロ、バイオレンス、陰謀渦巻きながら結局は拳と拳な男の子が大好きな要素がぎゅっとつまってる作品でした
なんかちょっとノリが「クローズ」くさいと思ってたら、プロデューサーが関わってるみたいですね
夜の新宿、歌舞伎町、風俗スカウトバトル、となんか大人な駆け引きと暴力の世界っぽい印象を抱いてたけど、ホントに少年マンガな感じ
主人公の龍彦に思ったより感情移入できて、綾野剛の顔芸というか演技力の面での魅力にあふれてておもしろかった

ひよっこな主人公が先輩たちとスカウト&新宿での生き方を、時に優しく時に厳しく体に教え込まれる
そんな中でライバルキャラが暗躍してくる、というヤンキーマンガみたいな内容
主人公がらみのトラブルとスカウト会社としてのもめごと話が並行して進み、そこに絡んでくる登場人物たちをうまく光輝かせてますね
暗躍キャラ、脳筋キャラ、生贄キャラ、大物&小物キャラ、舞台を盛り上げるキャラはたいがいそろってる

なにより主人公の過剰演技ながら鼻につかない魅力が一番いい
他のみんなもそうだけど、わりきって登場人物を単純な記号化してるから分かりやすい
そういう意味ではダークでシリアスなバイオレンスものを期待していると、ガキの世界っぽい雰囲気に物足りなさをおぼえる人もいるかもしれん
龍彦と秀吉の闘争もけっきょく子供の喧嘩に見えなくないしね

主人公の青臭い理屈や拳が通じなさそうなキャラも残ってるし、そんな奴らにどう立ち向かうかという意味で続編が気になりますね

個人的評価:80点
オススメ度:監督が園子温さんなんだけど、なんかそんな感じがしない




新宿スワン 予告

イニシエーション・ラブ (2015/日)

監督:堤幸彦
出演:松田翔太 / 前田敦子 / 木村文乃 / 三浦貴大 / 前野朋哉 / 森岡龍 / 矢野聖人 / 藤原季節 / 吉谷彩子 / 松浦雅 / 八重樫琴美 / 大西礼芳 / 佐藤玲 / 山西惇 / 木梨憲武 / 手塚理美 / 片岡鶴太郎 / 池上幸平

人数合わせの合コンに参加した鈴木は、そこで出会った繭子のことが気になる
ふたりはそれからも接点があったことから自然とつきあうようになるのだった

だから、もう、ホントに「騙される」という部分を売りにするのはやめないか
そう言われたら構えて観るのは至極当然なのに、ほとんどの人が騙されることはないだろう隙だらけの作りにガッカリ
しかも、間違っても繰り返し観たいと思うことはない
というか強制的に「あなたは必ず2回観る。」作りになってるじゃねえか、と言わざるえない

鈴木と繭子がつき合うようになり、ふたりがラブラブちゅっちゅと80年代の懐かしい雰囲気で日々を送るんだけど、なんかちょっと引っかかるものがある
という作品で、昔なつかしな時代とどうでもいいロマンスをながめているのが退屈すぎる
そういう意味では「騙される」という売り文句があったおかげで注意力が切れなかったのかもしれん

さんざん言われてるだろうけど、多くの人はタックのくだりでうっすらと感づき、遅くてもB面がはじまれば全容はほぼ分かるでしょう
それでも、そう分かるように仕組まれて作られていて、そっからさらにもう一段階なにか仕掛けがあるだろう、と信じていたんですが・・・
ネタバレはしないけど、物足りないにもほどがある

猟奇的なダークななにか、二段三段のどんでん返し、そんなのを期待してると裏切られますね
最後がしまらないものだから、作中の曲も含めて演出があざとくて嫌らしく思えてしまうだけの一本でした

個人的評価:30点
オススメ度:予告編詐欺的な意味では騙されたと言えなくもない




イニシエーション・ラブ 予告