2015年11月30日月曜日

黄金のアデーレ 名画の帰還 (2015/米・英)

監督:サイモン・カーティス
出演:ヘレン・ミレン / ライアン・レイノルズ / ダニエル・ブリュール / ケイティ・ホームズ / タチアナ・マズラニー / マックス・アイアンズ / チャールズ・ダンス / エリザベス・マクガバン / ジョナサン・プライス / フランシス・フィッシャー

マリアは伯母のアデーレをモデルに描かれたクリムトの名画をオーストリア政府相手に返還してもらおうと考える
そこで選ばれた若き弁護士ランディは最初こそ無謀な依頼だと考えていたのだが・・・

名画にまつわるドラマと法廷劇、基本となるそこら辺もいいけど個人的には主人公ふたりの視点を追いかけてるのが楽しかった
核となる画をめぐってマリアとランディの見ている方向が異なっていて、さらに物語の進行に合わせてさらに微妙に向きがずれてくる、そんなふたりの視点をスイッチングしながら鑑賞するのがおもしろい
マリアの年を重ねてきたことの良い点も悪い点も、ランディの若さゆえの良い点も悪い点もじょじょに浮かび上がってくるドラマ性はめんどくさそうだけど、ぼんやり観ていても「ここが重要だったんだよ」と描いてくれるので分かりやすい
マリアの過去に関しての感動のドラマや、ランディの奇想天外な発想からの法廷劇を過度に期待していると物足りないかもしれないけど、作品の構成だけで堪能できた一本でした

個人的評価:75点
オススメ度:オーストリア政府がちょっとチョロすぎるように見えるのは仕方なしか



黄金のアデーレ 名画の帰還 予告

亜人 衝動 (2015/日)

監督:瀬下寛之
出演:宮野真守 / 細谷佳正 / 大塚芳忠 / 櫻井孝宏 / 小松未可子 / 平川大輔 / 洲崎綾 / 木下浩之

不死身の肉体を持つ亜人の存在が認められる世界
高校生の永井圭はある日、交通事故により亜人であることが発覚し・・・

心身ともに脆弱で凡庸な少年という存在の主人公が、世界に影響を与える立場へ立たされる
というベースにどんだけこの作品だからこその肉付けをしてくるのか、という部分だけを期待してたしょせんは能力者ものとい期待値の低さを大きく裏切ってくれて楽しめた
訳の分からない状態と状況におちいって、周りに翻弄されるままに流されるっていう中で、ところどころ主人公の言動や行動に「?」となる引っかかりがおもしろい
そんな疑問点が話が進むにつれて大きくなっていき、ありきたりな巻き込まれ型主人公じゃないのが分かってくるのがいい
ストーリーもテンポよく進み、さすがに第1部なだけにきれいにまとまるわけじゃないけど盛り上がるべきところはきちんとあるので退屈はしない
なんか時代の流行もの設定のおいしい部分をつまんできて作られた即席作品なんて失礼な思いが鑑賞後には完全に消えてなくなってましたね

個人的評価:80点
オススメ度:妹のビッチ的発言が後々にきいてくる



亜人 衝動 予告

愛を語れば変態ですか (2015/日)

監督:福原充則
出演:黒川芽以 / 野間口徹 / 今野浩喜 / 栩原楽人 / チャンカワイ / 永島敏行

オープン前日のカレー屋、あさこが夫とその後輩と準備を進める中、バイトの面接を受けに男が訪れる
さらにそこへあさこのことを好きだと公言する男がやってきて・・・

舞台演劇風な映画ってのはいくつかあるけど、まんま舞台を映し出しているとしか思えない作りなのは珍しいかも
そういう意味ではシチュエーションコメディとしての映画作品として鑑賞にのぞむとしっくりこないでしょうね
悪く言えば映画の体をなしてないんだけど、ライブ感がない舞台として割り切ってみれば楽しめる、という感じであるていどの観劇脳が必要なクセのある作品
土台がコメディだけに人によってはウザキャラばかりで辟易し、コントを延々と観せられていると思えるだろうってのは否めない
クライマックスでやっと舞台を飛び出して、っておもしろくなってきたと思いきや結局は舞台から舞台へ移っただけで枠の窮屈さが映画作品としてはちょっと残念な一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:口を開けばウザキャラですか



愛を語れば変態ですか 予告

2015年11月29日日曜日

007 スペクター (2015/米)

監督:サム・メンデス
出演:ダニエル・クレイグ / クリストフ・ワルツ / レア・セドゥー / レイフ・ファインズ / モニカ・ベルッチ / ベン・ウィショー / ナオミ・ハリス / デビッド・バウティスタ / アンドリュー・スコット / ロリー・キニア / イェスパー・クリステンセン / ステファニー・シグマン

英国諜報員のボンドはメキシコである男を抹殺する
その行為は正規の任務ではなかったことから、彼は監視のもとに停職させられるが・・・

古くからのシリーズファンにも新たに観る人にとっても、アクションと遊び心がちりばめられていてサービス精神旺盛な感じでしたね
スペクターを扱うことに変な気負いや凝り固まりがなく、けっこう観やすい内容でした
前作の復活から、死と復活をイメージする今作導入が良い感じに作用して、物語が進むにつれて「ああ、そういう作りなのね」と得心する
新規のお客さんに向けては場面を変えて手を変えてのアクションと緊張感をほぐすユーモアで楽しませてくれる
で、旧来からのお客さんに向けてはスペクターという求心力からここ数作のつながり、なにより猫とかスカーフェイスににやりとせずにいられないでしょう
しょうじき内容だけだったらスカイフォールのが好みだけど、こういう方向性の娯楽傾向は歓迎できる一本でした

個人的評価:85点
オススメ度:でもこれ次作への制作陣向けハードルがめちゃくちゃ上がってるよね



007 スペクター 予告

かけがえのない人 (2014/米)

監督:マイケル・ホフマン
出演:ミシェル・モナハン / ジェームズ・マースデン / ルーク・ブレイシー / リアナ・リベラト / キャロライン・グッドオール / ジェラルド・マクレイニー

ある日、弁護士から連絡を受けたドーソンは、訪れた先で21年ぶりにかつての恋人のアマンダと再会する
そんなふたりの高校時代には様々な思い出があり・・・

変にコミカルなところや軽さのないド直球なラブストーリーでした
現在と過去の話が並行して進み、やがてその先へと展開していく作りはオーソドックスながら安定感がある
ラブストーリーとしては障害を乗り越えては次の問題がたちふさがる、という王道展開だけど甘く、良い出来事だけで包まれていない雰囲気はおもしろい
どんなに愛が深まろうと、そのふたりの関係の裏にちらつく冷たい現実が常にいいアクセントになっていて、過去話が現在の展開に追いついてからも気が抜けない緊張感が持続する
しょうじき地味さは否めないし、あまりにピンポイントで不幸が襲ってくることに強引さを感じるところもあるけど、記憶に残るかどうかは別として良い話であることは間違いない作品でした

個人的評価:75点
オススメ度;振り返って分かるドーソンの行動原理



かけがえのない人 予告

2015年11月23日月曜日

劇場霊 (2015/日)

監督:中田秀夫
出演:島崎遥香 / 足立梨花 / 高田里穂 / 町田啓太 / 中村育二 / 小市慢太郎

売れない女優の沙羅は事務所のすすめで、とある舞台のオーディションを受けることになる
そして、その舞台で使われるために不気味な人形が運び込まれるのだった

なんか人形が「ちょうだい、ちょうだい」言いながら舞台の出演者を霊的なアレでナニする
という予告編から読みとれる以上のものはなにもない、観ているあいだにJホラー黄金期に量産されたガッカリ類似映画が蔓延する時代に戻された気分になれる
ちょっとはそんな残念っぷりを覚悟してたけど、ここまでただ不快になるだけの演技をみせられる苦行を強いられることになるとは
それでもラストは多少なんかひねってくるはず、と期待してたのにロボットダンス的な動きで笑わせにくるしまつ
エンドクレジット後に場内にリアル失笑があふれる映画もいまどき逆に珍しいんじゃないかと、そういう意味では貴重な体験ができたと嫌みのひとつももらしたくなる
クライマックスで都合に合わせて霊的な本気をだしてきたり、正体としての真相も弱いし、演技も内容もどうにもこうにもな一本でした

個人的評価:10点
オススメ度:無料動画配信でじゅうぶんだろ



劇場霊 予告

リトルプリンス 星の王子さまと私 (2014/仏)

監督:マーク・オズボーン
出演:ジェフ・ブリッジス / マッケンジー・フォイ / レイチェル・マクアダムス / ジェームズ・フランコ / ベニチオ・デル・トロ / マリオン・コティヤール / ポール・ジアマッティ / アルバート・ブルックス / リッキー・ジャーベイス / バッド・コート / ライリー・オズボーン

あこがれの学園に入学するために引っ越してきた母娘は、隣のボロ家にすむおじいさんの迷惑行為に頭をいためる
そんな中、お母さんの計画通りに日々を過ごす女の子は、おじいさんの星の王子さまの話にじょじょにひかれていき・・・

それなりにざっくりと原作の物語は描かれるけど、やっぱり「その先の話」としての作品なんで元となる「星の王子さま」は読んでおいた方がいいかも
現代社会の悪い部分をあからさまに表現する説教臭さや、プリンスの描写に嫌悪感を感じないと言えば嘘になるけど、個人的には多様なメッセージをくみ取ることができて心に響くものをえられた
良い部分も悪い部分も受け取り手の感じたものをすべて許容する柔軟さ、それでいて作品としてひとつの答えに凝り固まらせないの原作を受けてのこの映画もその作りはそれなりに受け継がれている感じ
ちょっと感じとり方を誘導されてる気もするけど、まあ、嫌な気分になるほどじゃない
大人も子供もなにかしら思いを抱けるものがあるだろうけど、惜しいのは「星の王子さま」に興味のない大人は、この作品にも興味をいだかないだろうってことですね

個人的評価:80点
オススメ度:原作の熱烈な信者はどう感じるのか気になる部分ではある



リトルプリンス 星の王子さまと私 予告

2015年11月22日日曜日

ムーン・ウォーカーズ (2015/仏・ベルギー)

監督:アントワーヌ・バルドー=ジャケ
出演:ロン・パールマン / ルパート・グリント / ロバート・シーハン / スティーブン・キャンベル・ムーア / エリック・ランパール / ケビン・ビショップ / トム・オーデナールト / エリカ・セント

アポロ11号による月面着陸計画が進む中、CIA諜報員のキッドマンは計画の失敗を見越した捏造映像をキューブリック監督に依頼する任を受ける
イギリス入りした彼は監督のエージェントと勘違いし、売れないバンドのマネージャーのジョニーへ依頼してしまう

思った以上にバイオレンスでバカバカしい、というより毒々しい内容でした
ベトナム戦争の幻覚からシュールなアニメのOPがクソB級くささ(ほめ言葉)を醸しだし、本編への期待値が高まらざるえない
んで、やっぱり本編もドラッグ的な世界観とバイオレンスが波のように襲ってきて、そのイッてるセンスが気持ちいい人にはたまらない
ただ個人的にはどうにも要所要所で盛り上がるバイオレンスにはっちゃけるシーンの寸止め感に高まりきれない
内容は分かりやすくどんどんカオスに転がっていって、いよいよもってクライマックスで暴発する、のはクッソ楽しめる
だけど、もっとベトナム戦争の幻覚をいかして、全体的にイクとこまでイッた暴走っぷりをもっと堪能したかった
もうちょっと弾けてほしい、ってところでお預けをくらったような感じがした一本でした

個人的評価:75点
オススメ度:たるんたるんのおっさんを見せつけられる



ムーン・ウォーカーズ 予告

2015年11月16日月曜日

起終点駅 ターミナル (2015/日)

監督:篠原哲雄
出演:佐藤浩市 / 本田翼 / 中村獅童 / 和田正人 / 音尾琢真 / 泉谷しげる / 尾野真千子

旭川で判事をやっている鷲田完治はひょんなことから昔の恋人と再会する
東京に妻と息子がある身ながら、完治はその女との関係を深めていってしまうのだった

北海道、雪、駅という要素だけでも重苦しい内容を想起させ、実際に出だしからけっこうヘビーな展開で「観るのに体力を使いそうな映画だな」と思わせる
だけどそんなのも最初だけで話が進むうちに意外と肩の力を抜いて楽しめる内容だと分かります
とりあえず飯の描写が反則的すぎて、話の流れからホッと一息つけると同時に腹が減る
内容じたいも演出、演技、台詞によって主人公の感情の流れがひじょうに分かりやすく描写されていて、変に難しい部分やめんどくささはないので、おっさんおばさんはもとより若い世代にも伝わりやすい作りになってる感じ
ちゃんと心情にうったえるところはしっかりと響かせてくれているので、重すぎはしないけど軽すぎもしない味加減が楽しめる

個人的評価:85点
オススメ度:いくら泣きの飯+演技の合わせ技は卑怯だろ



起終点駅 ターミナル 予告

劇場版 媚空 (2015/日)

監督:雨宮慶太
出演:秋元才加 / 須賀健太 / 朝倉えりか / 伊藤かずえ / ミッキー・カーチス / 佐野史郎

闇に堕ちた者に対処する闇斬師を生業とする媚空
ある日、元老院よりダイチと名乗る使者がつかわされ、ひとりの男の心を見定める任を受けることになる媚空であった

TVシリーズ終了から微妙に時間が空いた上、なんか作中でもそんなに強烈なキャラクター性があった気がしない媚空を主人公にした劇場作品とかどうよ
という負のイメージが拭えないままに鑑賞したけど、意外にストーリーに引き込まれて楽しめた
あくまで牙狼シリーズ作品という視点で観るならば、話的にも完成度はけっこう高い
媚空も実際に動いているのをみると堂々と主人公として描かれているし、スピンオフや外伝特有の物足りなさみたいなものはない
ホラーが関わってこない人間同士の話でもここまでおもしろくなるとは思わなかった
最後の媚空と白海との会話からの流れも良い味がでていて作り方としておもしろい
まあ、それでもホントに映画としてじゃなく、牙狼としてという前提ありきで評価できる一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:媚空さんキックがカッコいいっすわ



劇場版 媚空 予告

2015年11月15日日曜日

ラスト・ナイツ (2015/米)

監督:紀里谷和明
出演:クライブ・オーウェン / モーガン・フリーマン / クリフ・カーティス / アクセル・ヘニー / ペイマン・モアディ / アイェレット・ゾラー / ショーレ・アグダシュルー / 伊原剛志 / アン・ソンギ

バルトーク卿に仕える騎士隊長ライデン
主君が都の大臣へ賄賂を贈ることをよしとしないことから問題をおこし、ライデンは苦渋の命を迫られる

西洋風なビジュアル重視のなんちゃって忠臣蔵、という先入観で期待値は低かったけど、オープニング戦いでの殺陣に燃える
忠、義、忍、上辺だけじゃない魂がこめられていて、日本人が大好きな時代劇の要素が色濃い
それでいてこてこてな外国人風貌なライデン隊長が不思議と作品にとけ込んでいて、心の芯の部分からキャラクターが非常に魅力的に描かれている
というかマジで男としてライデン隊長に惚れる
さらに敵側も小心者な悪大臣、それを分かっていながら騎士として仕える敵隊長も設定の時代劇っぷりがはまっている
まあ、ちょっと敵側のストーカー行為の重複描写が滑稽だけど、引っかかるのはそこくらい
日本人監督の地味騎士ものとか、監督名で敬遠するのはもったいない作品ですね

個人的評価:85点
オススメ度:なにげにライデン隊長の奥さんも素晴らしい



ラスト・ナイツ 予告

ハーモニー (2015/日)

監督:なかむらたかし / マイケル・アリアス
出演:沢城みゆき / 上田麗奈 / 洲崎綾 / 榊原良子 / 大塚明夫 / 三木眞一郎 / チョー冴紀 / 森田順平

人の健康状態がコンピュータによって管理された社会
螺旋監察官のトァンは学生時代の親友ミァハの影と日本社会から逃げるよう、戦場でシステムの目を盗んで生活していたのだが・・・

良い意味でも悪い意味でも原作小説を映し出している作品でした
しょうじき原作を読んだ人が映像として参考として観るもので、これを単体で鑑賞するとけっこうきびしいかもしれない
内容じたいも映画というよりTVアニメとして連続ドラマの体の方があっている感じで、30分アニメで区切ってくれれば耐えられるけど、長時間ずっと押し寄せるセリフの波に眠気をおさえるのに苦労する
ストーリーとしての映像化という意味ではいいんだけど、やっぱり読み物という核となる部分がこの作品だけでは描き切れてない気がしないでもない
あとは未来世界な表現からくる建築物や美術的な部分がちょっと個人的にしっくりこなかったのが残念
小説を読んだ人が読んでない人といっしょに観て、「これってこういうことなんだよ」としたり顔で語るのにちょうどいい作品かもしれません

個人的評価:70点
オススメ度:性的表現のストレートさは評価せざるえない



ハーモニー 予告

コードネーム U.N.C.L.E. (2015/米)

監督:ガイ・リッチー
出演:ヘンリー・カビル / アーミー・ハマー / アリシア・ビカンダー / エリザベス・デビッキ / ヒュー・グラント / ジャレッド・ハリス / ルカ・カルバーニ / シルベスター・グロート / クリスチャン・ベルケル / ミシャ・クズネツォフ / デビッド・ベッカム

CIAエージェントのソロは任務のために東ベルリンで整備士の女ギャビーに接触する
そこへKGBのエージェントのイリヤがふたりを追ってきて・・・

なんだかんだバディものといってもどっちかが引き立て役になもんだけど、この作品では互いの長所と欠点を不本意ながらもカバーしあっている対等さがおもしろい
ヒロインであるギャビーを要に王道ながら安定感のあるスパイアクションもののストーリー展開で、土台がかためられていてスタイリッシュな見てくれだけな内容になってないのもいいですね
変にきをてらいすぎてないストーリーゆえに、ノリノリなBGMと演出、ビジュアルに集中できて堪能できました
楽曲と狙いすぎなシーンの数々が鼻につく人もいるだろうから、なんとも言えないけどわりと万人向けよりな作りになってる感じの一本でした
こういうふうに当たり前のように続編を堂々とにおわされると次作にも期待せざるえない一本でした

個人的評価:85点
オススメ度:思ったよりソロが完璧超人じゃないのが逆に魅力的



コードネーム U.N.C.L.E. 予告

2015年11月9日月曜日

グラスホッパー (2015/日)

監督:瀧本智行
出演:生田斗真 / 浅野忠信 / 山田涼介 / 麻生久美子 / 波瑠 / 菜々緒 / 村上淳 / 宇崎竜童 / 吉岡秀隆 / 石橋蓮司 / 金児憲史 / 佐津川愛美 / 山崎ハコ

車の暴走事件で恋人を失った鈴木が後日、その現場を訪れると真犯人は別にいるむねの謎のメッセージを拾う
その手がかりをもとに記されていた組織へ潜り込むのだったが・・・

主人公の鈴木がなんらかの勢力に利用されている、という前提を頭においた上でさらにどんな真相が待っているのか期待心をくすぐられて最後まで引っ張られる
鯨と蝉の話が鈴木の話と微妙にリンクしながら並行して進むため、色々と裏の事情を先読みしながら観ているのが楽しい
鯨の能力や蝉の耳鳴り、トノサマバッタのくだりやら、なんかすっごい意味がありそうな素材が散らばっていて、それらの情報をもとにあれこれ考察している鑑賞中はホントに楽しい・・・んですが、ね
ネタバレになる部分はさけるにしても、真相が分かった後にもうひとつガツンとくる何かがほしかった
鈴木は鈴木でアレでいいとしても、最後までつきあわされた観ている側にも「おお!」っていうご褒美みたいのがないんですよね
観ている間はのめり込めるんだけど、観客と主人公の立場のリンクが微妙にずれてる気持ち悪さというか物足りなさを感じるオチだった一本でした

個人的評価:75点
オススメ度:変態殺し屋大戦争なノリの三池監督か園監督版で観たかった



グラスホッパー 予告

ミケランジェロ・プロジェクト (2014/米)

監督:ジョージ・クルーニー
出演:ジョージ・クルーニー / マット・デイモン / ケイト・ブランシェット / ビル・マーレイ / ジョン・グッドマン / ジャン・デュジャルダン / ボブ・バラバン / ヒュー・ボネビル

第二次大戦末期、ナチスに強奪された美術品を取り戻すため、ストークスは仲間を集める
美術品に関してはプロだが兵としては素人の面々を率い、奪われた品々を探すのだったが・・・

美術品のエキスパートの素人兵をたばねて、堅牢なナチスの施設に大胆不敵な計画を練って奪還作戦、みたいなエンターテインメントを想像してたけど地味すぎる一同の活動に微妙さを感じざるえない
とりえあず無駄に豪華な出演陣で、戦争映画ってほど重厚でもないし娯楽作品ってほどユーモラスさに偏ってもいない作風にどう向かい合って良いか悩まされる
かといって退屈きわまるってほどでもなく、ドナルドの手紙やハイル・ヒトラーに反応する子供たちなど、随所に感じるものあり、笑えるところありと光る部分もあるんですよね
淡々と話が進んでは時折はさまれる印象に残るシーンの繰り返し、という悪く言えばちぐはぐさがもったいない一本でした

個人的評価:65点
オススメ度:実話ベースの地味さは素材そのままってわけですかね



ミケランジェロ・プロジェクト 予告

2015年11月8日日曜日

劇場版 MOZU (2015/日)

監督:羽住英一郎
出演:西島秀俊 / ビートたけし / 香川照之 / 真木よう子 / 伊勢谷友介 / 松坂桃李 / 長谷川博己 / 小日向文世 / 池松壮亮 / 伊藤淳史 / 杉咲花 / 阿部力

ビルを襲った爆弾テロ集団騒ぎの中、倉木警部は大使員襲撃の現場に居合わせる
そしてそれらの事件の裏にダルマの存在がちらちき、否応なく倉木は巻き込まれていく

テレビドラマ版でも徐々に変態キャラ祭りになってきてたのに、さらに変態度がスケールアップした劇場版でした
シリーズが長引くほど、その黒幕が実際に動き出した時のガッカリ感が浮き上がり、姿が見えない方が盛り上がるパターンからは脱せなかった印象
なんとなく予想はしてたけど、新谷はもちろん東もダルマもキーになるキャラの結末はすべからくもやっとしている
これが結末だと言われればそうも受け取れるし、様子を見て続編をやろうと思えばできる卑怯なラストですね
黒幕の急にここにて行動が雑で計画が杜撰になってるのは気になるけど、場面ごとにアクションや謎の展開っぷりは安心して観ていられて楽しめました

個人的評価:70点
オススメ度:もう死んだ死んだ詐欺はいいんで



劇場版 MOZU 予告

サヨナラの代わりに (2014/米)

監督:ジョージ・C・ウルフ
出演:ヒラリー・スワンク / エミー・ロッサム / ジョシュ・デュアメル / ロレッタ・デバイン / マーシャ・ゲイ・ハーデン / フランシス・フィッシャー / ジェイソン・リッター / アリ・ラーター

ALS患者のケイトは新たに介護してくれる女性のベックを雇う
失敗続きの彼女に夫のエヴァンは心配するばかりだが、ケイトはベックをとどまらせる

いわゆる難病もので、どことなく「最強のふたり」の女性版なイメージをぬぐえないけど、実際に観てみるとまったく違うおもしろさでした
真逆の性格な感じの患者と介護人という中での友情や、闘病生活に鬱々としない日々の生活の素晴らしさという面はもちろんきちんと描かれている
そこにプラスされる要素があるかないかで、こういう難病もののおもしろさは大きく左右されるだろうけど、この作品にはそれがありましたね
「幸せ」というテーマがとても分かりやすく描かれていて、鈍い私でもすんなりと理解することができました
死へ向かう「悲しさ」より強かに生きる「幸せ」ということを感じさせてくれた作品となりました

個人的評価:80点
オススメ度:叫び合いにふるえざるえない



サヨナラの代わりに 予告

2015年11月2日月曜日

PAN ネバーランド、夢のはじまり (2015/米)

監督:ジョー・ライト
出演:リーバイ・ミラー / ヒュー・ジャックマン / ルーニー・マーラ / ギャレット・ヘドランド / アマンダ・セイフライド / アディール・アクタル

戦時下のロンドン、孤児院で生活する少年パンは大人たちに冷たく扱われていた
そんなある夜、パンを含む孤児院の子供たちは謎の空飛ぶ船を操る海賊たちに連れ去られてしまい・・・

次々にめまぐるしく展開するさまは、まるでダイジェスト映像を観ているようなハイスピード、というかスキップ感
現状をじゅうぶんに堪能する暇も、余韻にひたったり間でひといきつくことも許されず、悪く言えば暴力的に無理矢理おしつけられるままに流されっぱなし
落ち着きがないお子さまなら飛ばし飛ばし見ても、いつでも華やかに盛り上がるアドベンチャーが展開しているんで楽しめるかもしれない
映像や美術的なセンスや美しさがもったいないくらい使い捨てな感じで、次々に画面からあふれてはこぼれていく
これからどうするんだろう、どうなるんだろうというわくわく感すら抱かせる時間を観ている側に与えてくれない全自動急速展開っぷりに置いていかれっぱなしな一本でした

個人的評価:50点
オススメ度:わりとさっくり覚醒するピーターくん



PAN ネバーランド、夢のはじまり 予告

俺物語!! (2015/日)

監督:河合勇人
出演:鈴木亮平 / 永野芽郁 / 坂口健太郎 / 森高愛 / 高橋春織 / 恒松祐里 / 健太郎 / 篠田諒 / 小松直樹 / 中尾明慶 / 高田里穂 / 富田海人 / 堀越太耀 / 池谷のぶえ / 安井順平 / 緑友利恵 / 渋川清彦 / 寺脇康文 / 鈴木砂羽

強面の高校生の剛田猛男はある日、ひとりの少女、大和凛子と出会う
彼女に一目惚れする猛男であったが、凛子は友人の砂川のことが好きだと思いこんでしまい・・・

完全なるデートムービー、もしくは女子同士でキャスト目当てで観る映画、という事前の印象から避けようかと思ってたんですが、鈴木先生のノリはけっこう好きだったので鑑賞
思ってたより甘さは控えめで、というかむしろまっとうな青春ドラマな感じなむずがゆさがおもしろかった
砂川を間にはさんだ猛男と凛子のちょっとしたすれ違いが、ふたりの距離を近づけては遠くしていくもどかしさがコミカルで楽しい
砂川がホントに良い奴すぎて個人的には猛男より惚れてしまいそうにならざるえない
どろどろとした展開でドラマ性を膨らませるのもアリかもしれんけど、あえてこういうさわやかで軽く楽しめる後味の良さに仕上げてるのもいいですね

個人的評価:80点
オススメ度:男同士の恋愛方向に話が進まないかとどきどき



俺物語!! 予告

2015年11月1日日曜日

犬に名前をつける日 (2015/日)

監督:山田あかね
出演:小林聡美 / 上川隆也 / 青山美郷 / 今村沙緒里 / 渋谷昶子 / 藤井聡

テレビディレクターの久野は愛犬のナツを亡くす
そんなある日、犬についてのドキュエンタリー映画を撮ることになるのだった

実在の団体や人物を対象にしたドキュメンタリー映画を撮る、その撮影風景をドラマとした作風はおもしろい
ドキュメンタリーパートとドラマパートは分かりやすく描きわけられているため、ドキュメンタリーサイドに作り物っぽさを感じることは少ない
作品じたいなのか、観ている自分自身にむけてなのか、ペットを飼うことについて考えているうちに鑑賞中ずっと息苦しさを感じる
どう言ってもペットを飼うということは、多少はあるだろうけど人間側の都合に左右されるわけで、犬や猫との生活の良い点だけに安易に優しい気持ちになれない
そういう意味で「飼う」ということについて強く認識させられる
ちょっと気になるのは、どうせならドキュメンタリーとしてもっとブリーダーや放棄した飼い主側のインタビューもほしかった
ブリーダーはみんな敵とか安易に考えず、あくまでボランティア保護する側の一面だけを切り取った映画、と考えないと危険かもしれんね

個人的評価:75点
オススメ度:ロケとか忙しくてもちゃんと預け先とか考えてます、くらい言ってほしかった


犬に名前をつける日 予告

機動戦士ガンダム THE ORIGIN II 哀しみのアルテイシア (2015/日)

監督:安彦良和
出演:池田秀一 / 潘めぐみ / 浦山迅 / 銀河万丈 / 三宅健太 / 渡辺明乃 / 喜山茂雄 / 沢城みゆき / 茶風林 / 恒松あゆみ / 一条和矢 / 松田健一郎 / 土屋トシヒデ / 藤村歩 / 古谷徹 / 関俊彦

ザビ家から逃れ名前を変えて地球で生活を始めるキャスバルとアルテイシア
平穏な暮らしが続く中、ラルの画策により怪しい者たちが動き出す

なんだかんだでガンダムブランドにはあらがえない世代、というわけでなんだかんだで二作目も鑑賞することに
前よりだいぶおふざけ要素が減り、観ていて「きっついな」と感じる部分が軽減されて助かりました
メカアクションもあるものの、兄妹のふたりのドラマがメインになっているため、言ってもクライマックスにはバリバリの戦闘シーンが展開するだろうと期待するとアレかもしれん
大人たちの事情と政争パート、少年少女の冒険とドラマというふたつの要素が完全に分離してしまっていて、兄妹視点で大人たちの世界も描くことでドラマ性を盛り上げてくれればいいのにと思わざるえない
見所であるだろうキャスバルの転機となる展開も、どうにも心に響かなくて残念

個人的評価:65点
オススメ度:全身鎧の意味について



機動戦士ガンダム THE ORIGIN II 哀しみのアルテイシア 予告