2015年12月31日木曜日

orange (2015/日)

監督:橋本光二郎
出演:土屋太鳳 / 山崎賢人 / 竜星涼 / 山崎紘菜 / 桜田通 / 清水くるみ / 鶴見辰吾 / 真野恵里菜 / 森口瑤子 / 草村礼子

高校生の高宮菜穂のもとに届いた10年後の自分からの手紙
なにかのいたずらかと思いきや、そこに書かれた通りにことは進み、彼女のクラスに転校生の成瀬翔がやってくる

大丈夫、これ友情メインの青春映画だから、という巷での評価にのっかって鑑賞
しかし内容はけっこう甘々な雰囲気に支配されていて、確かに友情の要素は大きいけど、そこにデッコデコでスイーツ成分が盛られていておっさん的には歯が痛くなる
それでも未来からの手紙、どこか秘密がありそうな翔、未来からの手紙をもとに現在を改変することによる結果、と先が気になるところがあったのは救い
作品的に細かく気になる部分が多かったけど、個人的にいちばん引っかかったのは悲壮感の軽さでした
あえて気が滅入りすぎるのを回避してるのかしれないけど、どうにも鬱々とするシーンで場違いなBGMによって出来事が軽く描かれすぎてる感じ
少年少女の青春と明暗、みたいなガッツリドラマじゃないんですね
キュンキュンする恋愛シチュ満載で出演者萌えなだけの作品にはいつまでもだまされない、って感じのちょっと背伸びをしたい人向けな一本かもしれません

個人的評価:50点
オススメ度:手紙の指示がアバウトなのも最初は気になったけど、最後まで観れば腑に落ちる



orange 予告

2015年12月27日日曜日

ストレイト・アウタ・コンプトン (2015/米)

監督:F・ゲイリー・グレイ
出演:コーリー・ホーキンス / オシェア・ジャクソン・Jr. / ジェイソン・ミッチェル / オルディス・ホッジ / ニール・ブラウン・Jr. / ポール・ジアマッティ

自身の曲とキューブの詞でレーベルを立ち上げようとエリックに声をかけるドレー
そして売り出したレコードは過激な詞とノリのよい曲が受け入れられヒットをとばす

伝記だからって退屈はさせねえぜ、という作りがひしひしと感じられておもしろかった
どんだけ話を盛ってるうんぬんとか気にならないほどにドラマティックな展開で、普通に娯楽映画としても楽しめる内容でした
ラップやヒップホップ、N.W.Aについて見識があればそれにこしたことはないんだろうけど、そこら辺のことを知らなくてもじゅうぶんに鑑賞に耐えられる
暴力にセックスにドラッグ、人種差別、社会問題、音楽業界、友情と裏切り、ホントにどんどんカオスな状況になっていきつつ不思議と分かりにくさはない
鑑賞後にディープに語りたい人は存分に弁をふるえるし、もっとシンプルに一本の映画としてドラマを堪能することもできるので、N.W.A、伝記というワードでよくある退屈な結果の見えたサクセスストーリーと敬遠するのはもったいないかもしれないですね

個人的評価:90点
オススメ度:ファックファック言い過ぎで耳がファック慣れするわ



ストレイト・アウタ・コンプトン 予告

クリード チャンプを継ぐ男 (2015/米)

監督:ライアン・クーグラー
出演:マイケル・B・ジョーダン / シルベスター・スタローン / テッサ・トンプソン / フィリシア・ラシャド / アンソニー・ベリュー / グレアム・マクタビッシュ / リッチー・コスター / ウッド・ハリス / アンドレ・ウォード / ガブリエル・ロサド / リカルド・“パッドマン”・マッギル / マリク・バジール / ジェイコブ・“スティッチ”・デュラン

メキシコでボクサーとして戦うアドニス
ある試合の後、彼は仕事をやめてボクシングひとすじの道を進むことを決意する

しょうじき名作のタイトルをかりたビジネス優先な新章かと思ってたんだけど、序盤から丁寧に新主人公を描いていて一気にマイナス印象は吹き飛びました
ロッキーの存在もぎりぎりのところで主張しすぎない感じで作品に、新旧の主人公のバランスもいい
なにはともあれ随所にある長回しが特徴的で目に付く中、主人公の立ち居振る舞いはもちろんだけど、個人的にはスタローンにこういう演出での演技にひかれた
温かいドラマパートからの熱いボクシングパートはクソもりあがり、ロッキーファンの心をくすぐる演出もにくめない
なにげにアドニスとバイカーたちのちょっと珍妙に見えるシーンも個人的にはお気に入り
とりあえず殴っても倒れてもかっこいいボクシングシーンだけでも観た価値があったと思えた一本でした

個人的評価:85点
オススメ度:試合時のロッキーのボクサーに戻る眼光にしびれる



クリード チャンプを継ぐ男 予告

2015年12月20日日曜日

スター・ウォーズ フォースの覚醒 (2015/米)

監督:J・J・エイブラムス
出演:ハリソン・フォード / キャリー・フィッシャー / アダム・ドライバー / デイジー・リドリー / ジョン・ボヤーガ / オスカー・アイザック / ルピタ・ニョンゴ / アンディ・サーキス / ドーナル・グリーソン / グウェンドリン・クリスティー / アンソニー・ダニエルズ / ケニー・ベイカー / ピーター・メイヒュー / マーク・ハミル / マックス・フォン・シドー / ワーウィック・デイビス

行方をくらましてしまった最後のジェダイであるルーク・スカイウォーカー
彼の所在をつきとめるため帝国軍の残党、そして共和国の支援を受けたレジスタンスが動き出す

しょうじき観ているあいだは「なんか微妙だな」という悪い印象しか抱けなかった
だけど鑑賞を終えてみるとシリーズとしてなくてはならないエピソードというのが分かりますね
誰が主人公なんだよ、懐かしい要素でお茶を濁してるだけじゃねえか、という意見ももっともだろうけど、たぶん今後のエピソードの礎としてはよくできていると思う
新たな話の幕開けに新キャラ、それが定着するまでに過去作を想起させる要素で作品を彩るのもありでしょう
終盤に向けてぐいぐい引き込まれるし、先の展開も気になってしかたない
それでも個人的にもっと娯楽に満ちたアドベンチャーや、序盤のフィンとBB-8のやりとりみたいな脱力できる部分があってもよかったかな、と思った一本でした

個人的評価:75点
オススメ度:個人的には熱狂的なファンでもアンチでもない



スター・ウォーズ フォースの覚醒 予告

2015年12月14日月曜日

I LOVE スヌーピー THE PEANUTS MOVIE (2015/米)

監督:スティーブ・マーティノ
出演:ノア・シュナップ / ビル・メレンデス / フランチェスカ・カパルディ / マリエル・シーツ / ハドリー・ベル・ミラー

なにをやってもうまくいかないダメな男の子チャーリー・ブラウンとその飼い犬であり親友のスヌーピー
そんなチャーリーの家の隣にある日、ひとりの気になる赤毛の女の子が引っ越してくる

個人的にキャラクターはよく知ってるけど、話じたいはよく分かってないスヌーピー
もっと、こう某猫型ロボットと眼鏡のダメ少年みたいな内容かと思ってたんですが、チャーリーとスヌーピーの異種族友情ものってわけでもないんですね
この映画、チャーリー・ブラウンに視点を向けるか、スヌーピーに視点を向けるかで楽しみ方が変わってきておもしろい
憎めないどころか愛おしさを感じるチャーリー・ブラウンのがんばりを見守るもよし、スヌーピーのはちゃめちゃ行動に身をゆだねるもよし、大人も子供もいっしょにバッチリ楽しめるファミリー映画としてよくできてる感じ
終始たがいに支えあう友情物語ってのもいいけど、スヌーピーを含めて周りはさりげないフォローにとどめ、チャーリー・ブラウンが基本、自分で悩んで自分で活路をひらいていくけなげさはグッとくる

個人的評価:85点
オススメ度:一個一個はパッとしないギャグも連打されつづけることで、寒さを感じる暇を与えない



I LOVE スヌーピー THE PEANUTS MOVIE 予告

4/猫 (2015/日)

監督:上田慎一郎 / 早坂亮輔 / 浅沼直也 / 中泉裕矢
出演:三浦誠己 / 木南晴夏 / 掛田誠 / 中山雄介 / 西辻こずえ / 片岡哲也 / 曽我真臣 / 山本真由美 / 柴田杏花 / 長谷川朝晴 / 高橋奈々 / 森脇英理子 / 山田キヌヲ / 栞那 / 朝倉あき / 水澤紳吾 / 諏訪太朗 / つるにしこうき / 柴田千紘 / いしはらだいすけ / 山中崇 / 熊澤枝里子 / 村木雄 / 瀬戸寛 / 伊与勢我無 / 加藤四朗

舞台は秩父、そしてそこに生きる猫
そんな中で4つの物語が描かれるオムニバス

猫好きのための猫メインな猫映画というわけでもなく、時にはホントに画面のアクセントていどしか登場しない人間ドラマメインの作品でした
まあ、あまり無理して猫を中心にもってこられるより、こういう作りの方が安心して観ていられていいですが
オムニバスってことで笑いあり、ちょっと心温まるものあり、変化球ものありって感じ
で、個々の話がちゃんとそれぞれの内容と雰囲気のバランスがとれていて、独立した4編ながら流れるように最後まで鑑賞できる
こういう作品だとどうしてもちょっと変化球的なものが印象に残りやすいけど、それが分かっていながら「一円の神様」の往年の安達祐実的なとがった子役の存在に強くひかれる
全編を通して登場人物どうしの間にあるものが「観ていてなんとなく分かる、けど分かりきれない」もどかしさ、他人は他人でしかなりえない関係性がおもしろい一本でした

個人的評価:75点
オススメ度:むろんのり子さんの可愛さに異論はない



4/猫 予告

2015年12月13日日曜日

母と暮せば (2015/日)

監督:山田洋次
出演:吉永小百合 / 二宮和也 / 黒木華 / 浅野忠信 / 加藤健一 / 広岡由里子 / 本田望結 / 小林稔侍 / 辻萬長 / 橋爪功

長崎の原爆で息子の浩二を亡くした伸子
それから三年が経ち、忘れる決意をした時になりふいに伸子の目の前に浩二が現れ・・・

昭和テイストな作りで懐古心を満足させる中高年向けの鉄板映画、ということに間違いはないけど本物の昭和の心を映しだしているから薄っぺらさはない
初めて観るのに懐かしい、まさにそんな言葉がしっくりくる
昔の映画のような作風とおもしろおかしい描写で興味をひいて話に引き込み、いつしか見てくれではないドラマとしての内容にどっぷりとひたらせてくれます
母子とその周りの人々の思い出と今がエピソードとして展開しつつ、優しさだけでひとつのドラマを作るのはおもしろかった
長回しと長台詞による落ち着いた画面に、優しい心持ちによって自分や他者を時に救い、時に苦しめる登場人物たちのやりとりをゆったりと鑑賞できる
死者が姿を現す裏事情とか深く勘ぐらず、ありのままの作品に身をゆだねるのが一番いいのかもしれないですね

個人的評価:85点
オススメ度:予告だとクサイ感じの台詞が劇中だとそんなに気にならない




母と暮せば 予告

2015年12月7日月曜日

杉原千畝 (2015/日)

監督:チェリン・グラック
出演:唐沢寿明 / 小雪 / 小日向文世 / 塚本高史 / 濱田岳 / 二階堂智 / 板尾創路 / 滝藤賢一 / 石橋凌 / ボリス・スジック / アグニェシュカ・グロホウスカ / ミハウ・ジュラフスキ / ツェザリ・ウカシェビチ / アンナ・グリチェビチ / ズビグニェフ・ザマホフスキ / アンジェイ・ブルメンフェルド / ベナンティ・ノスル / マチェイ・ザコシチェルニ

昭和初期、外交官である杉原千畝は満州国での出来事でソ連ににらまれる存在となる
モスクワゆきを希望していた杉原だったが、リトアニアで新設された大使館での任をまかされる

いきなりやっすいスパイアクションがはじまり、「これって命のヴィザうんぬんなヒューマンドラマなんじゃねえの?」と戸惑う
なんというか戦争ものでもなし、スパイものでもなし、人間ドラマでもなし、という中途半端な伝記ものだったという主演の演技だけが熱く空回りしてる作品でした
表の顔は人情派大使、しかし裏では諜報活動に長ける曲者な杉原千畝がソ連、ドイツ相手に頭脳戦で出し抜く物語
みたいな感じでリトアニア編だけ、もしくは部分でもいいんでどこかでのエピソードを集中してやってほしかった
ざっくりと杉原千畝っていう人物はこんなんでした、というのは分かったけどどの要素をとっても深みがない残念空気に満ちてる
いきなりパッと出てきた登場人物で語られても困惑するしかない
杉原千畝を中心に、いろんなものを包括した大作にするには明らかに力及んでない一本でした

個人的評価:50点
オススメ度:主演の熱演が逆にギャグっぽく見えてしまうもったいなさ



杉原千畝 予告

海難1890 (2015/日・トルコ)

監督:田中光敏
出演:内野聖陽 / ケナン・エジェ / 忽那汐里 / アリジャン・ユジェソイ / 夏川結衣 / 永島敏行 / 小澤征悦 / 宅間孝行 / 大東駿介 / 渡部豪太 / 徳井優 / 小林綾子 / 螢雪次朗 / かたせ梨乃 / 竹中直人 / 笹野高史 / 川野直輝 / 三輪ひとみ / 斉藤とも子 / 池谷のぶえ / みのすけ / 辻本祐樹 / 金子昇 / 高田敏江 / 上田耕一 / メフメット・オズギュル / ウール・ポラット / ジェム・ジュジェンオール / メルト・アユギュン / エルカン・ペクバイ / ハリト・ムズラクル / メリス・ババダー / タメル・レベント / デニズ・オラル / ハック・ハルック・ジョメルト / エライ・アヤズ

1890年、日本へトルコの使節団をのせた船がやってくる
そして台風の近づく中、大島の貧しい漁村に爆音が轟くのであった

ベッタベタな熱い展開と心をふるわせるシーン、年をとってくるとこういうストレートにぶつかってくる作品に弱くなりますね
ベタだけど言葉や文字だけで安易に語ってるだけじゃなく、ちゃんと心まで届くから素直に熱くたぎり、心が洗われ、笑顔になれる
村側のトルコ船側の切り替えも一工夫していることで、分かりきった話の流れに飽きることはない
なによりトルコ船側のドラマをちゃんと描いているので、ムスタファたちの存在が日本メインのドラマの飾りってだけになってないのがいい
ただ、テヘラン編に入ってからの蛇足感はどうにも否めない気がする
素人考えとして、テヘラン編を先にやって過去にさかのぼるって構成ではダメだったのかな、と思ってしまう点だけが残念でしたね
さびついた真心を意識しないと動かせない今の自分に痛烈に響く一本でした

個人的評価:80点
オススメ度:どんなにふざけていても礼には真摯に礼で応える姿勢がなにげに印象深い



海難1890 予告

2015年12月6日日曜日

グリーン・インフェルノ (2013/米・チリ)

監督:イーライ・ロス
出演:ロレンツァ・イッツォ / アリエル・レビ / ダリル・サバラ / カービー・ブリス・ブラントン / スカイ・フェレイラ / マグダ・アパノビッチ / ニコラス・マルティネス / アーロン・バーンズ / イグナシオ・アラマンド / ラモン・ラオ / リチャード・バージ

ペルーのジャングルを開発する企業に抗議する活動に参加することになるジャスティン
リーダーのアレハンドロ一行とともに先住民と作業員、傭兵のいるジャングルの奥地へ向かうのだった

犠牲者候補がけっこう数そろってることから、死に様ショー的にお腹いっぱいにさせてもらえると期待させる序盤
意外にクソ野郎なヤツがいたり、一行のキャラ紹介の退屈な前半も意外に苦にならなかった
だけど、どうにも最初の調理犠牲者までの流れが最大の山場で、あとはなんか惰性で乗り切った感がしなくもない
全体的に暗いジメジメとした陰惨さはなく、作中のみんなの絶望的な状況に反し、後半はけっこうノリが軽い
そこでふざけちゃうかあ、というシーンがちょいちょいはさまり、「それでも最後にはすごいのが待ってる」と思ってたんですが・・・
「食人族」を想起させる別物の作品として中盤までは恐怖を感じさせてくれる一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:あいつは帰ってくる的な調子にのった最後のおまけ映像は嫌いじゃない



グリーン・インフェルノ 予告