2016年12月28日水曜日

幸せなひとりぼっち (2015/スウェーデン)

監督:ハンネス・ホルム
出演:ロルフ・ラスゴード / イーダ・エングボル / バハー・パール / フィリップ・バーグ / カタリナ・ラッソン

頑固で偏屈な老人オーヴェは妻も職も失い、生きていることに嫌気がさしつつあった
そんな時、新たな隣人が引っ越してきて…

堅く凝り固まった人間が、一見めんどくさい人たちと関わることで化学反応的に良い方向に変わっていく、というベースの物語はよくある
これもそんな感じだと思っていたけど、鑑賞を続けるうちに自分の偏見っぷりを見せつけられる作りに感嘆と同時に温かみを感じずにいられない
生きベタで死にベタなオーヴェのことが見えてくるにつれて、隣の奥さんと視点が重なっていき、多くの人生経験値を積んできたじいさんの深みに気づかされる
ありきたりな話をベースに味付けとトッピングで飽きのこない一品をだしてくるだろう、なんていう自分の浅さを痛感
人生を歩むことでのあれこれはありつつ、まったく芯の部分がブレない、近づきづらいけど懐に入ってしまえば粋なじいさんが魅力的でしかたない
まあ、リアルで近隣にいたらどうか、と聞かれたらなんとも言えないのが本音だけど

個人的評価:80点
オススメ度:国が違えど、人という部分に共感できるもんだ



幸せなひとりぼっち 予告

無垢の祈り (2016/日)

監督:亀井亨
出演:福田美姫 / BBゴロー / 下村愛 / サコイ / 三木くるみ / YOSHIHIRO / 平山夢明 / 幸将司 / 奈良聡美 / 綾乃テン / 河嶋遥伽 / シゲル / 高井理江

学校ではいじめられ、家では暴力をふるわれる日々の少女フミ
そんな彼女は巷を騒がす連続殺人事件のことを知り…

直接的な表現は控えめなはずなのに、ロケーション、演技、効果音が常に気持ち悪さを演出して「うわあ…」という気分に何度もおちいる
主人公であるフミの抱える孤独や重さがつのっていく様子が、それを言葉として表現するには自分では力不足なほど強烈に感覚的に伝わってきた
本当に直接的な虐待は最小限なんだけど、想像によって陰湿さが高められていく感じ
そしてすべてはゆっくりと首をしめられるようにラストへつながっていき、良い意味で観る側の取り方に委ねられたオチは秀逸
個人的にはその瞬間のフミについてしか思いよらなかったけど、上映後のトークショーによってそのごのフミについても大きく考えさせれた
本当によくよく思えば海外に持っていくには厳しいのがもったいない、逆に言えば邦画ならではの一本でした

個人的評価:85点
オススメ度:鉄板ネタだろうDVゴロー、しかし伊達じゃないッスわ

※上映後のトークショーの様子
(左から監督の亀井亨さん、原作の平山夢明さん、出演のBBゴローさん)




無垢の祈り 予告

2016年12月25日日曜日

ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー (2016/米)

監督:ギャレス・エドワーズ
出演:フェリシティ・ジョーンズ / ディエゴ・ルナ / ドニー・イェン / ベン・メンデルソーン / マッツ・ミケルセン / アラン・テュディック / フォレスト・ウィテカー / チアン・ウェン / リズ・アーメッド / ジュネビーブ・オライリー

帝国軍から助けられ、反乱軍に父に縁のある者との仲介役を求められるジン
戦闘状態に突入しながらもジンは仲間たちに助けられながらも目標の人物に接触、メッセージを受け取るのだった

地味なメンツで予定調和な話をスター・ウォーズのネームバリューでごり押す作品、という想像がちらついていた自分が恥ずかしくなるくらい映画として完成度が高くて楽しめた
起承転結しっかりしつつも、希望のつながりとなるデキでアドベンチャー、ドラマ、アクション、様々な要素が織りなすかなり大きな物語を体感させられた
登場人物ひとりひとりに捨てキャラなどいなく、やっつけなところがないままにそれぞれの見せ場がきちんと描かれていて、最後には皆のことが愛おしくならざるえない
懐かし要素がチラリズムするサービスどころもちゃんとあるし、狭間の物語なのに狭苦しさの感じさせない広がりある世界に熱中して鑑賞させてもらえた

個人的評価:90点
オススメ度:現代風にアレンジしすぎてない美術デザインが秀逸すぎる



ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー 予告

2016年12月21日水曜日

ぼくは明日、昨日のきみとデートする (2016/日)

監督:三木孝浩
出演:福士蒼汰 / 小松菜奈 / 山田裕貴 / 清原果耶 / 東出昌大 / 大鷹明良 / 宮崎美子

大学生の高寿はある日、電車で見かけた女性に一目惚れしてしまう
勢いのままに声をかけ、ふたりはそれからデートを重ねるようになる

胸キュンスイーツ映画じゃない、という評判から実際に鑑賞してみたけど、なるほどけっこう苦みと切なさがあって心にしみた
最初はどこか乙女チックな主人公と、ミステリアスさをまき散らすヒロインの日常で流されるが、後々にその日々の数々をかみしめさせられるのがおもしろい
ヒロインの演技もその瞬間瞬間を分かりやすく上手に表現していて、観ていてもどんどん愛美に心が引きつけられていく
けっこう早い段階でネタ明かしはされるが、それでもラストへ向けての切なさは止められない
確かにじゃかん分かりにくい部分や、細かい疑問も浮かばなくもないけど、こういうものだと受け入れられた
ちょっと最後の最後がくどくって、個人的にはこのタイミング以外にも終幕に合ってるシーンがあった気がした
予告だけでは恋人向けのデート映画で、キャスト萌えな薄っぺらい内容かと思ってたけどすっかり世界観に飲み込まれた一本でした

個人的評価:80点
オススメ度:ちゃんとエンドロール&エンディング曲もマッチしていて最後まで席を立てなかった


ぼくは明日、昨日のきみとデートする 予告

2016年12月18日日曜日

ドント・ブリーズ (2016/米)

監督:フェデ・アルバレス
出演:ジェーン・レビ / ディラン・ミネット / ダニエル・ゾバット / スティーブン・ラング

不法侵入しては盗みを働く3人の男女
次の標的として盲目の退役軍人の家を選ぶのだった

家に押し入った泥棒を盲目の退役軍人が逆にこらしめる、というスポーツ紙の片隅にありそうなネタながら、中身は本気で恐怖と緊張に満ちていました
殺人ショーによるグロ要素であおったり、妙な変化球で勝負せず、オーソドックスながら丁寧な昔ながらのやり方で作られている印象
先の展開を暗示させて緊張感をあおるシーンの描写、観客として状況が分かってるがゆえに理解できてない登場人物に対するハラハラ感が楽しめました
臭いや気配に敏感なのか鈍感なのかよく分からん盲目のおっちゃんのムラっ気がきになったけど、まあ演出として効果的なものを優先した大人の事情なんだろうと飲み込みましょう
ただ後半の逃げては捕まりの繰り返し鬼ごっこになってくると、それまでの息を殺すような緊張感がちょっと薄れてきてる気がしました
基本に忠実ゆえにおもしろい恐怖感、なにかひとつ飛び抜けているものが足りない気がしながらも同情できないもの同士の鬼ごっこを堪能できた一本でした

個人的評価:75点
オススメ度:おっちゃんにしても飼い犬にしても完璧狩人じゃないのがいい



ドント・ブリーズ 予告

2016年12月14日水曜日

ミス・シェパードをお手本に (2015/英)

監督:ニコラス・ハイトナー
出演:マギー・スミス / アレックス・ジェニングス / ジム・ブロードベント / フランシス・デ・ラ・トゥーア / ロジャー・アラム

1970年代のロンドン、劇作家のベネットは引っ越し先でバンで暮らす老女シェパードと出会う
気むずかしい彼女の日々を追いながら、時に手伝って話のネタを増やしていくのだった

ただただ気難しいだけでかわいげのかけらもないブレないミス・シェパード、それでも嫌な気持ちにならない不思議な魅力があった
老女の数奇な運命、妄想、そこに劇作家の脚色が加わって、常に不安定でぐにゃぐにゃしているような雰囲気が個人的におもしろかった
しょうじきこの作品に何があるというわけではないけど、ミス・シェパードという変わり者のキャラだけでなっているわけでないのがいい
作品内でもベネットが作家と日常生活をおくるふたりがひとりの別人物として描かれ、物語の創作部分も内容に反映される劇中劇のような空気感がある
さらにラストのたたみかけは好き嫌いが分かれるだろうけど、個人的にはこのくらいクセのあるユーモアは好きですね
巷にあふれるハートフルなドラマへ傾けられるような要素を盛り込みながらそれにのっからない、四脚椅子の一本をスコンと打ち外されたようなふらつく感覚が気持ちよかった一本でした

個人的評価:75点
オススメ度:シェパードというよりパグ



ミス・シェパードをお手本に 予告

2016年12月12日月曜日

海賊とよばれた男 (2016/日)

監督:山崎貴
出演:岡田准一 / 吉岡秀隆 / 染谷将太 / 鈴木亮平 / 野間口徹 / ピエール瀧 / 須田邦裕 / 飯田基祐 / 小林隆 / 矢島健一 / 黒木華 / 浅野和之 / 光石研 / 綾瀬はるか / 堤真一 / 近藤正臣 / 國村隼 / 小林薫

終戦後、会社の建て直しに奔走する國岡鐵造
石油の取引きもうまくいかず、自然と企業したばかりの頃を思い起こすのだった

どこか冷たい時代だからこそ勇ましい男にひかれ、熱い企業ドラマに心が躍る
分かってはいてもエピソードのいつくかにはうまくのせられ、たぎるものを感じずにいられない
過去話も含めてけっこう話はぶつ切りな感じがして、ひとつひとつは良いエピソードながら作品全体からするとそれらの寄せ集めな印象が強かったです
クライマックスも主人公を最後にもう一段階盛り上げるにはいたらないし、ラストもイマイチしっくりこない
家族ドラマなのか、企業ドラマなのか、人間ドラマなのか、すべての要素が作品内にあるのはいいけどまとまりきれてないような気がする
いっこずつより抜いてみれば良い話ばかりなので、裏でメインストーリーを進めつつの1エピソード完結なTVドラマ向けかもしれない

個人的評価:70点
オススメ度:困った時の社歌ぶっこみ



海賊とよばれた男 予告

2016年12月11日日曜日

マダム・フローレンス! 夢見るふたり (2016/英)

監督:スティーブン・フリアーズ
出演:メリル・ストリープ / ヒュー・グラント / サイモン・ヘルバーク / レベッカ・ファーガソン / ニナ・アリアンダ

1944年アメリカでクラブの創設者であるフローレンスは舞台に上がっていた
彼女はカーネギー・ホールのコンサートで聞いた歌声に感激し、自分も歌うためにレッスンをはじめる

音痴なマダムと一般人のピアニスト、音楽の本質としてふたりの友情が周りを感動に包んでいく、わけでもなかった
しょうじきカーネギーのくだりで「これで感動しろというのか?いや、無理だろ」と思ったけど、最後の最後でいっきにもっていかれた
マダムでもピアニストでもない、夫であるシンクレアさんの物語じゃないですか、これ
ラストシーンから作品内での彼のマダムに対する行動や言動が、良しも悪しもかけぬけるように思い起こされる
コメディタッチの友情、絆物語、音楽ってやっぱりいいよね、という内容とは違って最後の最後で評価が上がるけっこうトリッキーな作品かもしれない
むしろ個人的にはあまり音楽にこだわっている作りには思えなかった
名優の演技をぞんぶんに堪能できたし、最後には笑顔になれる一本でした

個人的評価:75点
オススメ度:劇場の大音量で聞くマダムの歌声は本気でヤバイレベルの破壊力



マダム・フローレンス! 夢見るふたり 予告

2016年12月7日水曜日

ハンズ・オブ・ラヴ 手のひらの勇気 (2015/米)

監督:ピーター・ソレット
出演:ジュリアン・ムーア / エレン・ペイジ / マイケル・シャノン / スティーブ・カレル

優秀な刑事であるローレルはある日、出会ったステイシーと関係を深めていく
そしてふたりはパートナー法にのっとって暮らし始めるのだった

ただひたむきな愛、それだけではなく正義の強さが加わることで非常に見応えがあって心をふるわされた
さらっと主人公ふたりの関係を描きはじめ、なんか急な感じはしたものの、そんな考えこそ同性愛に対する偏見から説明を欲する自身の思考だと思い知った
パートナーとして法に認められながらも、地元の慣習、政治、細かな制度は主人公たちに優しくなく見えていない、見ようとしていなかった社会がみせつけられた
騒ぎが大きくなるにつれてパフォーマンス性が強くなり、偏見の影も表立つ中でのローレルとステイシーのひらぎない愛の世界の描写は素晴らしい
それに正義の信念が加わることでふたつの要素で感動に導かれる
ちょっと分かりやすすぎるくらい感動方面へ誘導させられている気もしないでもないけど、気持ちよいままにまかせてもいいかなと思えた

個人的評価:80点
オススメ度:ローレルの愛、衰弱、正義、その時々の演技による輝きが印象的



ハンズ・オブ・ラヴ 手のひらの勇気 予告

古都 (2016/日)

監督:Yuki Saito
出演:松雪泰子 / 橋本愛 / 成海璃子 / 蒼れいな / 蒼あんな / 葉山奨之 / 栗塚旭 / 迫田孝也 / 伊原剛志 / 奥田瑛二

京都で夫とともに呉服屋を営む千重子
変わる町並みの中、娘がなにやら思い悩んでいる姿に気を止める

現旧が混在する今、その情景と人物をひじょうに分かりやすく描写されていました
美しい風景は美しく、違和感をおぼえる風景はそのように、視覚にうったえる撮り方はよくできていると思う
それに人物の心情も最小限の台詞だけであっても、その所作による演技で鈍い私にも伝わってくる
「これはこういうことを伝えたいんだ、こういう心境を描きたいんだ」という部分が本当に分かりやすく表現されている
逆に言えばそんな表現を含む場面ばかりで、けっきょくは説明台詞を聞かされている感覚になる
話も縦に横に織られる、ゆっくりゆっくりと織られていく中で分かりやすく丁寧に流れていく
純文学みたいな堅苦しさは最低限排除して、美しさだけはそのまま残したような雰囲気がある
その紡がれていく話が終わりをむかえた瞬間、完成した物語に良い作品を読了したような充実感がわきあがりました

個人的評価:80点
オススメ度:文系っぽい雰囲気のようで理系のような効率的な作り



古都 予告

2016年12月4日日曜日

PK (2014/印)

監督:ラージクマール・ヒラーニ
出演:アーミル・カーン / アヌシュカ・シャルマ / スシャント・シン・ラージプート / サンジャイ・ダット / ボーマン・イラニ / サウラブ・シュクラ / パリークシト・サーハニー / ランビール・カプール

ベルギーで失恋を経験して故郷のインドに戻ってきたジャグー
ある日、駅で神様を探しているという黄色ヘルメットの奇妙な男、PKと出会い彼に興味を抱くのだった

笑って泣けるとかそんな大仰な、インドの映画で日本人の自分が…なんて浅はかな思い込みだったとビンタされたように自然と笑顔がこぼれて泣かされた
インド映画の通常運転としての唐突な歌と踊りに分かりやすいキャラと演技、知識ゼロのPKが人とふれあうことでのドタバタがおもしろおかしい
そこへ宗教や信仰をブラックユーモアで、さらにロマンス要素や人と人の絆、ドラマとして心を揺り動かす物語が加わって本当に内容がてんこ盛りすぎて大満足
途中まではおもしろいけど飽きがきて、こんなもんなのかなと徐々にテンションが下がりそうになったけど終盤から一気に持っていかれた
伏線の回収もベストなタイミングでひろってくれて気持ちがいい
頭がおかしいヤツに見えなくもないPKのキャラクターとしてのチャーミングさはもちろん、中身もしっかりしていて楽しめた
冷静なツッコミはおいといてPKの行動や言動、思考に身を任せてもいいかなと思わせる存在感がありましたね

個人的評価:95点
オススメ度:目をむいてくっちゃくっちゃしてる姿が脳にこびりつきすぎる



PK 予告

RANMARU 神の舌を持つ男 鬼灯デスロード編 (2016/日)

監督:堤幸彦
出演:向井理 / 木村文乃 / 佐藤二朗 / 木村多江 / 市原隼人 / 財前直見 / 黒谷友香 / 岡本信人 / 渡辺哲 / 矢島健一 / 中野英雄 / 春海四方 / 落合モトキ / 永瀬匡

なめたものの成分を分析できる舌の持ち主、蘭丸は見知らぬ土地で行き倒れてしまう
鬼灯村の人たちに助けられた彼はその村で働くことになり、そこへなじみの旅の共である光と寛治が現れるのだった

キャラと演出と雰囲気がなじまないままにダラっと終わったドラマ版、そんなもんだからちょっと心配してたけど、この劇場版こそ本来やりたかったものなのかもと思えるおもしろさがあった
いい具合に独特の演出と登場人物たちが絡み、ギャグの空転も少なかった感じ
なにより意外といっては失礼かもしれないけど、ミステリーの要素もそれなりにしっかり描かれていて普通に観られる
そんな普通に観られる、というのがけっこうよくて分かりづらい&気づきづらい小ネタやストーリーがなくて適時ツッコミや解説があるので本当に鑑賞に易い
変なクセを出しすぎない良い意味でマイルドな作り、このノリがドラマ版からあればもっと話題になったかも
とりあえずドラマのストーリーもざっくり冒頭で説明してくれるし、しょうじき未見でもどうとでもなる作品なので劇場版単体でもじゅうぶん楽しめると思う

個人的評価:75点
オススメ度:今後は二時間ドラマ枠で簡潔にゆるゆるやってほしい



RANMARU 神の舌を持つ男 鬼灯デスロード編 予告

2016年11月30日水曜日

オケ老人! (2016/日)

監督:細川徹
出演:杏 / 黒島結菜 / 坂口健太郎 / 笹野高史 / 左とん平 / 小松政夫 / 藤田弓子 / 石倉三郎 / 茅島成美 / 喜多道枝 / 森下能幸 / 萩原利久 / フィリップ・エマール / 飛永翼 / 光石研

高校教師の小山千鶴はあるコンサートに感動し、その演奏をしていた楽団に入団することにする
しかし連絡をした相手は似た名前の別の楽団で…

オーケストラの演奏の善し悪しは分からない素人の私でも冷めた時は凍えるような、熱い時には体の芯から温かくなるその音楽の熱量が感じ取れて身も心も充実できた
しょうじき主人公を含め前半の私利私情、私欲、私怨にまみれた人物たちが奏でる物語と音楽に興味の波が引いていったが、後半の巻き返しによっていっきに引き寄せられた
主人公が天才肌でも一芸に秀でるでも隠れた才能があるでもない、本当に普通の人として失敗や経験から学んで成長していく姿がいい
短期間で化学反応的に、爆発的にみんなが向上するのとは違う、日々の積み重ねによる進歩が観ていて心地よい
物語前半と梅フィルの冷たさ、物語後半と梅響の暖かさ、良いとか悪いなんて部分とは違うところで音楽によって心がわきたち、熱い感情があふれてくる
素人老人と勘違い主人公、コミカルさはもちろんある上に、観ている側の感情も気持ちよくコントロールしてくれる作品でした

個人的評価:85点
オススメ度:良い意味で邦画らしい、日本らしいコメディでした



オケ老人! 予告

2016年11月27日日曜日

この世界の片隅に (2016/日)

監督:片渕須直
出演:のん / 細谷佳正 / 尾身美詞 / 稲葉菜月 / 牛山茂 / 新谷真弓 / 小野大輔 / 岩井七世 / 潘めぐみ / 小山剛志 / 津田真澄 / 京田尚子 / 佐々木望 / 塩田朋子 / 瀬田ひろ美 / たちばなことね / 世弥きくよ / 澁谷天外

広島で両親、兄と妹とともに幸せに暮らすすず
ある日、呉から嫁に迎えたいという申し出があり…

ぼんやりした主人公のなにげない日常、戦争の空気が迫りつつも普通に生きる姿が愛おしい
それでも作中で悲壮的な未来を予感させる描写が多くなるにつれ、この普通の日常を、今のすずを壊さないでほしいと心から願わざるえない
しかしそんな心配をよそに劇中のすずはとても強かで、強い部分ももろい部分も含めて元気づけられているように感じられた
たまらなく戦争を扱った話でありながら、ちゃんと日常をも描くことでシンプルに言葉にあらわせないような温かくも冷たい思いが頭の中をぐるぐる回る
すずというひとりの人間をみつめることで、こんなに様々な感情をわきあがらせてくれる楽しみをもらえて堪能できた
戦争ものとかあまり重く考えすぎて観なくても自然と作品に没入できる一本でした

個人的評価:90点
オススメ度:すずさんの猫背っぷりが似合いすぎで素敵



この世界の片隅に 予告

イレブン・ミニッツ (2015/ポーランド・アイルランド)

監督:イエジー・スコリモフスキ
出演:リチャード・ドーマー / ボイチェフ・メツファルドフスキ / パウリナ・ハプコ / アンジェイ・ヒラ / ダビド・オグロドニク / アガタ・ブゼク / ピョートル・グロバツキ / アンナ・マリア・ブチェク / ヤン・ノビツキ / ウカシュ・シコラ / イフィ・ウデ / マテウシュ・コシチュキェビチ / グラジナ・ブウェンツカ=コルスカ / ヤヌシュ・ハビョル

街の老若男女たちはそれぞれの日常を送っていた
午後5時、数人の別々の人生の中が交わりはじめる

まさにドット抜けのような映画で、気にせずに全体像はみることができるけど、その欠けた部分はどうにも失われたままという
個人的に同じ時間を別々の人物の視点で別々の話を展開しつつ収束していく話の運びは好みなんですが、この作品はまたちょっと毛色が違って楽しめた
不安や暗示をうまくカメラワークとBGMで表現しつつ、さらに環境音までそれに取り込んで、観ている間はずっと先の読めない不安定さに感情が引っ張られる
埋まらないピース、埋まらない伏線、埋まらない人物背景、この映画に限ってはあるていど「こういう内容なんだ」というのを分かって観た方がいいかもしれない
単純に物語の収束を楽しむってわけでも、雰囲気に身を委ねるだけでもなく、最初から最後まで不安定なゆらぎを許容できるか否かが重要かもしれない
ゆえに本当にハマる人はハマるだろうし、吐き捨てたくなる気持ちになる人もいるだろう作品だと思う

個人的評価:75点
オススメ度:最後の最後まで「何かありそう」と思わせぶりすぎる



イレブン・ミニッツ 予告

2016年11月23日水曜日

ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅 (2016/米)

監督:デビッド・イェーツ
出演:エディ・レッドメイン / キャサリン・ウォーターストン / ダン・フォグラー / アリソン・スドル / エズラ・ミラー / サマンサ・モートン / ジョン・ボイト / カルメン・イジョゴ / コリン・ファレル / ジェン・マーレイ / フェイス・ウッド=ブラグローブ

人間界と魔法界の関係が微妙になっているニューヨークにやってきたイギリスの魔法使いニュート
彼の鞄から魔法動物が逃げ出してしまったことで街が大騒ぎになってしまい…

イギリスからアメリカへ舞台を移して魔法動物で大パニック、というシンプルな話だけでなく人と魔法使いの関係もからんできてけっこう濃密な内容でした
中身が濃いのはいいんだけど、新シリーズってことで今後に関連するだろう情報も小出しにされ、さらに専門用語も容赦なく飛び出すために、事前の予習が必要なんじゃないかと思うくらいちょっと混乱する
さらに主人公だと思われるニュートさん以上にジェイコブさんのキャラが立ちすぎていて、新シリーズ一作目というより続編を観ている感覚になった
新シリーズの新主人公、新しい雰囲気、新たな物語の方向性、そこら辺をゆるくお披露目してくれるだろうと油断せず、けっこう必死に話に食いついていかないとすぐに置いていかれるかもしれない
ストーリーはちょっと強引にしめ、新主人公のキャラもつかみきれた気はしないけど、作品のもつ雰囲気的にはポッターさんシリーズより好みかもしれない

個人的評価:80点
オススメ度:デップさんの名前をエンドロールで見るまで気づかなかった節穴



ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅 予告

2016年11月21日月曜日

ミュージアム (2016/日)

監督:大友啓史
出演:小栗旬 / 尾野真千子 / 野村周平 / 丸山智己 / 田畑智子 / 市川実日子 / 伊武雅刀 / 大森南朋 / 松重豊 / 妻夫木聡 / 五十嵐陽向

生きたまま犬に食い殺された人間の事件を捜査する刑事の沢村
そんな中で同一犯と思われる異常殺人が再び発生するのだった

思ってたよりもエグイ表現が多く、Jホラーライクな薄っぺらさはあまり感じなかった
観ていてもっと過激で最悪な展開を望む自分の醜悪な心と向き合うことになる、みたいな核になるずっしりとしたものがあればよかったのだけれど、そうでもなかった
展開がいちいち後出しじゃんけんのようで、その場その場を盛り上げるために「実はこうだった」と真相が箇条書きで描かれているように思えた
かなり上から目線で言葉は悪いかもしれないけど、ひとむかし前のサイコホラー洋画を寄せ集めて「邦画にしてはがんばってる」という感想が大きく頭に浮かんでしまう
あれっぽい、これっぽいと気安く何かでくくるのは気が引けるけど、どうしても既視感は否めない
場面転換は豊富なので、こうなるんだろうと思ってはいてもまだ先がある濃厚さは楽しめた
キャラやカエルマスクの造形とかひかれる要素がありつつ、反面、マンガ的な演出が重い話の中で軽く目にうつってしまってもったいない
なにかとてつもないものを観てしまったというほどじゃないけど、ズッコケ感はなくてそこそこ楽しめました

個人的評価:70点
オススメ度:これこそ三池監督に徹底的に胸くそ悪く改変してほしかったかも



ミュージアム 予告

ジャック・リーチャー NEVER GO BACK (2016/米)

監督:エドワード・ズウィック
出演:トム・クルーズ / コビー・スマルダース / ダニカ・ヤロシュ / ロバート・ネッパー

元憲兵隊指揮官のジャック・リーチャーはターナー少佐と会う約束をする
しかし彼女は逮捕されてしまい、不審に思ったリーチャーは独自に探りを入れ出すのだった

良く言えば堅実、悪く言えば地味、刹那の楽しみを与えてくれて、鑑賞後には記憶から綺麗に消えてくれる娯楽作品でした
格闘、銃、車とそれぞれのアクションをそつなく配置し、それでいて物足りなくはないものの決め手となる記憶に残る派手さはない
主人公も無敵のヒーローというほどじゃなく、敵に遅れもとるし怪我もする、スタイリッシュにピンチを切り抜けることなく泥臭い戦闘で渡り歩く中の上の強さ
役者の存在でキャラは立っているけど、他の人が演じていたら地味すぎる上に、別にトムさんじゃなくてもこの役はいい気もする
ほどよい謎とストーリーは頭を使わせすぎず、アクションを邪魔することなくありのままをするりと受け入れられて疲れない
ただリーチャーさんとターナーさんの微妙にギクシャクしたバディっぷりは、観ていてちょっとストレスを感じ、罵りあいつつも結果的に気持ちよく敵をなぎ倒していく様をみたかった
普通というにはもったいない楽しさはあるけど、もっとバカ騒ぎやアホ要素で作品の個性を主張してもよかったんじゃないかと思った一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:予告でもあるファーストシーンみたいなノリをずっと観てたかったのよね



ジャック・リーチャー NEVER GO BACK 予告

2016年11月20日日曜日

ガール・オン・ザ・トレイン (2016/米)

監督:テイト・テイラー
出演:エミリー・ブラント / レベッカ・ファーガソン / ヘイリー・ベネット / ジャスティン・セロー / ルーク・エバンス / アリソン・ジャネイ / エドガー・ラミレス / リサ・クドロー

電車の車窓からいつもお気に入りの家の様子をうかがっているレイチェル
その家の近所には元夫が新たな女性と子供とともに幸せそうに暮らしており…

なにが起ころうとしているのか、もらえる情報がとっちらかっていて、本当になかなか先を読ませてくれないもどかしさが楽しい作品でした
真相うんぬんというより、そこにいたるまでの課程、その作りが秀逸
いつまでたってもよく分からない状況で観ていて軽いストレスを感じながら、ただ辛いだけじゃないうまみのある激辛カレーを食べているような感覚をおぼえる
登場人物たちがどんどんクセものだと情報が開示されていきつつ、それ以上にレイチェルのアレっぷりが上書きされていく情報の混沌っぷりがおもしろい
時間軸の操作、現実との境界が限りなく薄い幻覚の描写などこれいじょうやったらわけわからなすぎる、というギリギリのラインの演出がたまらなく引き込まれる
じゃっかんレイチェルの記憶が都合良すぎじゃないかと頭をチラつくけど、ここまで最初から最後まですっきりしない作品なのに不思議な満足感があった一本でした

個人的評価:85点
オススメ度:ラストシーンの人物のその後が気になりすぎる



ガール・オン・ザ・トレイン 予告

機動戦士ガンダム THE ORIGIN IV 運命の前夜 (2016/日)

監督:安彦良和
出演:池田秀一 / 早見沙織 / 浦山迅 / 銀河万丈 / 三宅健太 / 渡辺明乃 / 柿原徹也 / 喜山茂雄 / 一条和矢 / 松田健一郎 / 土屋トシヒデ / 中博史 / 古谷徹 / 福圓美里 / 坂口候一

シャアは蜂起の扇動の責任をとらされ退役、地球へ向かうことになる
そこで不思議な少女ララァと出会うのだった

一応はシャア・セイラ編のラストということですが、もうすでにここから新章に突入してる気がするような内容でした
セイラさんは出番ないし、シャア個人のエピソードというよりジオン、連邦、そしてアムロそれぞれの群像劇になっている感じ
話としては一年戦争へつながる序章としてなじみ深いものになり、モビルスーツ戦も盛り上がり、ガンダムの影も見えてきて見所は多い
なじみあるものになってきたからこそ、ライトなオタク層な人にとっても良くも悪くもああだこうだ言いやすくて楽しめると思う
唐突な場面盛り上げ演出やクセのある見た目のキャラが引っかかるものの、コミカルさとシリアス、アクションのバランスは今まででいちばんよかくて自然と見入っていた一本でした

個人的評価:75点
オススメ度:ガンキャノンさん全否定じゃないですか


機動戦士ガンダム THE ORIGIN IV 運命の前夜 予告


マイ・ベスト・フレンド (2015/米)

監督:キャサリン・ハードウィック
出演:トニ・コレット / ドリュー・バリモア / ドミニク・クーパー / パディ・コンシダイン / ジャクリーン・ビセット / タイソン・リッター / フランシス・デ・ラ・トゥーア

子供の頃からの大親友のミリーとジェスのふたり
ある日、ミリーにガンが見つかり、ジェスも子供ができないことに頭を悩ませる中で闘病生活に協力するのだった

男の身としては女性同士の強い友情とかファンタジーと思えてしまうけど、それをふまえてもふたりの関係にどっぷりはまりこんで楽しめた
友や家族、知人にいたるまでトラブルメーカーのミリーにふりまわされながら、些細なもめごとなんかジョークで乗り切ってしまい、そこまで深刻すぎる展開にはならなくて観やすい
だからといって浅い話でもなく、主人公ふたりの限られた時間を切り取って観ているだけなのにすごい濃密な物語に感じられた
登場人物の表情、その愛おしさはもちろん、BGMやカメラワークまで丁寧に作られていて、けっこう芯がしっかりしてるドラマだなと好感を抱けました
最後の最後まで濁さずに瞬間を描いてくれたのもよかった

個人的評価:80点
オススメ度:女性向けとはいえ、ホントに野郎どもがどうしようもない奴ばかり



マイ・ベスト・フレンド 予告

2016年11月13日日曜日

ソーセージ・パーティー (2016/米)

監督:コンラッド・バーノン / グレッグ・ティアナン
出演:セス・ローゲン / クリステン・ウィグ / ジョナ・ヒル / エドワード・ノートン / サルマ・ハエック / ニック・クロール / デビッド・クラムホルツ / ポール・ラッド / グレッグ・ティアナン / コンラッド・バーノン / ビル・ヘイダー / マイケル・セラ / ジェームズ・フランコ / ダニー・マクブライド / クレイグ・ロビンソン

スーパーで人間に外の世界へ連れ出され、パンのブレンダと結ばれることを夢見るソーセージのフランク
その念願がかなうかと思われた時、事故によってスーパー内に放り出されてしまうのだった

思ってたより下ネタまみれというわけでもなう、ブラックユーモアの比率もけっこうあり、そこにパロディのエッセンスがある感じな内容でした
社会風刺のような深いものがあるような、という感じをいだかせといてひじょうにひどいもの(ほめ言葉)を観せられたという感想に笑いを浮かべざるえない
ただこの作品のおもしろさはクライマックスに凝縮されてる感じで、そこまでは細かいネタのジャブの連続
おもしろいけど、しょうじきこのままの展開だと食いたりないな、と中盤までじゃっかんのもやもやが胸に残る
そんな負の印象も暴走がはじまる終盤からラスト、そのオチのいきおいでくつがえって楽しい
このラストは本当にひどいとリアルに心の中でツッコミをいれたくなる
ライトっていうほどじゃないけど、個人的には下ネタレベルはそうでもなく、どっちかといえばホラー要素の方が強く残った一本でした

個人的評価:80点
オススメ度:すべてのネタを拾うには広く浅い知識がいるかもしれん



ソーセージ・パーティー 予告

2016年11月9日水曜日

ぼくのおじさん (2016/日)

監督:山下敦弘
出演:松田龍平 / 真木よう子 / 大西利空 / 寺島しのぶ / 宮藤官九郎 / キムラ緑子 / 銀粉蝶 / 戸田恵梨香 / 戸次重幸

小学生の雪男は学校の宿題で身近にいる大人について作文を書くことになる
平凡な家庭ゆえに書くことに困る中、居候の哲学者のおじさんに注目するのだった

おじさんと雪男ハワイへ行く、とでもいうように深夜ドラマの延長のノリでゆるく楽しめた
というかむしろ普通にTVドラマでやればいいのに、とも思う
作風はちょっとクセがあってベースは昭和のホームコメディで、しかもセリフがいちいち本の言葉みたいに堅苦しい
さいしょはそんな雰囲気がむずがゆく感じるけど、だんだんとくせになる心地よさがある
おどろくほどのドラマティックな展開やギミックはいっさいなく、常に分かりやすいネタふりとオチが待っていて、それが味だと分かっていてもじゃっかん退屈さを感じるのは否めないかも
昭和の古き良き時代の安心できるドラマを復古させるんだ、みたいな気負いもなく、しょうじきどの層をターゲットにした映画なのかよく分からない
原作が有名だからとて、それでもあえて映画として観るほどか、という野暮なツッコミがチラつかなくもない、あいた時間に持て余す暇があるなら後悔しないていどには楽しめる一本でした

個人的評価:75点
オススメ度:いや、いくら推してもワオは流行らない



ぼくのおじさん 予告

2016年11月6日日曜日

続・深夜食堂 (2016/日)

監督:松岡錠司
出演:小林薫 / 河井青葉 / 佐藤浩市 / 池松壮亮 / キムラ緑子 / 小島聖 / 渡辺美佐子 / 井川比佐志 / 多部未華子 / 余貴美子 / オダギリジョー / 不破万作 / 綾田俊樹 / 松重豊 / 光石研 / 安藤玉恵 / 須藤理彩 / 小林麻子 / 吉本菜穂子 / 中山祐一朗 / 山中崇 / 宇野祥平 / 金子清文 / 平田薫 / 篠原ゆき子 / 片岡礼子 / 谷村美月

選るの12時から営業をはじめる深夜食堂と呼ばれるめしや
そこへ集まる客の中に、訳ありの喪服の女性が訪れる

心が温まるとか、なにか胸が熱くなるものがある、なんてたいそうじゃないポッとぬくもりのもととなる種火を心に灯してくれるような作品でした
わざわざ映画にするほどか、と言われればアレだけど、大人の息抜き作品として同じ劇場で同じものを観ているという食堂の常連客みたいな勝手な一体感にひたるのがいい
それぞれのエピソードはもちろん、いつもの登場人物、そしてたまにちょっと隙をみせるマスターが愛おしい
個人的には焼うどん編がいちばん好みな話で、最後のエピソードもいいんだけど前作みたいなちょっとしたオチがないのが寂しかった
劇場版はこのままで続けてもらって、早めの年末恒例のシリーズにしてほしいかも

個人的評価:70点
オススメ度:やっとふつうに豚汁定食を食べるところを見られた



続・深夜食堂 予告

劇場版マジェスティックプリンス 覚醒の遺伝子 (2016/日)

監督:元永慶太郎
出演:浅沼晋太郎 / 日笠陽子 / 井口裕香 / 池田純矢 / 渡辺明乃 / 沢城みゆき / 伊藤静 / 東地宏樹 / 藤原祐規 / 三瓶由布子 / 杉田智和 / 杉田智和 / 代永翼 / 雨宮天 / 鈴木愛奈 / 相葉裕樹 / 久野美咲

イズルたちのチームによってゲートが閉じられ、ウルガルら敵勢力に対して攻勢にたつことができた
しかしイズルは負傷により目を覚まさず、敵の残存勢力もいっせいに動きだそうとしていた

王道ながらちょっとズレた昭和的な笑いをつっこんでくる、そんなスタイルが好きだったTVシリーズの雰囲気そのまんまで楽しめた劇場版でした
さすがにこの劇場版単体で鑑賞するには無理があるが、TVシリーズを観ていながら内容を忘れかけていてもあらすじでフォローも完璧
それに各キャラの描き方もよくできていて、劇場版鑑賞中に「そうそう、こんな感じだった」と気持ちよく思い出させてくれる
前から古くさいノリが味になっていたけど、理論をこじつけてまでリアルな方向に設定をだしてくる今時のアニメとは違う、こういう感覚とノリでピンチとチャンスに燃えて笑える方向に特化したのも悪くない
まあ、しょうじきなんでこのタイミングで劇場版か、と思うところもあるけど肩の力を抜いて懐かしみながら楽しめた、この作品らしさに満ちた内容でした

個人的評価:70点
オススメ度:敵クソビッチとアンジュのかけあいが素敵すぎる



劇場版マジェスティックプリンス 覚醒の遺伝子 予告

ジュリエッタ (2016/スペイン)

監督:ペドロ・アルモドバル
出演:エマ・スアレス / アドリアーナ・ウガルテ / ダニエル・グラオ / インマ・クエスタ / ダリオ・グランディネッティ / ミシェル・ジェネール / スシ・サンチェス / ロッシ・デ・パルマ

ある日、知人女性から連絡がとれなかった娘を見かけたと言われるジュリエッタ
そんな娘に手紙を書く形で彼女の過去、その当時の心境が明かされていく

純粋な愛というか、愛のかけ違いによって語られるジュリエッタという女性の物語にぼんやりと引き込まれる作品でした
しょうじき特になにか大きなことがあるでもなく、この映画になにも引っかかりを感じない人もいるだろうというのは想像に易い
男女、親子、親友、それぞれのボタンをかけ違えたような愛が、物事に悲劇的な結末をもたらす
それでいて同時に予期せぬ新たな悦びを引き寄せる、そんな純粋なようなひねくれてるような感情が、見知らぬ異国の感性に触れているようでむずがゆい
なんてことはないんだけど、個人的になぜか二度見したくなるような小さな引っかかりがあって不思議と退屈さはなかったですね
ラストもここで終わってくれたらいいな、というところでしめられるし、強くはないながらも印象に残る一本でした

個人的評価:75点
オススメ度:背中合わせの出会いとファック



ジュリエッタ 予告

2016年11月2日水曜日

インフェルノ (2016/米)

監督:ロン・ハワード
出演:トム・ハンクス / フェリシティ・ジョーンズ / イルファン・カーン / オマール・シー / ベン・フォスター / シセ・バベット・クヌッセン

負傷し意識が朦朧とした状態で病院のベッドで目覚めるラングドン
そこへ銃を持った襲撃者が現れ、訳の分からないままに病院関係者のシエナと逃げ出すのだった

スイッチを押すとか押さないとかの話じゃないのか、と原作未読なので思いつつ主人公とともに訳の分からない状況に流されるままに流されました
人物の裏側にドラマが隠されているようで、あまりそこら辺にはふれず見栄え重視の娯楽作品として作りました、という印象が強かったですね
しょうじきかなり大味な感じは否めず、出だしから主人公がポンコツ状態じゃなければ即企みは瓦解してたんじゃなかろうか
とにもかくにもそんな不調な主人公のしゃきっとしない様を延々とみせられ、話がよく分からないままに流されるのがなんか微妙にストレスがたまる
観ていても「おい、なんかそいつおかしなこと言ってるけど?」と思ってもロバートさんは気づかないもどかしさ
展開もシリーズのお約束なのかワンパターンな裏切りうんぬんな感じだし、個人的な思いとしては連続ドラマとして、一話一話のラストで「実はこうだった」という謎が分かっていく方が盛り上がる気がする
見せ場はあるのに、尺の都合なのかなんかサラっと大切な部分がどんどん過ぎ去っていく
なんか知らんけど美麗な名所、迫力のある追跡劇、そこに謎解きの要素がからんで盛り上がるには盛り上がる一本でした

個人的評価:75点
オススメ度:老いはどうにもならんけど、トムおじさんの見た目の劣化が一番アレかもしれん



インフェルノ 予告

2016年10月31日月曜日

デスノート Light up the NEW world (2016/日)

監督:佐藤信介
出演:東出昌大 / 池松壮亮 / 菅田将暉 / 藤井美菜 / 川栄李奈 / 青山草太 / 竹井亮介 / 大迫一平 / 金田明夫 / 中村獅童 / 戸田恵梨香 / 船越英一郎 / 沢城みゆき / 松坂桃李 / 松山ケンイチ / 藤原竜也

名前を書くと命を奪うことができるデスノート、それが死神たちによって6冊人間界へ落とされる
新生キラ騒ぎの中、日本の対策本部の三島はLの後継者たる竜崎と捜査を開始する

10年前のブームの中でちょうしにのって作ったのならまだしも、やっぱり「なんで今?」という感じがぬぐえない
新シリーズの始まりか、というわくわくもないし、原作を離れて新たにつむぎはじめるにはパンチが弱すぎる
今までのルールをもとに頭脳戦が繰り広げられるでもなく、都合のいい部分だけをピックアップしてストーリーに乗せてる安易さが見え見え
肝心の話じたいも前作までの映画シリーズ、そしてさらにネット配信された各キャラのプロローグエピソードを観ておかないとついていけない
名前を書くと人が死ぬノートの話でしょ、みたいな軽い気持ちで観ると置いてけぼりをくらう、なんともこれ単体では不完全すぎるデキな作品と言いたくなる
ちょっと気合いの入れたスペシャルドラマ枠でやるくらいがちょうどいいかも

個人的評価:60点
オススメ度:キラも貞子化して劣化シリーズを続けていくのか?



デスノート Light up the NEW world 予告

湯を沸かすほどの熱い愛 (2016/日)

監督:中野量太
出演:宮沢りえ / 杉咲花 / オダギリジョー / 松坂桃李 / 伊東蒼 / 篠原ゆき子 / 駿河太郎

夫が失踪し娘とふたりで暮らす双葉
学校での娘の問題を抱える中、双葉は末期ガンと宣告されてしまう

お涙ちょうだいとわかっていながら、その温くないめちゃくちゃ熱い愛になんども鼻の奥がしびれ涙があふれ出す
母である双葉の力強さ、愛の熱さ、人間らしさはもちろん、娘の安澄の強かさにも大きく心が揺さぶられる
死を直前にして家族だけでなく、はじめて出会う人たちとの関わり、そのドラマはベタすぎるほどベタなんだけど人物の存在感と演技に胸ぐらをつかまれて画面から目が離せない
タイトル通り、温かいなんてもんじゃない正面からぶつかってくる熱いシーンの数々に、こっちもどんどんとヒートアップせざるえない
末期ガン患者の最期の命の輝きとか、なんかありふれたものと思っているとガツンとぶん殴られ、それでいてイヤな気持ちにはならない
中高年向けのいつもの安心して観られる作品と思われるにはもったいなさすぎる一本でした

個人的評価:90点
オススメ度:あまりに熱すぎてラストは賛否分かれるかもしれんけど



湯を沸かすほどの熱い愛 予告

2016年10月30日日曜日

92歳のパリジェンヌ (2015/仏)

監督:パスカル・プザドゥー
出演:サンドリーヌ・ボネール / マルト・ビラロンガ / アントワーヌ・デュレリ / グレゴール・モンタナ / ジル・コーエン / ザビーネ・パコラ

92歳のマドレーヌは老いによってできることがなくなってきている自らの体について悩んでいた
そして誕生日のパーティで、家族たちを前に2ヶ月後にこの世を去ることを宣言する

もっとドタバタ系かと思ってたけど、最初っからずっしりと重いシリアスムードに包まれていた作品でした
かといって重苦しいだけでなく、負の感情に飲み込まれたわけではない死への想いは輝かしくもある
尊厳死とか悲壮感に包まれているだけでない、チャーミングなおばあちゃんの頑固っぷりが楽しい
尊厳死に対する考えも家族や周りの人々でことなる考えをもっているため、単純に良いとか悪いとか言えなく、テーマとして軽々しさはない
重すぎず軽すぎず、簡単に答えが得られないながらも温もりと笑顔のあふれるバランスのよい作りに引き込まれる
娘の考えも、その夫の感じるところも、息子の思いも、兄の頑なさも分かりやすく描かれていて、変に気負わなくても自然と頭に入ってくるので肩が凝らなくていい
考えるきっかけ、そんなものになる作品でした

個人的評価:80点
オススメ度:猫ちゃんまで頑固



92歳のパリジェンヌ 予告

ジェーン (2015/米)

監督:ギャビン・オコナー
出演:ナタリー・ポートマン / ユアン・マクレガー / ジョエル・エドガートン / ノア・エメリッヒ / ロドリゴ・サントロ / ボイド・ホルブルック

1870年代アメリカ、夫が撃たれて帰ってきたことから追っ手が迫っていると知ったジェーン
娘を信頼できる人物に預け、戦いを決意して以前の恋人に助っ人を頼むのだった

ラブが高まりパワーとなり、難局を乗り切ろうと奮迅する、分かりやすいほどシンプルゆえに原始的なおもしろさがあった
なんか知らんけど戦いに備える中でジェーンをとりまく人物たちや状況が過去を振り返る形で描かれ、別段に驚く話ではないもののどんどんジェーンの愛が力を持っていく様が力強くて見応えがある
しょうじきひとつの戦いを描くには話が長すぎる感がして、退屈さをおぼえるのも確か
派手な撃ち合いは少なく、途中途中でたまに響きわたる銃声が眠気払いになります
ただでさえ地味なキャストが地味に戦準備を進める課程を乗り切れば、盛り上がりが待っているので終わりよければ、という鑑賞後には前向きな感想をいだく
西部の強か母ちゃんの魅力でグッとしめられた一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:さいしょから家に火をつければ、という面白味のない思考は悪の美学的にアレなんですかね



ジェーン 予告

2016年10月26日水曜日

バースデーカード (2016/日)

監督:吉田康弘
出演:橋本愛鈴木 / 宮崎あおい / ユースケ・サンタマリア / 須賀健太 / 中村蒼 / 谷原章介 / 洞口依子 / 木村多江 / 安藤玉恵 / 黒田大輔 / 清水伸 / 田中圭 / 新津ちせ / 篠川桃音 / 中村ひなの

幼い紀子は優しい母親、そして父と弟にかこまれて暮らしていた
ある日、母が重い病気で入院してしまい…

なんかどっかで観たような話の作品だな、という思いも些細なもので、ひじょうに丁寧に描かれる内容に心地よく感情を揺り動かされる
ありがち、朝ドラみたいというマイナスイメージは頭にチラつくこともあるけれど、まるで人生を歌った唄のようにメロディカルに流れるストーリーに酔わざるえない
タイムカプセルの中身とか、20歳の手紙とかポイントポイントでグッとこみあげるものがある感情の盛り上げ方がうまい
そしてふいにコミカルな調子がしばらく続いたかと思うと、そこからラストへむけて一気に気持ちをもっていかれる
観ている側の感情のコントロールがよくできていて、ちょっとできすぎで計算高さがのぞき見えてしまう感じもするけど、そこら辺は見えないふりして作品に集中したい
作り方によってはこうふうに観ていて気持ちよくできるんだよ、というお手本のようでもあり、温かみに満ち満ちた内容にも満足できる一本でした

個人的評価:85点
オススメ度:まさかの大スクリーンでアタック25



バースデーカード 予告

闇金ウシジマくん ザ・ファイナル (2016/日)

監督:山口雅俊
出演:山田孝之 / 綾野剛 / 永山絢斗/ 真飛聖 / 間宮祥太朗 / YOUNG DAIS /最上もが / 真野恵里菜 / 太賀 / 狩野見恭兵 / 湊莉久 / 天使もえ / マキタスポーツ / 玉城ティナ / 六角精児 / モロ師岡 / 安藤政信 / 八嶋智人 / 高橋メアリージュン / 崎本大海 / やべきょうすけ

闇金業者の丑嶋のもとへ昔なじみの竹本が金をかりにおとずれる
そんな竹本に少年時代に因縁のある鰐戸三兄弟が近づいてくるのだった

やっと主役の丑嶋の過去、そこから現在へ因縁を引きずる相手との対決となって、シリーズ完結ということもあってすっきりするかと思いきやそうでもなかった
丑嶋と竹本を中心にじっくりやるだけでなく、パーティの女とかざっくり弁護士、そして犀原の過去とか盛りだくさんというより詰め込みすぎな感じがしないでもない
特に犀原はさんざんドラマ、映画とそのキャラをアピールしてきたのに、このファイナルでの扱いはすっきりしなさすぎる
主人公エピソードのわりに丑嶋少年の大暴ればかりが目に付き、大人丑嶋の存在感はそれだけでも大きいけど、最後なんだからもっと暴れに暴れてほしかった
なんともファイナル前編みたいのを観たような印象が強く、このあとに本当のラストとしてきっちり過去からの流れを描ききるエピソードがあるんじゃないかと錯覚してしまう
丑嶋と竹本の対比、この作品のアンサーエピソードを欲したくる一本でした

個人的評価:75点
オススメ度:バイバイという感じじゃない



闇金ウシジマくん ザ・ファイナル 予告

2016年10月23日日曜日

スター・トレック BEYOND (2016/米)

監督:ジャスティン・リン
出演:クリス・パイン / ザッカリー・クイント / ゾーイ・サルダナ / サイモン・ペッグ / カール・アーバン / アントン・イェルチン / ジョン・チョウ / イドリス・エルバ / ソフィア・ブテラ / ジョー・タスリム

キャプテンのカーク率いるUSSエンタープライズは深宇宙長旅の中で補給のために基地に寄る
そこへ救助をもとめる者が現れ、カークは未知の宙域へ船を向かわせることにするのだった

派手な戦闘、派手な銃撃、派手な爆発、何も考えずに身を委ねられるハリウッド映画が好きな人ならたまならない
主人公たちが抱える問題に呼応するような敵が現れ、都合のいい戦いと展開の中で都合よく問題が解決される
そんな都合良さに大きく目をつぶれば、娯楽映画として存分に堪能できた
カーク、スポック、ボーンズの基本3人の掛け合いはもちろん、他のクルーたちの魅力がいかんなく現れていて本当にラフな気分で楽しめる
シリーズも長くなってきたものの、この作品単体で観ても違和感はあまり感じない、いいタイミングでしきり直しができたと思う
変な気負いなく生き生きと楽しんで作ってるな、という感じが伝わってきて、観ていてもうるさいこと言わずにノリに身を任せていようと思える
古くからのファンがどう思うかは分からないが、個人的にはこういう良い意味での雑っぽさには好意をもてますね

個人的評価:85点
オススメ度:乗り物アクションばかりかと思ってたらそうでもない



スター・トレック BEYOND 予告

金メダル男 (2016/日)

監督:内村光良
出演:内村光良 / 知念侑李 / 木村多江 / ムロツヨシ / 土屋太鳳 / 平泉成 / 宮崎美子 / 笑福亭鶴瓶 / 大西利空 / 大泉洋 / 上白石萌歌 / 大友花恋 / ささの友間 / 音尾琢真 / 清野菜名 / 竹中直人 / 田中直樹 / 長澤まさみ / 加藤諒 / 柄本時生 / 山崎紘菜 / 森川葵 / ユースケ・サンタマリア / マキタスポーツ / 手塚とおる / 高嶋政宏 / 温水洋一 / 荻野可鈴 / 志田友美 / 京佳 / 山田朱莉 / 小林れい

子供の頃から一等賞をとることに努力を惜しまない秋田泉一
神童と呼ばれながらも中学入学を境に多くの挫折も味わうことになる

みょうに監督としてのセンスを前面に出しすぎず、出さなすぎずテンポよく話が進む良くも悪くも普通な印象
鑑賞中は青年編でやめた方がいいんじゃないか、という危惧があったものの実際はおっさん編までけっこう楽しめた
なんだかんだで主人公の歩んでいる道は輝かしいのに、けっきょくは平凡なところに流れ着く、それでいて昔はこうだったああだったというウザさがないのがいい
自ら輝くための研鑽、そして周りから光を与えられるきらめき、それらがけっこうあっさり味で描かれている感じ
言葉だけの上っ面テーマっぽさはないんだけど、心にうったえてくるほどじゃない普通さで悪い意味ではない平凡な一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:ちりばめられた小ネタが安っぽく思えるのは否めない



金メダル男 予告

2016年10月19日水曜日

何者 (2016/日)

監督:三浦大輔
出演:佐藤健 / 有村架純 / 二階堂ふみ / 菅田将暉 / 岡田将生 / 山田孝之

お拓人はバンドを引退した友人である光太郎といっしょに就職活動をすることに
そこに同じく就活中の学生時代の知り合いである瑞月、そしてその友達の理香も加わりともに集まるようになる

恋も友情も就活も色々あるけど、観ていていっさい元気や勇気、ポジティブな感情をもらえない
主人公の拓人の気持ちが見えないイライラがずっと続き、見えたら見えたでイライラするばかりで、観ていてたまりにたまったガスを抜かせてもらえず気持ち悪さが残る
理屈や正論で支配される中、そりゃそうなんだろうけど感じはするけど内容に気持ちがのっからない
登場人物が少なからずみんなイラっとさせる要素を持っていて、院生の先輩の存在だけが救い
ツイッターや演劇を用いた演出も内容のどろどろ感に引きずられて、じゃっかん負の印象に飲み込まれてしまってる感じ
ものすごく心に余裕がある時に観ないと、このめんどくささはなかなか受け入れきれないかもしれない

個人的評価:50点
オススメ度:気持ちの晴れる青春群像劇じゃない、と分かって観てれば感想は違ったかも



何者 予告

GANTZ:O (2016/日)

監督:さとうけいいち
出演:小野大輔 / M・A・O / 郭智博 / 早見沙織 / 池田秀一 / ケンドーコバヤシ / レイザーラモンHG / レイザーラモンRG / 津嘉山正種 / 小野坂昌也 / 津田健次郎 / 小川輝晃 / 吉田尚記 / 梶裕貴

死んだ後に生き返らせられ、謎の敵と戦いを強いられることになった加藤たち
大阪に送られ敵と戦うことになる中、現地の同じ境遇のチームと合流するのだった

GANTZとCG、合わないわけがないと思いながらも今さら感がぬぐえなかったけど、思った以上にマッチしてて見応えがあった
事情の分からない主人公を立ててはいるものの、設定等は原作をちょっとは知っていることを前提にしている作りで劇中での説明は少な目
それだけにテンポよく内容に集中して作られていて、ダラダラと初期設定を丁寧に聞かされなくてはならないのか、ということもないのはちょっとは知っている身としてはうれしかった
ずっとバトル続きでじゃっかん飽きがくるのは否めないけど、様々な武器やキャラ、そして多様な敵との戦いは派手で迫力はある
チャラさもウザすぎないていどだし、けっこう見やすい作品で個人的にはじゅうぶん楽しめた
アニメ、実写とさんざんやりつくされた上に、悪いイメージが残ってないといえば嘘になる今、もうちょっと早い段階で作っておけばもっと盛り上がったんじゃないかと思わざるえない

個人的評価:75点
オススメ度:あえて原作最初から作り直さなかったのはいいかも



GANTZ:O 予告

2016年10月16日日曜日

ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ (2016/英・米)

監督:マイケル・グランデージ
出演:コリン・ファース / ジュード・ロウ / ニコール・キッドマン / ガイ・ピアース / ローラ・リニー / ドミニク・ウェスト

敏腕編集者のマックスのもとへ突如訪れる作家のトマス
どこへいっても突き返されたトマスの作品だったが、マックスは売り出すことに決めてふたりで編集作業へうつるのだった

友情というほどドラマティックでもなく、わりと淡々と話は進むもののギリギリで退屈におちなかった
それでも常にこっからどう盛り上げていくんだろうと心の片隅に引っかかるものがあり、結局は特になにかあるわけでもなく静かに幕を引きましたね
どうしても自由すぎるトムに目がいってしまうけど、個人的には作家と密接につき合いながらも仕事ではブレないマックスの姿にひかれた
あとは劇中でのトムと奥さんの登場人物うんぬん言うシーンが印象に残る
あえて淡々と話を進めて映画としての登場人物を描くことで、物語の中の人の心を考えて観ているか、と問われてる気がしないでもない
とにもかくにもトムのアクの強さも含めて、周りの人たちの存在が地味になりがちなマックスを引き立て、その魅力で成り立っていたと感じた作品でした

個人的評価:70点
オススメ度:時折、クールな仮面を外すマックスさんのギャップ萌えってやつですか



ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ 予告

永い言い訳 (2016/日)

監督:西川美和
出演:本木雅弘 / 竹原ピストル / 藤田健心 / 白鳥玉季 / 堀内敬子 / 池松壮亮 / 黒木華 / 山田真歩 / 深津絵里 / 松岡依都美 / 岩井秀人 / 康すおん / 戸次重幸 / 淵上泰史 / ジジ・ぶぅ / 小林勝也 / 木村多江 / マキタスポーツ / サンキュータツオ / プチ鹿島

作家である幸夫は妻との関係が冷えつつあった
そんな中で、妻が旅行先でバス事故にあって亡くなったと連絡が入る

なんかめんどくさい心の機微を読みとる努力をしなくても、そんな作品を観たように感じさせてくれる分かりやすい内容でした
あからさまに逃避してる主人公の葛藤というほど低温でなく、逆にけっこう作品の温度が高くて心地よいぬるさで肩がこらない
スクリーンに描かれる状況の間、その行間を読むことをしなくても分かりやすく台詞や描写で説明してくれるので、「こう感じてほしい」という部分がスルっと伝わってくる
他者のスペースに介入することで主人公があれこれする疑似家族ものとして観てもじゅうぶん楽しめた
ほどよく温かくて、ほどよくチクチクする、ガツンとくるものがないのが物足りない気がしないでもないけど、出演者たちの演技でうまくカバーしてるなと感じた一本でした

個人的評価:75点
オススメ度:なにはともあれ竹原ピストルの曲が聴きたくなる



永い言い訳 予告

2016年10月9日日曜日

ジェイソン・ボーン (2016/米)

監督:ポール・グリーングラス
出演:マット・デイモン / トミー・リー・ジョーンズ / アリシア・ビカンダー / バンサン・カッセル / ジュリア・スタイルズ / リズ・アーメッド / アトー・エッサンドー / スコット・シェパード / ビル・キャンプ / ビツェンツ・キーファー / スティーブン・クンケン

CIAのコンピュータがハッキングされ、機密データが盗み出される
ハッカーの正体はすぐに特定され、ジェイソン・ボーンと関係のある人物だと分かるのだった

途中からそういうもんだと割り切って観てたけど、新シリーズ開始ということでの序章、次へつながるための助走みたいな内容でした
大きくなったボーンシリーズを大切にしすぎて、変に「何か違う」という違和感は少ない物の、逆に突き抜けた何かがなくて物足りない
個人的な思い入れとして、初期3作はどれも観ていて先の展開に対するドキドキ感や心地よい高揚感があったけど、どうにも今作はずっとフラットな気持ちのままでした
銃撃、格闘、カーアクション、陰謀、謎、すべてそろっている上に、画面内では世界を飛び回って話が進む、かなり贅沢な作りのはずなのにテンションが上がりきらない
つまらない、退屈というほどじゃないんだけど、ボーンの復帰に期待が大きすぎたのかもしれない
本編よりもこの続きがひじょうに観たい衝動にかられざるえない一本でした

個人的評価:75点
オススメ度:スワットの車が無敵すぎるだろ



ジェイソン・ボーン 予告

グッドモーニングショー (2016/日)

監督:君塚良一
出演:中井貴一 / 長澤まさみ / 志田未来 / 池内博之 / 林遣都 / 梶原善 / 木南晴夏 / 大東駿介 / 濱田岳 / 吉田羊 / 松重豊 / 時任三郎 / 遠山俊也 / 小木茂光

朝のワイドショー番組のキャスターをつとめる澄田は仕事にプライベートにトラブル続き
そんな中でおこったカフェのたてこもり事件、その犯人の要求は澄田だった

観る前から分かりやすい内容の分かりやすい笑いを提供するんだろうと、ちょっとあなどってたらけっこう見入ってしまった
テレビ番組を題材にしながら安易にテレビ局万歳な内容でもなく、嘘と虚飾にまみれた話がおもしろい
予想できるような笑いはもちろんあるけど、予告から想像するようなバカ騒ぎ感はうすい
最初こそいい話にしようとはぐらかそうとしている感がして嫌な雰囲気だったけど、低俗さを描き続けることで個人的に評価と期待が高まっていった
けっしていい話ではないんだけど、こういう胡散臭さをきちんと描いてくれたのは意外だった
ワイドショーの裏側も実際はどうかしらないけど、けっこうリアルに感じられるし、期待しないで観れば「けっこういいじゃん」と思える一本かもしれません

個人的評価:70点
オススメ度:ありえねー、とラフにツッコミを入れるくらいの気持ちがちょうどいい



グッドモーニングショー 予告

2016年10月5日水曜日

高慢と偏見とゾンビ (2016/米)

監督:バー・スティアーズ
出演:リリー・ジェームズ / サム・ライリー / ジャック・ヒューストン / ベラ・ヒースコート / ダグラス・ブース / マット・スミス / チャールズ・ダンス / レナ・ヘディ / スキ・ウォーターハウス

ゾンビとの戦いが激しい18世紀のイギリス
リズはパーティの中で気になる男性ダーシーと出会うが、彼の高慢な態度に怒りをおぼえるのだった

落ち着いた高貴な雰囲気の中にあるジャンク成分が輝き、その世界観とドラマに自然と引き込まれた
18世紀のイギリス、ふたりの男女のすれ違いと身分違いの恋、そこにゾンビ成分だけでなく中国武術や日本刀を足すとかネタくさいことこの上ないけど、しっかりと作品内容にとけあってマイナスイメージを抱くことなく鑑賞できる
個人的に原作は知らないけど、特に問題なく観ていられた
ベースは貴族社会のごたごたと恋愛要素でクラシカルな雰囲気が漂いながら、いきなりジャレあうように、時には真剣に戦いあって思いを通じさせるシーンが挿入されるからたまらない
さらにシリアスな空気の中にレディ・キャサリンやコリンズ神父というキャラが混ざった奇妙さがとてもおもしろい
けっこうガチなゾンビものなのに、嫌みな俗っぽさがなく一本の映画作品として変な偏見なく楽しめた

個人的評価:90点
オススメ度:静かなツッコミどころが多くてB級心もくすぐられる


高慢と偏見とゾンビ 予告

SCOOP! (2016/日)

監督:大根仁
出演:福山雅治 / 二階堂ふみ / 吉田羊 / 滝藤賢一 / リリー・フランキー / 斎藤工 / 塚本晋也 / 中村育二 / 山地まり / 澤口奨弥 / 石川恋 / 阿部亮平 / 護あさな / 鈴之助 / 宮嶋茂樹 / 久保田悠来 / 寿るい

芸能スキャンダルばかりを追う中年パパラッチの静
ある日、対象の撮影をしている現場に場違いな女の野火が現れ、新人の彼女と仕事を組まされることになる

どことなく古くさい男目線の男映画のため、気持ちよく鑑賞できる人とそうでない人に分かれそう
特に序盤では話の流れもなんか昔に観たような感覚をおぼえ、展開にあまりおもしろみはない
ただ主人公の静のクズっぷり、チャラの狂いっぷり、馬場の男っぷり演技は見応えがある
というかそんな演技が強い求心力となって、スクリーンから目が離せない、内容より出演者の存在感が勝ちすぎてる感はある
個人的にはとことんまでクズに徹した主人公が観たかったために、あるきたりな「主人公がなんか変わった」みたいな展開にはちょっとガッカリ
クライマックスからラストも賛否が分かれるだろうけど、無難にひよったオチでまとめられるよりは私的に印象に残っていいと思う
じゃっかん最後のまとめのキレが悪い気がするのは否めないですが

個人的評価:75点
オススメ度:福山さんのクズ演技、けっこうハマってるけど、すべてリリーさんにもってかれてるね



SCOOP! 予告

2016年9月28日水曜日

闇金ウシジマくん Part3 (2016/日)

監督:山口雅俊
出演:山田孝之 / 綾野剛 / 本郷奏多 / 白石麻衣 / 筧美和子 / 最上もが / マキタスポーツ / 山田裕貴 / 前野朋哉 / 矢野聖人 / 児嶋一哉 / さくらゆら / 岸井ゆきの / 水澤紳吾 / 山下容莉枝 / 大杉漣 / 藤森慎吾 / 浜野謙太 / 高橋メアリージュン / 崎本大海 / やべきょうすけ

闇金業者の丑嶋は金に困った人たちをカモに法外な利息で金をかしていた
一方、巷ではネット教材で大金を稼ぐ天生のビジネスが注目を集めていた

劇場版もパート3になって、ますますエピソードも過激に…というわけでもなく、びっくりするほどオーソドックスな内容でした
出てくるゲストクズキャラの面々もネタっぽい奴らばかりで、胸くそ悪いというよりコメディよりな感じ
マルチ商法にキャバ嬢にはまる男、金を必要とする理由が普通すぎて話じたいは物足りないけど、素敵に輝くクズたちのキャラクター性は強くみごたえはある
最初こそ普通に演技してるけど、みんなどんどん暴走していってノリノリで演じてる楽しさが伝わってくる
こういう軽い感じので一作やるのはいいけど、やっぱりファイナルへの宣伝感は否めない
TVドラマと、この3のダブルでファイナルへの宣伝が完了してるようで、どうせならこれはTVスペシャルで放映しろよ、と言いたくなる
ウシジマくんも出番はあるけど、それでも映画ベースと考えるともっと主人公らしく全面に出てほしかったかも

個人的評価:70点
オススメ度:これだけ宣伝したFinal、その上げまくった期待のハードルに応えてくれることを祈らざるえない



闇金ウシジマくん Part3 予告

2016年9月25日日曜日

ハドソン川の奇跡 (2016/米)

監督:クリント・イーストウッド
出演:トム・ハンクス / アーロン・エッカート / ローラ・リニー

旅客機の機長をつとめるサリーは、ある日、エンジン事故によりハドソン川への着水を決断する
無事に着水はできたものの、事件の調査の段階でその判断に疑いの目が向けられるのだった

漢と書いておとこと読む、まさに機長の漢っぷりにほれてしまう内容でした
事故前も後も機長として毅然とした態度の主人公、どこか俗っぽい副操縦士の存在がさらにその魅力をひきたてている
疑いの目をかけてくる人たち、さらには主人公を英雄視する民衆、騒動に巻き込まれる形になってしまった家族、それぞれに囲まれながれ不安に押しつぶされそうになりながらも自分を貫き通す姿が素敵でしたね
そんな完璧すぎる人物を描きながら、過不足なく短くまとめた話ゆえに主人公に対する嫌みっぽさを感じない
まあ、再現映像のチープなドラマでも内容は分かるけど、監督&俳優の力で完成度が格段に上がるというのがよく分かる作品でした
時間をかければバカでも理想的な解決方法を見いだせる、そんなもやもやしながら観ている感情も救われて気持ちよく鑑賞できた

個人的評価:80点
オススメ度:本当に作品じたいに過剰にドラマチックな演出が装飾されてない感じ



ハドソン川の奇跡 予告

真田十勇士 (2016/日)

監督:堤幸彦
出演:中村勘九郎 / 松坂桃李 / 大島優子 / 永山絢斗 / 高橋光臣 / 駿河太郎 / 村井良大 / 荒井敦史 / 望月歩 / 青木健 / 石垣佑磨 / 加藤和樹 / 伊武雅刀 / 佐藤二朗 / 野添義弘 / 松平健 / 大竹しのぶ / 加藤雅也

徳川と豊臣の戦いも最終局面へ向かう頃、佐助は真田幸村と出会う
噂と違う幸村の人となりを見た佐助は彼をかつぎ上げて、天下に大嘘をつこうと考える

真田とか、娯楽時代劇とか、時代考証とか、人物設定とか、もうそういうのを忘れていつもの堤幸彦ワールドを楽しむ気構えで観ればなんとか鑑賞にたえられる
戦シーンは迫力があって見応えがあるけど、ちょっと引いたシーンではさすがに兵たちのすかすかっぷりが目についてしまう
というより見せかけ、客寄せっぽい派手なシーンより、もろに舞台を観劇しているようなセットの中での芝居の方が個人的には楽しめた
見せ場にするのは分かるけど、もっと戦の部分は簡略化して十勇士のかけあいを観ていたかった
特に佐助と幸村のドラマ、コミカルながら絆を深めていく描写が少なくて物足りず、いきなりガッツリ信頼で結ばれてるの前提でやられても画面の中との温度差だけが大きくなるばかり
大作娯楽時代劇と思って観て、歴史的な視点からのツッコミに耐えれれないむずがゆさを感じる人も多いんだろうな、と思わずにいられない
まあ、なにはともあれ舞台演劇チックなパートだけは楽しめた一本でした

個人的評価:60点
オススメ度:ドラマチックなようでまったくドラマチックではない



真田十勇士 予告

亜人 衝戟 (2016/日)

監督:瀬下寛之
出演:宮野真守 / 細谷佳正 / 福山潤 / 大塚芳忠 / 平川大輔 / 櫻井孝宏 / 小松未可子 / 木下浩之 / 鈴村健一 / 森川智之 / 坂本真綾 / 洲崎綾 / 斉藤壮馬

不死の存在である亜人になった永井は中野とともに戸崎と組んで佐藤に対することにする
永井は来るべき決戦の前に訓練をする中、佐藤の計画は着実に進行していく

さすがに最後ということもあって、もうクライマックスが続きっぱなし
見せ場があまりに多すぎ&戦いが続きすぎて、ひとつひとつのシーンを切り抜いてみれば見応えあるものの、それが連続しているとここぞってところに引き込まれづらい
どんどん主人公が永井から佐藤へシフトしていって、逆に永井の心の動きがよく分からなくなっていく
永井と佐藤の対比で内容が生きてくるんだろうけど、佐藤よりにかたよりすぎな気がしないでもない
編集も雑な点が隠しきれてなく、ひとつの作品としては前2作に比べるといちばん流れが悪い
この劇場版は劇場版として楽しんでいただけに、最後の最後で細かいところが気になるならTVシリーズを観てね、みたいな作りがちょっと残念だった

個人的評価:70点
オススメ度:佐藤さんがマジでスネークすぎる



亜人 衝戟 予告

2016年9月21日水曜日

BFG (2016/米)

監督:スティーブン・スピルバーグ
出演:マーク・ライランス / ルビー・バーンヒル / ペネロープ・ウィルトン / レベッカ・ホール / レイフ・スポールティブス / ジェマイン・クレメント / ビル・ヘイダー / オラフル・ダッリ・オラフソン / アダム・ゴドリー / マイケル・アダムスウェイト / ダニエル・ベーコン / ジョナサン・ホームズ / クリス・ギブス / ポール・モニツ・デ・サ / クリス・シールズ / マット・フルーワー / ジェフリー・ウェイド

児童養護施設で暮らす少女ソフィー
真夜中、外の風景をながめると、そこに巨人が現れて彼女をさらってしまうのだった

どこか懐かしいファンタジーなのかもしれないけど、どうにも現代の感覚が枷になって現実離れした展開に「そんなことしたら現実じゃ」という思いが常に邪魔をする
さすがに今の子供たちでもファンタジーすぎる描写に現実的なツッコミを入れたくなるんじゃないだろうか
古い人間が子供向けの作品を作ったらちょっと微妙なものができた、という感じがする
とりあえず少女と巨人、そして巨人の国という掴みいいんだけど、そこからしばらく話が動かなくて眠くなるのがしんどかった
巨人サイズゆえのドタバタ騒ぎの中で、じょじょにBFGが受け入れられていき多くの人たちとの心の交流が…という話かと思ってたら、なんか違いましたね
どことなく話の最初と最後の部分をくっつけたような、真ん中がすっぽりぬけてる印象
そんなマイナスイメージが先行してしまい、個人的にどうにもBFGというキャラじたいも魅力的に輝いて見えなくて残念でした

個人的評価:65点
オススメ度:ソフィーのかわいらしさだけは救われる



BFG 予告

怒り (2016/日)

監督:李相日
出演:渡辺謙 / 森山未來 / 松山ケンイチ / 綾野剛 / 広瀬すず / ピエール瀧 / 三浦貴大 / 佐久本宝 / 高畑充希 / 原日出子 / 池脇千鶴 / 宮崎あおい / 妻夫木聡

東京でおきた殺人事件から一年、容疑者である山神はいまだ逃亡中だった
そんな時、東京、千葉、沖縄それぞれに身元が定かでない男たちが現れる

3つの場所で展開されるそれぞれの話に関わっていく人物たち、なにか複雑でトリッキーーな何かが隠されているようでストレートな結末がおもしろかった
信じる者、信じられなかった者、それぞれのむかえる結末までの道のりが秀逸で、観ているこっちも疑いに目が曇るほど内容に引き込まれていき、感情に響くものを得られる
出てくる人物みんなクセがあって普通じゃない感じで、それに対する偏見が強くなるほど歪んだ自身の姿を痛烈に感じさせてくれる
ミステリーの要素もあるのでネタバレにならないように語るのは難しいけど、とりあえずそれぞれの演技の素晴らしさだけでも満足できる
3つの場所での3つの話、それぞれすべてしっかり作り込まれている物足りなさなど微塵も感じさせない一本でした

個人的評価:90点
オススメ度:自分でも気づかない言動や行動の根底にあるもの、それを見透かす人もいると肝に銘じておきたい



怒り 予告