2016年5月30日月曜日

ヒメアノ~ル (2016/日)

監督:吉田恵輔
出演:森田剛 / 濱田岳 / 佐津川愛美 / ムロツヨシ / 駒木根隆介 / 山田真歩 / 大竹まこと

バイト先の先輩から気になる女の子の相談を受ける岡田
その女の子の働いているところで偶然に高校の同級生の森田と出会い…

予告編とか予備知識なしに観ればかなり衝撃を受けたり、また印象も違ったかもしれないけど、どうにもこうにも予告編まんまでそれ以上のものはなかった
本編がはじまるまでの長いラブコメパート、ショッキングに加速するスリラーパートのギミックは手法としておもしろい
だけどもうひとつなにか物足りなさに満ちて、鑑賞後も気持ちの悪い不完全燃焼さだけが残る
危ない存在の森田の存在、役者の演技としてはハマってるものの、見た目から分かるあやうさ以上に「こいつホントにヤバイ」という気迫みたいなものが感じられないのはもったいない
淡々と続くエグイ暴力描写、その深淵にある闇のドラマもイマイチ
映画の中では凄惨で陰惨な展開になっているんだけど、その凄みが観ていてどうも伝わってこない
ショーにもドラマにもなってない、単なる暴力の羅列を観ているような作品でした

個人的評価:65点
オススメ度:安定の浜田岳の小者演技だけは満足



ヒメアノ~ル 予告

エンド・オブ・キングダム (2016/英・米・ブルガリア)

監督:ババク・ナジャフィ
出演:ジェラルド・バトラー / アーロン・エッカート / モーガン・フリーマン / アロン・アブトゥブール / アンジェラ・バセット / ロバート・フォスター / ジャッキー・アール・ヘイリー / メリッサ・レオ / ラダ・ミッチェル / シャーロット・ライリー

イギリス首相の急死によってロンドンへ向かうアメリカ大統領、その警護につくことになったマイク
すべてが慌ただしくばたつく中、現地ではテロリストの影がチラつくのだった

銃撃、爆破、カーチェイス、まさにアメリカ万歳な脳筋ハリウッドアクションの教科書的な作品でした
ストーリーの流れを作るためにサスペンス要素はちょっと入れ込み、その大部分は頭からっぽにして派手な展開におどるスクリーンを眺めて気持ちよくなっていられますね
葛藤や復讐なんかの足を止まりそうな部分は極力そぎ落とし、主人公も足かせとなる大統領もタフ度マックスにチートしてとにもかくにも暴れ回る爽快感、感覚だけの疾走感を大事にしているのは潔い
戦場の真ん中で敵側と味方側をぐるぐる回るカメラ、主人公の追随する描写などの工夫も光り、大雑把な派手なだけじゃない部分も主張している
良い意味で鑑賞後に何も残らず、脳をリセットするために頭を使わない作品が観たい時には最適な一本かもしれません

個人的評価:80点
オススメ度:また娘のためにカムバックする系のおっさん主人公候補が誕生したわけですね



エンド・オブ・キングダム 予告

2016年5月29日日曜日

素敵なサプライズ ブリュッセルの奇妙な代理店 (2015/オランダ)

監督:マイケ・ファン・ディム
出演:イェルーン・ファン・コーニングスブリュッヘ / ジョルジナ・フェルバーン / ヤン・デクレイル / ヘンリー・グッドマン

母親が死んでも感情が希薄なヤーコブ
財団を引き継ぐことになったが、彼は密かに幾度となく自殺を試みるのだった

鑑賞後「素敵な…?」という心のツッコミを入れたくなったのは私だけじゃない、と思いたい
死を覚悟した主人公が、もう死んだつもりで日々を暮らせば愛を知ったり世界は素敵じゃねえか、と再確認するという筋が見え見えだけど、それだけじゃないブラックさがあって楽しめた
ホントに途中まではふつうに生きることも悪くない、というような流れなんだけど、なんかこのままゆるく終わるのかと思っていたところで流れが変わる
もっとファンタジーな奇跡的な不思議パワーがある作品かと思いきや、なんとも冷静に考えるとひどくブラックな設定だと気づく
愛とか絆とか温い要素を隠れ蓑に、主人公がたどり着いた先のなんともいえない皮肉さがいい
リアル路線なのか、ファンタジー路線なのか、ちょっと曖昧にしてるところも深読みできて「実はこうなんじゃないか」とライトな感覚で考察できる後味もおもしろい

個人的評価:80点
オススメ度:バイオレンスなキスにしびれる



素敵なサプライズ ブリュッセルの奇妙な代理店 予告

神様メール (2015/ベルギー・仏・ルクセンブルク)

監督:ジャコ・バン・ドルマル
出演:ブノワ・ポールブールド / カトリーヌ・ドヌーブ / フランソワ・ダミアン / ヨランド・モロー / ピリ・グロワーヌ

退屈しのぎに人間に不幸をふりまく神に反発する娘のエア
腹いせに神のパソコンから人間に余命宣告メールを送信し、新たな使徒を探すために人の世へ家出するのだった

おさえた調子で宗教や哲学風を装ってはいるけど、本当にバカバカしいコメディだという印象の作品
序盤の神である父親と母親の女神、娘のエアのやりとりはブラックな面もふくめて分かりやすい笑いで満ちている
だけどいざエアと使徒たちとの話になると、どうにもちょっと分かりにくいというか、かなり人を選ぶ雰囲気のコメディへ変移していってる感じ
現代社会と人の問題うんぬんめいた部分が、美しい曲にのってエアの奇跡で救済されているようだけど、「それでいいのかよ」とツッコミを入れるのが楽しい
ラストまでそんな感じでいくので、キャラの言動や行動、顔芸みたいな分かりやすい笑いを期待していると退屈するかもしれない
コメディはコメディだけど、個人的にはなじみのない作風で描かれていておもしろかった

個人的評価:75点
オススメ度:宗教的な面で偉い人から怒られないのか



神様メール 予告

2016年5月23日月曜日

海よりもまだ深く (2016/日)

監督:是枝裕和
出演:阿部寛 / 真木よう子 / 小林聡美 / リリー・フランキー/ 池松壮亮 / 吉澤太陽 / 橋爪功 / 樹木希林

金に困った作家くずれの男は父の遺品からなにか引き取ろうと母の元を訪れる
しかし目当てのものはなく、探偵として稼いだ金もギャンブルにつぎ込んでしまう

バラバラになった家族の絆、夢、そんな部分を心にうったえ感動押しつけてくるでもなく、ちょっと温いけどあったかい湯加減に癒される
なんでもない普通の人たちの等身大の生活と会話、そこに過剰すぎないドラマを加えることで重すぎず退屈すぎずな絶妙なバランスが保たれていておもしろい
かしこまっていない着崩した衣装も特徴的で、なんでもない部分がさりげなく描かれつつもしっかりと目に付くようにできているがいい
主人公と母、姉、元嫁、息子、探偵者の面々、キザったらしくない会話劇と突き放しすぎないツッコミが耳に心地よい
けっこうなダメ人間なところを多々みせられながらも、不思議と主人公に魅力を感じずにいられない

個人的評価:80点
オススメ度:さすがにアレアレ言い過ぎでちょい耳障り



海よりもまだ深く 予告

劇場版GARO DIVINE FLAME (2016/日)

監督:林祐一郎
出演:浪川大輔 / 野村勝人 / 朴ろ美 / 堀内賢雄 / 富田美憂 / 小宮有紗 / 萩原聖人

亡き父の忘れ形見である弟の鍛錬にいそしむレオン
そこへ盟友アルフォンソとともに隣国のホラーを討滅せよと指令がくだる

シンプルなストーリーに派手なアクション、ファンサービスでもあり次の展開に向けて探りの一手でもあるような内容でした
父から子、そして次の世代へというアフターストーリー的には王道な話に生と死の要素をエッセンスで加え、シンプルながらも物足りなさはあまり感じない
とにかく思いついたアクションはとことん詰め込み、飛んで跳ねてカメラぐりぐり動かしての描写はそれだけでも痛快で楽しめる
お父ちゃんであるヘルマン関連の扱いはネタバレとして伏すとしても、全体的にぐちぐちねちねちしたねばっこい展開はなく、突っ走る疾走感の中でドラマの流れも走らせていてよかった
この作品単体での映画としての評価はアレだけど、TVシリーズを観ていた人なら蛇足感なく盛り上がれると思う

個人的評価:75点
オススメ度:いきなり性なる営みから始まるとか攻めてるな



劇場版GARO DIVINE FLAME 予告

2016年5月22日日曜日

ガルム・ウォーズ (2014/日・加)

監督:押井守
出演:メラニー・サンピエール / ランス・ヘンリクセン / ケビン・デュランド / サマー・ハウエル

3つの種族により争乱状態にある惑星
クローン兵士のカラは老人ウィドに導かれるように、敵兵やドルイド族を加えて旅にでることになる

オリジリナルビデオアニメが全盛の時分、新進気鋭のクリエーターによって作られていた作品を観ているような不思議な懐かしさを感じた
良く言えばクラシック、悪く言えばカビ臭い内容は現在の流行から大きく外れているんじゃないかと思う
アニメと実写の融合、その映像表現は違和感が薄くて技術の進歩はすごいけど、それを前面にだして「すげえだろ?」と言われてるようでちょっと嫌みっぽい
ストーリー、作品自体も監督のワンマン気質が強く、自分のやりたいこと濃度が高く感じた
ゆえにこの作風にハマれれば極上のひとときを味わえるかもしれない
個人的にはまったく受け付けない、ということもないけどノリきれない部分が多いのは否めなかった
あとさすがに例の犬がでしゃばりすぎ

個人的評価:60点
オススメ度:吹き替え音声はいいけど、声に変にエフェクトかけて聞き取りづらいところがあるのはどうかと



ガルム・ウォーズ 予告

機動戦士ガンダム THE ORIGIN III 暁の蜂起 (2016/日)

監督:安彦良和
出演:池田秀一 / 柿原徹也 / 前野智昭 / 浦山迅 / 銀河万丈 / 三宅健太 / 渡辺明乃 /坂東尚樹 / 茅野愛衣 / 潘めぐみ / 坂口候一 / 古谷徹

セイラに別れを告げたエドワウはジオン士官学校へ入学するシャアについていく
そこで自分とうり二つなシャアと入れ替わりを画策するのだった

長い助走を経てやっとシャアとして本格的に動き始めておもしろくなってきた
やはりファーストのシャアとしてのイメージ通りに活躍&暗躍してくれるだけで見応え度がはねあがる
しかし、逆にそんなシャアのイメージがどうしてもハマらない点が強く引っかかる
入れ替わりという手段を使ってまで士官学校に入ったのに、浅はかとしか言いようがないくらいに無駄に自分から目立ちまくるのが気になってしかたない
自分から疑いの眼差しを集める姿はあまりに滑稽すぎる
そんなどうにも飲み込めない強い反発はあるものの、戦闘シーンはもちろんキャラクターの表情の変化が豊かで前作までよりは満足できた

個人的評価:70点
オススメ度:学園コメディのノリはいらない



機動戦士ガンダム THE ORIGIN III 暁の蜂起 予告

ディストラクション・ベイビーズ (2016/日)

監督:真利子哲也
出演:柳楽優弥 / 菅田将暉 / 小松菜奈 / 村上虹郎 / 池松壮亮 / 北村匠海 / 岩瀬亮 / キャンディ・ワン / テイ龍進 / 岡山天音 / 吉村界人 / 三浦誠己 / でんでん

ある日、路上でのケンカの後、弟を残して姿を消した男
男はひとり街を歩き、見知らぬ相手に殴りかかる

どんどんと加速していく胸くそ悪さ、その矛先は映画じたいでもあるし観ている自分自身に向けてでもあった
内容じたいもそうだけど、観ているこっちに振るわれる精神的な暴力がけっこうキツい
それでいて自分も同じ穴の狢だと気づかされ、真っ正面から純粋にこの暴力を批判できないもどかしさがつのっていく
理解しようとか分かろうとするほど手のひらをすり抜けていくような、感覚にうったえてくる感じる作品かもしれない
なにより、出演者の強烈な演技に引き込まれるところも強く、常に胸ぐらをつかまれてぐいぐい引きずられるようで良くも悪くもたまらない

個人的評価:85点
オススメ度:おもしろいと思いつつ、これを楽しんではいけないという気持ち悪さに葛藤せざるえない



ディストラクション・ベイビーズ 予告

2016年5月19日木曜日

マクベス (2015/英)

監督:ジャスティン・カーゼル
出演:マイケル・ファスベンダー / マリオン・コティヤール / エリザベス・デビッキ / バディ・コンシダイン / ショーン・ハリス / ジャック・レイナー / デビッド・シューリス

争乱のスコットランド、戦場で勝利をつかんだマクベス
その荒野にて不思議な女たちに王になると予言を受けるのだった

映像と音響との融合を狙った舞台演劇、その反対に映画に演劇の要素を入れてなんか気持ち悪いデキになっちゃった感じ
しょうじきマクベスそのものについては詳しくないけど、なんとか名シーンと名セリフを再現しようとがんばってるうちに、そっちにばかり気を取られて映画としてバランスを崩してる気がする
PV的にダイジェストとして回りくどいセリフ、そしてキメの画を観ている分には美麗な作品世界を賞賛できるかもしれないけど、こうだらだらと垂れ流されると退屈さだけが際だつ
序盤の戦場シーン、クライマックスの戦いからのラスト、なんかそこだけは妙に気合い入ってて見応えはあった

個人的評価:50点
オススメ度:最初と最後以外は本当にびっくりするくらい記憶に残らない



マクベス 予告

2016年5月16日月曜日

世界から猫が消えたなら (2016/日)

監督:永井聡
出演:佐藤健 / 宮崎あおい / 濱田岳 / 奥野瑛太 / 石井杏奈 / 奥田瑛二 / 原田美枝子

悪性の脳腫瘍が見つかり余命幾ばくもないと分かった男
絶望の中で帰宅すると、そこには自分にそっくりな男がいて世界からなにか1つ消す代わりに1日寿命を延ばしてあげようと持ちかけられる

この映画を観て心になにか響くものがない自分は不感症なんじゃないか、とちょっと心配になるくらい感じるものが希薄だった
消されるものとによって思い出が引き出され、それによって主人公をはじめとする周りの人たちの人となりが分かってくる、というのは理解できる
でも、その消されるものと思い出のリンクがあまりに直結しすぎていて、ちょっと安易に思えてしまう
それでも話じたいは退屈することなく観ていられたので、なんというか悲しく優しい物語を下手な朗読で読み聞かされている印象がする
言葉、情景、物語、人物の方に体や心が引っ張られることもなく、逆に自分のなかにそれらがしみこんでくるでもない、ずっと上っ面をなぞっているかのような感じ
演技も見応えあるし良い話だ、と思えるだけに本当に自分の受け止めるためのアンテナがさび付いたのか、と変なもどかしさをおぼえた作品でした

個人的評価:60点
オススメ度:お父ちゃんとキャベツの関わりは素直ににんまりできた



世界から猫が消えたなら 予告

殿、利息でござる! (2016/日)

監督:中村義洋
出演:阿部サダヲ / 瑛太 / 妻夫木聡 / 竹内結子 / 寺脇康文 / きたろう / 千葉雄大 / 橋本一郎 / 中本賢 / 西村雅彦 / 山本舞香 / 岩田華怜 / 堀部圭亮 / 斉藤歩 / 芦川誠 / 中村ゆうじ / 上田耕一 / 重岡大毅 / 羽生結弦 / 松田龍平 / 草笛光子 / 山崎努

1760年代の日本、とある貧乏宿場町で暮らす百姓たちは金に困っていた
そこで菅原屋の夢物語のようなお上に金を貸すという案を穀田屋は真剣に実行に移すのだった

その題名、阿部サダヲ、ふざけた予告編からは想像してたようなドタバタバカ騒ぎコメディではなく、人情喜劇という言葉がしっくりくるわりと落ち着いた作品でした
キャスティングが記号的で、そのイメージ通りに時代劇という皮をかりて現代劇風に悪ふざけ&悪ノリしてくるでもなく、演技面でもじっくりとみせてくれる
特に個人的に松田龍平がここまで時代劇にマッチするとは思わなかった
演出的に時代劇部分をかみ砕いて軽いノリにはしてるけど、軽すぎないていどにおさえられているのがいい
まあ、将軍の登場シーンはちょっとやりすぎな感はしたけど
無私の金集めに心動かされる人々の姿はおとぎ話だと冷静に頭では思いつつ、それでもじんわりと温かいもののこみ上げを感じざるえない
主人公の家族の問題、この騒動にからむ人々の心意気がとても気持ちよく感じられて楽しめた一本でした

個人的評価:85点
オススメ度:大笑いできずともおもしろい



殿、利息でござる! 予告

2016年5月15日日曜日

HK 変態仮面 アブノーマル・クライシス (2016/日)

監督:福田雄一
出演:鈴木亮平 / 清水富美加 / 柳楽優弥 / ムロツヨシ / 水崎綾女 / 皆川猿時/ 新井浩文 / やべきょうすけ / 勝矢 / 足立理 / 上地春奈 / 木根尚登 / 佐藤仁美 / 片瀬那奈 / 池田成志 / 安田顕

大学生になった狂介はかわらず悪を見かけては変態仮面として戦っていた
そんな姿を快く思わない愛子は、もう変身しないでほしいとパンティを返してほしいと言い出すのだった

私の周りでもふだんは邦画どころか映画にすら関心のない人でも噂になった前作
そのヒットを受けての続編なんだけど、続きというより予想外の好評ゆえにちょっと襟を正して本気だして作り直した印象がしました
とりあえず寂しいBGM方面は大幅に強化され、エフェクトと演出も派手になってて見応えはある
前のが好きだった人なら楽しめるのは間違いない
変態アクション方面でのパワーアップは申し分ないんだけど、ギャグがちょっとおいてきてるような突き抜けてないのが個人的に物足りなかった
悪ふざけや繰り返しのクドさでハマれば大爆笑だけど、ハズせば苦笑いみたいな「やっちまえ」的な勢いがいまひとつで、このくらいでおさえておいて万人受けレベルに調節されている感じ
まあ、とりあえず細かいことは抜きにして、せっかく幅広く知られたバカ映画なんだから、お祭り騒ぎにのって大画面でみんなでライトに楽しむのがいいかもしれないですね

個人的評価:75点
オススメ度:まさかの佐藤二朗さんの不在にガッカリ



HK 変態仮面 アブノーマル・クライシス 予告

ヘイル、シーザー! (2016/米)

監督:ジョエル・コーエン / イーサン・コーエン
出演:ジョシュ・ブローリン / ジョージ・クルーニー / オールデン・エアエンライク / レイフ・ファインズ / ジョナ・ヒル / スカーレット・ヨハンソン / フランシス・マクドーマンド / ティルダ・スウィントン / チャニング・テイタム

映画製作会社の部長をつとめるエディは役者やスタッフたちの問題に悩まされる日々をおくっていた
そんな中、撮影中の大作映画の主役がこつぜんと姿を消してしまい…

ピンポイントで印象に残るおもしろいシーンはあるんだけど、総じて低空飛行な盛り上がりにかけるテンションで退屈を感じてしまうのは否めない
ここ笑うところだから、というところは分かるんだけど、なんか乾いた感じで「はい、笑っていいよ」と言われてるようで素直に笑えない
撮影所とエディの周りにふりかかる問題の波状攻撃にドタバタ、大騒ぎの過剰演出ジェットコースターを期待していると、淡々とアクシデントに対処していく様子に裏切られる
かといっておさえた中でのシリアス調のギャグにクスっとくるでもないから困る
魚女撮影シーンのシンクロ具合とか、タップミュージカル、エディの平手打ちという強烈に印象に残るおもしろいシーンもあるけど、どうにもその他の部分がノリきれなくて楽しめなかった

個人的評価:60点
オススメ度:情けないクルーニーさんの扱いを観られる、という意味では貴重



ヘイル、シーザー! 予告

2016年5月9日月曜日

64 ロクヨン 前編 (2016/日)

監督:瀬々敬久
出演:佐藤浩市 / 綾野剛 / 榮倉奈々 / 夏川結衣 / 窪田正孝 / 坂口健太郎 / 筒井道隆 / 鶴田真由 / 赤井英和 / 菅田俊 / 烏丸せつこ / 小澤征悦 / 金井勇太 / 芳根京子 / 菅原大吉 / 椎名桔平 / 滝藤賢一 / 奥田瑛二 / 仲村トオル / 吉岡秀隆 / 瑛太 / 永瀬正敏 / 三浦友和 / 宇野祥平 / 菜葉菜 / 三浦誠己 / 嶋田久作 / 小橋めぐみ

昭和64年1月、少女誘拐事件に参加していた刑事の三上は犯人を取り逃がした上に被害者をだしてしまう
それから14年がたち広報官となった彼は記者クラブとの軋轢問題を抱える中、64事件被害者家族への警察庁長官の訪問を取り次ぐことになる

64事件、三上の娘の問題、記者クラブとの衝突、警察組織内部でのゴタゴタ、いろんなことが織り込まれているけど、時間軸やらそれぞれの進展具合の把握が易しくなるように気を使って描写されているのが分かる
関係してくる人物の多さもキャスティングの妙で色分けがはっきりされていて、誰が誰やらと混乱することがない
演技だけにたよらず、あえて言葉として心情を説明台詞で語ってくれるので総じて分かりやすい
それでもちょっと警察組織内部の力関係は、ある程度の理解と知識が必要かもしれない
それぞれの立場や組みする組織、看板、という中にいる記号的な人間から、そこに生きている生々しい人へと描写が移り変わっていく様を主人公を通して観ているのがおもしろい
次々と難儀なことになりながらも弱さと強さを表現する主人公の人の部分がいい
この前編は多くを後編へ残したままとりあえず幕を閉じるので、なるべくなら連続で鑑賞した方がいいのかもしれない

個人的評価:80点
オススメ度:ザ・佐藤浩市劇場と言えなくもない



64 ロクヨン 前編 予告

2016年5月8日日曜日

ヒーローマニア 生活 (2016/日)

監督:豊島圭介
出演:東出昌大 / 窪田正孝 / 小松菜奈 / 片岡鶴太郎 / 山崎静代 / 船越英一郎 / 村上和成 / 黒田大輔 / 松岡恵望子

街の悪さをするクズたちに苛立ちながらも、なにもせずに流されて生きるフリーターの中津
ある日、ヒーローのように悪者を倒す赤いニット帽の男と出会い、ふたりでクズたちに立ち向かおうと言葉をかけるのだった

素人ヒーローのごっこ遊びから、じょじょに本格的な犯罪と対していくことになる、という予想は容易につく内容だけど、作品世界の雰囲気が個人的にはまった
ヒーローもののような、コメディのような、日常のような、現代社会の抱えるなにかのような、なんかしっくり当てはまらない気持ち悪さ、そんな変な雰囲気がおもしろい
おじさんやらホームレス社長やら、けっこう年いってるキャラが良い味だしまくって渋さとコミカルさが本当に観ていて楽しい
話の展開も日常ギャグ調から転じていっての引き込みぐあいがよく、分かりやすい展開の中でジャブのように虚を突いてくる描写もいい
主人公の顔見知りだけで構成されてて、フレームの外に空虚さを感じる部分もあるけど、ヘンテコさのギリギリをつっぱしる吊るし魔たちの活躍する姿、それに対する悪の存在に笑ってちょっと燃えた一本でした

個人的評価:75点
オススメ度:突き抜けてはいない、ほどよいバカバカしさ



ヒーローマニア 生活 予告

亜人 衝突 (2016/日)

監督:瀬下寛之
出演:宮野真守 / 細谷佳正 / 福山潤 / 大塚芳忠 / 平川大輔 / 櫻井孝宏 / 小松未可子 / 木下浩之 / 洲崎綾 / 鈴村健一 / 森川智之 / 坂本真綾 / 斉藤壮馬 / 梶裕貴

亜人研究所から辛くも脱出する亜人の少年、永井圭
一方、佐藤はマスコミを前に亜人の扱いについて抗議活動をすると表明する

なんだかんだでTVシリーズ後半の再編集、で、最後にちょろっと新規カットがあるていどだろう、という予想は良い意味で裏切られた
作中においても海斗にまつわるシーンの追加があって、単なる再編集じゃない劇場版として鑑賞したかいがあった
そもそも個人的にそれほど再編集っぽいつぎはぎは感じず、流れるように進むストーリーに没頭できた
劇場ゆえの音響も効果的で、佐藤のおっさんのバイオハザード(ゲーム版)プロみたいな動作で無双する戦闘シーンも迫力がある
話としても永井のTVシリーズのその後、これからどうしていくかって部分のさわりまで進み、おまけていどの新規カットでがっかりするどころか、内容的にも十分に満足できた一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:クズとバカのコンビに笑いがこみあがらざるえない



亜人 衝突 予告

2016年5月1日日曜日

シビル・ウォー キャプテン・アメリカ (2016/米)

監督:アンソニー・ルッソ / ジョー・ルッソ
出演:クリス・エバンス / ロバート・ダウニー・Jr. / スカーレット・ヨハンソン / セバスチャン・スタン / アンソニー・マッキー / ドン・チードル / ジェレミー・レナー / チャドウィック・ボーズマン / ポール・ベタニー / エリザベス・オルセン / ポール・ラッド / エミリー・バンキャンプ / トム・ホランド / フランク・グリロ / ウィリアム・ハート / ダニエル・ブリュール

戦いによる一般市民の犠牲者の問題から、アベンジャーズは国連の管理下におく提案がなされる
トニーらが賛成する反面、ロジャースは反対、チームはふたつに引き裂かれようとしていた

アベンジャーズがふたつに分かれて戦いあう、というお祭り映画な印象だったけど、ちゃんとキャプテン・アメリカらしい話の流れで楽しめた
前作からの流れとしてウィンターソルジャーがガッツリからんでくるのはいいんだけど、最近の作品同士のクロスオーバーでストーリーが絡み合ってつながっていく作りのため、単純にチームバトルメインで鑑賞すると話についていけないかもしれない
そんなじゃっかんごちゃごちゃしてきた感以外の部分では今回の騒動の核の部分となるストーリー、黒幕の存在とバックボーン、そしてもちろんアクションの面においても見応えがあった
まだまだ盾を駆使したアクションのアイディアは枯渇しておらず、またキャプテン以外の面々の活躍やスタンスも明確になっていい感じ
単純に派手な戦いを好む目線の人にはいよいよ話についていくのがきつくなってきたかもしれないけど、チームの分けによってこれから少しは分かりやすくなるのかな

個人的評価:85点
オススメ度:個人的にキャプテンチームに魅力的なキャラが集まりすぎてる気がしないでもない



シビル・ウォー キャプテン・アメリカ 予告

スキャナー 記憶のカケラをよむ男 (2016/日)

監督:金子修介
出演:野村萬斎 / 宮迫博之 / 安田章大 / 杉咲花 / 木村文乃 / ちすん / 梶原善 / 福本愛菜 / 岩田さゆり / 北島美香 / 峯村リエ / 嶋田久作 / 風間杜夫 / 高畑淳子 / 絲木健汰 / 篠原悠伸 / 高島豪志

売れない芸人の丸山が事務所をクビになるところに現れた少女
彼女は物や場所に残留する思念を読みとることのできる丸山の相方の仙石に、ピアノの先生を探してほしいと依頼しにきたのだった

まさに2時間サスペンスをわざわざ映画で観せられたという残念感に満ちていたと言わざるえないオカルト茶番劇
主人公が思念を読みとれるよ、という要素を上塗りしているだけで、中身はそれこそ少年マンガにでもあるようなありふれたミステリーな事件でしかない
そこへ寒くスベリまくりなギャグ、そしてなにより魅力がまったく感じられない変人キャラの主人公、と鑑賞し続ける間に分かってきちゃってどんどん退屈さだけが加速していく
事件の真相にしても「ああ、そんな感じ系のオチね」とおどろきもなにもないし、犯人の顛末にしても「いや、まさか、そこでそういう行動したらもはやギャグだろ」という冷めた予想を裏切らない
もう作ってる方も途中からどうにもならないと察したのか、なんというか全体的にやる気みたいのをスクリーンから感じ取れない作品でした

個人的評価:30点
オススメ度:シリアス方向じゃない、ズッコケ探偵もののコメディ路線でいってほしかった



スキャナー 記憶のカケラをよむ男 予告

ズートピア (2016/米)

監督:バイロン・ハワード / リッチ・ムーア
出演:ジニファー・グッドウィン / ジェイソン・ベイトマン / イドリス・エルバ / ネイト・トレンス / J・K・シモンズ / ジェニー・スレイト / トミー・“タイニー”・リスター / レイモンド・パーシ / オクタビア・スペンサー / シャキーラ / ボニー・ハント / ドン・レイク / モーリス・ラマルシュ / トミー・チョン

動物たちが暮らす世界でウサギ初の警察官になったジュディ
ある日、街で挙動不審なキツネの姿を見つけ、その後を追うのだった

子供だけでなく大人も楽しめる、なんて言葉がどうでもよくなるくらいにキャラや世界観の見た目で判断しちゃダメな骨太な映画でした
夢や希望に対する挫折や後悔、現実の人間世界の縮図とかをアニメという手法でわたあめのようにふわふわした感じにしているのではなく、ストーリー、テーマ、アクションの要素が固く結びついていておもしろい
二転三転する話に飽きることはなく、キャラの掛け合いに笑い、アクションに熱くなる
偏見に対するテーマ性も説教くさすぎず、トータルバランスがひじょうによくて、あっという間にエンディングまで駆け抜ける気持ちよさがあった
ラストも「もうちょっと観ていたい」と思わせる絶妙さで、本当に「とは言っても、アニメ作品でしょ」なんて思いがチラリともかすめることがない一本でした

個人的評価:90点
オススメ度:ちょいちょい短編アニメで復活してほしい



ズートピア 予告