2016年7月31日日曜日

ベトナムの怪しい彼女 (2015/ベトナム)

監督:ファン・ザー・ニャット・リン
出演:ミウ・レ / ハリー・ウォン

ベトナムの大家族の70歳をこえたおばあちゃん、ダイ
彼女は家族の問題に悩む中、ふいに訪れた写真館で撮影したことで20歳の若さを取り戻し…

元々の韓国版をスルーしたままに日本版に続きベトナム版を鑑賞
話の内容やらなんやらは前に観た日本版とほぼ同じで、聞いた話では韓国、中国版もそこら辺は同じ作りらしいです
やってることが同じという大胆なアレンジがない分、作られたお国柄の比較を楽しみました
どことなくレトロな雰囲気の中で最初は効果音の使い方とか痛々しくすべってる感がしたけど、観ているうちに異国の味わいとして受け入れられる
ベトナム映画の感覚、文化、という部分だけがおもしろいわけでもなく、主人公のキャラがすごく魅力的に描かれていました
けっこう汚れな演技を体当たりでやりきってる様は素敵すぎる
時折、本気でかわいく画面に映るところもあることから、演技のうちとしてダサかったりブサかったり表現を分けているんだろうと感心せざるえない
他の国のバージョンを知っている人なら主人公たちの演技、お国柄の比較を楽しめるかと
ただこれがアヤカノ初見だというなら、このベトナム版はちょっと変化球すぎるかもしれん

個人的評価:80点
オススメ度:写真館の主役のキャスティング、そのエピソードはなかなかに感慨深い



ベトナムの怪しい彼女 予告

ハートビート (2016/米・ルーマニア)

監督:マイケル・ダミアン
出演:キーナン・カンパ / ニコラス・ガリツィン / ソノヤ・ミズノ / ジェーン・シーモア / ポール・フリーマン / マヤ・モルゲンステルン / イアン・イーストウッド / リチャード・サウスゲイト / アナベル・クタイ

バレエの学校へ通うためにニューヨークへやってきたルビー
ある日、地下鉄でバイオリンを弾く少年ジョニーと出会い…

街のいたるところにダンスとミュージックがあふれ、もめ事はダンスで勝負という内容は観ていて思わず体が揺れ動きそうになる
ダンス&ミュージックの描写はまるでミュージカルの舞台を観ているようで、唐突にはじまるダンスバトルにしてもその印象は強い
ただその売りとなる部分は力が入ってるのは分かるけど、ストーリーを構築するドラマがとってつけたような感じがしないでもない
試練、ライバル、挫折、夢と現実、恋に友情とすべてが個人的に薄味に思えた
それゆえにクライマックスへイマイチ気分が盛り上がらず、結果としてラストのダンスにも気分があがらない
ダンスビデオとしてシーンを抜き出せばすばらしいんだろうけど、ひとつの作品としてつなげて観るとちょっと悪い部分の方が強くみえてしまってもったいない

個人的評価:70点
オススメ度:キュートなルビーとセクシーなジョニーだけは素敵と言わざるえない



ハートビート 予告

スロウ・ウエスト (2015/英・ニュージーランド)

監督:ジョン・マクリーン
出演:マイケル・ファスベンダー / コディ・スミット=マクフィー / カレン・ピストリアス / ベン・メンデルソーン

1870年、ある女性を追って英国からアメリカへやってきたジェイ
そこで命を助けられた男、サイラスを用心棒にやとい旅をすることになるのだった

最後まで観てからじゃないと分からない、ラストに集束されたおもしろさがなんとも言えない
復讐うんぬんとは違うロードムービーのような西部劇で、旅の途中で出会う人たちや出来事が悲しくもユーモラスでどこか深淵なものも感じさせる
ただ旅の途中のでの物事はあくまでピースにすぎず、しょうじき話の途中では退屈さをおぼえるよく分からなさがあるのは否めない
しかし、それでもラストをむかえた時にその道中のすべてに無駄な描写はなかったと思わせる
本当にそんな旅の道程に難はあるけど、集中力を切らして途中で作品から離脱するのはもったいない、なんとも手を出す時には変な覚悟がいる一本でした

個人的評価:75点
オススメ度:ジェイの純真さがたまらない



スロウ・ウエスト 予告

2016年7月25日月曜日

ロスト・バケーション (2016/米)

監督:ジャウム・コレット=セラ
出演:ブレイク・ライブリー

母の思い出のビーチへやってきたナンシー
サーフィンをして楽しんでいると、そこへサメが襲いかかってきて…

クリーチャーじみたサメでもなければ、特に死に様ショーでもない、マジメなサメ映画でした
岩礁に取り残された主人公がサメに襲われてどうしましょ、という内容は安易に理解できるけどそれで一本撮りきっているのは勇気がある
美しい海と情景、ノリノリのBGMでサーフィンという明の中でも時おり不安をあおるシーンがはさまれたり、すっきりしない曲の使い方だったりで気味の悪さの引きがうまい
いざサメが出現したらしたで、それに襲われないようにという展開じゃなく、襲われてしまってどうしようという流れが一気に緊張感を高める
全体的にドキドキしたり主人公を応援したりと自然と力が入ってしまう
それでいてカモメがいい感じで緊張を解きぼぐし、次のピンチへのめりはりとして作用していていい
しょうじきB級感は否めないし、喝采するほどの何かはないけど、ネタっぽいサメ映画が多い中でマジメに丁寧に作っているのは好感がもてた

個人的評価:75点
オススメ度:鯨とかカモメとか宗教くさくならなくてよかった



ロスト・バケーション 予告

シング・ストリート 未来へのうた (2015/アイルランド・英・米)

監督:ジョン・カーニー
出演:フェルディア・ウォルシュ=ピーロ / ルーシー・ボーイントン / マリア・ドイル・ケネディ / エイダン・ギレン / ジャック・レイナー / ケリー・ソーントン

学費を安くすませるために転校することになったコナー
荒んだ学校、問題を抱えた家庭事情の中、気になる女の子と出会ったことでバンドを組むことになる

簡潔にして明快な青春映画にノリのいい曲が加わり、ドラマとしての面白味と思わず足でリズムを刻んでしまう楽曲の楽しさが合わさった作品でした
名曲と主人公たちバンドの曲で映画の中へ誘い込んでおいて、青春ドラマを織り込んでいってどんどん深いところまで自然と引き込まれる
時代設定もあって年を重ねた人があっても自分の青春時代に重ねられるし、今の若い世代にとっても分かりやすい直球な青春は新鮮にとらえられるかもしれない
歌と情熱、若さでイヤな現実をねじふせて周りを導くのでなく、あくまで今を今として歌う姿が輝いている
エネルギッシュなほとばしりがすべての問題を解決して乗り越えていくでもない部分、あらがうべきところ、受け入れざるえないところに「今」が伝わってくる
そういう意味で過剰にドラマティックで爽快さに満ちていないのに引っかかる人もいるだろうことは想像できる
個人的にはそういう小骨が引っかかるようなところこそおもしろく感じた

個人的評価:85点
オススメ度:サントラ購入でワンセットと言わざるえない



シング・ストリート 未来へのうた 予告

2016年7月24日日曜日

ヴィジョン 暗闇の来訪者 (2015/米)

監督:ケビン・グルタート
出演:アイラ・フィッシャー / アンソン・マウント / ジリアン・ジェイコブス / ジム・パーソンズ / ジョアンナ・キャシディ / エバ・ロンゴリア

ワイン醸造をするために土地を買って引っ越してきたイヴリーとデイヴィット夫婦
日々の中、イヴリーは不吉な幻覚に悩まされることになる

はたしてこれは幻覚か、誰かの企みか、霊の仕業なのか、という疑惑が緊張感を維持しラストの「そういうことか」という展開につながるのがおもしろい
ネタバレになるかもしれないけど、いわゆる観ている側を思いこませておいて…というちょっとしたギミックがある作品でした
まあ、とりあえず主人公を悩ませる原因がなんであろうと、しょうじきそれが判明するまでは普通のサスペンススリラー
普通じゃない仕掛けみたいなものがあるラストの展開だけが見せ場で、キャスト的な面でも雰囲気も地味さは否めない
期待しすぎ厳禁でぼんやり観ていれば、そこそこの緊張感の中でそこそこの満足感は得られる
とはいえ個人的にはこういう主人公の妄想なのかどうなのか、っていう内容の作品は好きなんですよね

個人的評価:70点
オススメ度:長い前振りのわりにちょっと本番はしょぼい気がしないでもない



ヴィジョン 暗闇の来訪者 予告

神様の思し召し (2016/伊)

監督:エドアルド・ファルコーネ
出演:マルコ・ジャリーニ / アレッサンドロ・ガスマン / ラウラ・モランテ / イラリア・スパダ / エドアルド・ペーシェ / エンリコ・オティケル

堅物な外科医トンマーゾは息子が聖職者になると伝えられる
その予想外の発言に困惑して、なんとかしようと画策するのだが…

とにもかくにも主人公周りの家族やその他のキャラたちのポンコツっぷりが素敵すぎる
笑いあり、笑いあり、笑いあり、そしてまさか最後にグッとくるものがあるとはちょっとふいをつかれたようで印象深い
愛すべきキャラ祭りの中でもやっぱり義理息子とその仕事仲間の存在は強烈で、神父を招いた偽家族芝居シーンは、笑えるだろうと心構えがあってなお大爆笑
そんな笑いの中でも主人公と神父の大人としての友情の描写がよくできていて、若い世代の友人関係とは違うぎこちなさがよかった
そしてラスト、医者と神父という立場を最大限にいかした展開に引き込まれる
分かりやすく、明快な終わり方に気持ちよく鑑賞後の余韻を楽しめた一本でした

個人的評価:85点
オススメ度:知的障害演技にナイトライダーのパイロット版を思い出す



神様の思し召し 予告

ロック・ザ・カスバ! (2015/米)

監督:バリー・レビンソン
出演:ビル・マーレイ / ブルース・ウィリス / ケイト・ハドソン / ズーイー・デシャネル / ダニー・マクブライド / スコット・カーン / リーム・リューバニ / アリアン・モーイエド

音楽マネージャーをしているリッチーはタレントを連れてアフガニスタンへ赴くことになる
しかし、現地でタレントに逃げられてしまい、見知らぬ土地で孤立してしまう

ひじょうにテンポがよくて有名曲とシーンのシンクロ率もかなり高く、主人公の落ちぶれっぷりが自然と笑いをさそう
序盤はカツラ&スカーフプレイなど、異国での右も左も分からない状況下でのアクシンデントがおもしろおかしくて楽しめる
だけどオーディション番組にいどむ本筋へ流れていくほどに、ちょっと微妙な感じになっていっている気がする
シリアスとコメディがどっちつかずな風になってしまい、テンポのよさもいつの間にか話しが進んでいるという置いてけぼりな印象が強くなっていく
前半のバカなノリに名曲を良い感じで台無しに使うまま突っ走るか、タブーに勇気を持って立ち向かう音楽の強さを見せつける感動もので盛り上げるか、個人的にはどっちかを貫いてほしかった気がする一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:トンズラしたタレントは良い味だしてたんで、もっとちょいちょい絡んできてほしかった



ロック・ザ・カスバ! 予告

2016年7月18日月曜日

マン・アップ! 60億分の1のサイテーな恋のはじまり (2015/英・仏)

監督:ベン・パルマー
出演:サイモン・ペッグ / レイク・ベル / ロリー・キニア / ケン・ストット / ハリエット・ウォルター / オリビア・ウィリアムズ / シャロン・ホーガン

34歳独身という身にあせりながらも諦めムードのナンシー
ある日、見知らぬ男ジャックにデート相手と勘違いされ、彼女もそのままだまって誘いに乗ってしまい…

悪ノリ上等、サイモン・ペッグ&レイク・ベルのふたりが生き生きと輝いて映し出され、とにもかくにもザ・楽しい作品でした
残念な時とかわいい時の見た目の印象のギャップが素敵なナンシー、弾けるマシンガントークと表情豊かな顔で魅了するジャック、そんなふたりの掛け合い、デートっぷりを観ているだけでもにやにやできる
そこにキモ素敵すぎるショーンや、ウザ良い人すぎるジェシカという脇も魅力的なキャラばかり
ナンシー側、ジャック側のエピソードを丁寧に描きながらアホすぎるデコレーションで盛りに盛ってある感じで、バカ騒ぎ映画というだけじゃない印象
いろいろとめんどくさい性格でも相性のいい相手はいるもんだ、と笑い飛ばすことで自分の中のマイナス思考がちょっと薄まった気がする一本でした

個人的評価:85点
オススメ度:ハンニバルネタにはニヤリとせざるえない



マン・アップ! 60億分の1のサイテーな恋のはじまり 予告

2016年7月17日日曜日

ザ・ボーイ 人形少年の館 (2016/米)

監督:ウィリアム・ブレント・ベル
出演:ローレン・コーハン / ルパート・エバンス / ダイアナ・ハードキャッスル / ジム・ノートン

グレタはある屋敷へ子守の仕事をするためにやってくる
そこで屋敷の主である夫婦に紹介されたブラームスは明らかに人形であり…

普通じゃないけど、すごいおもしろいわけでもない、ちょっとしたポイントで心に引っかかるネタ映画といった印象
直前に「死霊館」を観ていただけに、死んだ息子の代わりである不気味な人形が人知れずやんちゃする様を「ああ、これは人形は容れ物にすぎず、悪魔が裏で操ってグレタさんを困らせてるな」と思わざるえなかった
そういう思い込みがあったからこそラストの展開にはちょっとおもしろいと感じられた
いろんなサスペンスホラーの要素を取り入れ、それを薄く引き伸ばしたような展開に睡魔に負けそうになることもしばしばあった
主人公の境遇と屋敷の夫婦の境遇がリンクしていったり、ずっとブラームスを人形扱いしてぞんざいに扱い続けない展開はよかった
まあ、それよりなによりなんだかんだでネタバレ展開がはじまった瞬間の爆発力だけが唯一の見所といっても過言はないかも
ネタバレ後もダラダラするだけだし、ラストのしめも弱いけど、その見所があっただけに観てて救われた気がする一本でした

個人的評価:60点
オススメ度:意外と肝になるブラームスくん人形のオーラ値は低い



ザ・ボーイ 人形少年の館 予告

死霊館 エンフィールド事件 (2016/米)

監督:ジェームズ・ワン
出演:ベラ・ファーミガ / パトリック・ウィルソン / フランシス・オコナー / マディソン・ウルフ / フランカ・ポテンテ / ローレン・エスポジート / パトリック・マコーリー / ベンジャミン・ヘイ / マリア・ドイル・ケネディ / サイモン・デラニー / サイモン・マクバーニー

1970年代、ロンドンのホジソン家で原因不明の怪現象が突如として発生しはじめる
それはどんどんエスカレートしていき、隣人も警察も手に負えなくなり…

もう初っぱなから心臓に悪いシーンが続き、びっくり箱とかそんな生やさしいもんじゃない恐怖の驚かせ要素が満載でした
不安定なカメラアングルに低く響くBGM、注意力を引きつける演出と、手法はオーソドックスなのにおっかなびっくりで画面から目がそらせられない
前作よりあきらかに恐怖シーンが増し、どっちかというとホッと息のつける日常シーンの方が少ない印象
そしてそんな恐怖だけがパワーアップしたグレイドの高いお化け屋敷映画というだけでなく、敵となるモノとの対決する部分とか娯楽性も高くて楽しめる
ストーリーの運び方もうまく引っ張られるし、ちょっと良い話に解放された心がほろっとくるとは思わなかった
ホラーというくくりをとっても映画として非常に満足度の高い一本でした

個人的評価:90点
オススメ度:ビビリな私はゴア描写がなくてもじゅうぶんに恐怖を味わえた



死霊館 エンフィールド事件 予告

2016年7月11日月曜日

森山中教習所 (2016/日)

監督:豊島圭介
出演:野村周平 / 賀来賢人 / 岸井ゆきの / 寺十吾 / 佐藤真弓 / ペ・ジョンミョン / 黒田大輔 / 音尾琢真 / ダンカン / 根岸季衣 / 麻生久美子 / 光石研

大学生の清高はある日、車にひかれてしまう
そして非公認教習所で目覚め、ひいた張本人であり高校のクラスメイトだった轟木といっしょに免許をとることになる

教習所コメディ、集団生活もの、どんな内容なのかイマイチとらえきれないままに鑑賞したけど、大人の夏休みみたいな内容でしたね
フリーダムで快活ながら、時折オンオフを繰り返すとらえどころのない清高のキャラがいい
逆にクールで積極的に人と関わらない轟木の方が何を考えているのか掴みやすくて親しみがわく
そんなふたりの対比に重点をおくようで、清高メインの夏休みストーリーになっているんですが、個人的にはもっと轟木のエピソードを楽しみたかった
ふたりどっちをメインにもってきてもいい存在感だけに、ちょっと清高よりの傾き具合でバランスが悪い気がしないでもない
途中の松田さんへのかわいそうな対応とか、ショベルカーのところとか、さすがにちょっとと思わせといてからの流れはおもしろい
ひと夏の甘酸っぱさだけじゃない、どろっとした気持ち悪いシーンもある、さわやかで湿っぽく甘く苦い奇妙な味わいのある雰囲気が良くも悪くも作用してる感じの作品でした

個人的評価:70点
オススメ度:清高は精神に病的な何かを抱えてるのかと思わざるえない



森山中教習所 予告

2016年7月10日日曜日

ウォークラフト (2016/米)

監督:ダンカン・ジョーンズ
出演:トラビス・フィメル / ポーラ・パットン / ベン・フォスター / ドミニク・クーパー / トビー・ケベル / ベン・シュネッツァー / ロブ・カジンスキー / ダニエル・ウー / ルース・ネッガ / クランシー・ブラウン

様々な異種族が暮らす世界、見たことのない獣のような存在におびやかされつつあった
その元凶を知るためにローサーは王の命により守護者に会いに行くのだった

元はゲームだとか、それが洋ゲーだとかそんなつまらない偏見で鑑賞しようかどうしようか悩んでいた自分が恥ずかしく思える
ヌルいジュヴナイルファンタジーとは大きく異なる骨太さに見入らざるえない
最初こそ話の流れや世界観、この作品のファンタジーものとしての設定をつかむのにちょっと苦労したけど、そこまで複雑なものではないのでゲームや小説、アニメでファンタジー世界に慣れ親しんできた世代としては理解不能なものではない
軸となるのはヒューマンとオークのふたつの種族の激突なんだけど、それぞれの種の中でも考え方の違いや思惑のズレがあっておもしろい
特にオークとか脳筋を画に起こしたような見た目のキャラなのに、けっこう人間くさい心が親しみやすくてよかった
そんな各登場人物の心境が絡まってつむがれるドラマがよくできていて、神の視点で鑑賞している側としては見えているだけにキャラたちの思い違いやすれ違いがもどかしくてたまらない
異種族が暴れるファンタジーで戦争だぜ、みたいな派手なだけじゃない話もしっかりしているので、見た目も内容も両方とも満足させてもらえた一本でした

個人的評価:90点
オススメ度:この監督作品でならゴッド・オブ・ウォーも観てみたい



ウォークラフト 予告

インデペンデンス・デイ リサージェンス (2016/米)

監督:ローランド・エメリッヒ
出演:リアム・ヘムズワース / ジェフ・ゴールドブラム / ビル・プルマン / マイカ・モンロー / ジェシー・アッシャー / トラビス・トープ / ウィリアム・フィクトナー / シャルロット・ゲンズブール / ジャド・ハーシュ / ブレント・スピナー / セラ・ウォード / アンジェラベイビー / ビビカ・A・フォックス / チン・ハン

1996年のエイリアンの襲撃から20年、人類は侵略者の技術を吸収して発展していた
そんな時、月で前回とはことなるエイリアンの宇宙船が出現する

偉大すぎる前作の続編として連なっている部分と変化している部分、そこが受け入れられるか否かで感想が変わってくると思われる
96年から大きく技術が発展し、近未来感が強いSFになったという大きく前と異なる部分に引っかかるか楽しめるか、と
個人的には序盤のクライシスっぷりが遠い現実の出来事のようにみえて、ちょっと出だしがノリきれなかったけど、反撃開始がはじまってからは燃え&バカ要素で作品に没入できた
けっこう前作のキャラがしれっと登場しては作品の中枢に居座り続け、それはそれでいいんだけどどうしてもジェイクたち新キャラの陰が薄くなってる感じ
どうせなら第一世代と第二世代の親子で共闘というのに徹すればいいのに、なんでジェイクは設定的につながりがないのか不思議
そのせいで新キャラの中でも族長&眼鏡の方が強く印象に残る
前作と割り切って楽しむには旧キャラがあまりに活躍しすぎるので、めちゃくちゃ豪華に作った後日談として「あのキャラが~」とライトな感覚で鑑賞した方がいいかもしれない

個人的評価:80点
オススメ度:被害のわりに絶望感はないんだよね



インデペンデンス・デイ リサージェンス 予告

KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV (2016/日)

監督:野末武志
出演:綾野剛 / 忽那汐里 / 磯部勉 / 山寺宏一 / かぬか光明 / 関智一 / 藤村歩 / 飯塚昭三 / 銀河万丈 / 藤原啓治 / 中村悠一 / 小松史法 / 高木渉

ルシス王国とニフルハイム帝国の争いが続く世界
王国のために戦うニックスは突然の帝国からの休戦話に動揺するのだった

思ったよりもストーリーをきっちり描くことを大切にしていて、単なるゲームのプロモ的なスタイリッシュ見た目だけ映画じゃなかった
キャラのデザインがいかにもいまどき海外作品の流行俳優な感じで、ちょっと鼻につくのは否めないけど目にはなじみやすい
キャラだけでなくアクションやカメラワークなど、ハリウッドやヨーロッパの大作映画で観たことあるようなシーンが多い
全体的に「あんな映画のあんなシーンがやりたかったんだろうな」という感想が常に頭にこびりついて離れない感じ
まあ、細かいことを気にせずに美麗なCGと派手なアクションに「すっげー」と楽しめばいいんでしょうね
そんな派手な部分も派手すぎてごちゃごちゃしすぎてる気はする、と「なんかすごくていいんだけど…」とちょっと褒めたあとに文句を付け足したくなる作品でした

個人的評価:75点
オススメ度:あるていど設定を予習してるの前提なのかな



KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV 予告

2016年7月6日水曜日

ブルックリン (2015/アイルランド・英・加)

監督:ジョン・クローリー
出演:シアーシャ・ローナン / ジュリー・ウォルターズ / ドーナル・グリーソン / エモリー・コーエン / ジム・ブロードベント / フィオナ・グラスコット / ジェーン・ブレナン / アイリーン・オイヒギンス / ブリッド・ブレナン / エミリー・ベット・リッカーズ / イブ・マックリン / ノラ=ジェーン・ヌーン / サマンサ・マンロー / ジェシカ・パレ / メラ・キャロン

少女は姉と母を残しアメリカへひとりで移り住むことになる
慣れない土地での生活の中、様々な人たちと出会い…

これは本当に最後の最後まで観ないとおもしろさが伝わってこない、途中で集中力を切らして脱落すると退屈さだけが残るかもしれない
話としてはシンプルなんだけど、話運びの切り方が鋭く、ぼんやり観てると次の展開へ移ってしまうためによそ見ができない
そのシーンから得られる状況や心情の情報に常時アンテナをかたむけていなくてはならなくて疲れる感じは否めない
ジグソーパズルをガワからじゃなくて、その内側から手探りではめていく感覚に似ている、って分かりづらいか
終盤からラストへ向けていっきにパズルが解けていく気持ちよさは、この途中の地道な情報のピックアップ作業をさぼると味わえない
少女が故郷から見知らぬ土地で暮らす物語、その対比、主人公の気持ち、ここまで最後までもったいぶって描く構成はおもしろくもあるし、逆に作用して途中で投げ出してしまう人もいるんじゃないかと容易に想像できる
単なる望郷、ホームと捨ておけない印象だけは強く残るのは確か

個人的評価:85点
オススメ度:バケツに脱糞&嘔吐のヒロインという別のインパクトもある



ブルックリン 予告

2016年7月4日月曜日

アリス・イン・ワンダーランド 時間の旅 (2016/米)

監督:ジェームズ・ボビン
出演:ジョニー・デップ / アン・ハサウェイ / ミア・ワシコウスカ / リス・エバンス / ヘレナ・ボナム・カーター / サシャ・バロン・コーエン / アラン・リックマン / スティーブン・フライ / マイケル・シーン / ティモシー・スポール / マット・ルーカス / リンゼイ・ダンカン / レオ・ビル / ジェラルディン・ジェームズ / アンドリュー・スコット / リチャード・アーミテージ / エド・スペリーアス / ハティ・モラハン / ポール・ホワイトハウス / バーバラ・ウィンザー / マット・ボーゲル

船長として旅から戻ったアリスは船を失う危機におちいる
そんな時、再びワンダーランドへと誘われることになり…

不思議な世界に奇抜なキャラ、胸おどる冒険にコーティングされたテーマ性、それらがそつなくまとめられた優秀な作品でした
ただし極めて優秀、最優秀というところまで届かない、小粒とまでは言わないけどビッグさはあまり感じない
アリスの心の写し鏡である不思議の国とその住人たち、問題を冒険で乗り越え、学んで現実世界の自分へ投影していくテーマ性がちょっと見え見えで安っぽく思えなくもない
あとは前作ではそこまでじゃなかったんだけど、今作での一部のキャラが個人的にウザく感じられてちょっとイヤな気持ちになった
やろうと思えば続編もいける、そんな逃げ道を用意してるようなヌルさが、自分と現実に向き合って生きる覚悟が完了した、っていう大団円感を薄めてしまってる
満足はできるけど大満足ではない、そんな一本でした

個人的評価:75点
オススメ度:なんだかんだ自分で自分を見つめ直して、ひとりで大騒ぎしてるだけじゃないのかと



アリス・イン・ワンダーランド 時間の旅 予告

2016年7月3日日曜日

疑惑のチャンピオン (2015/英・仏)

監督:スティーブン・フリアーズ
出演:ベン・フォスター / クリス・オダウド / ギョーム・カネ / ジェシー・プレモンス / ダスティン・ホフマン / リー・ペイス / ドゥニ・メノーシェ / エレイン・キャシディ

ロードレース選手のランスは身体的な有利を得るために運動能力向上薬に手を染める
そんな折、彼の体はガンにおかされ…

心の持ちようや根性という日本人にとって耳に心地の良い言葉を並べつつ、違う方向へガッツの熱量を使う主人公が不思議と魅力的に目に映る
ドーピングががバレそうにいなったり、時にはバレたり、疑われたりするつど不利をくつがえす情熱が加速していく様子がおもしろい
強さと脆さ、英雄として成功者の道を進むようにも病的に破滅へ向かっているようにも見える演技もいい
ただ思ったより淡々と話が進み、ドラマティックな盛り上がりや自転車競技の臨場感がある熱い描写が薄い気がする
それゆえに特に序盤では眠気を誘う部分もあった
自分も周りも騙し貫く主人公とその顛末、というキャラクター性には強く惹かれるけど、それだけと言われればそんな気もする一本でした

個人的評価:75点
オススメ度:バレるレベルかどうかでみんなやってるんだろ、と悪いイメージを抱かざるえない



疑惑のチャンピオン 予告

ホーンテッド・キャンパス (2016/日)

監督:竹本聡志
出演:中山優馬 / 島崎遥香 / 大野拓朗 / 高橋メアリージュン / 安井謙太郎 / 大和田伸也

霊が視える体質の八神は一浪のすえに大学に合格する
そこで高校時代の気になる後輩こよみと出会い、彼女を追って嫌々ながらオカルト研にはいるのだった

甘々なキャンパスライフに血の気の引くホラー、という両極ミックスブレンドを期待してたんですが、最後まで甘ったるい薄っぺらなキャンパスラブコメでガッカリ
ライトノベルの擬音をそのままドラマの効果音に使ってるような軽さ、安直なシーンイメージに合わせたBGM、そこで繰り広げられる大学版中学生日記のようなラブコメ…
これも最初のうちだけでホラーパートが始まれば、と堪え忍んで鑑賞し続けたもののあんまりにライトな心霊体験記に裏切られる
ヘタレで三枚目を演じてはいるけどベースがイケメンの主人公、そして全力でかわいさアピールしまくってくるヒロインを描く内容で、身体的なコンプレックスを持つ相手に力説しても心に響くものなどあるはずもないストーリー展開
キャストのファンが「かっこいい」「かわいい」とほくほくするだけの、ティーン向けTVドラマと言いたくなる作品でした

個人的評価:30点
オススメ度:ゆとりの影響でヒロインが困り顔の顔文字にしかみえない



ホーンテッド・キャンパス 予告

セトウツミ (2016/日)

監督:大森立嗣
出演:池松壮亮 / 菅田将暉 / 中条あやみ / 鈴木卓爾 / 成田瑛基 / 岡山天音 / 奥村勲 / 笠久美 / 牧口元美 / 宇野祥平

高校生の瀬戸と内海
ふたりは放課後にいつも川辺で暇つぶしをするのだった

予告からも分かる通り、なんでこれをわざわざ映画館で観ているか感がハンパない
いや、おもしろいし、そういう覚悟もしてたけど
ふたりのかけあいからキャラクターの内面が見えてきたり、漫才のようで時折のぞくシリアスな面が笑わせようとネタにはしってるだけじゃなくていい
時に観ててどうリアクションしていいか困る展開にもなるし、かけあいのテンポもストレスがなく、本当にどうでもいい会話が楽しめる
なんでこんなの観てるんだろう感から、0話でこんのなもいいかなと思わせ、結局、鑑賞後にはなんでこんなの観てるだろうと再確認させてくれる一本でした
いや、それなりにおもしろいから許せるけど

個人的評価:70点
オススメ度:食虫植物がほしくなる



セトウツミ 予告