2016年11月30日水曜日

オケ老人! (2016/日)

監督:細川徹
出演:杏 / 黒島結菜 / 坂口健太郎 / 笹野高史 / 左とん平 / 小松政夫 / 藤田弓子 / 石倉三郎 / 茅島成美 / 喜多道枝 / 森下能幸 / 萩原利久 / フィリップ・エマール / 飛永翼 / 光石研

高校教師の小山千鶴はあるコンサートに感動し、その演奏をしていた楽団に入団することにする
しかし連絡をした相手は似た名前の別の楽団で…

オーケストラの演奏の善し悪しは分からない素人の私でも冷めた時は凍えるような、熱い時には体の芯から温かくなるその音楽の熱量が感じ取れて身も心も充実できた
しょうじき主人公を含め前半の私利私情、私欲、私怨にまみれた人物たちが奏でる物語と音楽に興味の波が引いていったが、後半の巻き返しによっていっきに引き寄せられた
主人公が天才肌でも一芸に秀でるでも隠れた才能があるでもない、本当に普通の人として失敗や経験から学んで成長していく姿がいい
短期間で化学反応的に、爆発的にみんなが向上するのとは違う、日々の積み重ねによる進歩が観ていて心地よい
物語前半と梅フィルの冷たさ、物語後半と梅響の暖かさ、良いとか悪いなんて部分とは違うところで音楽によって心がわきたち、熱い感情があふれてくる
素人老人と勘違い主人公、コミカルさはもちろんある上に、観ている側の感情も気持ちよくコントロールしてくれる作品でした

個人的評価:85点
オススメ度:良い意味で邦画らしい、日本らしいコメディでした



オケ老人! 予告

2016年11月27日日曜日

この世界の片隅に (2016/日)

監督:片渕須直
出演:のん / 細谷佳正 / 尾身美詞 / 稲葉菜月 / 牛山茂 / 新谷真弓 / 小野大輔 / 岩井七世 / 潘めぐみ / 小山剛志 / 津田真澄 / 京田尚子 / 佐々木望 / 塩田朋子 / 瀬田ひろ美 / たちばなことね / 世弥きくよ / 澁谷天外

広島で両親、兄と妹とともに幸せに暮らすすず
ある日、呉から嫁に迎えたいという申し出があり…

ぼんやりした主人公のなにげない日常、戦争の空気が迫りつつも普通に生きる姿が愛おしい
それでも作中で悲壮的な未来を予感させる描写が多くなるにつれ、この普通の日常を、今のすずを壊さないでほしいと心から願わざるえない
しかしそんな心配をよそに劇中のすずはとても強かで、強い部分ももろい部分も含めて元気づけられているように感じられた
たまらなく戦争を扱った話でありながら、ちゃんと日常をも描くことでシンプルに言葉にあらわせないような温かくも冷たい思いが頭の中をぐるぐる回る
すずというひとりの人間をみつめることで、こんなに様々な感情をわきあがらせてくれる楽しみをもらえて堪能できた
戦争ものとかあまり重く考えすぎて観なくても自然と作品に没入できる一本でした

個人的評価:90点
オススメ度:すずさんの猫背っぷりが似合いすぎで素敵



この世界の片隅に 予告

イレブン・ミニッツ (2015/ポーランド・アイルランド)

監督:イエジー・スコリモフスキ
出演:リチャード・ドーマー / ボイチェフ・メツファルドフスキ / パウリナ・ハプコ / アンジェイ・ヒラ / ダビド・オグロドニク / アガタ・ブゼク / ピョートル・グロバツキ / アンナ・マリア・ブチェク / ヤン・ノビツキ / ウカシュ・シコラ / イフィ・ウデ / マテウシュ・コシチュキェビチ / グラジナ・ブウェンツカ=コルスカ / ヤヌシュ・ハビョル

街の老若男女たちはそれぞれの日常を送っていた
午後5時、数人の別々の人生の中が交わりはじめる

まさにドット抜けのような映画で、気にせずに全体像はみることができるけど、その欠けた部分はどうにも失われたままという
個人的に同じ時間を別々の人物の視点で別々の話を展開しつつ収束していく話の運びは好みなんですが、この作品はまたちょっと毛色が違って楽しめた
不安や暗示をうまくカメラワークとBGMで表現しつつ、さらに環境音までそれに取り込んで、観ている間はずっと先の読めない不安定さに感情が引っ張られる
埋まらないピース、埋まらない伏線、埋まらない人物背景、この映画に限ってはあるていど「こういう内容なんだ」というのを分かって観た方がいいかもしれない
単純に物語の収束を楽しむってわけでも、雰囲気に身を委ねるだけでもなく、最初から最後まで不安定なゆらぎを許容できるか否かが重要かもしれない
ゆえに本当にハマる人はハマるだろうし、吐き捨てたくなる気持ちになる人もいるだろう作品だと思う

個人的評価:75点
オススメ度:最後の最後まで「何かありそう」と思わせぶりすぎる



イレブン・ミニッツ 予告

2016年11月23日水曜日

ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅 (2016/米)

監督:デビッド・イェーツ
出演:エディ・レッドメイン / キャサリン・ウォーターストン / ダン・フォグラー / アリソン・スドル / エズラ・ミラー / サマンサ・モートン / ジョン・ボイト / カルメン・イジョゴ / コリン・ファレル / ジェン・マーレイ / フェイス・ウッド=ブラグローブ

人間界と魔法界の関係が微妙になっているニューヨークにやってきたイギリスの魔法使いニュート
彼の鞄から魔法動物が逃げ出してしまったことで街が大騒ぎになってしまい…

イギリスからアメリカへ舞台を移して魔法動物で大パニック、というシンプルな話だけでなく人と魔法使いの関係もからんできてけっこう濃密な内容でした
中身が濃いのはいいんだけど、新シリーズってことで今後に関連するだろう情報も小出しにされ、さらに専門用語も容赦なく飛び出すために、事前の予習が必要なんじゃないかと思うくらいちょっと混乱する
さらに主人公だと思われるニュートさん以上にジェイコブさんのキャラが立ちすぎていて、新シリーズ一作目というより続編を観ている感覚になった
新シリーズの新主人公、新しい雰囲気、新たな物語の方向性、そこら辺をゆるくお披露目してくれるだろうと油断せず、けっこう必死に話に食いついていかないとすぐに置いていかれるかもしれない
ストーリーはちょっと強引にしめ、新主人公のキャラもつかみきれた気はしないけど、作品のもつ雰囲気的にはポッターさんシリーズより好みかもしれない

個人的評価:80点
オススメ度:デップさんの名前をエンドロールで見るまで気づかなかった節穴



ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅 予告

2016年11月21日月曜日

ミュージアム (2016/日)

監督:大友啓史
出演:小栗旬 / 尾野真千子 / 野村周平 / 丸山智己 / 田畑智子 / 市川実日子 / 伊武雅刀 / 大森南朋 / 松重豊 / 妻夫木聡 / 五十嵐陽向

生きたまま犬に食い殺された人間の事件を捜査する刑事の沢村
そんな中で同一犯と思われる異常殺人が再び発生するのだった

思ってたよりもエグイ表現が多く、Jホラーライクな薄っぺらさはあまり感じなかった
観ていてもっと過激で最悪な展開を望む自分の醜悪な心と向き合うことになる、みたいな核になるずっしりとしたものがあればよかったのだけれど、そうでもなかった
展開がいちいち後出しじゃんけんのようで、その場その場を盛り上げるために「実はこうだった」と真相が箇条書きで描かれているように思えた
かなり上から目線で言葉は悪いかもしれないけど、ひとむかし前のサイコホラー洋画を寄せ集めて「邦画にしてはがんばってる」という感想が大きく頭に浮かんでしまう
あれっぽい、これっぽいと気安く何かでくくるのは気が引けるけど、どうしても既視感は否めない
場面転換は豊富なので、こうなるんだろうと思ってはいてもまだ先がある濃厚さは楽しめた
キャラやカエルマスクの造形とかひかれる要素がありつつ、反面、マンガ的な演出が重い話の中で軽く目にうつってしまってもったいない
なにかとてつもないものを観てしまったというほどじゃないけど、ズッコケ感はなくてそこそこ楽しめました

個人的評価:70点
オススメ度:これこそ三池監督に徹底的に胸くそ悪く改変してほしかったかも



ミュージアム 予告

ジャック・リーチャー NEVER GO BACK (2016/米)

監督:エドワード・ズウィック
出演:トム・クルーズ / コビー・スマルダース / ダニカ・ヤロシュ / ロバート・ネッパー

元憲兵隊指揮官のジャック・リーチャーはターナー少佐と会う約束をする
しかし彼女は逮捕されてしまい、不審に思ったリーチャーは独自に探りを入れ出すのだった

良く言えば堅実、悪く言えば地味、刹那の楽しみを与えてくれて、鑑賞後には記憶から綺麗に消えてくれる娯楽作品でした
格闘、銃、車とそれぞれのアクションをそつなく配置し、それでいて物足りなくはないものの決め手となる記憶に残る派手さはない
主人公も無敵のヒーローというほどじゃなく、敵に遅れもとるし怪我もする、スタイリッシュにピンチを切り抜けることなく泥臭い戦闘で渡り歩く中の上の強さ
役者の存在でキャラは立っているけど、他の人が演じていたら地味すぎる上に、別にトムさんじゃなくてもこの役はいい気もする
ほどよい謎とストーリーは頭を使わせすぎず、アクションを邪魔することなくありのままをするりと受け入れられて疲れない
ただリーチャーさんとターナーさんの微妙にギクシャクしたバディっぷりは、観ていてちょっとストレスを感じ、罵りあいつつも結果的に気持ちよく敵をなぎ倒していく様をみたかった
普通というにはもったいない楽しさはあるけど、もっとバカ騒ぎやアホ要素で作品の個性を主張してもよかったんじゃないかと思った一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:予告でもあるファーストシーンみたいなノリをずっと観てたかったのよね



ジャック・リーチャー NEVER GO BACK 予告

2016年11月20日日曜日

ガール・オン・ザ・トレイン (2016/米)

監督:テイト・テイラー
出演:エミリー・ブラント / レベッカ・ファーガソン / ヘイリー・ベネット / ジャスティン・セロー / ルーク・エバンス / アリソン・ジャネイ / エドガー・ラミレス / リサ・クドロー

電車の車窓からいつもお気に入りの家の様子をうかがっているレイチェル
その家の近所には元夫が新たな女性と子供とともに幸せそうに暮らしており…

なにが起ころうとしているのか、もらえる情報がとっちらかっていて、本当になかなか先を読ませてくれないもどかしさが楽しい作品でした
真相うんぬんというより、そこにいたるまでの課程、その作りが秀逸
いつまでたってもよく分からない状況で観ていて軽いストレスを感じながら、ただ辛いだけじゃないうまみのある激辛カレーを食べているような感覚をおぼえる
登場人物たちがどんどんクセものだと情報が開示されていきつつ、それ以上にレイチェルのアレっぷりが上書きされていく情報の混沌っぷりがおもしろい
時間軸の操作、現実との境界が限りなく薄い幻覚の描写などこれいじょうやったらわけわからなすぎる、というギリギリのラインの演出がたまらなく引き込まれる
じゃっかんレイチェルの記憶が都合良すぎじゃないかと頭をチラつくけど、ここまで最初から最後まですっきりしない作品なのに不思議な満足感があった一本でした

個人的評価:85点
オススメ度:ラストシーンの人物のその後が気になりすぎる



ガール・オン・ザ・トレイン 予告

機動戦士ガンダム THE ORIGIN IV 運命の前夜 (2016/日)

監督:安彦良和
出演:池田秀一 / 早見沙織 / 浦山迅 / 銀河万丈 / 三宅健太 / 渡辺明乃 / 柿原徹也 / 喜山茂雄 / 一条和矢 / 松田健一郎 / 土屋トシヒデ / 中博史 / 古谷徹 / 福圓美里 / 坂口候一

シャアは蜂起の扇動の責任をとらされ退役、地球へ向かうことになる
そこで不思議な少女ララァと出会うのだった

一応はシャア・セイラ編のラストということですが、もうすでにここから新章に突入してる気がするような内容でした
セイラさんは出番ないし、シャア個人のエピソードというよりジオン、連邦、そしてアムロそれぞれの群像劇になっている感じ
話としては一年戦争へつながる序章としてなじみ深いものになり、モビルスーツ戦も盛り上がり、ガンダムの影も見えてきて見所は多い
なじみあるものになってきたからこそ、ライトなオタク層な人にとっても良くも悪くもああだこうだ言いやすくて楽しめると思う
唐突な場面盛り上げ演出やクセのある見た目のキャラが引っかかるものの、コミカルさとシリアス、アクションのバランスは今まででいちばんよかくて自然と見入っていた一本でした

個人的評価:75点
オススメ度:ガンキャノンさん全否定じゃないですか


機動戦士ガンダム THE ORIGIN IV 運命の前夜 予告


マイ・ベスト・フレンド (2015/米)

監督:キャサリン・ハードウィック
出演:トニ・コレット / ドリュー・バリモア / ドミニク・クーパー / パディ・コンシダイン / ジャクリーン・ビセット / タイソン・リッター / フランシス・デ・ラ・トゥーア

子供の頃からの大親友のミリーとジェスのふたり
ある日、ミリーにガンが見つかり、ジェスも子供ができないことに頭を悩ませる中で闘病生活に協力するのだった

男の身としては女性同士の強い友情とかファンタジーと思えてしまうけど、それをふまえてもふたりの関係にどっぷりはまりこんで楽しめた
友や家族、知人にいたるまでトラブルメーカーのミリーにふりまわされながら、些細なもめごとなんかジョークで乗り切ってしまい、そこまで深刻すぎる展開にはならなくて観やすい
だからといって浅い話でもなく、主人公ふたりの限られた時間を切り取って観ているだけなのにすごい濃密な物語に感じられた
登場人物の表情、その愛おしさはもちろん、BGMやカメラワークまで丁寧に作られていて、けっこう芯がしっかりしてるドラマだなと好感を抱けました
最後の最後まで濁さずに瞬間を描いてくれたのもよかった

個人的評価:80点
オススメ度:女性向けとはいえ、ホントに野郎どもがどうしようもない奴ばかり



マイ・ベスト・フレンド 予告

2016年11月13日日曜日

ソーセージ・パーティー (2016/米)

監督:コンラッド・バーノン / グレッグ・ティアナン
出演:セス・ローゲン / クリステン・ウィグ / ジョナ・ヒル / エドワード・ノートン / サルマ・ハエック / ニック・クロール / デビッド・クラムホルツ / ポール・ラッド / グレッグ・ティアナン / コンラッド・バーノン / ビル・ヘイダー / マイケル・セラ / ジェームズ・フランコ / ダニー・マクブライド / クレイグ・ロビンソン

スーパーで人間に外の世界へ連れ出され、パンのブレンダと結ばれることを夢見るソーセージのフランク
その念願がかなうかと思われた時、事故によってスーパー内に放り出されてしまうのだった

思ってたより下ネタまみれというわけでもなう、ブラックユーモアの比率もけっこうあり、そこにパロディのエッセンスがある感じな内容でした
社会風刺のような深いものがあるような、という感じをいだかせといてひじょうにひどいもの(ほめ言葉)を観せられたという感想に笑いを浮かべざるえない
ただこの作品のおもしろさはクライマックスに凝縮されてる感じで、そこまでは細かいネタのジャブの連続
おもしろいけど、しょうじきこのままの展開だと食いたりないな、と中盤までじゃっかんのもやもやが胸に残る
そんな負の印象も暴走がはじまる終盤からラスト、そのオチのいきおいでくつがえって楽しい
このラストは本当にひどいとリアルに心の中でツッコミをいれたくなる
ライトっていうほどじゃないけど、個人的には下ネタレベルはそうでもなく、どっちかといえばホラー要素の方が強く残った一本でした

個人的評価:80点
オススメ度:すべてのネタを拾うには広く浅い知識がいるかもしれん



ソーセージ・パーティー 予告

2016年11月9日水曜日

ぼくのおじさん (2016/日)

監督:山下敦弘
出演:松田龍平 / 真木よう子 / 大西利空 / 寺島しのぶ / 宮藤官九郎 / キムラ緑子 / 銀粉蝶 / 戸田恵梨香 / 戸次重幸

小学生の雪男は学校の宿題で身近にいる大人について作文を書くことになる
平凡な家庭ゆえに書くことに困る中、居候の哲学者のおじさんに注目するのだった

おじさんと雪男ハワイへ行く、とでもいうように深夜ドラマの延長のノリでゆるく楽しめた
というかむしろ普通にTVドラマでやればいいのに、とも思う
作風はちょっとクセがあってベースは昭和のホームコメディで、しかもセリフがいちいち本の言葉みたいに堅苦しい
さいしょはそんな雰囲気がむずがゆく感じるけど、だんだんとくせになる心地よさがある
おどろくほどのドラマティックな展開やギミックはいっさいなく、常に分かりやすいネタふりとオチが待っていて、それが味だと分かっていてもじゃっかん退屈さを感じるのは否めないかも
昭和の古き良き時代の安心できるドラマを復古させるんだ、みたいな気負いもなく、しょうじきどの層をターゲットにした映画なのかよく分からない
原作が有名だからとて、それでもあえて映画として観るほどか、という野暮なツッコミがチラつかなくもない、あいた時間に持て余す暇があるなら後悔しないていどには楽しめる一本でした

個人的評価:75点
オススメ度:いや、いくら推してもワオは流行らない



ぼくのおじさん 予告

2016年11月6日日曜日

続・深夜食堂 (2016/日)

監督:松岡錠司
出演:小林薫 / 河井青葉 / 佐藤浩市 / 池松壮亮 / キムラ緑子 / 小島聖 / 渡辺美佐子 / 井川比佐志 / 多部未華子 / 余貴美子 / オダギリジョー / 不破万作 / 綾田俊樹 / 松重豊 / 光石研 / 安藤玉恵 / 須藤理彩 / 小林麻子 / 吉本菜穂子 / 中山祐一朗 / 山中崇 / 宇野祥平 / 金子清文 / 平田薫 / 篠原ゆき子 / 片岡礼子 / 谷村美月

選るの12時から営業をはじめる深夜食堂と呼ばれるめしや
そこへ集まる客の中に、訳ありの喪服の女性が訪れる

心が温まるとか、なにか胸が熱くなるものがある、なんてたいそうじゃないポッとぬくもりのもととなる種火を心に灯してくれるような作品でした
わざわざ映画にするほどか、と言われればアレだけど、大人の息抜き作品として同じ劇場で同じものを観ているという食堂の常連客みたいな勝手な一体感にひたるのがいい
それぞれのエピソードはもちろん、いつもの登場人物、そしてたまにちょっと隙をみせるマスターが愛おしい
個人的には焼うどん編がいちばん好みな話で、最後のエピソードもいいんだけど前作みたいなちょっとしたオチがないのが寂しかった
劇場版はこのままで続けてもらって、早めの年末恒例のシリーズにしてほしいかも

個人的評価:70点
オススメ度:やっとふつうに豚汁定食を食べるところを見られた



続・深夜食堂 予告

劇場版マジェスティックプリンス 覚醒の遺伝子 (2016/日)

監督:元永慶太郎
出演:浅沼晋太郎 / 日笠陽子 / 井口裕香 / 池田純矢 / 渡辺明乃 / 沢城みゆき / 伊藤静 / 東地宏樹 / 藤原祐規 / 三瓶由布子 / 杉田智和 / 杉田智和 / 代永翼 / 雨宮天 / 鈴木愛奈 / 相葉裕樹 / 久野美咲

イズルたちのチームによってゲートが閉じられ、ウルガルら敵勢力に対して攻勢にたつことができた
しかしイズルは負傷により目を覚まさず、敵の残存勢力もいっせいに動きだそうとしていた

王道ながらちょっとズレた昭和的な笑いをつっこんでくる、そんなスタイルが好きだったTVシリーズの雰囲気そのまんまで楽しめた劇場版でした
さすがにこの劇場版単体で鑑賞するには無理があるが、TVシリーズを観ていながら内容を忘れかけていてもあらすじでフォローも完璧
それに各キャラの描き方もよくできていて、劇場版鑑賞中に「そうそう、こんな感じだった」と気持ちよく思い出させてくれる
前から古くさいノリが味になっていたけど、理論をこじつけてまでリアルな方向に設定をだしてくる今時のアニメとは違う、こういう感覚とノリでピンチとチャンスに燃えて笑える方向に特化したのも悪くない
まあ、しょうじきなんでこのタイミングで劇場版か、と思うところもあるけど肩の力を抜いて懐かしみながら楽しめた、この作品らしさに満ちた内容でした

個人的評価:70点
オススメ度:敵クソビッチとアンジュのかけあいが素敵すぎる



劇場版マジェスティックプリンス 覚醒の遺伝子 予告

ジュリエッタ (2016/スペイン)

監督:ペドロ・アルモドバル
出演:エマ・スアレス / アドリアーナ・ウガルテ / ダニエル・グラオ / インマ・クエスタ / ダリオ・グランディネッティ / ミシェル・ジェネール / スシ・サンチェス / ロッシ・デ・パルマ

ある日、知人女性から連絡がとれなかった娘を見かけたと言われるジュリエッタ
そんな娘に手紙を書く形で彼女の過去、その当時の心境が明かされていく

純粋な愛というか、愛のかけ違いによって語られるジュリエッタという女性の物語にぼんやりと引き込まれる作品でした
しょうじき特になにか大きなことがあるでもなく、この映画になにも引っかかりを感じない人もいるだろうというのは想像に易い
男女、親子、親友、それぞれのボタンをかけ違えたような愛が、物事に悲劇的な結末をもたらす
それでいて同時に予期せぬ新たな悦びを引き寄せる、そんな純粋なようなひねくれてるような感情が、見知らぬ異国の感性に触れているようでむずがゆい
なんてことはないんだけど、個人的になぜか二度見したくなるような小さな引っかかりがあって不思議と退屈さはなかったですね
ラストもここで終わってくれたらいいな、というところでしめられるし、強くはないながらも印象に残る一本でした

個人的評価:75点
オススメ度:背中合わせの出会いとファック



ジュリエッタ 予告

2016年11月2日水曜日

インフェルノ (2016/米)

監督:ロン・ハワード
出演:トム・ハンクス / フェリシティ・ジョーンズ / イルファン・カーン / オマール・シー / ベン・フォスター / シセ・バベット・クヌッセン

負傷し意識が朦朧とした状態で病院のベッドで目覚めるラングドン
そこへ銃を持った襲撃者が現れ、訳の分からないままに病院関係者のシエナと逃げ出すのだった

スイッチを押すとか押さないとかの話じゃないのか、と原作未読なので思いつつ主人公とともに訳の分からない状況に流されるままに流されました
人物の裏側にドラマが隠されているようで、あまりそこら辺にはふれず見栄え重視の娯楽作品として作りました、という印象が強かったですね
しょうじきかなり大味な感じは否めず、出だしから主人公がポンコツ状態じゃなければ即企みは瓦解してたんじゃなかろうか
とにもかくにもそんな不調な主人公のしゃきっとしない様を延々とみせられ、話がよく分からないままに流されるのがなんか微妙にストレスがたまる
観ていても「おい、なんかそいつおかしなこと言ってるけど?」と思ってもロバートさんは気づかないもどかしさ
展開もシリーズのお約束なのかワンパターンな裏切りうんぬんな感じだし、個人的な思いとしては連続ドラマとして、一話一話のラストで「実はこうだった」という謎が分かっていく方が盛り上がる気がする
見せ場はあるのに、尺の都合なのかなんかサラっと大切な部分がどんどん過ぎ去っていく
なんか知らんけど美麗な名所、迫力のある追跡劇、そこに謎解きの要素がからんで盛り上がるには盛り上がる一本でした

個人的評価:75点
オススメ度:老いはどうにもならんけど、トムおじさんの見た目の劣化が一番アレかもしれん



インフェルノ 予告