2017年1月29日日曜日

恋妻家宮本 (2017/日)

監督:遊川和彦
出演:阿部寛 / 天海祐希 / 菅野美穂 / 相武紗季 / 工藤阿須加 / 早見あかり / 奥貫薫 / 佐藤二朗 / 富司純子 / 入江甚儀 / 佐津川愛美 / 浦上晟周 / 紺野彩夏/ 豊嶋花 / 渡辺真起子 / 関戸将志 / 柳ゆり菜

子供も無事に巣立ち互いに50をむかえた宮本夫婦
ある日、夫の陽平は隠されたようにあった妻の離婚届けを見つけてしまい…

いつもの中高年向けな安心安全に観られるコミカルな作品、というひとつの形にくくるのがバカらしくなる温もりを与えてくれる作品でした
最初はなんか浮ついた演出に軽いノリに戸惑い、キャラの掘り下げやドラマの描き方もTVドラマでやったほうがいいと感じた
特に主人公の心境の変化や中学校パートとかはもっとじっくり連続ドラマのエピソードでやった方が、と強く思った
しかしそれすら終盤にさしかかると、いっきにそんな負のイメージが霧散していく
そしてED曲にさしかかったところで、最後の最後まで観ることで「~みたいな」とか「~っぽい」というくくられることのない満足度がこみあげてくる
途中でいろいろと思うところはあるけれど、役者さんもみんな楽しそうで本当に作品の中にも外にも言いようのない体温を感じる一本でした


個人的評価:80点
オススメ度:いっしょに歌って手を振りたくなる



恋妻家宮本 予告

破門 ふたりのヤクビョーガミ (2017/日)

監督:小林聖太郎
出演:佐々木蔵之介 / 横山裕 / 北川景子 / 濱田崇裕 / 矢本悠馬 / 橋本マナミ / 中村ゆり / 木下ほうか / 高川裕也 / 佐藤佐吉 / 勝矢 / 山本竜二 / 佐藤蛾次郎 / 月亭可朝 / キムラ緑子 / 宇崎竜童 / 國村隼 / 橋爪功

映画プロデューサーからヤクザがらみの話を聞かせてほしいと頼まれる二宮
なりゆきで本業の桑原とともに話を聞きにいくことになる

思ったよりふざけすぎで大げさなバカ騒ぎは少な目で意外と普通に楽しめた
軽いノリながらもそこそこのバイオレンス要素もあり、テンポよく話も進むためにストーリーを追うだけなら退屈せずに観ていられた
それでも分かりやすすぎる演出の数々が作品を軽くしすぎていて、全体的にさっくり感覚すぎて見応えはそれほどない
暇つぶしに軽い気持ちで家でまったり鑑賞するならいいけど、キャストに思い入れでもなければわざわざ劇場に足を運ぶまでのデキかと言われるとなんともいえない
観ても観なくても大損するわけではない、じゃっかん悪い意味での普通な感じをうけました

個人的評価:70点
オススメ度:どこかで見た歌詞にどこかで聞いたキャッチーな曲調のJポップ、みたいなイメージ



破門 ふたりのヤクビョーガミ 予告

2017年1月25日水曜日

沈黙 サイレンス (2016/米)

監督:マーティン・スコセッシ
出演:アンドリュー・ガーフィールド / アダム・ドライバー / 浅野忠信 / キアラン・ハインズ / リーアム・ニーソン / 窪塚洋介 / イッセー尾形 / 塚本晋也 / 小松菜奈 / 加瀬亮 / 笈田ヨシ / 遠藤かおる / 井川哲也 / PANTA / 松永拓野 / 播田美保 / 片桐はいり / 山田将之 / 美知枝 / 伊佐山ひろ子 / 三島ゆたか / 竹嶋康成 / 石坂友里 / 佐藤玲 / 累央 / 洞口依子 / 藤原季節 / 江藤漢斉 / 菅田俊 / 寺井文孝 / 大島葉子 / 西岡秀記 / 青木崇高 / SABU / 渡辺哲 / EXILE AKIRA / 田島俊弥 / 北岡龍貴 / 中村嘉葎雄 / 高山善廣 / 斎藤歩 / 黒沢あすか

1640年、キリスト教の司祭であるロドリゲスは師が日本で棄教したとしらされる
信じることのできない彼は同じ考えの司祭とともに日本人の案内役のキチジローをつれ、キリスト教迫害が続く日本へ渡るのだった

宗教に日本の要素を足し、混ざり合ったいびつさがおもしろい作品でした
分かりやすい肉体的な責め苦、そこから信仰を試されるという冷たく乾いたイメージとは違い、それこそ本当に沼のようなぬめついて湿ったむごさがたまらなく心身ともにしみる
ただただ主人公が苦しむ姿を観せられているようで、時に強烈なほどむごたらしく、時にその手を気持ち悪いくらいゆるめてくる波で眠気や退屈さは意外となかった
語れる言葉、抱く信仰、考え方、すべての人物のそれらがまっすぐに貫かれているのか、はたまた歪んだ産物なのか、新たな真理なのかくみ取り方しだいでいくようにもとらえられる
誰もが間違っているようで誰もが正しくある気がし、ゆらぐ感覚が不思議と魅力となってスクリーンから目が離せなかった
ちょっと主人公がイケメンすぎてどうか、とビジュアル型雰囲気映画と思っていたところもあったけど、意外なほどに個人的にけっこう心に響くものがありました

個人的評価:85点
オススメ度:日本側の正論責めも理解できる部分があるから難しい



沈黙 サイレンス 予告

新宿スワンⅡ (2017/日)

監督:園子温
出演:綾野剛 / 浅野忠信 / 伊勢谷友介 / 深水元基 / 金子ノブアキ / 村上淳 / 久保田悠来 / 上地雄輔 / 広瀬アリス / 高橋メアリージュン / 桐山漣 / 中野裕太 / 中野英雄 / 笹野高史 / 要潤 / 神尾佑 / 山田優 / 豊原功補 / 吉田鋼太郎 / 椎名桔平

新宿のスカウトマンとして活躍する白鳥龍彦
所属する会社バーストは人員の増加から横浜へ進出することを決定し、龍彦たちを現地へ送るのだった

次の舞台は横浜だ、という続編にありがちな舞台を移しての内容ながら、しっかりと見応えのある作品でした
声をあらげた方が勝ちな大ざっぱな殴り合いではなく、ちゃんとアクションシーンとして見栄えよく考えられ撮られている
動きの激しい部分でも誰が何をやっているのか分かりやすく、それでいて迫力のある描写はそれだけでもおもしろい
そこへ旧キャラ、新キャラそれぞれフォーカスの強弱もいい感じで、ストーリーがオマケていどになってない
ただ個人的にいちおヒロイン扱いなのか、マユミの絡んでくるシーンがちょっと話から浮いている印象が強くて、なんかそこだけ観ていてテンションがじゃっかん引き気味になった
とりあえず前作が当たったから勢いで続きやるか、みたいな軽い作品になってなくて楽しめました

個人的評価:80点
オススメ度:敵の強さと陰謀がインフレしてきそうで、なんか先が楽しみなような不安なような



新宿スワンⅡ 予告

2017年1月22日日曜日

ザ・コンサルタント (2016/米)

監督:ギャビン・オコナー
出演:ベン・アフレック / アナ・ケンドリック / J・K・シモンズ / ジョン・バーンサル / ジョン・リスゴー / シンシア・アダイ=ロビンソン / ジェフリー・タンバー / ジーン・スマート

会計士のクリスチャン・ウルフはある企業から監査の依頼をうける
一方、財務省により裏社会の資金洗浄をうけおう会計士の捜査がはじまる

表の顔は会計士、しかして裏の顔は凄腕の殺し屋だぜ、というダークヒーローネタの派手映画とは違った意外にサスペンスよりの内容でした
とはいえかなり大味なサスペンスな感じで、主人公周りだけで偶然に偶然を重ねすぎている強引さは否めない
それでも単純に銃をバンバン撃ったりするでなく、クリスチャン・ウルフのキャラを過去をからめて1から作り上げているストーリーは見応えはある
それだけに父や弟、電話の女性という作品として強い求心力になっている謎部分をがんばってほしかった
本格的でも俗っぽすぎるでもなくて微妙さがつきまとい、どっちかにもっとおもいっきり傾けた方が個人的にさらに楽しめたかもしれない

個人的評価:75点
オススメ度:淡々と殺しをこなす姿は素敵



ザ・コンサルタント 予告

マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ (2015/米)

監督:レベッカ・ミラー
出演:グレタ・ガーウィグ / イーサン・ホーク / ジュリアン・ムーア / ビル・ヘイダー / マーヤ・ルドルフ / トラビス・フィメル / ウォーレス・ショーン

大学に勤めるマギーは、そこで妻子持ちのジョンと出会う
友達と接しているうちにふたりはひかれ合い…

愛とか友情とかの人間ドラマとは違い、単純に主人公であるマギーを描きたかったという印象が強い作品でした
素敵でお洒落な街ながらどこかせわしない、良くも悪くも情報過多で生きやすくも息苦しい現代をカラっとサラっと主人公にのっけてる感じ
最初は戸惑うけど登場人物たちの気持ちの切り替えの早さも、まさに今を描いているという意味として受け入れられる
そんな中でひとりの男を間に主人公と元妻でゴチャゴチャするけど、けっきょくはしっかりしながらちょっと抜けている、賢くもちょっとバカなマギーの魅力の高まりが話が進むにつれて楽しくなってくる
今を生きるひとりの人間を切り取って歌いあげたポップソング、そんな軽さで気楽に鑑賞できる、まあ、逆に言えばそれほど深みはない作品かもしれない

個人的評価:65点
オススメ度:ねっちりねちねちな修羅場っぽさはなくていい



マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ 予告

2017年1月18日水曜日

ネオン・デーモン (2016/仏・米・デンマーク)

監督:ニコラス・ウィンディング・レフン
出演:エル・ファニング / キアヌ・リーブス / カール・グルスマン / クリスティーナ・ヘンドリックス / ジェナ・マローン / アビー・リー / ベラ・ヒースコート

モデルとしてNYにやってきたばかりの少女ジェシー
メイクのルビーと親しくなる中、事務所とも契約し順調に活躍を続けるのだった

これは本当に観て楽しめる人を選びすぎる作品で、観客としてMの素質があるか試されいる気がしないでもない
とりあえずどんな内容かいっさい不明なまま話が進み、観ていて不安になる要素ばかり矢継ぎ早に描いてくる
それはもうわけ分からなすぎてお手上げの一歩手前、かなりギリギリの線を攻めてきていて、感覚的に痛みに値を上げる寸前の刺激を感情にずっと与えられている感じ
主人公の少女としての純真さとずる賢さのアンバランスさ、視覚的な怪しさ、感情を逆撫でするBGMが加わり、これは本当に意味不明すぎて真顔で苦笑すら浮かべられない人がいても不思議じゃないと思う
話も「まだ終わらないの?」という終盤のねばりがなんとも言えず、唐突でもいいから話をまとめてもうこの作品から解放してほしいと感じずにいられない
そういう部分がマイナスに受け取るでなく、苦痛さがなんかくせになる気持ちよさに思えるかも?という私にとってはなにげに楽しめた一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:この映画のおかげでソフトSMに悦びを覚えられる気質があると自覚できた



ネオン・デーモン 予告

ホワイト・バレット (2016/香港・中国)

監督:ジョニー・トー
出演:ルイス・クー / ビッキー・チャオ / ウォレス・チョン / エディ・チョン / ロー・ホイパン / ラム・シュー

刑事によって頭部に銃撃を受けた容疑者が病院へ搬送される
強盗仲間の情報を引き出そうとする警察、治療をしようとする医師に反し容疑者は手術を拒否するのだった

わずか90分ちょいの尺、舞台はずっと病院だっていうのにひじょうに濃厚な作品でした
クライマックスへ向けてのドラマ作りも巧みで、警察、医師、容疑者それぞれの思惑が話が進むにつれて絡まり状況が高まっていく感じがたまらない
なんだかんだで前置きが長いよ、なんてことはみじんも感じないほどに観客の集中力を寄せては引いて誘導していく手法が、踊らされていると分かっていても心地よい
そしてリアルに体が震える銃撃戦、派手さで誤魔化さずに考え抜かれた見せ方に酔わずにいられない
それぞれの登場人物がたどる結末への想像の誘導もうまくて、最後まで「こうなるのか」とイメージが止まらない
とにもかくにも最初から最後まで流れるように観客を気持ちよく作品に没入させてくれる一本でした

個人的評価:90点
オススメ度:それぞれの行き着くラストも納得



ホワイト・バレット 予告

2017年1月15日日曜日

本能寺ホテル (2016/日)

監督:鈴木雅之
出演:綾瀬はるか / 堤真一 / 濱田岳 / 平山浩行 / 田口浩正 / 高嶋政宏 / 近藤正臣 / 風間杜夫

フィアンセの父親に会うために京都にやってきた倉本繭子
ひょんなことから泊まった本能寺ホテルだったが、そのエレベーターにのると織田信長のいる戦国時代の本能寺へ足を踏み入れてしまうのだった

映画の公開前から色々と作品の外側が騒がしいけど、けっきょくは観てみないことには、という感じで鑑賞
結果としては作品として本当に平坦で退屈なものだったと言わざるえない
主人公が本能寺の変の直前に信長と会ってきたよ、というだけでそういう歴史上有名な過去の出来事に関わってきたネタ以上のものがなにもない
やりたいことが見つからない主人公が現実離れした&現代での出来事から、自分なりの答えにいきつくというありきたりな部分もあるんだけど、その顛末も別段なにも感じる部分がない
ご都合主義に物わかりがよかったり、逆にすっとぼけてたり、最初から最後まで主人公のふわっふわした存在が作品のピースをうまくはめるためだけにある印象が強い
コメディ要素も、ここで笑ってくださいというポイントがいくつかあるものの、そのすべてがものの見事にすべっていて笑えない
本能寺の変、その現場につながるエレベーターのある本能寺ホテル、本当にただそれだけなそこから先がない一本でした

個人的評価:40点
オススメ度:実は現代パートのこの人物が、とかそういう謎要素もいっさいない



本能寺ホテル 予告

2017年1月11日水曜日

土竜の唄 香港狂騒曲 (2016/日)

監督:三池崇史
出演:生田斗真 / 瑛太 / 本田翼 / 古田新太 / 菜々緒 / 上地雄輔 / 仲里依紗 / 堤真一 / 吹越満 / 遠藤憲一 / 皆川猿時 / 岩城滉一 / 久松郁実

暴力団の数寄矢会へヤクザの身分で潜入捜査を続行中の菊川玲二
会長である轟周宝のボディーガードという所まで接近できたが、そこへ中国マフィアの問題が立ちふさがる

邦画の二作目、というどこか期待できないイメージのままに鑑賞したけど問題なんて何もないってほどにすべてが前作よりパワーアップしていて見応えがあった
独特のエロスとバイオレンス、コメディ演出の三池監督を完全に受け止めきっている作品、なによりキャストの皆のハマり具合がすごい
特に主人公の三枚目っぷりが素敵すぎて、同時に周りを引っ張っていく力強さで登場人物たちの魅力が最大まで引き出されている感じ
変なポイントで調子に乗りすぎていたり、クセがありすぎて笑えない、という部分がなくてちゃんと笑い所で笑えて決めるところで決まっているので安心して観ていられた
途中までちょっと詰め込みすぎじゃないのか、と思う部分もあったけどテンポと力技で気持ちよい方向に押し切っている娯楽作品として楽しめた

個人的評価:80点
オススメ度:小ネタにいちいち作品内でツッコミをいれずに、気づいた観客にゆだねるのは正解だと思う



土竜の唄 香港狂騒曲 予告

2017年1月8日日曜日

ヒトラーの忘れもの (2015/デンマーク・独)

監督:マーチン・ピータ・サンフリト
出演:ローラン・モラー / ミケル・ボー・フォルスガード / ルイス・ホフマン / エーミール・ベルトン / オスカー・ベルトン / ジョエル・バズマン

1945年、ドイツ軍の占領から解放されたデンマーク
ドイツ軍捕虜の少年兵たちにより、海岸線の大量の地雷除去作業が開始されようとしていた

状況もドラマもすべて画でみせる、確かにそうではあるけどそのスタイルうんぬんなんて気にする余裕なく強烈にスクリーンに引き込まれる
過剰な演出もドラマもなく、最初から最後まで緊張感に満ちている
それでいてきちんとドラマとして見応えもあり、本当に生と死が背中合わせの紙一重な伝わってくる
軍曹と少年兵たちの関係も厳しければ心が痛み、ゆるくなればなったで別種の緊張感がわきあがってくる
軍曹の人間として分かる部分と分かりづらい部分、そんなところが現代の自分にはけっして理解しきることができないもの、それがその時その場所にあったと思い知らされる

個人的評価:80点
オススメ度:誰の行為に対しても単純に非難することができない



ヒトラーの忘れもの 予告

NERVE 世界で一番危険なゲーム (2016/米)

監督:ヘンリー・ジュースト / アリエル・シュルマン
出演:エマ・ロバーツ / デイブ・フランコ / ジュリエット・ルイス / エミリー・ミード / マイルズ・ハイザー

親友のお節介で手痛い失恋を経験するヴィー
八つ当たり的に冒険する生き方のために、あたえられた挑戦に成功すると賞金のもらえるゲームに参加するのだった

思ってたよりも青春よりのファッション性を重視した軽めの若者向けな作品でした
壮大な謎や黒幕がいるようににおわせながらも、すべてはわりと主人公周りでこじんまりと小さくまとめらている印象
主人公ばかりに都合の良すぎる展開に色々と裏があるのでは、と想像できる話ではあるけど、けっきょくはノリで片づけられてしまっててちょっとくいたりない
死のゲームみたいなクセのあるジャンクフードの口でかぶりつきにいったら、じゃっかん舌に残るスナック菓子だったみたいな感じ
ネットやSNSを扱った華やかな借り物の装飾、状況の軽さはうまく表現できてるけど作品としてもその軽さに飲み込まれてしまってる気がする
気づいてみたら泥沼の闇へ引きずり込まれ、重苦しい命の駆け引きをするようになるのとは違う、ちょっと危険なゲームで青春キャッキャな頭からっぽにノリにまかせて観る一本でした

個人的評価:65点
オススメ度:黒幕の逆襲に主人公チームのセカンドゲームが幕を上げる、までは想像できた



NERVE 世界で一番危険なゲーム 予告

2017年1月3日火曜日

14の夜 (2016/日)

監督:足立紳
出演:犬飼直紀 / 濱田マリ / 門脇麦 / 和田正人 / 浅川梨奈 / 健太郎 / 青木柚 / 中島来星 / 河口瑛将 / 稲川実代子 / 後藤ユウミ / 駒木根隆介 / 内田慈 / 坂田聡 / 宇野祥平 / ガダルカナル・タカ / 光石研

1987年夏、中学三年のタカシはめんどくさい父親の問題もあり悶々と過ごしていた
仲間たちとつるむ中、彼はレンタルビデオ屋にAV女優がサイン会にくるという噂を持ち出す

昭和の懐かしいドラマ、その再現ではなく実際の自分の過ごしてきた時間と重ね合わせて「ああ、分かる」という内容が楽しすぎる
実際に自分が経験したこと、友人の出来事、他人から聞いたこと、当時に噂話で聞いたこと、そんな確かに体験してきた過去が強烈に思い起こされる
主人公のタカシのひと夏、しかも一日に凝縮された出来事の数々は、作品と同じ時代を生きてきた人ならけっこう共感できるネタが多いと思う
笑えないけど最高に笑ってしまうタカシを襲うイベントは、特になんてことはないんだけど共感が強いほどにおもしろさが増すかと
そうでなくてもタカシの喜怒哀楽、その表情のコミカルなチャーミングさだけを見ていても飽きない
中途半端な田舎、中途半端なグループに属した、中途半端な少年、もう個人的に自分を重ねずにいられない内容でした

個人的評価:80点
オススメ度:本当に私的ながらちょっとアレな人たちの存在も「そんな感じの人、いたな」と共感レベルがハンパなかった



14の夜 予告

MERU (2015/米)

監督:ジミー・チン / エリザベス・C・バサヒリィ
出演:コンラッド・アンカー / ジミー・チン / レナン・オズターク / ジョン・クラカワー / ジェニー・ロウ・アンカー / ジェレミー・ジョーンズ

多くの登山家が撤退を余儀なくされたヒマラヤ、メルー峰
そこにコンラッド、ジミー、レナンの3人が挑むのだった

超濃密なエンターテインメント性もかねそなえた見応えのあるドキュメンタリーだった
ふだんドキュメンタリー映画というだけで敬遠してるような人でもじゅうぶんに楽しめると思う
過酷ながら美しい映像、娯楽性の高いカメラで冒頭は観客を優しく導入し、ドラマ要素で引きつけ、最後には人間としての彼らに心を奪われる
アルピニストとしてのエゴ、葛藤、信頼、家族愛、同時に登山の難しさだけではない複雑さ、高度さがうまく描かれている
山を登る厳しさと達成感、登山というスペシャルな生き物の在り方、それらは作品の中にとうぜんあるとして、けっきょくは人間としての彼らに魅了させられた一本でした

個人的評価:85点
オススメ度:イメージとして登山家って究極の独りよがりな集まりと思ってた部分が打ち砕かれた



MERU 予告

2017年1月2日月曜日

バイオハザード ザ・ファイナル (2016/米)

監督:ポール・W・S・アンダーソン
出演:ミラ・ジョボビッチ / アリ・ラーター / ショーン・ロバーツ / ルビー・ローズ / オーエン・マッケン / ローラ / イ・ジュンギ / ウィリアム・レビ / イアン・グレン / エバー・アンダーソン

T-ウイルスによって人類のほとんどがアンデッドになってしまった世界
アリスは元凶である人工知能レッドクイーンから、自分を止めてほしいというメッセージを受け取る

最終決戦場はめぐりめぐって始まりの場所だった、というのはお約束ですね
そうなんだろうけど、古典的なトラップにメンバーがひとりずつ脱落していく様には古くささを感じずにいられなかった
シリーズごとに敵が味方に味方が敵に、という話がおもしろく転がる方に描くのはいいんだけど、もういい加減にネタとして飽きる
アクションシーンも細かいカット割りでスタイリッシュ&スピーディの繰り返しで、迫力はあるけどここって見所が後々に思い出しづらい
全体的に大きなツッコミどころが多すぎて、もうこういう穴だらけなままを楽しむ気持ちよさ特化の娯楽映画と割り切らざるえない
内容的にもちょっと前からクローンを出してきた時点で、もうどうにでもなる手垢のつきまくった真相が待っているだけ
まあ、それでもトータルではガッカリというほどではないので、派手さだけに目を奪われ続けられればじゅうぶんにおもしろく感じられると思う

個人的評価:70点
オススメ度:いくらでも「実は○○は生きていた」ネタで続けられるね



バイオハザード ザ・ファイナル 予告

2017年1月1日日曜日

ワイルド わたしの中の獣 (2016/独)

監督:ニコレッテ・クレビッツ
出演:リリト・シュタンゲンベルク / ゲオルク・フリードリヒ / サスキア・ローゼンタール

IT関連会社に勤めるアニアは出勤途中の公園で狼を見かける
狼の存在に強くひかれる彼女は餌付けしようとするのだが…

狼に触発されて社会に窮屈さを感じている自分を解放だ、なんて外に向かうベクトルのドラマではなくて内へ向かう、どこか陰のイメージが強いちょっとめんどくさい作品でした
主人公のことを理解しようと鑑賞しつつ、なんとか型にはめようと掴みかけた途端にするっとすりぬけていく、そんな繰り返しがもどかしおもしろい
勘が鈍い私はけっこう最後の方まで気づけなかったけど、作品としての核心部分が分かると「そういうことね」とちょっとすっきりする
けっこう観ていて違和感を与えるヒントはあるので、気づける人はすぐにピンとくるかもしれん
本当に個人的にはなかなか理解に至らなくて、それでも引っかかるシーンのいくつかにずっと気持ち悪さを感じてましたね
狼という存在との異種生物交流ドラマだと思ってた、私の前提からして期待している方向が違った、と
それでもそんな想像と違う内容も異なったゆえに楽しめた一本でした

個人的評価:75点
オススメ度:けっきょくはアニアさんを完全に理解できる賢さがない自分がふがいない



ワイルド わたしの中の獣 予告

アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場 (2015/英)

監督:ギャビン・フッド
出演:ヘレン・ミレン / アーロン・ポール / アラン・リックマン / バーカッド・アブディ / ジェレミー・ノーサム / イアン・グレン / モニカ・ドラン / フィービー・フォックス

ある危険人物たちをドローンよって監視し英、米、ケニアの軍によって捕獲する作戦が進行していた
しかし状況は思わぬ方向へ転移し、作戦の変更を余儀なくされる

まるでゲームのようなドローンによる監視、安全な場所でのんきに指示をする人々、なんて安易な考えは鑑賞後に一蹴された
あらゆることが複雑に絡み合い、重厚なドラマを織りあげていく感じがおもしろい
軍人として政治家として、国家として個人として、様々な立場の人たちの葛藤が混沌としていって見応えがある
良い目はより安全で効率のいい作戦を実行できると同時に、見えすぎることによる被害予測の悩みも同時に産み出しているのがよく描けている
パウエル大佐とそのチームのやりとり、実際に引き金を引く米国軍人、そし敵となる現地の武装狂信者、個と立場としての自分の中での板挟みの苦しみ…
人を救うために武器を捨てたり、呼称を変えたり細かい部分までこだわりを感じた
完璧な作戦などなく、逆に被害のパーセンテージの重荷に自責の念ばかり増す見えすぎる弊害に考えさせれる

個人的評価:85点
オススメ度:外から誰も彼も不用意に避難することはできないですね



アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場 予告