2017年4月30日日曜日

ワイルド・スピード ICE BREAK (2017/米)

監督:F・ゲイリー・グレイ
出演:ビン・ディーゼル / ドウェイン・ジョンソン / ミシェル・ロドリゲス / タイリース・ギブソン / クリス・“リュダクリス”・ブリッジス / ナタリー・エマニュエル / エルザ・パタキー / ジェイソン・ステイサム / カート・ラッセル / スコット・イーストウッド / シャーリーズ・セロン / クリストファー・ヒビュ / ジャンマルコ・サンティアゴ / ヘレン・ミレン

ハバナでレティとのハネムーンを楽しむドム
そこへ天才的なハッカーのサイファーが現れ、部下になれと言ってくるのだった

おもしろいけどさすがにドンパチアクションに傾きすぎ、という前作からうってかわってカーアクション盛りだくさんになってましたね
長いシリーズだからこそ使える一度かぎりのネタである主人公が敵になる、というのをここにきて投入してきたわけですが、これがけっこうハマっていて楽しめました
ドムという絶対的な主人公はもちろん、ホブス&デッカードというふたりのなじみっぷり、新顔のリトル・ノーバディ、そしてもちろんファミリーの面々、それぞれのキャラが魅力的で生き生きしてた印象
特にデッカードが今作でいっきに素敵さを増しに増して、そのキャラとアクションは強く心に残らざるえない
様々なシチュエーションでのぶっとんだカーアクションはもちろん盛り上がり、さらにそこに別シーンのちょっとユーモラスなアクションをはさみこむことで燃えて笑える娯楽性が高まっている感じ
ドム、ホブス、デッカードの描写のバランスの良さで円熟して安定した楽しさに盛り上がれた一本でした

個人的評価:85点
オススメ度:まさに車版の全力疾走ゾンビ



ワイルド・スピード ICE BREAK 予告

無限の住人 (2017/日)

監督:三池崇史
出演:木村拓哉 / 杉咲花 / 福士蒼汰 / 市原隼人 / 戸田恵梨香 / 北村一輝 / 栗山千明 / 満島真之介 / 金子賢司 / 山本陽子 / 市川海老蔵 / 田中泯 / 山崎努

逸刀流を名乗る剣客集団をたばねる天津に父を殺された凛
復讐に燃える彼女のもとに謎の老婆が現れ、けしてくだばらない用心棒の万次をやとえと助言されるのだった

血は流れるし人体欠損描写はある、けど個人的にあまり三池監督のくさみを感じなかった作品でした
木村拓哉が主演、チャンバラ映画、という部分にひかれて観てもあまりのえぐみにげんなるすることはなく安心して(?)鑑賞できる内容かも
独特の色物っぽい敵たちの見た目ながら、いざ戦いがはじまればしっかりとした殺陣とアクションで浮ついてる感は薄い
主人公の不死身っぷりの設定や抱えている想い、凛との関係が初期の剣客たちとの戦いの中で描かれ、わりとすんなりとストーリーに入っていける
ただどうしても逸刀流の面々や登場人物たちに個性豊かな使い手が多すぎて、それぞれをしっかり掘り下げている尺がないのはもったいない
各キャラのファンにしてみれば「もっと出番がほしかった」と思うかも
ちょっとヒロインに言いたくなるところがないでもないけど、木村拓哉だからとか三池監督だからとかの負の方向の心配ごとは気にするまでもなかった
様々な武具を扱う敵と主人公の殺陣、多人数相手の大立ち回り、娯楽チャンバラ映画として楽しめた一本でした

個人的評価:80点
オススメ度:いい感じに年を重ねたキムタクさんが渋カッコイイと言わざるえない



無限の住人 予告

2017年4月26日水曜日

スウィート17モンスター (2016/米)

監督:ケリー・フレモン・クレイグ
出演:ヘイリー・スタインフェルド / ウッディ・ハレルソン / キーラ・セジウィック / ブレイク・ジェナー / ヘイリー・ルー・リチャードソン

落ち込む少女のネイディーンは学校の先生を前に自殺を表明する
そこまで思い至るには家族と親友の問題があるのだった

特になにか起きるでもなく、ただただ主人公の暴走と自爆っぷりを観ているだけなのに、最後にはちょっと救われた気持ちになる
ここまで自分が自分がと迷惑ばかりをふりまくウザイ存在のネイディーンなのに、不思議と嫌な気持ちにはならない
それどころかたまらなくキュートに思えたり、時には同情してしまうからおもしろい
なにか問題がおこった後のオチとしてある先生との掛け合いがいちいち楽しすぎ、いつしかネイディーンと先生のシーンを心待ちにしている自分がいた
問題の多いネイディーンだけど、ラストでは観ていて気持ちのよい部分におちつくし、彼女だけでなくその姿を反面教師にした周りの人々の変化、そして観ている側もちょっとだけ救われた気分になるのが気持ちいい
リア充嫌悪の壁を自分でこさえて勝手に落ち込む馬鹿馬鹿しさを笑い飛ばせた

個人的評価:85点
オススメ度:先生が本当は神様なんじゃないかと思わざるえない



スウィート17モンスター 予告

イップ・マン 継承 (2015/中・香港)

監督:ウィルソン・イップ
出演:ドニー・イェン / リン・ホン / マックス・チャン / マイク・タイソン / パトリック・タム / ケント・チェン / チャン・クォックワン

1959年、香港で詠春拳を広めるイップ・マン
ある日、彼の息子が通う学校へ、土地をねらったチンピラが押し掛けてくるのだった

キレにキレまくるイップ・マンの動き、そして闘いのシチュエーションとバリエーションは言うまでもなく、まさか泣かされるとは思わなかった
学校をめぐる前半の小競り合いも多人数バトルと人情ドラマで燃えるものの、このままの流れでいくのかとちょっと食い足りなさがあった
しかし、小物のサンが退場してからの怒濤の後半戦が文句ないくらいに最高に盛り上がる
妻とのシーンの数々も前半のすれ違いがいき、ドラマとして見応えがあった
そこへ差し込まれる熱すぎる闘いの連鎖、ひとつひとつが無駄に長すぎず物足りなさすぎずのクライマックスバトルで、すべてが強く印象に残った
人間としてトータルの強さをにじませるイップ・マンの魅力にアクションシーン以外でも惚れ惚れせざるえない一本でした

個人的評価:90点
オススメ度:イップ・マンの顔が小さいのか奥さんの顔が大きいのか



イップ・マン 継承 予告

2017年4月23日日曜日

バーニング・オーシャン (2016/米)

監督:ピーター・バーグ
出演:マーク・ウォールバーグ / カート・ラッセル / ジョン・マルコビッチ / ジーナ・ロドリゲス / ディラン・オブライエン / ケイト・ハドソン

作業員のマイクは海上に浮かぶ石油堀削施設へむかう
そこでは予定の遅れからテストによる安全確認より、早期の作業を行う方針がとられようとしていた

破壊と爆発、映画館の大音響で鑑賞すべき体で感じるディザスタームービーでした
災害を予見するような不吉な描写、現場の作業員と石油会社の衝突、施設の不安定な稼働状況、最初は緊張感の高まりがあったけど災害にいたるまでがじゃっかん長い
そんな長さに退屈とダルさを感じながらも、いざ施設が事故にみまわれると、その災害の描写と音響に包み込まれる感覚にいっきに作品にのまれた
ただバンバン単調に破壊が続くだけでなく、緩急をつけた描写に不謹慎ながら災害アトラクションみたいな楽しさをおぼえた
主人公にしてもこういう映画特有の不幸を押し退ける英雄的な行動を描かれつつも、ラストの人間らしさで作品が引き締まる

個人的評価:85点
オススメ度:これだけの災害で犠牲者が11人か、という安易な考えをエンドロールで恥じることに



バーニング・オーシャン 予告

3月のライオン 後編 (2017/日)

監督:大友啓史
出演:神木隆之介 / 有村架純 / 倉科カナ / 染谷将太 / 清原果耶 / 佐々木蔵之介 / 加瀬亮 / 伊勢谷友介 / 前田吟 / 高橋一生 / 岩松了 / 斉木しげる / 中村倫也 / 尾上寛之 / 奥野瑛太 / 甲本雅裕 / 新津ちせ / 板谷由夏 / 伊藤英明 / 豊川悦司

新人王をとった高校生プロ棋士の桐山
そんな彼に突如として宗谷名人との記念対局の話がもちかけられる

前編に続いて重要イベントのたたみかけが半端じゃないものの、じっくりペースで描かれているために駆け足感が薄く丁寧なドラマ作りになっている気がした
緊迫の将棋シーン、心が動かされる川本家との交流、主人公桐山の周りの個々の登場人物たち、思っていた以上に濃密な時間を堪能できた
それこそちょっと観ていて疲れるくらいの濃度で問題発生と解決を繰り返し、個人的に前編のわちゃわちゃしたように思えた感覚も、この後編を大切にしたからなんだろうなと勝手に納得
主に主人公の桐山零におぼえたことだけど、それぞれのキャラと役者さんたちがどんどん馴染んできて、その演技に引き込まれる部分が多かった
将棋の勝負の結果、かかわり合う人たちとの行く末、ドラマの連続でどう転ぶのか緊張感があって退屈することなく最後まで目が離せなかった
じゃっかん、こじらせにこじらせた事情の数々が最適解をしめす言動や行動であっさり解決し、できすぎっぽく思えなくもないけど
やっぱりもっともっとエピソードを分割してゆったり描いた方が深みが出るんじゃなかろうか、と面白いながらも疲労も同時に味わった一本でした

個人的評価:80点
オススメ度:ベタなイベントだけど、どう見ても犬と間違うのは無理があるだろ



3月のライオン 後編 予告

2017年4月19日水曜日

人生タクシー (2015/イラン)

監督:ジャファル・パナヒ
出演:ジャファル・パナヒ

街を走るタクシーに乗り込んでくる人々
それを運転するのは車載カメラを操る映画監督のパナヒであった

ドキュメンタリーか否か、そこら辺をどう思うか鑑賞する側に委ねるってこともなく明らかに作られたコメディ映画で楽しかった
なんの予備知識もなく鑑賞するのはちょっともったいなく、劇場で観るならまずは雑誌等の切り抜きなんかで作られた映画館のパネルをながめた方がいいかもしれない
まあ、事前にイランや監督周りの事情を予習していけばいいんですが
なんの予備知識もなくても観ていればうっすら察せると思うのでそこまで困ることはないかもしれないけど
タクシーの乗客や友人、姪とのやりとりでイランの文化や社会問題などの状況がおもしろおかしく描かれ、ブラックユーモアや皮肉も固くなりすぎない感じで楽に観られるよう作られている
気軽な傍観者の視点でもうひとりのタクシーのお客として、シートにゆったり身を沈めて笑いながらもちょっと考えさせられた

個人的評価:80点
オススメ度:姪の無言抗議から監督の眼鏡上げがツボすぎる



人生タクシー 予告

午後8時の訪問者 (2016/ベルギー・仏)

監督:ジャン=ピエール・ダルデンヌ / リュック・ダルデンヌ
出演:アデル・エネル / オリビエ・ボノー / ジェレミー・レニエ / オリビエ・グルメ / ファブリツィオ・ロンジョーネ

診療所で代診をしていた医師のジェニーは、ある夜遅くの来訪者に対応しなかった
後日、その時間のカメラ映像を見せてほしいと刑事がやってきて、その来訪者の死を知るのだった

謎や事件の大きさ、トリックに過剰なまでにこったミステリとは違ったいぶし銀的なおもしろさがあった
環境音が曲とるくらい静かな流れの中、主人公をふくめた登場人物たちのわずかなボタンのかけ違いがどんどん気持ち悪さを増していくドラマが秀逸でした
特に主人公の事件を追う姿勢が明るみになると同時に、新たなストレスや自責が葛藤を深めていく、事件の様相もそうだけどそんな姿を観ているだけでも楽しめる
ただ息苦しいだけじゃなく、日々の中でちょっと喜ばしいこともあり、それがさらに悩みとの明暗をくっきりさせて飽きることがない
地味と言えば地味だけど、謎の部分をウリにしている作品が多い中で地力で勝負というか匠の技がきらりと光る一本でした

個人的評価:85点
オススメ度:地道にまいた種が実るのはいい



午後8時の訪問者 予告

2017年4月16日日曜日

グレートウォール (2017/中・米)

監督:チャン・イーモウ
出演:マット・デイモン / ジン・ティエン / ペドロ・パスカル / ウィレム・デフォー / アンディ・ラウ / ルハン / チャン・ハン / ワン・ジュン / チーニー・チェン / チェン・カイ / エディ・ポン / ケニー・リン / ホアン・シュアン

黒色火薬を求めて旅をするウィリアム一行は道中、馬賊に追われることになる
さらに謎の怪物にも教われ逃げまどううちに、大勢の武装兵士によって守られた万里の長城へとたどりつくのだった

意外と軽い空気感で、娯楽性が高くサクっと感覚で鑑賞できました
武具や衣装、建造物やクリーチャーの色彩を含めた美術センスは個人的に好感がもて、目で楽しむ映画と思えた
一方でちょっと人の命が軽いような印象で、人類とその天敵との重厚な戦争ドラマという部分が弱い気がしないでもない
数の暴力で頭悪くごり押しで攻めたててくるだけじゃない、それなりな賢さがある敵とバトルシチュエーションによって、各戦闘に趣が違って描かれているのはおもしろかった
画面の中で盛り上がりに盛り上がる熱量と、それを観ているこっち側のわきたつ熱量にじゃっかん温度差があるのが少し引っかかる一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:集団戦闘になんとなくラストレムナントを思い出した



グレートウォール 予告

2017年4月12日水曜日

LION ライオン 25年目のただいま (2016/豪)

監督:ガース・デイビス
出演:デブ・パテル / ルーニー・マーラ / ニコール・キッドマン / デビッド・ウェンハム / サニー・パワール / アビシェーク・バラト / プリヤンカ・ボセ / タニシュタ・チャテルジー / ナワーズッディーン・シッディーキー / ディープティ・ナバル / ディビアン・ラドワ / サチン・ヨアブ / パッラビ・シャルダー / アルカ・ダス

インドのとある駅、仕事を探しにいく兄を駅のホームで待つ幼いサルー
戻ってこない兄を探し無人の汽車へ乗り込むが、疲れて寝てしまったサルーを乗せて遙か遠くの見知らぬ土地へ走り出してしまうのだった

想像以上にヘビーな幼少期、あからさまに怪しい人たちや過酷な状況が続いて重い内容だった
基本的に主人公周りの状況は必要最小限の描写と台詞でなっていて、観ている側にちょっと展開している出来事を読みとる努力を強いられる
それが分かりやすくて場面展開が多い幼少期は楽しめたけど、あまり画面内に動きがなく状況や裏で流れるドラマばかりくみ取らされる青年期は個人的にしょうじきちょっと退屈感があった
そんな退屈さも分かりきってはいながらもクライマックスの展開から、ラストのしめで少しくつがえる
終わりよければすべてよし、みたいなオールOKな気分までにはなれないけど、そこそこ気持ちが晴れる終わり方はおもしろかった

個人的評価:80点
オススメ度:もうちょい娯楽性があってもよかった気がしないでもない




LION ライオン 25年目のただいま 予告

レゴバットマン ザ・ムービー (2017/米)

監督:クリス・マッケイ
出演:ウィル・アーネット / マイケル・セラ / レイフ・ファインズ / ロザリオ・ドーソン / ザック・ガリフィアナキス / ジェニー・スレイト / マライア・キャリー

ゴッサムシティをジョーカーをはじめとする悪者軍団がいっせいに暴れ出す
そんな窮地にバットマンがさっそうと現れ…

予告をみる限りではコテコテなファミリー映画っぽかったけど、バットマン主体のちゃんとしたバットマン映画で非常に楽しめた
レゴであるからこその部分を存分にいかし、それでいて迫力もスケールも大きい展開に盛り上がる
バットマンの抱える問題やテーマもしっかり伝わるようになりつつ、それでいてジェットコースターのような作品のブレーキにならないように描かれていて見応えも十分
めんどくさいこじらせ主人公のバットマンのおかげで、周りではしゃぐキャラたちの痛々しさが軽減されていて冷めた気持ちに落ちることもなかった
暴れ回る極悪キャラたちやバットマンネタでレトロムービーを知るおっさんにサービスしてくれる心づかいがたまらない
本当に思った以上にバットマン映画なので、レゴだからと偏見をもってスルーするのはもったいない作品ですね

個人的評価:90点
オススメ度:今後のバットマン映画にもつながる、のかな



レゴバットマン ザ・ムービー 予告

2017年4月9日日曜日

夜は短し歩けよ乙女 (2017/日)

監督:湯浅政明
出演:星野源 / 花澤香菜 / 神谷浩史 / 秋山竜次 / 中井和哉 / 甲斐田裕子 / 吉野裕行 / 新妻聖子 / 諏訪部順一 / 悠木碧 / 檜山修之 / 山路和弘 / 麦人

黒髪の乙女の後輩のことが気になって仕方ない先輩
彼の思いをよそに乙女は夜の街へ呑み歩きへ去ってしまうのだった

独特の雰囲気というのは観る前から分かってはいたけど、全編を通して想像力を突き抜ける世界を飽きることなく楽しめた
恋の話というありきたり感はあるものの、そんな恋の話にすっかり酔いしれ、最後には素晴らしくも思っている自分がいた
とにかくまったく先が読めなく、どんな表現でくるのかわくわくが持続し、それでいて最後にはきちんとすっきりさせてくれる波に身を任せているのが気持ちよすぎる
なにかすごいことになりそうで肩すかしされることすらガッカリとは逆に魅力になり、それぞれの個性豊かな登場人物すらあふれず内包する物語、そして主人公をきちんと主人公としてたてる結末に大満足な一本でした

個人的評価:90点
オススメ度:酒と本をたしなみたくなる



夜は短し歩けよ乙女 予告

T2 トレインスポッティング (2017/英)

監督:ダニー・ボイル
出演:ユアン・マクレガー / ユエン・ブレムナー / ジョニー・リー・ミラー / ロバート・カーライル / ケリー・マクドナルド / アンジェラ・ネディヤルコーバ / アービン・ウェルシュ

20年刑務所に入っているベグビー、ジャンキーなままのスパッド、女を使って恐喝で金を稼ごうとするシック・ボーイ
彼らいる故郷に20年ぶりに金を持ち逃げしたレントンが戻ってくる

物語の中の20年があって、観る側の現実の20年があることで完結できた作品として身にしみるものがある
それぞれの人物がたどる20年後の今を観ることで、各々が自分の中での欠片としてあることが痛みとともに伝わってくる
無様なほどに変わっていない自分と、時の流れにさらされて変わっていることに気づいていない自分を痛感せざるえない
かといって変に説教くさかったり、丸くなってりしすぎていない作風で、随所に前作を想起させるシーンもあって気持ちよくもしてくれるため、観ていて不快に沈むだけじゃなくておもしろい
私の昔は昔の、今は今の時代背景があっての鑑賞による感想としては深く心に刻まれるものがあるけど、映像作品として前作と今作をシンプルに見つめた場合にどんなことを思うのかちょっと知りたくもある
今でも相変わらずかっこよくて、懐かしさに気持ちも上がる、それだけじゃない内容に映画と自分自身を見つめられた有意義な時を過ごさせてもらえた一本でした

個人的評価:90点(個人的な20年をふまえて)
オススメ度:おっさんになっても一発でキャラ名と顔が一致する



T2 トレインスポッティング 予告

2017年4月3日月曜日

ムーンライト (2016/米)

監督:バリー・ジェンキンス
出演:トレバンテ・ローズ / アンドレ・ホランド / ジャネール・モネイ / アシュトン・サンダース / ジャハール・ジェローム / アレックス・ヒバート / マハーシャラ・アリ / ナオミ・ハリス

同じ年頃の子供たちに追われて廃屋に逃げ込む少年
そこから助け出してくれた男フアンに連れられ、彼の家を訪れた少年はシャロンと名乗る

色鮮やかな画面に時折、ぶちこわすような不安になるカメラワークや音で作り上げられたアート色の強い作品だと感じた
さいしょこそどんなドラマが展開するのか、というわくわく感があったけど主人公周りの出来事をおっているうちにけっこう静かにラストをむかえていた
私とは違うセンスの良い人なら、この詩のような絵画のような作品をうまく解説できるんだろうけど、なんとも「私を私」というワードしか思い浮かばない
こういうアートっぽい作風が体質的に合わない人はダメかもしれないけど、個人的には多少の頭のかゆさは感じながらもラストまで飽きずに観ていられた
何かを心に、頭に残す作品なのは違いないものの、その何かを得られるかどうかは大きく個人差があるだろうと思った

個人的評価:75点
オススメ度:この人にいったいなにがあったんだろう、という想像を常にもち続けないとつらいかもしれん



ムーンライト 予告

はじまりへの旅 (2016/米)

監督:マット・ロス
出演:ビゴ・モーテンセン / フランク・ランジェラ / ジョージ・マッケイ / サマンサ・アイラー / アナリース・バッソ / ニコラス・ハミルトン / シュリー・クルックス / チャーリー・ショットウェル / スティーブ・ザーン / ミッシー・パイル / キャスリン・ハーン / エリン・モリアーティ

山奥の森で自給自足し、独自の訓練と教育をして生活するベンとその子供たち
ある日、長期にわたって入院している母のことを気にする子供たちのために、ベンは町へおりて状況をするのだったが…

今を射きている上で見失いがちなことを気づかせてくれるよくあるロードムービー、その逆転の発想みたいな作りがとてもおもしろかった
極端な教育方針のベン一家が突拍子もないながらも魅力的にみえる任務開始までの序盤、、そしてじっさいに旅をはじめてみると観ていて「さすがにそれは」と彼らの行動に拒絶反応がおこってくる
同時に普通に生活しているからこその問題みたいのもちょっとブラックに描かれ、ベンたちと旅で出会う人たち両方に足りないものが見えてきておもしろい
子供たちにそんなことまで、という嫌な気持ちになる部分もちゃんと救ってくれる展開になっているし、観ている方の感情をうまく誘導してくれる
ベン一家もこの先にまた生活の転機が訪れ、つど柔軟に対応していくんだろうなと思う
それと同時に他人ごとでなく何かに凝り固まって生きていきがちな自分の暮らしをちょっと省みざるえない一本でした

個人的評価:75点
オススメ度:ロードムービーというか家族のセッション映画



はじまりへの旅 予告

2017年4月2日日曜日

哭声 コクソン (2016/韓)

監督:ナ・ホンジン
出演:クァク・ドウォン / ファン・ジョンミン / 國村隼 / チョン・ウヒ

警察官のジョングのもとに村で殺人事件がおきたとしらせがはいる
その事件の原因が怪しい日本人のせいだという噂が流れ…

サスペンス、ミステリー、ホラー、コメディ、オカルト、スリラー、なんでもありの内容にしようっていうのはありがちだけど、この作品のように観られる形に仕上がるのは珍しいかもしれない
クセがありすぎるし、けっして気持ちのよい映画じゃないんだけど、そんな妙にむずがゆい感覚が力となって画面に釘付けにしてくれる
この映画はなんなんだ、と何かにくくろうと考えを巡らせれば巡らせればハマっていき、終盤ではどんなラストになるんだと最後まで気持ちが牽引される
ラストはちょっと「うん?」と落としどころが微妙な気がしないでもないけど、鑑賞後にキーとなる登場人物の作中での行動を思い返してみるとつながり、そんな観た人の推測をふまえてこの映画はできあがっているのかもしれない
色々と手をだしまくる胡散臭さがプラスになって、うすっぺらいガッカリ感がないのはよかったですね

個人的評価:80点
オススメ度:思った以上に國村隼



哭声 コクソン 予告