2017年6月28日水曜日

ハクソー・リッジ (2016/米・豪)

監督:メル・ギブソン
出演:アンドリュー・ガーフィールド / サム・ワーシントン / ルーク・ブレイシー / テリーサ・パーマー / ヒューゴ・ウィービング / レイチェル・グリフィス / ビンス・ボーン

デズモンドは病院に勤める彼女と幸せな日々を送るが、戦地で戦う他の人たちを思い衛生兵として志願入隊する
しかし、彼は人を殺す行いができず、銃を手にすることもできないのだった

デズモンドという風変わりな兵士にスポットをあてた英雄ドラマなだけでなく、戦争映画として色々な要素がつまっていた作品でした
宗教や戦争返りの複雑な精神状態の父親との少年期からはじまり、入隊後のいざこざ、戦争シーンでの迫力と凄惨さ、救出劇のハラハラドキドキ感とボリュームがある
個人的には多くの負傷者を救った主人公の英雄的行動でしめて、いい話なままに幕を閉じなかったのがよかった
軍の中で上官の言葉に時折ヘラヘラする主人公の過ぎたチャーミングさに違和感をおぼえ、じゃっかんなんか分からんけど正論がイラっとした
でも大体のところで戦争ものとして気分が高揚する部分、そして考えさせられる部分のバランスがよくできてると思えた一本でした

個人的評価:80点
オススメ度:本編を観て沖縄での戦いだったと知りました



ハクソー・リッジ 予告

2017年6月25日日曜日

宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 第二章「発進篇」 (2017/日)

監督:羽原信義
出演:小野大輔 / 桑島法子 / 鈴村健一 / 大塚芳忠 / 麦人 / 千葉繁 / 田中理恵 / 久川綾 / 赤羽根健治 / 國分和人 / 千葉優輝 / 内田彩 / 中村繪里子 / 森谷里美 / 津田健次郎 / 土田大 / 石塚運昇 / 東地宏樹 / 雨谷和砂 / 小島敏彦 / 玄田哲章 / 江原正士 / てらそままさき / 神谷浩史 / 菅生隆之

コスモリバースの副作用を知ることになる古代
そして謎の声、テレサに応えるべく調査航海を決意するのだった

いよいよもってヤマトの発進という部分を主軸になっているため、内容がひじょうに分かりやすくてスッキリしている
発進という見所もそうだけど、個人的には少年心をよみがえらせてくれるような熱さが随所にちりばめられていて燃えた
頑固で不器用な男たちのやりとりもよく描けていて、そうこなくてはという展開の連続に気持ちよく観ていることができた
特に個人的には終盤のヤマトのワープアウトシーンに高ぶりが最高潮になりましたね
見所をしぼって内容に没入しやすく、それでいて敵であるガトランティス側の戦況も気になる作りで熱い作りにテンションが上がる一本でした

個人的評価:85点
オススメ度:まさに高い所から舞い降りるヒーローには燃える



宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 第二章「発進篇」 予告

結婚 (2017/日)

監督:西谷真一
出演:ディーン・フジオカ / 柊子 / 中村映里子 / 松本若菜 / 安藤玉恵 / 古舘寛治 / 萬田久子 / 貫地谷しほり

妻と幸せな生活を送りながら結婚詐欺を生業とする男
男はかつてだました女を共犯者として、次のカモとして紹介された相手に近づくのだった

羞恥心なんてかなぐりすてて、あざとさを全面に押し出しまくったディーン・フジオカをかっこよく、セクシーにエロティックに魅せるための映画といっても過言じゃないかも
登場する者がみんなあまりに芝居がかった口調で軽薄さが目立ち、主人公の言葉の軽さもあいまって映画より昼ドラを観ている感覚に近かった
そんな軽さに加えて俗っぽい内容から、その昼ドラ感はさらに強まります
けっこうはじめの方に主人公の子供時の回想が入るけど、そのシーンを受けてもう一段深いドラマがあるかと思ったらそうでもなし
想像以上に話も浅いし、本当にわざわざ映画でやるようなもんじゃないと思わざるえない
かといって退屈すぎてつまらない、ってわけでもなく俗っぽいドラマとしてはわりと楽しめた

個人的評価:60点
オススメ度:女性が観れば主人公にメロメロになるのかな



結婚 予告

ジーサンズ はじめての強盗 (2017/米)

監督:ザック・ブラフ
出演:モーガン・フリーマン / マイケル・ケイン / アラン・アーキン / アン=マーグレット / ピーター・セラフィノウィッツ / ジョン・オーティス / ジョーイ・キング / クリストファー・ロイド / キーナン・トンプソン / マット・ディロン

老齢のハーディングが銀行を訪れると、そこへ銀行強盗が押し入ってくる
後日、金欠に悩む彼は同じ境遇の老人仲間に強盗をしようと誘うのだった

冒頭のチャックさんのコントっぷりから古くささを感じたけど、本編も古き良き昭和なアメリカンコメディでした
老いてなお名優な方々の演技はさすがで、その目力や存在に悪い意味での枯れた部分が感じられない
ただ内容は犯罪をやむなきものに描いている、ということはないだろうけど現実を思ってマジメに観るとダメな感じ
体制側をどこかバカにして、どこか小粋な犯罪者を優遇してると思えなくもないし、こういうノリのコメディが昔あったよなと懐かしめる心が必要かもしれない

個人的評価:70点
オススメ度:許されるとか許されないとか現実的に考えたら負け



ジーサンズ はじめての強盗 予告

2017年6月23日金曜日

アイム・ノット・シリアルキラー (2016/アイルランド・英)

監督:ビリー・オブライエン
出演:マックス・レコーズ / クリストファー・ロイド / ローラ・フレイザー / カール・ギアリー

殺人や死について執着のある少年ジョン
町を騒がす連続切り裂き殺人事件に興味をいだくのだった

ソシオパスVSシリアルキラー、殺人へいたる兆候がありながらギリギリのところで踏みとどまってる若者と本物の殺人鬼のやりとりに精神がしめつけられる
ジョンが事件がどうなっていくのか、時折、ショッキングなシーンをはさんで退屈感を散らしているものの、じょじょに飽きがくるのは確か
殺人鬼役としての怪演を期待しつつも、意外と記憶に残るシーンは少ない
それでもVS的なものが始まれば再び緊迫感がもどってくる
だけど、それを受けてのこのオチはさすがに「なんじゃこりゃ」と思う人がいるのも否めないかも
個人的にはこっち方面のオチも好みだからよかったですが
都合よく犠牲者がチョイスされたり、事件そのものにも大きいツッコミどころがあるけど、いろんな意味でラストにぶっとんだ一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:リズミカルにエンドロールに入っても素直に気分はのらないだろ



アイム・ノット・シリアルキラー 予告

2017年6月19日月曜日

おとなの恋の測り方 (2016/仏)

監督:ローラン・ティラール
出演:ジャン・デュジャルダン / ビルジニー・エフィラ / セドリック・カーン / セザール・ドンボワ / エドモンド・フランキ / マノエル・ガイヤール / ブルーノ・ゴミラ

ディアーヌのなくした携帯電話を拾ったというアレクサンドルから連絡がくる
後日、ふたりは会うことになるが顔も性格も良い彼の低身長に彼女は戸惑う

大切なのは自分がどう思うか、と言葉にすれば簡単だけど心のイガイガが実際に鑑賞後にちょっと削り取れた感じてすっきりする
低身長が話の肝になりつつも、それを気にさせない勢いで出会いからスムーズにふたりの関係が進みライトコメディな話のつかみで入りやすい
そこから徐々に見た目に関する部分にスポットがあてられ、作品内だけでなく観ている側にも考えさせれる
気にしないようにする、そのこと自体が気になっている証拠で、それを相手に気づかれないようにすれば逆に傷つけ自分も疲れる
どこか問題の堂々巡りにはまりこみながらも、個人的にはディアーヌのお父さんが妻に言った一言で抜け出す一歩をもらえた
美男美女のディアーヌとアレクサンドル、良い子すぎる息子、どこか憎めない秘書等々、出てくる登場人物たちもみんな魅力的で楽しい
もうちょっとラストはハッピーに騒がしく過ごすふたりを観たかった気もするけど、これもこれで軽すぎない感じでよかった

個人的評価:75点
オススメ度:さすがにチャリひき逃げは笑えない


おとなの恋の測り方 予告

2017年6月18日日曜日

ドッグ・イート・ドッグ (2016/米)

監督:ポール・シュレイダー
出演:ニコラス・ケイジ / ウィレム・デフォー / クリストファー・マシュー・クック / オマール・J・ドージー / ポール・シュレイダー / ルイーザ・クラウゼ / メリッサ・ボロナ / レイ・ガイエゴス / チェルシー・メルトン / ブルース・ライゼン / ジェフ・ヒラード / アリ・ワズドビッチ / ルイス・アンソニー・ペレズ / マギ・アビラ

長い刑期のすえに出所したトロイは刑務所仲間とつるんでいた
そして手っとり早く金をかせぐために仲間たちと犯罪に身を染めるのだった

銃と女とドラッグにおぼれるバカな若者たち、ではなくバカなおっさんどもの破滅的なアホっぷりが堪能できた
簡単な裏の仕事も3人がかりでも粗が目立つのに、玄人向けな依頼に手を出しては低脳さをいかんなく発揮して暴走するバイオレンスさがジャンクなB級映画っぽくて個人的には好み
冒頭の流れから「あ、こういう方向な作品なのね」とふざけたおしたノリに肩の力もゆるむ
こういうひと昔前にあった合成着色料も保存料もあえててんこ盛りにしたような作品を、今この時代に観れたことにちょっと懐かしさを感じた
勘違いインテリっぽいトロイ、イカレたマッド・ドッグはもちろん、3人の中では引き立て役担当かと思ってたディーゼルさんも良い味だしてて楽しめた
血みどろバイオレンスで深みにはまりまくるハードさより、半端に力をもったバカが勘違いしてアホさをさらけ出す姿がよかった
まあ、しょうじきそのアホさもバイオレンス加減もだんだん慣れてきてじゃっかん飽きがきたのも確かですが
深く考えず、なんか変なもんを食ったけど嫌いじゃない感じ、っていう刹那的な楽しみを味わえた

個人的評価:70点
オススメ度:でもマッド・ドッグがああなった時点で作品は終わってる感は否めない



ドッグ・イート・ドッグ 予告

セールスマン (2016/イラン・仏)

監督:アスガー・ファルハディ
出演:シャハブ・ホセイニ / タラネ・アリシュスティ / ババク・カリミ / ファリド・サッジャディホセイニ / ミナ・サダティ / マラル・バニアダム / メーディ・クシュキ / エマッド・エマミ / シリン・アガカシ / モジュタバ・ピルザデー / サーラ・アサアドラヒ / エテラム・ブルマンド / サム・ワリプール

ある夫婦が知人の紹介の家へ引っ越すことになる
そして前の住人からみのトラブルで妻が何者かに襲われるという事件がおこる

本題に入る前も、入った後も、真相が見えてからも常にスクリーンから目が離せないほど引き込まれておもしろかった
常になにが起こるのか、どっちの方向へ進むのか分からない状況に苛立ちや負の感情をいだくどころかそのミステリアスさがたまらない
事件の流れが切れたと思わせておいて何気ない伏線からつなげたり、先を読みながら観ているとふいに別方向から話が展開しはじめて巧みな作りにもうならざるえない
劇中劇とのリンクもあざとすぎず作用してるし、終盤の間も長々しててダレると思わせないながら、変に「どうだ、うまくできてるだろ」という嫌みがないのがまたよかった
小難しさもない観やすい内容ながら作品の中身も外郭も満足できて、良いものを鑑賞させてもらったと充たされた一本でした

個人的評価:90点
オススメ度:窓を古新聞で拭く文化に共感



セールスマン 予告

キング・アーサー (2017/米)

監督:ガイ・リッチー
出演:チャーリー・ハナム / ジュード・ロウ / アストリッド・ベルジェ=フリスベ / ジャイモン・フンスー / エイダン・ギレン / エリック・バナ / デビッド・ベッカム

売春宿で育ったアーサーは王国軍とトラブルをおこしてしまう
そして真の王の噂が流れる中、アーサーは岩に刺さった剣を抜かされるために若者たちとともに連行されてしまうのだった

意外と普通のファンタジーかと思わせておいて、軽快なBGMと細かいカットのつなぎで状況をスピーディに描いてくれて「これだよ」と感じさせてくれる
だけど、総じて観ると「観たかったのはこれじゃなかった」感が強く残ってガッカリ
軽薄でいい、中身が薄っぺらでもスタイリッシュな画で気持ちよくなりたかったのに、なんかスカっとしない
スケールの大きい本格的なファンタジーをやりたかったのかしらないけど、監督のいつものノリと悪い方向で相反して微妙さが印象に残る
自分の行いのせいながら悪の業に魅力的な弟王はいいんだけど、主人公のアーサーのメンタル面のどんよりっぷりが爽快さに大きくブレーキをかけてる感じ
悩みなんざ激情でふきとばしてスタイリッシュに聖剣無双する脳筋アーサーを個人的にもとめていただけに、ちょっと気持ちよくなりきれないだるさが残念でした

個人的評価:60点
オウスメ度:次があるならアホっぽいユーモアを交えて迫る敵を無双する、スタイリッシュなアーサーでお願いします



キング・アーサー 予告

2017年6月13日火曜日

パトリオット・デイ (2016/米)

監督:ピーター・バーグ
出演:マーク・ウォールバーグ / ケビン・ベーコン / ジョン・グッドマン / J・K・シモンズ / ミシェル・モナハン / アレックス・ウルフ / セモ・メリキッゼ / ジェイク・ピッキング / ジミー・O・ヤン / レイチェル・ブロズナハン / クリストファー・オシェイ / メリッサ・ブノワ / ジェームズ・コルビー / マイケル・ビーチ / ビンセント・カラトーラ

警官のトミーはボストンマラソンの当日、ゴール地点での交通整理を任される
そして次々に参加者がゴールラインを切る中、会場で爆弾事件がおこるのだった

時にトミーが、時にマラソン参加者たちが、時に事件に巻き込まれた人々が、時にボストン警察が地元警察がFBIが、そして時に犯人たちが物語の中心に置かれる、事件そのものが主役になっている作品でした
被害者である幼い子供や多くの人たち、犯人を追う警察官たち、ボストンの街に対する追悼の意に満ちているのが伝わってきた
スポットのあたる人物がテンポよくスイッチされていき、さらにけっこう派手な銃撃戦もあるので退屈することはない
犯人を追う側の警察官たちも時に小さなミスを重ねる完璧すぎないところが感情移入しやすい
尋問シーンとか時折、警察ものの海外ドラマみたいなちょっと作りすぎてる点やラストのアメリカの愛国心をくすぐるシーンがじゃっかん引っかかるけど、大きく気になるほどじゃない
地味な捜査が続く印象だったけど、わりと派手な目を引くシーンが多かった一本でした

個人的評価:80点
オススメ度:ふいにくる最初の爆発シーンへの入り方がよかった



パトリオット・デイ 予告

ちょっと今から仕事やめてくる (2017/日)

監督:成島出
出演:福士蒼汰 / 工藤阿須加 / 黒木華 / 森口瑤子 / 池田成志 / 小池栄子 / 吉田鋼太郎

仕事について悩み心が疲弊した青山は駅のホームへふらつくように歩を進める
そこへ現れた小学校の同級生と名乗るヤマモトに救われるのだった

だいたい想像がつく内容で、働く身にある自分にとっても十分に共感できるものがあった
フレッシュすぎず、色が強すぎない青山役の存在が作品にマッチしていて、どこかうさんくさいヤマモト役と対象的でおもしろかった
胃がキリキリするような仕事上のブラックっぷりながら、それを払拭してくれるヤマモトの存在、青山の純粋すぎる点がファンタジーになって会社の嫌な部分で気持ちが落ちすぎることがないのは助かった
ただ個人的には仕事や人生うんぬんに強くフォーカスがあたりすぎていて、青山とヤマモトの視点と内面をもっと前面に出した方がドラマとして楽しめた気がする
けっして安易ではないんだろうけど、そう感じてしまうラストもちょっと軟着陸すぎて平凡な終わり方でもったいない
共感はするけどもっと別方向からのアングルで観てみたかった

個人的評価:75点
オススメ度:なにげに部長にパワハラされてる青山の周りの同僚に感情移入



ちょっと今から仕事やめてくる 予告

2017年6月11日日曜日

22年目の告白 私が殺人犯です (2017/日)

監督:入江悠
出演:藤原竜也 / 伊藤英明 / 夏帆 / 野村周平 / 石橋杏奈 / 竜星涼 / 早乙女太一 / 平田満 / 岩松了 / 岩城滉一 / 仲村トオル

22年前におこった連続殺人事件、時効はとうにすぎた今になって犯人が名乗り出る
当時、事件を追っていた牧村は曾根崎と名乗る男が殺人の手記を出す会見を目にする

食いつきやすいエサで釣って出オチなだけでグダグダなラストをむかえる、そんなよくあるエンタメ邦画かと予測させてくれる予告がよくできていたと言わざるえない
個人的な読みのさらに先の展開があった驚きと喜びがおもしろく、テーマの部分も丁寧に説明してくれて分かりやすい万人受けしやすい作りな感じ
途中まで予告をなぞるような話の展開ながら、けっこうテンポよく進み、本と曾根崎におどらされる一般人のモンスターっぷりも説教くさすぎず見やすい
内容が内容だけにつっこんで書くとネタバレになっちゃうけど、観てる側の視点の誘導と予告編の作りがよくできている意外と技巧派なところがよかった
ラストに向けての展開は先が読めるけど、あまりとがりすぎない落ち着くところに落ち着いたという印象の一本でした

個人的評価:80点
オススメ度:ネタ映画俳優な印象の藤原竜也さんが思いの外にハマってる



22年目の告白 私が殺人犯です 予告

2017年6月7日水曜日

武曲 MUKOKU (2017/日)

監督:熊切和嘉
出演:綾野剛 / 村上虹郎 / 前田敦子 / 片岡礼子 / 神野三鈴 / 康すおん / 風吹ジュン / 小林薫 / 柄本明

剣道の心得がある矢田部は酒と女におぼれた生活を送っていた
一方、高校生の羽田はあるきっかけから剣道を学び始める

父と子、男と少年、生と死、剣と剣という武を文学的に描いてあって美しい
矢田部、羽田の主人公ふたりに限らず、どの登場人物のキャスティングが秀逸で芝居に引き込まれる
特に綾野剛劇場なんじゃないか思うほどの感情のほとばしり演技は見応えがあった
ただ、羽田の内面がかいま見えた時におもしろくなる期待感を抱いたけど、思った以上に人の内面をえぐるような深さがなかったような気がしたのが残念でした
個人的にはこの見苦しさゆえの美しさは嫌いじゃないけど、生と死や愛憎の歪みみたいな重く残るどろどろしたものがもっとほしかった気がする

個人的評価:75点
オススメ度:個人的に期待しすぎてた感はある



武曲 MUKOKU 予告

ブラッド・ファーザー (2016/仏)

監督:ジャン=フランソワ・リシェ
出演:メル・ギブソン / エリン・モリアーティ / ディエゴ・ルナ / ウィリアム・H・メイシー / マイケル・パークス

酒とドラッグで人生をダメにしたジョンのもとに長らく失踪していた娘から電話がかかってくる
無事に娘のリディアと再会したジョンだったが、彼女は裏社会から追われている身になっていた

既視感たっぷりのストーリーと設定にメル・ギブソンの男前っぷりを堪能するだけの普通アクションにしょんぼりを隠せない
老いてなおカッコイイ存在を見せつけてくれる主人公、意外とアバズレな振る舞いでキャラがたっている娘、せっかく目を引くキャラがありながら他の部分が本当に残念すぎる
カムバックオヤジと覚醒娘でド派手に暴れるような爽快感もないし、アクションシーンも地味で記憶に残らない
麻薬と金のトラブル、過去に暴れん坊だったオヤジの娘がらみでの復帰、ラストも平凡すぎるし、もうちょっとキャスト以外でがんばれなかったのかと言わざるえない一本でした

個人的評価:65点
オススメ度:メル・ギブさんのボディには憧れる



ブラッド・ファーザー 予告

20センチュリー・ウーマン (2016/米)

監督:マイク・ミルズ
出演:アネット・ベニング / エル・ファニング / グレタ・ガーウィグ / ルーカス・ジェイド・ズマン / ビリー・クラダップ

ドロシアは最近、息子のジェイミーのことに理解できないことが多くなってきたことに悩む
そこでジェイミーと親しいふたりの女性に協力を申し出るのだった

なんてことはない親子とその周りの人々の日常ドラマのようで、ちょっと複雑な事情を抱えたそれぞれの交流がおもしろい
親子や男女のつながりが致命的に切り裂かれるような刺激的な展開はないけど、ほどよく傷つけあっては魅力を高めあう登場人物たちが素敵すぎる
ほどよい距離と上辺だけの言葉などで傷つかないけど薄い人間関係が多い現代、人と人との間で踏み込む力加減を学べるような気がしないでもない
社交的で分かりやすいはずなのにどこか掴みきれないドロシア、多くの人たちからたくさんの様々な刺激を受けながら汚れず大きくなるジェイミー
ファンタジーな感じはするけどこの作品に出てくる人々に囲まれる生活はちょっとうらやましく思った
まあ、自分なら性的な意味で暴発してるだろうけど

個人的評価:75点
オススメ度:わりとポップな低刺激ドラマが物足りないと思わなくもない



20センチュリー・ウーマン 予告

2017年6月4日日曜日

ゴールド 金塊の行方 (2017/米)

監督:スティーブン・ギャガン
出演:マシュー・マコノヒー / エドガー・ラミレス / ブライス・ダラス・ハワード / コリー・ストール / トビー・ケベル / クレイグ・T・ネルソン / ステイシー・キーチ / ブルース・グリーンウッド

採掘会社を経営するケニーは資金難に悩んでいた
そんな時に夢で見た光景を求め、マイクと手を組んで一攫千金を目指すのだった

金をめぐって浮き沈みする主人公の人生、そして友情と愛情の物語の良い話…という単純なものでもなくてよかった
劇中でもところどころで怪しいシーンが挿入されるけど、基本は激しく人生を浮き沈みする姿と良い感じにだらしない肉体を堪能する流れですね
とにかく落ちるところまで落ちても、登りつめて調子にのりまくってても、その時々のケニーさんの様が分かりやすく演技に現れていておもしろい
加えてマイクの振る舞いもなにげに観ていて印象をうまくコントロールされるし、いろんな意味で演技を楽しむ作品かもしれない
ちょっと金が出るまでダルいけど、クライマックスからラストへのスピード感は気持ちいい
事実をもとにしつつも味付けが良い塩梅だった一本でした

個人的評価:80点
オススメ度:実際に大金を溶かした人からすれば冗談じゃねえって話だろうけど



ゴールド 金塊の行方 予告

LOGAN ローガン (2017/米)

監督:ジェームズ・マンゴールド
出演:ヒュー・ジャックマン / パトリック・スチュワート / ボイド・ホルブルック / スティーブン・マーチャント / ダフネ・キーン / リチャード・E・グラント / エリック・ラ・サール / エリゼ・ニール / エリザベス・ロドリゲス / クインシー・フォース

ミュータントの存在が過去になりつつある時代、ローガンはチャールズの世話をしながら運転手として働いていた
自身の能力も失われつつある中、ローガンはある少女ローラに引き合わされる

思った以上に静かに引きずられるように話が進み、アクションの爽快さよりじっくり鑑賞するのを楽しむ作品でした
ウルヴァリンがメインの新作ということで娯楽アクションを期待していると、ちょっと枯れた空気感に戸惑うかもしれない
ドラマとして観ればローガンとローラの関係が安易に結ばれるでなく、中途半端なテンプレ的温かみや優しさがないのはよかった
希望に満ちた新世代への交代劇とも違い、きちんと業や因果みたいなものがある重みがあっておもしろい
アクションシーンになっても兵士や男ども、女子供相手でも容赦なく残酷に対処し、話の流れもあいまって深い淀みに気分が落ちて気持ちよさはない
そんな観ていて蓄積されていく澱のようなものに心が動くか否かで、楽しめる人をちょっと選ぶ作品かもしれない

個人的評価:75点
オススメ度:当然ながら過去作品を観てないとまったく響かない



LOGAN ローガン 予告