2017年11月29日水曜日

gifted/ギフテッド (2017/米)

監督:マーク・ウェブ
出演:クリス・エバンス / マッケンナ・グレイス / ジェニー・スレイト / リンゼイ・ダンカン / オクタビア・スペンサー

7歳のメアリーと暮らすフランクは乗り気ではない彼女を学校へ通わせる
メアリーには天才的といえる数学の才能があり、それが仇となって学校で問題をおこしてしまう

思ったより身内の争いのどろどろ感は少な目だけど、もの足らなさはなくて感情にうったえる部分はしっかり引き締めてくる作品でした
まあ、なにはともあれメアリーのキュートさと、するっと観ている側の感情へもぐりこんでくる演技で笑顔も涙も引き出されるがままにならざるえない
そこへ陰があって不完全さが目立ちながら憎めない父親のフランクがまたいいんですよね
数学の才能を輝かせながらも子供としてのキラメキが上回るメアリー、不器用さが魅力に転じるフランク、そしてストーリーにからんでくるすべての人々がみな素敵すぎる
なんてことはないスペシャルな話ながら、気づけば自然に感情をさらして一喜一憂している気持ちよさに包まれる
完全にあざとさを感じない、と言えば嘘になるけど作品に身を任せて心地よく内容に没入できた

個人的評価:85点
オススメ度:フレッドの一瞬の演技がまたいい


gifted/ギフテッド 予告

2017年11月26日日曜日

ローガン・ラッキー (2017/米)

監督:スティーブン・ソダーバーグ
出演:チャニング・テイタム / アダム・ドライバー / ライリー・キーオ / ダニエル・クレイグ / セス・マクファーレン / ケイティ・ホームズ / キャサリン・ウォーターストン / ドワイト・ヨーカム / セバスチャン・スタン / ブライアン・グリーソン / ジャック・クエイド / ヒラリー・スワンク / メイコン・ブレア / ジム・オヘア / デビッド・デンマン

急に仕事をクビになったジミー
彼は弟を誘って現金強奪計画を実行することにする

クライムものなのに最後には不思議とニヤリとさせられてイヤな気分にはならなかった
派手でスタイリッシュな演出はなく淡々と進むんだけど、その行動が計画にどう作用していくのか読みづらいのがおもしろい
想定外のアクシデントに見回れ、しかもアホっぽい素人集団の滑稽さと、よくよくみれば知性を感じる計画のギャップがいい
あまりネタバレするのもあれだけど、ラストの流れの小粋さが本当によくて、そこに至るまではもちろんだけど、最後の最後に作品としての良さが凝縮されている
配役と話の運び方が秀逸で「いい映画を観た
」という満足感が味わえました


個人的評価:85点
オススメ度:ジミーの娘さんが良い子すぎる



ローガン・ラッキー 予告

ジャスティス・リーグ (2017/米)

監督:ザック・スナイダー
出演:ベン・アフレック / ヘンリー・カビル / エイミー・アダムス / ガル・ギャドット / エズラ・ミラー / ジェイソン・モモア / レイ・フィッシャー / ジェレミー・アイアンズ / ダイアン・レイン / コニー・ニールセン / J・K・シモンズ / キアラン・ハインズ / アンバー・ハード / ジョー・モートン

スーパーマン亡き後、世界は謎の侵略者の襲撃と不安から暴走する人たちで混乱していた
バットマンことブルースはチームを作り、これに対処しようと動き出す

なんか妙に昔のアメコミものっぽい大ざっぱな作りな作品でした
ここまでの複数の映画の集大成としてヒーローたちが集い、巨悪と戦うってわりにはちょっと大味で子供っぽい気がしないでもない
最初からクライマックスと言わんばかりに、敵の正体やら目的やらがあっさり明かされ、物語の終盤部分を切り取って描かれている感じ
様々なヒーローが集い、戦うというのは気分的にも画面的にも盛り上がる、けどどうしてもチームの力強さがいまいち伝わってこない
そこへきてバットマンの存在がいっきに薄くなる展開になるし、中ボスかと思ってた微妙なやつがラスボスだったり、しょうじき内容よりもお祭り騒ぎを楽しむ映画かもしれない
あと、個人的には映画版バリーのウザさがどうにかならんものかと
さすがに先のあるシリーズになるんだろうけど、今後を期待するにはちょっと不安が残る一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:バットマンさんがすっかり雑魚専に



ジャスティス・リーグ 予告

2017年11月19日日曜日

GODZILLA 怪獣惑星 (2017/日)

監督:静野孔文 / 瀬下寛之
出演:宮野真守 / 櫻井孝宏 / 花澤香菜 / 杉田智和 / 梶裕貴 / 諏訪部順一 / 小野大輔 / 三宅健太 / 堀内賢雄 / 中井和哉 / 山路和弘

巨大怪獣ゴジラの破壊行動によって人類は地球から脱出、移民できる星を探す旅にでる
しかし移住可能な地は見つからず、ハルオは地球に帰還すべきだと行動を起こすのだった

作品の設定と主人公周りとゴジラについての情報、それをつらつらと説明されただけな印象の内容でした
話的にもこれから、ってところでぷっつりと切れ「え?終わり?」という肩すかし感が強い
ゴジラとの一戦に集約された戦いも、そこにいたるまで延々と会話劇で作戦が進み、画面的には盛り上がってるけど観てる方のテンションは思ったより上がらない
しょうじき設定を持て余しすぎで、別にゴジラを扱う必要ないんじゃないのか、という懸念が大きくならざるえない
それでもラストの展開はさすがに盛り上がるし、最後の最後まで観れば消化不良な部分がちょっとはスッキリする
それが納得できるかどうかは別だけど、この序章っぽい作りは分からないでもない

個人的評価:70点
オススメ度:いろいろと世界観がぶっとんでておいてけぼりな気持ち



GODZILLA 怪獣惑星 予告

機動戦士ガンダム サンダーボルト BANDIT FLOWER (2017/日)

監督:松尾衡
出演:中村悠一 / 木村良平 / 古川由利奈 / 逢坂良太 / 杉田智和 / 行成とあ / 大原さやか

一年戦争が終わり、ダリルはジオンの生き残りたちと地球で新たな作戦を実行しようとしていた
一方、イオも新型のアトラスガンダムで地上で戦いに身を投じるのだった

盛り上がる戦闘シーンと意外な方向からせめてくるBGM、マッチしてなさそうな良い意味でのカオス感がおもしろかった
モビルスーツの武装のギミックも、実際にアニメとして動くと分かりやすくてかっこよく、そのアイディアをいかしたバトルの連続は見応えがある
水中戦というと微妙な印象が強いけど、ここまで迫力あるものに仕立てられているのはすごいと言わざるえない
ただ話が広がった分、どうしても中途半端な終わり方になってるのは残念
かぎられた尺でうまくまとめてある感じはするけど、それでも単体の作品としては風呂敷をたたむ段階にまで至ってない
確実に次作があるのをほのめかすおまけ映像もないし、ちょっとこれだけ観せられても反応は難しい

個人的評価:75点
オススメ度:素人目でも分かるジャズ演奏シーンの力の入れよう



機動戦士ガンダム サンダーボルト BANDIT FLOWER 予告

2017年11月15日水曜日

ジグソウ ソウ・レガシー (2017/米)

監督:マイケル・スピエリッグ / ピーター・スピエリッグ
出演:マット・パスモア / カラム・キース・レニー / クレ・ベネット / ハンナ・エミリー・アンダーソン / ローラ・バンダーボート / マンデラ・バン・ピープルズ / ポール・ブラウンスタイン / ブリタニー・アレン / ジョシア・ブラック / トビン・ベル

密室でバケツをかぶらされて鎖でつながれる5人の男女
回転するノコギリに引き寄せられる中、罪を告白するゲームが開始される

久しぶりにどんなトリッキーな死に様ショーが見られるか、と期待してたらそっちとは違うところで楽しめた
あまり内容にふれると作品としての肝が失われるのでアレだけど、けっこうゲームの外側の展開がおもしろい
ジグソウことジョン・クレイマーは生きていた?彼のファンや後継者の模倣?と最後まで飽きることなく観ていられる
伏線のはり方もいい感じで、観ていてちょっと「うん?」と思う部分も最後にはスッキリと解消される
こっから先、新たなシリーズとして継続もできるかもしれないけど、あえてここで終わった方が無難な感じはする…けど、想像を上回る展開で次作も観てみたい気もする

個人的評価:80点
オススメ度:だけどジグソウってタイトルはソウシリーズのパチモン映画感が拭えない



ジグソウ ソウ・レガシー 予告

2017年11月13日月曜日

IT/イット “それ”が見えたら、終わり。 (2017/米)

監督:アンドレス・ムシェッティ
出演:ジェイデン・リーベラー / ビル・スカルスガルド / フィン・ウルフハード / ソフィア・リリス / ニコラス・ハミルトン

弟が行方不明になってしまったビルは友人たちと間をみては捜索していた
そんな中、町では同様に子供たちの失踪事件が相次ぐのだった

薄暗い闇の中からぼんやりとしたナニかが襲いかかってくる恐怖、という雰囲気はまったくなくて、はっきりくっきりダイレクトアタックしてくる作風の映画でした
青春の甘美と辛酸が絡み合うひと夏の少年少女たちの物語、その隙間をこじ開けるような怪奇さがマッチしていて楽しめた
原作が有名すぎるゆえに色々と言いたい人もいるのは分かるけど、個人的にはそれほどズッコケ感はなく思えた
ペニーワイズさんにしても、恐怖をあおる描写にしても姿があまりにはっきり現れすぎていて娯楽的な怖さや生理的な嫌悪による不気味さが強い
観る側の想像力を刺激されて恐怖心が雪だるま式に大きくなっていく、という雰囲気ではないので、そういう意味では作品内容とちょっとズレてる気もしないでもない
目に見えない恐怖より、目に見える恐怖ってのが今時なのかは知らないけど、娯楽ホラーな方面としては見栄えもする一本でした

個人的評価:80点
オススメ度:まあイットだけでは寂しいのは分かるけど、この日本のサブタイセンスは…



IT/イット “それ”が見えたら、終わり。 予告

2017年11月12日日曜日

ザ・サークル (2017/米)

監督:ジェームズ・ポンソルト
出演:エマ・ワトソン / トム・ハンクス / ジョン・ボヤーガ / カレン・ギラン / エラー・コルトレーン / パットン・オズワルト / グレン・ヘドリー / ビル・パクストン / ベック

サークル社の顧客対応部門で働くことになったメイ
給与や環境面で仕事にやりがいを感じながら、プロフィールや健康状態などを管理されるシステムに驚きと戸惑いをおぼえる

SNSの利便性や問題点とかいまどきポップソングの歌詞にもなってるくらいありきたりなテーマだけど、悪い意味で退屈することなく鑑賞できた
しょうじき無駄に豪華なキャスティングだという思いは常にちらついて、作品内容のパンチ力不足がさらに目立つ感じ
極端な思考や感情に傾く人間の姿は分かりやすいけど、けっきょくは便利なものも利用する側しだいといういつもの所に落ち着く
SNSだけに関わらず、そういったものは便利さと窮屈さを分かった上でつきあっていくくらい理解してる上で、警鐘を鳴らす先につながる何かがほしかった
キャストもいいし映画としての作りは安定しているだけに、なにかそこにプラスアルファがあればな、と思ってしまった一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:ニコとかムカとか翻訳表現にむずむずする



ザ・サークル 予告

2017年11月8日水曜日

シンクロナイズドモンスター (2016/加)

監督:ナチョ・ビガロンド
出演:アン・ハサウェイ / ジェイソン・サダイキス / ダン・スティーブンス / オースティン・ストウェル / ティム・ブレイク・ネルソン

彼氏に家を追い出されて生まれ育った町へ戻ってきたグロリア
ダラダラと日々を過ごす中、ソウルに巨大怪獣が現れたというニュースに驚く

Z級なクソ映画かと思いきや意外と本気の怪獣映画か、と思いきややっぱり低予算でクソなZ級映画でした
いよいよ怪獣が現れて主人公とシンクロしてる、とおもしろくなってきそうで変にシリアス路線に傾いたり、けっきょくは主人公とつるむ地元の連中がうだうだやってるだけの印象が強い
もっとぶっとんだ頭の悪いバカ騒ぎを期待してたんだけどそうでもなく、低予算ながらチープバトルで盛り上がるわけでもなく、とガッカリ
肝心の所を見せない演出も、そればかりだとストレスばかりがたまって気持ちよくなれない
終盤はオスカーにイライラしっぱなしだし、かといってラストですっきりするでもない
おもしろくなりそうな素材をいかしきれてない出オチ作品な感じでした

個人的評価:55点
オススメ度:予告を見ておもしろそうと期待を膨らませるだけで十分


シンクロナイズドモンスター 予告

グッド・タイム (2017/米)

監督:ジョシュア・サフディ / ベニー・サフディ
出演:ロバート・パティンソン / ベニー・サフディ / バディ・デュレス / タリア・ウェブスター / バーカッド・アブディ / ジェニファー・ジェイソン・リー

知的障害をもつ弟ニックと銀行強盗をするコニー
しかし弟だけが警察に捕まり、なんとかコニーは保釈金を工面しようとするのだった

ちょっとぐらい状況が悪くなっても主人公補正で難局を乗り越える、というクライムアクションとは毛色の違った感じで楽しめた
前へ前へ進もうとするほどに底なし沼にはまっていくような、どんどんゴール地点からかけ離れていく様がおもしろい
そんな転落っぷりが哀れに思いつつも、主人公の無計画で頭の悪い判断っぷりが滑稽ですらあって飽きさせない
かといってバカ映画ってわけでもなく、なんだかんだで状況が終息していくのとは真逆の展開に破滅の足音を聴くのが楽しめた一本でした

個人的評価:75点
オススメ度:この雰囲気はけっこう人の好みを選ぶかも


グッド・タイム 予告

2017年11月6日月曜日

ブレードランナー 2049 (2017/米)

監督:ドゥニ・ビルヌーブ
出演:ライアン・ゴズリング / ハリソン・フォード / アナ・デ・アルマス / シルビア・ホークス / ロビン・ライト / マッケンジー・デイビス / カーラ・ジュリ / レニー・ジェームズ / デイブ・バウティスタ / ジャレッド・レト / バーカッド・アブディ

ブレードランナーのKはあるレプリカントの居場所を訪れる
後日、その現場の地中より埋められていた箱が回収され…

前作をきちんと引き継ぎつつ、変に神聖化しすぎていなくて、悪い意味での影を引きずることなく鑑賞できた
主人公のKの存在感もしっかりしていて、彼を中心に肉付けされていく世界観に心地よく酔える
広がりというか、引きの美学みたいに画面に見える外の領域まで想像でき、人類の手からこぼれ落ちていくような異世界感がいい
ドンパチ重視の派手さにとらわれず、ちゃんと次の段階の話を掘り下げられていて、話の流れに身を任せているうちに退屈する間もなくラストまで鑑賞できた
けっこう集中力を消耗するけど、鑑賞後の充実感が大きい一本でした

個人的評価:90点
オススメ度:前作との間をつなぐ3つの短編は観ておいた方がいいかもしれん



ブレードランナー 2049 予告

2017年11月5日日曜日

マイティ・ソー バトルロイヤル (2017/米)

監督:タイカ・ワイティティ
出演:クリス・ヘムズワース / マーク・ラファロ / トム・ヒドルストン / ケイト・ブランシェット / テッサ・トンプソン / アンソニー・ホプキンス / イドリス・エルバ / ジェフ・ゴールドブラム / カール・アーバン / 浅野忠信 / ベネディクト・カンバーバッチ / タイカ・ワイティティ

ソーはロキを連れて父を探すために地球を訪れる
そこでドクター・ストレンジと名乗る魔術師に出会い、父の居場所を知るのだった

独自のファンタジー色にSFとアドベンチャー要素を足しつつ、盛り上がって楽しい中にもなんか微妙さが臭いたつ作品でした
テクノサウンドとレトロさを感じさせるSF美術が、ソーの世界観に意外とマッチしていい方向に胡散臭くておもしろかった
最強すぎるヘラの闘いっぷりも魅力的だったのは想像通りだけど、それ以上にグランドマスターさんのキャラが強烈すぎた
全体的に掛け合いの中でジョークが多くて最初は笑えるけど、だんだん飽きてくる
BGMとともに熱いバトルに盛り上がって十分に満足なんだけど、どうしても「ガーディアン・オブ・ギャラクシー」が頭の中でチラついてこっちの見劣り感が気になってしまった

個人的評価:80点
オススメ度:珍しく邦題のサブタイの方がしっくりくる


マイティ・ソー バトルロイヤル 予告

彼女がその名を知らない鳥たち (2017/日)

監督:白石和彌
出演:蒼井優 / 阿部サダヲ / 松坂桃李 / 村川絵梨 / 赤堀雅秋 / 赤澤ムック / 中嶋しゅう / 竹野内豊

日々を自堕落に過ごす十和子と一途に彼女を支える陣治
ある日、十和子は水島という男と出会い、彼にひかれていく

思ったより胸くそ悪い感じがなく、色々と意見はあるかもしれないけど、個人的には愛と呼べる結末のラブストーリーに思えた
とにもかくにも役者さんたちの演技が素晴らしく、クズでゲスで哀れな姿に自然と見入ってしまう
特に十和子の内弁慶っぷりがいい感じ
ミステリー要素はオチだけみれば「うん、まあそうなんだ」という印象だけど、そこに至るまでの話と演出のリードによってガッカリ感はなかった
本当に人間としてアレな十和子と陣治だけど、その関係は暗闇に浮かぶおぼろ月のような鈍く輝く愛が見て取れた

個人的評価:80点
オススメ度:じゃっかん陣治のしゃべりに引っかかる部分もある



彼女がその名を知らない鳥たち 予告