2018年5月30日水曜日

モリのいる場所 (2018/日)

監督:沖田修一
出演:山崎努 / 樹木希林 / 加瀬亮 / 吉村界人 / 光石研 / 青木崇高 / 吹越満 / 池谷のぶえ / きたろう / 林与一 / 三上博史

老齢の画家である熊谷守一は日中、自宅の庭を散策して過ごしていた
そんな彼の家には連日、ひっきりなしに多種多様な来客があるのだった

多くを足しすぎない物語の中、熊谷守一という人物を楽しむいろんな意味でファンタジックな作品でした
庭に出るといっきに仙人モードになるモリだけど、家にあがるとけっこう茶目っ気があってユーモラスなのがいい
話自体は日々の来客者とのやりとりをコミカルに描いている以外は庭の動植物の映像ばかり、だけれどもキャスティングの妙で適材適所かつ安定感ある演技でまったく退屈しない
和製のアート作品みたいな気取りがない作風なので、思った以上にリラックスして感じたままに笑いがこぼれる内容でした
訪れる人がみんなモリ色に染まっていく中、観ているうちにこっちまでその魅力にハマっていく
なんかよく分からないけど、なにか分かった気がする、そんなぼやっとした感じ方も許されるような優しい作品でした

個人的評価:80点
オススメ度:もっと近くのものに目をこらしていこうと思わされる



モリのいる場所 予告

友罪 (2018/日)

監督:瀬々敬久
出演:生田斗真 / 瑛太 / 佐藤浩市 / 夏帆 / 山本美月 / 富田靖子 / 奥野瑛太 / 飯田芳 / 小市慢太郎 / 矢島健一 / 青木崇高 / 忍成修吾 / 西田尚美 / 村上淳 / 片岡礼子 / 石田法嗣 / 北浦愛 / 坂井真紀 / 古舘寛治 / 宇野祥平 / 大西信満 / 渡辺真起子 / 光石研

ある工場に試験採用で働くことになった益田
そこで同時に働くことになりながら、他人に馴染めずどこか影のある鈴木と出会う

予告からはうかがいしれなかったけど、人物同士の構成がおもしろい作品でした
鈴木はもちろん、益田だけでなく出てくるみんな闇を抱えている人ばかりで、そういう意味では全編重苦しい雰囲気に包まれている
そんな闇の部分がどうつながり重なっていくか楽しみに観ていたら、どうにもそういうものではないようで、だけどそんな個の問題だからこそ見応えがあった
それぞれの抱えるものが明るみになることで、別々の立場や視点から元少年Aを中心とする問題が見えてきておもしろい
この人のこの話いるか?としょうじき途中で思いもしたけど、鑑賞後にはすべてが全体像を構成するピースとして必要だと思えた

個人的評価:80点
オススメ度:大人になってからできる友達は貴重



友罪 予告

2018年5月28日月曜日

かぞくへ (2016/日)

監督:春本雄二郎
出演:松浦慎一郎 / 梅田誠弘 / 遠藤祐美 / 森本のぶ / 三溝浩二 / おのさなえ / 下垣まみ / 瀧マキ / 福場勍子

結婚を目前に控えた旭は親友の洋人にある店の仕事を紹介する
しかし、その店のオーナーと突然に連絡がとれなくなり...

芝居うんぬんの見る目がなくても、旭と洋人の最初の絡みのナチュラルさに引き込まれる
ふたりの親友というくくりを越えたやりとりが本当によく描けていて、人と人、家族や恋人、絡み合うドラマがおもしろい
主人公ふたりの輝きはもちろん、旭の恋人の佳織とその家族の関係が透けて見えることでドラマに深みがあった
そこへ主人公たちの脇を様々な人たちがかため、またそれぞれの演技が素晴らしく、ちょっとした仕草や表情に見入ってしまう
親友、恋人、親子、それぞれの関係の優しいつながり、そして傷ついて崩れ落ちる儚さがおもしろい
それぞれの絆ゆえに、だからこそ、な人間ドラマを堪能できた

個人的評価:80点
オススメ度:男たちだけでなく、佳織の心情もけっこうよくあらわれている感じ



かぞくへ 予告






(追記)
下北沢トリウッドでの「かぞくへ」の上映最終日、そこで鑑賞させていただいたわけですが、終映後、監督の春本雄二郎さんと洋人役の梅田誠弘さんのトークがありました

監督の軽快なトークと作品の裏話も楽しめましたが、なにより梅田誠弘さんと作中の洋人とのイメージがけっこう違っててびっくりでした
花束贈呈、差し入れの缶コーヒーで乾杯、そして劇場外での歓談など盛りだくさんすぎて映画が終わった後も楽しめたひとときでした

宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 第五章「煉獄篇」 (2018/日)

監督:羽原信義
出演:小野大輔 / 桑島法子 / 鈴村健一 / 大塚芳忠 / 赤羽根健治 / 國分和人 / 千葉優輝 / 麦人 / 千葉繁 / 森谷里美 / 細谷佳正 / 田中理恵 / 東地宏樹 / 雨谷和砂 / 石塚運昇 / 甲斐田裕子 / 手塚秀彰 / 神谷浩史 / 山寺宏一 / 内山昂輝 / 神田沙也加 / ささきいさお / 高垣彩陽 / 黒沢ともよ

テレサとの邂逅を果たす古代らヤマトクルーたち
そこへ現れたデスラーがテレサを利用しようとし、戦闘に突入するのだった

デスラーやキーマン、ズォーダーらの思惑が浮かび上がると同時に決戦の時がきた、というクライマックスへ向けての作品でした
実はこういうことだったの連続は、最終局面へむかうストーリーの整理には必要だし、話が見えてきて良かった反面、やっぱりいっきに説明にきたな感は否めない
アクションシーンを挟みつつで飽きさせないように工夫はされているのでダレないし、苦痛ってほどじゃなかったですが
それよりも個人的には後半の艦隊戦が思った以上に盛り上がらなかった気がする
なんかヤマト不在だと押してても、ピンチになってもどうにもならないイベント戦闘を観ているようで
良くも悪くも良キャラがヤマトに集中しすぎてるのかもしれないけど、まあ、これからガッツリ盛り上がっていくための助走として楽しめました

個人的評価:70点
オススメ度:波動砲祭ですごいことになってるけど、撃ちまくりすぎて浪漫を感じない



宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 第五章「煉獄篇」 予告

2018年5月20日日曜日

蚤とり侍 (2018/日)

監督:鶴橋康夫
出演:阿部寛 / 寺島しのぶ / 豊川悦司 / 斎藤工 / 風間杜夫 / 大竹しのぶ / 前田敦子 / 松重豊 / 桂文枝 / 笑福亭鶴光 / ジミー大西 / オール阪神 / 福本莉子

長岡藩の藩士である寛之進は藩主の不興をかい、猫の蚤とりの仕事を命じられてしまう
真面目な寛之進はその命をまっとうしようとするが、単に猫の蚤をとるだけの仕事でないと知り...

けっこう直球な濡れ場が特徴的で、ぼうっと観ているだけでは話の展開においていかれる作品でした
なんだかんだでエロスな部分はエピソードのひとつにすぎず、うどん粉の旦那が絡んでくるエピソードから医者のエピソードの中盤がおもしろい
一応は作品としての落とし所が展開する終盤もいいけど、ぼうっと観ていても楽しめた展開から、急に背後の事情が明るみになっても微妙についていきづらい
個人的には中盤のバカバカしい展開や、分かりやすい人情話のが好み
藩の事情うんぬんで時代劇としての面白みは出てると思うけど、もうちょい噛み砕いて繰り返し説明しないと、人によっては「何か分からんけど良かったね」エンドに感じてしまう気がする
何はともあれ、うどん粉侍に改題してもいいんじゃないかって途中で思わされた清べえさんのキャラが強烈すぎた一本でした

個人的評価:75点
オススメ度:4Pとかおもしろポイントのすべてに清べえさんが絡んでる



蚤とり侍 予告

ランペイジ 巨獣大乱闘 (2018/米)

監督:ブラッド・ペイトン
出演:ドウェイン・ジョンソン / ナオミ・ハリス / マリン・アッカーマン / ジェイク・レイシー / ジョー・マンガニエロ / ジェフリー・ディーン・モーガン / P・J・バーン / ブリアンヌ・ヒル / ジャック・クエイド / デミトリアス・グロッセ / ウィル・ユン・リー / マーリー・シェルトン

宇宙から落下してきた遺伝子を変化させるウイルスに感染する野生動物
急激に巨大化、そして凶暴化して暴れ始めるのだった

容易に予想できるように、脳の活動を休めてひたすら派手な暴れっぷりを目で楽しむ作品でした
ストーリーなんかどうでもいいし、最初の方を見てれば展開も読める難しい話が苦手な人に優しい作り
それでも巨獣たちの暴れっぷりは痛快で、けっこう人死にが出てる描写が引っかからないでもないけど、建築物の気持ちいいほどのぶっ壊れる様子は見ていて楽しい
だけどいくら悪者とはいえ、ちょっと主人公たちの人の命に関する態度の軽さだけはさすがに後味が悪かったですね
単独ではないにしろ巨獣に立ち向かう無茶が、主人公ドウェインさんだからこそ成り立っていて面白かった
わりとキツいユーモアセンスのジョージ、中の人の個性ゆえにどんな無茶バトルも馴染む主人公デイビスの魅力たっぷりで、意外と頭空っぽアクションでも満足できた

個人的評価:75点
オススメ度:手話が分からなくても通じる下ネタ



ランペイジ 巨獣大乱闘 予告

仮面ライダーアマゾンズ THE MOVIE 最後ノ審判 (2018/日)

監督:石田秀範
出演:藤田富 / 谷口賢志 / 武田玲奈 / 東亜優 / 三浦孝太 / 俊藤光利 / 籾木芳仁 / 田邊和也 / 宮原華音 / 勝也 / 姜暢雄 / 国府田聖那 / 神尾佑 / 加藤貴子 / 藤木孝

4Cに追われ負傷した所を子供たちに救われる悠と美月
ふたりは親のいない子供たちが暮らす施設にかくまわれるのだった

いよいよもってオメガとアルファの最終決戦か、という流れに熱くならざるえない
まあ、ご都合主義な赤い糸で悠と鷹山さんが結ばれてる展開はアレだし、しょうじき畜産計画の設定も目新しさがなくてストーリーはちょっと強引な印象
それでもやるせない戦い、人間とアマゾンの立場、なにより鷹山さんが動くことでいっきにおもしろくなる
悠に重荷を背負わせ続けるだけでなく、やっぱり鷹山さんの存在がないと作品が引きしまらない
戦いの面だけでなく、ふたり戦う上での己にかせた一線の部分の見所もあり、クライマックスは盛り上がりまくる
これまでシーズン1、シーズン2と観てきた後の劇場版としては満足できた
局長の一人芝居芸は蛇足すぎたけど

個人的評価:70点
オススメ度:ぼやっとしてる所もあるけど、無理に続編はやらなくていい気がする



仮面ライダーアマゾンズ THE MOVIE 最後ノ審判 予告

2018年5月19日土曜日

GODZILLA 決戦機動増殖都市 (2018/日)

監督:静野孔文 / 瀬下寛之
出演:宮野真守 / 櫻井孝宏 / 花澤香菜 / 杉田智和 / 梶裕貴 / 諏訪部順一 / 小野大輔 / 三宅健太 / 堀内賢雄 / 中井和哉 / 山路和弘 / 上田麗奈 / 小澤亜李

ゴジラとの決戦に敗れたハルオは見知らぬ場所で目覚める
そこで遭遇した謎の少女を追いつつ、母船との連絡を取れないか模索するのだった

ゴジラを観ていたつもりが、いつの間にかロボットアニメになっていた、とちょっと思ってしまうような内容でした
それでもゴジラシリーズを意識させるような存在やワードが出てきて、ちょいちょいゴジラを観ていると思い出させられる
いわゆる一作目を受けての次につながる作品として、ちょっとテンポをゆるめての設定説明がありがたく、キャラや種族などの世界観が見えたのは良かった
そして、ただ説明と計画なだけでなく今作としての見せ場の戦闘もきっちりあったので盛り上がった
バトルだけでなく、キャラたちの心情が描かれ、ハルオの選択などドラマ部分も見応えがあった
色々と気になるワードも出てきたけど、風呂敷を広げるだけにならないといいな、と次への期待の反面ちょっとだけ不安も感じる一本でした

個人的評価:75点
オススメ度:メカゴジラの扱いがアレだったから、他もダイレクトに出てくるとは限らんよね



GODZILLA 決戦機動増殖都市 予告

孤狼の血 (2018/日)

監督:白石和彌
出演:役所広司 / 松坂桃李 / 真木よう子 / 滝藤賢一 / 音尾琢真 / 駿河太郎 / 中村倫也 / 中村獅童 / 矢島健一 / 田口トモロヲ / ピエール瀧 / 石橋蓮司 / 江口洋介 / 竹野内豊 / 阿部純子 / 嶋田久作 / 伊吹吾郎 / 中山峻 / 九十九一 / 岩永ジョーイ / MEGUMI / 井上肇 / 滝川英次 / さいねい龍二 / 沖原一生 / 黒石高大 / 町田マリー / 勝矢 / 野中隆光 / 中村倫也 / 田中偉登 / ウダタカキ

広島で暴力団同士の争いが表面化しつつある中、刑事の大上は失踪した金融会社の経理担当の捜索をはじめる
配属したての日岡と事件を調べるうち、背後に暴力団の影が見え始めるのだった

主人公の大上と日岡のキャラ付けが素晴らしく、この手の暴力団&警察ものでよくあるような既視感ばかりな話じゃないのも良かった
狂犬じみた中にも弱さを感じさせる大上、そしてルーキーなピュアボーイだけじゃない日岡のキャラに観ているうちにどんどん引き込まれる
何でもアリアリな暴力警官のダーティさに、なんだかんだ知りすぎた主人公ものか、というイメージを持たせておいてからの終盤の展開は面白かった
実録ものっぽい中にも俗っぽさと、そして劇画チックな要素もあって娯楽作品として楽しむこともできた
昭和な脂ギッシュ野郎どもな暑苦しい画面の中でも、時に目を背けたくなるような暴力描写と、時にいい感じに力が抜けるコミカル描写が一本調子感を薄めている感じ
とりあえず適度に捨てるところは捨て、継承すべきところはそのままでシリーズ化してほしいと思わざるえない

個人的評価:85点
オススメ度:豪華なキャストながら、変な大作臭がないのは好感持てる



孤狼の血 予告

フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法 (2017/米)

監督:ショーン・ベイカー
出演:ウィレム・デフォー / ブルックリン・キンバリー・プリンス / ブリア・ビネイト / バレリア・コット / クリストファー・リベラ / ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ

安モーテルで母親と暮らす幼いムーニー
他の住人の子供たちと時に悪さしながらも、楽しく日々を過ごしていた

鑑賞中の作品に対するイメージの変移がなんとも言えず楽しく、最後には大きな満足感が得られる作品でした
とにもかくにもムーニーの演技が愛らしく、虚飾に満ちてるはずのモーテルが輝いて見える
その管理人であるボビーもいちいちかっこよく、なんだかんだで自分たちの居場所を守る姿が素敵すぎる
そんなきらめきが眩しい世界観に、どんどん汚れの染みが広がっていくような感覚がたまらなく、終盤では落ちてるゴミすら現実の状況を見せつけられているようで心がえぐられる
そこに置かれたムーニーというハッピーのかたまりのような少女のむかえるラスト、どんな結末が待ってるかと思いきや、この展開は素晴らしすぎる
夢とか現実とか非常に強く意識させられる作品でした

個人的評価:90点
オススメ度:子供たちの魅力あふれまくり



フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法 予告

2018年5月14日月曜日

君の名前で僕を呼んで (2017/伊・仏・ブラジル・米)

監督:ルカ・グァダニーノ
出演:アーミー・ハマー / ティモシー・シャラメ / マイケル・スタールバーグ / アミラ・カサール / エステール・ガレル / ビクトワール・デュボワ / バンダ・カプリオーロ / アントニオ・リモルディ / アンドレ・アシマン / ピーター・スピアーズ

80年代、北イタリアの夏、父が招いた男、オリヴァーと出会うエリオ
ひとつ屋根の下で生活する中、エリオはオリヴァーに対する気持ちに揺れ動く

男同士のあれこれなんて気にするまでもなく、カラッとした気持ちよい夏の暑さが味わえた
序盤のエリオの感情の持て余しっぷりもおもしろいけど、やはりオリヴァーが本当の顔を見せてから一気に引き込まれる
そんなふたりの関係を引き立てるイタリアの情景と、あからさまに狙ってこないBGMの静けさがいい
時にあざといエロチックなシーンやキャッキャしてるシーンが挟まれ、だけどまったりした空気感を壊さないていどのバランスがちょうどよかった
そして何よりエリオの母ちゃんと父ちゃんのエリオに対する一言一言が心に響く、特に終盤の父ちゃんの言葉は画面を通して観ている私にダイレクトに届いた
そこからラストのしめも申し分なく、演技とそのバックの環境音とBGMに最後の最後まで目が離せなかった

個人的評価:75点
オススメ度:キャッキャするオリヴァーさんはなんか可愛い



君の名前で僕を呼んで 予告

タクシー運転手 約束は海を越えて (2017/韓)

監督:チャン・フン
出演:ソン・ガンホ / トーマス・クレッチマン / ユ・ヘジン / リュ・ジュンヨル

韓国のソウルでタクシー運転手をするキムは、娘とふたりで貧しいながらも生活していた
そんな彼は大金を支払う外国人のピーターを、民主化デモが激化する光州へ運ぶ儲け話を耳にするのだった

おちゃらけた主人公の珍道中を笑いに笑って、それが後半には観ている側に跳ね返ってくる作品でした
最初は本当にこんな軽いノリなんだ、と楽に観ていたんですが、もう途中からガツンとぶん殴られるような衝撃にふるえる
何はともあれ主人公に対する感情移入の誘導が素晴らしく、ゆるく鈍った感性でも強い刺激の気付け薬になった
どこまでも傍観者でぼんやりしている現代の自分を自覚せざるえない
ただちょっと個人的にサスペンスアクションな部分は受け入れられたけど、どうもカーアクションは急に浮いた娯楽要素っぽい感じで馴染めなかったですね
本当に全体的に良いキャラばかりだし、とても見やすくかつ分かりやすく、しかも自然と深く考えさせられる一本でした

個人的評価:80
オススメ度:運ちゃんの満点笑顔はたまらんね



タクシー運転手 約束は海を越えて 予告

2018年5月11日金曜日

パティ・ケイク$ (2017/米)

監督:ジェレミー・ジャスパー
出演:ダニエル・マクドナルド / ブリジット・エバレット / シッダルタ・ダナンジェイ / ママドゥ・アティエ / ワス・スティーブンス / サー・ンガウジャ / MCライト / キャシー・モリアーティ

貧しい暮らしの中で懸命に働きながら、親友のジェリーとラップで成功することを夢見るパトリシア
すべてがすべてうまくいかないもどかしさの中、風変わりながら気になる男バスタードと出会う

きらびやか&ゴージャスにラップの世界で大成功、って内容かと思ってたけど実際には深いドラマ性が見応えのある作品でした
曲のノリの良さと、なんとなく格好いいみたいな音楽で誤魔化さず、きちんと中身で勝負してる感が好感を持てた
なかなか浮き上がれない息苦しさ、そしてたまに良い風が吹いたかと思えば、また苦悩の泥沼人生にもがくパティの姿に共感しまくりですね
そんなドラマの中に絶妙な具合に配合された音楽要素が、観ていて息苦しくなりすぎないように心を救ってくれる
そしてなんといってもこのラスト、それまでの圧力すべてが一気に解消される気持ちよさと感動がたまらない
音楽やら人生やらのドラマ、親娘の愛までたたみかけてくるクライマックスに泣かされる映画だとは本当に思っていなかった

個人的評価:85点
オススメ度:ばあちゃんはもちろん、母ちゃんまで輝いてたよ



パティ・ケイク$ 予告

2018年5月6日日曜日

アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル (2017/米)

監督:クレイグ・ギレスピー
出演:マーゴット・ロビー / セバスチャン・スタン / アリソン・ジャネイ / ジュリアンヌ・ニコルソン / ポール・ウォルター・ハウザー / マッケンナ・グレイス / ボビー・カナベイル / ケイトリン・カーバー / ボヤナ・ノバコビッチ / アンソニー・レイノルズ

幼い頃から母親の暴力的なしつけのもと、スケートを習うトーニャ・ハーディング
成長し、スケートの才能を伸ばす中でも、私生活で付き合う男もまた暴力的だった

出てくる人物も、観ている観客も、アメリカという国自体をあざ笑うかのような作りがクセになる作品でした
出だしからふざけた雰囲気で、どんどんそれが物語とリンクするように悪ふざけっぷりがエスカレートしていく
そんな俗っぽいワイドショーを観ているような面白さがありつつ、スケートシーンだけでなく日常シーンでもなにげに躍動感があるカメラワークがいい
本題である事件が起こり、そこからちょっと雰囲気が変わるけど、個人的にはちょっと勢いがそがれた感じがした
まあ、おふざけばかりしてられないのは分かるけど、もうちょいノリのよさは続けてほしかった気がしないでもない
それでもラストのしめで巻き返したし、このノリに身を任せるままでも、俗っぽさの奥を考察しながら観ても楽しめる一本でした

個人的評価:80点
オススメ度:ホントにおおよそバカばっかり出てくる映画



アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル 予告

ホース・ソルジャー (2018/米)

監督:ニコライ・フルシー
出演:クリス・ヘムズワース / マイケル・シャノン / マイケル・ペーニャ / ナビド・ネガーバン / トレバンテ・ローズ / ジェフ・スタルツ / サッド・ラッキンビル / ロブ・リグル / ウィリアム・フィクトナー / エルザ・パタキー

911のテロをテレビで目にしたミッチは、すぐに軍へ復帰し自分のチームを再結集したいと願い出る
そしてアフガニスタンへ渡ったチームは現地のドスタム将軍率いる援軍と合流するのだった

どこか強引に引っ張られているような気がしないでもないけど、男どもの熱い戦いにたぎらざるえない
本当の戦場のことをよく知るわけじゃないけど、リアル路線すぎず娯楽アクションに偏りすぎずな戦場の描写は面白かった
現地の援軍とのチグハグさや、突貫作戦のままならなさから人間の本性うんぬん、となんともドロついた空気とドラマもいい感じ
主人公ミッチと相棒のハルさんによる馬駆りバトル、な流れかと思いきや将軍のおっちゃんがどんどん味が出て素敵すぎる
そして、全体的にしょうじきじゃっかん食い足りない感があったけど、クライマックスの戦いの娯楽よりに振り切った感で一気にヒートアップ
戦争に隠された黒い真実もあるだろうけど、同時にこういう熱いエピソードもある、気持ちを無理矢理にポジティブ方向に引っ張り上げてくれる一本でした

個人的評価:75点
オススメ度:なにより馬が颯爽と再び立ち上がる勇姿が目に焼き付く



ホース・ソルジャー 予告