2018年6月27日水曜日

マッド・ダディ (2017/米)

監督:ブライアン・テイラー
出演:ニコラス・ケイジ / セルマ・ブレア / アン・ウィンターズ / ザカリー・アーサー / ランス・ヘンリクセン / オリビア・クロチッチア

突如として親が子を襲い殺す原因不明の事件が多発する
娘と息子のいるブレントとその妻にもその影響が及び...

予告を見た時はニコラスさんの久々の当たり&ハマり役じゃないか、と思ったけど実際に本編を観たらいつも通りの微妙ニコラス映画でした
親が子を襲う、という印象に残るイメージのままに、序盤からきそうでこない煽り演出が先の展開に期待をふくらませられる
そこからゾンビ映画の変化系みたいな街中パニック、というところまではよかった
いざ主人公家族に集中して話が進み出した途端、急に失速してダラダラしてくる
それでも瞬間、瞬間に輝くニコラスさんの演技で間はつながるけど、ラストまでそうぶっ飛んだところも控え目にバッサリ断ち切りエンドで「ん?」とならざるえない
親子の殺戮映画だけに胸くそ悪いながら、さすがに直接的な描写は少な目なところには救われた
しょうじき予告編で全て出し切ってる感は否めない

個人的評価:65点
オススメ度:最初の方のゾンビパニック系のノリでずっといけば良かったのに



マッド・ダディ 予告

ブリグズビー・ベア (2017/米)

監督:デイブ・マッカリー
出演:カイル・ムーニー / マーク・ハミル / ジェーン・アダムス / グレッグ・キニア / クレア・デーンズ / マット・ウォルシュ / アンディ・サムバーグ / ミカエラ・ワトキンス

シェルターの家から一歩もでず、教養番組のビデオを見て両親とともに暮らすジェームス
ある日、変わらぬ日常の中、家に警察官たちがやってきて彼を連れ出すのだった

コミカルとシリアスの狭間で、ここ笑ってもいいんだよな、と思いつつも根底にこびり付く主人公の境遇が常に頭の隅にチラつく
思ったよりも笑えないというかノリのいい刑事さんや、気のいい友人、理解ある家族と良キャラばかりで不思議と微笑ましい
話が進むに連れてなんか良い話になっていき、最後には感動というかしんみりさせられた
主人公ジェームスが外の世界に出ての騒動ではあるんだけど、社会とのズレはあっても人物的にバカじゃないのはよかった
逆に言えば25歳児の男が幼稚さ丸出しで騒ぐ、そんなよくあるコメディを期待していると、いつまでたってもはじけない展開にもやつくかもしれん
主人公のスタート地点は鬱々とするけど、心の支えなブリグズビーと良い人たちに囲まれた優しい世界の作品でした

個人的評価:75点
オススメ度:ビデオというアイテムが懐かしく思える時代になったのね



ブリグズビー・ベア 予告

2018年6月24日日曜日

女と男の観覧車 (2017/米)

監督:ウッディ・アレン
出演:ケイト・ウィンスレット / ジャスティン・ティンバーレイク / ジム・ベルーシ / ジュノー・テンプル / ジャック・ゴア / デビッド・クラムホルツ / マックス・カセラ

1950年代のコニーアイランドに訪れたキャロライナと出会うジニー
キャロライナは父であるハンプティに会いに来たと語り出す

いつまでもどこまでも続く会話劇、それが退屈に思える面がありつつ、最後まで見終わると不思議と面白かったと思える妙な魅力のある作品でした
現実を幻想と、またはその逆とはきちがえて視野が狭くなっていく登場人物たちの滑稽さが素敵で、台詞に追われがちだけどカメラの動きや表情の演技も素晴らしい
ある一定の枠内での男と女の、親と子のすれ違いっぷりが秀逸で、その時に前に出てきてる人物以外の気持ちまで映し出されているようでした
こじれにこじれるそれぞれの関係に、さらにこじれを重ねがけされていくクライマックスがたまらなくおもしろい
そこにいろんな意味で愚かなジニーとハンプティの姿が、笑えない状況ながらおかしくて仕方なかった
笑えないようで笑える、笑えるようで笑えない、こじれた関係の複雑なドラマがシンプルに帰結するラストのおさまりもいい感じでした

個人的評価:75点
オススメ度:それでもやっぱり途中は眠くなる



女と男の観覧車 予告

オンリー・ザ・ブレイブ (2017/米)

監督:ジョセフ・コジンスキー
出演:ジョシュ・ブローリン / マイルズ・テラー / ジェームズ・バッジ・デール / ジェフ・ブリッジス / テイラー・キッチュ / ジェニファー・コネリー

森林消防隊の指揮官エリックは長年の活動のすえ、精鋭部隊ホットショットへ隊を格上げさせるチャンスをつかむ
そこへヤク中だったブレンダンが入隊を希望してくるのだった

森林火災への対処法が分かり、火の回りの早さに驚愕し、そしてどこの国のどんな消防士でもノリは同じなんだなと思える作品でした
ランクアップするために訓練を気張り、実際の火災をスキルと経験値でおさめる男たちの姿は、やるべきことをやっているだけに人間性以上にかっこよく見えますね
内容自体はそんな隊の日常と、個々の家族ドラマな感じで地味にもほどがあるけど、ブレンダンとマックのキャラのにぎやかしっぷりで退屈すぎるまでにはなってない感じ
しょうじきエリックさんと火災と家族のドラマだけだったら眠たくてたまらんかったかも
ラストの展開もこれはこれで衝撃を受ける部分はあるけど、ここまで築き上げてきたものをなかったことにするようなリアルよりな描き方に戸惑う
もっと娯楽よりに熱い絆とか、託す者と受け継ぐ者の感情をふるわせる感動もの路線に寄せてくれても良かった気がしないでもない

個人的評価:75点
オススメ度:なんか色々と手を広げすぎてエリックさんとブレンダンの関係にあまりグッとこない



オンリー・ザ・ブレイブ 予告

2018年6月22日金曜日

V.I.P. 修羅の獣たち (2017/韓)

監督:パク・フンジョン
出演:チャン・ドンゴン / キム・ミョンミン / イ・ジョンソク / パク・ヒスン / ピーター・ストーメア

ソウルで起こった連続婦女暴行殺人事件を追うチェ警視
容疑者を特定するが、相手がVIPだったために国家情報院の邪魔が入る

何はともあれ犯人でVIPのクソっぷりに胸くそ悪くなる上に、ラストを向かえてもスッキリしない
ただそれで作品自体がつまらなくなるではなく、各陣営の立場と登場人物たちのやるせなさが心に残る
北朝鮮の情勢とか、組織どうしの絡みとかちょっと複雑で、それゆえにみんなクソ男を持て余しながらの二転三転する状況が面白い
クソ男のクソっぷりが加速するほど観ていてイライラがつのり、同時に映画的には各登場人物の感情が沸騰してきて盛り上がってくる
クライマックスにはちょっと驚きの展開もあり、観ている側の鬱憤をはらすような流れになりながら、本当に徹底して気持ち良くしてくれない展開は先が読めない
最後まで気が抜けずに緊張感は続くけど、良くも悪くも胸くそと後味の悪い一本でした

個人的評価:80点
オススメ度:肩書きばかりなCIAすぎるだろ



V.I.P. 修羅の獣たち 予告

2018年6月20日水曜日

榎田貿易堂 (2017/日)

監督:飯塚健
出演:渋川清彦 / 森岡龍 / 伊藤沙莉 / 滝藤賢一 / 宮本なつ / 渡邉蒼 / 三浦俊輔 / 駒木根隆介 / キンタカオ / 金子昌弘 / 諏訪太朗小 / 片岡礼子 / 根岸季衣 / 余貴美子

東京から群馬の渋川へやってきて、何となく勘で万屋をはじめた榎田
従業員やつるんでいる仲間たちと下世話な話に花を咲かせる

俗っぽい中年の下ネタ井戸端会議な掛け合いが面白く、登場人物みんな憎めない作品でした
基本は各キャラの問題や秘め事を面白おかしく噂し、時に問題に実際に首を突っ込んで引っ掻き回すコメディで、軽妙なセリフのやりとりがクセになる
ちょっとコント臭すぎるところもあるけど、良い感じにふわっとしたキャスティングの妙で、いやな感じはしない
笑いの要素が前のめりで暑苦しすぎず、引いた感じで冷笑になりすぎない、このどっちつかずな適当感が味になってる
なんてことはない日常に、子供っぽい大人たちがやいやいやってる空気が楽しく、ロケ地のローカルさもあまりグイグイ無理に描いてないのも良い
ふいに展開が急変するけど、それも含めて最初から最後まで観ることで、主人公榎田の「これまでもこんな感じでやってきたのかな」というイズムが分かる

個人的評価:75点
オススメ度:本当に渋川さんの演技と主人公のキャラがハマりすぎ



榎田貿易堂 予告

ALONE (2016/米・スペイン・伊)

監督:ファビオ・レジナーロ / ファビオ・ガリオーネ
出演:アーミー・ハマー / アナベル・ウォーリス / トム・カレン / ジェフ・ベル / ジュリエット・オーブリー

砂漠の戦地で作戦に失敗、相棒と敵の追撃から逃げる軍人のマイク
その途中、ふたりは地雷原に足を踏み入れてしまうのだった

分かりやすい極限状態のサバイバルもの、という期待は裏切らないままにドラマ性も堪能できた
身動きできない状況で必要なアイテムを何とか入手し、度重なるハプニングに立ち向かう
そんな容易に想像できる内容でありながら、後半には主人公の人間ドラマが展開しておもしろい
ただ、ボロボロになりつつも知恵と気力で困難を乗り越え、絶体絶命、ハラハラドキドキでラストまで突っ走るタイプじゃない感じで、そっち系を想像していると退屈に思えてくるかも
幻想や幻聴がときおり短く挟まれ、その時はなんかよく分からなくても、最後にはちゃんと理解できる作りなのもいい
砂漠の足跡とか、細かい痕跡もちゃんと描かれており、低い目線の場所まで良くできていると感じた

個人的評価:75点
オススメ度:なんだかんだアーミー・ハマーさんの男前っぷりが素敵



ALONE 予告

2018年6月17日日曜日

キスできる餃子 (2018/日)

監督:秦建日子
出演:足立梨花 / 田村侑久 / 佐野ひなこ / 中島広稀 / 古川凛 / 大石吾朗 / 佐藤美希 / 勇翔 / 浅野和之 / 麻生祐未

夫の浮気で離婚、さらに家賃滞納、仕事先からも解雇話をされ実家に戻ることになったシングルマザーの陽子
しかし、宇都宮で餃子屋をやっている父は廃業しており、彼女は自力で店を再開することにするのだった

カラッと爽やかにラブコメより餃子要素多め、スイーツ映画とは異なる餃子映画でした
ローカル感満載なのはもちろん、観た後に餃子を食べたくなることなんてキャッチコピーみたいなこととバカにできない、本当に餃子が食べたくなりましたね
強い女性とあり得ない出会いの恋、冷静に考えればそうなんだけど、頑固でコミカルなお父さんやしたたか可愛い娘の存在によるドタバタで総じてコメディとして楽しめた
しょうじき餃子とロマンスの化学反応以外の部分はドラマ的に弱い気もするけど、よく知る街を応援したり餃子を愛したり、不思議と優しい気持ちで観ていられました
なんか特別に旨そうな餃子描写があるでもなく、スペシャルなラブロマンスがあるでもない、けど身近に感じる映画との距離感に親近感をおぼえた一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:最後にはタイトルの意味もちゃんと分かってスッキリ



キスできる餃子 予告




追記)
この日、舞台挨拶付きの上映回でした
監督の秦建日子さん、主演の足立梨花さん、主人公陽子の友人役の佐野ひなこさんが上映後、登壇されてのトークイベントがありました
個人的にはもうちょい監督の裏話が聞きたかったところですが、女性陣ふたりのチャーミングさにメロメロにならざるえないひとときでした


空飛ぶタイヤ (2018/日)

監督:本木克英
出演:長瀬智也 / ディーン・フジオカ / 高橋一生 / 深田恭子 / 岸部一徳 / 笹野高史 / 寺脇康文 / 小池栄子 / 阿部顕嵐 / ムロツヨシ / 中村蒼 / 柄本明 / 佐々木蔵之介 / 和田聰宏 / 木下ほうか / 浅利陽介 / 六角精児 / 大倉孝二 / 津田寛治 / 升毅 / 谷村美月 / 近藤公園 / 村杉蝉之介 / 渡辺大 / 矢野聖人 / 田口浩正 / 斎藤歩 / 岡山天音 / 矢島健一 / 津嘉山正種 / 毎熊克哉 / 加藤満 / 筒井巧 / 中林大樹 / 井上肇 / 小久保丈二 / 高川裕也 / 木下隆行 / 木本武宏 / 池上紗理依

赤松運送が所有するトラックが走行中に脱輪事故を起こし、死者を出してしまう
整備不良を疑われ、経営が苦しくなる中で社長の赤松は独自に調査をはじめるのだった

中小企業対巨大企業との争い以上に、人としての戦いが見応えあった
分かりやすく感情移入できる赤松社長と対をなすような沢田さんの存在が大きく、ダブル主演な感じで様々な視点で物語を楽しめた
そんなふたり以外にも話のバックで戦う人たちもみんな魅力で、会社同士の闘争ゲームなだけでない人としてのドラマが面白かったですね
小さな逆転の布石を積み上げながらも、その速度を上回る危機のたたみかけに、わずかな息継ぎだけで緊張感が持続してました
ただ思ったよりリアルよりの展開でラストに爽快感が足りなく、もっとファンタジーになっても良いから感情に働きかける奇跡の逆転劇が観たかった気がしないでもない
胸が熱くなるだけなったけど、何となくそれを持て余す感じでした

個人的評価:80点
オススメ度:パソコンをバンバン叩いちゃダメ



空飛ぶタイヤ 予告

ワンダー 君は太陽 (2017/米)

監督:スティーブン・チョボウスキー
出演:ジュリア・ロバーツ / ジェイコブ・トレンブレイ / オーウェン・ウィルソン / マンディ・パティンキン / ダビード・ディグス / イザベラ・ビドビッチ / ダニエル・ローズ・ラッセル / ナジ・ジーター / ノア・ジュプ / ミリー・デイビス / ブライス・ガイザー / エル・マッキノン

宇宙飛行士になるのが夢の少年オギーは、生まれつきの障害で他の子たちと異なる顔形をしていた
そんな彼が自宅学習の末、10歳になった年に初めて学校に通うことになる

人は見た目だけじゃない、当たり前のことに心の澱みが洗い流された作品でした
オギーの太陽っぷりはもちろん、それぞれの登場人物が輝いていた
話が進むにつれてオギーの周りの人々の内面が明るみになり、その人の本当の姿が見えてくるのが心地よく、その作品の構成が素晴らしい
喜びと悲しみの波に感情が動かされ、自分の中で停滞していた何かが作中の少年たちの晴れやかさとともにさっぱりとする
ちょっとした表情や演技の分かりやすさもいい感じで、また小道具のチラ見せから状況を想像させる演出もいい
オギーの見た目からはじまって、人の内面に心が優しくなれる一本でした

個人的評価:90点
オススメ度:父親でいて、おっきい子供な父ちゃんも素敵



ワンダー 君は太陽 予告

2018年6月13日水曜日

万引き家族 (2018/日)

監督:是枝裕和
出演:リリー・フランキー / 安藤サクラ / 松岡茉優 / 池松壮亮 / 城桧吏 / 佐々木みゆ / 緒形直人 / 森口瑤子 / 山田裕貴 / 片山萌美 / 柄本明 / 高良健吾 / 池脇千鶴 / 樹木希林 / 毎熊克哉 / 堀春菜

日常的に万引きをしつつ生活をする一家
ある日、他人の家の幼い女の子を家に連れてきてしまう

ガッツリ絆を主張する家族、しょせんは他人同士の疑似家族、どっちに傾きすぎない微妙な関係が繊細に描かれていた作品でした
小さな子を加えて徐々に良い関係になりつつ、同時に裏がありそうな繋がりが見えてきて見応えがあった
それぞれの心の痛みや優しさ、勝手さがよくあらわれていて、スクリーン枠外のドラマが想い描けるのが面白い
柴田家の間にある空気感や距離感、大人の理屈に子供の感じ方、そこに役者さんの演技が重なることで人と人とのドラマが楽しめた
こうだから、ああだから、と考えながら「じゃあ、家族ってなんですか」という疑問に思いを巡らされる一本でした

個人的評価:85点
オススメ度:支える者、支えられる者の関係に心がむずむずする



万引き家族 予告

デッドプール2 (2018/米)

監督:デビッド・リーチ
出演:ライアン・レイノルズ / ジョシュ・ブローリン / ザジー・ビーツ / モリーナ・バッカリン / ジュリアン・デニソン / レスリー・アガムズ / T・J・ミラー / ブリアナ・ヒルデブランド / カラン・ソーニ / ジャック・ケシー / 忽那汐里 / ステファン・カピチッチ / エディ・マーサン

デッドプールとして世界中で悪者を倒して金を稼ぐウェイド
そんな彼がミュータントの少年ラッセルと行動する中、半身が機械の謎の男が襲い来るのだった

最高にご機嫌なくそったれ映画として色々とパワーアップしていて楽しめた
ただいきがってコミカルに振る舞うだけでなく、シリアスとギャグの波が秀逸でした
X-MENネタも多めで、ちょいちょい不意打ちでニヤリとさせられるものをぶっ込んできて面白い
他の映画ネタとかも多く、たとえすべてが拾えなくても、個人的に引っかかった部分だけでも十分わらえる
一瞬画面に映る情報に「え?あれって...」という驚きのサービスシーンが憎めない
ストーリー展開のすかしっぷりもいい感じでほどよく先が読めず、アクションシーンはもちろんバッチリ決めてくる
大切にしている部分と馬鹿にしている部分、両方持ち合わせたなんとも妙な魅力に磨きがかかった一本でした

個人的評価:85点
オススメ度:過去の清算も済み、やっと本来のデッドプールが始まったな


デッドプール2 予告

リディバイダー (2017/英)

監督:ティム・スミット
出演:ダン・スティーブンス / ベレニス・マーロウ / ティゴ・ヘルナント / チャリティー・ウェイクフィールド / バス・カイザー

エネルギー問題解決のため、宇宙を複製する試みがなされる
そんな複製されたエコー世界へ、ある任務をもってウィルが送り込まれる

想像以上にFPSゲームまんまで、「なんのゲームがはじまったんだよ」と思わざるえない
とりあえず状況を把握できるまでが一番おもしろく、元世界の過去話がはさまれることで主人公を含めた情報が積み重なっていくのが楽しい
ダメージを受けた時の演出なんかもろそうだけど、本当にゲームのような映像表現を楽しめるFPSゲーマー世代のジェットコースターアクションみたいな感じ
しょうじきストーリーは他の映画やSF小説、ゲームなんかで既視感ありまくるし、ネタバレするのもアレだけど終わり方も微妙
さらに主人公補正ききまくりで銃弾が当たらないわりに、過去話に移行するために頻繁にブラックアウトするのはギャグに思えてくる
せっかく一人称視点なんだから、それをいかして最後に「実はこうだった」みたいな何かも欲しかった

個人的評価:70点
オススメ度:脳しんとう映画



リディバイダー 予告

Vision (2018/日)

監督:河瀬直美
出演:ジュリエット・ビノシュ / 永瀬正敏 / 岩田剛典 / 美波 / 森山未來 / 白川和子 / ジジ・ぶぅ / 田中泯 / 夏木マリ

山奥の森でひとり暮らす男のもとにフランスから来た女性が訪れる
彼女はビジョンと呼ばれる植物を探すため、男の家に居候することになる

森の幻想的な美しさが良くも悪くも作品を包み込んでいる感じの作品でした
目に優しく、気持ちも穏やかになり、なにか物語がつむぎだされそうな森の雰囲気に身をゆだねるのは心地いい
同時になにか不可解なことがあっても「そういうものだろう」とあやふやに霧散させてしまう空気感もある
時系列の散らばりと、その境界がちょっと不鮮明なのは狙い通りなんだろうけど、それが頭の中で整理できつつあってもスッキリしないんですよね
まあ、時の流れとか超越した場所なんだろう、とかぼんやり自分の中で折り合いをつけ、なんとなくをなんとなくのまま受け入れて観ているくらいがちょうど良い
もともと森の持つ雰囲気というか、パワーというかその大きさに作品がのまれてる気がする一本でした

個人的評価:65点
オススメ度:森山未來さんの舞踊はいつ見てもいい



Vision 予告

2018年6月6日水曜日

ビューティフル・デイ (2017/英)

監督:リン・ラムジー
出演:ホアキン・フェニックス / ジュディス・ロバーツ / エカテリーナ・サムソノフ / ジョン・ドーマン / アレックス・マネット / ダンテ・ペレイラ=オルソン / アレッサンドロ・ニボラ

母とふたり暮らしの殺し屋を生業とするジョー
ある日、議員の娘ニーナを助け出す仕事を請け負うのだった

なんやら説明少ない難解映画という前情報を知って鑑賞しましたが、個人的にはそこまで頭に「?」が浮かぶような釈然としない作品ではなかった
作り手の意図を正確に汲み取るとか頭を使いすぎず、はっきり説明されない部分は勝手にどんどん解釈すればストレスにならない
ベースのストーリーラインは観ているうちに話がつながるし、むしろその周りのシーン、「あれはどういうことだったのか」というのを自分なりに勝手に想像するのが楽しい
評論家や他の誰かが語ることに盲目的に答えをつなげようとせず、自由に感じたものを大切にすればいいと思う
ジョーとニーナのどこか危うい雰囲気の演技とか、そういった雰囲気だけでも楽しめればいいかと
ただやっぱりこの良い意味でのはっきりしなさを魅力と思えればいいけど、そう感じられない人も多いだろうと想像もでき、誰彼かまわずおすすめもできない感じ

個人的評価:75点
オススメ度:ニーナさんの微妙な妖艶さに、そっちの趣味があるのかと自分の性癖を疑う



ビューティフル・デイ 予告

最初で最後のキス (2016/伊)

監督:イバン・コトロネーオ
出演:リマウ・グリッロ・リッツベルガー / バレンティーナ・ロマーニ / レオナルド・パッザッリ / トマ・トラバッチ / デニス・ファゾーロ / アレッサンドロ・スペルドゥーティ / ジョルジョ・マルケージ / シモネッタ・ソルダー / リサ・ガランティーニ

都会の学校から転校してきた同性愛者ロレンツォは、クラスで皆から中傷を受けるブルーと仲良くなる
周囲の雑音もはねのけてロレンツォは楽しく日々を送る中、気になる男の子アントニオと出会う

思った以上にポップでしかもダークな映像の二面性に、終始スクリーンから視線を外せなかった
どこか先行き不安になる出だしから、ロレンツォのポジティブ妄想、それでいてやっぱり背後の色濃い闇がうかがえる感じがたまらなく面白い
単なるポップな青春お悩みドラマなだけでなく、どんどん深淵に引きずり込まれるような感覚
3人が仲良くなっていく気持ちよさだけでも楽しいけど、同時に微妙にずれていく人間関係がいいですね
学校の先生や生徒、両親や保護者、そして3人の間でも...とすっかり作品にのめり込んでしまう
この問題に単純な名前をつけて、色々な部分を浮き彫りにして明確化すれば安心できるだろうけど、そうできないもどかしさがたまらない一本でした

個人的評価:85点
オススメ度:妄想と現実、ロレンツォとアントニオ、比べて観ると面白い



最初で最後のキス 予告

2018年6月3日日曜日

レディ・バード (2017/米)

監督:グレタ・ガーウィグ
出演:シアーシャ・ローナン / ローリー・メトカーフ / トレイシー・レッツ / ルーカス・ヘッジズ / ティモシー・シャラメ / ビーニー・フェルドスタイン / スティーブン・マッキンリー・ヘンダーソン / ロイス・スミス / オデイア・ラッシュ / ジョーダン・ロドリゲス / マリエル・スコット / ジェイク・マクドーマン

自ら等レディ・バードと名乗るクリスティン
母と微妙にぎくしゃくする中、反対を押し切って東部の大学行きを志望するのだった

ちょっとずつ積み重なっていくドラマが、ラストいっきにあふれて鑑賞後の心地よさがあった
友人や恋人、家族と関わり合っていくことで、大げさじゃない等身大の主人公が見えてくるのがおもしろい
それと同時にレディ・バードを取り巻く表面的なものと深い愛情が感じ取れる
なんでもない日常、ある少女の青春ドラマ、なんてことはないと思える中にも恋人と友人の関わり、そして学校側の神父さんなどの個性が光って退屈しない
なにより母親との関係、その距離感が本当に素晴らしい
母娘のドラマとしても、女性同士のドラマとしても感覚的な部分を優しく刺激してくれる一本でした

個人的評価:85点
オススメ度:こういうのでいいんだよ。こういうので的な映画



レディ・バード 予告

50回目のファーストキス (2018/日)

監督:福田雄一
出演:山田孝之 / 長澤まさみ / ムロツヨシ / 勝矢 / 太賀 / 山崎紘菜 / 大和田伸也 / 佐藤二朗 / 生越千晴 / 小宮有紗 / 青山めぐ / 桜井ユキ / 想乃 / 逢沢りな / 可知寛子 / 福田えり / 小林万里子 / 安田カナ / 尾畑美依奈 / 保坂聡

ハワイでツアーガイドをしている女たらしの大輔
ある日、偶然にカフェで見かけた瑠衣に一目惚れしてしまう

なんだかんだでいつもの福田監督らしさが強い、という話のようなので鑑賞しましたが、まさにいつもの感じでした
主演のふたりに主題歌、ストーリー設定でひよったスイーツ映画かよ、という勝手なイメージを持たれるのを見越したような作り
半分アドリブのような細かい逆の連打で、それをクドいと感じなければ十分に笑えて楽しめる
そんな中でもプレイボーイ大輔から、瑠衣と出会った時の素の大輔の演じ分けとか、けっこう細かい芝居はしっかりしてるのでギャグメインのバカっぽさばかりな感じはしなかった
各キャラの絡みのコメディも、切ないロマンスもどっちも楽しめてお得だし万人受けすると思う
だけど、悪く言えば平均値的な面白さで馬鹿笑いにも感涙にも一歩足りない気もした、ザ・普通によかった一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:ヨシヒコの監督の人、くらいのイメージで楽に観れる



50回目のファーストキス 予告

犬ヶ島 (2018/米)

監督:ウェス・アンダーソン
出演:コーユー・ランキン / リーブ・シュレイバー / ブライアン・クランストン / エドワード・ノートン / ボブ・バラバン / ビル・マーレイ / ジェフ・ゴールドブラム / スカーレット・ヨハンソン / F・マーレイ・エイブラハム / ティルダ・スウィントン / 野村訓市 / 高山明 / 伊藤晃 / オノ・ヨーコ / グレタ・ガーウィグ / 村上虹郎 / フランシス・マクドーマンド / 野田洋次郎 / 渡辺謙 / 夏木マリ / ハーベイ・カイテル / フィッシャー・スティーブンス / コートニー・B・バンス / フランク・ウッド

近未来の日本、メガ崎市ではドッグ病が蔓延し、すべての犬たちはゴミ島へ追放されることになる
そんな病に感染した犬たちがかろうじて生き抜く島に、飼い犬のスポッツを探す少年アタリがやってくるのだった

最初っから圧倒的な情報量と独特の世界観、ストップモーションの手法の虜になって満足感で満たされる作品でした
犬や人間のキャラクターにクセがありそうで、実際に動いている所を観ると思った以上に愛着を持てましたね
思った以上にアタリ少年が個性的すぎで面白く、メインの犬たちとのやりとりがホントに楽しい
ストーリーも先が読めない上、島の外での話も展開してキャラや世界観以外の部分もしっかり作り込まれている感じ
画面の字幕や日本語の文字を追うのも楽しいし、それでいて複雑な話になるでく混乱しない、ほどよいごちゃつき感がよかったですね

個人的評価:90点
オススメ度:不動の姿勢で目だけを左右にキョロキョロさせる、こういう作品では必ずあるな



犬ヶ島 予告