2018年7月30日月曜日

the face 品田誠 特集上映

監督:品田誠
出演:品田誠 / 市場紗蓮 / 芦原健介 / 田中一平 / 洪潤梨(現・秋乃ゆに) / Makoto / 池田大 / 紗都希 / 福永マリカ / 細川岳

俳優品田誠にスポットを当てた特集上映
日替わりで作品が変わる中、7月29日はその監督作品である3つの短編作品が上映されました

「ノンフィクション」
自身の周りでの出来事を大切に作品へ昇華させるが、どこか行き詰まり感のある作家がある少女と出会って不思議な体験をする、というお話でした
虚実の交わる描写の中、主人公が苦悩の中で自分の世界を拡張しつつ、という堅苦しさだけでなく、どこかミステリーな雰囲気が観てる側には娯楽成分を与えてくれる作品でした

「Dear」
自分にいまいち自信が持てないながらも役者を目指す女の子の話
過去と現在が交錯しつつ描かれるけど、主人公の過去のパッとしない姿と今の前のめりな姿勢が対照的でおもしろかった
本当に輝いている役者を目指す彼女を応援したくなる

「不感症になっていくこれからの僕らについて」
何を歌えばいいのか分からなくなったシンガーがふらりと故郷に戻ってくる、という中で懐かしいだけではなく優しいだけでもない、変化を目の当たりにしていく様が心に響く
ずっと小さな舞台でも強かに歌い続けてきたシンガーの姿が背後に見え、曲にも主人公のらしさが強烈にあふれ出ていた

という3本でしたが、どれもクリエイター的な立場の主人公ながら、どこにでもいる自分たちのような人の今を等身大に描いていて好感が持てた
同じ日々の繰り返し、とか腐るだけでなくそれでも一歩踏み出す希望の光は気持ちいい

こういう特集上映は「楽しかった」「つまんなかった」という消費行動のための映画じゃなく、その中で奮闘する役者や制作陣の姿を意識させてくれる
そして品田誠さんやその監督作品の出演者の皆さんを、いつかどこかのスクリーンで目にした時、応援する心とともに映画そのものも違った視点で見えてくるかもしれなくて楽しみですね







ストレンジャーズ 地獄からの訪問者 (2018/米)

監督:ヨハネス・ロバーツ
出演:クリスティーナ・ヘンドリックス / マーティン・ヘンダーソン / ベイリー・マディソン / ルイス・プルマン

湖にある保養地へやってきた一家4人
夜、泊まっているトレーラーハウスに見知らぬ女の子がやってくる

前作は観たようなそうでもないような曖昧な記憶だけど、そんなことはまったく問題にならなかった
キャンプ地で殺人鬼に襲われる、というこのての作品のベース、そんな土台だけで飾り付けが淋しい内容でした
見た目はちょっとインパクトはあるけど、なんか雑な行動ばかりの殺人鬼で、しかも肝となる殺しの描写もこれといった見どころがない残念さ
それでも何者で何故こんなことをするのか、そしてそのマスクの下の顔は、という点を気にしながら観てたけど...
いや、まあ、ただでさえ特筆すべきところがないのに、この内容でこのオチはガッカリ感が増大するだけ
スリラー映画のテンプレだけで撮ったような、本当に記憶に残らないだろう一本でした

個人的評価:40点
オススメ度:たぶんこうくる、という読みはことごとく当たる易しい作り



ストレンジャーズ 地獄からの訪問者 予告

スティルライフオブメモリーズ (2018/日)

監督:矢崎仁司
出演:安藤政信 / 永夏子 / 松田リマ / 伊藤清美 / ヴィヴィアン佐藤 / 有馬美里 / 和田光沙 / 清川葵 / 瑞乃サリー / 大塚玲央奈 / 四方田犬彦

個展を開催する写真家の鈴木春馬
そんな彼に質問を受け付けず、撮ったフィルムを貰いたいという個人的な撮影の依頼がある

映画でアートで写真な映像が視覚を通じ、感覚的にうったえてくる作品でした
女性器を撮る、という内容ながらあくまで被写体として切れ味のあり、思ったよりいやらしさが薄い
反面、撮影シーン以外の女性の生々しさ、艶っぽさにいやらしい目線にならざるえない
眼前に女性器をオープンな怜が静、主人公の春馬の恋人の夏生が官能的な動、とふたりの対比が面白かった
現実を抜き出す手段としての絵画、写真、そしてこの映画そのものの三様の表現が一度に楽しめた
何かよく分からないが引っかかる、そんな取っ掛かりの部分が掴める一本でした

個人的評価:80点
オススメ度:映画を観てどう感じるか、良い意味で個々の思いにそれぞれの広がりを与えてくれる



スティルライフオブメモリーズ 予告

ブラッド・マネー (2017/米)

監督:ラッキー・マッキー
出演:ジョン・キューザック / エラー・コルトレーン / ウィラ・フィッツジェラルド / ジェイコブ・アーティスト

山中の川へ遊びに来た3人の男女
恋愛関係がもつれる中、川辺でいわくありげな大金を見つける

最初から最後まで徹底したビッチ映画でした
大金を手にした3人もビッチにかき乱され、命が狙われ追われてるのに本当にもう気持ちよくなるくらい考えなしなバカ行動
敵である追跡者も裏社会の冷酷非常なタフガイとはかけ離れていて、どこか素人くさくてこっちも考えが足りない行動ばかり
そんな追う者も追われる者もポンコツなゆるい感じが味になってる
ヒロインのビッチっぷりは何回口にしても足らないけど、不思議とそのたくましさが魅力に思えてきて、それほど観ていてイヤな気持ちにはならなかった
ラストのオチもそこそこな、全体的に古臭いそこそこ映画でした

個人的評価:70点
オススメ度:一昔前に深夜、もしくは午後にテレビでやってたような内容



ブラッド・マネー 予告

2018年7月25日水曜日

ローライフ (2017/米)

監督:ライアン・プロウズ
出演:ニッキー・ミッチョー / リカルド・アダム・サラテ / ジョン・オズワルド / シェイ・オグボルナ / サンタナ・デンプシー / マーク・バーハム

メキシコの英雄モンストロのマスクを受け継ぐ元レスラーの男
テディに雇われ、悪事に身を染める彼に子を宿した妻は逃げようと説得するが...

容赦ない暴力に残酷描写、そして愛すべきバカっぷりに大笑いできる作品でした
しょうじき最初は何がしたい映画なのか分からないけど、徐々にピースが埋まってきて作りが見えてくると面白くなる
基本的には犯罪の話ながら、そのバイオレンスの隙間におかしくて笑える要素を挟んでくるのがいいですね
どんどん登場人物のバカどもの馬鹿馬鹿しさがクセになってきて、心の中でツッコミ入れながら観るのが楽しい
なんだかんだ先の読めなくて、突拍子もない行動をとるバカばかりな素敵キャラたちに退屈しない
何ともいえない粗さや雑っぽさが面白い一本でした

個人的評価:80点
オススメ度:レガシーなら仕方ない



ローライフ 予告

2018年7月22日日曜日

ラ・チャナ (2016/スペイン・アイスランド・米)

監督:ルツィヤ・ストイェビッチ
出演:ラ・チャナ / アントニオ・カナーレス / カリメ・アマジャ

世界的なフラメンコ・ダンサー、ラ・チャナ
彼女の過去と現在を描く

ファースト・シーンからグッと魂が引きつけられ、終始あつい感情に満ちた作品でした
コンパスの話も含め、全体的に感覚にうったえてくる部分が多く、感想を言葉にできなくても心の深いところに確かに響く
ダンスの素晴らしさはもちろん、過去の映像が流れるたびにクライマックスのごとく圧倒的な熱量が伝わってきて、幾度となく自然と体がふるえた
もちろん現在の彼女の生活やダンスの裏にあった過去の話なども見応えはある
そして老ラ・チャナの現在の日常を映し出してきてからのラスト、今までのはこれをみせるためにあったのかと、ここまでで一番に感情が高ぶった
彼女のことを知っていてもそうでなくとも、そんなことどうでもいい感じでダイレクトに魂が熱気に包み込まれる一本でした

個人的評価:80点
オススメ度:辛い経験も長いブランクもすべて踊るエネルギーに変換する強さに学びたい



ラ・チャナ 予告

2018年7月18日水曜日

モンキービジネス おさるのジョージ著者の大冒険 (2017/米)

監督:山崎エマ
出演:ハンス・レイ / マーガレット・レイ

児童書「おさるのジョージ」の作者であるハンスとマーガレット
ふたりの出会い、人生、作品の製作を描くドキュメンタリー

本人の声が残った記録映像、関係者のインタビュー、そこにアニメーションが加わることでかなりみやすくなっていた
日々の単調な繰り返し、退屈さ、そして戦争の悲惨さを体験しながらも、あくまで制作される作品には影を落とさないクリエイター心が素晴らしい
ふたりの話を聞いていると、苦労話も日常の冒険話に思えるとか本当に素敵すぎる
ハンスとマーガレットそれぞれの人間性も面白く、特にマーガレットがこんな強烈な性格だとは思わなかった
もうちょい容赦ない深刻なエピソードが観たい気がしたけど、生っぽすぎない絵本の世界のようなフンワリしたふたりのキャラクターの人生冒険話なこの作りもこれはこれで
色んな意味で優しいドキュメンタリー、みたいなちょっと風変わりな雰囲気に包まれた一本でした

個人的評価:75点
オススメ度:個人的にはジョージはアニメの印象が強い



モンキービジネス おさるのジョージ著者の大冒険 予告

コールド・スキン (2017/スペイン・仏)

監督:ザビエ・ジャン
出演:レイ・スティーブンソン / デビッド・オークス / アウラ・ガリード

ある島へ気象観測員としてやってきた男
灯台守しかいないその島で、男は謎の生き物に襲われるのだった

なんかよく分からん怪物に心が怪物になった灯台守のグルナーが戦いを挑む、どこか文学的なようで考えさせられる作りが果てしなく眠い作品でした
憎しみに歪んだ心のグルナー、謎の生き物、傍観者でいて何か悟ってる感の主人公、その戦いに何かしら見いだしてほしいのかもしれんけど、考えるのがめんどくさい
パニックでサバイバルなモンスターものの単純明快B級アクションかと思いきや、本当に予想以上のめんどくさい作りにげんなり感だけが残る
怪物うんぬんや心のあれこれとか、まあ言わんとするところは察するけど、テーマ性が響くことはなかった
それでも何か輝くものがあるはず、と最後まで期待してたんだけど、けっきょく「ああ、うん...」という感じでラストまでアレだった一本でした

個人的評価:40点
オススメ度:途中でふいになんで戦ってるのか分からなくなる

いいいい



コールド・スキン 予告

2018年7月15日日曜日

リチャード・リンクレイター 職業:映画監督 (2016/米)

監督:ルイス・ブラック
出演:リチャード・リンクレイター / ジャック・ブラック / イーサン・ホーク / マシュー・マコノヒー

映画監督リチャード・リンクレイター
彼の映画作りの軌跡を描く

ビジネスとしての映画作りに傾きすぎず、夢を実現し続けながら現実的でもある監督の人柄に惚れる
何かをやりたいという夢想は簡単だし心地いいけど、それを実現するために努力し、地盤固めをする姿に感じるところが多い
そして偏屈でワンマンな訳でもなく、作品のためには仲間をつのり資金を集め、役者の思いを大切にする他者とのつながりを築く魅力あふれる人間性が素敵でした
作品がヒットしてもコケても新しいものを生み出そうとする心、自分に足りない部分と反省すべき点が見えてきて、当たり前だけど努力なしで小手先で乗り切って成功だけを求める自身が恥ずかしくなった
この作品をきっかけに、以前に観たことのある監督作品をまた鑑賞したいと思わされる一本でした

個人的評価:80点
オススメ度:第三者の評価はそれとして、自身の作品に自信を持つ男気がいい



リチャード・リンクレイター 職業:映画監督 予告

2018年7月12日木曜日

フジコ・ヘミングの時間 (2018/日)

監督:小松莊一良
出演:フジコ・ヘミング / 大月ウルフ

老齢のピアニスト、フジコ・ヘミング
彼女の日々の演奏と生活を描く

本当に失礼ながら彼女のことをよく知らずに観たのですが、その見た目とは違って親しみやすい人柄に親近感がわきました
演奏シーンでも素人目にみても卓越した技巧が素晴らしく、それでいて音楽そのものにはひどく馴染むものでした
すごいとか素晴らしいとかは大前提として、その奏でられる音が本当に身近なものに感じられた
私生活の中で語られるこれまで歩んできた人生も、その一部を抜き出しただけにすぎないのに人として好意を抱かざるえない
猫や犬たちとの関わり合いも微笑ましく、家へのこだわりや家族や友人たちへ向ける想い、クラシック音楽のドキュメンタリーなんて眠いだけと避けるのはもったいない
ひとりの人間として好感が持てたならば、音楽と人間のふたつのドキュメンタリーが一得できて耳も心も満たされる作品ですね

個人的評価:85点
オススメ度:ウルフさんのキャラが濃すぎて、そこだけ別映画になる



フジコ・ヘミングの時間 予告

ルームロンダリング (2018/日)

監督:片桐健滋
出演:池田エライザ / 渋川清彦 / 伊藤健太郎 / 光宗薫 / 木下隆行 / つみきみほ / 田口トモロヲ / 渡辺えり / オダギリジョー

無口な御子は事故物件の部屋に入居するアルバイトをしていた
そんな彼女には幽霊が見える特異な能力があるのだった

様々な霊、そして人間たちと御子の関係がほほえましく、鑑賞後に自然と笑顔になる作品でした
現代社会のうんぬんとか難しいことを考えずとも、多くを、またはどこか主人公に自分を重ねて現実に思うところが頭に浮かぶ
どこか裏がありそうな人物とか、エグみのある事件がアクセントになって、お化けバラエティでふわっとしすぎてないのもいい
主人公周りのドラマへ深く進む感じも素直に楽しめるし、「あのシーンはそっちの意味だったのね」と思わされる手法もおもしろい
適度なゆるさとピリ辛感、そして主人公のエロさも見逃せない
なにより鑑賞後の心地よさがじんわりしみる一本でした

個人的評価:75点
オススメ度:テレビドラマでまったり観たい



ルームロンダリング 予告

セラヴィ! (2017/仏)

監督:エリック・トレダノ / オリビエ・ナカシュ
出演:ジャン=ピエール・バクリ / ジャン=ポール・ルーブ / ジル・ルルーシュ / バンサン・マケーニュ / アイ・アイダラ / スザンヌ・クレマン / アルバン・イワノフ / バジャマン・ラベルヌ / ジュディット・シュムラ / エレーヌ・バンサン

ベテランのウェディング・プランナー、マックスはある古城での式を演出する
しかし集まったチームの面々は面倒ごとばかりを起こし、頭を悩ませるのだった

元々の性格やら、突発的なアクシデント、プライベートな問題でぜったいすんなりいきっこない感が面白おかしい作品でした
ドタバタコメディというか喜劇という表現がしっくりきて、ちょっとずつ重ね積み上げられていく笑いの要素ひとつひとつが可笑しくてたまらない
爆発的な大爆笑でいきおいまかせなノリと違い、笑いの波、そのリズム感が心地いい
多彩なキャラが次々に出てくるけど、話が進むにつれて面白さが浮かび上がり魅力的に輝き出し、どのキャラも素敵に感じられた
どいつもこいつもクセがあって、ポンコツ要因を抱え、どうしようもない奴らの失敗が楽しいと同時に、そいつらが生み出す素晴らしさも堪能できた
主人公マックスの皺のひとつずつも演技になっていて、その気が気じゃない苛立ちが先の展開に期待をふくらませてくれる

個人的評価:80点
オススメ度:私は個人的に面白い職場だとは思うけど、ぜったい関わり合いたくない



セラヴィ! 予告

2018年7月11日水曜日

ハン・ソロ スター・ウォーズ・ストーリー (2018/米)

監督:ロン・ハワード
出演:オールデン・エアエンライク / ウッディ・ハレルソン / エミリア・クラーク / ドナルド・グローバー / タンディ・ニュートン / フィービー・ウォーラー=ブリッジ / ヨーナス・スオタモ / ポール・ベタニー / ジョン・ファブロー / エリン・ケリーマン / リンダ・ハント / ワーウィック・デイビス

パイロットになる夢を持ちながら帝国軍の歩兵として戦うハン・ソロ
ひょんなことから出会ったチューバッカとともに、ベケットたちの協力で脱走を企てる

過度な期待はしてなかったけど、それでも序盤の眠たさがマイナス要因すぎる作品でした
とにかくずっと暗い画面でもぞもぞ動いてる主人公たちに、このままずっといくのかと観ていて本当に不安になる出だし
大暴れな脱出劇から画面も明るくなり、やっと面白くなってくる
中盤の盛り返しで眠気もさめるけど、何かすごいことになってる感で誤魔化されてる気分は否めなかった
スターウォーズ的なつながりをにおわすのも中途半端で、仲間たちとの関係もスッキリしないし、思ってた以上に冒険活劇な気持ちよさは薄かった
単純でもいいから、ハン・ソロとチューバッカの痛快なスペースバディアクションアドベンチャーが観たかった

個人的評価:70点
オススメ度:バタ臭い&泥臭いの暑苦しさ、そんな男の物語でもなかった



ハン・ソロ スター・ウォーズ・ストーリー 予告

2018年7月3日火曜日

ガチ星 (2017/日)

監督:江口カン
出演:安部賢一 / 福山翔大 / 林田麻里 / 船崎良 / 森崎健吾 / 伊藤公一 / 吉澤尚吾 / 西原誠吾 / 博多華丸 / モロ師岡

競輪学校で過酷な練習に耐える40歳になろうという濱島
彼は8年前に戦力外通告を受けた元プロ野球選手だった

少年マンガなスポ根もいいけど、おっさんが主人公の大人なそれも好みにあってて楽しめた
おっさんのプライドをこじらせたような主人公がどうしようもない奴ながら、泥臭く人間味があって魅力的でした
ままならないことばかりな中で気づいたり世紀気づかされたりしながらも、毎度のように転落していく一歩進んで足踏み外す感じが、いろいろと凝り固まったおっさんをよくあらわしていた
周りのキャラも優しいだけでもなく、厳しかったり、小賢しかったり、多種多様な人たちに囲まれてドラマが盛り上がる
特に教官は良い味を出しまくっていて、主人公のやさぐれっぷりを輝かせてくれる
ちょっとライバルとの関係の描写が必要最小限すぎる気もするけど、努力展開の王道なスポ根クライマックスはたぎらざるえない

個人的評価:80点
オススメ度:もっともっと他の男どもの抱えるドラマが観たい



ガチ星 予告

2018年7月1日日曜日

カメラを止めるな! (2017/日)

監督:上田慎一郎
出演:濱津隆之 / 真魚 / しゅはまはるみ / 長屋和彰 / 細井学 / 市原洋 / 山崎俊太郎 / 大澤真一郎 / 竹原芳子 / 吉田美紀 / 合田純奈 / 岩地紗希奈 / 秋山ゆずき / 山口友和 / 藤村拓矢 / 高橋恭子 / イワゴウサトシ

ゾンビ映画を撮影している一行だったが、監督の意向にそわない芝居に難航していた
そんな中、急にゾンビ化した撮影スタッフが仲間を襲い始める

本当に面白い、単純にそんな言葉しか浮かんでこない作品でした
観ていて何かおかしいと引っかかる場面が、後半になって裏側で起きていたことが分かり、よく練られた内容だと思い知らされる
逆に普通に盛り上がるうまい演出かと思いきや、その実は大変になっていたり、その作品の構造がたまらなく素晴らしい
なんだかんだで結末は見えている、なんて油断してたけど終盤のたたみかけは巧妙さと笑いで盛り上がりまくりますね
そして話や構造を支えるキャラを演じる役者さんたちの個性と演技も輝いている、すべての要素がうまいぐあいにかみ合っている感じの一本でした

個人的評価:95点
オススメ度:アイディア勝負のB級ゾンビ映画、なんて安い思いで観た自分が恥ずかしい



カメラを止めるな! 予告




(追記)

この日、上映終了後にこの映画の監督上田慎一郎さんとゲストに映画監督の大九明子さんによるトークイベントがありました
作中でのハプニングだと思ってたところが実はちゃんと演技だったり、逆に演出かと思ってたところがハプニングだったり、裏事情が分かって楽しめました
さらに劇場ロビーでは出演者の皆さんも集まっていて、ちょっとずつお話をうかがえて充実&大満足

名前 (2018/日)

監督:戸田彬弘
出演:津田寛治 / 駒井蓮 / 勧修寺保都 / 松本穂香 / 内田理央 / 池田良 / 木嶋のりこ / 金澤美穂 / 比嘉梨乃 / 真広佳奈 / 小槙まこ / 戸畑心 / 柿本朱里 / アベラヒデノブ / 田山由起 / 竹下かおり / 信國輝彦 / 松林慎司 / 稲荷卓央 / 波岡一喜 / 川瀬陽太 / 田村泰二郎 / 西山繭子 / 筒井真理子

様々な偽名を使って日々を暮らす男
ある日、そんな男の前に娘だという見知らぬ女の子があらわれる

想像通りな自分とは~みたいな映画だったけど、男と女の子のふたりの関係がどんどん深みを増して味わい深くなる内容でした
意外とあっさり本名が分かって、序盤から思ったような展開じゃなくて退屈しなかった
ごちゃついた部屋のリアルとか、ふたりのナチュラルな日常、なにより津田寛治さんの演技を存分に楽しませてもらいました
内容的にも時間軸の描き方が巧みで、ここであそこにつながるのか、とふたりの事情が分かるたびに引き込まれていった
名前で演じる自分、さらけ出しているつもりの自分、意識しなくても他人とうまくはまる自分、大いに考えさせられる
それでいてめんどくさすぎず、からっと可笑しい心が軽くなる一本でした

個人的評価:85点
オススメ度:軽すぎず重すぎず津田寛治さんの演技がハマってた



名前 予告

アメリカン・アサシン (2017/米)

監督:マイケル・クエスタ
出演:ディラン・オブライエン / マイケル・キートン / テイラー・キッチュ / サナ・レイサン / デビッド・スーシェ / シーバ・ネガー / ナビド・ネガーバン / スコット・アドキンス

テロ事件によって恋人を失ったミッチ
復讐心から己を鍛え、テロ組織と接触をはかるが彼の身はCIAにずっと監視されていた

またスパイものかと思いつつ、復讐者としての主人公の不安定さと流れるように進む話が面白かった
しょうじき画面的に地味な上、なんかひと味足りない印象、そして世に溢れかえるB級映画くさいタイトルがもったいない
ロケーションを細かく変えての二転三転するストーリーに、分かりやすい伏線の回収と話自体ののめり込みはいい感じ
主人公と師匠、そして敵役との対比もいい感じで、ちょっと煮詰まらないままにドラマが展開してる気もするけど、それぞれの関係も見応えはあった
けっして頭からっぽで後に何も残らない気持ちいいだけのアクションじゃなく、ストーリーも楽しめたけど、けっきょくこれといったとがった部分がなくて印象に残りづらい一本でした

個人的評価:75点
オススメ度:TVドラマになったらぜったいミッチがスタンと訣別する流れになるだろうな



アメリカン・アサシン 予告

ウィンチェスターハウス アメリカで最も呪われた屋敷 (2018/豪・米)

監督:マイケル・スピエリッグ / ピーター・スピエリッグ
出演:ヘレン・ミレン / ジェイソン・クラーク / サラ・スヌーク / フィン・シクルーナ=オープレイ / エイモン・ファーレン / アンガス・サンプソン

1906年のアメリカ、ドクターのプライスはウィンチェスター家の女主人の精神鑑定を依頼される
長年増築を繰り返す奇妙な館でプライスは奇怪な幻覚に悩まされるのだった

じわりと精神を侵食してくる系なんだけど、怖がらせ方はびっくり箱なホラーでした
序盤から不意をついた驚かせ技のジャブで攻めてくるけど、ドクターのドクターらしい心持ちのおかげで亡霊が原因と認めないもたつきがもどかしい
事の真相が見えてくると盛り返してきて、なんとなく最初から見直したくなり、霊に関してもちょっと認識が変わるのは良かった
主人公の過去のドラマとか、ウィンチェスター銃とか、大叔母さんの戦士っぷり、子供を守る守護者、心の中の恐怖、いろんなものがとっちらかってる感は否めない
なんかめんどくさいこと言わず、文字通りのお化け屋敷パニックだった方が個人的に好みだったかもしれない

個人的評価:65点
オススメ度:さすがに霊的な何かが作用したと甘めに見ても子供キャッチには違和感



ウィンチェスターハウス アメリカで最も呪われた屋敷 予告