2010年3月28日日曜日

カメレオン (2008/日)

監督:阪本順治
出演:藤原竜也 / 水川あさみ / 塩谷瞬 / 豊原功補 / 波岡一喜 / 柄本佑 / 西興一朗 / 街田しおん / 菅田俊 / 萩原聖人 / 平泉成 / 谷啓 / 犬塚弘 / 加藤治子 / 岸部一徳


とあるいわくありげな現場を目撃してしまった伍郎と仲間たち
後日、ニュースを見た彼らはとてつもない事態に巻き込まれてしまったと気づくのだった

いやあ、なんというかすっごい評価に困る作品ですね
個人的には、ホントに個人的にはすっごい面白いんですが、手放しで褒められる…と言い切れない所が情けない
一言でいえば古き良き昭和の時代の作品を観てるような感じで、おそらく目指してるところもそこら辺だと思います
現代作品ながら昭和映画をエミュレートしてるわけですが、多少の違和感はあるもののかなりその再現度は良い具合でしたね

冒頭の胡散臭い女占い師と胡散臭い客のやりとりから始まって、ある結婚式の場にチンピラが乱入、伍郎たちが怪しげな現場を目撃、なんかジジイとババアの一座と暮らす伍郎…しょうじきこの作品がどんなものか、どういう方向に向かうのかつかみきるまで時間がかかります
ですが、そんな観てる側の手探り状態は退屈や不安感より「どういう流れなんだ」と気になる好奇心の方が勝つため、作品になんともいえない吸引力があるのは確か
そんな複雑な話ではないんだけど、ひとつひとつの設定を拾っていって人物像なんかをあるていど行間を埋める感じで観る必要があるかもしれません
そういう意味で頭からっぽにして観るアクションというより、雰囲気や世界観に入れたもの勝ちな印象があります

レトロで昭和を意識してる、と完全に理解できる中盤の伍郎の屋内格闘シーン
スタイリッシュさや、過度の盛り上げ音楽、かっこいいカメラワークや決めポーズなんか一切なく、ホントに雑で武骨でいい感じな適当感が楽しくてしかたない
このシーンまで観てダメだと思った人は、完全にこの作品と合わないかもしれません
冒頭の伍郎と女占い師の絡み、中盤の格闘シーン、そしてまたもや盛り上がる音楽もなく淡々と描かれるカースタント、さらに終盤のバカ演出と紙一重の銃交換シーン、ここら辺が「なんか合わないなあ」と思う人も多いかも知れません
もちろん個人的にはすべて好きなシーンです

なんかすごい経歴があるようなないような伍郎だけど、そのスタイルは洗練されたものがない武骨できれい事のない暴力そのもの
そんな主人公の魅力がこの作品を支えてるんですが、ぶっちゃけ藤原竜也だと物足りなさを感じずにいられない
見た目は問題ないんだけど、昭和を意識した作品の中で彼だけが「作り物の昭和の演技をしてる」っぽさがありありしてて残念
あとヒロインもきれいすぎる
脇がかなり良い味だしてるだけに、よけいに主人公とヒロインがじゃっかん浮いてるかも

一見、無駄に見えたり強引に見えるシーンを、「ああ、なんか分かるわ」と懐かしむような見方ができる人にとっては楽しめる作品
逆にスタイリッシュでアップテンポなとりあえず派手派手なアクションがなきゃ!って人は退屈に思えるでしょうね
いや、これ本当に微妙な作品で、このギリギリ楽しいようなそうでもないようなっていう「良い意味での微妙さ」がなんか中毒的な感じで心地良い
何とも言えない喉にひっかかるこの感覚、繰り返ししつこいですが個人的には大好きです

個人的評価:85点
オススメ度:女が絡まないとブチキレない男、ゴーロ




カメレオン 予告



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