2011年8月21日日曜日

リリイ・シュシュのすべて (2001/日)

監督:岩井俊二
出演:市原隼人 / 忍成修吾 / 伊藤歩 / 蒼井優 / 大沢たかお / 稲森いずみ / 市川実和子 / 杉本哲太








悪友たちにいいように使われる日々を送る中学生の雄一
唯一の心のより所はリリイ・シュシュの曲と、ネットでのリリイに対する書き込みだけであった

なんともいえない独特の雰囲気が気持ちいい、けど、ぜったいに万人向けじゃない作風かもしれません
こういう作品で一番あぶないのは「俺、この雰囲気サイコーに好きだわ」となんか通ぶってしたり顔で語ることですね
そういう危うさをにわかファンに植え付ける十分な要素がつまってます
内容が内容だけに悪く言えば中二病ホイホイな作品

閉鎖された世界の学校、さらにその中のひとつのクラス
14歳の少年少女にはその中がほぼ世界のすべてで、逃げることができない絶対的な場所…と錯覚してしまう
その中ではゆがんだいじめ、犯罪行為、見て見ぬふり、恋愛ごっこ、友情ごっこでカオスな感じになってます
で、どっちかというと子供社会の底辺に墜ちた主人公が流されるままに底辺生活を送りつつ、リリイの曲とネットでのフレンドとのやりとりで心のバランスをとっていくんだけど…というような内容ですね

人物の描写がちょっとリアルで、「こんなヤツ、自分の周りにもいたなあ」「ああ、自分もこんなだったなあ」と思える中学生たちがいいですね
内容はどんどん悲壮さを増していくんだけど、リアルではあるけど雰囲気がファンタジックな作りになってるから、「うげえ」っていうような重すぎるものはない
それでもじゅうぶんに観ててイヤな気分にはなりますけど
話的にはクラス底辺の主人公とリリイの音楽、ネット仲間というイヤな現実と救われる虚構って感じでそれほど目新しさはないけど、最初に主人公周りの環境をざっくり描いて次にそこに至る過去、そしてその後を展開していく「現在・過去・未来」のドラマ黄金パターンは気持ちいい

じゃっかん世界観や雰囲気の作り方が嫌みな感じがするのと、作り手のオナニー要素が目立つ気がしないでもないところがアレですが、さらっとしててどろっとしてる、なんとも言えない気持ち悪さがちょっと心地良いと思えるおもしろい一本でした

個人的評価:80点
オススメ度:それでも現実は続くのよ




リリイ・シュシュのすべて 予告



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