出演:ジャン・ギャバン / ピエール・フレネー / エリッヒ・フォン・シュトロハイム / ジュリアン・カレット / ディタ・パルロ / ダリオ / ジャン・ダステ / ガストン・モド
第一次世界大戦のさなか、ドイツ軍の捕虜となってしまうフランス軍のマレシャル中尉とド・ボアルデュー大尉
将校用捕虜収容所に入れられたふたりは、そこで同じ境遇の仲間と出会い脱獄の話を持ちかけられる
たまーに観たくなる古い映画
そんな感じでこれを選んだわけですが、なんというかさすがに古すぎて分かりづらいシーンがありましたね
とりあえず主人公ふたりが捕虜になる出だしの展開がちょっと分からなかった
しばらくして「よく分からない流れだなー」と思って鑑賞を中断、ネットであらすじを調べてはじめて「ふたりは飛行機で偵察に出て、その時に撃墜され捕虜になった」という点が分かりました
ええ、上で書いた「」内の展開は本編ではいっさい描かれてません
それなりに行間は読めるつもりでしたが、これはさすがにキツイですわあ
戦争による捕虜の脱走もの、といえば単純なんですが、この作品はなんとも皮肉めいた作りが小憎らしくておもしろい
とりあえず捕虜にはなったけど将校待遇により、個室まではもらえないけどわりと自由に行動できる主人公たち
フランス本国から各捕虜個人あてには普通に缶詰やらなんやら物資は届けられるし、ドイツ軍もピンハネしてる様子もなく素直に荷物は受け渡してくれる
ドイツ兵は脱走やらよほどの規律違反しないかぎり何もしてこないし、しょうじきフランス兵捕虜たちは悠々自適にさえみえる
そんな中でも脱走計画は進んでいく、という流れ
そして後半のいよいよ脱走できる、という感じになると主人公のひとりであるマレシャルはもうひとりの主人公のことを貴族であるがゆえになんとなく壁を感じる、みたいなことを言い出すんですね
でもそんな貴族出身のド・ボアルデューは…みたいな描き方も皮肉めいてておもしろい
他にもいざ脱走してみたら、捕虜生活の方が…とか、逃亡生活の中で戦争で愛する者を失った女との出会いとか、ホントにシニカルなストーリーを楽しむ作品かもしれません
あとはホントにこんな古い作品なのに、当時すでにこれだけの戦争に関する皮肉なテーマを描いてるのはすごいんじゃないかな、と
国境なんて人間が決めただけで自然からしたら無意味、みたいなことを言ってみたり「もう当時からそういう考えはきちんと確立してたんだ」と思わざるえない
そして、そんな目に見えない国境がうまく作用するラスト、これもいいですね
全体的に古すぎて鑑賞するにもツライところは多々ありますが、当時から現在でも描かれる戦争もののテーマをやってる映画、という資料的な意味でも楽しめた一本でした
個人的評価:75点
オススメ度:非道じゃないドイツ軍人の描写が新鮮すぎる
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