監督:ハニ・アブ・アサド
出演:カイス・ネシフ / アリ・スリマン / ルブナ・アザバル / アメル・レヘル / アシュラフ・バルフム / ヒアム・アッバス
イスラエル軍占領下のナブルスで暮らす幼なじみのサイードとハーレド
二人は親兄弟にも秘密で抵抗組織に身を置いており、ある日、いよいよ自爆攻撃で殉教せよと命じられるのだった
ちょっと殉教してこいよ、と言われて初めて自分たちの行いと生と死について疑問をもつ「命の大切さ」を説くような映画じゃないのがいいですね
その要素がないというと嘘になりますが、基本はふたりの主人公たちを描いたドラマで、しだいにその人間性みたいのが浮き彫りになってくると
演出もごく最小限に抑えられているのがいい感じで、本当に「自爆とか日常茶飯事」な当たり前の空気感がおもしろい
異国の風習みたいなのを慣れない目つきで見るのが楽しいわけで、ふだん世界情勢とか各国のお国柄みたいのを気にしてない私のような人が観ると「なんともいえない目新しさ」がありますね
その画面の中の世界がリアルなのかどうかは知識がないので判別できませんが、すくなくとも「リアルな気がする」というイメージはうけます
全体的にさばさばしてて、自爆することも含めて普通の日常生活の一部として描いてます
ドラマ的に盛り上げて死に対する葛藤を壮大な音楽にのせて語るでもなし、あくまでフラットに彼らの思いと行動を追っていきます
話の前半は異国的な物珍しさで引っぱられ、後半は映画的なおもしろさで引っぱってくれます
特にいよいよ現地入りして自爆攻撃決行するぞ、ってところから一転して主人公たちふたりの人間ドラマみたいのがおもしろい
内容的にまったくもって難しいところはなく、頭がお花畑な私でも容易に理解できるので安心
サイードとハーレドの本心、ゆらぎ、立ち位置の変化なんかを楽しむ映画で、本当にふたりの描き方がいい感じでおもしろい
しょうじきこの設定なら過剰演出バリバリで派手なサスペンスものの流れにもできるでしょうが、これはこれで地味ながらなんともいえないおもしろさがあります
感動ものともちょっとちがう、なんともいえない画面に釘付けにさせられる力強さのある作品でした
個人的評価:75点
オススメ度:普通に帰れるのかよ
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