監督:山川元
出演:役所広司 / 段田安則 / 平田満 / 田山涼成 / 菅原大吉 / 岸部一徳 / 吉田日出子 / 綾田俊樹 / 徳井優 / 益岡徹 / 塩見三省
続く不況の中、財政難に悩む東京都
そこで東京都知事は東京に原発を誘致し、国からの数々の補助金と優遇制度を受けようと決める
社会派?ともいえなくないコメディ
原発について楽しく、分かりやすく、しかしブラックユーモアたっぷりに学べる学校教材には適さない教材映画ですね
東京に原発誘致すっか!という点ですでに出オチな感じがじゃっかんしますが、そんなバカ話につきあっていくうちに、観てる方にもぐさりと釘を刺されるような内容です
話的には、知事が原発誘致をまず一部の都庁の局長を集めて発表したことにより、そんな知事に反論する者あり賛成するものあり、おちゃらけてる者あり…という面々のシチュエーションコメディがメイン
突飛なことを言う無責任男っぽい知事、冷静で常識人の副知事の対比に個性的な局長の面々がぎゃーぎゃー騒いでいく感じで
あまりにありえない知事の発表だけど、おとぼけ口調ながらその有用性から経済効果を説明されるうちに「うん、まあ、いいんじゃないかな」と思えてくるから困る
そんな限定空間での劇をよそに、外の世界ではもう一本の筋である爆弾魔のエピソードが展開するので、ちょくちょく空気の入れ換えがなされて息苦しさや退屈はしません
そこから原発依存とは言うけど、実際は…って展開になり、原発の危険性と電力事情なんかの話でいっきに「あれ?原発ってやっぱダメじゃね?」の流れに
そこから先の展開はこの映画に興味をもった人に実際に観てもらうとして、「都知事かっこいいわぁ」と思うと同時に観てる側に投げつけられるメッセージが心に刺さります
かたっくるしい説教をこういうコメディの中でやってもらえるとお馬鹿な私でも分かりやすく理解できて助かります
基本はおもしろいけど、ちょっと気になる点もいくつかあるのも確か
それぞれのキャラの個性はいいんだけど、それほど良い味が出るってとこまで煮詰まってない気がします
あとは原発会議の決着の付き方があまりに急展開で物足りない
ミステリーもので「おまえが犯人なんだろ?」「はい」と犯人が即答するレベルで物足りない
これは個人的な感想なんですが、会議パートと爆弾魔パートがあまりに別々に展開しすぎて、なんかうまく絡まってないような気がしました
ラストはもう、ね
ちょっと肩すかしをくらったかのようなクライマックスに、ちょっとガッカリしてた所に最後の最後で「おい、まさか…」と思ってた展開が現実に
クリーチャーもので最後の最後に生き残った一匹がしれっと画面に出てくるレベルじゃない、ある意味で絶望的な終わり方はいいですね
ということで、ちょっと笑えてちょっと賢くなれるブラックユーモアたっぷりなコメディでした
個人的評価:70点
オススメ度:主要陣以外の棒っぷりが素敵
東京原発 予告
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