2010年2月14日日曜日

ジュリー&ジュリア (2009/米)

監督:ノラ・エフロン
出演:メリル・ストリープ / エイミー・アダムス / スタンリー・トゥッチ / クリス・メッシーナ / リンダ・エモンド / ヘレン・キャリー / メアリー・リン・ライスカブ / ジェーン・リンチ / ジョーン・ジュリエット・バック / クリスタル・ノエル / ジョージ・バートニーフ / ヴァネッサ・フェルリト / ケイシー・ウィルソン / ジリアン・バック / デボラ・ラッシュ / メアリー・ケイ・プレイス


かつてアメリカの家庭料理の新たな道を示し、TVでも活躍していたジュリア・チャイルド
そんな彼女のファンのジュリーは、30歳を前にどんどん先を行く友人たちと退屈さを感じてきた仕事の生活の中、365日でジュリアのレシピ524種の再現に挑戦するブログを立ち上げる

長身で某有名ネズミのような甲高い声、愛嬌のある笑顔がチャーミングな中年のおばちゃん、ジュリア
そんなジュリアおばちゃんを楽しむ映画ですね
料理ものというより、ジュリーとジュリアの私生活のコミカルさや苦悩みたいのを描いていってる感じで
ほのぼのしつつおかしくて、ちょっとシリアスで楽しいわりと万人向けな良質コメディでした

中年のおばちゃんと言われる年齢のジュリアは、外交官の夫の妻として家でなにもせずに過ごすのを嫌って趣味を探すんですね
で、結局は食べることが一番好きということで、自分でも料理を作ってみようとゼロからチャレンジをはじめます
一方でジュリーは出世や成功でどんどん先をいく友人たちを尻目に自分はピザ屋の2階のボロアパートで夫と不満はないけど満足もない日々を送っていたけど、なにかやりがいがほしいと料理に挑戦する
そんな二人の話が平行して進んでいく感じの内容

二人の話がそれぞれ別に進みながらも同じような展開と境遇が描かれ、ジュリアの物語をジュリーがなぞり、ジュリーの物語をジュリアがなぞるみたいに過去と現在が混ざりながら話は進んでいくと
そんな演出もおもしろいですが、やっぱりメインはジュリアおばちゃんのキャラ性
おてんばながら人なつっこい子供みたいなジュリアおばちゃんの仕草、言動、立ち居振る舞いすべてが愛嬌があって楽しすぎる
というか、このジュリアの役作りはマジでハマり役を楽しんでるなあ、と
ジュリアおばちゃんがたんに夫であるポールの名前を興奮気味に呼んでるだけでおかしいから不思議

一方でジュリーパートではブログをはじめたものの、そんな自分の書いたことの意味について悩みながらも、じょじょにブログの反応がでてきて・・・って感じの中、楽しむためにはじめたことが現実に影をおとしはじめる「目的と手段が逆になりはじめる」という悩みにおちいると
ブログにかぎらず、ネットを通じて自己表現したことがある人には痛いほどよくわかる話だと思いますね
趣味ではじめたことでなんでストレス感じなければいけないのか、って問題
自己表現に対し誰も反応してくれないなら反応してくれないで、逆に反響が出てきたら出てきた自分を犠牲にしてまで注目してくれてる人を楽しませなくちゃ、という悩みがでてくるわけで
そこら辺を楽しむのがジュリーパートで、料理が上達していくとか、おいしそうなのができたとかいう内容ではないですね

それぞれの私生活をコミカルに描いてるだけで楽しい内容で、個人的にはそれだけで満足なんですが、どうしてラストに向けて話が進む中で間接的ながらもジュリアの現在の気持ちを描いたのかが気になる
なんか微妙にリアルのジュリアが分からず屋みたいなマイナスイメージ植え付けかねないだろ、これは
実際はジュリアのパロディ番組を馬鹿笑いして見てるジュリーのシーンや、自分で暇つぶしのブログにすぎないと語るように、ジュリーはジュリアのにわかファンにすぎなく、しかも料理に向かう姿勢も良くはないわけで
しょうじきブログのネタという自分のオナニー行為のためにジュリアのレシピを利用してるにすぎない、と
そこら辺をよくあらわしてるのが、序盤はブログに反応がなくて「誰か見てる?」とかリアクション乞食しておきながら、終盤には「これはジュリアに向けて書いてるブログですから!キリッ」みたいに言われてもね
どう考えても悪いのはジュリーの方なのにジュリアをおとしめると同時に「でも悪いのは私なの」と分かった風に悲劇のヒロインを演じるとかありえない

映画的にやりたいことは分からんでもないけど、もうちょいジュリアをフォローしてくれれば個人的には完璧な作品だったのに…
そんな感じでちょっとだけ惜しいかな、と思える一本でした

個人的評価:80点(ジュリアおばちゃんに捧ぐ)
オススメ度:骨抜きネタやけに引っぱってたのに、あんだけで終わりとか




ジュリー&ジュリア 予告

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