出演:ジョヴァンニ・アルクーリ / サルヴァトーレ・ストリアーノ / コジモ・レーガ / アントニオ・フラスカ / フアン・ダリオ・ボネッティ / ヴィンチェンツォ・ガッロ / ロザリオ・マイオラナ / ファビオ・カヴァッリ
ローマのある刑務所で重犯罪者たちによる演劇実習が行われていた
今回の演目はシェイクスピアの「ジュリアス・シーザー」に決まり、キャストの選出がはじまる
演じるのは本物の○○たち・・・というウリはそれほど新しいものじゃないけど、この映画の囚人たちは熱い
ものすごく熱い
獄中、廊下、中庭、囚人たちが演じはじめると、マジでそこがローマになったような錯覚をおぼえる
それは劇中劇としての役のセリフか、囚人としてのセリフか、はたまた自分自身の本当の声か、その境界があやふや・・・というか境界じたいがない
画面に映り語るその囚人の言葉の在処の曖昧さ、それがおもしろい
劇の舞台の改修作業により、稽古はつど刑務所のいたる場所で行われる
役に自分らしくアレンジを加える者、作品にのめり込んでいく者、どんどん演じていくうちに現実と劇がカオスに融合していく
自分の役柄ゆえに過去を思い起こしたり、敵対する役を演じる者に現実世界での不満をわきあがらせたり、それでもひとつの劇を完成させるために芝居は続いていく、という内容
しょうじきこの際だから、演じてるのは本物の囚人とかいう要素は忘れて観てもいいんじゃないのかな、と思わなくもないくらい稽古の様子をみてるだけでじゅうぶん楽しめますね
ただしあくまで稽古をみるための映画なので、囚人ゆえの刑務所だからこそのなんらかの深いドラマを期待してると肩すかしをくらうかもしれませんね
あと、セリフや演技に対して「それは劇中劇の役として言ってるの?囚人役として言ってるの?」とはっきりしない点に苛立ちを感じる人は合わないかもしれません
そういう意味でもおもしろい人は大ハマりするし、そうじゃない人にとっては何がおもしろいのか理解できない作品かも
理解できるから賢い賢くないじゃなく、ホントに趣味の問題で大きく評価が異なる一本だと思いましたね
個人的評価:90点
オススメ度:これまたシェイクスピア原作が読みたくなる系の作品
塀の中のジュリアス・シーザー 予告
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