2018年9月14日金曜日

フリクリ オルタナ (2018/日)

監督:本広克行
出演:新谷真弓 / 美山加恋 / 吉田有里 / 飯田里穂 / 田村睦心 / 小西克幸 / 永塚拓馬 / 鈴木崚汰 / 伊藤美紀 / 真坂美帆 / 森功至 / 松谷彼哉 / 青山穣

17才の少女、河本カナは友人たちといつもの日常を楽しんでいた
ある日、空からピンが降ってきて、正体不明のメカとピンク髪の女の戦いに巻き込まれる

確かに昔に観たフリクリながらも、焼き直しとか繰り返しではない内容を楽しめた
登場人物とか設定とか引き継いだまま、前シリーズのその後として話が進むので、前作を知らないままだとつらい部分があるかも
テキトーさと軽快なノリは相変わらず、それでいて軽薄じゃないのも変わらずでよかった
小ネタもけっこうちりばめられていて、たぶん個人的に拾えきれなくて気付いてないところも多いかも
登場人物たちも記号的なキャラではなく、しっかり中身があってエピソードとともに青春ストーリーが楽しめた
目と耳で大いに楽しんだ前作、そこに心に響くものが加わった作品でした

個人的評価:85点
オススメ度:ハル子さんは、からかいがいある少年との掛け合いの方がさらに輝く



フリクリ オルタナ/プログレ 予告

2018年9月9日日曜日

SPL 狼たちの処刑台 (2017/中・香港)

監督:ウィルソン・イップ
出演:ルイス・クー / トニー・ジャー / ラム・カートン / ウー・ユエ / クリス・コリンズ / ジャッキー・チョイ / ビタヤ・パンスリンガム / ハンナ・チャン / ミシェール・サラーム / ケン・ロー

仲違いをした娘がタイで行方不明となった報せを受ける香港警察のリー警部
現地を訪れた彼は、タイ警察のチュイの捜査に同行を申し出るのだった

街にある人や物を取り込むアクション、そのキレの良さが素晴らしい作品でした
BGMを含め、なんとも嫌な雰囲気がこびりつく捜査パートからの目が覚めるようなアクション、そのメリハリがいい
なんかよく分からないけどすごい戦いをしてるアクション映画と違い、ひとつひとつの動作がきちんと目で追えて勢いでごまかしてる感がなくて好印象でした
ストーリーも「これ系ね」と思うところもあるけど、先が読めるながらも負の感情のドロリとした部分と怒りの熱量が感情をゆさぶり続ける
ラストは色々と思う人も多いだろうけど、主人公の内面を想像すればギリギリの選択だったと個人的には納得できた
まあ、気持ちの良いものではないけど、ラスト以外は香港アクション映画の復活の狼煙を感じられた

個人的評価:80点
オススメ度:タイ警察のみんな体術スキル高すぎ



SPL 狼たちの処刑台 予告

こんぷれっくす×コンプレックス (2015/日)

監督:ふくだみゆき
出演:林奏絵 / 上妻成吾 / 春名風花 / 山口遥 / 広江美奈 / 武田直人 / 岡田昌宜

わき毛が気になる中学生のゆいは、同級生のマサトのそれを目で追ってしまう
そんなふたりが放課後の教室で顔を合わせる

わき毛という強烈なインパクトのあるワードが先行するけど、本当に青春ものとしての等身大さが面白い
こそばゆくてムズムズする少年少女の会話と、甘酸っぱいストーリーが秀逸
ネタっぽいわき毛ワードで誘って笑いをとっておいて、本筋の話に引き込む展開が素晴らしい
個人的には過去にも鑑賞済みで、そういう意味もあってアニメ部分の表情の細かい変化を確認できて楽しめた
キャラの心境の移り変わりに初々しい声がマッチし、わき毛とかFlashアニメという特徴に引きずられすぎることなく青春ドラマを堪能できた
短編の中にちゃんと起承転結がある映像作品として、尺の長さとか意識することなく満足度の高い作品でした

個人的評価:85点
オススメ度:ふくだみゆき監督、次作への期待はもちろん、本当に過去作のDVDを望まざるえない



こんぷれっくす×コンプレックス 予告

クライング フリー セックス (2018/日)

監督:岩崎友彦
出演:合アレン / マイケル・ファンコーニ / 高木公佑 / 鈴木佳恵 / ブエノ / 真砂豪 / ぬら田CAGE / 木村圭作

ある任務を前に組織のボスの愛人で相棒のナオミとファックする流れになったコブラ
しかし、その様子が組織に見られてしまい、兵士たちから命を狙われることになる

俺はいったいナニを観せられているんだ、という冷静な心を圧倒的に上塗りしてくるクソパワーが素敵な映画でした
チープなCGにくだらない内容、なんだこりゃというツッコミさえ放棄させる勢いがたまらない
一連のアクションの流れも、無理して描いて残念になっている所が突き抜けていることで、本当に面白く思える不思議な感覚
クライマックスからラストの流れも見事なクソっぷりで、ふつうマイナスな評価になる部分がひっくり返って最高の魅力になっている一本でした
まあ、そこそこ広い心と、こういうもんだという覚悟はいるけど

個人的評価:80点
オススメ度:気兼ねなくファックファック言える素敵な映画



クライング フリー セックス 予告

2018年9月5日水曜日

アントマン&ワスプ (2018/米)

監督:ペイトン・リード
出演:ポール・ラッド / エバンジェリン・リリー / マイケル・ペーニャ / ウォルトン・ゴギンズ / ボビー・カナベイル / ジュディ・グリア / ティップ・“T.I.”・ハリス / デビッド・ダストマルチャン / ハナ・ジョン=カーメン / アビー・ライダー・フォートソン / ランドール・パーク / ミシェル・ファイファー / ローレンス・フィッシュバーン / マイケル・ダグラス

アベンジャーズと戦ったことでFBIの監視下におかれているスコット
監視期日が近づく中、接触禁止だったハンク博士の娘ホープに連れ出されてしまうのだった

アクション映画の二作目は前作より凶暴で凶悪な敵と戦わなければならない、なんてお約束展開がなくとも問題なく楽しめた
アントマンとワスプ、なんだかんだでアントマン主体だろうと思ってたけど、いい感じで両者が助け合うバディアクションになっていた
笑い所も多く、ルイス関連のベタなコントっぽい所や、ふいにぶっ込んでくるコミカルなシーンが面白い
話的にも作品の世界が広がり、各キャラが本当に人間味ある魅力的に描かれていた
スケールが大きすぎず、敵キャラの強大さのインフレに頼ることない、街単位で主人公周りの騒動なのに楽しめる作りはいいですね
アベンジャーズに混じるとご当地ヒーローみたいな微妙さがあるけど、このシリーズはあまり国とか世界とか影響してくる壮大な話にならない方向でこれからもいってほしい

個人的評価:85点
オススメ度:エックス・コンのメンバーが画面に出てきた時の安定のコメディ感がたまらない



アントマン&ワスプ 予告

2018年8月29日水曜日

マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴー (2018/米)

監督:オル・パーカー
出演:アマンダ・セイフライド / ピアース・ブロスナン / コリン・ファース / ステラン・スカルスガルド / クリスティーン・バランスキー / ジュリー・ウォルターズ / ドミニク・クーパー / リリー・ジェームズ / アレクサ・デイビーズ / ジョシュ・ディラン / ジェレミー・アーバイン / ヒュー・スキナー / ジェシカ・キーナン・ウィン / アンディ・ガルシア / シェール / メリル・ストリープ

ホテルの改装パーティを目前にしながらも恋人との関係に悩むソフィ
そして母親ドナの過去が現在と交錯していく

前作から10年、10年後の話として楽しもう、という感じの同窓会パーティ映画でした
めんどくさいこと言わず、あの頃を思い出して楽しくやろうぜ的なノリのよさで押しとる
新しい命とか次の世代へのバトンタッチもあり、過去から現在に繋がる作りもいいけど、やっぱり老齢勢のインパクトが強すぎる
見所の歌やダンスはもちろん、笑えるシーンのことごとくをベテランの方々が持っていく感じ
若い世代へ未来を託して祝いもするが、老いた自分たちだってまだまだ終わったわけじゃない、と観ていてパワーをもらえる
しょうじき途中途中でダルい所はあるし、過去の登場人物たちのドラマに見応えがあるわけでもない
でも皆がみんな楽しそうに踊っているのが最高にゴージャスでハッピーな一本でした

個人的評価:80点
オススメ度:あんたも歌うんかい。しかもノリノリで



マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴー 予告

2018年8月24日金曜日

銀魂2 掟は破るためにこそある (2018/日)

監督:福田雄一
出演:小栗旬 / 菅田将暉 / 橋本環奈 / 柳楽優弥 / 三浦春馬 / 窪田正孝 / 吉沢亮 / 勝地涼 / 夏菜 / 長澤まさみ / 岡田将生 / ムロツヨシ / キムラ緑子 / 佐藤二朗 / 堤真一 / 中村勘九郎 / 堂本剛

万事屋として仕事もなく金欠になった銀時たち
仕方なく人手不足なキャバクラのために働く事になる

2作目だけあってギャグのこなれ感が良くなっていて、ポイントポイントで笑いをかっさらっていく作品でした
ちょっとオーバーアクションすぎ、そして役者の個性に頼りすぎな気がしないでもないので、じゃっかんクセがあるといえばある
今作からの新キャラも増えたけど、相変わらずキャラとキャストのマッチっぷりが良く、これじゃないという印象は薄かった
アクション部分も大幅にパワーアップしていて、なにこんなマジに撮っちゃってるの、などと失礼な言い回しのほめ言葉を贈りたい
話的に万事屋より真撰組がメインなため、主人公の銀時の存在が微妙だったけどあっちもこっちも無理に目立たせるよりは良かったかも
これ大丈夫なのか、と心配させるようなギリギリのギャグ描写も面白く、分かりやすい笑いで万人受けする感じの一本でした

個人的評価:85点
オススメ度:なんだかんだでパロ部分より、キャラ同士のかけ合いの方が楽しい



銀魂2 掟は破るためにこそある 予告

2018年8月19日日曜日

ペンギン・ハイウェイ (2018/日)

監督:石田祐康
出演:北香那 / 蒼井優 / 釘宮理恵 / 潘めぐみ / 福井美樹 / 能登麻美子 / 久野美咲 / 西島秀俊 / 竹中直人

近所のお姉さんに思いを寄せる研究熱心な少年
そんな彼の住む街、住宅街に突如ペンギンの群れが現れる

ペンギンかわいいね、という感覚で観るとちょっと痛い目をみるかもしれない
ファミリー映画ではなく、楽な気持ちで観ると分けわからなくなるし、難しく考えすぎても頭が痛くなると思う
確かなのはお姉さんがかわいいという点につきますね
子供心に持て余す感情とか、誰もが経験してきただろうもどかしさの描写が秀逸でおもしろい
不思議なことが不思議なままに、次々と不思議な出来事が雪だるま式に大きくなっていき、ちょっと話の流れを追うのは疲れるけど退屈している暇がない
これはアレをあらわしていて、あれはソレをあらわしている、と自分の中で考察を広めて誰かと語り合うのが面白いかもしれない
そうして色んな意見を出して刺激しあって盛り上がるのが楽しい一本でした

個人的評価:80点
オススメ度:リアルであったらアオヤマ少年はめんどくさすぎる



ペンギン・ハイウェイ 予告

オーシャンズ8 (2018/米)

監督:ゲイリー・ロス
出演:サンドラ・ブロック / ケイト・ブランシェット / アン・ハサウェイ / ミンディ・カリング / オークワフィナ / サラ・ポールソン / リアーナ / ヘレナ・ボナム・カーター / ジェームズ・コーデン / リチャード・アーミテージ

刑務所から仮釈放されたデビー
早々にあたためていた計画を実行するために仲間を探し始める

続編なんだけどあまり前作までを引きずりすぎず、単品作品としてスピード感のある内容を楽しめました
計画ありきで話が作られているんじゃないのか、ってくらいに観ていてストレスがなく、ほどよくおもしろおかしいスタイリッシュな映像が気持ちいい
逆に言えばアクシデント続きでハラハラドキドキという作風ではなく、自動的にパズルが完成していくのを端から見ている感じ
頭からっぽにして楽しめる娯楽映画として、本当にゴージャスな出演者の面々と合わせて良い目の保養になった
なんか物足らないな、と思わせておいてちょっとひねりがある話の展開もあり、軽薄で安っぽい印象はなかった
豪華すぎる画面とサラッと観られる内容に、目を遊ばせつつ隅々に注視して繰り返し鑑賞しても苦にならない一本かも

個人的評価:80点
オススメ度:お兄ちゃん関連の描き方は個人的にはこのくらいでちょうどいい



オーシャンズ8 予告

2018年8月14日火曜日

隣人のゆくえ あの夏の歌声 (2016/日)

監督:柴口勲
出演:正司怜美 / 福田麗 / 岡本ゆうか / 江藤心愛 / 吉田玲 / 平島咲良

放課後、聞こえてくる歌声に誘われて旧校舎に足を踏み入れるカンナ
ミュージカル部の部室へ招き入れられた彼女は、そこでたったひとりの観客役をやることになる

まさに青春ドラマであり、ミステリーやファンタジー、ホラーに戦争ものと混ざり合う感覚が面白いミュージカル作品でした
ジャンルとして何でもありな全部盛りとか、学生が思いつきで勢いまかせにチャレンジしそうな感じがうまくまとまった上に作風とあいまっていてよかった
なんとなく話の先は読めるものの、それでもラストに向けての展開には自然と体が震えた
キャストが皆さん本当に中学生や高校生ばかり、というのは事前に把握してましたがスタッフや作曲にいたるまで若い方々の力で作られていたことには驚嘆せざるえない
若者たちのチャレンジ精神に対する称賛はもちろん、映画作品としてしっかり見応えのあるものである部分は大きいですね
少女たちのドラマにミュージカルシーンをはさみ、常に一定レベルの気持ち悪さが付きまとう色んな感情が刺激される一本でした

個人的評価:90点
オススメ度:内容がじわじわと染みこんできて、いつまでも離れない



隣人のゆくえ あの夏の歌声 予告

2018年8月12日日曜日

ミッション:インポッシブル フォールアウト (2018/米)

監督:クリストファー・マッカリー
出演:トム・クルーズ / ヘンリー・カビル / ビング・レイムス / サイモン・ペッグ / レベッカ・ファーガソン / ショーン・ハリス / アンジェラ・バセット / バネッサ・カービー / ウェス・ベントリー / フレデリック・シュミット / ミシェル・モナハン / アレック・ボールドウィン

奪われた3つのプルトニウムによる同時爆破テロを防ぐミッションを受けるイーサン
彼はチームを率い、プルトニウムの取り引き現場へと向かうのだった

シリーズを重ねるごとにもっと過激に、もっと奇抜にとアクションの期待は高まるけど、ちょっと今回は個人的には勢いが減速した感があった
これだけのものを見せられて勝手で贅沢な言い分だ、というのは分かるけど、メインミッションのためにサブイベントをこなすような流れは眠くなる
飽きないように派手なアクションをはさんではいるんだけど、突き抜けるぶっ飛んだ部分が中間地点に足りない気がする
誰がどの組織に属していて、敵と味方が読みづらいストーリーの緊張感があるからいいけど、ストーリーに見応えがあるほどじゃない微妙さがなんとも
それでもクライマックスに集中する「こういうのが観たかった」というアクションの連続と、最後の最後までドキドキが継続する流れは終わりよければ、と思えた
区切りとしてなのか前作までを思い出させるシーンが多く、トムさんの体の張りっぷりもすごいし素晴らしい、だけどそこら辺が見所な反面なんとなく足かせになっている感がした一本でした

個人的評価:75点
オススメ度:トムさんのバイクに乗ってる様がかっこよすぎ



ミッション:インポッシブル フォールアウト 予告

2018年8月7日火曜日

2重螺旋の恋人 (2017/仏)

監督:フランソワ・オゾン
出演:マリーヌ・バクト / ジェレミー・レニエ / ジャクリーン・ビセット / ファニー・セイジ / ミリアム・ボワイエ / ドミニク・レイモン

精神的なものによる腹痛をうったえるクロエは精神分析医のポールを紹介してもらう
そして話をするうちに彼と親しい間柄になっていく

本当に精神を鷲掴みされたような感覚に、見事に映画に翻弄された
絶妙に虚実があいまいで、時に目が覚めるようにクッキリしながらも、それすら次の瞬間にはあやしくなる
主人公といっしょに真相を追って観ていくほど、どんどん深みにはまっていく感じがおもしろい
官能的に誘っておいて、油断してると恐怖をおぼえるサスペンス展開に落とされます
序盤こそよく分からなさがちょっと退屈に思えるけど、いったいなんなんだと答えを求めてもがくのが苦しくも楽しい
そしてラストを迎えたとき、ふりかって見ると状況を象徴しているシーンで構成されていた、と多少はスッキリしつつ精神にまとわりつく余韻が何ともいえない

個人的評価:80点
オススメ度:よく分かる(?)双子解説映画



2重螺旋の恋人 予告

2018年8月1日水曜日

ヒトラーを欺いた黄色い星 (2017/独)

監督:クラウス・レーフレ
出演:マックス・マウフ / アリス・ドワイヤー / ルビー・O・フィー / アーロン・アルタラス / ビクトリア・シュルツ / フロリアン・ルーカス / アンドレアス・シュミット / ロベルト・フンガー=ビューラー / ルーカス・ライバー / セルゲイ・モヤ

ナチス統治下のドイツ、弾圧を受けるユダヤ人たちは移送されようとしていた
しかし、その中にはドイツに残り潜伏して生きる者も少なくなかった

実際に潜伏生活していた人たちのインタビューと当時の映像、そこに話を再現したドラマが描かれる作品でした
しょうじきドラマとしてはイマイチで、教材として最後まで潜伏して強かに生き抜いた人たちの話を知るにはいいかも
4人のそれぞれの状況が本人たちの話をはさみ、平行してドラマは進む形なんだけど、ちょっと個人的にごちゃついてる感じがした
戦争映画としてドラマティックな何かを期待してると、ちょっと違和感があるかも
こういう実体験をした人たちの話を聴き、当時の状況を知識としてえたい、とそういう方向性の学習意欲がある人向け、というと言い過ぎかもしれないですが
なんだかんだで助けてくれた人がいたから、と最後にはドラマとしてうなずけるものもあった

個人的評価:65点
オススメ度:ヒトラーを欺いたって過剰邦題すぎじゃないッスかね



ヒトラーを欺いた黄色い星 予告

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ★アディオス (2017/英)

監督:ルーシー・ウォーカー
出演:オマーラ・ポルトゥオンド / マヌエル・“エル・グアヒーロ”・ミラバール / バルバリート・トーレス / エリアデス・オチョア / イブライム・フェレール

キューバ音楽で遅咲きながら世界的に名を広めたブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ
一度は引退したり、過去の人物となっていたメンバーの音楽家としての生き様を描く

キューバ音楽の何を知っているのか、その詩の苦悩をどれだけ理解しているのか、常に考えさせられながら鑑賞
かといって小難しい感じはせず、純粋な音楽に何かとらえどころがなくとも確かに感じるものはある
キューバやその音楽の歴史も合わせて描かれるため、まったく何も分からないということにはならないのは助かった
何はともあれ音楽を愛し、音楽に愛され、同様に人を愛し人に愛され、そんな音楽家たちの人間性が強く心に響いた
生い立ちから音楽人生、BVSCとしての活動と、前作映画のその後、本当に音楽とともに生きる姿が素敵すぎる
キューバ音楽に包まれた空間を満喫しつつ、人の生と表情の華やかさに心を奪われた良い映画でした

個人的評価:85点
オススメ度:もっともっと深くキューバとつながりがあれば最高に楽しめただろうなぁ



ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ★アディオス 予告

2018年7月30日月曜日

the face 品田誠 特集上映

監督:品田誠
出演:品田誠 / 市場紗蓮 / 芦原健介 / 田中一平 / 洪潤梨(現・秋乃ゆに) / Makoto / 池田大 / 紗都希 / 福永マリカ / 細川岳

俳優品田誠にスポットを当てた特集上映
日替わりで作品が変わる中、7月29日はその監督作品である3つの短編作品が上映されました

「ノンフィクション」
自身の周りでの出来事を大切に作品へ昇華させるが、どこか行き詰まり感のある作家がある少女と出会って不思議な体験をする、というお話でした
虚実の交わる描写の中、主人公が苦悩の中で自分の世界を拡張しつつ、という堅苦しさだけでなく、どこかミステリーな雰囲気が観てる側には娯楽成分を与えてくれる作品でした

「Dear」
自分にいまいち自信が持てないながらも役者を目指す女の子の話
過去と現在が交錯しつつ描かれるけど、主人公の過去のパッとしない姿と今の前のめりな姿勢が対照的でおもしろかった
本当に輝いている役者を目指す彼女を応援したくなる

「不感症になっていくこれからの僕らについて」
何を歌えばいいのか分からなくなったシンガーがふらりと故郷に戻ってくる、という中で懐かしいだけではなく優しいだけでもない、変化を目の当たりにしていく様が心に響く
ずっと小さな舞台でも強かに歌い続けてきたシンガーの姿が背後に見え、曲にも主人公のらしさが強烈にあふれ出ていた

という3本でしたが、どれもクリエイター的な立場の主人公ながら、どこにでもいる自分たちのような人の今を等身大に描いていて好感が持てた
同じ日々の繰り返し、とか腐るだけでなくそれでも一歩踏み出す希望の光は気持ちいい

こういう特集上映は「楽しかった」「つまんなかった」という消費行動のための映画じゃなく、その中で奮闘する役者や制作陣の姿を意識させてくれる
そして品田誠さんやその監督作品の出演者の皆さんを、いつかどこかのスクリーンで目にした時、応援する心とともに映画そのものも違った視点で見えてくるかもしれなくて楽しみですね







ストレンジャーズ 地獄からの訪問者 (2018/米)

監督:ヨハネス・ロバーツ
出演:クリスティーナ・ヘンドリックス / マーティン・ヘンダーソン / ベイリー・マディソン / ルイス・プルマン

湖にある保養地へやってきた一家4人
夜、泊まっているトレーラーハウスに見知らぬ女の子がやってくる

前作は観たようなそうでもないような曖昧な記憶だけど、そんなことはまったく問題にならなかった
キャンプ地で殺人鬼に襲われる、というこのての作品のベース、そんな土台だけで飾り付けが淋しい内容でした
見た目はちょっとインパクトはあるけど、なんか雑な行動ばかりの殺人鬼で、しかも肝となる殺しの描写もこれといった見どころがない残念さ
それでも何者で何故こんなことをするのか、そしてそのマスクの下の顔は、という点を気にしながら観てたけど...
いや、まあ、ただでさえ特筆すべきところがないのに、この内容でこのオチはガッカリ感が増大するだけ
スリラー映画のテンプレだけで撮ったような、本当に記憶に残らないだろう一本でした

個人的評価:40点
オススメ度:たぶんこうくる、という読みはことごとく当たる易しい作り



ストレンジャーズ 地獄からの訪問者 予告

スティルライフオブメモリーズ (2018/日)

監督:矢崎仁司
出演:安藤政信 / 永夏子 / 松田リマ / 伊藤清美 / ヴィヴィアン佐藤 / 有馬美里 / 和田光沙 / 清川葵 / 瑞乃サリー / 大塚玲央奈 / 四方田犬彦

個展を開催する写真家の鈴木春馬
そんな彼に質問を受け付けず、撮ったフィルムを貰いたいという個人的な撮影の依頼がある

映画でアートで写真な映像が視覚を通じ、感覚的にうったえてくる作品でした
女性器を撮る、という内容ながらあくまで被写体として切れ味のあり、思ったよりいやらしさが薄い
反面、撮影シーン以外の女性の生々しさ、艶っぽさにいやらしい目線にならざるえない
眼前に女性器をオープンな怜が静、主人公の春馬の恋人の夏生が官能的な動、とふたりの対比が面白かった
現実を抜き出す手段としての絵画、写真、そしてこの映画そのものの三様の表現が一度に楽しめた
何かよく分からないが引っかかる、そんな取っ掛かりの部分が掴める一本でした

個人的評価:80点
オススメ度:映画を観てどう感じるか、良い意味で個々の思いにそれぞれの広がりを与えてくれる



スティルライフオブメモリーズ 予告

ブラッド・マネー (2017/米)

監督:ラッキー・マッキー
出演:ジョン・キューザック / エラー・コルトレーン / ウィラ・フィッツジェラルド / ジェイコブ・アーティスト

山中の川へ遊びに来た3人の男女
恋愛関係がもつれる中、川辺でいわくありげな大金を見つける

最初から最後まで徹底したビッチ映画でした
大金を手にした3人もビッチにかき乱され、命が狙われ追われてるのに本当にもう気持ちよくなるくらい考えなしなバカ行動
敵である追跡者も裏社会の冷酷非常なタフガイとはかけ離れていて、どこか素人くさくてこっちも考えが足りない行動ばかり
そんな追う者も追われる者もポンコツなゆるい感じが味になってる
ヒロインのビッチっぷりは何回口にしても足らないけど、不思議とそのたくましさが魅力に思えてきて、それほど観ていてイヤな気持ちにはならなかった
ラストのオチもそこそこな、全体的に古臭いそこそこ映画でした

個人的評価:70点
オススメ度:一昔前に深夜、もしくは午後にテレビでやってたような内容



ブラッド・マネー 予告

2018年7月25日水曜日

ローライフ (2017/米)

監督:ライアン・プロウズ
出演:ニッキー・ミッチョー / リカルド・アダム・サラテ / ジョン・オズワルド / シェイ・オグボルナ / サンタナ・デンプシー / マーク・バーハム

メキシコの英雄モンストロのマスクを受け継ぐ元レスラーの男
テディに雇われ、悪事に身を染める彼に子を宿した妻は逃げようと説得するが...

容赦ない暴力に残酷描写、そして愛すべきバカっぷりに大笑いできる作品でした
しょうじき最初は何がしたい映画なのか分からないけど、徐々にピースが埋まってきて作りが見えてくると面白くなる
基本的には犯罪の話ながら、そのバイオレンスの隙間におかしくて笑える要素を挟んでくるのがいいですね
どんどん登場人物のバカどもの馬鹿馬鹿しさがクセになってきて、心の中でツッコミ入れながら観るのが楽しい
なんだかんだ先の読めなくて、突拍子もない行動をとるバカばかりな素敵キャラたちに退屈しない
何ともいえない粗さや雑っぽさが面白い一本でした

個人的評価:80点
オススメ度:レガシーなら仕方ない



ローライフ 予告

2018年7月22日日曜日

ラ・チャナ (2016/スペイン・アイスランド・米)

監督:ルツィヤ・ストイェビッチ
出演:ラ・チャナ / アントニオ・カナーレス / カリメ・アマジャ

世界的なフラメンコ・ダンサー、ラ・チャナ
彼女の過去と現在を描く

ファースト・シーンからグッと魂が引きつけられ、終始あつい感情に満ちた作品でした
コンパスの話も含め、全体的に感覚にうったえてくる部分が多く、感想を言葉にできなくても心の深いところに確かに響く
ダンスの素晴らしさはもちろん、過去の映像が流れるたびにクライマックスのごとく圧倒的な熱量が伝わってきて、幾度となく自然と体がふるえた
もちろん現在の彼女の生活やダンスの裏にあった過去の話なども見応えはある
そして老ラ・チャナの現在の日常を映し出してきてからのラスト、今までのはこれをみせるためにあったのかと、ここまでで一番に感情が高ぶった
彼女のことを知っていてもそうでなくとも、そんなことどうでもいい感じでダイレクトに魂が熱気に包み込まれる一本でした

個人的評価:80点
オススメ度:辛い経験も長いブランクもすべて踊るエネルギーに変換する強さに学びたい



ラ・チャナ 予告

2018年7月18日水曜日

モンキービジネス おさるのジョージ著者の大冒険 (2017/米)

監督:山崎エマ
出演:ハンス・レイ / マーガレット・レイ

児童書「おさるのジョージ」の作者であるハンスとマーガレット
ふたりの出会い、人生、作品の製作を描くドキュメンタリー

本人の声が残った記録映像、関係者のインタビュー、そこにアニメーションが加わることでかなりみやすくなっていた
日々の単調な繰り返し、退屈さ、そして戦争の悲惨さを体験しながらも、あくまで制作される作品には影を落とさないクリエイター心が素晴らしい
ふたりの話を聞いていると、苦労話も日常の冒険話に思えるとか本当に素敵すぎる
ハンスとマーガレットそれぞれの人間性も面白く、特にマーガレットがこんな強烈な性格だとは思わなかった
もうちょい容赦ない深刻なエピソードが観たい気がしたけど、生っぽすぎない絵本の世界のようなフンワリしたふたりのキャラクターの人生冒険話なこの作りもこれはこれで
色んな意味で優しいドキュメンタリー、みたいなちょっと風変わりな雰囲気に包まれた一本でした

個人的評価:75点
オススメ度:個人的にはジョージはアニメの印象が強い



モンキービジネス おさるのジョージ著者の大冒険 予告

コールド・スキン (2017/スペイン・仏)

監督:ザビエ・ジャン
出演:レイ・スティーブンソン / デビッド・オークス / アウラ・ガリード

ある島へ気象観測員としてやってきた男
灯台守しかいないその島で、男は謎の生き物に襲われるのだった

なんかよく分からん怪物に心が怪物になった灯台守のグルナーが戦いを挑む、どこか文学的なようで考えさせられる作りが果てしなく眠い作品でした
憎しみに歪んだ心のグルナー、謎の生き物、傍観者でいて何か悟ってる感の主人公、その戦いに何かしら見いだしてほしいのかもしれんけど、考えるのがめんどくさい
パニックでサバイバルなモンスターものの単純明快B級アクションかと思いきや、本当に予想以上のめんどくさい作りにげんなり感だけが残る
怪物うんぬんや心のあれこれとか、まあ言わんとするところは察するけど、テーマ性が響くことはなかった
それでも何か輝くものがあるはず、と最後まで期待してたんだけど、けっきょく「ああ、うん...」という感じでラストまでアレだった一本でした

個人的評価:40点
オススメ度:途中でふいになんで戦ってるのか分からなくなる

いいいい



コールド・スキン 予告

2018年7月15日日曜日

リチャード・リンクレイター 職業:映画監督 (2016/米)

監督:ルイス・ブラック
出演:リチャード・リンクレイター / ジャック・ブラック / イーサン・ホーク / マシュー・マコノヒー

映画監督リチャード・リンクレイター
彼の映画作りの軌跡を描く

ビジネスとしての映画作りに傾きすぎず、夢を実現し続けながら現実的でもある監督の人柄に惚れる
何かをやりたいという夢想は簡単だし心地いいけど、それを実現するために努力し、地盤固めをする姿に感じるところが多い
そして偏屈でワンマンな訳でもなく、作品のためには仲間をつのり資金を集め、役者の思いを大切にする他者とのつながりを築く魅力あふれる人間性が素敵でした
作品がヒットしてもコケても新しいものを生み出そうとする心、自分に足りない部分と反省すべき点が見えてきて、当たり前だけど努力なしで小手先で乗り切って成功だけを求める自身が恥ずかしくなった
この作品をきっかけに、以前に観たことのある監督作品をまた鑑賞したいと思わされる一本でした

個人的評価:80点
オススメ度:第三者の評価はそれとして、自身の作品に自信を持つ男気がいい



リチャード・リンクレイター 職業:映画監督 予告

2018年7月12日木曜日

フジコ・ヘミングの時間 (2018/日)

監督:小松莊一良
出演:フジコ・ヘミング / 大月ウルフ

老齢のピアニスト、フジコ・ヘミング
彼女の日々の演奏と生活を描く

本当に失礼ながら彼女のことをよく知らずに観たのですが、その見た目とは違って親しみやすい人柄に親近感がわきました
演奏シーンでも素人目にみても卓越した技巧が素晴らしく、それでいて音楽そのものにはひどく馴染むものでした
すごいとか素晴らしいとかは大前提として、その奏でられる音が本当に身近なものに感じられた
私生活の中で語られるこれまで歩んできた人生も、その一部を抜き出しただけにすぎないのに人として好意を抱かざるえない
猫や犬たちとの関わり合いも微笑ましく、家へのこだわりや家族や友人たちへ向ける想い、クラシック音楽のドキュメンタリーなんて眠いだけと避けるのはもったいない
ひとりの人間として好感が持てたならば、音楽と人間のふたつのドキュメンタリーが一得できて耳も心も満たされる作品ですね

個人的評価:85点
オススメ度:ウルフさんのキャラが濃すぎて、そこだけ別映画になる



フジコ・ヘミングの時間 予告

ルームロンダリング (2018/日)

監督:片桐健滋
出演:池田エライザ / 渋川清彦 / 伊藤健太郎 / 光宗薫 / 木下隆行 / つみきみほ / 田口トモロヲ / 渡辺えり / オダギリジョー

無口な御子は事故物件の部屋に入居するアルバイトをしていた
そんな彼女には幽霊が見える特異な能力があるのだった

様々な霊、そして人間たちと御子の関係がほほえましく、鑑賞後に自然と笑顔になる作品でした
現代社会のうんぬんとか難しいことを考えずとも、多くを、またはどこか主人公に自分を重ねて現実に思うところが頭に浮かぶ
どこか裏がありそうな人物とか、エグみのある事件がアクセントになって、お化けバラエティでふわっとしすぎてないのもいい
主人公周りのドラマへ深く進む感じも素直に楽しめるし、「あのシーンはそっちの意味だったのね」と思わされる手法もおもしろい
適度なゆるさとピリ辛感、そして主人公のエロさも見逃せない
なにより鑑賞後の心地よさがじんわりしみる一本でした

個人的評価:75点
オススメ度:テレビドラマでまったり観たい



ルームロンダリング 予告

セラヴィ! (2017/仏)

監督:エリック・トレダノ / オリビエ・ナカシュ
出演:ジャン=ピエール・バクリ / ジャン=ポール・ルーブ / ジル・ルルーシュ / バンサン・マケーニュ / アイ・アイダラ / スザンヌ・クレマン / アルバン・イワノフ / バジャマン・ラベルヌ / ジュディット・シュムラ / エレーヌ・バンサン

ベテランのウェディング・プランナー、マックスはある古城での式を演出する
しかし集まったチームの面々は面倒ごとばかりを起こし、頭を悩ませるのだった

元々の性格やら、突発的なアクシデント、プライベートな問題でぜったいすんなりいきっこない感が面白おかしい作品でした
ドタバタコメディというか喜劇という表現がしっくりきて、ちょっとずつ重ね積み上げられていく笑いの要素ひとつひとつが可笑しくてたまらない
爆発的な大爆笑でいきおいまかせなノリと違い、笑いの波、そのリズム感が心地いい
多彩なキャラが次々に出てくるけど、話が進むにつれて面白さが浮かび上がり魅力的に輝き出し、どのキャラも素敵に感じられた
どいつもこいつもクセがあって、ポンコツ要因を抱え、どうしようもない奴らの失敗が楽しいと同時に、そいつらが生み出す素晴らしさも堪能できた
主人公マックスの皺のひとつずつも演技になっていて、その気が気じゃない苛立ちが先の展開に期待をふくらませてくれる

個人的評価:80点
オススメ度:私は個人的に面白い職場だとは思うけど、ぜったい関わり合いたくない



セラヴィ! 予告

2018年7月11日水曜日

ハン・ソロ スター・ウォーズ・ストーリー (2018/米)

監督:ロン・ハワード
出演:オールデン・エアエンライク / ウッディ・ハレルソン / エミリア・クラーク / ドナルド・グローバー / タンディ・ニュートン / フィービー・ウォーラー=ブリッジ / ヨーナス・スオタモ / ポール・ベタニー / ジョン・ファブロー / エリン・ケリーマン / リンダ・ハント / ワーウィック・デイビス

パイロットになる夢を持ちながら帝国軍の歩兵として戦うハン・ソロ
ひょんなことから出会ったチューバッカとともに、ベケットたちの協力で脱走を企てる

過度な期待はしてなかったけど、それでも序盤の眠たさがマイナス要因すぎる作品でした
とにかくずっと暗い画面でもぞもぞ動いてる主人公たちに、このままずっといくのかと観ていて本当に不安になる出だし
大暴れな脱出劇から画面も明るくなり、やっと面白くなってくる
中盤の盛り返しで眠気もさめるけど、何かすごいことになってる感で誤魔化されてる気分は否めなかった
スターウォーズ的なつながりをにおわすのも中途半端で、仲間たちとの関係もスッキリしないし、思ってた以上に冒険活劇な気持ちよさは薄かった
単純でもいいから、ハン・ソロとチューバッカの痛快なスペースバディアクションアドベンチャーが観たかった

個人的評価:70点
オススメ度:バタ臭い&泥臭いの暑苦しさ、そんな男の物語でもなかった



ハン・ソロ スター・ウォーズ・ストーリー 予告

2018年7月3日火曜日

ガチ星 (2017/日)

監督:江口カン
出演:安部賢一 / 福山翔大 / 林田麻里 / 船崎良 / 森崎健吾 / 伊藤公一 / 吉澤尚吾 / 西原誠吾 / 博多華丸 / モロ師岡

競輪学校で過酷な練習に耐える40歳になろうという濱島
彼は8年前に戦力外通告を受けた元プロ野球選手だった

少年マンガなスポ根もいいけど、おっさんが主人公の大人なそれも好みにあってて楽しめた
おっさんのプライドをこじらせたような主人公がどうしようもない奴ながら、泥臭く人間味があって魅力的でした
ままならないことばかりな中で気づいたり世紀気づかされたりしながらも、毎度のように転落していく一歩進んで足踏み外す感じが、いろいろと凝り固まったおっさんをよくあらわしていた
周りのキャラも優しいだけでもなく、厳しかったり、小賢しかったり、多種多様な人たちに囲まれてドラマが盛り上がる
特に教官は良い味を出しまくっていて、主人公のやさぐれっぷりを輝かせてくれる
ちょっとライバルとの関係の描写が必要最小限すぎる気もするけど、努力展開の王道なスポ根クライマックスはたぎらざるえない

個人的評価:80点
オススメ度:もっともっと他の男どもの抱えるドラマが観たい



ガチ星 予告

2018年7月1日日曜日

カメラを止めるな! (2017/日)

監督:上田慎一郎
出演:濱津隆之 / 真魚 / しゅはまはるみ / 長屋和彰 / 細井学 / 市原洋 / 山崎俊太郎 / 大澤真一郎 / 竹原芳子 / 吉田美紀 / 合田純奈 / 岩地紗希奈 / 秋山ゆずき / 山口友和 / 藤村拓矢 / 高橋恭子 / イワゴウサトシ

ゾンビ映画を撮影している一行だったが、監督の意向にそわない芝居に難航していた
そんな中、急にゾンビ化した撮影スタッフが仲間を襲い始める

本当に面白い、単純にそんな言葉しか浮かんでこない作品でした
観ていて何かおかしいと引っかかる場面が、後半になって裏側で起きていたことが分かり、よく練られた内容だと思い知らされる
逆に普通に盛り上がるうまい演出かと思いきや、その実は大変になっていたり、その作品の構造がたまらなく素晴らしい
なんだかんだで結末は見えている、なんて油断してたけど終盤のたたみかけは巧妙さと笑いで盛り上がりまくりますね
そして話や構造を支えるキャラを演じる役者さんたちの個性と演技も輝いている、すべての要素がうまいぐあいにかみ合っている感じの一本でした

個人的評価:95点
オススメ度:アイディア勝負のB級ゾンビ映画、なんて安い思いで観た自分が恥ずかしい



カメラを止めるな! 予告




(追記)

この日、上映終了後にこの映画の監督上田慎一郎さんとゲストに映画監督の大九明子さんによるトークイベントがありました
作中でのハプニングだと思ってたところが実はちゃんと演技だったり、逆に演出かと思ってたところがハプニングだったり、裏事情が分かって楽しめました
さらに劇場ロビーでは出演者の皆さんも集まっていて、ちょっとずつお話をうかがえて充実&大満足

名前 (2018/日)

監督:戸田彬弘
出演:津田寛治 / 駒井蓮 / 勧修寺保都 / 松本穂香 / 内田理央 / 池田良 / 木嶋のりこ / 金澤美穂 / 比嘉梨乃 / 真広佳奈 / 小槙まこ / 戸畑心 / 柿本朱里 / アベラヒデノブ / 田山由起 / 竹下かおり / 信國輝彦 / 松林慎司 / 稲荷卓央 / 波岡一喜 / 川瀬陽太 / 田村泰二郎 / 西山繭子 / 筒井真理子

様々な偽名を使って日々を暮らす男
ある日、そんな男の前に娘だという見知らぬ女の子があらわれる

想像通りな自分とは~みたいな映画だったけど、男と女の子のふたりの関係がどんどん深みを増して味わい深くなる内容でした
意外とあっさり本名が分かって、序盤から思ったような展開じゃなくて退屈しなかった
ごちゃついた部屋のリアルとか、ふたりのナチュラルな日常、なにより津田寛治さんの演技を存分に楽しませてもらいました
内容的にも時間軸の描き方が巧みで、ここであそこにつながるのか、とふたりの事情が分かるたびに引き込まれていった
名前で演じる自分、さらけ出しているつもりの自分、意識しなくても他人とうまくはまる自分、大いに考えさせられる
それでいてめんどくさすぎず、からっと可笑しい心が軽くなる一本でした

個人的評価:85点
オススメ度:軽すぎず重すぎず津田寛治さんの演技がハマってた



名前 予告

アメリカン・アサシン (2017/米)

監督:マイケル・クエスタ
出演:ディラン・オブライエン / マイケル・キートン / テイラー・キッチュ / サナ・レイサン / デビッド・スーシェ / シーバ・ネガー / ナビド・ネガーバン / スコット・アドキンス

テロ事件によって恋人を失ったミッチ
復讐心から己を鍛え、テロ組織と接触をはかるが彼の身はCIAにずっと監視されていた

またスパイものかと思いつつ、復讐者としての主人公の不安定さと流れるように進む話が面白かった
しょうじき画面的に地味な上、なんかひと味足りない印象、そして世に溢れかえるB級映画くさいタイトルがもったいない
ロケーションを細かく変えての二転三転するストーリーに、分かりやすい伏線の回収と話自体ののめり込みはいい感じ
主人公と師匠、そして敵役との対比もいい感じで、ちょっと煮詰まらないままにドラマが展開してる気もするけど、それぞれの関係も見応えはあった
けっして頭からっぽで後に何も残らない気持ちいいだけのアクションじゃなく、ストーリーも楽しめたけど、けっきょくこれといったとがった部分がなくて印象に残りづらい一本でした

個人的評価:75点
オススメ度:TVドラマになったらぜったいミッチがスタンと訣別する流れになるだろうな



アメリカン・アサシン 予告

ウィンチェスターハウス アメリカで最も呪われた屋敷 (2018/豪・米)

監督:マイケル・スピエリッグ / ピーター・スピエリッグ
出演:ヘレン・ミレン / ジェイソン・クラーク / サラ・スヌーク / フィン・シクルーナ=オープレイ / エイモン・ファーレン / アンガス・サンプソン

1906年のアメリカ、ドクターのプライスはウィンチェスター家の女主人の精神鑑定を依頼される
長年増築を繰り返す奇妙な館でプライスは奇怪な幻覚に悩まされるのだった

じわりと精神を侵食してくる系なんだけど、怖がらせ方はびっくり箱なホラーでした
序盤から不意をついた驚かせ技のジャブで攻めてくるけど、ドクターのドクターらしい心持ちのおかげで亡霊が原因と認めないもたつきがもどかしい
事の真相が見えてくると盛り返してきて、なんとなく最初から見直したくなり、霊に関してもちょっと認識が変わるのは良かった
主人公の過去のドラマとか、ウィンチェスター銃とか、大叔母さんの戦士っぷり、子供を守る守護者、心の中の恐怖、いろんなものがとっちらかってる感は否めない
なんかめんどくさいこと言わず、文字通りのお化け屋敷パニックだった方が個人的に好みだったかもしれない

個人的評価:65点
オススメ度:さすがに霊的な何かが作用したと甘めに見ても子供キャッチには違和感



ウィンチェスターハウス アメリカで最も呪われた屋敷 予告

2018年6月27日水曜日

マッド・ダディ (2017/米)

監督:ブライアン・テイラー
出演:ニコラス・ケイジ / セルマ・ブレア / アン・ウィンターズ / ザカリー・アーサー / ランス・ヘンリクセン / オリビア・クロチッチア

突如として親が子を襲い殺す原因不明の事件が多発する
娘と息子のいるブレントとその妻にもその影響が及び...

予告を見た時はニコラスさんの久々の当たり&ハマり役じゃないか、と思ったけど実際に本編を観たらいつも通りの微妙ニコラス映画でした
親が子を襲う、という印象に残るイメージのままに、序盤からきそうでこない煽り演出が先の展開に期待をふくらませられる
そこからゾンビ映画の変化系みたいな街中パニック、というところまではよかった
いざ主人公家族に集中して話が進み出した途端、急に失速してダラダラしてくる
それでも瞬間、瞬間に輝くニコラスさんの演技で間はつながるけど、ラストまでそうぶっ飛んだところも控え目にバッサリ断ち切りエンドで「ん?」とならざるえない
親子の殺戮映画だけに胸くそ悪いながら、さすがに直接的な描写は少な目なところには救われた
しょうじき予告編で全て出し切ってる感は否めない

個人的評価:65点
オススメ度:最初の方のゾンビパニック系のノリでずっといけば良かったのに



マッド・ダディ 予告

ブリグズビー・ベア (2017/米)

監督:デイブ・マッカリー
出演:カイル・ムーニー / マーク・ハミル / ジェーン・アダムス / グレッグ・キニア / クレア・デーンズ / マット・ウォルシュ / アンディ・サムバーグ / ミカエラ・ワトキンス

シェルターの家から一歩もでず、教養番組のビデオを見て両親とともに暮らすジェームス
ある日、変わらぬ日常の中、家に警察官たちがやってきて彼を連れ出すのだった

コミカルとシリアスの狭間で、ここ笑ってもいいんだよな、と思いつつも根底にこびり付く主人公の境遇が常に頭の隅にチラつく
思ったよりも笑えないというかノリのいい刑事さんや、気のいい友人、理解ある家族と良キャラばかりで不思議と微笑ましい
話が進むに連れてなんか良い話になっていき、最後には感動というかしんみりさせられた
主人公ジェームスが外の世界に出ての騒動ではあるんだけど、社会とのズレはあっても人物的にバカじゃないのはよかった
逆に言えば25歳児の男が幼稚さ丸出しで騒ぐ、そんなよくあるコメディを期待していると、いつまでたってもはじけない展開にもやつくかもしれん
主人公のスタート地点は鬱々とするけど、心の支えなブリグズビーと良い人たちに囲まれた優しい世界の作品でした

個人的評価:75点
オススメ度:ビデオというアイテムが懐かしく思える時代になったのね



ブリグズビー・ベア 予告

2018年6月24日日曜日

女と男の観覧車 (2017/米)

監督:ウッディ・アレン
出演:ケイト・ウィンスレット / ジャスティン・ティンバーレイク / ジム・ベルーシ / ジュノー・テンプル / ジャック・ゴア / デビッド・クラムホルツ / マックス・カセラ

1950年代のコニーアイランドに訪れたキャロライナと出会うジニー
キャロライナは父であるハンプティに会いに来たと語り出す

いつまでもどこまでも続く会話劇、それが退屈に思える面がありつつ、最後まで見終わると不思議と面白かったと思える妙な魅力のある作品でした
現実を幻想と、またはその逆とはきちがえて視野が狭くなっていく登場人物たちの滑稽さが素敵で、台詞に追われがちだけどカメラの動きや表情の演技も素晴らしい
ある一定の枠内での男と女の、親と子のすれ違いっぷりが秀逸で、その時に前に出てきてる人物以外の気持ちまで映し出されているようでした
こじれにこじれるそれぞれの関係に、さらにこじれを重ねがけされていくクライマックスがたまらなくおもしろい
そこにいろんな意味で愚かなジニーとハンプティの姿が、笑えない状況ながらおかしくて仕方なかった
笑えないようで笑える、笑えるようで笑えない、こじれた関係の複雑なドラマがシンプルに帰結するラストのおさまりもいい感じでした

個人的評価:75点
オススメ度:それでもやっぱり途中は眠くなる



女と男の観覧車 予告

オンリー・ザ・ブレイブ (2017/米)

監督:ジョセフ・コジンスキー
出演:ジョシュ・ブローリン / マイルズ・テラー / ジェームズ・バッジ・デール / ジェフ・ブリッジス / テイラー・キッチュ / ジェニファー・コネリー

森林消防隊の指揮官エリックは長年の活動のすえ、精鋭部隊ホットショットへ隊を格上げさせるチャンスをつかむ
そこへヤク中だったブレンダンが入隊を希望してくるのだった

森林火災への対処法が分かり、火の回りの早さに驚愕し、そしてどこの国のどんな消防士でもノリは同じなんだなと思える作品でした
ランクアップするために訓練を気張り、実際の火災をスキルと経験値でおさめる男たちの姿は、やるべきことをやっているだけに人間性以上にかっこよく見えますね
内容自体はそんな隊の日常と、個々の家族ドラマな感じで地味にもほどがあるけど、ブレンダンとマックのキャラのにぎやかしっぷりで退屈すぎるまでにはなってない感じ
しょうじきエリックさんと火災と家族のドラマだけだったら眠たくてたまらんかったかも
ラストの展開もこれはこれで衝撃を受ける部分はあるけど、ここまで築き上げてきたものをなかったことにするようなリアルよりな描き方に戸惑う
もっと娯楽よりに熱い絆とか、託す者と受け継ぐ者の感情をふるわせる感動もの路線に寄せてくれても良かった気がしないでもない

個人的評価:75点
オススメ度:なんか色々と手を広げすぎてエリックさんとブレンダンの関係にあまりグッとこない



オンリー・ザ・ブレイブ 予告

2018年6月22日金曜日

V.I.P. 修羅の獣たち (2017/韓)

監督:パク・フンジョン
出演:チャン・ドンゴン / キム・ミョンミン / イ・ジョンソク / パク・ヒスン / ピーター・ストーメア

ソウルで起こった連続婦女暴行殺人事件を追うチェ警視
容疑者を特定するが、相手がVIPだったために国家情報院の邪魔が入る

何はともあれ犯人でVIPのクソっぷりに胸くそ悪くなる上に、ラストを向かえてもスッキリしない
ただそれで作品自体がつまらなくなるではなく、各陣営の立場と登場人物たちのやるせなさが心に残る
北朝鮮の情勢とか、組織どうしの絡みとかちょっと複雑で、それゆえにみんなクソ男を持て余しながらの二転三転する状況が面白い
クソ男のクソっぷりが加速するほど観ていてイライラがつのり、同時に映画的には各登場人物の感情が沸騰してきて盛り上がってくる
クライマックスにはちょっと驚きの展開もあり、観ている側の鬱憤をはらすような流れになりながら、本当に徹底して気持ち良くしてくれない展開は先が読めない
最後まで気が抜けずに緊張感は続くけど、良くも悪くも胸くそと後味の悪い一本でした

個人的評価:80点
オススメ度:肩書きばかりなCIAすぎるだろ



V.I.P. 修羅の獣たち 予告

2018年6月20日水曜日

榎田貿易堂 (2017/日)

監督:飯塚健
出演:渋川清彦 / 森岡龍 / 伊藤沙莉 / 滝藤賢一 / 宮本なつ / 渡邉蒼 / 三浦俊輔 / 駒木根隆介 / キンタカオ / 金子昌弘 / 諏訪太朗小 / 片岡礼子 / 根岸季衣 / 余貴美子

東京から群馬の渋川へやってきて、何となく勘で万屋をはじめた榎田
従業員やつるんでいる仲間たちと下世話な話に花を咲かせる

俗っぽい中年の下ネタ井戸端会議な掛け合いが面白く、登場人物みんな憎めない作品でした
基本は各キャラの問題や秘め事を面白おかしく噂し、時に問題に実際に首を突っ込んで引っ掻き回すコメディで、軽妙なセリフのやりとりがクセになる
ちょっとコント臭すぎるところもあるけど、良い感じにふわっとしたキャスティングの妙で、いやな感じはしない
笑いの要素が前のめりで暑苦しすぎず、引いた感じで冷笑になりすぎない、このどっちつかずな適当感が味になってる
なんてことはない日常に、子供っぽい大人たちがやいやいやってる空気が楽しく、ロケ地のローカルさもあまりグイグイ無理に描いてないのも良い
ふいに展開が急変するけど、それも含めて最初から最後まで観ることで、主人公榎田の「これまでもこんな感じでやってきたのかな」というイズムが分かる

個人的評価:75点
オススメ度:本当に渋川さんの演技と主人公のキャラがハマりすぎ



榎田貿易堂 予告

ALONE (2016/米・スペイン・伊)

監督:ファビオ・レジナーロ / ファビオ・ガリオーネ
出演:アーミー・ハマー / アナベル・ウォーリス / トム・カレン / ジェフ・ベル / ジュリエット・オーブリー

砂漠の戦地で作戦に失敗、相棒と敵の追撃から逃げる軍人のマイク
その途中、ふたりは地雷原に足を踏み入れてしまうのだった

分かりやすい極限状態のサバイバルもの、という期待は裏切らないままにドラマ性も堪能できた
身動きできない状況で必要なアイテムを何とか入手し、度重なるハプニングに立ち向かう
そんな容易に想像できる内容でありながら、後半には主人公の人間ドラマが展開しておもしろい
ただ、ボロボロになりつつも知恵と気力で困難を乗り越え、絶体絶命、ハラハラドキドキでラストまで突っ走るタイプじゃない感じで、そっち系を想像していると退屈に思えてくるかも
幻想や幻聴がときおり短く挟まれ、その時はなんかよく分からなくても、最後にはちゃんと理解できる作りなのもいい
砂漠の足跡とか、細かい痕跡もちゃんと描かれており、低い目線の場所まで良くできていると感じた

個人的評価:75点
オススメ度:なんだかんだアーミー・ハマーさんの男前っぷりが素敵



ALONE 予告

2018年6月17日日曜日

キスできる餃子 (2018/日)

監督:秦建日子
出演:足立梨花 / 田村侑久 / 佐野ひなこ / 中島広稀 / 古川凛 / 大石吾朗 / 佐藤美希 / 勇翔 / 浅野和之 / 麻生祐未

夫の浮気で離婚、さらに家賃滞納、仕事先からも解雇話をされ実家に戻ることになったシングルマザーの陽子
しかし、宇都宮で餃子屋をやっている父は廃業しており、彼女は自力で店を再開することにするのだった

カラッと爽やかにラブコメより餃子要素多め、スイーツ映画とは異なる餃子映画でした
ローカル感満載なのはもちろん、観た後に餃子を食べたくなることなんてキャッチコピーみたいなこととバカにできない、本当に餃子が食べたくなりましたね
強い女性とあり得ない出会いの恋、冷静に考えればそうなんだけど、頑固でコミカルなお父さんやしたたか可愛い娘の存在によるドタバタで総じてコメディとして楽しめた
しょうじき餃子とロマンスの化学反応以外の部分はドラマ的に弱い気もするけど、よく知る街を応援したり餃子を愛したり、不思議と優しい気持ちで観ていられました
なんか特別に旨そうな餃子描写があるでもなく、スペシャルなラブロマンスがあるでもない、けど身近に感じる映画との距離感に親近感をおぼえた一本でした

個人的評価:70点
オススメ度:最後にはタイトルの意味もちゃんと分かってスッキリ



キスできる餃子 予告




追記)
この日、舞台挨拶付きの上映回でした
監督の秦建日子さん、主演の足立梨花さん、主人公陽子の友人役の佐野ひなこさんが上映後、登壇されてのトークイベントがありました
個人的にはもうちょい監督の裏話が聞きたかったところですが、女性陣ふたりのチャーミングさにメロメロにならざるえないひとときでした


空飛ぶタイヤ (2018/日)

監督:本木克英
出演:長瀬智也 / ディーン・フジオカ / 高橋一生 / 深田恭子 / 岸部一徳 / 笹野高史 / 寺脇康文 / 小池栄子 / 阿部顕嵐 / ムロツヨシ / 中村蒼 / 柄本明 / 佐々木蔵之介 / 和田聰宏 / 木下ほうか / 浅利陽介 / 六角精児 / 大倉孝二 / 津田寛治 / 升毅 / 谷村美月 / 近藤公園 / 村杉蝉之介 / 渡辺大 / 矢野聖人 / 田口浩正 / 斎藤歩 / 岡山天音 / 矢島健一 / 津嘉山正種 / 毎熊克哉 / 加藤満 / 筒井巧 / 中林大樹 / 井上肇 / 小久保丈二 / 高川裕也 / 木下隆行 / 木本武宏 / 池上紗理依

赤松運送が所有するトラックが走行中に脱輪事故を起こし、死者を出してしまう
整備不良を疑われ、経営が苦しくなる中で社長の赤松は独自に調査をはじめるのだった

中小企業対巨大企業との争い以上に、人としての戦いが見応えあった
分かりやすく感情移入できる赤松社長と対をなすような沢田さんの存在が大きく、ダブル主演な感じで様々な視点で物語を楽しめた
そんなふたり以外にも話のバックで戦う人たちもみんな魅力で、会社同士の闘争ゲームなだけでない人としてのドラマが面白かったですね
小さな逆転の布石を積み上げながらも、その速度を上回る危機のたたみかけに、わずかな息継ぎだけで緊張感が持続してました
ただ思ったよりリアルよりの展開でラストに爽快感が足りなく、もっとファンタジーになっても良いから感情に働きかける奇跡の逆転劇が観たかった気がしないでもない
胸が熱くなるだけなったけど、何となくそれを持て余す感じでした

個人的評価:80点
オススメ度:パソコンをバンバン叩いちゃダメ



空飛ぶタイヤ 予告

ワンダー 君は太陽 (2017/米)

監督:スティーブン・チョボウスキー
出演:ジュリア・ロバーツ / ジェイコブ・トレンブレイ / オーウェン・ウィルソン / マンディ・パティンキン / ダビード・ディグス / イザベラ・ビドビッチ / ダニエル・ローズ・ラッセル / ナジ・ジーター / ノア・ジュプ / ミリー・デイビス / ブライス・ガイザー / エル・マッキノン

宇宙飛行士になるのが夢の少年オギーは、生まれつきの障害で他の子たちと異なる顔形をしていた
そんな彼が自宅学習の末、10歳になった年に初めて学校に通うことになる

人は見た目だけじゃない、当たり前のことに心の澱みが洗い流された作品でした
オギーの太陽っぷりはもちろん、それぞれの登場人物が輝いていた
話が進むにつれてオギーの周りの人々の内面が明るみになり、その人の本当の姿が見えてくるのが心地よく、その作品の構成が素晴らしい
喜びと悲しみの波に感情が動かされ、自分の中で停滞していた何かが作中の少年たちの晴れやかさとともにさっぱりとする
ちょっとした表情や演技の分かりやすさもいい感じで、また小道具のチラ見せから状況を想像させる演出もいい
オギーの見た目からはじまって、人の内面に心が優しくなれる一本でした

個人的評価:90点
オススメ度:父親でいて、おっきい子供な父ちゃんも素敵



ワンダー 君は太陽 予告

2018年6月13日水曜日

万引き家族 (2018/日)

監督:是枝裕和
出演:リリー・フランキー / 安藤サクラ / 松岡茉優 / 池松壮亮 / 城桧吏 / 佐々木みゆ / 緒形直人 / 森口瑤子 / 山田裕貴 / 片山萌美 / 柄本明 / 高良健吾 / 池脇千鶴 / 樹木希林 / 毎熊克哉 / 堀春菜

日常的に万引きをしつつ生活をする一家
ある日、他人の家の幼い女の子を家に連れてきてしまう

ガッツリ絆を主張する家族、しょせんは他人同士の疑似家族、どっちに傾きすぎない微妙な関係が繊細に描かれていた作品でした
小さな子を加えて徐々に良い関係になりつつ、同時に裏がありそうな繋がりが見えてきて見応えがあった
それぞれの心の痛みや優しさ、勝手さがよくあらわれていて、スクリーン枠外のドラマが想い描けるのが面白い
柴田家の間にある空気感や距離感、大人の理屈に子供の感じ方、そこに役者さんの演技が重なることで人と人とのドラマが楽しめた
こうだから、ああだから、と考えながら「じゃあ、家族ってなんですか」という疑問に思いを巡らされる一本でした

個人的評価:85点
オススメ度:支える者、支えられる者の関係に心がむずむずする



万引き家族 予告

デッドプール2 (2018/米)

監督:デビッド・リーチ
出演:ライアン・レイノルズ / ジョシュ・ブローリン / ザジー・ビーツ / モリーナ・バッカリン / ジュリアン・デニソン / レスリー・アガムズ / T・J・ミラー / ブリアナ・ヒルデブランド / カラン・ソーニ / ジャック・ケシー / 忽那汐里 / ステファン・カピチッチ / エディ・マーサン

デッドプールとして世界中で悪者を倒して金を稼ぐウェイド
そんな彼がミュータントの少年ラッセルと行動する中、半身が機械の謎の男が襲い来るのだった

最高にご機嫌なくそったれ映画として色々とパワーアップしていて楽しめた
ただいきがってコミカルに振る舞うだけでなく、シリアスとギャグの波が秀逸でした
X-MENネタも多めで、ちょいちょい不意打ちでニヤリとさせられるものをぶっ込んできて面白い
他の映画ネタとかも多く、たとえすべてが拾えなくても、個人的に引っかかった部分だけでも十分わらえる
一瞬画面に映る情報に「え?あれって...」という驚きのサービスシーンが憎めない
ストーリー展開のすかしっぷりもいい感じでほどよく先が読めず、アクションシーンはもちろんバッチリ決めてくる
大切にしている部分と馬鹿にしている部分、両方持ち合わせたなんとも妙な魅力に磨きがかかった一本でした

個人的評価:85点
オススメ度:過去の清算も済み、やっと本来のデッドプールが始まったな


デッドプール2 予告

リディバイダー (2017/英)

監督:ティム・スミット
出演:ダン・スティーブンス / ベレニス・マーロウ / ティゴ・ヘルナント / チャリティー・ウェイクフィールド / バス・カイザー

エネルギー問題解決のため、宇宙を複製する試みがなされる
そんな複製されたエコー世界へ、ある任務をもってウィルが送り込まれる

想像以上にFPSゲームまんまで、「なんのゲームがはじまったんだよ」と思わざるえない
とりあえず状況を把握できるまでが一番おもしろく、元世界の過去話がはさまれることで主人公を含めた情報が積み重なっていくのが楽しい
ダメージを受けた時の演出なんかもろそうだけど、本当にゲームのような映像表現を楽しめるFPSゲーマー世代のジェットコースターアクションみたいな感じ
しょうじきストーリーは他の映画やSF小説、ゲームなんかで既視感ありまくるし、ネタバレするのもアレだけど終わり方も微妙
さらに主人公補正ききまくりで銃弾が当たらないわりに、過去話に移行するために頻繁にブラックアウトするのはギャグに思えてくる
せっかく一人称視点なんだから、それをいかして最後に「実はこうだった」みたいな何かも欲しかった

個人的評価:70点
オススメ度:脳しんとう映画



リディバイダー 予告